2 ペア決めで片思い判明


「ちょうど仕事が三種類あるから、二、二、一とメンバーを分けて、一気に片付けましょうか」


 と、赤羽根先輩が提案した。


「では、私は影咲希くんとペアに……あ、いえ、それじゃあからさまよね……」

「えっ」

「でも、やっぱり影咲希くんとペアになりたい……親密になりたい……うう、悩ましいです」

「えっ? えっ?」

「あ、独り言ですので。お気になさらず……っ」


 さすがに最後のは聞こえてたぞ。


 今の、どういう意味だ。

 親密に――って、まさか恋愛的な意味じゃないだろうな。


 さすがに、違うか。


「よし、くじ引きで決めましょう。Aが2つ、Bがつ2つ、Cが1つ……A同士、B同士でペアを組んで、Cを引いた人は一人で仕事です」


 と、あらためて赤羽根先輩が提案した。


「くじ引きか……あんたには負けねーぜ、新入りさん」


 北条が俺に対して腕まくりをする。

 目が爛々と燃えていた。


「いや、くじ引きに勝ち負けなんてないよな?」

「安心しろ。あんたがCを引いても、あたしが代わってやるよ。新入りに一人仕事はさせられないからな」


 お、意外と優しいところがあるんだな。


「けど、Cを引いたやつが負けだからな。そこは忘れるなよ」

「勝ち負けにこだわるなぁ……」

「霧子ちゃんは勝負大好きっ娘ですから」


 赤羽根先輩がにっこり笑った。


「えへへ、それほどでも~」

「別に褒めたわけじゃないのですが……」

「えっ、そんな……」


 目に見えて落ち込む北条。


「あ、いえ、けなしたわけでもありませんよ、もちろんっ」

「なんだ、蜜さんにけなされたら、さすがにヘコむけど誤解かぁ」

「もちろんです。霧子ちゃんをけなすわけないでしょう。いつもよくやってくれますもの。私よりずっとしっかりしていますよ」

「えへへ、そんなぁ~」


 北条の顔が目に見えてニヤけた。

 めちゃくちゃ嬉しそうだ。




「では、あみだくじを作りましたので」


 と、赤羽根先輩。


「みんなで引きましょう~」


 なんかゲームみたいでちょっと楽しくなってきたぞ。


「天ヶ瀬先輩とペアになりますように……天ヶ瀬先輩とペアになりますように……」


 桐生が念じている。

 独り言のつもりらしいけど、丸聞こえだった。


「聞こえてるんだけど……はあ、めんどくさ」


 天ヶ瀬先輩がため息をつく。


 桐生……お前の恋は、なかなか険しそうだぞ……。


 というわけで、くじ引きタイムだ。

 俺たちは順番にくじを引き――、


「えーっ、あたし、こいつと!?」


 北条が叫ぶ。


 うん、なんかこうなりそうな気がしたんだ。


 俺のペア相手は――北条霧子になったのだった。

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