4 月が綺麗ですね

「部活の帰り? お疲れ様」

「花音さんもお疲れ様です」

「えへへ、今日はちょっと残業だったの」


 ああ、綺麗だなぁ。

 僕は反射的に月を仰ぎ見た。


「どうしたの?」

「つ、月が」


 僕は上ずった声で言った。


「?」

「満月……ですね」

「ええ。綺麗よね」

「っ……!」


 僕は思わず息をのんだ。


「そ、それって――そういう意味でしょうかっ」


 思わず詰め寄ってしまう。


「???」


 花音さんはキョトンとしている。


 しまった、早とちりか。

 この反応を見る感じだと、花音さんは本当にただ月が綺麗だと思っただけらしい。


「……まあ、そうだよな」


 わざわざ『月が綺麗ですね』っていう言葉を告白に使うなんて、あまり考えられない。


 ――と、そのときだった。


「ん?」


 花音さんが僕を見て、軽く顔をしかめた。


「どうかしましたか?」

「香水の香り。誰かと密着した?」

「え、あ、その……」


 告白されたときかな?


「不潔よ」


 花音さんの視線がたちまち絶対零度まで落ちた。


「ま、ケータくんもお年頃だものね。そういうこともあるか」

「え、えっと……」

「ただ、学生らしく節度を守ったほうがいいと思う……余計なお世話だったらごめんね」

 スタスタと足早に去っていく花音さん。


「ま、待ってください!」


 僕は慌てて追いかけた。

 ほぼ一瞬で距離を詰め、花音さんの前に回り込む。


「早っ!?」

「いちおうサッカー部のフォワードですから」


 いや、試合のときよりもスピードが出たと思う。


 ぜいぜい言いながら、僕は花音さんを見つめた。

 ここで誤解を解いておかないと――。


「僕、その人とは何もありません。ちゃんと断ったし、ちょっと接近されただけなんです!」

「接近を許す時点で不潔」

「うう、厳しい」

「変なことされてないのよね?」


 花音さんの表情はますます険しくなった。


「ケータくん、隙が多いから心配よ」

「そんなに隙だらけですか、僕?」

「ええ」


 言いながら、花音さんが近づく。


「えい」


 ぺち。

 僕のおでこに花音さんが軽く指で触れた。


「ほら、私でも簡単に触れた」

「いや、花音さんが相手だから警戒しなかっただけですよ」


 僕は慌てて言った。


「他の女の子だったら、もっと警戒しますから」

「それならいいけど……」


 言ってから花音さんはキョトンとして、


「ん? どうして私以外の相手だと警戒するの?」

「えっ!? そ、それは――」


 あなたに恋してるからです――なんて言えるわけがない。






***

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