第18話 転生祭
ミコト村に、何年かに一度やってくる、祭りの日が近づいてきていた。
それは輪廻の扉がひらく時期の、転生の祭りだった。
住民達はみな、それが素晴らしい事であるかのように、その日について語り合っていた。
しかしミレイの心は沈む一方だった。
彼等がどうして喜べるのか分からなかったからだ。
すると、そんなミレイにルルが説明してくれた。
「もう知っていると思うけど、ここは死者の世界だと言われている」
その言葉は、まるでミレイの内心を全て知っているかのような言葉だった。
「ここの住人達は、もう何百年も何千年も転生していない人達ばかりなんだよ」
ルルはそう続ける。
「おそらく、他にも死者の世界はあって、場所ごとに輪廻の周期が違うんだと思う」
それらの話は驚くべきものばかりだった。
「ここは、特別にその周期が遅い場所なんだ。生前にたくさんの人を殺したり、傷つけたりした人達が来る場所だから」
まさか、と思う。
ルルにも過去の記憶があるのだろうか。
それで、どこかで死んでこの世界にやってきたのだろうか。
ルルは、自分の過去を語った。
自分が、たくさんの人を不幸にした闇組織の一員だったという過去を。
ミレイは信じられない気持ちだった。
目の前の穏やかな雰囲気の優男からは、とてもそんな殺戮者の雰囲気は感じられなかったからだ。
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