第10話 過去の記憶



 おだやなかミコト村。

 その地に流れ着いてから一週間。


 ルルの助けを受けたミレイが徐々に採取に慣れてきた所だった。


 他の人の頼みを聞いて、害獣を駆除したり、薬草を採るついでに果物を採る事もあった。


 そんな中、ミレイは時々自分の過去を思い出す事があった。


 それはふとした瞬間に、脳裏によぎった。


 たくさんの人。


 多くの人と死体。


 流れる血。


 以前のミレイは、大きな戦いの中に身を置いていたようだった。


 たくさんの人を傷つけて、生きていた。


 その手は血で染まっている時ばかりだった。


 記憶を思い出すと、早く戻らなければと思う事がある。


 それに。


 ミレイは、そんな自分がおだやかなこの場所にいていいのか悩むようになった。


「俺はこの場所にいるのはふさわしくないと思うんだ」


 だから、ルルにそう相談したのだが。


「君がここにいたいかどうかが重要だ。ふさわしいとかふさわしくないとかは関係ない」


 そう言われたのだった。


「それにたぶん、もう君は以前の場所には戻れないと思う」

「なぜだ」


 ルルはその問いには応えなかった。


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