3 アラサー清楚お姉さんと二人きりの夜……

 とりあえずソファのところに真白さんの体を横たえた。


 スーツがしわになるといけないから、とりあえず上着を脱がす。

 ブラウスの胸元が豊かに膨らんでいてドキッとしてしまう。


 ……けっこう巨乳なんだな、真白さんって。


 いや、いかんいかん。

 酩酊状態に近い真白さんの胸をジロジロ見るなんて。


「ごめんねぇ……ちょっと会社の飲み会でぇ……」


 そんな彼女は俺の視線にもまったく気づいてないらしく、天井をボーッと見つめていた。


「真白さん、とにかく水飲んで、水」


 俺は台所でコップに水を入れて持ってくる。


「うふふふ、口移しで飲ませてぇ……」

「な、ななななななな」


 とんでもないことを言い出した真白さんに、俺は硬直してしまった。


「あっははははは、冗談よ冗談」

「真白さん、キャラ変わってない……?」

「うん? そうかな~えへへへへっ」


 なんかテンション高いな。


 やっぱり酔ってるせいだろうか。

 ただ、そんな真白さんとの会話の一つ一つが楽しかった。


 子どものころの思いがよみがえるようだ。


「隙あり~」

「えっ、真白さ……むぐっ」


 感慨に耽っている間に、いきなり真白さんが飛び掛かってきて、そのまま唇を塞がれてしまった。


「んんん……」


 すぐ目の前に真白さんの美しい顔がある。


 俺の唇に柔らかくて、甘くて、蕩けるような唇が押し当てられている。


「キス、しちゃったね……」


 ふうっと息を漏らす真白さんは、やけに色っぽくて。

 ちらりと見えた胸の谷間や白い太ももを目にして、俺はドギマギしっぱなしだった。


 どくん、どくん、と心臓の音が聞こえそうだ。


「コータくん……今でも私のこと、好き……?」


 言いながら、真白さんがまた俺にキスをする。


 どくん……っ!


 ふいに俺の脳裏に魅花とチャラ男のキスシーンがよみがえった。


「っ……!」


 反射的に真白さんから離れてしまう。


「コータくん……?」


 真白さんがハッとしたようだった。


「ご、ごめん……嫌だったよね……私、自分の気持ちに任せて、なんてこと……」

「い、いや、違うんだ……嫌じゃない……」


 俺は慌てて言った。


「ただ、そのちょっと今日は色々あって……」


 言いながら、突然胸が詰まった。


 目頭が熱くなった。


 あ、あれ、なんだこれ?

 魅花に別れを告げられたときも、寝取られキスを目撃したときも、こんなふうにならなかったのに。


 どうして、いきなりこんな――。


「コータくん、泣いてるの……?」


 真白さんが俺に近づいてきた。


「何かあったの……?」

「俺は――」


 魅花とのことを真白さんに話した。

 もやもやした気持ちを、悲しみを、苦しみを、絶望を、全部吐き出すように。


 真白さんは黙って聞いていてくれた。



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