第6話 体の記憶



 ミレイは次の日から、調合屋の手伝いをする事になった。


 しかし、専門的な事がなかなか覚えられなかったため、道具の手入れや店の掃除などから始めた。


 どれもやった事がない作業ばかりだと思った。


「これはどうすればいいんだ」

「綺麗な布で丁寧に汚れをふきとってから洗うんだよ。先に洗うと、ねばついた薬品が排水溝に詰まっちゃうからね」


 それらの作業は、体が覚えている事ではないと感じた。


 しかし、世話になっている恩を返すためにミレイは、どの作業も精いっぱい頑張った。


 だが、頑張れば頑張るほど、不得意な事ばかりが目に付く。


 だから、自分の得意な事は一体なんだろうと、日々思いながら続けていた。


 そんな時、旅の冒険者がやってきた。


 荒れくれ者で、高圧的な態度をとる。


 そんな彼らはルルに暴力をふるおうとした。


 それをいさめたのはミレイだった。


「こいつに暴力はふるわせない」

「なんだこいつ片手で俺の拳をうけとめやがっただと」


 そいつは、幸いにもすぐに店を出ていった。


 ミレイは荒事に慣れているようだった。


 男をいさめたその行動は、まるで体が覚えているかのようにすんなりと行えたからだ。


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