21 俺と真白さんのクリスマスイブ2
真白さんの笑顔は穏やかだった。
この間に比べると、俺の言葉を落ち着いて受け止めてくれているように思える。
とはいえ、まだ真白さんだって気持ちや考えをいろいろと整理しているはず。
急かすようなことがあっちゃ駄目だ――。
……と分かってるけど、やっぱりちゃんとした答えを聞いてみたい気もする。
いつか、きっと。
夜になり、俺と真白さんは外に出た。
夕食は予約してあるレストランでとる予定だった。
そこに向かって歩いていると、俺と同い年くらいの高校生カップルを目にした。
クリスマスイブを一緒に過ごせる喜びからか、二人とも幸せそうに笑っている。
こっちまで微笑ましい気分になってくる。
「いいなぁ……」
真白さんがポツリとつぶやいた。
「同級生カップルかな? ああいうの、憧れちゃう」
あの二人は――年の差なんて、気にしないでいいんだよな。
「ふふ、コータくんは元カノと同級生カップルだったね」
真白さんが微笑んだ。
言ってから、ちょっとだけ眉を寄せる。
「あ、自分で言ってて、ちょっと嫉妬しちゃった……うう」
「い、いや、魅花とはもうなんでもないし」
「分かってるけど……ほら、過去はやっぱり過去として残ってるわけで……コータくんが私の前に同級生と付き合っていた、っていうのは……」
真白さんの頬がひくひくしていた。
思った以上に嫉妬しているらしい。
「真白さんって結構ヤキモチ焼くよね」
「えへへ、嫉妬深いんだからね、私」
うん、知ってる。
「でも、今は真白さんだけだよ」
俺は彼女を見つめた。
「これからも――真白さんだけだ」
「ありがと。私もコータくんだけだよ。これからもずっと」
真白さんは穏やかな笑みを浮かべていた。
そんな彼女の笑みを見ながら、俺の気持ちは高ぶっていく。
イブだからなのか、いつもより気持ちが湧き立つ感じがする。
「俺、やっぱり就職しようかな……」
「コータくん?」
「早く自立して、真白さんを養えるくらいになりたい」
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