9 平日も真白さんとイチャラブ

 7月の上旬になった。


 ちょうど俺と真白さんが再会してから一か月ほどになる。


 あいかわらず彼女とは週末以外はほとんど会えない。

 ただ、仕事の状況次第では平日に会えることも在った。


 短時間だけだけど、それでも会えるのは嬉しい。

 その日は木曜日で、七時くらいに真白さんからLIMEのメッセージが来た。


 普段は九時か十時くらいに来ることが多いから、今日はかなり早いほうだ。

 たぶん仕事が早めに終わったんだろう。


 ……と言っても、残業はしてるようだけど。


『コータくんに会いたいな』


 LIMEのメッセージを見て、俺はすぐに返信した。


『真白さんさえよければ、今から、ちょっとだけでも会おう』


『ねえ、ちょっとだけでも会えないかな』


 俺は思い切って真白さんを誘ってみた。


『もちろん仕事で疲れてるなら無理にとは言わないけど……』

『ううん。会いたい!』


 すぐに返信が来た。


『じゃあ、俺が真白さんのマンションに行くよ。その方が楽?』

『私の家片付けてないし……その、急な話だと準備とか色々……』

『ごめん。じゃあ、俺のアパートにする?」

『うん。コータくんの家に行くね♡♡♡』


 ――それから十五分くらいして真白さんが訪れた。




「こんばんは、コータくん」

「あ、なんかお仕事モードだ」


 スーツ姿でメイクもきっちり決めている真白さんは、やっぱり『社会人のお姉さん』って感じがしてドキドキしてしまった。


 普段会うときも『社会人のお姉さん』ではあるんだけど、ちょっと雰囲気が違うんだよな。


 たまに平日にこうやって会えると、ドギマギしてしまう。


「週末と違う? 私」

「うん、違う違う」


 俺は言いながら、彼女を抱き寄せる。


「あ……」

「き、綺麗……だよ……」


 照れくさくて、途切れ途切れの言葉になってしまった。


「……ありがと。嬉しい」


 言って、真白さんが顔を近づけてくる。


 俺たちは自然と唇を合わせる格好になった。

 柔らかい唇を強く吸う。


「ん……」


 真白さんが吸い返してきた。


 舌を絡めて深いキスに移行しながら、俺は真白さんをぎゅうっと抱きしめる。

 こうして触れ合えるだけで、抱き合えるだけで、幸せを実感できる。


 一か月間、この人の彼氏として過ごせて嬉しい。


 そして、これからも、ずっと――こうしていたい。


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