12 チャラ男にデレデレの魅花5(魅花視点)

「はあ、はあ、はあ……」


 魅花はベッドの上に横たわり、荒い息を吐いていた。


 つい先ほどまで阿鳥と激しく交わっていたのだ。


 彼の強い希望で制服を付けたままの行為だった。


 上着やスカートがまくられて胸も股間も丸出しの状態だ。

 ある意味で全裸以上にあられもない姿だったが、体を隠す余力すらなかった。


 激しい交わりで息も絶え絶えである。

 それだけ阿鳥の興奮が大きかったせいだ。


「へへへ、やっぱり制服はいいな。また次も着てきてくれよ」


 いち早くシャワーを浴びてきた阿鳥はご機嫌だった。


「ほら、そろそろお前もシャワー浴びろよ」

「あ、うん……」


 力の入らない体で、よろよろと上体を起こす魅花。

 と、股間の奥にかすかな違和感を覚えた。


「ち、ちょっと、もしかして中で出さなかった……!?」


 最後の方は夢中だったのでよく覚えていないのだが、阿鳥は避妊具をつけないまま、魅花の体内に――。


「えっ、だ、大丈夫だって! 平気平気」


 阿鳥がギクリとした顔になった。


「心配だったら、シャワーで洗ってこいよ」

「洗ったら大丈夫なの?」

「たぶん、そうじゃね? よく知らないけど」


 本当だろうか?


 魅花は首をかしげつつも浴室に向かった。

 まあ、阿鳥がそういうならきっと大丈夫だろう。


「分かった。あたし、シャワー浴びてくるね。ありがと、阿鳥さん。その……すごく、よかった」

「ああ、俺も気持ちよかったぜ。ほら、行った行った」


 阿鳥はベッドの端に腰かけ、スマホをいじり始めていた。


「もう。すぐスマホを見るんだから……」


 もう少しラブラブな会話を望んでいた魅花は不満に思いつつも、浴室に向かう。


「本当に大丈夫なのかな……?」


 指先でそっと股間を撫でる。


 その奥に阿鳥の精液が溜まっているような錯覚を感じた。

 もしも、万が一妊娠していた場合は――。


「結婚……? ううん、さすがに早いよね、あはは」


 魅花は小さく笑い、浴室に入った。


 そして、シャワーで念入りにその部分を洗い流した。




「ねえねえ、今度の日曜にどこか行こうよ~」

「日曜か……」

「遊園地行きたい」

「んー……まあ、暇だしいいか」


 阿鳥が言った。


「その代わり、遊園地が終わったら、たっぷりヤらせろよ。いいな?」

「えっ……」


 阿鳥の目は欲望で濁っていた。

 それだけ自分のことを求めてくれているのだろう。


 心も、体も。


 そう思うと、魅花は嬉しくなった。


「ほら、そろそろ帰れよ。俺、この後に予定があるからさ」

「予定?」

「えっと……バイトだよ」

「今日はバイト休みだって言ってなかった?」


 魅花がキョトンとした。


「まさか、他の女だったりして」


 冗談めかして言ってみる。


「……そんなわけないだろ」


 阿鳥の表情が一瞬こわばった気がした。




***

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