第4話 少女の正体

 悠也はその日、家に帰った後、母親に学校から電話があったかと聞いた。

 母親は電話なんかなかったと言った。

 アスカは先生が悠也の母親に電話したと言った。しかしそれはアスカの嘘だったのだ。アスカは悠也に学校に戻ってほしいから、嘘をついたのだ。

 悠也は自分の部屋のベッドで昆虫図鑑を読みながら学校と里山での出来事を考えていた。

 学校では少し派手にやりすぎたかもしれない。スカートめくりは、さすがにあかんかったかも。

 しかし里山での秘密基地作りは楽しかった。明日も里山に行こう。穴を掘りやすいようにスコップを持っていこう。

 それにしても、あのアスカという女の子はいったい何者なんやろうか。とても不思議な女の子やったし、教えてもないのに悠也の名前も知っていた。悠也は小学校ではアスカの姿は見たことがない。だからこの街の子ではない。隣の街の子だろうか。でも隣の街から里山まではかなり遠いから来れないはずや。アスカの正体はなんぼ考えてもわからなかった。

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