15 告白の答え
真白さんの気持ちは、きっと揺れているんだろう。
俺だって、気持ちは揺れ続けている。
真白さんへの気持ちが、じゃない。
真白さんにどう気持ちを伝えるか、どういう関係を望むのか――。
いたずらに俺の気持ちを押し付けても、かえって真白さんを苦しめるかもしれない。
実際、俺から『好きだ』って告白した結果が『現状維持』という答えだもんな……。
前向きに考えるなら、しばらく考える時間がほしいってことだろう。
後ろ向きに考えるなら、これ以上深い関係にはなりたくない、ってことだろう。
踏みこめば踏みこむだけ、関係が破綻したときの傷は大きくなる。
まして、真白さんはアラサーだ。
交際するなら、その先に結婚を考えている可能性は高い。
一方の俺は、就職もまだの未成年。
もう少し早く生まれていれば。
俺がもう少し年齢が高ければ。
……なんて、ありえない仮定を考えても仕方がない。
だから俺は――思い切って自分の気持ちを伝えることにしたんだ。
諦めるのではなく、逃げるのでもなく。
ただまっすぐに想いをぶつける道を選んだ。
そして、それに対する彼女の答えは――。
「よろしく……お願いします。ちょっとずつでも、恋人同士を目指していきたい……です」
真白さんが深々と頭を下げた。
「その、えっと……
照れたように付け加える。
「あ……」
俺は、言葉が出ない。
呆然と彼女を見つめることしかできない。
完全に放心状態だった。
望んでいた答えだけれど。
その答えを聞けるとは思っていなかった。
正直、断られるだろうと――玉砕を覚悟していた。
「こ、こちら、こそ……」
俺は絞り出すようにして、その言葉を口にする。
「よろしく……お願いします……っ!」
一歩ずつだけど。
俺と真白さんは恋人同士を目指して、進んでいくことになった。
このあと、めちゃくちゃ〇〇した、という展開にもつれこみたいところだけど、俺は学校が、真白さんは会社があるため、そこは我慢した。
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