15 これからも、ずっと一緒に

「謝ることなんてないよ。ただ、春歌とは本当にそういう関係じゃない」

「うん、分かってる。信じてるよ」


 俺の言葉に真白さんはうなずいた。

 それから申し訳なさそうな顔になり、


「ただ、それでも嫉妬してしまうの……ごめんね」

「じゃあ、真白さんがヤキモチを焼かなくても済むように――」


 俺は彼女に覆いかぶさっていった。


「俺がどれだけ真白さんを想っているのか、ってことを伝えればいいんだよね?」


 心にも、体にも。


「え、ちょっと、コータくん……? あっ……」


 真白さんの耳たぶや首筋に唇と舌を這わせていく。

 そのまま服を脱がせると、他にも真白さんが感じる場所すべてに、丹念に唇と舌を――。




 ――それから一時間か、二時間か、俺と真白さんは濃密に交わり、ようやく小休止した。


「はあ、はあ、はあ……」


 真白さんは荒い息をついている。


 俺も乱れた呼吸を整えつつ、彼女を見下ろしていた。


 今夜は激しかったな、真白さん。

 今までエッチした中で一番乱れていたかもしれない。


 めちゃくちゃエロくて、思いだすだけでムラムラがぶり返しそうだ。


「あ……エッチな目になってる、コータくん」


 真白さんがこっちを見た。


「いいよ? まだしたかったら……私の体でよければ、もう一度……抱いて?」


 うっ、そんなこと言われると、本当にまたシたくなる。


 俺はふたたび真白さんに覆いかぶさり――。




 またしばらく濃厚な時間が過ぎ、俺たちは今度こそ並んで休んでいた。


「どうかしたの、コータくん?」


 真白さんが俺を見つめている。


「んー……ずっとこうしていられたらいいなぁ、って」

「ふふ、エッチした後で、ずっとくっついていたくなるよね?」


 真白さんが俺に肌を寄せた。

 柔らかな体つきを抱きしめ、軽くキスをしながら、俺は言った。


「もっと、ずっとだよ……ずっと一緒に……」


 真白さんの表情がこわばる。


「来年も、再来年も、五年後も、十年後も、その先もずっと――」

「……私だって、コータくんとずっと一緒にいたいよ」


 真白さんが微笑んだ。


「でも、今はそういうことを考えるのは、やめてほしいかな。付き合って一か月とかでする話じゃないでしょ」

「別にいい加減な気持ちで言ったわけじゃないよ。勢いで言ったわけでもない」

「でも、簡単にする話じゃないよ」


 真白さんが俺を見据える。

 少し怒っているようにも見えた。


 俺の言葉が軽く聞こえたのかな……?


「真白さ――」


 俺は真白さんに顔を寄せ、唇を奪おうとする。

 が、あっさりと拒否されてしまった。


「キスして誤魔化すのはやめて」


 真白さんにぴしゃりと言われた。


「……ずっと一緒にいられたら嬉しい。でも、もしそれが叶わなかったら……考えるだけでも怖いの。だから、そういうことを言うのはやめてほしい」


 真白さんが言った。


「お願い。先のことを、あまり意識させないで……」

「……ごめん」


 自分の気持ちはまだ胸にしまっておこう。


 でも、いつか――。


 いつかは、真白さんが受け入れてくれるくらいに、『ずっと一緒にいたい』って言葉を届けてみせる。


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