3 魅花は阿鳥に復讐する1(魅花視点)


 その日、進藤魅花は以前の交際相手である須山阿鳥のもとを訪ねていた。


 子どもについては両親に面倒を見てもらっている。

 今日は、どうしても阿鳥に伝えたいことがあったのだ。


「ねえ、あたし……面白い情報つかんだんだけどさ」

「なんだ、面白い情報って?」


 阿鳥は迷惑そうな顔だ。


 これから女と会う約束でもあるのだろうか?


 彼のことだ、どうせ今も二股や三股、あるいはそれ以上の数の女をとっかえひっかえしているのだろう。

 ……そろそろ、その天罰を受けるときだ。


「最近、新しい女ができたでしょ?」


 魅花が詰め寄る。


「だからなんなんだよ。お前にはもう関係ねーだろ?」

「だね。関係ないよ。あんたが慰謝料いっぱい請求されても――あたしにはもう関係ない話だよね」

「は?」

「これ、撮らせてもらったよ?」

「っ……!」


 阿鳥の顔が引きつるのが分かった。


 魅花はゾクゾクするような快感を覚えた。

 彼女が持つスマホには、阿鳥が三十前後くらいの女性とホテルに入ろうとしている画像があった。


「この人……結婚してるよね? 旦那さんにこの画像を送ったらどうなると思う?」

「し、知るかよ! そいつが駄目なら別の女を探すだけだ!」

「独身の女が相手なら、それでもいいけどさ。相手が既婚者だと全然話が違うんだよね」


 魅花がニヤニヤ笑う。


「苦労したんだよ? あたしがあんたを時々尾行してたの、気づいてた? なかなか上手いもんでしょ。将来は探偵になれるかもね、あたし」


 子どもの世話もあったし、常時彼を監視できるわけではなかったが、幸運にもこうして現場を押さえた写真を撮ることができた。


「て、てめぇ……」

「今までに五人も人妻とヤッてたんだよね? あんた、彼氏持ちとか既婚者が好きなんでしょ? あたしだってあんたと初めてヤッたときは、まだ彼氏もちだったし……」

「み、魅花。お前、何をする気だ……」


 阿鳥の顔がどんどん青ざめていくのが痛快だった。


「その画像をどうする気なんだよ!」


 怒声を浴びせてくる。


 これだ。

 この顔が見たかったのだ。


 ざまあみろ、と心の底から思った。


 さあ、破滅させてやるぞ、阿鳥――。


 魅花はニヤリと笑った。






***

〇『いじめられっ子の俺が【殺人チート】で気に入らない奴らを次々に殺していく話。』

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