7 そうだ遊園地、行こう
「あら、二人ともどうしたんですか?」
「うわ、びっくりした!?」
いつの間にか赤羽根先輩が背後にいた。
いつから、ここにいたんだ……?
「気配を感じなかった……神出鬼没……憧れちゃう素敵」
北条がぽつりとつぶやく。
それ、憧れるポイントなのか……?
「二人して隠れて……怪しいです」
じとっとした目で見られた。
「まさか、あなたたち――」
「い」
「違いますよ! あたしが男なんて好きになるわけないじゃないですかっ」
『いや、俺たちはそんな関係じゃないですから』の『い』の字を言ったところで、北条がものすごい早口でまくしたてた。
「あたし、蜜さんにだけは誤解されたくないですっ」
「じゃあ、何をしていたんですか?」
赤羽根先輩の目がすうっと細まる。
追及が妙に怖いな……。
「あれですよ、あれ!」
北条が大声で室内を指さした。
「……あ、みなさん帰ってきたんですね」
と、桐生が振り返る。
「もしかして、覗いてなかった?」
ぽつりとつぶやく天ヶ瀬先輩。
「あ、気づかれちゃった……」
「そりゃ、あれだけ大声を出せばな」
しまったという顔の北条に俺は苦笑した。
「……覗いてたって、どういうことですか?」
赤羽根先輩が俺に耳打ちした。
「いや、その、桐生と天ヶ瀬先輩がいい感じだったので、邪魔しないでおこうかと……」
小声で答える俺。
「ええっ、あの二人が!?」
「ええっ、気づいてなかったんですか!?」
びっくりする赤羽根先輩に俺もびっくりしてしまった。
意外と鈍感なんだな、この人。
まあ、俺も偉そうに言えるほどじゃないけど……。
「ルルさんは彼氏がいたと思うのですが……」
「あ、それなら結構前に別れたみたいですよ、蜜さん。なんかクズ彼氏だったらしくて……」
「な、なんですってー!?」
どうやら北条は情報通で赤羽根先輩はそういうのに疎いタイプらしい。
「なるほど、つまりルルさんは現在フリー……ではお二人が上手くいくように協力したいところですね、生徒会の仲間として……!」
おお、赤羽根先輩が燃え始めたぞ。
「そうだ、今度の日曜日――生徒会でどこかに遊びに行くのはどうでしょう?」
と、提案する赤羽根先輩。
「みんなで行きませんか? 遊園地とかどうでしょう?」
「なるほど、いいと思います。さすが蜜さんです! 蜜さんが提案することはなんでもすごい!」
北条が後押しした。
……こいつの場合は、赤羽根先輩を無条件に持ち上げる感じかもしれないが。
――こんな流れから、俺たち生徒会メンバーは今週の日曜に遊園地に行くことになった。
「……できるだけ、お前と天ヶ瀬先輩が二人になれるようにするからな」
俺はそっと桐生に耳打ちした。
「っ……!? え、どどどどどどどどういう意味ですか僕は別に天ヶ瀬先輩とはそういうのは別に別に別に」
「顔真っ赤だぞ」
「うううう……」
「とりあえずバレバレだ」
「バレバレですか……」
「ですね」
「だな」
赤羽根先輩と北条もうなずく。
天ヶ瀬先輩は我関せずといった感じで、ボーっとした表情で窓の外を見つめていた。
――真白さんがやって来たのは、その日の夜のことだった。
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