13 そしてクリスマスへ
真白さんの誕生日にちょっとした衝突と、その後の仲直りを経て、俺と彼女の関係は前よりも強くなった……と思う。
とはいえ、将来のことに関しては焦りすぎず、前に進めていきたい。
真白さんもちゃんと考えてくれるって言ってたし、俺だって今後の進路とか……もっと色々考えなければ。
卒業まで、あと一年と数か月。
長いようで短く、短いようで長い――きっとそんな時間になるだろう。
真白さんと幸せな家庭を築く、という最大目標を軸にして、そのために最適な道を考えていこう――。
俺と真白さんはその後も週末は必ず会い、平日も会えるときは会うという感じで過ごし、やがてクリスマスの日が近づいた。
いよいよ、今週末がイブとクリスマスだ。
ちょうどいいことにイブが土曜日、クリスマスは日曜日だった。
土日とも真白さんの仕事は休みだから、イブもクリスマスも真白さんとずっと一緒に過ごせる。
最高だった。
「ああ、早く週末にならないかな……」
ウキウキしながら廊下を歩いていると、桐生に出会った。
天ヶ瀬先輩も一緒だ。
「あ、どうも……」
二人の邪魔をしない方がいいかな。
そう思って、俺は彼らの横を足早に通り抜ける。
「別にそこまで遠慮しなくていい」
天ヶ瀬先輩が言った。
「えっ、でも二人でイチャラブしたいでしょう?」
「っ……! い、いちゃらぶって言わないでよ。校内で」
「あ、すみません」
「まったく……もう、恥ずかしい……………………ふふ」
言いながら、天ヶ瀬先輩の口元が嬉しそうに緩むのを、俺は見逃さなかった。
よかった。
桐生とイイ感じで付き合っているみたいだ。
「先輩……」
桐生が俺を見つめた。
「その節は、本当にありがとうございました」
「上手くいってるみたいで、よかったよ」
「はい、おかげさまで」
言って桐生は俺にそっと耳打ちした。
「また相談に乗ってもらっていいですか? イブとかクリスマスとかのことで……」
「お、おう……っていっても、そんなに大したことは言えな」
「何を二人でコソコソ言ってるの? 怪しい」
天ヶ瀬先輩にジト目で見られてしまった。
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