第22話 妖艶なダークエルフ女王ベルセ
それから永遠と続くと思えるダークエルフ召喚精霊を撃破し続け、約2時間が経過した。
「ダークエルフ共め!ざまあみろっ!」
「ラーンザイル王国は無敵だぜ!」
ラーンザイルの兵士達が、圧倒的な自軍の火力に歓喜している。
「まだいるの?こんなの切りがないわ!約1万発は『ブレイズアロー弾』を消費したことになるわね。」
「在庫は、3万発だったから……え~と……」
ルビがアーネの言葉から懸命に計算していると……。
「計算が遅い!北南西の各門に配置した弾をかき集めても、このまま行けば約4時間ほどで弾が無くなるわ。だけど、これはいくら何でも不自然よ。絶対に何か策があるはず!」
アーネが、ブレイズアローで燃えては消えていく召喚精霊軍に不気味さを感じた。
「いったい何が狙いなの?……あれは?よく見るとあの召喚精霊……倒された後に何か小さい闇のオーラの様なものが、後方へ飛んで行って……まさかあれって失われた古代スキルか何か?」
その闇のオーラは、とても小さく神聖魔法を使用するシーラだからこそ気づけたのだった。
「フレイヤ女王様!あれは、もしかして失われた古代召喚スキルかもしれません。わざと盾防御型召喚精霊に強力な魔法攻撃をさせて大量のMPを獲得し、強力な何かを召喚する古代スキルがあったと母から聞いたことがあります。」
フレイヤ女王は、シーラの言葉を聞き、素早く反応した。
「なっ!?くっ!魔弾銃隊!攻撃をやめよ!」
「魔弾銃隊!攻撃やめぇぇ!」」
フレイヤ女王の従い、アーネも素早く復唱する!
「あらぁ~どうして攻撃をやめちゃうのかしら?」
いきなりダークエルフ軍最前線に耳の尖った生身の女ダークエルフが姿を現した。
隠密スキル系を使用していたのは、すぐに理解できたが、ブレイズアローの残り火で照らすその姿は、サキュバスような布面積の少ない服装で、その豊満な胸をさらけ出すギリギリの着こなしをしていた。
「うひょーー!あやつは何じゃ?」
「だ、黙れっ!空気読めよ!」
大騒ぎするタマを慌ててルビが抑え込む。
(確かにタマの気持ちも分かる。なんて妖艶な……あれが召喚師なのか?)
「我はダークエルフの女王ベルセ。目覚めたばかりで今の世界がどのようなものか分からんぬが……ほほぉ~魔王達が人間と……これは面白い!」
(女王ベルセですって!あの伝説の凶悪女王のベルセ?やはり封印を守護していた桜花を追って来たの?あれ?でも今『魔王達』って言ったわよね……)
アーネは、女王ベルセと桜花を見比べながら考えていた。
「私は、ここラーンザイル国の女王フレイヤ。そなたが大量のMPを獲得する戦術は見抜いたぞ。まだ戦うつもりか?」
「つもりも何もない。我は魔王やエルフの次に人間が嫌いだ。人間は、立場が悪くなればすぐに嘘をつき裏切る!光の神を信仰しつつも心は我ら以上の闇!そんな中途半端な醜い生き物は根絶やしにする。ただそれだけだ。それについ先ほどまで我らを封印していた者を滅ぼす必要があるのでな。フレイヤとやらその者を差し出すなら奴隷くらいにはしてやるぞ。」
「フッ!冗談ではない!」
フレイヤとベルセが、長々と話し込んでいる間にレイブンは、ベルセの後ろへ回り込み切りかかる!
パキンッ!
「なかなか良い動きをするではないか?だが雷神剣ごときで我の魔法障壁は破壊できんぞ!」
「シーラぁ!どうして魔法障壁解除しないんだっ!フェリックスでないからかよ?」
レイブンは、ワイヤーフックを使用して城壁に上りながら文句を言う。
「違うわよ!よく見なさいよ。多重魔法障壁なのぉ!あんなの1人で解除なんて無理よぉ!」
シーラは、盾を構えるフェリックスの後ろから言い返した。
「お遊びは終わりだぁ~さあ!出でよぉ!闇巨神っ!」
ベルセが古代詠唱を開始する。
「闇巨神だとぉ?くぅ!こ、これは!?」
フレイヤ女王は、ありえないモノを目撃する。
とてつもない強大オーラが、城壁を超える高さまで巨大化し、集結していくのが理解できた。
「ダブルブレイズアロー!」
アーネが、ベルセの詠唱を妨害しようと両手からブレイズアローをぶっ放す!
ドドンッ!
だが、そのダブルブレイズアローもベルセに届く前に強大オーラへ吸収された。
「何とも器用な。素晴らしい魔力収束力だ。だが、それも闇巨神の召喚パワーに変換されるだけだ。ふははははっ!」
(アーネすごいな!ブレイズアローを両手から?それでもアイツには歯が立たないのか!)
ルビは、いつも勝気な天才少女アーネのあんな悔しそうな表情を始めて見たのだった。攻撃すればするほど敵に塩を送ることになるからだ。
ベルセの怪しい詠唱が終わると城壁の前方に闇の影が、具現化されていく。
「こ、これが失われた古代召喚スキル『闇巨神』召喚!なんて強大な魔力なのぉ!」
シーラは、あまりの次元の違いに体がガクガクと震えだす。
フェリックスが、必死にその震える肩を押さえるがそれでも震えが止まらなかった。
ドスン!ドスンッ!
「ヌオオオオオオッ!」
闇巨神の両足が地面にめり込むとそれは雄叫びをあげた。
その巨大な姿は、城壁をも軽々と超える高さであった。
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