第45話

 女は絶望の淵にいた。

 何度もテーブルの前を行き来し、意を決したように椅子に腰を下ろした。ノートパソコンの電源を入れる。躊躇ちゅうちょするように立ち上がる。そしてまた、ゆっくりと腰を下ろした。

 手が震える。震える右手を左手で覆い、唇に押し当てる。目をきつく閉じ、祈るような姿勢で右手の震えが治るのを待つ。

 自分の選んだ道が本当に正しかったのか、女は確かめずにはいられなかった。背中を押して欲しかった。

 女は深く息を吐くと、滑らかな指使いでキーを叩いていく。そして躊躇ためらうことなく実行キーを押すと、身動きひとつせずに画面を見つめた。

 しばらくすると、女の書き込みにコメントがついた。

 あの人からだ。

 女はその短い文章に目を通し、そして泣いた。

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