第12話 遺書
何の
「ヴィオラ殿!!」
その日。
『仕事があるので』と、ジグは王城へ向かった。その数刻後だったと思う。
「こ、これ」
いやに取り乱したアレハンドロが、渡して来たのは一枚の手紙。丁寧に作られた、上質なものだった。
「えっ…………」
ジグらしい、装飾された言葉の数々。
その主題は、いかなる
「噓でしょ?」
だって、その手紙は。
「噓だって言ってよ!!」
つまるところ、遺書なのだから。
*
親愛なる騎士、ヴィオラ・バスガル殿へ。
まず、約束を守れず申し訳ありません。
この非礼を
今朝、清王陛下より
あなたのお兄様、ガンジャ・バスガル殿を討ち取らんがため。この命を持って、大魔法の行使します。
あなたのご兄弟を、手にかけなければならないこと。許されない。許される訳がない。どうか恨んでください。
こんなこと、したくない。
ヴィオラ。
あなたともっと話したかった。
まだ、全然話たりない。
もっと笑っていたかった。
やっと最近、笑えるようになったのに。
あなたが綺麗と言ってくれた、この魔術は最低最悪の
あまりにも無力なこの身では誰も、自分自身でさえ救う事はできませんでした。
僕は騎士に、なれませんでした。
でもアイツらは違う。仲間たち、制騎士たちはアイツらは騎士であろうとしてる。お願いだ、ヴィオラ。アイツらを連れて逃げてくれ。
魔法実験の影響で、僕もアイツらも長くは生きられない。制騎士は三十歳までにみんな死ぬ。去勢され、家畜のように生きて来た。せめてアイツらに、人間らしい最後を迎えさせてやってください。
会いたいよ。
せめて、最後は手紙らしく。みっともなく書き散らしてしまって今更かもしれませんが。どうか
最後にこんな形でしか、伝えられなかったことをどうか許してください。
ヴィオラ。愛してる。
*
震える字で、書き殴られていた。
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