残された理由

バブみ道日丿宮組

お題:昨日の朝日 制限時間:15分

残された理由

 寝れない夜は最近多い。

「……」

 1人ベッドから静かに抜け出し、皆を起こさないようにこっそりと教会を脱出。敷地内を歩いてみてもちっとも眠気はこない。

 むしろ何かしたいなって気持ちのほうがより一層強くなるばかりで逆効果だったかもしれない。昨日の今日だからこそ、同じものが見たいって気持ちがそうさせるのかもしれない。こんなことをシスターにいったら、『いつになったらあなたは大人になるのかしらね』って困り顔をされてしまうかな。

「ふふ」

 誰かを起こして夜遊びでもしようかなって思ったけれど、そしたら本当にシスターに怒鳴られるのは間違いない。怖いからそれは避けたい。

 まず、シスターに隠れて教会の外に出るのは無理だろうし、敷地内で遊ぶにしても音がでる行為はできない。門の鍵はあかないだろうし、外からの侵入も用意にできない工夫がされてるから出られたとしても戻れる自信は正直いってない!

 となると、結局昨日と同じ太陽がよく見える教会の端で座って黄昏れるしかない。

 遊ぶ時間は朝になれば嫌ってほどやってくる。妹たちが本を読んでと、弟たちが怪獣ごっこをしてとお願いを次々に口にしてはシスターに『困らせてはいけません』と口を酸っぱくするばかり。

『はーい』と元気な声はどのこたちも同じ。

 私以外の姉、兄たちも同じ。

 ここでは誰もが同じ思いで過ごす家族の空間。何が起こってそうなったかは誰も語らないし、わからないこも多い。

「……」

 眠れない理由はそれが原因だって、気づいたのは昨日の朝日を見たからだと思う。

 綺麗でこの世の全てを浄化してくれる神様みたいだなって昨日感じた。でも、どうして神様は私をこんな場所に置いていってしまったのだろう。

 15歳になった時、シスターは私がここに捨てられた理由はわからないけれど、残されたものはあると、ネックレスと大金が入ってたという箱を見せてくれた。

 今もそのネックレスは身につけてる。これがせめてもの神様であった親のささやかな償いだったのか、あるいは何か願いがこめられたものなのかはわからない。

 

 ただわかるのは、朝日と共にネックレスを点に向けると、不思議な紋章が見えてくるということだけだった。

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残された理由 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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