第7話 心の友達

 「なんで私がここにいるか、聞かないの?」とアスカは言った。

 悠也は「それを聞こうと思っててん」と言った。「なんでここにいるん?」でも悠也はなんとなくそれは聞いてはいけないことだと思った。

 すると遠くの方から声が聞こえてきた。聞き覚えのある声だ。

 悠也はその声を聞いて、肩をガックリと落とし、落胆した。

 声の主は母親だった。

 「悠也!あんたのあと、ずっとつけてたからな!」母親は仕事に行くふりをして、悠也のことを家の外から見ていたのだ。

 「なんでこんな時に来んねん!」悠也は顔を手で顔を覆って悔しがった。

 母親は悠也の手を掴み、引っ張っていった。

 悠也は後ろを振り返って、アスカの方を見た。

 アスカはいつの間にか、いなくなっていた。悠也はアスカは幽霊でも人間でもないと、直感的に思った。

 しかし悠也はそれが別に不思議なことではないと思った。

 悠也はアスカのことを心の友達だと思うことにした。だってアスカと話しているときは心が温かくなるから。

 悠也にとって、アスカは悠也がひとりで寂しいときに現れる、心の友達だ。

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