第5話 薬師



 町を一通り歩いたミレイは、自分を医者の元へ運びこんだ少年と出会った。


「元気そうだね。よかった。怪我はないみたいだね」

「お前が俺を助けてくれたのか」


 ルルと言う名前のその少年は、女性と見間違えそうな容姿をしていた。


 薬師をやっていて、小さな調合屋を営んでいるという。


 ルルは、もしよかったら、この村に住まないかといった。


 そして、自分の店の手伝いをしてほしいと言った。


 なんなら、住み込みで働いてもいいと言う。


 人手が足りないらしい。


 ミレイには記憶がなかった。


 だから、「そんな人間を店においてもいいのか?」と気になった。


「大丈夫、君は悪い人なんかじゃない。なんとなくわかるんだ」


 ミレイはルルの事を嫌いではなかった。


 だから、しばらくその店にお世話になってもいいと思った。


 だからこれからは、ルルの店の手伝いをすることになるのだろう。


「これからよろしく」


 ルルは人の好さそうな笑みを浮かべて、にっこりと笑った。


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