6 蜜の様子が少しおかしい(主にデレ的に)

 放課後、生徒会室に行くと――。


「こ、こんにちは、影咲希くん……っ」


 入口のところで赤羽根先輩と出会った。

 俺を見て満面の笑みを浮かべた彼女は、


「こんにちは、赤羽根先輩」


 俺も挨拶を返す。


「えへへ、今日も影咲希くんに会えました」


 赤羽根先輩は満面の笑みを浮かべていた。


「嬉しい」

「? 俺も嬉しいです」

「本当っ? よかったぁ……」

「な、なんか、大げさじゃないですか」

「大げさじゃないです」


 ぶんぶんと首を振る赤羽根先輩。


「そうかなぁ」

「ないです」

「ないんですか」

「ないないです」

「それは『大げさじゃないわけじゃない』ってことになりません?」

「じゃあ、ないないないです」


 だんだん分からなくなってきた。


「とにかく――嬉しいです」


 にこにこ。

 本当に嬉しそうな笑顔だ。


 俺に会っただけでそこまで喜べるって……。


「よっぽど機嫌がいい日なのかな」

「それは鈍感すぎでしょう!?」


 赤羽根先輩が悲鳴のような声でツッコミを入れてきた。


 ん、今のってツッコまれる要素あったか?


「蜜さん、こんにちはっ。今日もお美しいですっ」


 と、北条がやって来た。


「えへへ、ありがとうございます、霧子ちゃん」


 赤羽根先輩が微笑む。


「霧子ちゃんも美人ですよ」

「えっ、やった! 蜜さんに褒められた……っ!」


 北条がガッツポーズしている。


「……あ、いたんだ、影咲希先輩」


 俺を見たとたん、その視線が絶対零度になる。


「温度差すごいな……」

「いつまでも入口に立ってないで部屋に入りませんか? あ、影咲希先輩はそこに立ったままでもいいぜ。夜までな」

「罰ゲームかよ」

「ちなみに三日後の夜までだからな」

「いつまで入口に立たせる気だよ」

「そうだな……世界の終わりまで、かな」

「急に中二っぽくなったな」

「ち、中二じゃねーよ!」


 俺のツッコミに北条がムッとした顔になった。


「でも霧子ちゃん、ちょっと中二っぽさがありますよね」

「えへへ、そうですかぁ」


 同じようなツッコミなのに、赤羽根先輩が相手だとデレデレだな、北条……。

 と、


「あれ、桐生と天ヶ瀬先輩が先に来てるな」


 ドアを開けると二人の姿が見えた。


 なんだか二人で話し込んでるぞ――。


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