16 俺は魅花と再会し、自分の気持ちに決着をつける3
「っていうか、もともとあんたのせいでしょ。あんたがいつまで経ってもあたしに手を出さないから、あたしは阿鳥みたいな男に引っかかって……妊娠したのも、あんたのせいじゃない。責任取ってよ!」
「魅花……」
これが――魅花の本性なんだな。
自分の過ちは受け止められない。
何かあれば、他人の責任転嫁することしかできない。
明るくて朗らかで、一緒にいるだけで楽しくて、笑顔になれて――そんな魅花はもういない。
いや、最初からいなかったのかもしれない。
俺が見ていた魅花は、全部幻想だったのかもしれないな。
俺には、魅花の本当の姿が何一つ見えていなかったのかもしれないな。
俺は彼女から後ずさった。
気持ちが、どんどん醒めていく。
「ま、待ってよ、コータ! あたし――」
「魅花、お前が妊娠したのは、お前の行動の結果だろ……そこは受け止めなくちゃいけないと思う」
俺は彼女を見据えた。
「受け止めて、前に進んでいくしかないだろ」
「くそっ、説教かよ!」
「違う。俺は」
「うるせーんだよ! もういい! くそっ!」
魅花は罵声交じりに去っていった。
その背中を見ても、自分でも驚くほど、まったく感慨が湧かなくて――。
俺はなんだか切なくなってしまった。
「さよなら、魅花……」
俺は空を見上げ、誰に言うでもなくつぶやいた。
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