9 夏だ、水着だ、真白さんとプールへ2

「も、もう、そんなにジッと見ないで……恥ずかしいから」


 真白さんは照れたように体をモジモジさせていた。


 ……こうして見ると、やっぱりエッチな体つきだ。

 大人の女って感じの色香があった。


「そんなに恥ずかしがることないだろ。それに真白さんの体なら……全部見てるわけだし」


 と、耳打ちしてみる。


「っ……!」


 真白さんの頬が赤くなった。


「そ、そ、それとこれは別問題なのっ……っていうか、人前で言わないでよね……もうっ」

「あ……ごめん」

「私だってコータくんの、全部見てるからね……ふふ」


 急に艶然とした笑みを浮かべる真白さん。


 今度は俺が照れる番だった。


 当たり前だけど、お互いに裸を見せ合ってるんだよな。

 何度も、何度も――。


 見せ合ってるだけじゃなくて、もっと恥ずかしい行為もしているわけだし。


「えっ」

「あ、ううん。準備運動したら一緒に入りましょ」

「ああ」




「ふう、気持ちいいっ」


 真白さんが嬉しそうに泳いでいる。

 俺も並んで泳ぎつつ、真白さんの体につい目が行ってしまう。


 妖精とか人魚でも見ている気分になってしまう……本当に綺麗だ。


「私にとって二十代最後の夏なのよね……」


 真白さんがふいにため息をついた。


「もうすぐ三十代になっちゃう」


 俺はとっさに言葉を返せなかった。


 冗談めかして返していいのか、真剣に答えればいいのか。


 どちらにせよ、答えれば、俺と真白さんの年齢差を意識せざるを得ない。

 真白さんにも、意識させてしまいそうだ。


 が、そんな俺の迷いを知ってか知らずか、真白さんは思ったより軽い調子で笑った。


「ちなみに誕生日は十一月九日だから。忘れないでね」

「知ってるよ」


 俺は苦笑した。


 今から何をプレゼントしようか悩んでいるのだから。


「えへへ、覚えてくれてるんだ」

「当たり前だろ」

「嬉しい」


 真白さんが俺に顔を近づけた。


「あ……っと、こんなところでキスしちゃ駄目だよね。いけないいけない」


 なんだかナチュラルにキスされそうになったぞ……?


「嬉しくて、つい」


 真白さんはぺろりと舌を出した。


 うん、二人っきりになったら、思う存分ちゅーしてもらおう。

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