10 俺は真白さんの彼氏だと胸を張りたい2

 俺たちは小さなテーブルの前で並んで座り、軽食と飲み物を取るところだった。


「じゃあ……かんぱーい」

「かんぱーい」


 俺は未成年なのでジュース、真白さんはビールだ。


「やっぱり社会人になるとビールなんだ?」


 そういえば、再会したときも結構酔った状態だったな。


「まあ、酔わないとやってられないときもあるし」


 ふうっ、と吐き出した息にはアルコールの匂いが混じっている。

 それが真白さん自身の香りと混じり合って、妙な色香みたいなものを感じた。


 なんだろう、大人っぽさを感じたんだろうか。

 そんな大人な彼女と交際し、その体を自由にしている――そんな実感がゾクッとするような色香として感じられたんだろうか。


「ん、どうしたの、コータくん? 目が泳いでるよ?」

「い、いや、その、真白さん、ほんのり顔が赤くなって、綺麗っていうか色っぽいっていうか……」

「えっ」


 真白さんは驚いた顔をして、


「酔ってる顔って色っぽいんだ?」

「俺はそう感じた。相手が真白さんだからだと思う」

「えへへ、なんか照れちゃうね……」




 俺たちは駄弁りながら軽食を終え、


「よかった。ちょっとでも真白さんと過ごせて」

「私こそ、嬉しい。ありがとう、付き合ってくれて」


 ちゅっ、ちゅっ、とついばむようなキスや微笑みを交わし合う。


 それから、つい真白さんの胸元やお尻に目が行ってしまう。

 白いブラウスを透かして青いブラジャーがちょっと見えていた。


 形の良い胸の膨らみ。

 それにスカート越しに分かるお尻の丸みも色っぽい。


 いかんいかん、何を考えてるんだ俺は。


「ん、別にいいよ?」


 真白さんが振り返った。


「えっ?」

「なんとなーく、コータくんのエッチな視線を感じたから、ふふ」

「うっ、ご、ごめん」

「どうして謝るの? コータくんなら……私をそういう目で見てくれてもいいんだよ? ううん、私嬉しい」


 真白さんが照れながら笑う。


 うっ、可愛い――。


「……私、シャワー浴びてくるね」


 真白さんが立ち上がった。


 まだちょっと照れているのか、俺から視線を外したまま浴室に消えていく。


 待つ間、俺はソワソワしっぱなしだ。


 もう何度もこういうシチュエーションを経験しているけど、エッチの前の期待感とか高揚感とか、それにエロい気持ちが強烈な興奮となって高ぶっていく感じとか――全然新鮮さが薄れない。


 むしろ初体験の時より高まっているくらいだった。


「お待たせ、コータくん」


 しばらくして真白さんが浴室から出てきた。

 大きめのタオルを体に巻いた姿だ。

 俺としては全裸で出てきてほしい気持ちもあるけど、前にそれを言ったら、


「全部見られるのは恥ずかしいからっ」


 と断られてしまった。


 どのみちエッチのときには全部見ちゃうのにな……。


「じゃあ、次は俺が……」

「うん、私は向こうで待ってるね」


 言って、真白さんは俺の頬にキスをした。


「いっぱい気持ちいいことしようね?」

「……!」


 ぞくり、と全身が興奮で粟立った。




 ……翌日、俺も真白さんもちょっぴり寝不足だった。


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