満天の星空の下で
トリィが城に来て三ヶ月が経過した。
今夜は満月が三つ並んで寝ている。遠くからオオカミ男達の遠吠えが聞こえてくる。
「どうだ、トリィ。我が城が魔界で一番高いのだ。つまりこの屋上は一番星に近い」
トリィはニコリと笑った。二人で過ごす時間は穏やかで心地いい。元気が湧いてきて、少し緊張しながら口を開く。
「我は、名探偵になりたいのだ。知力で悪と戦い、民を守る。名探偵魔王に」
父に伝えた時に「はあ?」といった顔をされてから、誰にも言えないままの夢。
チラリと視線を向けると、トリィは静かに微笑んでから、空に向かって手を合わせた。それはまるで夢が叶うように願ってくれているようだった。
「明日から夜まで父の仕事について行く事になった。宿題をしておくのだぞ」
トリィはこれにはプイとそっぽを向いた。
羽の先がぶつかって謝らなかっただけで殺害事件に発展する魔界において、今のままでは命がいくつあっても足りない。
「君は言葉が話せないんだ。文字ぐらい書けなくては困るんだ! しっかり宿題をやれ。良いな!」
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