1 見てしまった現実

「でね、その達哉くんが…」

友達の陽亜と一緒に、行きつけの+777というカフェに入った。

これから、私の好きな人について、作戦会議するんだ。

私、原 深夏。中学1年生。

学校にも慣れてきたころ、小学校が同じの陽亜と仲良くなったんだ。

ドアを開けて、顔馴染みのマスターに軽く会釈する。

そして、壁際のすみっこの、私たちのいつもの特等席に、座ろうと…した。したんだけど。

そこには、他の人が座っていた。


それも、見覚えのある人が。


「あっ、残念!座られちゃってる。どこにする?み…」

深夏ちゃん、って呼ぼうとしたんだろうけど、私の、みっともない、眉を寄せて今にも崩れ落ちそうになってる感じの顔を見て、何も言えなくなったんだと思う。

「あれ…」

私が指さした、特等席に座っている大人2人と、私たちと同じ制服の中学生、2人。

「達哉くんと…美咲だ…」

「っ…⁉」

私の言葉を聞いた陽亜は、いつもの調子で他の席を探そうとした行動に罪悪感を感じたのか、小声でごめん、と言ってくる。

「別に気にしてないよ、ありがとね」

「そう?…とりあえず、他の席行って話そう」

もう、私の親友の陽亜は、可愛いくせにめっちゃ気が利くんだよね。

ありがとう、陽亜。


絶対に特等席からは見えない席に座って、私たちは会議を始めた。

「そっか…でも、大人の人が2人いたんだよね?藤沢くんと美咲ちゃんだけで来たんじゃないんだから、まだいいんじゃない?」

「そうなんだけどねー…」

じゃあ、あそこにいた大人2人はどういうことなんだろう、って何も分からない。

「まぁ、明日美咲ちゃんに直接、聞いてみたら?」

「えっ、直接⁉」

「それしか、知る術なんてないからさ」

「まぁ、確かにそうなんだよね…」

だからって、美咲に聞くのも、ものすごっく勇気がいる。

でも、達哉くんのことについて、ちゃんと真相が知りたい!

「よしっっ!!明日美咲に聞く!」

特等席に聞こえないように、小声で意気込んだ。

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いつものカフェの恋事件 ~友達と、初恋の人、どっちが大切?~ こよい はるか=^_^=猫部 @attihotti

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