16 生徒会メンバーで遊園地に

 日曜日になり、俺は生徒会メンバーとともに遊園地に来ていた。


「どうかしました、影咲希くん?」


 赤羽根先輩が俺を見てキョトンとした顔をした。


「なんだかニヤニヤしてませんか?」

「いや、まあ……」


 真白さんとの仲が進展した喜びは、あれから三日ほど経った今日も持続していた。


 魅花と付き合い始めたころも気持ちが浮き立つような高揚感がすごかったけど、今はそれ以上だ。


 ただ、平日はやっぱり仕事が忙しいみたいで、真白さんとは電話で話したくらいだ。

 おまけに急な出張まで入ってしまい、週末は会えなかった。


 残念ではあるけど、焦る必要はない。


 なにせ俺と真白さんは『恋人同士』なんだからな。


 そこを目指していくんだからな。


 そう、一歩ずつ着実に、真白さんとの距離を縮めていくんだ――。

 考えただけで、胸の中が甘酸っぱくときめいてくる。


「また、ニヤニヤして」

「あ、すみません……えへへ」


 ……そんなに顔に出てたのか。


「そんなに今日の遊園地が楽しみだったんですか?」

「えっ」

「実は私も。影咲希くんと休日もこうして会えますし」


 赤羽根先輩がにっこりと笑う。


「あ、いえっ、今のは変な意味ではなく、そのっ」


 と、急に顔を赤くした。


 ……どうしたんだろう?


「あ、ここって待ち合わせ場所からズレてますね」


 と、俺は気づいた。

 東側のゲートで待ち合わせする約束だったのだが、よく見たら、ここは北側だ。


「移動しましょう、赤羽根先輩」

「……蜜ちゃん、でもいいですよ?」


 赤羽根先輩が微笑んでいる。


「小学生のころは、そう呼んでいたでしょう」

「今は『蜜ちゃん』って感じじゃないですし」


 俺は思わず苦笑した。


「……呼んでほしかったのに」

「えっ」


 そんな会話を交わしつつ、俺たちは東側ゲートまでやって来る。


「怪しい。二人で一緒に来るなんて」


 いきなり北条が走り寄ってきた。


「あたしの蜜さんに変なちょっかいかけてるんじゃないだろうな?」

「別にそんな」


 妙に怖い北条に対し、俺は両手を振った。


「ん、『あたしの』って?」

「っ……! い、いや、変な意味じゃないぞ! 憧れの相手だから、そういう言い方しただけだからなっ」


 なぜか北条の顔は真っ赤だった。

 ……まあ、深くは追及しないけど。

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