11 チャラ男にデレデレの魅花4(魅花視点)


 その日、授業を終えると、魅花は彼氏である阿鳥のアパートに直行した。

 彼に会うのは久しぶりだし、このアパートに来るのは初めてである。


「おじゃましまーす。あ、けっこう片付いてる~」


 初めて訪れた彼氏の部屋は意外に整理整頓されていた。

 たぶん、魅花の自室よりもキチンとしているだろう。


「ふーん……?」


 と、阿鳥がこちらをジロジロと見ていることに気づいた。


「え、何?」

「いや、制服姿ってやっぱいいよな」

「そう? えへへ、可愛いでしょ」

「今日は制服着たまましようぜ」


 言うなり、阿鳥が魅花を抱きしめた。


「んんっ……」


 いきなり唇を奪われる。

 同時に阿鳥の右腕が襟のところから入ってきて、彼女の胸を揉みしだいた。


「ん、ふぅ……っ」


 互いの熱い息が混じり合った。


「えっ、もう……するの?」


 さすがに魅花は戸惑ってしまう。


 まだ部屋に入ったばかりだ。

 最終的に体を求められることは予想しているし、自分でもその期待はしていたが、もう少し会話を楽しんだり、二人でのんびりと過ごしたかった。


 これではラブホテルに行くのと大差がない。


「いいだろ。お前が欲しいんだよ、魅花」

「阿鳥さん、でも――せっかく初めて阿鳥さんの部屋に来たんだし、もう少しゆっくりしない?」

「……なんだよ、エッチしたい気分じゃないのか?」


 阿鳥が顔をしかめる。

 不機嫌にさせてしまったのだろうか?


 魅花は焦った。


「ち、違うよっ。エッチしたくないわけじゃなくて……その、もう少しお話したり、ゲームとかしたり……」

「ヤッた後で相手してやるって。な?」


 阿鳥がふたたび魅花を抱き寄せる。


 今度はスカートをめくり、太ももや股間を指先が這い回った。


「お前が魅力的すぎるのが悪いんだよ、魅花。欲しくてたまらねぇ」

「えっ」

「好きだから、お前の全部が欲しいんだよ。分かるだろ、な?」


 阿鳥が耳元でささやく。


「好きだから……全部……!」


 気持ちが高揚して背筋がゾクゾクとなった。


 彼氏が自分の体を求めてくれている。

 自分の体に興奮してくれている。


 それはすべて――魅花への愛情ゆえだ。

 彼女は強い喜びと陶酔感を同時に覚えた。


「そ、そうだね、ごめん……じゃあ、あたしシャワー浴びてくる」

「いいって、面倒くせぇ。このままヤろうぜ」


 阿鳥に言い含められ、そのままベッドに押し倒された。

 そそくさとズボンと下着を脱ぎ去った彼が、魅花の首筋に舌を這わせてくる。


「あ……んっ」


 思わず声が出てしまった。


「なあ、今日はナマでいいだろ?」


 阿鳥が荒い息遣いで言った。


「えっ、駄目だよ。避妊はちゃんとしないと……」


 いくら愛しい阿鳥が相手でも、さすがにそれは許容できなかった。


「大丈夫だって。一回や二回でデキたりしないから」

「そ、そんな……」

「ナマの方が絶対気持ちいいからさ。頼むよ、な?」


 阿鳥はなかなか引いてくれない。


「愛してるからさ、いいだろ?」

「……う、うん」


 結局、押し切られてしまった。





***

【12:46追記】

話タイトルのナンバリング間違えてました(汗 正しくは4です。指摘してくださった方、ありがとうございます……!

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