第6章

1 俺は真白さんにすべてを報告する

 赤羽根先輩に別れを告げた、その日の夜――。


 俺は真白さんに会った。


『どうしても会いたい』ってLIMEでメッセージを送ったのだ。

 真白さんはちょうど仕事が早く終わったらしく、夜七時くらいに俺のアパートに来てくれた。


 なんだか、気が重い。


 だけど、俺は――。


 彼女とのことを、ちゃんと報告しておかないと。

 俺が知らないうちに、何かのきっかけで話が伝わったら、それこそ誤解を招きそうな気がするから……。


「どうしたの、コータくん? また悩み事?」


 真白さんが心配そうな顔でたずねた。


「最近、ときどき暗い顔をしてるね」

「うん、まあ……色々と」


 俺は無理やり微笑んでみせた。


「でも真白さんと会えるとホッとするよ。癒される」

「えへへ、私も」


 言って真白さんが俺に抱き着いてきた。


 こうやって抱き合っていると、悩みや苦しみが溶けていくみたいだ。


 赤羽根先輩を振った苦しみも。

 自分の言動がまずかったことへの後悔も。


 全部――溶けていくみたいだ。


「ああ、真白さん……」


 俺は愛しい思いを込めて、ひたすらに彼女を抱きしめていた。




 少し気持ちが落ち着いたところで、俺は真白さんに本題を切り出した。


「実は今日、ある女の子から告白されたんだ」


 もちろん赤羽根先輩の名前は出さずに、俺は真白さんに言った。


「もしかして、この前キスされた子?」


 さすがに鋭い。


「……うん」

「キスしたのって、アクシデントだったんだよね?」


 真白さんが確認するように問いかける。


 その目の光がやけに強くて、爛々と輝いているように見えた。


 疑っている――のとも違う。


 なんだろう、強烈な情念というか、感情のうねりみたいなものを感じる視線だ。


「もちろん、事故だよ。俺も彼女もわざとじゃない」

「あ、責めてるわけじゃないからね。疑ってるわけでもなくて……ただの確認だから……」


 真白さんが慌てたように付け加えた。


「不快な思いをさせてごめんなさい」

「不快じゃないよ。それに俺が真白さんに不快な思いをさせたんだ。謝るのはこっちだ――」

「そのことは決着ついたじゃない。もう謝るのはナシにしよ。ね?」


 真白さんが俺の手に自分の手を重ねた。


「それ以上言うなら、私が唇でコータくんの口を塞いじゃうからね。謝れないように」


 言って、真白さんが顔を近づける。


「それ以上、謝れないように――」

「……ちょっぴりしてほしい気もする」

「もう」


 思わず本音が出た俺に、真白さんは苦笑してから、


「ちょっとだけ、だよ?」


 身を乗り出して、俺の唇にキスをした――。




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