第4話 私の超絶幸運で相手をボコボコにする話
闘技場に来た。異世界転生小説をよく読む人なら馴染みがあるかもしれないけど、そうではない人はボクシングの会場的な風景を思い浮かべてほしい。
「容赦はしないわよ」
カーマインが挑戦的な態度をとる。いやぁ若者って感じがする。
それにしても私は戦闘経験ゼロだ。実際どうやって戦うかはわからない。女神とやらに祈る?
「戦闘開始!」
審判の合図で戦いの火蓋は切られた。早速カーマインは詠唱を開始している。
当たり前過ぎる意見かもしれないけど、攻撃に当たりたくない。だって私最近まで一般人してたんだよ?
無理でしょ。
「門よ......開け!」
この間わずか2秒。早い。
「燃えろ!!」
「よよ 避けたいっ!!」
直径10cm程度の火球が私に襲いかかった。私は無我夢中で横に逸れて回避する。
「避けられたか」
あぶねーーーーーー!!!
てか怖すぎ。本当にこれと戦うの!?
「次は当てるわよ」
来る! これは無詠唱の予感!!
「いけっ!!」
カーマインはおおよそ直径5cmの火球を産み出して放った。無詠唱で5割の精度保てるってやべぇ。ロック君曰く無詠唱だと平均2割の精度しか保てないって。
「なんか! 奇跡的に回避するやつ!!」
「!?」
よし! 気がついたら回避してた!
本当に私もエディットが使えるみたいだ。今まで実感なかったけど。
「次こそは!!」
次は連続発動か!?
かわし方がよくわかんないけど......前転でもしてかわすしかねぇ!
戦闘方法とかよくわかんないしそれでいく!!
「うりゃっ!」
「うっざ! 避けてばかりいないで......」
「なんか会心の一撃とか出しちゃう系パンチ!」
「しまった!?」
私は前転することにより相手の目の前まで一気に接近して、下から拳を突きつける。もちろん身体能力は低いけど、当たりどころが良ければ大ダメージになる......はず。
「いったっ!?」
「良し!」
「このっ!!」
「うぐっ!!」
いった......殴り返された。これはやばい!
「ハイになるやつ!」
火事場の馬鹿力とやらを確率操作でこれで引き出す!
「喰らえ!!」
「奇跡的な回避を私は魅せる!」
「回避しただと!?」
「いっけぇ! 会心パンチ!」
「当たらないわよ!!」
やばい、避けられた!
「門よ開け!」
「なんか急に地震くるやつ!!」
やはり火を使わせるわけにはいかない。なるべく肉弾戦に持ち込んでから最大効率で殴る。
「何だこの揺れは!?」
無詠唱で震度4程度の揺れは出せた。改めて思うけど私のエディットはやばいな。
「会心パンチ!」
「ぐえ!!」
決まった。相手が地震をよく知らなくて助かった。日本人だったら絶対勝てなかった。
「そこまで!!」
はぁ......きつい......キツかった......。
「お姉さん......」
「ど、どう?」
「何でそんなに強いのに今まで黙ってたんですか!?」
「いや怖くて怖くて」
「お姉さんやべーわ」
いや、まあ確かにこのエディットは強いけど身体能力的な課題が大きい。今回は運が良かったから勝てたけど魔物相手だと通用しないかもしれない。
「でも私身体能力は低いから時間かかっちゃったし」
「......だったらエンチャント武器を買いなさいよ」
起き上がったカーマインが提案してきた。起き上がるのが早いな。
「エンチャント武器?」
「軍部のエディターであるポポイが開発した、魔法が付与された武器のことよ」
この世界で魔法は通常エディターか魔物しか使えないが、魔法が付与された武器ならば誰でも扱える。特に身体能力の低いものにとって有効な攻撃手段らしい。
「バカみたいに高いケドね〜」
「どれくらい?」
「剣なら200万モカが相場かな」
「高すぎてびっくり」
「でもお姉さんなら元取れると思いますよ」
「ロックく〜ん、そろそろお姉さんって呼ばないでエニーって呼んでください〜」
「ごめんなさい......おね......エニーさん......」
可愛い。
「とにかく、アンタの実力はわかったわ。何でも言うことを聞いてあげるわ」
このガキ......そのうち凌●されそう。
「な、なんつう目で見てんのよ」
「いや別に」
私がカーマインをボコしたことによって、カーマインは私に従うようになった。あんまり興味ないけど、情報提供してくれるなら良い。
それからギルドに戻って、改めてカーマインをギルドに登録した。直前に神頼みで値下げ交渉したら、あっさりとそれを受け入れてくれた。これで月払う金額は120万モカから80万モカになった。
ギルド名を決めないといけないんだけど、特に思いつかなかったから【焼肉ギルド】にした。
この後は武器屋に行ってエンチャント武器を探す予定。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます