6 朝チュン後のいちゃいちゃ


「えへへ、いい年して恥ずかしいんだけど、その……初めてだったのよ」


 真白さんが照れたような顔をしていた。


「昨夜は言い出せなくて……ごめんね」

「ううん、真白さんの初めての相手になれて嬉しい」


 俺は照れながら微笑みを返した。


「俺も、その……初めてだったんだ」

「えっ、魅花ちゃんとは?」

「してないよ。キスまでしか……」

「ふーん……? 私はキスも初めてだったんだけどな?」

「そ、そうなの? けっこう強引にしてきたから、ある程度の経験があるのかと……」

「……もう、逆よ。テンパってて、あんなふうに迫っちゃったの。勢いとかいろいろ……とにかく慣れてなかったのよ」


 言いながら、真白さんはまた顔を赤くする。


「年上なのに全然リードできなかったし、コータくんより経験浅いし……うう、恥ずかしい」

「い、いや、全部初めてなら、なおさら嬉しいし、誇らしいよ」


 俺は真白さんを抱き寄せた。


「……ありがと、コータくん」

「こちらこそ、真白さん」


 俺たちは固く抱き合っていた。


 真白さんのぬくもりや柔らかさを感じる。

 こうして肌を振れ合わせると、女の体ってやっぱり男とは違うんだな、っていう当たり前のことを実感する。


「……なんか当たってる」

「……ごめん、ちょっと興奮がぶり返して」


 健康的な男子の生理的な反応というやつだ。


「……もう一回、する?」


 真白さんが俺をまじまじと見ていた。


「その、会社とかは……」

「今日は土曜でしょ」

「休みなんだ?」

「ホワイト寄りの会社だからね」


 微笑む真白さん。


「じ、じゃあ……」

 俺は気恥しくなって視線を逸らしつつ言った。

「……真白さんさえよければ、その、もう一回」


 言うと、真白さんははにかみながら笑みを浮かべた。


「したい……」

「じゃあ……しよ?」


 真白さんが言いながら、俺の唇を奪う。


 さっきまで処女だったくせに、やたら積極的な気がする。

 経験こそないものの、本質的には肉食系なんじゃないだろうか、真白さん。


「……私だって恥ずかしいんだからねっ」


 俺の内心に気づいたのか、気づいてないのか、真白さんがちょっと拗ねたように言った。


 うっ、可愛い――。

 俺は一瞬で理性が吹き飛び、真白さんに覆いかぶさっていった。




 そして、俺と真白さんは。


 この後、めちゃくちゃ――まあ、そのアレした。






***

次回、1章ラストです。


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