20 俺と真白さんのクリスマスイブ1
今日はクリスマスイブだ。
昼過ぎに真白さんが俺のアパートを訪れた。
イブが土曜日でクリスマスが日曜日なので、俺たちは二日間一緒に過ごす予定だった。
「こんにちは、コータくん」
今日も真白さんは美人だ。
いつも以上に美しく、輝いて見えるのは、恋人としてのひいき目だろうか。
本当に、綺麗だ――。
そう思うと、もうたまらなくなってしまった。
真白さんが部屋に入るなり、俺は彼女を壁際まで追い詰めてしまった。
「コータくん……?」
壁に手をつき、真白さんの顔を覗きこむ。
逃げ場を塞ぎながら、ゆっくりと顔を寄せていく。
「これって……壁ドンだね」
「一度やってみたかったんだ」
「コータくんの顔、近いよ」
真白さんが微笑んでいる。
俺の方は壁ドンをやってみたのはいいけど、いざやると照れくさくて……次に何を言えばいいのか分からない状態になっていた。
うう、気恥ずかしい。
「ねえ、コータくん、キスして……」
真白さんがささやく。
「壁ドンなんだから、強引に……激しく、私の唇を奪って……」
濡れたような瞳が俺を誘っていた。
背筋がゾクリとするほどの興奮がこみ上げ、俺は貪るように真白さんの唇を奪う。
真白さんと付き合ってから、いったい何回くらいキスをしたんだろう。
100回?
1000回?
10000回?
でも、今日のキスはその中でも特別感があった。
柔らかな唇を味わい、ぬるりとした舌を吸い、たっぷり時間をかけたキスをしてから、ゆっくりと唇を離した。
「……ふう」
真白さんの目がトロンとしている。
息が、荒い。
付き合いが長くなってきたから、分かる。
これは――エッチな気分が高まってるときの、真白さんの表情だ。
まあ、俺自身もエッチな気持ちは爆発しそうなくらいに高まっちゃったけど。
でも、体を重ねる前に、先に伝えておきたい思いがあった。
「真白さん、俺……ずっと一緒にいたい、って思ってるから」
「コータくん……?」
「俺は未成年だし、就職もしていない……自分の力で生きていけるほど自立してないのは分かってる……でも、これからのことは考えてる……から」
言いながら、どんどん緊張してきた。
喉がカラカラに乾く。
「この間、ちょっとケンカしちゃったけど……でも、これだけは言わせてほしいんだ。俺……やっぱり真白さんと結婚したいって思ってるよ。少しでも早く一緒になりたいし、そのために少しでも早く自立したい」
「私だって君と一緒になることを……ちゃんと考えてるよ。もう少し時間を欲しいの」
真白さんがうなずいてくれた。
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