10 二年後、それぞれの今日と明日1

 あれから二年が経った。

 俺は地元の大学に進学し、現在は二年生だ。


「やほー、コータくん。ひさしぶり~」

「春歌、帰ってたのか」


 俺はその日、町中で春歌と会った。


「うん、さっきこっちに着いたばっかり」


 にっこり微笑む春歌。


 多少大人びたものの、朗らかな笑顔やトレードマークのポニーテールなどはそのままだ。


「インカレ、優勝おめでとう」

「えへへ、大学になってもあいかわらず天才美少女剣士なんだよね、ボク……いやー、敗北を知りたい」


 笑う春歌。


「あ、ちょっと調子に乗っちゃった。ごめんごめん」

「いや、まあ高校時代から、まだ公式戦負けなしなんだろ? すごいよ」

「まあ、練習では一本取られることもあるんだよね。うちの部にすごい先輩がいるから。っていうか、もう『美少女』っていうより『美女』だよね、年齢的に。これからは天才美女剣士を名乗ろうかな……」

「そのフレーズ自体はあらためないんだ」

「ふふん」


 春歌はドヤ顔だ。


「コータくんも忙しそうだね。バイト掛け持ちしたり……週末はまた真白さんとデートでしょ?」

「ああ」


 うなずく俺。


「将来のためにできるだけ貯めたいし、真白さんともたくさんデートしたいし、就職のことも考えながら大学生活を過ごしたいし……」

「ほえー、将来のこと見据えてるんだ」

「真白さんと一緒にいたいからな。これからも……」

「あっちっち、それは熱いよー、君。熱すぎだよ~」


 春歌が苦笑した。


「ごめん、さすがに今のは惚気が過ぎたか」

「仲いいんだね~」


 春歌が笑う。


「まあ、なんとかな……小さなケンカは何回もしたけど、別れるような事態は今のところないよ」

「そっか」

「別れるつもりもないしな」

「これから先も?」


 春歌がたずねる。

 真剣な表情だった。


「ああ」


 俺は力強くうなずく。


「これから先も、ずっとだ」


 俺も気持ちは決まっている。

 あのころから、揺らいだことはない――。


「……そっか」


 春歌がうなずき、わずかに顔を逸らした。

 なんだか、少しだけ寂しげな横顔だった。


「ん、どうした?」

「あ、ううん。なんでもない」


 春歌が笑う。


「上手くいくといいね」

「ありがとう」


 俺は春歌と別れて歩き出した。







***

〇『いじめられっ子の俺が【殺人チート】で気に入らない奴らを次々に殺していく話。』

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