2 週明け、春歌と

「おう、おはよ……うわっ」


 勢い余って春歌が俺にぶつかってしまったのだ。


「いたた……ご、ごめん、コータくん……」

「大丈夫だったか、春歌」

「ボクは大丈夫だよっ。コータくんこそ」

「俺も平気だ」

「えへへ、つい元気が有り余っちゃって」


 照れたように言う春歌。


「いつも元気だよな、春歌って」

「ふっふーん、まあね。今日は特に♪」


 春歌はめちゃくちゃ嬉しそうだ。


「何かいいことでもあったのか?」

「聞いてよ。ボク、日曜日の大会で優勝したの!」

「おお、さすが」


 俺は思わず拍手してしまった。


 俺たちの話が聞こえたのか、通りがかった何人かの生徒も一緒に拍手してくれる。


「どうも、どうも」


 春歌は全員に手を振っていた。

 なんか微笑ましいな。


「天才高校生美少女剣士の伝説がまた一つ……ふふふ」

「自分で天才高校生美少女剣士とかいうなよ」


 もうちょっと謙虚にだな。


「じゃあ、天才高校生超絶美少女剣士」

「ランクアップした!?」

「あ、それはそうと――」


 春歌が俺を見て微笑む。


「コータくんも、いい顔してるよ。何かいいことあった?」

「いいこと……」


 もちろん、ある。

 真白さんと恋人同士になったことだ。


「まあ、な」

「あ、教えてくれないの~?」

「はは、そのうち教えるよ」


 俺は苦笑した。


「もしかして――女ができたねっ」


 春歌がぴんと人差し指を立てて言った。


「うっ……」


 いきなり言い当てられて、思わず言葉に詰まる俺。


「……………………え、本当に?」


 春歌の表情がわずかに固まった。


「ん?」

「あ、い、いや、えっと、彼女ができたんだ? それはめでたい。あははは」


 すぐに彼女は笑顔になった。

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