22 俺と真白さんのクリスマスイブ3


「……私、別にコータくんに養ってもらうつもりはないよ。私だって稼いでるんだから」


 真白さんが俺を軽くにらんだ。


「それとも……もしかして、私に専業主婦になってほしいとか?」

「まあ、俺一人で養えるくらいの収入になったら、それもアリかも……」

「あのね、今は昭和じゃないのよ。君って結構古い考え方するのね……」


 真白さんが小さく笑った。


「い、いや、それくらい真白さんを支えられるようになりたいというか、なんというか……」


 話しながら、俺はタジタジになっていた。


 ぼんやりとしたイメージだけで将来計画を語ってしまった。

 これじゃ駄目だな……。


「まだ時間はあるから、考えてみたいんだ。進学か、就職か」

「私のために将来のことを色々考えてくれてるのは嬉しいし、感謝してる。私が君くらいの年齢のときは、何も考えてなかったかな……ただ周りが大学に行くから、自分も――っていう感じだったもの」

「俺だって真白さんと付き合うようになるまでは、似たような感じだったよ」

「結婚って色々考えなきゃいけないことがあるのよね、きっと……」

「うん……」


 俺たちは顔を見回せた。

 それから、ふいに真白さんがクスリと笑う。


「あ、私の両親に挨拶とかもあるのよ。お父さんとお母さん、絶対びっくりするよ?」


 冗談半分とはいえ、そうやって将来の『結婚の挨拶』について語り合えるのは――少しは前進したって考えていいのかな。


 いずれは冗談じゃなく本当にしてみせる。


 そう決意しながら、俺は真白さんとクリスマスイブの町並みを歩いていた――。




 そうやって真白さんとの楽しく幸せな時間が過ぎていく。

 将来への不安とか覚悟とか、ただ『楽しい』だけじゃすまないことだってあるけれど――。


 やっぱり真白さんと一緒に過ごせることは幸せだ。


 クリスマスも、大晦日も、正月も――。

 俺は真白さんと一緒に過ごした。


 両親とはあんまり会えなかったけど、まあ今年は勘弁してもらおう。

 やがて年度が替わり――。


 俺は高校三年生になった。

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