第3話
日付が、変わります。
シカ帽子に、シカさんたちから連絡が。
いよいよ、本日のメインイベント。
三笠のお山。
その頂上。
いつの間にか皆さんカップルに。
5組のカップル誕生。
もちろん僕たちもどさくさに紛れて、カップルの仲間入り。
僕の恋。
三歩前進。
シカさんたちが、僕たちの前に。
「皆さん。本日は、ようこそおいで下さいました。いよいよこれから鹿園ツアー。どうぞ存分にお楽しみください」
シカ寄せラッパが、鳴り響きます。
ゲレンデの桜の花びらが、いっせいに、舞い上がり、集まりました。
雲まで伸びた、花びらの道、鹿園までの道。
桜のパラソルが、閉じました。
地上の皆さんの夜桜見物。
今年は、これで終了です。
僕たちの町の、とってもお得な夜桜見物。
あなたもいちど、お訪ねください。
満月の夜の、大きな、大きな桜のパラソル。
世界一のお花見です。
シカさん二頭に曳かれた、二人乗りの5台の車。
カップルでお乗りくださいとシカさんたちが、囁きます。
僕たちは、それぞれ乗り込みます。
睦美さん。
笑顔で自ら僕の隣へ。
車は、桜の花びらの道を走っていきます。
僕の恋。
彼女が、笑顔でお迎えします。
桜の道のその先には、大きな扉。
扉の向こうが、鹿園です。
ワクワク、ドキドキ、胸が、高鳴ります。
みんなが、待つ鹿園。 最後尾
最後尾の僕たちも仲間入り。
「帯解さんに、櫟本さん。何だかとても若返っていませんか?」
僕たちの憧れ。
爽やか年配カップルのお二人。
先ほどよりも、元気いっぱい。とても若く見えます。
「鹿野園くんに、萩ヶ岡さんも、まるで学生のようですよ」
気づけば、全員若返って見えます。
何故?
鹿園には、満開の桜並木。
地上は、全てお花畑。
シカさんの紳士とレディーが、おもてなし。
人口の物は、何一つありません。
たっぷりの自然が、心を子供の頃に逆回し。
僕たちは、駆けまわって遊びます。
いくら遊んでも飽きません。
無限の体力で駆け回ります。
こんなに駆け回ったのは、いつ以来?
自然の中で、転げまわり。
小学生のあの頃のように、楽しい。
いつの間にか、他のカップルの姿が、見当たりません。
僕と睦美さんは、手をつなぎ、皆さんの姿を探します。
いました。
でも、誰でしょう?
とってもカッコイイ若者と、とても上品な女性。
学生さん。
たしか、僕たちが、いちばん若かったはずですが。
「もしかしたら、あなたたちは、鹿園ガイドのシカさんですか?」
「いいえ、私たちは、帯解に櫟本。鹿園ツアーのメンバーです」
これは、どうした事でしょう。
そのあと、見つけたメンバーも、全員若返っています。
僕と睦美ちゃん、小学1年生の姿になりました。
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