4 アラサー清楚お姉さんと一線を越える


「……そっか、初めての彼女とそんな風に……」


 俺の話を黙って聞き、真白さんは最後に深々とうなずいた。


「つらかったんだね、コータくん……」


 ぎゅっと抱きしめられる。

 ああ、癒される――。


「私、久しぶりにコータくんに会って……嬉しくて、舞い上がって……ごめんね、君がそんなに悲しい目に遭ってたのに無神経な態度で……」

「そんなことないよ。俺、真白さんとこうして話せて、気持ちが軽くなった。慰められたし、癒された」


 申し訳なさそうな顔をする真白さんに、俺は慌てて言った。


「まあ、その……キス、されたのはびっくりしたけど……」

「そ、それは、本当にごめんなさい……気持ちが爆発しちゃった、かも……えへへ」


 真白さんは照れ笑いをしながら、俺にのしかかってきた。


「ん、真白さん……?」

「ねえ、私といると癒されるのよね……?」

「なんか息が荒くない……?」


 しかも目が爛々としている。


「スイッチ入っちゃったかも……もっと癒してあげたいの」

「十分癒されてるから……」


 俺の方は若干気圧されていた。

 真白さんって意外と押しが強いんだよな。


「嘘、さっき泣いてたじゃない」

「真白さんに話してすっきりしたから大丈夫だよ」

「まだ十分じゃないと思う――」


 真白さんが完全に俺に覆いかぶさった。


「ん……」


 ちょうど彼女の腰が――というか股間の辺りが俺の下腹部に当たっている。

 微妙な刺激で……その、気持ちいいっていうか、なんというか――。


「忘れ――させてあげる……っ」

「ま、真白さ……んんっ」


 また唇を奪われた。


 なんだか、真白さんも必死みたいな様子だ。

 余裕がないというか、どうしたんだろう……?


 いや、俺も余裕なんてほぼないけど。


「わわっ、真白さん、なんで脱いでるんだ!?」


 俺が戸惑っているうちに、いつの間にか真白さんはブラウスを脱ぎ、上半身はブラジャーだけになっていた。

 ぷるん、と豊かな胸が震えている。


 うおおおおお、やっぱり巨乳だ。


 興奮と欲情が一気に高まる。


 いや、待て。

 この展開はまさか――。


「言ったでしょ。忘れさせてあげるって……っ!」


 真白さんの吐息に混じる、アルコールの匂い。

 やっぱり酔ってるからなのか――。


 あるいは他の理由で何かのスイッチが入ったのか。

 グイグイ来る感じだぞ……。


「だから、コータくん……おねーさんが、慰めてあげる……教えて、あげる……!」


 耳元でささやきながら、真白さんが俺にのしかかってくる――。




 その日、俺は初恋相手の真白さんと。


 一線を超え、男女の関係になった――。



***

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