第3話 狂気

「では、こちら!1、2、3、4、・・・20!!」



ハンマー男はアタッシュケースから100万の札束を無造作に取り出した。1つ1つ大袈裟に数えながら、20束のところで一際大きな声を出して2千万円をカップルに差し出した。



「ほ、本当にいいのかよ?」



カップル男はハンマー男の狂気さにビビりながら聞いた。



「もちろん!」



満面の笑みで答えるハンマー男。



「た!だ!し!」



満面の笑みから、急に先ほどの“して”を連呼していた時のように目を剥きながら言った。



ハンマー男の次の言葉を待つカップル。ごくりと唾を飲み込む音が聞こえるほどの静寂。



「誓約書!あれ遵守“して”下さいね!約束を破るような事があれば!違約金!回収しに行きますからね!」



またしても“して”のところで目を剥くハンマー男。もう明確な恐怖しか感じなかったカップル。



「わ、わ、わかってるよ。」



「あ、どうせバレないとか思わないで下さいね!必ず見つけ出“して”違約金支払ってもらいますからね!」



“して”のところで、今日1目を剥いたハンマー男。


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あとから来る者のために 絶坊主 @zetubouzu

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