異世界の魔王ですが召喚者達に追放されたので、王道とは真逆の方向へ進みます

あずま悠紀

第1話


「さて。そろそろいい時間かな?」

私は自室で独り言を言いながら時計を見る。時刻は深夜0時を過ぎており就寝には良い頃合いの時間だ。今日は寝坊しないようにいつもより1時間以上早い起床だった。

(よしっ!これで明日の仕事に支障はないな)

私はそう心の中で言いながら、机の引き出しの中から1冊のノートを取り出した。

これは、この世界の魔王として転生する前の私の日記帳であり記録でもある。

この世界に来る前は毎日日記を付けていたのだけれど仕事が多忙すぎて3日坊主で終わってしまったのだが今は時間も余裕もあるので再び日記を再開する事にしたのだ。ちなみに日記の内容は仕事に関するものばかりだが。

(しかし、こうして見ると日記と言うものは不思議なものだな)

私がこの世界で生活していた日々を日記を見ながら改めて思い出しているのだが、そこには確かに自分がいたという感覚があるもののどこか他人が書いた物語の中の登場人物のようだと思ってしまう部分があったりする。

(うーん。こういう時はあれだな。何か懐かしい曲を聴けば気分が良くなるかもしれないぞ!うんうん!そうだよ!そうに違いないね!よし、ならスマホに入れてある音楽を聴いて気分転換でもするか!あっ、あとついでにお菓子も食べたいなぁーっと♪)

そんな感じで私はウキウキとした気持ちになりながら部屋の中にあった椅子に座ってお気に入りの音楽プレイヤーの電源を入れた後にイヤホンを装着した。するとそのタイミングを見計らったかのように部屋のドアが開き一人の少女が入ってきた。

「えぇ~。何で音楽なんか聞いてるんですかぁ?折角お酒とか用意したって言うのにー」

「むっ!?」

突然の出来事だったので一瞬固まってしまうが直ぐに状況を察した私はイヤホンを取り彼女に言った。

「ちょっと待ちなさい!勝手に私の部屋に入るなんて一体どういうつもりなんですか!」

そう言いつつ私は立ち上がって彼女を叱りつけるような口調で言うと、彼女は悪びれもなく平然とこう答えてきた。

「どうも何も夜這いですよぉ?」

彼女は悪びる様子もなく満面の笑みを浮かべながらとんでもない事をサラッと言って来た。しかも夜這ってきた割にはまだ服装や髪型などに少しばかり隙が見える事から恐らく本気ではないのだろうと思われるのだがそれでも油断ならないのでとりあえずは警戒しつつ質問をしてみた。

「それはつまり貴女も私との一夜限りの関係を望んでいると言う事でよろしいでしょうか?」

私が彼女の言葉の意図を探るために冗談めかしにそう問いかけると何故か呆れたようにため息をつきつつこちらの方を見て彼女は呟いた。

「あちゃ〜相変わらず堅苦しい人ですねぇ〜もっとリラックスしたら良いのにぃ」

そう言って今度は苦笑いのような表情をする彼女に私は何も答える事が出来なかったが、内心では『こいつ誰だっけ?』と思っていた。まあ元々そこまで親しくない上にこの世界の人間ではないから仕方のない事なのだが。一応向こうの世界にいる間に彼女の名前くらい聞いた事があるはずだがどうしても記憶の中に見当たらなかったのである。

そこで私は再び疑問をぶつける事にした。

「ところで貴女のフルネームは何だったかな?」

そう聞くと、目の前の少女は先程までのニヤついた顔をやめ真剣そうな眼差しをしながら自分の名前を私に伝えたのであった。

「えぇ?覚えていないんですかぁ〜?」

私はその問いに対して無言を貫くしかなかった。そもそも私は基本的に相手の名前は忘れないように意識をしているのだが、やはり相手がこの世界とは違う世界の住民という事もあり上手く思い出せなかったのである。しかし相手の名前を知らないままだと会話がやりづらいのも事実なので私は思い切って相手に尋ねることにした。

「すまない。実は君の名前を全く思い出せないんだ。申し訳ないが良ければ私の記憶が無いうちに教えてくれないだろうか?」

そう私が頼み込むようにして言うと、彼女は大きく深呼吸してから私に向き直った。そして彼女は私の手を握りながら微笑んで私に自己紹介をしてきたのであった。

(えへっ、もう我慢できないわ。やっとこの人が手に入るんだもの)

彼女にとってこの瞬間は長年想い続けてきた理想が現実になる時でもあったのだ。

(だってこの人は絶対に約束を守ってくれるってわかっているもの)

彼女がそんなことを考えているとは知らない私はいきなりの事で驚きながら戸惑っていたのであるがそんな私に向かって彼女は笑顔を見せつつ自己紹介をしたのであった。

「はじめましてぇ、私、天堂凛々香といいますぅ♪これから末永く宜しくお願いしますねぇ」

(この世界に来て初めて会う同郷人のあなたとこうしてまた出会うことができて嬉しいです。本当に良かった。私達が結ばれれば世界はもう安泰だもんね)

しかし彼女のそんな思惑を知ってしまった私は素の自分を出すのに躊躇してしまったのであった。

(うぐぐっ!まさかこの世界の人間じゃないからってこの私が同姓愛の変態野郎みたいな奴を装わなければならないなんて屈辱過ぎる!!)

正直言って私は男として生きていた頃は女性に興味がないわけではないものの積極的に異性を求めようとしないタイプでありいわゆる草食系男子と呼ばれていた存在であったのである。その為このような立場にされると今までの経験が全く生かせなくなるのである。

(でもこの子の見た目と態度的に明らかに肉食系のオーラを感じ取れたしここは大人らしく受け身に徹するべきか)

ここで私の中の悪魔が現れて『いや、今すぐ断るべきじゃね?』と言い出したのだが、それでは折角のチャンスを逃してしまいそうだと感じた私は悪魔の提案を却下する事にした。

しかしこの時の私は彼女の正体に気付いていなかった為迂闊にもこんなことを口に出してしまっていたのである。

「あっ!どうも、僕は黒井祐介といいます。宜しくお願い致します。あと僕の事は気軽にユウとお呼びください。それともしよかったら貴方のお名前も教えていただけないでしょうか?」

こうして私は自らの墓穴を掘ったのである。

(よしっ!これでこの子が名前を名乗ったら適当に話を合わせてこの場を凌ごう!うん!そうすれば何とかなる!)

そうして私は彼女の答えを待っていると、予想外の返答が返ってきたのであった。

「うふっ♪うふふっ!そんなに丁寧に答えなくても良いんですよぉ?それよりも、私達もう夫婦なんですから呼び方とかも砕けた感じにしてくださると助かりますぅ」

その言葉を聞いた時、私の頭の中では色々な感情が入り乱れていたが最終的にはある疑問に行き着くのだった。

(ん?待てよ?今コイツ何て言った?)

そこで私は改めて彼女の顔を凝視した。するとそこにはとても嬉しそうな表情をしていた。そんな様子を間近で見ながら私は恐る恐る質問をしてみた。

「えっと、一つ確認したいんだけど君はこの世界にずっと住んできたんだよね?」

「もちろんですよー?」

「そうすると君って私よりも年上なのかな?」

「えっとそうですねー、たぶん私が20歳くらいだと思っていますのでそれより2つか3つほど下ですかねー」

「そ、そうですかぁー」

「それでどうでしょうかぁ?」「え?何のことですか?」

「えぇー。もしかして忘れたんですかぁ?」

彼女はわざと悲しげな声色で私に問いかけてきたのである。その様子はまさに小悪魔のようであった。

(しまったぁーーーーーー!!!!私って馬鹿だ!私にはこの世界で成人を迎えているという記憶がないので普通なら違和感を覚えるところだがこの子の場合、異世界転移者の可能性が非常に高い為にそういう設定をしていてもおかしくなかったのにすっかり忘れていたぁーーーーーーーー!!!!)

内心は凄まじい葛藤をしていたが、それでも表に出さずに平静を保った表情をしながら彼女は一体何を考えているのか尋ねてみることにした。

「一体僕にどうしろっていうんですか?」

そんな私の問いかけに対して彼女はこう答えてきた。

「そんなの決まっているじゃないですかぁー。私達はもう結ばれたんですよ?ですから、早く既成事実を作って子供を作ろうとしているんですよぉー」

そんな事を言いながら抱きついてくる彼女に対して私は困惑していたのであったがそれでも何とか踏み止まろうとした。

(こ、これはマズイぞ!このままいくと私、この世界での人生を強制的に終えてしまうぞ!?)

そこで私はハッとあることを思い出したのである。それは以前仕事の合間に休憩していた時の事なのである。

「おいお前、そういえばあの勇者の女の子に求婚されていただろ?あんな美少女から告白されたのに何で断ったんだ?ぶっちゃけ羨ましいんですけど」

同僚にそんな話をされたので私自身も少しばかり気になっていたのでそのことについて詳しく聞いてみると彼はこんな風に言ってきたのだ。

「だってあいつは勇者だぜ?この国の未来を担う存在でもあるんだから結婚とかそういったものは慎重に決めるべきだろ?」

私はその言葉を聞いて確かにそうかもしれないと思った。それと同時に私自身の性格も少し変わったように思えた。何故なら前世の私なら間違いなく『俺の童貞卒業の為ならば例えどんな障害があろうと俺は突き進むのみ!!』などと言って即行プロポーズしたに違いないからである。しかし今の私はあくまでこの世界の魔王なのだ。だから自分の身勝手によってこの世界の人々を振り回すような真似はできないので今回は断らせてもらったのである。

ちなみにこの時私に声を掛けて来た同僚の名は田宮(みや)といったのだが彼の苗字は『みや』というだけで特に何かの繋がりがあるわけではなかった。

しかし、そんな事を思い返しながら私は必死に抵抗を続けていたのだがとうとう彼女は私に馬乗りになり服を脱ぎ始めた。

「ちょっ!ちょっと待ちなさい!」

「大丈夫ですよ。きっと私達の愛の力があればすぐに出来ちゃいますよ。それにもう我慢できないんで」

そう言いつつ彼女は着ている衣服を全て脱いでしまうと、私を襲ってきた。

(あかん!こりゃあ逃げられないわ)

私はそんなことを考えつつも彼女にされるままになっているとその瞬間私の身体に変化が訪れたのである。

(なんだ?この痛みは?あぁ!そうだった!!)

「痛い!!痛い!!あがあああああああ!!」

そうして私はそのまま意識を失っていったのであった。

そこで私はハッとなって目を覚ましたのである。

そして自分の股間を見ると案の定そこには立派なモノがあった。

私はそこで自分の下半身を確認してみてホッと一安心するのと同時にこの日の出来事を思い出して複雑な気持ちになってもいた。

(まさか自分がこの世界でも同性愛者になってしまうなんて予想もしていなかったな。というかこれだと私が女性に恋をしたとしても報われないじゃないか!しかも私が愛している女性はこの世界ではない別の世界の住人なんだよ!!)

私はその事を嘆いていたのである。

しかし私がいくら悩んでいても現状が変わることはないので仕方なく割り切るしかないのだろうと思い直したところで再び日記帳を読み直していくことにした。

「あれからもう一年経っているからもう私の知っていることは書いていない可能性が高いしね」

そう独り言を呟きながら私は再び日記の内容を確認した。するとその内容を読んでいるうちにある事がわかったのである。

(そうか、彼女は結局妊娠できなかったんだ。そしてそれを私に知られたくなかったのね)

どうやら彼女はこの世界では男性にしか子を宿すことができない体質のようで私に知られる前にこっそりと産むつもりらしいのである。

(でも彼女はこの世界で幸せになる気がないみたいだけどどういう意味なんだろうか?)

そして更に日記の内容を確かめているうちに私はとんでもない情報を入手してしまったのである。それは彼女が異世界人であるという証拠になる内容だった。

私は思わずニヤッとしてしまった。なぜなら彼女はこの世界に元々存在していた生物に異世界召喚によって転生して来た人間だと思っていたのである。

しかしその認識は完全に間違っていてこの世界の人間の魂に混ざるようにして転生した人物だというのはなかなか興味深い。

(しかしそうなるとこの子は一体どこから来たんだろうか?う〜ん。わからん)

そんな事を考えながらも私は読み進めていく。そして最後のページに辿り着いた時、そこには私に対するメッセージが記されており私はその内容を見て驚愕した。

そこに書かれていた内容はこうである。

『この世界で生きていくことは辛いでしょう?なので私のところにいらっしゃいませんか?あなたと私は運命で繋がっており、私にはあなたの考えや記憶が理解できます。そして私と一緒に来るのであればこれから起こる様々な出来事や困難を共に解決する事が出来るようになるのですよ?』

この文面を見た時に私は思わず『なるほどね。そういうことか。この子の狙いは最初から私に助けを求めていたのか。それなのに私ってば何を考えていたんだろう。そうよ!私達が手を取り合って助け合うことこそが真の男女の在り方というものよね!私達って意外と似た者同士なのかも!うん、そうと分かれば話は早い。彼女の協力要請に応えないと!そう、私達って本当に似ているの!私達の間に恋愛感情がなくても一緒にいることでお互いを高め合える関係になられる筈!だから私は彼女の側にいて彼女を守らないと!!だって私達は夫婦になったのですもの!いつまでもこの世界を生きる人達と同じような考え方をしていたんじゃあ本当の意味でこの世界で生きることは難しいから!』とまぁこんな感じの感想を持ったのであった。

私はその事実を確認すると直ぐに彼女に連絡を取る事に決めた。

(そうだな、まずは私の連絡先を教えておいてその後、向こうから会いに来てくれるまでこちらからは動かない方が良いかも。うふふっ♪もうすぐ彼女と私は夫婦になるのね♪早く来ないかしら♪)

こうして私は心躍らせながらその時が来るのを待っていたのである。

「はぁ、もう何度目ですかねぇ?そろそろ私の言うことも信じてくださいよー」

そう言ってため息を吐いている少女を目の前にして私は呆れた顔を向けながら言った。

「何度も言っていると思うけどさ、君はただ単に私と同姓同名の人と勘違いしただけで、そもそも君が会っていた相手というのは男だった訳でしょ?」

そう私は彼女に言い返したのである。しかし、彼女の方も負けじと言い返してきた。

「そんなの分からないじゃないですかー。私にとっては性別よりも私を愛してくれるかどうかの方が重要なんですよー」

そんな風に駄々っ子のように文句を言い出す彼女に若干イラッときたが、私はそんな感情を抑え込んで彼女の説得を続けることにした。

しかし彼女は中々諦めてくれない。その為私も次第にイラついてきて最終的には怒ってしまった。

「いい加減にしなさい!!そんなの私が決めることだわ!とにかく!私はもう二度と貴女のような嘘を付く奴とは付き合わないわ!!だから今後は近づかないように!!」

「えぇーー!!どうしてですかぁー!?私はあなたが困った事が起きた時は力になりたいと思ってここまでやってきたっていうのにぃーーーーーー!!」

彼女は泣き喚きながら訴えかけてくるが、私は決して心を許さず冷たい眼差しを向けるのをやめようとしなかった。しかしそんな私に対して彼女はある事実を伝えた。

「そんな事言っていないでくださいよぅー。お願いですから私を受け入れてくださいー」

彼女は私に抱きつきながらそんな風に私を求めてきたのである。しかし、私はその行為に対しても拒絶の態度を示す。

(ふんっ!私はまだこの世界に来たばかりでこの世界のことをよく知らないのよ。それに私が愛すべき人は他にいるんだからあんたらになんか靡くわけないじゃない!!この馬鹿ちん!!!!)

そんな風に心の中で悪態をついている私を彼女は悲しげな表情で見つめていると、いきなりこんなことを言ってきたのである。

「分かりました。そんなにも私の事を拒否するならしょうがないですね。私はこの世界を去りましょう。そして新たなる世界でまた貴方と出会う事ができたならきっと私の想いを受けいれてくれますよね?」

そう彼女は私の目を見ながら言ってきたのである。それに対して私は冷たく言い放つ。

「好きにするが良いわ。もう会う事は絶対にないだろうから」

そして私はその場から立ち去るために彼女に背を向けたのである。

「そう。もうこれで私は終わりね。あの子にあんな悲しい思いをさせてしまうなんて私は酷いお姉ちゃんね。でも仕方のない事なんだ。私はあの子の為にあえてこの手を汚したんだ。私にはそれくらいあの子のことが大切だったんだ。でも私はそんな大切な妹の気持ちを無視してしまったんだ。そんな私は妹に顔を合わせる資格はないんだよ。ごめんなさい。私は貴女の事を忘れはしないけどきっと私はもうここに来ることはないでしょう。私はもう二度とあの子の前に現れる事は無いと思います」

私はそんな独白をした後にある行動に出ることにした。それは自分がこの世界でやろうとしていたことを途中でやめるということであり、私は今まで行おうとしていた事をやめた後に、とある行動をする事にしたのであった。

私はそんな決意を秘めたまま自分の家に帰って来たのである。

するとそんな私の姿を確認してからか、玄関の前で待機していた女性が話しかけて来た。

「おかえりなさいませ。奥様。ところで何をそんな思い詰めていらっしゃるような顔をしているんですか?もし悩みがあるのであればどうか私に相談してください。私はどんなことでも相談に乗るといつも申し上げていますよね?それで、何が悩まれているのでしょうか?もしも旦那様に何か言われたのならば私の方からも何か対策を打ちますよ」

彼女は真剣な瞳で私を見つて来てそう提案してくれたのである。私はその優しさに感謝の気持ちを伝える。

「ありがとうございます。実は今日私達の家に初めてお客様がいらして、その方は私にとても親身にしてくれる人で私はその人の事を少しだけ気に入っちゃって仲良くなったの。それで私もその人と仲が良くなろうとしたんだけどその人も他の人に色々と頼まれていてね、私の事も手伝ってくれたから私が恩返しとして彼女の為に頑張ろうと思ったのだけれどやっぱりそれは私には荷が重すぎたみたい。だってその人が私に協力を頼んできた理由は結局私と同じようなもので私は彼女の頼みを断りきれずに結局その人達を私の家に住まわせることになってしまったの。私って結局誰の願いも聞き入れられない無能者よね。そんな私を神様は許しちゃってくれないみたい。私はこれからその人達に謝りに行ってくる。そして私はこの世界を出ていくことにするよ。この世界の外は凄く危険みたいだし。でも、この世界に未練が全くないわけじゃないの。私の妹はこの世界にはいない。だけど私達と同じ魂を持っている存在がこの世界に来ている可能性がある。それを探す為の旅をするのもいいかもしれないわね。じゃあ、そう言う事で暫くの間この家の留守を任せたわね」

それだけ言って私は彼女を置いて家を飛び出した。

(ごめんなさい。みんな)

私はそんな事を考えながら彼女の家からどんどん離れていく。そしてその道中でこの世界を去る前にもう一度家族の顔を思い出していた。

「父さん、母さん、元気に暮らしているかな?弟や兄さんの事はどうしよう?この世界に私がいるから心配していないといいけど。ううっ、本当にどうしよう?私はこのまま旅をしてこの世界で私の知っている人に出会わない方がいいのかな?それとも出会えた時にこの世界での出来事を正直に伝えるべきなのか?ああ、駄目だ。頭が混乱してきた。でも、とにかく私は私のやるべきことをやらないと。だって、私はもう、この世界の人達に迷惑をかけてしまっているから。今更逃げるのは許されない)

そして私の意識は途切れていくのであった。そして次に目を覚ますと私は見知らぬ場所で寝ていたのであった。

(ここはどこなんだろう?)

(まさか死んだとかってオチじゃないよね!?そんな事になっていたら洒落にならないわ!!とりあえず今は落ち着いて周りの様子を伺ってみないと)

そう考えて私は辺りを見渡したのだが、私以外の人間の姿を確認することができなかった。

(んん〜?誰もいない。って言うことは、これはもしかしなくても一人っきりって言う奴じゃないのかしら!きゃー!ついに念願の一人きりになれたー!やったー!)

私がそんな喜びに震えているといきなり後ろから声を掛けられたのであった。

「やっと目覚めたようね。おはよう」

その声を聞いて私が振り返るとそこには私よりかなり幼い感じの女の子がいたのである。私は彼女に見覚えがあったので、一応挨拶をすることにした。

「あ、あなたは、確か昨日私に会いに来てくれた子ね」

私はそう言いながら彼女の方をじっと見つめる。

彼女はそんな私の様子を確認するとその事に気がついて話し始めた。

「あら?まだ自己紹介をしていなかったわね。私の名前はメイリス。あなたの名前は?教えてくれるかしら?」

「私の名前、名前か。そういえばそんなのなかったわね。私は私、それ以外の名前で呼んでくれるような人はいなかったもの」

私はそんな事を口にしながら昔を懐かしむ。

(あの日々は決して楽しかったと言えるようなものじゃなかった。でもあの子と一緒にいる時間は幸せだったのよね。だからこそ私にとっての一番は今でも変わらないのよ)

私が昔の事を思っているのを知ってか知らないでか分からないが彼女が口を開く。

「ふーん。そう。じゃあその名前を貰えると嬉しいの?名前が欲しいのならあげてもいいけど、貴女がそれを受け入れるのであればの話だからそこら辺のところをきちんと理解しておくのね」

そんな彼女の言葉に私は少し驚きながらもすぐに冷静さを取り戻せたと思うと彼女の言葉を肯定したのであった。

「ええ。いいですよ。私は貴女の物になりましょう。その代わり貴女もちゃんと答えてくださいね」

「もちろんいいわよ。貴女の期待に応える事ができるように頑張っておくわ」

それから私達は色々な話をしたのであるがその内容のほとんどは他愛のない雑談である。だが、そんな何気無い会話をする中で、彼女は私にある疑問をぶつけてきたのである。

「ねえ、あなたがこの世界に召喚される前までいた世界では一体何が起きていたの?」

私はそれに対してはぐらかす事なく正直に答えようとした。そして私はその問いに答える。

「そのことについては言えないんだ。それに私は貴女のその質問に答えることはできない。私だって貴女のことが知りたい。私が今まで生きてきた世界を救ってくださったお姫様のことがもっと知りたい」

その言葉を聞いた彼女はどこか遠い所を見るかのように空を眺めた。そんな風にしている彼女に対して私は続けて質問をした。

「ねえ、私がいなくなった後の世界は大丈夫だったのかな?」

その私の問いかけに彼女は静かに首を振った。私はそれがどういう意味かを察してしまい何も言えなかったのである。しかしそれでも私は彼女に対して自分の気持ちを伝えたのであった。

「ごめんなさい。貴女を困らせるつもりでこんなことを言った訳じゃないの。だから気にしないでね。私のことなんか忘れてもいいんだから。だって、きっと私のことなんか覚えていなくて正解なんだから」

彼女はそんな私の言葉を聞いても黙り込んでしまっていた。その沈黙の時間が流れるにつれて私は心の中に寂しさを募らせていくのである。そして彼女は私に向かって告げる。

「ごめんなさい。私の力が及ばないばかりにあなたの力になってあげることができそうにもないわ。私はもうこの世界にいてはいけないみたい。だけど貴方の望み通り貴方の世界の事をどうにかできる人物を紹介してあげたかったの。だけどそれは叶わなかったみたいね。私はこの世界にもう用はないの。貴方はここでゆっくりしているのも良いかもしれない。それとも私と一緒に行きたいと願うのであれば一緒に来ればいい。ただし私は貴方を絶対に守ってあげられないかもしれない」

私は彼女の提案を嬉しく思いながらも自分の力で頑張りたいという意思を伝え、そして私と彼女の旅が始まったのであった。

私はそんな思い出に浸っていた。そして自分の家に帰る途中である少女と出会うのであった。

そしてその子はなぜか私のことを知っているようで、その事に少し興味を持った私は彼女に声をかける事にした。

(あれ?私、彼女についてなにも知らないわ。でも不思議ね。初対面のような感じは全くしないのよね。まるで私達の知り合いの人に会ったかのような感覚がするのはなぜなのだろうか?)

私はそう考えながら彼女と向き合ったが、彼女は何故か私のことを睨んでいるのである。

そこで私は彼女が自分と同じ世界の人間であることを理解すると彼女は私の目の前に現れた。

そして彼女はいきなり攻撃を開始して私に襲い掛かってきた。私はその突然の行動の意味を理解していた為に攻撃を軽くかわして、彼女の背後に回るとその首筋に短剣を押し当てて彼女を動けなくする。

(これで少しだけおとなしくなるかな?でもやっぱり、私を殺そうとしてたのかな?それならこの拘束はすぐに解くべきよね。もしも私が敵だと思われたまま放置したら何を仕出かすのか分かったもんじゃない。まあ、彼女の事を詳しく知るまではこのままにしておきましょう。でもどうしてこの子が私の事を知ってたのかな?やっぱり私に恨みを持ってる?そうなると私も彼女に恨みを持つ理由になるんだけど。だって彼女の目的がなんであれ私を殺しに来ているのは事実なんですから)

そんなことを考えていると彼女が私のことを見つめていた。そんな彼女の表情からは感情が抜け落ちており私は不気味に思った。

するとそんな彼女の顔を見た瞬間に私の記憶に彼女の情報が浮かんで来たのであった。

(嘘、でしょ?まさかこの子が!?ありえない。そんなはずがないわ。でもこの記憶は何なの!?まさかこの子には別の人格があって私のことを殺すために近づいてきたの!?そんな馬鹿なことってあるの?)

私はそう思ってもう一度彼女を見る。

(だけどこの情報が正しいとしたらこの子の行動の辻妻があう。でももし仮にこの子の中に存在する別の存在が私のことを殺しに来たのだとしても、私はまだこの子に負けていない。ならばまだ勝負は終わってないわ。私だってまだまだ強くなってみせる!そして私の手で彼女を正気に戻してみせないと)

そんな事を考えていたのだが、結局は私一人では何も解決する事はできないという事が分かった。私はとりあえず彼女の拘束を解いて話し合ってみることにする。

そしてまず最初に確認したい事があり、彼女の事を呼ぶのであれば「アメリ」という名前を使うべきだと思い彼女に呼びかけると彼女はその名前に違和感を感じているようだったので彼女には本名を名乗ってもらった。

(良かった。本当に良かった。本当にこの子は私のことを殺しに来てるわけじゃなさそうね。でもこの子がここにやって来た本当の目的は何なのかしら?それにこの子の名前や能力などが全くわからないのよねぇ。とりあえず、私は彼女を信じることにしたけど、他の人達が信じるかどうかは別問題よね)

そんな事を考えていると私達はいつの間にか知らない場所にいたのであった。

(え?何がどうなったの!?)

そんな事を思っていたら、今度は急に強い眠気が襲ってきて私はそのまま意識を失うのであった。

(うっ、ここはどこ?私は確かメイリスって子と戦闘をして、その戦いの最中に彼女の名前を呟いたのが最後の記憶なんだけど)

私が目を覚ますとそこは牢屋の中であり、周りを見ればそこには数人の女の子がいた。そんな状況の中で私は周りの様子をうかがいつつ状況を整理した。

そしてしばらくして目が覚めたらしいアメリが牢屋の外に出てきていたので私に近寄って来て何かを確認しているようだった。

「ふーん。なるほどね。うん、間違いない。確かに私の事を知ってるみたいね。しかも私よりずっと上の階位にいる存在だし、それに今の私が知っている限りでも私達二人だけが特殊な立ち位置に存在しているみたいね。これは、面白いわね。そういえば貴女名前はなんて言うのか教えてもらえるかしら?」

「名前、ですか?そう言えばまだ言ってなかったです。えっと、私の名前はアリシアって言います」

私は彼女に話しかけられたので反射的に自分の名前を名乗ると彼女は満足そうにしていた。

そしてそれからしばらく話をしていたのであるが、その間にこの世界での出来事についてある程度話を聞かせてもらう事に成功した。しかし、それでもまだ疑問が残ってしまったので、彼女と一緒にこの場所から抜け出す方法を考えることにしてみた。

しかしそうしている間に、彼女はどこかへ行ってしまうのであった。

(あれ?そう言えば彼女はどうしてこの場に居るんだろう?そもそも彼女の役割は?それとあの場所で私に襲い掛かってきた理由は?彼女は私の事を恨んでいたんじゃなかったの?いや、別に彼女が私を恨んでいても私は全然気にしていないしむしろその気持ちは嬉しいくらいよ。だって彼女は私のために頑張ってくれてたんでしょうし、その感謝も込めて私は彼女を元の世界に戻そうと思っているんだから。だから彼女を憎んだりするつもりは一切ない。だから、早く戻って来て欲しいんだけど。もしかして何か問題が起きたから助けが必要なのかもしれない。それならそれで私はいつでも駆けつけるつもりだけどね。だけど何にせよ、彼女がいない間、この世界のことについて少しでも知っておかないと、私に何が出来るか分からなくなってしまう。だからこそ今は情報収集に徹して、もしも私の力が通用するのであればその時は皆を助けるために戦うんだ)

そんな風に考えながら私は再び眠りにつくことにした。するとまた別の空間に移動しており私は驚いたのである。だが、今回はその事に驚いている余裕もなく先程の空間とは打って変わって殺伐としていたのであった。

そこで一人の男性が現れたのである。彼は私に向かってこんなことを言ってきた。

「君が俺のことを召喚した人なんだろ?」

「はい、そうだと思います。あなたは一体、私達の味方になってくれるのでしょうか?」「それはどういう意味かな?」

「それは、これから一緒に戦うことができるのかという質問に対しての答えはイエスです」

「ほう、それはなぜだい?君は今まで多くの敵を相手にして来たはずだ」

「確かにそうですね。でも私がこれまで出会った人たちはみないい人たちばかりです」

私はそう言い切ると、目の前の男性が苦笑を浮かべて私に向かって告げた。

「そうか。君の目から見た俺は信用できないかもしれないが、今だけは君に従おう」

「いえ、そんなことはありません。ただ私は、あなた方全員の命を背負いたいのです。だからどうかお願いします。私に協力してください」

「その願いを聞いてあげてもかまわない。だけど俺達は俺達の戦いを始める必要があるだろうね。さて、君はこれからどうするつもりなんだい?いや、君ならどうしたらこの状況を乗り越えられるのかは分かるはず。それを僕にも教えてくれるとありがたいんたがね」

「分かりました。それでは、私は一度、元の世界に戻る事にしようと思います」

私が彼にそういうと、彼は私の事を止めてきた。そこで、私は彼に説明を行う事にしたのである。

「私の力を使えばこの世界と異世界を行き来する事ができます。私はそこで自分の力の使い方をマスターしたいと思います」

私がそこまで言うと彼が私に提案をしてきた。

「それならいっそのこと魔王を倒さないかい?魔王は今頃、勇者と戦っていることは知っているかな?まあそれは置いといて、魔王を討伐できたら俺が責任を持って君に報酬を支払わせてもらおうと思っているんだが、それでも駄目だろうか?もちろん、俺達に力を貸してくれという事は、俺もしっかりと協力させて貰うから安心して欲しいんだがね」

私はそんな彼の言葉を嬉しく思いながらも私はその申し出を断ったのである。なぜならば私の目的はこの世界で生きる者達の平和を守る事であって、それ以外の事については私は興味を持てないのである。そんな理由で私は彼の申し入れを受け入れるわけにはいかなかった。なので私は彼に事情を説明してその誘いを断るのであった。

その後、私達は別れることになったのだがその直前に私はあることに気づいてしまう。

(ん?なんか違和感を感じるような。何だこれ?いやまあいいか。多分気のせいなんでしょ)

私が気になったのは、何故か私達がこの世界の人間と違う雰囲気を出しているように感じるので、おそらくこの感覚に覚えがない人達にとっては違和感を抱くのではないかと思う。そしてそのことを彼に聞いてみるとやはり彼もそのことに疑問を持っている様子だったので私から少し話をしてみることにする。すると私に協力してもらえる事になりこの世界を案内してもらうこととなった。そして私はそこで私と同じような存在の人に会ったので、私はその人を私達の仲立ち人として同行させることにすると、なぜか他の人からは反対されてしまったので私達の意見が通る事は無かったのであった。そんな訳で仕方なくその人の指示に従う事になった。

そしてそれから数日間の間、私は色々な事を学んだ。特に魔法に関しての知識はとても興味深い内容ばかりで私の心を揺さぶるような物ばかりだったのである。

それから数日の間は私は様々な事を学んでいった。その中でも私がこの世界で最も驚いたのはこの国の成り立ちとこの国の歴史だった。何故、そんな話を始めたのかと言うと、私はこの国が建国された時の話を知ってしまったからである。

(うーん。これは凄い情報だけどあまり広めない方が良いよね。というか、これを広めちゃうと大変なことになりかねないよね)

そんな事を私は思ったのでこの情報は秘匿する事に決めた。

(でも、この情報がもし私の想像通りだとすればとんでもない事になる可能性があるわね。だって今の国王様は、この世界に存在しないはずの存在がこの国に紛れ込んでいるって事を、理解していながら放置している可能性が高いんですもの。つまり、これは私にしかできない仕事って事ね。なら私は全力を出してこの仕事を終わらせてみせる!それが私の仕事って事で良いのよね?)

そんなことを考えながら私はこの世界の事を調べていくうちに、私がこの世界の人々に受け入れられているのかを確かめることができたのでこの国の為にできる事をしようと考えるのであった。

(うん。私ももう覚悟は決めている。たとえ私の正体を明かす結果になっても私はこの人達を守り通す為に戦って見せる。そうじゃないと、私の心が壊れてしまう。私はもう、あの人の事を好きになった時から自分の気持ちが嘘ではないと確信できているから、ここで諦めるつもりはない。だから、私はどんな障害が立ちふさがろうとも、この道を突き進むのみ!!)

私はこの世界で生き続ける事を決めた。

私は、今現在この国で起きている事を、何とかしようと行動を開始する。まず私は、王城へ向かう事にして、私に力を貸そうとしてくれる人達と一緒に、私が調べた結果を王に話す為にやってきた。そしてそのついでに私は、私がこの世界の理から逸脱した存在であることを、王に認めてもらうことに成功した。

そして私達はこれからこの国の人達の手助けをしながら過ごしていこうと考えていたのだが、その時、この世界の異変が起きようとしていたのであった。しかし、この世界の未来を変えるためには必要な出来事であり私はそれを乗り切るべく頑張ることにしたのである。

私はそんな時、自分が前世の記憶がある状態で生まれ変わりをした事に、運命的なものを感じずにはいられなかった。だからこそ私はこの世界での生き方を間違えないよう精一杯生きていきたいと思ったのであった。

「さぁ皆、行こう!」

私がそう宣言して皆に声をかけると皆、それぞれ準備が整った事を教えてくれたのでそのまま転移して皆を連れてくる事にした。そして無事に皆が集まった所で皆にこれから何をしようとしているのかを説明することにしたのであった。

(しかし改めて思うんだけど、どうして私の能力に『魔王の館』みたいなスキルは無いんだろう?それに私のこの能力は魔王として覚醒した際に得られたものだと私は思ってる。なのにその魔王の力は私の体の中には存在しないのよね。もしかするとこの世界は、私の知らない何かがあってその何かが私の力を妨げていたりしているのかもしれないわね。でも今はそれよりも先に、やるべき事があるんだからそんなことは今は考えないようにしないとね。だから今は、私と一緒に頑張ってくれそうな人が、どれくらいいるかを調べるのが一番重要な事なんだから)

私はそう考えてから仲間を増やす方法を模索した。するとその方法はすぐに思いついたので、私達の目の前に突如、魔物が出現すると、そいつらを私はあっさり倒してしまったのである。

私は、自分から率先して前に出てきた人達を、順番に見つめて行きその眼を見据えていったのである。

(この人たちの眼は真っ直ぐだ。私の言葉を受け入れてくれるだけの素直な心の持ち主だという事は、瞳を見ただけでわかる。だけどその反面この人たちは、自分に力が足りないと思い込んでいる節が、感じられるけどね。この人たちはこの世界での平和を望んでいて、自分達の手で平和を守ろうとする強い意志が伝わってくる)

私は、彼らの表情をじっくり観察してから皆の顔色を見てみた。その結果、皆が真剣な面持ちになっている事が分かり、私の期待通りの展開になりそうだと確信したのであった。

それから私は皆に向かって告げた。

「みんな!私達と一緒に来て欲しいの。私達と一緒に来てくれないと、私はあなたたちを守ってあげられなくなるの。それでも、私達に付いてきてくれますか?」

そう言うと皆は一斉に私に向かって返事をしてきた。

「「「「「「もちろんです!!!!!」」」」」」

「「「「「「私達こそよろしくお願いします」」」」」」

私達の様子を見て私も、とても嬉しく思い笑顔を浮かべて彼らに告げた。

「これから私の仲間があなたたちに力を貸してくれる事が決まったわ。私はこの国を守るためにはどうしてもあなたの力が必要なの」

「はい、任せてください。私はこの国を救えると信じてついていきます。皆さん私に力をお貸し下さい」

私がそういうと、彼らは全員で声を揃えるようにして、

「「勿論です!!」」

と答えた。それを聞いた私は嬉しくなり、さらに言葉を続けようと私は考えた。

そこでふと、私はこの国に来てからある疑問にたどり着いたのである。

(私はずっと気になっていたのよね。私がここに初めて来た時は、私を快く受け入れてくれてたみたいだけど、それから時間が経つに連れてこの国の人たちは私の事を遠ざけるようになった。それについて詳しく説明して欲しいわね)

私はそこで少しばかりの怒りを感じていたので、つい私は無意識のうちに私を疎んじた連中に対して威圧を放っていた。そしてそれはその場にいる人達全員が恐怖を覚えるようなものであったのである。しかし私を歓迎する者達は、怯える事もなく逆に私の事を支えようとしているようであった。それを感じた私は、私は彼らが私の味方なのだと認識して安心した。そしてその人達と私に付いて来てくれる者達を私の力を使って、一瞬で移動させたのであった。そのおかげでその人は、いきなり景色が変わったことに驚いてはいたが、私はとりあえず気にせずに話を進める事にした。そして私達は王都の外へ出て、その近くに生えている木々に身を隠すようにして身を潜めたのである。

私がこの世界で生まれ育った森に足を踏み入れると、懐かしい感覚を覚えながらも、この世界に戻ってきたのだと思い実感する事ができた。そんな時に一人の少年が話しかけてきた。私は彼に問いかけてみると、

「貴方はもしかして異世界の勇者なのかい?それと君が連れているあの女の子は君と同じで特別な存在なの?僕達はどうやったら強くなれるか聞きたくて、君の後を付いてきたんだ。だから僕の事も助けてもらえませんか?お願い致します」

私は彼の発言に、私自身がこの世界で暮らしていくために必要な条件を満たしているという判断を下し彼の提案を承諾したのであった。

(私にこの子を守れる自信はないけど、でも彼の事を助けられるのはきっとこの子だけだから私は自分の力で彼を鍛え上げる事に集中しましょうかね。でも、彼が本当にこの世界の人間ではないっていう可能性は確かにある。だから私がこれから行おうとしている事を手伝って貰う為にも私は、彼の実力が知りたい)

そう思った私は彼との手合わせをすることに決めたのである。そんな事を思っていたのだが私は、この子がとんでもない実力者だと気づくのであった。この子はおそらくだけどこの国では間違いなくトップクラスの戦闘能力を持っていると思われる。だからこそ私は彼に興味を持ち始めていた。だからこそ私は彼と本気で戦うことにしたのである。そして私が勝利した後は約束通り、彼に協力を仰ぐことにした。私は彼と一緒にこれから一緒に行動すると伝えると、彼はなぜか顔を真っ赤に染め上げて動揺していたのであった。

私はこの子に名前を聞くことにした。しかしなぜか私の名前を教えるように言われてしまったのだが、私が断ろうとするとその男の子の態度は一変して私のことを心配しだしたのである。私はなぜそんな反応をしているのかわからないが、とりあえずこの子の名前を教えてもらう事にした。そして私は彼の名前を知り驚く事になった。なんと彼は私が前世で憧れの存在として尊敬して止まなかった、私の愛してやまない人にそっくりな外見だったからである。私は驚きながらその事を伝えると、その子はとても優しい表情を私に向けてくれた。そんな風に微笑んでくれる姿を見ると、私の心は激しく高鳴ったのであった。

(ううっ、何でこの子は私の心を奪う様な行動ばかりするのよ!しかも無自覚でやってるんだから尚の事たちが悪い!それに私とあの人を間違えているのも納得できる。確かにこの子の見た目は私の好きな人そのものだから仕方がないと思う。だけどあの人の魂の色って私に近しいものだったのよね。もしかすると私の魂の色に近いから私が惹かれてしまっているって可能性も、あり得るかもしれないわね。でもそうなると私がこの世界の人達に惹かれない理由は無いのにおかしい。なら、この子は私がこの世界に来る前の世界にいたという事になるのよね。まぁ今考えても仕方のない事よね。今はこの子と仲良くしてあげるのが一番大切なことだから今は、そんな事を考えるのを止めておきましょう)

私は、まず最初にこの子がどこまでの強さを持っているのかを確認する事を決めたのである。そして私は、この子がこの世界でどれだけ通用するか試してみるために魔物の群れと戦うことを提案したのであった。すると、その事に対して特に何も感じることなく、その子は当たり前のように魔物と戦い始めた。そして魔物を倒し切ると私は、その光景を見て私は驚愕してしまった。そしてその強さを改めて確認してみたのだがやはり、私と同等以上の存在で、私はこの子のことを化け物じみて強い存在だという認識を改める事にしたのであった。私はそれからこの子にこれから私の事を助ける為には、もっと強くならないければいけないと伝える事にしたのであった。

私はそう言ってこの子がどれくらい強くなったのかを確認した。するとこの子はまだ全然弱い部類に入っていたのだ。私が、私が想像していた以上にこの子は成長が早くて、正直な所この子はこのままではすぐに私を越してしまうだろうと予想された。だからこそこの子の今後の成長の邪魔になる可能性のある人達を排除してあげないと、この子が成長しづらい状態が続くので、私はその手伝いをしようと考えたのである。そう思って私は、私に協力してくれるこの国の王様と、宰相の二人に話しかけた。すると二人はすぐに私の話を信じてくれたようで私に協力してくれる事を宣言してくれた。私は二人が味方に付いてくれてとても嬉しかった。しかし私は、その二人の言葉を聞いてから、少しだけ罪悪感を覚えてしまった。というのもその言葉を聞いた後に、その二人が実は私の正体に気が付いていたのではないかという疑惑が生じたからである。なので私も覚悟を決める事に決めた。この世界で生き抜くにはこの国に敵対しないで上手く付き合っていきたいと思っていたが、私を敵に回すような発言をした奴らに容赦するつもりは無かった。

僕は彼女の話を聞き終えてから彼女が何をしようとしているのか理解しその言葉に耳を傾けることにした。それから僕が考えていると彼女は僕の目の前に来てから真剣な表情で、僕の事を真っ直ぐ見つめてきて言った。

「貴方がこの世界でこれから生きて行くためには貴方の敵にならない人が沢山必要なの。私の事を手伝ってくれる?」

そう言い終えた後の彼女はまるで悪戯に成功した子供のような、とてもいい笑顔を浮かべていたのである。

私は、彼女についてきて欲しく無いと思える人達が私達を襲ってきた場合にこの森の周辺に強力な結界を張り巡らせる事に決めて、準備を整えておいたのである。私はその事を伝えておくと彼女は驚いていたのであった。

(えっと、どういう事かしら?)

私としては別に彼女に隠し事をして驚かせたかったわけではないので少しだけ悪いと思ってしまう。だがこの国を守る為に必要な事はしっかりと説明して、この国をこの世界に君臨する魔王の住む国にしていかなければならないという使命があるのでこの国は私のものにする必要がある。そのために私がこの世界を征服する上でどうしても障害になりうる者達を事前に潰しておく必要があったのである。私はその考えを簡潔にまとめて彼女に告げると、なぜか私は怒られた。そして、なぜか彼女と私がこの世界で暮らしていくために協力しようと言われたので、この世界に来たばかりの頃はこの子の存在が、ただひたすら鬱陶しく思っていたのだがこの子から色々なことを教わる事で、私はこの子の事がいつの間にか大好きになってしまっていたのである。それから私と、そして私の愛しい人であるあの人は二人で協力して、この世界を統一する事を目指すのであった。そしてこの子にも協力を要請する事にするのであった。

(でも、まさかここまでとは思わなかったわね)

ただ私は彼女の力を測り切れていなかった事を、後々後悔する事になる。しかしそんな事を知らない私はこれからどうやって彼女を導いていけば良いのかわからずに途方に暮れてしまっていた。それでもなんとか私は必死に頭を悩ませて答えを探し求め、そしてついに見つけ出した結論にたどり着いたのであった。(とりあえずこの国を掌握する事が出来れば、少なくとも私達の計画の第一歩は踏み出せるわ。だから私がこの子を強くするしかないわね)

そこで私は一つの案を考えたのである。それはこの国に存在する騎士団に所属する騎士達にこの子を鍛えてもらって、さらにその鍛え上げられた力で、私の代わりに他国に牽制をして欲しいと私は考えたのである。そこで私は彼女に私達が今住んでいる屋敷の周辺を探索してみたいと言ってみると彼女は二つ返事で了承してくれたのである。

(うん、やっぱり私が思っていた通りこの子は優しい子ね。私の提案を疑わずに聞いてくれたわ。それじゃあ早速始めましょうか)

それから私はこの子に、私がこれから鍛える場所に行くと伝えると、その場所まで私の力で移動したのであった。

「さて、貴方が強くなる為にはどうしたらいいのか教えて頂戴。貴方を徹底的に叩きのめすつもりだから、ちゃんと考えて答えを出しなさいよ。それと、もし貴方の力が私に追い付いた時私は、その時にどうなっているかはわからないけれど、私は私なりの最善の行動を取るからよろしく頼むわ」

私はこれからこの子を、私の言う事に従うだけの操り人形に変える為に、この子を利用するつもりだった。そんな最低な事を私がしようとしているにもかかわらず、この子は私の言葉に対して特に反応を見せることは無かった。おそらくは、この子が私の期待通りに動いてくれないのであればこの子の命を奪い取るつもりでいるので、そんな私の事を警戒しているからこその反応だと思うのだが、私にとってみればむしろその方が良いのである。だってそうじゃないとこの子の本当の実力を測ることが出来なくなるからである。

私はとりあえずは基礎的な身体能力を上げる事から始めたのである。私の場合は、私が今まで鍛え上げてきた力を使って自分の肉体に魔力を通して強めるという訓練法を私は編み出していたのである。その方法を私の弟子になった子に教えたところ、私の目論み通り弟子はかなり優秀な成績を収めていた。そしてこの方法で私もそれなりに鍛え上げた成果を出せていると思う。しかしまだ私の鍛え方の方が上だと確信したのでさらに私は自分の体を鍛え続けた。しかし私は気づいてしまったのである。この子もかなり才能が有るという事に、私と同等以上の才能を持っているとわかってしまった。なので私の想定では私の元を離れていくはずだった。なのにこの子は私から離れることなくついてきていたのである。そして私は思ったのである。もしかするとこのままこの子を育てても大丈夫なのではないかと、しかしここで問題が起こったのであった。その問題とはこの子が私の事を好きになってしまったかもしれないと、私に対してそんな感情を抱き始めたので、それを正さなければならないと考えてしまったのである。

(この子は、私が貴方の事を好きなのだと勘違いさせてしまいそうな行動が多いから、注意しておかないといけないわね。それに私の事が好きだという事も勘違いなのよ。この子から私に向ける気持ちは尊敬や憧れの気持ちでしかないのだから。まぁ確かに私はこの子から慕われるような行動を心掛けてはいたんだけど、それも全ては私の目的の為にやっていた行動に過ぎないわ。それに、いくら私がこの子に好かれそうな行動を心がけていても私も人の子なのだからこの子の思いに応えることは絶対にないわよ。だって私はもう、すでに心の底から惚れ込んでいる人がいるんだから)

私にはすでに心から好きな人が存在している。私はそんな風に思ってからふと、私の愛しいあの人の姿を頭に浮かべていたのである。私はそんな風にしてあの人の事を考えながら、その日一日を過ごしてしまったのであった。そしてそんな日々が続いたある日のこと、私と、この子が一緒にお風呂に入る事になっていたので、私はその事について考える。私は別にそこまでこの子と、お近づきになりたいというわけではなかったのだが、私の愛しいあの人と私の事を間違えたままの彼女を放って置く訳にはいかないと思ったので仕方なく私はその事を承知したのであった。そして私は彼女に問いかけた。

(ねぇ、一つだけ聞きたいことがあるのだけれど、貴方は私の事が好きだったりするのかしら?いえ、私は貴方に好意を抱かれて困るというわけではないのだけれど、私が貴方の師匠として、この世界で生きる為に必要な事を教えてあげたりはしていたけれど、別にそれだけの関係でしかないはずよね。それで私にどうしてそんな事を聞いたりしたの?)

(えっ!?えっと、私は別に貴方の事なんてこれっぽっちも良いだなんて思ってませんけど)

私の事をこの子は完全に誤解しているようだとわかった私はその事を利用して彼女を揶揄う事にしたのである。その方法というのが、私をこの子が大好きだと思い込ませた。しかし実は違うというものだ。

(あらそうなのね。残念だけど私の早とちりみたいで、安心したようなそうでないような、複雑な心境だわ。それじゃあこの話は終わりにしましょう。さて、私はこの話をするのはこれで最後にするつもりなんだからしっかりと覚えておくのよ。私は貴方のことをなんとも思っていないってことを忘れてはダメよ。でも、私が貴方を嫌いなわけでもないのよ。貴方の事が大切だからこそ私は貴方に厳しく接してきているだけであって貴方が私の大切な弟のように可愛くて、つい構ってしまう。貴方と私の関係はそういう関係でしょう。私は、私の事を大切に思ってくれて、そして愛してくれていて私の事を助けてくれようとするこの子みたいな可愛い男の子なら誰でも私は好きになるからね)

その日の夜、私は愛しいあの人が作っているだろうご飯を食べたいとあの人にお願いをするのであった。するとあの人は、私の要望を聞き入れてくれたのである。その事を嬉しく感じながらも私はある事を思い出して落ち込んでしまった。なぜなら私はこの国に来る前までは自分の家の中だけで過ごしていたのでこの世界で美味しくて珍しい料理の数々を味わったことが一度もなかった。だから私は、今日食べたあの子の作った食事についてとても感慨深いものを感じていたのである。

(そう言えば私はずっとこの子の事を嫌っていたのにいつの間にか私はこの子の事が好きになってきているわ。私は本当にこの子の事を憎んでいるんだろうか。でも私は私の目的を達するためにこの子の事を道具として利用するために鍛え続けているはずだから、これは愛情ではなくて利用価値があると思っているから愛しいと思う感情を抱いてしまっただけかもしれないわね。それでも私は、この子の事が愛しいと思えてしまうのは、私の愛しの君と、そしてこの子の愛しい姿を重ねて見ている部分もあるからだと思ってるわ)

そんな風に考えている私の事をこの子は、少し恥ずかしそうな顔をしながらも優しく見つめてくれるのであった。そんな私達がこれから歩む道は険しい物になると覚悟を決めながら、私達はこの先どうなるのか不安に思うと共にそれでもこの先に待ちうけているであろう輝かしい未来に向かって歩き出そうと決意したのであった。

私が彼女と旅を初めて数日が経ったのだが、私達が歩いている道の周辺は草原ばかりが広がっているばかりで魔物に遭遇することもなく順調に進んでいけているのだが、彼女の話を聞く限り彼女の生まれ故郷でもあるあの国はとても大きな街らしく、彼女の家のある地域が田舎という事になっているのであった。そしてそんな事を聞かされた時、彼女の生まれ育った地域はいったいどんな所なのか私は疑問を抱くことになる。しかし私は、私の愛するあの人と同じ世界に存在している場所なのであればどのような場所であれどきっと美しい場所なのだろうと、想像を膨らませて、いつかそこに行ってみたいと強く願っていた。しかし私はその場所に行く事はおそらく叶わないと思うが、それでも私はその場所に行くことを夢見ていたのである。

「ところで貴方が育った村というのはどの辺りにあるのかは教えてもらう事はできないの?」

私はふと気になったので彼女に聞いてみた。

「えっとですね、この道をもう少し進んだ場所になります」

(へぇーこの子が住んでいた場所は、こんなに広い草原地帯なのね。この景色を見れるだけで私は満足できるわ)

私がそんな事を考えていた時に彼女は私の方に視線を向けた後、すぐに私から視線を逸らすと彼女は何かを言いにくそうな表情を浮かべる。

「もしかして私に言いにくい理由でもあったりするのかしら」

私は、そんな事を言う。

すると彼女はこう言った。

私は、自分が暮らしている村の事を話し始める。しかし、その内容はどう考えても普通の村に暮らす子供の話しではなかった。

この世界に存在する魔王は様々な種族が存在する。その魔王の中には勇者と関わり合いを持つ者もいるので私自身も勇者という存在と面識を持っているのだが、その私の知る中での勇者の実力はこの国の国王陛下より上だと思うのだが、その私から見ても、この子は異常だった。

そんな私の考えなど気にしていない様子で、私の事を観察し続ける少女に私は興味を抱いたのである。

(私がここまで力の差を見せ付けたというのにこの子はまったく動揺する様子が見えないのよね。おそらくは今まで何度もこういった戦いを繰り返してきたからこその冷静さを身につけたという事なのでしょうけど、それはつまり、それだけ死に近い体験を経験してきたということにも繋がる。この子の過去が凄まじいものであるということは何となく理解できたわ)

それからしばらくしてようやく目的の村に着いたようだったので、私もそこで立ち止まって彼女を見る。するとそんな私の様子に気付いた彼女が私の元に歩み寄ってきたのだ。私はその事に戸惑いを感じつつも私に声をかけてくる彼女に対して質問をしてみる事にした。すると彼女は私からの問いかけに答えてくれるのだがその返答を聞いて私は思わず目を見開いてしまう。というのもその回答内容があまりにも予想外で、信じられないものだったからである。そして彼女は続けてこう言った。

(貴方は、今から自分の目の前にいる女の子に殺されるのですが、それでも怖くはないんですか?貴方は、私の事を殺したくて仕方が無いと私もわかっていました。なのに何故貴方はこの子に殺されようとしているのですか。そんな貴方の行動に意味が有るとは私には思えない。私は貴方のような方には死んでほしくありません。なのでどうか貴方だけでもこの国から逃げて下さい)

私はそんな彼女の言葉に対して、自分の事を殺してでもこの国に居座ろうと決めたのである。私としては、この国が滅びたとしても問題がないと思っていたからなのだが、そんな私の考えとは裏腹に私の行動に驚いているのはこの国の人達であり、そして、私を殺そうとした張本人もこの子であった。

「なんで貴女は私の事を殺さなかったのよ!!」

私は、その事が不思議でしかたがなかったのでこの子に対してそう尋ねたのである。

(この子は、私よりも遥かに強いのよ。この子の攻撃を回避しながら逃げる事も出来たはずだわ。だけど私はこの子と戦って勝つことも出来ずに逃げ出すことしか出来なかった)

そうして私と彼女との間に一触即発の空気が流れたその時に、この場に新たなる人物がやってきたのである。

私の愛しいあの人が、この子の様子を見にやって来たのだ。そしてその人物は私の愛しい人ではないのだが、その人物の姿を確認したこの子は私の前から姿を消した。そんな事があった後、私は私を救ってくれたその人にお礼を伝える為にその人の元へと向かおうとしたのだがその人は私の事を助けてくれたにも関わらず私の元を離れていく。

(えっ!?どうしてこの子は急に私からいなくなったの?)

私はどうしてその人がこの子を何処かに連れて行くのか理解できずにいた。

そんな状況の中で私はある事を思い出したのである。

(そっか。確か私には弟がいるんだっけ。でも弟といっても血が繋がっている訳じゃなくてこの子のように私のために頑張ってくれていつも私の為に働いてくれる大切な部下の一人に過ぎないのよね。まぁそんな訳だから私は弟のことを呼び捨てで呼ぶことにしているのよ。ちなみに私の愛しいあの人の場合は弟ではなく弟みたいな子って呼んでいてその違いがよくわからないのだけどね)

私はこの子の弟らしき男の子の事がどうしても心配になってしまい、私は、この子と一緒にいたその子を追いかけてみる事にしたのであった。しかし、結局、私の想い人を見つける事は叶わずに私の旅の目的はここで終わったのだけれど私は、それでも良いと思い、そしてこの子に感謝していたのである。この子が私の弟を連れて行かなかったという事がどういう意図なのかはわからなかったが私はこの子の優しさに触れた気がしたので私は、私に敵意を抱いて襲ってくる魔物を撃退する事にした。そしてこの子が去って行った方向へ私は歩き始めた。

私と彼女の二人は、私がこの世界で目覚めた洞窟へとたどり着いた。そこには私の家族がいたのだが私の愛しい人はいなかった。私が、この国を出る前に見た愛しい人は確かに私の記憶の中にある姿と同じ容姿をしていたのに、今は何故かその姿が違うように思えた。

そして私が愛しい人と再会した時、愛しい人はなぜか泣いてしまっていたのである。そして私はその時になってやっと気づいたのである。私が、私の愛しい人の心を苦しめてしまっているのだと、そしてその愛しい人を泣かせてしまった原因を作ったのは他の誰でもない私自身であるという事を私はこの時になって初めて自覚した。そしてそれと同時に私自身の心に穴が空いてしまったかのように思えたのである。

その後、この国を出た私たちは、この世界での私達にとっての安住の地となるべき場所を探し求めながら旅を続けたのである。私はこの旅を、ただの暇つぶしだと思っておりこの旅が終わる事はないのだろうとそう考えていた。そして実際にその予想が当たっているのであるが私はこの時の私は知る由もなかったのであった。

(それにしても、あの子の育ての親が私の知り合いと全く同じ名前だという偶然はあるにしても、本当にその二人がこの世界で生きていたなんて、驚きね。でも私はこれから先もこの世界で生き続けるわ。だって私の愛するこの世界を守っていきたいと思っているもの)

私が愛する私の大好きな彼が私の事をこの世界に連れてきてくれた理由は分からないけど私は彼の事が大好きなので私は、この世界を守る為なら私はなんだってするつもりでいるのである。そして私の愛しい人が守ろうとしたこの世界を私が守り抜くためにも私はこの世界をもっと強くしようと努力をしてきた。でもそれは、今のこの世界を守るためだけの行為ではなくこれから生まれてくる子供達を守るために私は私自身が強くなる事を目標に掲げているのである。だからこそ私は、この世界の魔王という立場を捨てる覚悟を決めたのだった。

(それなのにどうしてなの!!私はあの人から嫌われる事をしたつもりは一切なかった。むしろ私は彼に好意を抱いていた。でもあの時、彼は私に優しくしてくれた。なのにあの人は私が彼を裏切ったと誤解したままどこかへ消えて行ってしまった。そんな彼に会うためには私はどうしたらいいのか分からずに悩んでいた。あの人がどこに行ったかも私には見当がつかなかったから)

私はあの時の出来事を思い出すたびに涙を流してしまう。しかしそんな私の気持ちなど無視するかの様に私に襲いかかる魔物は、私に傷を負わせようとするので私はそんな魔物に復讐を誓うのであった。

「絶対に貴方達は許さないから」

私がそんな言葉を吐いた直後私の目の前に突然、あの子が現れたのである。

その事によって私の意識は完全に切り替わる事になる。なぜなら私の愛したあの人は、私に対して優しい言葉をかけてくれた。しかしそれは私の思い込みでしかなく、あの人は私に向かってこんな言葉を口にしたのだ。

「ごめんね。俺が弱いせいでこんな事になってしまったんだよな」

私はその言葉を聞いて絶望した。私の愛するあの人は、自分の事を弱かったのだと言うのだ。私が愛する貴方はとても強い人だよ。私が貴方と出会った時から貴方の強さをずっと見ていた。貴方は決して弱くないのよ。貴方は自分の事を弱いと言っていた。私はその事に反論することは出来なかった。私とあの人が戦う機会は何度かあった。しかしその全ての戦いにおいて、私の攻撃は通用しなかったのだ。それはつまり、あの人の力が強いからこその事実であって、私はその現実を受け入れていたつもりだった。しかし、その考えこそが甘さであり、そして私は、その事実を受け入れることが出来ずに、自分の心を偽り続けてしまっていたのである。

私の心の奥深くに眠る本音の部分。それは私とあの人が戦っていた際に私の身体が悲鳴をあげていたというのにも関わらず私は戦いをやめようとせずにいたのだが私は途中で痛みのあまり戦いを続けるのが嫌になっていたのである。

(あー、もう!なんで私だけがこんなに苦しい思いをしているのよ。なんで私だけなんで私一人が痛い目を見ないといけないのよ。私は別に何も悪い事していないはずじゃない。なのに何で、あの人も苦しそうな表情を浮かべていたのよ)

私は、自分が犯した罪の大きさを知ることになる。私の行動の結果としてあの人が私に対して怒っている。そんな状況を作り出したのは私の責任であるのだ。そして、私のそんな行動を私は受け入れることができなかった。そして私はあの人が、私に別れを告げるその瞬間までその事に気づくことが出来なかったのだ。そしてあの人は、私との決別を決意したのだ。あの人は私とあの人が過ごした時間を大切に想ってくれていてくれたのだ。しかし私はその大切な時間を自分の身勝手さと我欲の為だけに失くしてしまったのである。

(そんな私なんかが、この世界に居場所があって良いわけがないじゃない)

私はその事を理解してしまい自分の愚かさを改めて実感したのである。

(この世界は、この国を滅ぼそうとしている私の存在すらも受け入れてくれるような寛容さに満ち溢れていてとても居心地が良いの。この国の人達も皆、私に対して優しかった。だから私はそんな優しさに包まれながらゆっくりとこの国で過ごす事を望んでいたの。そして私の愛しい人は、そんな私を快く迎え入れてくれたのよ。私は、この国の人に感謝をしている。そして私を育ててくれたその人の子供にも私は感謝していた。だけどあの子が私を殺す事でこの国が滅びようとしているというのならば私はあの子に抵抗しなければならないのよね)

私はそう決心して、あの子がこの場から去った後にこの場に残る魔物の群れの対処に回った。私の大切な人が残したこの場所を守る為に。そしてあの人がこの場を立ち去る前に私に向けて告げた一言を私に守らせてくれた。

私は私の愛しい人に誓った。必ず私の力でこの国を守り抜いてみせると、私のこの手で、私の愛しい人が大切にしてくれていた場所を、私が愛しい人に認めてもらえる場所を私がこの手で守るんだと。

(そして私はその誓いを果たす為に今ここにいる。私は私のこの力を正しく使えるようになって見せるわ。私が私の手で救えるものをこの両手から零れ落とさない様にするためにも、私が私の愛する人をこの世界で失ったように私に出来る限り多くの人達を救う事が出来るようになるんだ。私のような存在がこの世には必要ないんだ。私は、私の大切なものを失う為にこの世界で生きているんじゃないのよ。私には大切な人たちを守る為の力が必要でこの力が私にあるのなら私はそれを最大限活かす為の方法を身に着けなければならないの。だから私はこの国を滅ぼすという運命を自らの意思で変えてみせて、この国を私自身の手に取り戻す)

私は私の愛しい人が残していった大切な場所を守りながら、私の大切な人への恩返しの為に今日を精一杯生きていこうとそう決意していたのであった。そしてその想いは、この国に危機が訪れているというのにもかかわらず私に力を与えてくれる。私にとっての生きる意味、それはこの国と、私の大切な人と一緒に暮らしたあの日々のかけがえのない思い出なのである。だからこそ私はその全てを護り抜く覚悟でこの世界を救いたいという私の願いが、私が愛した人の望んでいることだと信じたい。

私には愛しい人の全てが理解できるわけではないけれど、それでも私がこの国を好きになったのは間違いなく彼のおかげだと思うし、この国は私の故郷でもある。だからこそ、この国の人達には私の生まれ故郷の国が無くなるところを見てほしくはなかった。

(私がこの世界を救ってみせる。私が愛した人の望み通りに私がこの世界を変えてみせるわ。だってそれが私の愛しい人がこの世界で生きた証になるもの)

私がこの世界に来てからの全ての始まりの場所となったあの場所で私が私として生きていく上での最初の場所を、私が、私が、この国を、私達がこの国を滅ぼされない為の戦いを私は始めることにしたのである。

(ふっ、どうやら俺が思っていたよりも俺はあの子とあの子の弟にとって、いい兄だったようだな。まぁ、それはそれで、なんだかなぁ。それにあの子があの時の俺と同じ気持ちになってくれるとは思ってもいなかったしな。ただ俺があの時と変わらない人間のままでいたらきっと俺を慕うような子が現れてくれないだろうと思っていたからこそ、俺自身も変わらなくちゃいけないと思ったんだけどね)

俺が俺自身の事について悩んでいて、その悩みを打ち消すかのように何かをするべきだと考えていた。

そしてその答えをようやく導き出したのは、この世界に来る直前の事だった。

その時に思い浮かべた言葉がある。それは、『後悔先に立たず』という言葉だ。この言葉を思い浮かべると同時に、俺の中で今まで感じてきた事が頭の中に蘇ってきたのだ。それはまるで走馬灯のように、様々な感情が流れ込んできた。それは俺自身でさえも驚くほど、たくさんの感情が、頭の中を駆け巡っていた。そしてその言葉を思い出したことで、俺の胸の奥深くに突き刺さる何かを俺は見つけた。

それは、俺の心の叫びだったのかもしれない。

俺はずっと前から自分の弱さが嫌いだった。でも、それ以上に、自分自身の強さを信じ切れていなかった。その事が大きな要因だったのだろうと思う。そしてその事が、俺と弟達との間にある決定的な差だったのだ。だからこそ俺は自分の弱さに負けない強さを求めたのだった。その事を弟にも求めようとしたのだが、あいつは弱虫な奴なのでその弱さを変えようとはしなかった。でもそれは仕方の無い事なのだ。そもそもあの子はそういう性格であり、それ故に自分を変えようとする勇気が無いだけなのである。そんな弱い自分を責めるだけで、それを変える事はしなかった弟に俺から教えられる事など無いに等しい。それどころかむしろ逆効果になりかねなかった。なのでその問題に関してはもう諦めていたのである。

(あの時、弟が言った言葉が忘れられなかった。『僕に力があればこんな事にはならなかったんだよ?姉さん』っていうあの言葉がな。あの言葉を聞かなかった事にすれば俺達はもっと仲良くなれたんだろうか?いや、無理だろな。あんな言葉を聞けば誰であろうと怒りを感じるに決まっている。俺にそんな器用な事が出来るわけもないんだしな。結局はお互い様なのかもしれん。だが、俺の場合は少し違う。なぜならあの子に嫌われようが何しようが俺にとっては、どうだって良かったんだ。だって俺はあの子のことが好きだから、たとえどれだけ憎まれたとしても、あの子を守りたいと思っているんだ。それだけの愛情を持って接して来ているのだからな)

そんな考えを持っているせいで、いつの間にか俺は自分のことさえ分からなくなっていたのだ。

(あの子のことを理解しようとしないくせに自分のことは分かっているつもりでいたが、本当は何一つ分かってなんて無かったんだよな。あの子を守る事が自分の役割だと、自分に課せた使命感に酔い過ぎていたせいもあるのだろう。あの子を守れなかった俺が何を偉そうに語っているのかって話だしな。だからもう二度とあの子と同じような過ちは犯すまい)

そう思ったのである。だから俺はこの世界で俺なりの生き方を模索し、あの子がくれたこの力の意味を考え抜いた結果が、この世界に来た直後にあった出来事であり、その結果生まれたのが今のこの国の形なのである。だからこの国を守る為に、この国の未来を守る為に、俺は全力で戦うと決めたのだ。

そうして俺は今、魔物の群れと向かい合っているのだ。

「さてと、まずはこいつらの親玉の居場所を突き止めないとだよな」

しかしその時であった。突然目の前に人型の魔物が現れたのだ。しかもかなり大きいサイズである。そんな魔物を見た私は咄嵯に攻撃態勢に入りかけたが、魔物の方から攻撃をする意思がない事が分かると私はすぐに構えを解き臨戦態勢を解除したのである。

そして私に対して人型になった魔物が、私に対してある事を話し始めた。

その話を要約するとこうなる。私に倒された仲間達が私に助けを求めているという事。私に復讐したいという事。私に殺されたくない事などを告げていた。

そんな彼らの話を聞いているうちに、この国に攻め込もうとしている者達が私の想像していたよりも、遥かに巨大な勢力だということに気づかされてしまったのである。その事実を知った私は驚きを隠すことができなかったのである。

そんな私の姿を見ていた彼らが言うには、私を襲っている者たちを私の力で倒して欲しいらしい。そうしなければ自分達の命が危険に晒されてしまうのだという事。

彼らは、私が倒した者の死体を吸収しながら生きていた存在だそうだ。

だから私のことを恨んでいるはずなのに、どうして私に協力してくれようとしているのだろうと私は疑問に思ってしまったのである。しかしその疑問に対しての返答を聞いた事で私はその謎を解明することができたのであった。

その理由とは彼らにとって私は脅威となり得る存在だったということであった。つまり私が彼らに恐れられているのはその圧倒的な力のせいであるということ。そして私は自分がどれほど危険な存在であるかという事に、私はこの瞬間初めて気づいたのである。

(確かに私は他の人と比べて桁違いの力を持っていた。だけどその力がまさかそこまでの影響力があるものだったとは。私は自分の力が強すぎる為に周りの人間に危害を加えないように注意を払っているつもりだったけど、無意識のうちに私は私の大切な人達を傷つけてしまっていたという事なのか。だからこそ、この人たちは私の事を恐れてしまっているのだろう。私がもしもこの力を悪用するような人物であれば、この国の民も皆私と同じ目にあってしまうのではないかと不安になってしまったから、こうして私に協力を申し出てきたという事なんだろう。私は私が思っていた以上に周りから怖がられていた存在であったという事だ)

その事に気づいてしまったからにはもう、私は私の力をこの国の為に使うという事を心に誓ったのである。

そして私はその決意をした直後に私に話しかけてきたこの国の住人に私はこう伝えたのである。

私の力は私自身が一番知っていると、だから私には私の力がこの国を滅ぼす可能性など無いという事を、だから私には私の力がどんな形で使えるかを確かめてみたいのだと告げた。

私としては、私はこの国に敵対するつもりは無いということをはっきりと告げることができたと思う。そして私の言葉を信用したその人は、私の力を確かめる為の場所を用意するから付いてこいと言われた。私はそれに従ったのである。そして私とその人たちはある場所へと向かったのであった。その移動中に私は、その人たちが私の知らない言語で会話をしていたのである。

そこで私はその国の人間たちが、私が知らない別の国の言葉を普通に話す事ができ、そしてそれを当たり前の様に受け入れていることに、この国の歴史について思いを馳せることになるのだった。

そして目的地に到着した後に私の実力を見せてもらうと言いながら私の前に一人の男が姿を現したのだった。

(ふむ、これはどういう状況だ?俺の認識が正しいのならばあの子はとても強くなっているように思うんだが。あの子は本当に、俺の妹ではないんだよな?見た目は似ていないし。ただ髪の色とか瞳の色は一緒だからやっぱり血縁者で間違いはないんだよな。そしておそらくあの子が俺に襲いかかってくるであろう敵を俺が返り討ちにした場合に発生するであろう被害を抑える為なのかもしれないな。だが俺の予想通りならあの子はかなり強いぞ。ただまだ俺と闘うだけの段階まで達せているとは思えない。あの子がどこまで成長しているのかが問題になるな。もし仮に成長したのであるならば、俺は全力を出さないと危ないかも知れん。あの子は俺に本気を出させようとしてきているわけだし、俺もそろそろあの子に負けっぱなしは情けないから、そろそろ反撃してもいいよな?)

そうして俺とあの子は互いに向かい合った状態で闘い始めたのである。

最初は様子見から始まったのだが、どうやらあの子は既に俺の攻撃を全て予測しており全て紙一重で避けるか防御するかし続けているのだ。俺は正直驚いてしまい攻撃を止めると俺は思わず呟いていたのである。

「お前は何歳なんだ?何故俺の攻撃を受けられる?そして俺が今まで戦ってきた中でも間違いなくトップクラスの実力者のはずだが?」

俺がそう聞くと彼女は嬉しそうな顔をしながらこんな事を言ったのだ。

俺が君より年上だという事を認める発言をしてきたのだ。それに驚いた俺は、さらに彼女に質問をすることにする。

(まぁ、それは別に構わないんだけどさ。俺はあの子の事を妹のように可愛がっていたのだからさ。でも、俺の事を完全に無視してたわけだしさ。その事がちょっとショックなんだけどね。それに年齢に関しても俺と大して変わらないだろうに。あの子の姿を見ると明らかに俺と同い年には見えないんだよな。あの子はまだ十歳になったばかりの幼女だと思うのだが)

俺はあの子の外見と中身とのギャップの凄さのせいで、どうしても信じられない気持ちになっていたのであった。そしてそんな事を思っていると、彼女が衝撃の事実を語り出したのである。

(いやいやいやいや、さすがにそれは嘘だろう!?だってあの子は絶対に十歳の少女の容姿をしてないからな。どう考えてもその倍以上は生きてないとおかしかった。だから俺の勘違いでしかないはずだ!)

そんな事を思った俺であったが、俺はそんな事を考えるのをやめて彼女との会話に集中しようとしたのである。しかし彼女は自分のことについて語るばかりで、俺は結局彼女の名前すら分からないままであった。だから彼女の名前を知りたいと思った俺は、思い切って彼女に聞いてみたのだ。すると意外な答えが返って来た。その返事が、黒井祐介だと答えたからである。そして俺はあの時あの子のことを妹だと勘違いしていたのだから、あの子の言うことは信用するしかなかったのだ。

(あの子の正体が何であろうと俺はあの子の姉貴分として振る舞うつもりだ。それがたとえ、あの子の意思に反していたとしても俺はそれでもかまわない。そもそもこの国の王なんてものはそんなものだ。自分の身内を護ることだけを最優先にして、それ以外のものを見殺しにしてしまうことなんてザラにある。だからこそ、あの子のような子が国を支えているというのは、この国が平和に成り立っているという証なのだ。俺みたいな存在がこの国の王になってしまえば、きっと今以上に荒れ果てるだろうな。俺は自分の命を犠牲にすることでこの国の人達が救われれば、それだけで俺は幸せだと思っている。だからこそ俺は自分の存在を消したとしてもこの国の民を守り抜いてみせる。それがこの国の為になるとわかっていればな。あの子と出会ってからはそういう覚悟ができたのだ。しかしあの子の正体に関しては、俺は少しばかり興味があった。だから彼女から直接教えてもらいたかったのだ。その正体を知った後であの子をどうするのかを決める為にな。しかし結局、俺は彼女を信じる道を選んだ。だからもう迷うことはないさ。自分の意思を曲げずに進み続けるだけだ)

私はその問いかけに対して無言を貫くしかなかった。なぜならば、私の名前は貴方に名乗れるようなものじゃないとしか言いようがなかったから。私は、あの子の名前を名乗る資格が無い存在だと理解していたからだ。

だけどそんな私の態度が気に入らないとでも言わんばかりにあの子はこう私に告げてきたのである。

私の事はユウとお呼びくださいと、そんな事を告げるとあの子は私の元から立ち去ろうとした。その事に気付いた私は慌ててこう言葉を口にする。

(ああっ!!違うの。今のはその名前を私が受け取る事はできないから。私はこの国を守るために生きなければいけないから、そんな私の側にいたのでは貴方の身も危険な目にあってしまうかも知れない。それに私はこの国の為に私にしかできない戦いをしているの。だから私の事を心配してくれている貴方のその優しさが、私の心を揺さぶってしまうからこそ私にはその名前を受け取ることはできない。だから私の名前を貴方が覚えてくれるという事だけでも私はとても嬉しいから、どうか私の名前を呼んでくれませんか?)

私のその願いを聞き届けてくれたあの子はこう言ってくれた。私の本当の名前はクロナだと言う事。私は私と同じ境遇を持つあの子がこの先どんな成長を遂げるか見てみたい事。だから私の事を助けて欲しい事。そして何よりも、私を信頼してくれている事を話し、最後にあの子は、この国の民を守る為ならば私と一緒に戦ってくれると誓ってくれたのである。

その話を聞いた私は涙を流してあの子にこう伝えたのだ。ありがとうございます。私はあなたがそこまで私のために尽くしてくれていることを嬉しく思っていますよと。すると、私のこの反応を見て戸惑ってしまったようであの子は顔を赤くしながら、私に対して何かあったのですかと訪ねてきたので私は素直にその出来事を彼女に話したのである。

(まさか私がここまで他人に感謝できる日が来るとは。本当に不思議な感じだ。私の人生の中で一番幸せな時間かもしれないな。あの子の力になら喜んでなりたいと思っている。そしてこの子を守ってあげられるのは私だけなんだから、私が強くなってあの子を守らなければならない。あの子も私と同じ境遇を持っているのならば、これからも辛い人生を歩まなければ行けないと思う。私にはわかるんだ。私の兄さんと同じように。だから私には、あの子の心の支えに少しでもなることができればいいんだけど。でもあの子が私に期待を寄せているという事だけで、私は満足だよ)

そんな事を考えながらも私は再び戦闘に集中する事にしたのであった。それから私達は互いに相手の攻撃を防ぎ合う状態になってしまったのだ。その状態で私はこう口にした。私には私にしか使えない技があるのだと告げる。それを聞いた相手はこの状態から脱する事を諦めたのか私の攻撃を大人しく受け入れることに決めてくれたようだ。私はそんな相手に手加減をするのをやめることにした。そうしないと相手を確実に殺す事になるかもしれないからである。私はその力を使い、相手を殺してしまったのである。

私のその力は強すぎた。そして相手が死んでしまったのを実感した途端に私も精神的に疲れてしまい意識を失ったのである。

次に私が目覚めた場所は見知らぬベッドの上だった。私は起き上がり辺りの様子を伺おうとしたが体がうまく動かないことに気づくと声を出し助けを求めようとした。その時、あの時の少女が私の側に現れ心配そうな表情をしながらこちらに駆け寄ってきたのである。

そこで私が気を失う前の状況を思い返した。

そうだ。彼女は私が気を失いそうになる前に確かに死んだはずなのだ。

(じゃああの人は一体?いや、今は考えるのは後にしよう。それよりもまずはあの人に謝罪をして事情を説明してもらわなければ)

「えっと?ここは何処でしょうか?あの人はどうしてここにいないのですか?」

「あら?気がついたんですね。良かったです。あと貴女が倒れた後にここの宿の人が来ましてね。どうやらこの国の王女様である貴女を看病するように頼んできたんですよ。なので私達が責任をもって貴女の事をお世話をさせてもらいます」

そんな言葉を告げた後に彼女が私の額に手を当てながらこう話しかけて来たのである。

大丈夫ですよ。あの人には後でちゃんと説明してもらいますから、と。その事を聞いた瞬間、私の体から冷や汗が流れ落ちた。あの人が無事だという事が分かった事で少しだけホッとしたがそれと同時に疑問が生まれてくるのであった。彼女はあの人の事を知っているのか?

「そう言えばまだお礼を言っていませんでしたよね。助けていただいてありがとうございました。ところで貴女とあの方との関係性を教えてもらってもいいでしょうか?できればでいいのですが、出来れば名前で呼んでいただけたら助かります」

「名前で?わかった。そのかわり僕の名前はユウと呼んで欲しいかな。そうそう!僕の事は気軽に君の兄のように接してくれたらありがたいんだけど、それでも問題ない?」

「はい。それでお願いします。でも、どうしてそこまでしてくださるのですか?」

「僕は別にこの国に忠誠を誓っている訳でもないから、貴女達の為に働くつもりはないんだよ。だって貴女が困っている時、この国にいるはずの貴女の姉とやらがこの国に駆けつけてくれなかったんでしょ?なのに、貴女がピンチの時にはあの男が駆けつけてくれるのに。だから少しは姉の代わりに妹の力になろうかと思っただけさ。もちろん貴女に無理矢理に押し付けるようなことはしないけど。あくまでこれは、僕の個人的な意思でやる行動に過ぎないからさ。でも勘違いだけはしないでね。もしもこの先あの男に会うことがあったのならば、あの男の行動をあまり褒めないように。あの男はそんな善良的な人間じゃないから。むしろあの男の行動が許されるというのであれば、それはきっとこの世界が終わっているって意味だと言えるぐらいだ。だからこそ、今のうちに忠告しておくから。あの男の言動はあまり鵜呑みにしないようにして欲しい」

その話を聞いた時に私は目の前の女性がいったことが信じられなかったがあの人と初めて出会った時からの違和感の理由を知ることができて、どこかスッキリすることができたのである。しかしあの人には絶対にこの秘密を知られてはならないと感じたのだ。なぜならばあの人からすれば自分の大切な人を殺されたと思わせる原因を作った張本人でもあるからである。そして私は、この女性から絶対に離れられない事を改めて思い知らされた。だからこの人に言われた通りにするしか私に道はなかったのである。(どうせもう逃げ場など存在しない。だから私もこの国の為にこの力を役立てよう。例えあの人が敵に回ることになったとしても私は、この国が救われる為の犠牲にこの身を投じよう)

そんな決意を抱いた私であったが、とりあえずあの人ともう一度会う事を目標に私は自分の力を最大限に活用しあの人を探し始めた。しかしその努力も虚しく、あの人と再会を果たすことはできなかったのである。しかしそんな私の前に現れたのはこの国の王であり、この国の姫でもあった。そんな人物に出会った私はあの人と再会した際の為にこの人達の情報をできるだけ集めておいた方がいいと判断しこの二人から話を聞き出したのだ。しかしあの人達の情報を集める事は不可能だと悟り諦めることにした。そして私はこの王を自分の主とし仕えることにした。

私がこの国について知りたかった理由はただ一つ。

この王が何をしたいのか、それを知ればこの先あの人を見つけ出せるかもしれないと。そして私自身がこの王の器量に賭けたのだ。もし私にこの王の力量が及ばないと分かればこの国の事をすぐに切り捨て、私一人ででも他の所に行き、またあの人の情報を手に入れるつもりだった。でもその心配も必要がなかったようである。この王は私の目から見て、かなりの切れ者だということはすぐに理解できたからだ。だから私はこの王に心から忠誠を尽くすことに決めたのである。

そうすると私の中でのこの国に対する評価がガラリと変わってしまい、この国を守る為に全力を尽くそうと私は考えるようになった。だからあの人と再開できる日を信じ私は私が出来ることをしていく。

それが今の私の生き方だと、自分に言い聞かせる日々が始まった。そんな私の願いがようやく叶う時が来たのであった。

その日の夜。私がこの国に来て最初に泊まった部屋に戻ってきていると部屋の外から私の名前を呼ぶ少女の声が聞こえたので私は慌ててドアを開け外に出たのである。するとそこには私と同じ年齢くらいの少女と、その隣にはあの時の男性の姿があり、私を見て微笑んでくれていたので、その姿を見て嬉しさで胸が一杯になった私は涙が溢れ出してしまいその場で泣いてしまったのだ。するとそんな私を二人が優しく慰めてくれたのである。それから三人で食事をとりながら色々と話をしていると、突然、男性が立ち上がり私に近付いて来て、私にこの剣を渡してきたのである。そしてこの国の宝であるこのエクスカリバーを手渡したのだ。その剣を手にした瞬間、私は全身に力が湧いて出てくるのを感じた。この剣の力を感じ取った瞬間に私はその人物がこの国を救える存在であると確信し、この男性に全てを捧げる事を決意したのである。だから私はその男性の手を握り返しこう告げた。

(私もあの人のように貴方のために命を尽くします。だから私のことも信頼していただけると幸いです。それとこれからよろしくお願い致します。私の名はクロナと言います。どうぞクロとお呼びください。私の力は全て、あなたの為だけに使う事をお許しいてください)

私のこの想いを聞いてくれた男性は私に握手を求めて来たので私は喜んでその手を握ったのであった。私はこの人の力になれるように精一杯のことをするつもりである。そしてこの人がどんな未来を描き出しているのか、その光景を見られるだけで幸せだと思ったのだ。この人は私にとって憧れの存在でもあり恩人であり目標だと思った。だからこそ私は私の全てを持って、この人に仕えることを決意したのだ。その事を心に刻み込んだ私はその剣を大切に保管した。

「ふぅ。それじゃあそろそろ時間なので私は帰ります。またいつでもいらしてください。そして私達を見守っていて下さい」

そう告げた後、二人は笑顔で私に向かって手を振りその場を去っていった。そんな二人を見送っている私は二人の姿が見えなくなると自然と笑みを浮かべた。それから再び部屋に戻ると、この部屋に残されていた私物の回収を始めることにしたのであった。そう言えば、まだ私は自分が使っていた荷物を取りに行く事を忘れていた事に気づき、私は早速この宿にある私の私室へと向かう。そういえばここに私物を置きっぱなしにしていたことを思い出したのだ。私が使用していた部屋は、まだ誰も使った形跡のない綺麗な状態であった。私はこの部屋に入ると真っ先に机の上に置かれていたあの人にプレゼントされたペンダントを手に取る。あの人がこれをくれた時の出来事が今でも忘れられずにいる。だって、その出来事のおかげで私はあの人に少しでも近づくことができたのだと思うから。そうして私はそのペンダントの紐の部分がボロくなっているのに気づいて、新しいものに取り換えようとその道具を探すことにする。しかしどこにもそれらしい物が見つからなかったので仕方なく宿にあった裁縫箱を借りることにした。そして針と糸を取り出すとペンダントを補修してあげたのである。そして最後にそのペンダントの裏の方にあの人がつけているペンダントと同じような模様を描いた紙を張り付けて、この作業は終了したのである。そして次にこの宿で使える分のお金をかき集めると私はその宿を出るのだった。

宿を出て街を歩くと街の人は皆私に挨拶をして来るので少しだけ恥ずかしかった。その気持ちを隠すようにして私はこの街の地理をある程度把握するために適当にぶらついていたのだが、そこでとある屋台を発見すると私はそこに向かう事にする。そのお店は焼き菓子を売っていたようで、私はそれを購入することにした。どうやらここの店主は若い女性でこのお店の商品は彼女一人で手作りでやっていて、味の方は評判がよく、人気もあるお店で繁盛していたのだ。そして私がこのお店の商品を購入した理由だが、それは私がここに来た時にあの人に食べさせたくて購入したのだ。しかし私はあの人と再会することができなかった。だから今度あの人に会えたらその時に食べてもらおうと思っている。

そして私がこのお菓子を購入するとその女性店員から話しかけられ、私に興味を持ってしまったようなのである。だから少しだけ彼女との会話を楽しんだ後、この女性とは別れることになったのである。そんなこんなしていると辺りはすっかり暗くなり始めてしまい急いで私は城に戻ることにした。あの人から貰ったこの剣が折れないように注意を払いつつ私は自分の住んでいる部屋に到着すると、そのまま自分の部屋に向かいこの国から脱出するために必要な荷物の準備を整える。私はその作業を夜中まで行いようやく終わることが出来た。後はこの国から離れるだけである。しかしその時、突然誰かが私の部屋に入って来たので私は慌ててその相手に対して身構えてしまう。しかし相手の顔を確認すると私はその人を見て、私は驚いてしまうのであった。

なぜなら、それはあの人の姉と名乗る人物であったからである。

私は目の前にいる彼女の正体を確かめる為に彼女に話しかける。すると彼女は自分の名前を名乗ると、なぜか私を抱きしめて来たのである。私はその行動を咄嵯に拒むことが出来なかったのはおそらくこの人の瞳に涙が溜まっていたからだと思われる。その行動の意味を知りたくて彼女の言葉を待つと私に質問をしてきたのである。

そして私は彼女の問いに正直に答えてあげることにした。その回答に彼女は私を離すとどこか安心するような表情をしていたのだ。

そして彼女は私がこの国を離れようとするのを止めてくるのである。私はそんな彼女が私を呼び止めた意味を考え、その真意について尋ねてみると、その返事を聞いた私は大きくため息をつく。そしてそんな私の姿を不思議そうに見る彼女に向かってこう言ったのである。

すると、彼女はそんな私を見て何かを言いかけたので私はその言葉を遮ってから話し始める。

(あなたはあの人に会いたくないのですか?)

私はそう言ってから彼女に詰め寄った。その問いかけにあの人が私の前からいなくなった原因を作った人物があの人であることを教える。しかしそれでも彼女は私の事を疑うような態度をとってくるので私はさらにあの人との出会いを話してあげたのだ。しかし、それでもまだ信じられないといった様子だったので、あの人と初めて出会った時の事を詳しく教えて欲しいと私は頼んだのである。するとその人は私があの人の事を本当に好きなのか試してくると言ってきた。私はその言葉を聞くとすぐにこの場を離れてしまえばよかったのだけれど、あの人の事を思いその誘いに乗らない事にした。そして私を自分の部屋に連れ込むと、私にキスをしてこようとしたのである。そしてその行動に我慢が出来なかった私はその人を床に押し倒し無理やり口付けをした。その事に怒った女性は今度は私を押し倒そうとしたのである。私はこの場で殺されると思ったがあの人の為と思いその女性の行動に耐えることにした。するとその女性は私の顔を見るのをやめてくれたのである。私はその事にホッと一安心するが、次の瞬間には私は何故かその女性の膝の上で抱き枕のような扱いを受けることになったのである。そしてその人はとても眠たかったらしく私と一緒に寝ることを提案してきたのであった。

そして私が目を覚ました時はすでに朝になっており、私の隣では私と同じように裸のその女性が気持ちよさそうな顔をしていたのである。私はこの女性とそういう関係になったのだと思いその女性に視線を戻す。しかしよく見ると私の知っている人とはまったく別人でとても驚き声を上げてしまう。そんな私にその人は慌てて起き上がり何があったのか説明をしてくれる。

しかしその話を聞いた私にはその人が嘘を言っているようには見えず、どうしようかと悩む私。その人に私には貴方の事がどうしても必要だと言われたのである。その事を言われた私は悩んだ末、とりあえず私はこの人の提案に乗ってみることにした。そしてその人がこの国を治める王に私の事を会わせてくれるというので私はその言葉に従うことにしたのである。そしてその女性は私の服を持ってきてくれたのであった。

(クロちゃん!!やっと見つけた。クロちゃぁああーん!!!会いたかったわ。私寂しかったんだよ)

(あ!クロナさん。良かった。もう大丈夫なんですね。それでクロナさんの事を探されてたのはどうしてなんでしょうか?もしかして僕の為とかだったりしてね。なんて)

私はこの人の正体を知った時に私はこの国の王妃様だと聞いて驚いたのである。その事は後から聞いた話なんだけど、この人は本来ならこの国を治めていた人物の娘なのだという。でもその事実を隠していた理由はこの国の王の命令によるものだということだったのだ。

この国は魔王を倒すための勇者を召喚するための場所であり、その召喚された人達はこの世界で暮らして行けるようサポートするのが役目なのだそうだ。その為、勇者は特別な力を持っておりこの国の人間とは違った力を持っているらしい。そしてこの国の王が私をここに残したのは私が聖女としての力を持っていたからということだったのだ。

(この子達の為にもこの国の事を守らないといけないと思ったんです。ですからどうかお願いします。あの子の事を探してくれないでしょうか?)

私はあの人を探し出す為に協力する事を伝える。その事を約束してくれた私とあの人のお母さん。そのおかげで無事にこの場所での生活に慣れることができ、この生活を続けていく事ができた。そんなある時に私の力が覚醒してこの国に危ない状況が迫っていることがわかった。それは魔物が大量発生し始めたことである。しかもその発生元は明らかにこの城の中だという。だから私はその状況を打開するために力を開放しあの人のお母さんが私に託された剣を取り出して戦うことを決意する。そしてこの城を救おうとしていたあの人を助けようと決意して私はあの人のもとに向かったのである。

「まさかあの子がここまでやってくれるとは思っていませんでした」

私はその話を目の前の二人に伝える。あの時は私にとっても大切な人だったけど、その人がこんな私のために色々と尽くしてくれたのだと考えるだけでも嬉しくて仕方がない。だから私達はこれから先もずっとあの人に着いて行きたいと思ってる。そう思うのはきっとこの人も同じなはずだよね?

「そういえばその人がつけていたペンダントなんですけど、その人が大切に保管していた物みたいですよ」

「そうでしたか」

私がこの人が身に着けていたペンダントについて話したらあの人はすごく落ち込んでいたように見えたので私はそれを励ますために彼に笑顔を向けたのであった。そしてそれから暫くして私と彼女は再び旅に出ることになる。もちろんそれはこの世界を救うためであるのだが、実は私達が旅に出てしばらくしてあの人は亡くなったという知らせを耳にする事になる。それはどうやら魔物の侵攻を防ぐ為に自らを犠牲にしたのだという。あの人が死んだことを知った私とその人はとても悲しんでしまった。しかしそれでも私は私に優しくしてくれたあの人を想うと、私はその想いに応えられるだけの人になりたいと思うようになりその日からよりいっそう努力をするようになった。そのおかげで今の私が存在することができた。だからこそ私にとってその人は大事な人であり絶対に失ってはいけない存在であった。そしてその人は今、私の隣にいる彼女と共にこの世界に平和をもたらしてくれている。私はその姿を見て感動してしまったのである。そして私がこの国に来た時には私達のことを快く受け入れてくれたのはこういう理由があったのだと思うのであった。

僕は目の前で起きている光景を見て正直困っていた。なぜかって?それはこの城の姫様である女性と目の前の女性との会話についていけていないからである。そんな二人の会話を聞きながら、ふとその女性を見て気がつくとこの人もどこかで見たことがあると思えてきて頭を抱えてしまったのである。

(ま、まじか。そんな偶然があるとは。確かに似てはいるが違うだろうと思っていたんだがな)

僕はその事に戸惑いを感じてしまいながらもその話を聞く。

その話がひと段落つくと今度はこちらに話題が移り変わる。すると女性はいきなり僕に向かってとんでもない事を話し始め、その内容が本当なのかを確かめるために僕は自分の身分を名乗ることにする。すると、案の定目の前にいる彼女は目を見開き驚くと、なぜ僕がその言葉を知っていたのかを問いかけてくる。そしてその言葉を聞いた彼女がその答えを言う前に僕はあることを思いついた。それは目の前にいるこの女性が自分の事をクロと呼んでいたことだ。

そして目の前にいる彼女は僕が以前出会ったクロという人物であることを確信した瞬間でもあったのだ。

(そ、そんな事があるはずがないよな!?だってこいつはクロの本当の名前を知らないはず。でもあの人が生きていたらそれぐらいの情報は持っていてもおかしくはないか)

その言葉の意味を理解すると今度はその人物がクロと呼ばれるようになる前の呼び方を思い出してみた。そしてそこで一つだけ当てはまる名前を見つける。

「お前まさかクロナか?」

僕は恐る恐る目の前の人物にその名前を口にしてみる。そしてその人物は僕の予想通りにその言葉に反応を示して動揺し始めたのだ。

しかしクロナはなぜか僕のことを見て驚いているような素振りを見せる。そんな彼女の様子を見た僕はもしかしたらこの世界のクロではなく別の世界線の同一人物ではないかと思い、そのことを彼女に質問する事にした。

すると彼女はそんな質問を投げかけられて一瞬黙ってしまうとそのまま何も言わずに俯いたのである。その表情からはどうしようといった様子が見てとれたので、恐らく自分がその事を話すと僕に迷惑をかけると考えているような気がしたのだ。そして、この場にはもう一人の人物がいることに改めて気づくと、その人のことも確認しておくことにした。

(さて問題は彼女がどうするかだよな。一応は僕に協力的な感じがするが、このままこの人がクロだと認めなければ協力してもらうわけにもいかないんだよな。この人にこれ以上嘘を重ねさせるのはよくないし。それに僕が知っているのはあくまでもこの人であって、この人がこの世界のクロである確証はないんだよな)

そんな事を考えているとクロナと名乗る女性は何故か僕が考えていた事がわかったようで、この国の現状を教えてくれた。そしてクロナは僕をこの城に滞在させて欲しいと言い出したのである。僕はその言葉に内心驚き、クロナをじっと見つめる。そして彼女もその視線に気づいたらしく僕の方を向くとお互いに視線を合わせている状態になってしまった。しかしクロナはすぐに目をそらして少し恥ずかしそうな様子を見せていた。

(こいつマジで僕の事が好きだろ)

「あの!その!貴方の事が好きです。結婚して下さい!!」

クロナさんは自分の思いを告げて来るとその場で立ち上がり僕の前に来て突然膝をついてプロポーズをしてきたのである。

「ちょ、ちょっと待った。君は僕の事が好きかもしれないけれど、僕にはそのつもりはないんだ!」

「わかっています。ですから今は無理に返事をしようとしないでください。でも私は必ずこの城を取り戻すつもりでいます。その時に私の力になっていただいてもよろしいですか?その時は私の事を受け入れてください。お願いします」

僕は彼女の言葉に少し戸惑ってしまったのであるがすぐに冷静になるとその考えを改めることにした。そしてその事を伝えるとクロナは微笑んでくれたのである。

(この人本当はいい人なんじゃないか?)

僕はこの城にいた時のクロナはこんなに優しそうな顔を見た事がなかったのを思い出す。

「さてまずはこの国の状況を把握しないといけないよな。あの人に教えてもらった情報を照らし合わせて考える限りじゃかなり厳しい状況になりそうだ」

そんな独り言を呟きながら部屋を出た後でこの国にある書物が置かれている図書館へと向かうことにしたのである。そしてそこへ向かう途中に出会った兵士に道を聞いてようやく目的地へと到着した。そこは城の中にある巨大な施設でありそこにならこの国の情勢が分かる文献が沢山残っているはずである。

その施設は地下の方にあってそこには地上とは比べ物にならない程の量の本が収められていたのである。しかもその蔵書量は半端じゃない量がありその全てが歴史書のようだ。

僕は目の前の本の山を前にすると圧倒されてしまって呆然としてしまう。その中へ足を踏み入れてみるとさらに驚かされたのである。それは天井まで届きそうな高さを誇る本棚の数々、それが部屋の真ん中から左右に分かれている光景を見て僕の頭は完全に真っ白になって立ち止まっていた。

「何これ、この量を一体誰が集めたんだ?それにこの本はどこから来たものなんだ?そもそもここは本当にあの人の家にあった建物なのかどうかさえ疑わしくなってきたな」

僕はそう呟いてから気合を入れる。ここで弱音を吐いてる暇など無いと思ったからだ。だから手あたり次第にその辺にある本を一冊取り出し開いてみる。しかしその表紙は埃を被っていてとても読むことができそうもない状態であったのだ。そしてその中身はどうやら地図のようであったがそれは明らかに古いものである。それもどうやら何かが記された遺跡のようなものが写っているものであったのだ。しかし僕が気になったのはそれだけではない。その本に記されていた年号なのだがそれは僕達が今生きている時代のものではなかった。その事から僕は目の前にいるこの世界とは別の世界が過去に存在していたのではという疑問を抱いたのである。しかしそんな事はあり得ないはず。なぜならこの世界にはかつての世界線が存在していたのだからその世界線の過去が存在したとはどうしても考えられない。しかも僕はその世界でその人物に出会うことは絶対にないはずだ。何故ならその人はすでにこの世に存在していないのだから、その事実だけは変えてはいけないのだ。

「とりあえずこの国で起こってる事について知る為にも、その手がかりを探す必要がありそうだな」

それから数時間は必死で資料を調べまくっていたのだが特にめぼしい物は発見できず、仕方なく一旦は引き上げることに決めたのである。それから暫くしてから今度は食堂のような場所にたどり着いたのでそこで食事を済ませると再び調べ物をする為に別の場所に移動することにしたのであった。しかし結局その日は成果を上げることができなかった。

翌日は早朝から動き始めた。僕はこの国の姫が暮らしていると思われる部屋を訪れる。そして彼女はその部屋に居らず、僕はこの城の姫を探し始めることにする。するとその途中で出会った女性に姫の居場所を尋ねたところ、どうやら彼女は僕と同じことを考えていたらしく僕達二人共姫に用事があるので案内してくれと言ってきたのでその提案に甘えることにしたのである。しかし彼女がその事を他の人達に話した時その人達はその人の言葉を信じず誰も連れていかなかったのだ。

「まぁこの人が僕達に嘘をつく理由も無いしな。僕達の方は勝手にやらせて貰おうかな。どうせここには大した情報は残されていないと思うしさっさと探すか」

そんな言葉を残して僕達は目的の場所へと向かった。その場所はどうやらこの城の中心に位置する場所である。そしてそこにたどり着くとその場所は玉座の間と呼ばれている部屋だと言われ僕は驚いた。

確かに僕はこの城にその人物が生活している形跡を見つけてはいたがまさかこの城の主だとは思わなかったのだ。そしてその人物がこの城の姫だというのも信じられないことであった。そんなことを思案しているうちに扉の先にその姫がいる事がわかった。

僕はその人物に会う前に一応礼儀として自己紹介をしてみたのであるが彼女は僕の名前を知っていた。それは僕がクロという名前であることを知っていたというわけではなくどうやら日記に書かれてあった名前を読んだらしいのだ。彼女はその事を不思議には思ったが僕にとってみればその情報が重要なものだと判断した為あえて質問はせずに話を進めることにした。そこで彼女の目的を聞いたのであるが、その話を聞いた僕達は言葉を失った。なんと彼女はこの国の現状を打開する方法を見つける為に行動を始めたのである。そしてその理由がクロナを救うことに繋がると言う。その言葉の意味を確かめた僕ではあったが正直まだ信用し切れていなかった。しかし僕はあることに気づく。

(この人の瞳は真剣で嘘偽りを言う人間の目つきじゃないんだよな。だけど、どうしてこの人はそんなことを言い出すんだろうか?普通ならばこの世界の姫である彼女がそんな行動を起こそうとすれば止められるはずなのに、むしろ協力的な感じなんだよな。どういうことなんだ)

その答えは簡単で目の前の彼女が自分の世界線でクロと呼ばれていた人本人だということに間違いはなかった。そしてクロはこの世界線のクロとはまったく性格が異なる人物であるのでこの世界のクロの本当の名前はクロナである。しかしそんな事を知る由もなかった僕はクロと名乗る人物の行動に疑問を抱いていたのだった。しかし彼女の行動原理を理解していない僕にとってはこれ以上そのことについて深く考えようとする事が出来なかったのだ。そして彼女の言うように現状この国の状況は芳しくないと理解していた僕は彼女に協力をする事にしたのである。

(それにしても彼女の言っている事が真実なのかわからないが仮にそうだとした場合彼女はいったいどれだけの期間でそこまでの力を得たのだろう?あの人の能力はかなり高いが、それでもこの短期間のうちにあの強さを身につけるのは至難の業だと思うんだが。それに彼女の能力は俺の持っている力よりも圧倒的に強力な感じがするんだよな。これはやはり彼女が俺の知っているクロとは違う人物ということなのかもしれないな)

僕はクロと名乗る彼女の強さの秘密は彼女が持つ力にあるのではないかと思っていた。そして彼女がそんな力を持っているとしたならこの国が滅ぼされようとしているのは納得ができる気がした。そして僕がこの世界の現状を説明していると彼女がいきなり立ち上がって声をあげた。そしてその言葉を聞くなり僕はこの人がクロと呼ばれる前の名前を知っている事に気づく。そしてそれと同時に僕の中の疑念はさらに膨れ上がったのである。僕はその事に関して彼女に詳しい事情を話す事にするのであった。

(この人が本当に俺が知ってるクロさんだとしたらかなりまずいことになる)

僕はこの国のお姫さんに自分の前世の記憶があるのかどうかを確認する事にして話しかけた。するとクロを名乗る女性は自分がクロさんであることを証明するとクロさんにしか分からない事を聞いてみて欲しいと言った。その結果僕の予想通り僕の正体をすぐに看破してきたので、僕もそれに応じると、クロは僕の前世が異世界人で、しかも僕自身でさえ知らないような事を言い当てた。そしてその後、クロの話してくれた内容が僕の記憶の中の情報と一致したのである。それは僕の前世は僕自身のいた世界とは別の世界で、そこで魔王として君臨していた人物であったという衝撃的な内容であった。それだけでなくその世界線は実は僕達が元の世界線と呼ぶこの世界線と同一のものであるという話に発展する。

(なるほどね。つまり僕がこの城にやってきた時に最初に感じた違和感はそれが原因か。この世界に存在していた人間が別の世界へと転生しているなんていう現象はあり得なかったから。しかしこれでようやく色々と辻妻のあうようになったわけだが、それは同時に目の前にいる少女は危険人物になる可能性が非常に高いという事になる)

そんな思考をしていると突然扉が開いてその部屋の中に一人の女性が入ってきたのである。その人物は先程僕が道を教えてもらった人であった。その女性はクロの事をこの国を救える唯一無二の人物だと言っていたのである。しかし僕は目の前にいる人物がこの世界線を滅ぼそうとしている存在である可能性が高いという判断をしていたのでこの女性にもこの世界線の未来を伝えることにしたのである。

しかし彼女はその話をあっさり信じてくれた。どうやらこの世界線の存在に関してはこの国の中で一部の人達しか知らされていない秘密なのだそうだ。だからそれをこの国の人達に伝えた所で何もできないだろうとこの国での立場が低い人間は思い込んでいるらしい。僕はその事を聞きつつその人の言葉を信じる事にする。何故なら目の前の女性もおそらくクロの仲間であり、この城で何かしようとしている事は確実だからである。だから僕は彼女と協力することにした。僕はその人の目的を探る為にその人の部屋を訪ねようとした。しかしその時にちょうどその部屋の中へと入って行った人を見て僕は驚く事になった。その人物の顔は僕が今まで見てきたどの顔よりも綺麗であったからだ。その人はこの国の姫であり、僕はその人からこの国の姫についての情報を得る為にその部屋へ入ろうとしたのだが姫の表情を見た途端その部屋に踏み入るのを躊躇ってしまった。しかしその理由はその人の瞳にある。

僕はその女性のその悲しそうな顔をした理由がわからずにその人に近づいて行って話しかける事にする。そして姫から話を聞いていくにつれて僕達の話は完全に食い違っている事がわかるのである。しかし目の前にいるその人が姫だと言う事実に変わりは無いのでその人を説得する必要があったのだ。しかしその姫の口からは予想外の言葉が飛び出てくる。それは僕達に協力できる事はないという一言である。そんな言葉を言われてしまったのだからその人は怒りを露わにしたのだったが僕には何も出来ないと言い切っていた。そしてその理由についても僕は理解する事ができなかったのでその理由について尋ねてみた。その答えに対して彼女はこう言った。

私はあなた達がこの世界に来た原因を作った人物であり、私も元々はクロと呼ばれた存在なのだが、今の世界線の状況を知った時私は絶望してしまった。私がこの世界線で存在してしまえば必ずやこの世界線を滅ぼしてしまう存在になってしまうからである。その為にはこの世界線から抜け出さないといけない。

そんな風に考えていた時に現れたのが貴方だったの。

その言葉を聞いた時僕は驚いた。何故なら目の前の少女が自分の世界で魔王と呼ばれている存在だという事に気がついたのだ。僕はそんな人物がなぜここに来たのか不思議に思ったがとりあえずは彼女と一緒に行動することにする。なぜなら僕の目的はこの世界の姫から僕自身が魔王と呼ばれているという事実を聞けば、彼女が魔王になった過程について何かしらの手掛かりが得られるかもしれないと考えたから。僕はそんな思惑を抱えて彼女と共にこの世界を抜け出す為の方法を模索することにする。

しかしそんな簡単に物事が進むはずもなくこの城に蔓延る闇は想像を絶するほどのものであり、僕は何度も死にかける。そしてそんな僕達をクロと名乗ったその人が救うといった展開を繰り返していったのである。そして僕が死にかけた回数は数え切れないくらいになっていたのだ。そしてそんな日々を過ごしていた時、この城の地下に何があるのか確かめに行った。

「地下への入り口がこの先に存在しているとはな。これはいよいよ本格的にこの城の内部調査を始めなければ駄目だな。しかしこの城の警備が手薄になっているとは言えまさかここまで入り込めるなんて思わなかったよ。やっぱり僕は運がいいな。だけどそのおかげで僕達の目的を果たす為には好都合だよ。僕もそろそろ自分の能力に限界を感じ始めていたところだしね」そして僕達は城の最深部にある部屋で遂に見つけたのである。この世界線を滅ぼす鍵となる存在を。しかしその存在は既に力を失っており僕達はそれを手に入れることはできなかった。その事に僕は安堵した。なぜなら目の前の存在がこの世界線で暴れればそれだけこの世界の未来は暗いものになると理解できたからである。そんなこんながあってようやくこの世界の王に会いに行く事ができるようになるのである。そしてそんな王との面会を僕はなんとか乗り越えてその目的を果たし終えた。そしてこの世界の問題を解決すべく僕達は動き出すことになったのだ。そして僕がこの世界に来るきっかけとなった出来事が起こる。その時の僕はまだ知らない、これから起こるであろう悲劇を、その事をまだ知らなかった。

僕達はクロと出会ってこの国の王が隠していると思われる魔道具の在処を見つけ出して王の元へ向かう。しかしそこには僕達が想定していなかった人物がいたのである。なんとその人物は僕達に攻撃を加えた。その行動には理由があったのだが僕はそれに納得できずその人の行動を非難するように叫ぶ。するとクロは僕の前に出てその人物に攻撃を仕掛けたのである。

僕はその様子を見て驚愕のあまり言葉を失った。しかしそんな僕の目の前ではありえない光景が繰り広げられたのだ。その光景を見ていた人々は口を開けながら驚きのあまりに声を失っていたのだ。そしてその者達を代表した形で一人の男が僕に声をかけてくる。その男は僕と同じような境遇の人間であった。

「あんたはこの世界の出身じゃないんだろう?どうしてそこまで俺の言葉を信じることができるんだ?」僕はその問いかけに対しこう答えるしかなかった。

「それはこの世界の出身ではない事だけが理由ではない。確かにその通りではあるが一番の理由は僕が魔王と呼ばれていたからなんだ。僕自身は魔王と呼ばれるほどの能力を持っていなかったが僕が魔王と呼ばれていた事によってこの世界が滅ぼされたんだ。

僕は僕のせいで僕が暮らしていたこの世界を滅ぼした。そんな人間がこの世界を救う方法を探し求めないはずがない。だからこそ僕は僕が信じたいと思った相手に従う。それにクロは悪い人物とは思えないからな。それにこの世界の住人達が困っている時に見捨てられるような奴じゃあ無いだろう?クロナさん、あなたは優しい人だった。誰よりも他人を思いやり自分が損する結果になっても気にしなかった。そしてそんなあなたの力になってあげられるのはきっと同じ世界に転生した仲間しかいない。だから僕はこの世界の人の為に戦うというのであればこの世界の人々を助けて欲しいと思っている。しかしそんなクロでもどうしようもない事がこの世界にはある。この世界の人々がいくらクロの事を救おうとしても無駄だろう。

だから僕達ができるのはクロに力を与える事でクロの力になりたいと思う者達が力を合わせられる環境を作る事だと思う。だから僕も力を貸したいと思ったんだ。そんな僕が君に協力するのに理由がいるかい?」僕は僕自身の考えを述べていくうちにどんどん感情的になり口調を強めていた。

するとクロが僕の事を見据えながら声をかける。

「ありがとう。私に協力してくれる気持ちは嬉しいけどこの世界の問題は本来私が何とかしないといけない問題でもあるんだよ。私がどうにかできないなら別の手段を取ればいいだけなのにどうしてもそれを行う勇気が無いみたいで。私は本当は誰かに頼るような弱い女じゃないの。

それを証明するためにも私は今ここにこうして立ってる。

私には守るべき者ができてしまったからもう後戻りはできないの。例えどんな手を尽くしてでもね。それが私の覚悟であり責任。そしてそんな強い思いがあるからこそ私はこの世界が滅びる瞬間に死ぬ運命を受け入れるつもりなの。だから私にはこれ以上何もできない。だからごめんね、協力してあげたかったんだけど私ってば実は臆病者で自分から何も行動を起こせない人だから何も出来ない。本当にゴメンなさい」僕はそんなクロの悲しそうな姿を見て胸が苦しくなると同時に目の前の人物がとてもかわいそうな人のように見えてきた。そんな風に思っていたらクロに肩をポンッと叩かれたのである。

(そうよね。だってあなたは自分の事を悪く言っているけど私なんかよりもずっとすごい人だもん。私はあなたに出会えて良かった。今まで色々あったけどそれでも前を向こうと決めたから。そう考えるのなら私にもやれる事があるはずだ。)

僕はそんなクロの行動に励まされつつ僕はクロが魔王と呼ばれるようになったきっかけを知ろうとする。そしてその情報を手に入れた僕はすぐにその人の元へと向かったのだった。その人物に会う事に成功した僕は彼女の口から話を聞き始める。そしてその話を聞いていた時のクロはとても動揺しており僕にもその焦りが伝わってくるほどであった。僕はその話を聞いた時、この世界線が滅びてしまう理由に気づいた。

それはあまりにも単純明快なもの。しかしそんな理由では世界線そのものが崩壊しかねない事態に陥るのは目に見えてわかっていたので、僕は彼女にこの世界が滅びる理由を伝えるべく話しかける。しかし目の前の人物はそれを聞いてなお、余裕の笑みを浮かべており、僕達が考えているほどその問題は深刻ではないと言い始めたのだ。

僕はその言葉が信じられずに反論したが彼女はそれを否定しなかったのである。僕はそんなやり取りをした後、僕はこの世界を救うためにこの国に伝わる魔王の伝説について知る必要があったのでその伝説の魔王の話を聞く。しかしその伝説はクロの言っていたものと全く異なっていたのだ。その事が本当であるのかを確かめる為にクロと一緒にこの世界を救ったとされる魔王の城へと向かう事になったのである。

僕達が向かおうとする魔王の城があると言われている場所に向かって旅をしていたのだが道の途中に街があるのを発見したのでその町へ立ち寄る事にしたのである。そしてそこで一休みしていた時だった。僕は一人の少女と出会う事になる。そしてそんな時僕はある一つの事に気づくのだった。その少女はクロの過去に出てくる人物と同じ顔つきだったのだ。その事実を知った時僕は目の前の女の子に質問をするのである。すると彼女は自分の名前を名乗った後に、その少女は一体誰なのかを僕達に問いただしてくる。

その問いに対して僕はその人物がかつてこの世界に現れた魔王だと伝え、彼女が自分の記憶を思い出してくれることを願った。

その話を聞いてクロは、目の前にいる女性が魔王と呼ばれたその人物であると言う事に驚きながらも、自分の知っている魔王と目の前にいる魔王と同一人物であるという可能性に、心の中で歓喜する。なぜなら魔王が目の前の女性に憑依してからすでに百年以上の月日が経過していたからである。そんな長い間彼女が生き続けて来たことだけでも驚くべきことだとクロは感じた。クロは目の前の女性が本当の意味でクロナであることを実感し、嬉しさがこみ上げてきて泣きそうになる。そんなクロを見てクロはクロに微笑みかけると優しく抱き寄せる。

僕は二人の会話を邪魔しないように少し距離を取りつつクロの様子を見つめているとクロに突然名前を呼ばれたのだ。僕はびっくりしながらもその呼びかけに応えることにしたのである。

そして僕はこれから先、クロが背負わなければいけなくなるであろう過酷な宿命を知っていくこととなるのであった。

私は自分の正体を知るために、私と同じような存在の気配を探ろうとこの世界をくまなく調べまわることにした。その途中私はある存在がこの世界に迷い込んだ事に気がつくのである。

そしてそんな時私の頭の中に聞き慣れた声が響いて来たのだ。

(お久しぶりですね。元気にしてますか?今はどこに住んでいるのですか?)

(君はあの世界の勇者のはずなのにどうしてこっちの世界に来たの?君がこの世界に居るという事はおそらくこの世界の王によってこの世界に召喚されたのだろう?それで君の目的はこの世界の救済なわけでしょ?でも残念だけど僕には協力する事ができないよ。僕も僕の目的の達成のために動いている最中だからね。でも君に協力する事ができるとすればそれは僕自身が君と共に行動するという事だけかな。君に協力する事が出来れば僕にとってメリットになるかもしれないからね)その言葉の後彼は僕の目の前から消えていったのである。

そしてその後しばらくして再び僕の元に彼の連絡が届いたのである。そしてその言葉を受け取った僕は、クロに僕と行動を共にすることの許可を得るべく話し合う。僕はその話し合いをするために彼女の元へ赴く。

僕は僕がこれからクロに頼んでおきたい事を、クロと直接話すために再びクロと再開を果たす。僕はこの世界の未来と僕達のこれからの事について話を進めていく。するとクロはクロナの願いを聞いた後、僕にクロナはどうするつもりなのかと問いかけてきた。

僕はそれに対して、クロがクロカの魂を解放してくれた場合の話とこの世界の崩壊を止める方法の模索についての二つを提案したのである。クロはそれを聞いてその提案を受け入れた。僕はそれをクロに伝えた。すると僕はその事をクロに伝えるために再び王城に戻ってきたのであった。そして僕はクロに自分が考えていた事を全て話した上でクロにこの世界の行く末を決めるのはクロしかいないと言ったのであった。

私は私の事を受け入れようとしてくれた人達に感謝の言葉を述べる。それと同時に私は、私が私であるために今から行わなければならない事に、決意が固まった。そしてクロさんに自分がこの世界で何をしようとしているのかを告げた後クロさんがなぜそこまで私の事を信頼してくれていたのかを聞くために問いかけてみる。

するとクロさんはこう答える。

私はその答えにクロさんの強さの片鱗を垣間見る事が出来た気がするのである。そしてこの人が居てくれれば大丈夫だ。そう思えるほどにクロさんの事を信じる事が私にできた瞬間でもあった。だからこそそんなクロさんの役に立ちたいと本気で思った。そんな私の様子を感じたのかクロさんは私にある物を手渡してきた。それは、この世界に伝わっている、異世界からの来訪者がこの世界の為に作ったとされている武器だったの。私はそんな凄そうな剣に目を奪われてしまう。私はそんな風に思ってクロさんにこの世界の人達が持っている力の種類とその効果を教えて欲しいと言ってみるとクロさんはその説明を私に手渡したのだ。

私にはわからないけれど、私なら使いこなせるだろうと直感的にそう思えた。その感覚を信じるように私は手に持った剣を見る。

そして私はあることに気づくのである。

(私とこの剣に何か不思議な力を感じるような。これってこの世界にもともとある力じゃない。これはまるで異界の力のようだった。つまり私は、クロさんのように、この世界とは全く違う世界からきた人間だという事なんだろうか?そして私はその力の使い方をこの世界で使えるということ?そう考えれば全て辻つまが合う。)

私がそう考え込んでいる時、クロさんに声をかけられる。

そして私にこの国の人族と魔族の事を伝え始めるのだった。私達を救ってくれたのは魔王であり、クロナという名前を持った私の妹だったという事がわかったのだ。私はこの真実を知った事で私はこの国が滅びる時に私にできることを探し続ける決心がついた。クロは目の前の少女がクロナだと言う事に衝撃を受けていたが同時に嬉しくもあった。

しかしそれでも彼女は目の前にいるクロの事を妹とは認めなかった。クロはそんな彼女の様子に違和感を覚えるがその疑問を口に出すことは無かったのである。なぜならそんなクロの考えを肯定するように彼女の表情から悲しみの色が浮かんでいたからだ。クロがそう思いつつ黙っていると、クロに彼女が何を言いたかったのかわかった。なぜならその時のクロが思っていた感情は、妹の死に際がこんな結末になって悲しい。そう言おうとしていた事が分かったのだ。クロはクロが思っていたような状況になっていた事を理解したクロはクロナを助けるためにある人物の元へと向かうことにする。その人物はクロにとってはとても大切な人でクロ自身も助けなければならないと思っていた相手だったのである。

そしてその人に会う為にクロが向かった場所はクロがこの世界で暮らしていた魔王の城があったとされる場所である。クロはその場所に向かう事にした。

「さっきから聞いている限りじゃ、あんたは本当に強いんだろう。だが俺にも譲れないものがある!それにあんたは、魔王だと言っていたがそれがどうしたというのかね?」

(やっぱりそう来るよね)

クロは、相手の男の発言に対して苦笑いをしながら心の中でつぶやく。そして、その男はクロの想像通りにクロに戦いを挑んできたのだ。しかし、その攻撃にはまったく無駄が無く洗練されており、隙というものが無い完璧な戦い方で攻めてきているのだ。クロも必死に避けてはいるが防戦一方になっており徐々にクロの体は削られていたのである。

クロは、なんとか反撃をしようとするものの相手の男の防御を破ることができていないのでクロの攻撃は相手に届かないのであった。

「はぁー、なかなかやりますね。貴方の戦い方は完璧ですね。私も少し油断していたみたいです」

「お褒めいただき光栄だな。これでやっと俺は、全力で貴様と戦うことができるようだな。感謝するぞ、この力を存分に発揮できる相手をようやく見つけたという事なのだからな!」

クロが相手の攻撃を称賛するもそんな事お構いなしに攻撃を仕掛けてくるのだった。そして今度は先程よりも激しい猛攻が始まる。

それからしばらく打ち合いが続きついに決着の時が訪れる。

その瞬間はクロの体が相手の一撃により吹き飛ばされ地面に倒れた事によって訪れる事になる。その光景を見た周りの人達がざわつき始めた。それもそのはずである。

今まで一方的にやられ続けていたクロだったが今はそんな姿をさらしていないからである。

そして倒れているはずのクロが一瞬にして立ち上がり、次の瞬間にはその男が立っていた場所にクロが現れており、クロはそいつに向かって斬りつける体勢に入る。そしてその男に向かって勢いよく飛び込んでいきそのまま首筋を狙って斬撃を放つと、綺麗な弧を描くように切りつけたのだ。すると、その場にいた全員が、あまりの状況に目を疑った。何故ならそこには血を吹き出して息絶えようとしている男の体と、それを平然と見ている無傷の黒髪の女性がいるだけだったからだった。そして女性は静かにこう言い放った。

「これが今の私の本気ですよ?次はあなたの番ですね」と言い放つと再び襲いかかりにいったのである。その後の戦闘では圧倒的にクロが優勢になり、クロが勝った。クロの圧倒的強さの前に誰もが声を発することもできずただ、その光景を見ていたのである。そしてクロが周りを見渡し終わった後、その女を拘束しその場の人達にこの女性を自分の監視下に置いてくれるようにお願いしたのだ。そして、クロはこの場に集まっている全員に、今見た事は決して誰にも話さないで欲しい。もし話したらどうなるかわかっているよな?と脅しをかけ、そして自分はこの国を離れることを宣言してからクロナの元へと急いだのである。

私はクロさんが帰って来てくれるまでの間、私は一人でこれからの自分の行動を考えていた。

クロさんのおかげでクロカが生きていて、クロがこの世界に来た目的もある程度知ることが出来たのである。クロさんが居なくなったこの部屋はとても広く寂しさを感じずにはいられなかった。

そして、これからの私にとって最も優先すべき事は、この世界を崩壊へと向かわせている原因を突き止める事だと思う。私はこの世界で一体何が起こっていて、どうしてこんな事になってしまったのかを解明しなければならいないと強く思ったのである。

そしてその為にはまず、この世界で起ころうとしている事を知らなければならないと思う。その前に私は、この世界にやって来た異界からの勇者が、この世界でどのように過ごしていったのかを知ろうとしたのである。私は異界の勇者の事を調べる為にある場所へ向かう事にしたのであった。

僕は今この国に居る知り合いの元へと訪れていたのである。その人物の名前はリゼさんという人だ。この人は僕の知っている人の中で唯一と言ってもいいほどの強さを持った人であり僕が最も信頼を置いている人の1人である。

ちなみに僕の知っている人の中での強さランク付けは僕>クロカ、ミケさん、アリサちゃん、シゲゾウ、タローさんの順番となっているのである。

そして、その人達がこの世界の中でもトップクラスの人達ばかりであるのだ。

そんなことを考えながら目的地に着くとそこにはいつもの様に笑顔でこちらに挨拶をして来る一人の女性がそこにいた。その女性の年齢は恐らく20歳前後くらいで顔立ちも良く身長もそこそこあり、出る所も出ており、引っ込むところはきっちりと引き締まっておりスレンダー美人とでも言えば良いだろうか、とても魅力的な女性なのである。

そして彼女は、この国の騎士団長を務めている。しかも団長の中では最強と言われているほどの実力を持っている。そんな彼女は何故かクロの事が大好きなのである。しかし、彼女はそんな自分の気持ちを押し殺して、仕事に励んでいるのであった。しかし彼女にはどうしてもクロに伝えたい想いがあり、この世界が救われたら、クロに伝えたいことがあると密かに心に誓っているのだ。そんな彼女にクロは自分の正体を明かすのである。クロは目の前の彼女のことを知っている。だから僕はクロナに頼んでその人がどこにいるのかを教えてもらう事にしたのだ。そして僕は今クロナとこの人が会って話をした方が何かしらいい事があるのではないかと思っているのだ。そしてクロは、クロナにリゼの場所を聞き出した後に、その場所に向かったのである。

私はその言葉を聞いた時にとても驚いたのである。なぜなら私が考えていたクロの事が好きだと告げてしまえばきっとクロさんは困惑してしまうだろうと考えていたからなのである。しかし、クロは私の考えている事に気が付いたようでこう言うのである。

(やっぱり、クロは私に気が付いていなかったみたい。私がどんなに好意を寄せていてもそれに気が付かないなんて鈍感過ぎないかな?それにしてもクロは本当に何も知らないようだったから、少し可哀想になってくる。私は別にそういうのは興味は無いんだけどクロは多分困っちゃうだろうから教えとかないともしかしたクロが襲われちゃうかもだし。)

そして私は、その人がいる場所に案内するように頼むのだった。クロが、クロナの案内の元その場所に向かい歩いて行ったがその間にも色々な会話をしていた。その内容はこの世界の事についての話しが主であったが、その他にも様々な事をお互いに語り合っていた。しかし、その中でクロの口からは私達の世界が異世界だと言う事を聞かされた時には、私は驚きを隠せずにいたのである。

それから暫く歩き続け目的の場所についたのだが、そこは私が予想していた以上に広かった。その場所に着いても未だに信じられなかったが、私が想像していなかった程の衝撃的な事をクロは口にしたのだ。それは、クロは異界の魔王であると言うことだった。クロが魔王だと言う事は、正直今でも信じられないし受け入れ難い事実なのだが実際に目の前にいるクロの瞳に嘘はないような感じがするのである。私は、それを受け入れなければいけないような状況に立たされていたのだ。

「なぁ、あんたがクロさんなのか?」

その質問をしてきた男性は、少し怯えていたのか震えていたがその恐怖に打ち勝つように、その言葉を紡いでいたのだ。

「そうですよ?貴方が私の妹の事を知りたいというのであればお聞きする事は出来ますけどどうしますか?」

その問いかけに対する答えはもちろんイエスだ。私にとっては何があろうとも妹に関する情報は全て知りたいと思っていたので迷うことなどなかったのである。

クロの口から出てきた妹の話はあまりにも残酷過ぎる内容であった。妹は突然何者かによって殺されたのだという。その何者かが、魔王でありその人物が妹の命を奪ったという。

私は怒りが込み上げてきてどうにかなってしまいそうな衝動に襲われたが必死に抑えることが出来たのである。その人物は魔王と名乗っているにも関わらずとても優しい人だという。だがしかしクロは魔王に騙されているのではないかと疑心暗鬼になっているのである。

クロが妹を殺した魔王について語っている姿を見た時に私の妹と重なって見えてしまい、クロに対しての同情の念が強くなってしまった。そして、私はつい口を挟んでしまいそうになるのを抑えることが出来なかったのである。

私は今そのクロの話をしているクロの言葉を聞いているだけで心の中にモヤがかかった様な感覚に襲われていた。

(なんだこれは!なぜ俺はこんなに苦しい思いを抱いているんだ!こんな感情を抱かせた相手を許したくない、俺はクロを傷付けたそいつを俺は許さない!そしてクロのことも守りたいと思わされてしまったのである。

私はクロに一目惚れしていたのだと思う。今までに感じた事の無いこの胸の高鳴りと苦しさの原因が分かったのだ。クロをこの手で抱きしめたいと思いその考えを実行しようとしたところで我に返り何とか抑える事に成功した。そんなことを思っていたらクロがこちらに近づいてきてこう言ってきたのだ。その一言で俺の心は一瞬でクロ一色に染め上げられてしまったのである。その瞬間に今まで抱え込んでいたものが一気に消え去っていくような気がしたのである。私はこの時初めて自分の想いを告げることにしたのであった。そしてクロの手を握りクロの目を見てその思いを言葉にする。

するとクロは、今までで一番美しい表情を見せてくれたのである。その姿を見て私は思わず抱き寄せてしまっていたのだ。それからクロの体をゆっくりと離しクロに目を向けるとそこにはクロの姿があった。クロは、まるで少女のような笑みを私に向けてくれたのだ。

それから私たちはお互いに惹かれあうように唇を合わせたのである。

それから私とクロナは恋人になったのだ。そして、クロと二人でこの世界を救おうと誓ったのであった。これから私たちが目指す場所は一つだけである。クロナとクロが向かっているその場所にクロナの愛しの弟君であるシゲルが待っているのである。

私は今、クロナさんから聞いた話を思い出してはため息が出てしまうのであった。何故ならば、私の目の前にはその話の内容が正しかったことが証明されていたからだ。目の前で眠っている少年は私の弟であるシゲルなのである。その証拠に、彼の額には角のようなものがついているのだから間違いないだろう。クロさんとクロナさんには申し訳ないと思ったが弟の為だと自分を正当化することにした。

私は、自分の気持ちを押し殺しながらこれからどうすればいいのかを考えることにする。クロナさんの話では、シゲゾウがこちらに来てくれていて今は私と一緒に居るらしい。私はそのことを聞いて一先ず安心することができたのである。

(とりあえずシゲゾウが来てくれていることだけでも嬉しいことだよな。あとは、クロカが無事に帰ってきてくれるのを待つだけだな。クロさんとクロナさんが戻って来てくれるまでは、ここでじっとしていることにしよう。)

僕は今、ミケさんとタローさんの二人と合流してからクロとクロナを待っている。クロ達は、僕の方から連絡をしてクロカを呼ぼうとしてくれたのだが、クロナがミケを同行させなければ行けない場所があると言っていたのだ。僕はその事を了承した。ミケさんの実力はクロの次ぐらいに高くて僕達三人の中で一番強い。だからクロナさんとミケさんが一緒に居ればクロもクロカも問題無く連れて帰ってこれると思っている。

そんな事を考えていたらクロとクロナさん達が帰ってきた。

「クロちゃんおかえり!」

アリサちゃんがそう言いながらクロに飛びつくとクロは、嬉しそうに微笑んでいた。そして、クロがこっちに来るようにと視線で伝えて来たので僕はクロの方に向かうとクロは小声で耳打ちして来てこの場を離れるようにと言ってきた。そしてクロナとミケと別れると僕はクロに連れられてその場を離れた。その道すがらに僕の方から、クロ達にクロとクロナの正体のことを話すべきかと聞くとクロナとミケにだけなら大丈夫だと言われた。そのことについてクロと話し合ってみるという事を伝えておく。

(多分僕の力が必要な場面が出てくると思うんだよな。まぁそれは、その場面で判断するとして、クロが言うんだから大丈夫なんだろうな。それよりもまずはクロの用事が済んでから考えるとするか。)

そして僕は、ある人物のところに行く為に今クロの転移魔法を使って移動している最中だ。その人物が何処にいるのかと言うとこの国を治める王の側近なのだそうだ。

その人の名はゼノといい、ゼオは、僕が魔王であることは知っていたが、僕の事を信用してこの事を話す事を決めたのだった。そして僕はクロナ達を元の場所に戻す為の方法を聞くことにした。しかしゼオは、クロとクロナの事しか考えて無かったらしくそれ以外の方法を考えていないようだ。その為クロとクロナの事は一旦保留にしてクロの方を向くと何故かゼウが少し焦っているように見えたが、その理由はわからないのである。そしてクロはクロナがこの国の王女だという事を知っていて、クロとクロナが入れ替わっていたことをすぐに見抜いていたのだ。クロはどうしてわかったのかを聞いたが答えようとはしなかったのである。そしてその後にクロから僕とアリサが異世界からこの世界にやって来たということを聞いて驚くと共に何かを感じ取っていた。そして、僕はクロからそのことについて聞こうとすると突然ゼムが乱入してきたのである。

「お前たち二人は何者なんだ?なぜこの世界に来た?それに、その服装は何だ?見た事が無い物だな。この世界の住人では無いのか?一体何を企んでいるんだ?」

そう言われた時に僕の頭の中を一つの考えが過ったのである。それはこの世界での常識が通用するのか?この世界の人達から見て異世界からの侵略者として扱われないか?など色々な事が思い浮かんだのであった。そんな事を思い悩んでいた時にゼアはさらに質問を重ねてくる。その事にクロが反応したのと同時にゼアはいきなりクロの腕を掴み拘束しようとしたのである。その行動を見てクロは激怒してしまったのだ。その時に、クロの怒りの矛先がこちらに向いてきたのだ。

そして、僕の視界が切り替わったのと同時に体に違和感を感じたのである。

(あれ?ここはどこなんだ?もしかして僕がクロによって殺されたのか!?それなら、今すぐ蘇生させないと!)そして僕の視界に再び映り込んだ光景に驚愕してしまったのだ。なぜならそこには僕の体がありその体はまるで生きているかのような感じだったのだ。そこで僕は自分の体を改めて確認する為にステータス画面を開いたのである。

(なんだ?これは?どうなっているんだ?)

その瞬間に僕の体が輝き出したのと同時に僕に向かって誰かの声が聞こえたのだ。

「勇者よ!目覚めなさい!貴女は魔王を倒すという使命を持ってこの世界に召喚されました。その運命からは逃れられないのです。さぁ、早く行きなさい!」

そして、僕は強制的に転移させられてしまったのだ。

私は今、自分の目の前で起こったことが理解できなかった。私がゼウにクロを捕らえようとした瞬間、私の横にいたはずのクロがいなくなっていたのだ。その時は一瞬何が起こったのか理解できずに固まってしまっていた。しかし、その次に私の前で起きた出来事で私は意識を取り戻していたのである。その出来事とは、目の前でゼウの上半身が消え去ったからである。そしてその近くにクロが立っていた。私はクロを問い詰めようと思い駆け寄ろうとした時に気付いたのだ。私の目の前の地面に大量の血液が流れ出ていたのだ。

クロは、手に持っているナイフに付いた血を振り払うようにしながら、私を見て一言告げたのである。

「もう大丈夫です。今から全て解決させていただきますから」

私はクロの雰囲気が違うことに気付き警戒をしようとしたのだがその前に私の後ろでクロを威嚇していたゼムの方に目をやると既に息を引き取った状態になっていたのである。その様子からクロに殺されたのだということがわかった。

私はその事に驚いたが、それよりもクロがこちらに近づいてくると私の手を取りクロナさんに私とアリサを連れて逃げるように指示を出していたのだ。私は、クロにその指示に従うことを伝えるとクロに笑顔で感謝されたのである。

クロはそれからアリサの頭を撫でてから私とアリサの肩に手を置き私達はクロに言われるままにその場所を離れた。私はこの時クロの言った言葉を思い出し、クロの言うとおりに行動するべきだと判断したのである。そしてクロナさんと合流するとクロはゼクに話したいことがあると言っていたのである。その事でクロナさんは、ゼクはここに居ないので別の場所に行こうと言っていたのだ。その言葉でクロはゼクに話があるということをゼナに伝えた後、クロナは一人で行ってしまうのであった。

(クロナさんは一人じゃなかったのかな?でもクロナはそんなに弱いとは思えないんだけどな。まぁ、それは、俺の力が足りないせいなのかな?俺が強くなれば問題無いんだろうし今はクロナさんの事は心配しない方がいいのかもな。それよりクロナさんが言っていたゼクトに話ってなんなんだろうな。なんか嫌な予感がするのは気の所為だと思いたいな)

私は今、クロに手を引かれるまま移動をしていた。そして、その途中で私には信じられない光景を目の当たりにしていた。その光景とは、私達がゼノ様の元に向かおうとした時にクロとクロナさんの姿が突然見えなくなったと思った次の瞬間にはクロがゼノの前に現れていてその手に持ったナイフでゼノの身体を切り刻んでいたのだ。そしてその攻撃が終わった時にはクロが持っていたはずのナイフが光になって消えたのである。

その後からの記憶は断片的になっていて思い出せなかった。私は、クロナさんの指示に従って、この国から出ていったことだけは覚えているのである。

そして、私たちはある村に辿り着いた。そこはクロカが住んでいた村だと聞いていたがその村は滅んだと言われクロカがその事実を受け入れることができなかった。だが、クロナさんはゼクに言われていたという言葉をクロに伝えていたのである。そしてその事を伝えられたクロカは自分の故郷を探すと言い出して私たちを置いて行ってしまった。

そして、クロナさんから話を聞いた後に私達はゼクスに会いに行ったのだが、何故かクロナさんとクロはゼクスと会うことができなくて私はゼノに会うことが出来たのだがゼノもクロに殺されてしまいゼナだけが生き残りこの国に残ったそうだ。私はゼノの口からクロの正体を聞いてしまったのだが、そんなことをする人物の心当たりは私にはクロしかいないと思っていた。だから、私もクロカのいる場所に行くために準備をするためにこの国を離れることを決めた。しかし、この国を治める王が死んでしまっていた為、国をまとめる人物がいなくなってしまい国は混乱に陥ってしまっているとのことだった。

そこで私はこの国を救う為に王代理になることを引き受けたのである。そして、王代理に即位した直後に私は、この国に蔓延る病の原因が、王の側近の一人ゼウであることを突き止めたのである。しかし、その時にはすでにゼウは、クロの手によって殺されており、私はゼウの残した言葉をゼアに伝えるためだけにこの王となった。しかしゼアの言葉を伝えたことでその必要は無くなってしまったのである。なぜならこの国の民達から絶大な支持を得ていたのである。その為、すぐに私が国王である必要はないと判断し王を辞めることを宣言したのであった。そしてクロナに、これからは貴方はクロナなのだと言われた。最初は戸惑いを覚えたのだがすぐに納得してクロになった。

クロナという名前はゼアと初めてあった時の会話で出てきていたのだ。それはクロが、クロという名前にクロが反応していたことですぐに気づいたのである。その時から、なんとなくではあるが私の勘が告げていたのだ。私はゼムに騙された振りをしてゼノを殺したのだとゼノの表情を見て察したのだ。私はクロをクロナとして接することに決めた。

クロの方は私の正体に気づいていたようだったが、クロの事はゼノが殺された理由を知る為の情報を集めるまでは、私の事情に付き合わせるつもりはなかった。そのため私は、クロに何も話す事無く別れることにしたのである。

私はゼムの残した情報を元に、まず最初にゼオの事を調べることにしたのである。その結果わかったことはゼオはゼノの弟であるゼグの息子であったのだ。つまりゼクの孫にあたるのだ。私はそのことをクロナに教えようと思い城に行くとクロナは私と別れた時の姿のままだったので驚いたのである。

そこで私はクロが何かしらの手段を使って時間を止める魔法を使っているのではないかと考えたのだ。そしてクロは、ゼアの事を調べて欲しいと言ったのである。私はその願いを聞き入れゼアのことを探ることにした。そして私達の予想通りゼアが裏で糸を引いていたことを私は突き止めたのである。ゼエはこの国の闇で人を殺していた暗殺者だったことが発覚したのである。そして、私はその事を報告する為にクロの元へ急いだ。その時にゼウから聞いた話をした時にクロナに私がこの世界に来た本来の目的を話したのだ。するとクロナはその事でゼラを疑っていたと言う。

ゼクから聞いた話ではゼアが、この世界で好き勝手に暴れていたので、それを止めようとしていたが力不足の為に止められなかったらしいのだ。そして、最終的にはその命を狙われることになった。そしてゼアを倒そうとゼラを召喚しようと計画を立てたのだそうだ。しかしゼアの策略によって失敗してしまったのである。それでこの世界に転移させられてしまったようだ。そして、その話を聞いた後に私はゼリアが本当に信用に足る人物であるのかを確かめる為に行動することにした。

ゼラの住んでいる場所に向かう道中、私はまだ見ぬ自分の息子に思いを馳せていた。ゼラの名前をつけた時に私は思ったのだ。きっと、私の夫になる人も私と同じ名前を付けるだろうと考えていたのだ。その事を思うだけで自然と笑みがこぼれてしまうのだ。

ゼラと対面した私は彼が、この世界の人間ではないことを瞬時に理解することができた。私はこの子の成長を楽しみにしていた。だが、ゼクは違った。私の子供だとしても殺すという。私はそれがどうしても許すことができなかった。

ゼラが成長してもその思いが変わることはなかった。そして、その気持ちに気が付いたクロが私の考えに賛成してくれて二人でゼアを殺すことを計画したのだ。しかしゼクはそれを事前に察知してクロとゼラスを殺してどこかへ行ってしまうのだった。私は、それをクロが止めようとしているところに駆けつけたが、結局ゼラの意識を失わせるので精一杯だったのだ。

しかし、ゼラはゼクトの作った薬により生き返ったのだ。その事にゼクトが関与しているのかと思ったがそれは、どうやら違うようだった。そもそもあの男が、こんな面倒くさい真似をするとは思えないからだ。それに私の推測が正しいならばクロナは生きているはずである。クロがそう簡単にやられるとは思わないからである。

そしてクロがクロナになったことを聞いたゼクトが私の前に現れたのである。ゼクトは、ゼラがゼクトが作った薬で生き返ったことを知っていた。そしてクロナは死んだのではなく、自分の魂を分裂させてゼクの中に送り込んだのだというのだ。その事を証明するように、私はクロが作り出した魔道具の指輪を受け取ったのである。その事からゼクトの話を信じた私はクロの無事を確認したくて、ゼクスにクロの事を頼むとゼラの居場所を探しに出かけたのである。しかし、ゼクとクロナの居場所はわからずにクロナだけが見つかった。私はクロナが無事に戻ってきたことに安堵していたが、ゼクにゼナの居場所を聞くとわからないと言われるだけだった。

その後、私はゼオの口からゼオの父親であるゼクが死んだという事実を知り私はゼオンに会いに行ったのだ。そして私は、クロがゼクに殺されたことを知りゼオにゼクを助けて欲しいと言われて私はゼオと一緒にゼクがいるであろう遺跡へ向かった。そこで私が見たものは血を流しながら横になっているゼクスの姿だった。その事で私はすぐに回復魔法をかけて治療を行った。しかし、傷口は完全には治らなかった。それでも致命傷ではなかったのでなんとか一命は取り留めたのである。私はそれからすぐにクロナに報告するためにクロナの元に戻った。私はすぐにクロナにゼクトとクロのことを頼んでクロの事をお願いした。クロナはそれを受け入れたのであった。

そして、クロはゼアの元に私と行くと伝えて出ていったのである。私はそんなクロを見送るしか出来なかったのであった。

私は、ゼムと対峙することに恐怖を感じていた。

なぜならこの国には私以上の実力を持つ人間が三人もいたからである。そして、そのうちの一人であるアリサとクロナも、その事を認めていた。そんな状況で私にはゼナと戦うことなどできるわけがなかった。だから私は、クロが戻ってくるまで待つことに決めた。

ゼアとの戦いの時、私は何もできずにいた。ゼラから聞いた話でゼナには勝てるだろうと私は考えていた。しかし結果は、そんな楽観的な思考を完全に吹き飛ばすほどの結果だったのだ。私は、クロが戻ってきてからゼクトとゼアンを呼び出した。そして二人にゼアの強さを伝えたのである。すると二人は信じられないという顔で私を見た。しかし実際にゼナの戦いを見たことがある私は二人の言葉に反論することはできなかった。

その後私はゼラの様子を見に行ったのだがそこにはクロとゼアの二人がいて私は驚きを隠せなかったのである。しかもその様子からクロがゼノの言っていた人物であることがすぐに分かった。そこで私は、クロがどうしてこの世界に転生したのかという質問をしたのだがクロは、自分が何者でこの世界をどういう目的で作り直したいのかを教えてくれたのであった。私はそんな事をするつもりはなかったのだがクロの考えに賛同することにした。その理由だが私はクロの考えていることが気に入ったのである。私は、クロとこの国を出ていくことに決めた。その時に私はゼムとクロをこの国において行こうとしたがクロは自分一人だけがこの国に残ってもしょうがないと言ってゼムについてきたのである。

クロを連れて行った私とゼアはすぐにクロとゼアに追いついた。そこで私達は、クロとゼアのやり取りを聞いてクロに付いてくるように指示を出したのである。私はクロがこの世界に来た目的がクロの世界を創り出すという事なので私もその目的に協力すると伝えたのだ。クロがこの世界に来る前の事をクロナから聞いていたからクロの目的を手伝うためにクロと共に行動すると決めたのだ。その事を伝えるとクロナは笑顔で私達に頭を下げて感謝をしてくれた。

そして私達が、この世界で何をすればいいのかという話をしていたのだがその途中でゼアとクロはゼオと戦っていたのである。私はその事に驚いてしまったが、よく考えるとこの国はもう終わりだと悟っていたのであった。私とゼナとクロはクロがクロになる瞬間に立ち会う為にクロと別れたのであった。そして私はクロがクロになった時にクロの身に付けていた装備を渡したのだ。それはゼラが作ってくれた装備品なのである。

クロの身に着けていた装備品はかなり高価な物だったが、クロはクロになってからこの世界にやってきたと言っていた。そのため、その装備の価値は知らないかもしれないと思っていたのである。そしてその予感は的中していた。そのためクロの事を少し心配してしまったのである。

しかし、クロの持っているスキル『完全解析』がクロの能力値を大幅に上昇させた。

その能力を見てゼラは目を丸くして驚くばかりであった。私達もその事実に驚かされてしまった。クロが言う通りならばクロはこの世界の全てのステータスの数値をカンストさせていることになる。私達のレベルを上げる方法は限られている。その為に私は、クロの力を私達の力に変える為にこの世界で私達が生きていく上で必要になりそうなものを、アイテムバッグの中からクロに選ばせて与えたのだ。クロはその事に喜んでくれて、さらに私とゼラを鍛えてくれると言い出しくれたのである。そしてゼナもクロの力になってくれると言った。それに関しては正直不安に感じたが、今は少しでも戦力を増やしたいと思ってしまうのだった。私はクロにゼラの事を託してからこの場を後にしたのである。

「お久しぶりです、ゼクト」

僕は今、僕の師匠であり、魔王軍の副将であるゼクトに呼び出されて魔王城に向かっていた。そこで待っていたのは、なんとゼアさんの妹だというクロアと名乗る人物だった。クロナは僕を見るとなぜか顔を赤く染めていたが理由が全くわからなかった。しかし、その疑問を口にする事ができずに、そのまま流されるようにゼクトの元へと向かったのである。

ゼクトの部屋に入り椅子に座って話を始める前にクロアさんの事を紹介された。そしてゼクトがクロアに話しかけるのを見ながら僕はなぜクロアという名前にしたのかを聞いた。すると意外な回答が返ってきたのである。

クロナの名前はゼクスの妻で元勇者で最強の女と言われていたらしい。そしてその力は歴代最強とも言われていたそうだ。そんな彼女の名前が、まさかゼアの義理の妹のクロだなんて想像ができるはずもなかったのだ。そしてその事はどうやら本人も自覚しているらしく恥ずかしそうにしている姿はとてもかわいかった。僕はその姿を目に焼き付けるとこれからの修行に期待することにした。そうすると今度はクロアのほうから話を振られたのである。その内容がゼクトと自分の関係のことだった。そのことで少し焦ってしまったけどなんとか平静を保つことに成功したのだ。そしてクロトは何かしら知っているようだった。そしてクロアが僕と仲良くしてほしいと言う。それに対して、僕はクロトと友達になりたいという旨を答えるとその事にクロアは嬉しく思っているようなのである。しかし、クロエのことは嫌いだからクロコとは呼ばないでほしいとクロアは言う。そして僕にクロナと呼べと言ってきたのだ。その要望に対して断るという選択肢はなかったので了承したがクロナと呼んでも怒られなかったことに安心していた。それからはしばらく世間話で時間を費やしていると、どうやら本題に入ったようだった。それはゼクトの話を聞き終わったクロアの態度ですぐにわかった。そのクロアの言葉には怒りの感情が含まれていたからだ。どうやらゼクトに言いたい事があるみたいだったので僕が仲介役に立候補しようとした。だがその時、すでにクロアは動き始めていた。

そしてクロラは一瞬のうちに姿を消してしまうが次の瞬間には、僕の視界からゼクトの姿が見えなくなったのである。まるで転移魔法でも使ったかのような速度であったが僕は慌てることなく、冷静にその行方を追っていった。しかし完全に見失ってしまい僕は一度その場を離れることにした。そしてゼナさんと合流してからもう一度ゼクスの元に訪れてみるとゼアの姿も消えていたのである。そこで僕は一つの仮説を立てることが出来た。ゼクトが消えたのとほぼ同時に、ゼクスの姿もまた消えてしまったのではないかと。

クロアはゼクトがこの世界に存在しない人間として扱っていたことに疑問を感じたのであろう。そしてそのことについて問いかけたところゼラが殺された事を知った。それからゼアの居場所を探る為にクロアが行動を起こす。しかしゼラがクロを蘇らせた事を知っていたクロアはクロナの存在に気がつきゼクトに会いに行くと伝えたのだろう。そこで、僕がクロアナに事情を説明すると彼女はすぐに行動を始めて、僕達もそのあとを追いかけたのであった。

その結果、クロアと僕とゼナは、すぐにゼアの元へと辿り着いたのだが、そこに現れたクロアンにより邪魔をされてしまう事になるのだが、ゼクは僕達がこの世界に転生する時にクロアンから渡されたアイテムである【神眼の欠片】を使う事によりクロアンを退ける事に成功したのであった。

「あなたがクロですね? 私はクロリアと申します。ゼクス様の眷属をしています。どうかクロと呼び捨てにしてください」

私はクロに挨拶をしてからクロがゼク様に何をしようとしているのか問い詰めたのだ。

するとクロは私がゼオとゼアの娘である事とゼクがクロのお父さんであるという事実を知らされた。その事を私に伝えた時のゼアの様子があまりにも可哀想だったので思わず泣いてしまったのだ。その私の涙を拭いながらゼアがクロと一緒に私を見送ってくれた事を話してくれたのだ。だから私はクロの味方になろうと思いゼアの為に私も協力することを伝えてあげたのだった。すると突然ゼクに名前を呼ばれたのである。しかし振り返った時にはそこにはゼアの姿はなく、その代わりに目の前にクロが現れて、クロからゼアのことを頼まれたのだ。そして最後に、もし自分に危険が迫った場合は迷わず逃げる事を教えてもらったのである。私はその言葉に従う事に決めたのだ。なぜならゼクトはクロに敵わない事が分かったからである。そんな状況で無理に戦いを挑んで勝てるわけがないと思ったのだ。それにクロが言ったのだ。私は魔王軍では、一番弱いかもしれないと。その言葉の意味は私は分からないのだがゼクトは納得して、その言葉に従っていた。私もそれを見て素直にその意見を受け入れることにしたのである。そしてゼアンとも合流した私たちはこの世界に存在する全ての種族に呼びかけを行う為に移動する事になったのである。

僕は、クロの事を仲間に誘ってみることにする。だがクロは僕が勇者だということを知っても恐れずに一緒にいてくれると言ってくれた。その事がとても嬉しかったのだ。その気持ちが顔にも出ていたようで、クロアが僕のことを笑顔を浮かべてみてくれていた。その事に対して少し照れてしまい僕は視線を外す事しか出来なかったのである。そして僕は、これからこの世界で起こる戦いについて話しをする。

この世界での僕の目的は、この世界を元の形に作り直すことである。そのために僕は今、クロに協力してもらっているのだ。そしてゼクスとゼアをこの世界に戻すために僕は頑張ろうと決めている。そのためには、この世界について調べる必要があったのだ。そこでクロからの提案で、まずこの国について知る事から始める事を決めた。そしてゼアと別れた場所へと戻ってきて、その足でギルドへと向かう事にしたのである。クロアも付いて来てくれると言うのだが、僕たちは、この世界の住民ではないのである。そのためこの世界の人達との関わりは最小限にとどめたほうがいいと判断していた。そしてクロカの事を心配そうにしていたのである。

僕はクロアと話を終えるとクロとクロカの二人を連れてクロに付いてきてほしいと告げる。その僕のお願いを聞いた時、僕の手を握りしめてきた。クロが僕を頼ってくれたことが嬉しくて、つい強く握ってしまっていたのである。その事をクロアに指摘されて慌てて離そうとしたけどクロはそのままでいいと言ってくれた。なのでそのままクロの歩幅に合わせて歩き出したのである。

クロは僕の隣に並んでくれて、さらに僕の手を握って歩いてくれる。その姿はどこか微笑ましく見えていた。そんな二人の後ろを歩いているのが、なぜか不機嫌な様子をしているクロナだ。クロナも女の子なのだからもう少し可愛らしい反応を見せて欲しいと思うのだ。しかし、僕は、そんなクロの表情も可愛いと思っていたのだ。僕はそんな事を考えてクロの手を握る手に少し力を入れる。そしてクロの顔を見上げると、クロもこちらに顔を向けてきてくれたのだ。そのクロの目はとても優しく僕を見つめてくれていたので、それが何だか恥ずかしくなってしまって顔をそむけてしまう。しかしクロがそれを許してくれない。僕と目を合わせてと訴えかけてきているようなのだ。仕方なく僕は顔をクロに向けてみると、僕の事をジッと見つめてくるクロがいた。そしてそのクロと僕の距離はとても近くて僕は心臓が高鳴ってしまう。しかしそのドキドキとした感覚を楽しみながら二人で会話を続けていたのである。僕達は冒険者ギルドの前に辿り着くと中に入る事にしたのである。そこで僕とクロナは、クロが登録をするために必要な物を購入すると、クロは嬉しさを爆発させながら喜んでくれたのである。それから僕とクロは、パーティーを組む事を提案するとクロナに怒られてしまった。そしてその事を謝られたのである。僕的には別に気にしないんだけど、なぜかクロナが凄く怒っていたのである。しかしそれもクロナがすぐに機嫌を直し、クロと僕とのやりとりを聞いて、嬉しく思っているみたいだった。それからは僕とクロナ、クロアとクロの四人で行動する事にしたのだ。クロとクロナとクロアの三人と別れると受付嬢の人がいるところまで行き僕は依頼が欲しいと伝えると簡単に手続きを終わらせてくれた。しかし僕とクロが一緒の依頼を受けることは出来ないらしい。どうやらクロとはレベルが違うためらしいのだ。それを聞いたクロアが僕とクロのために依頼を受けようと言ってくれたのだ。僕は、それに甘えることにして、クロアにどんなものなのか聞いてみる事にしたのであった。

僕はゼアンと、クロアと一緒に行動を開始する。そして、クロアが言う通りにゼクがこの国に作ったダンジョンの場所を教えてもらうとそこに向かったのだ。その道中では特に魔物に出会うことなく目的の場所にたどり着くことができた。そこで、クロとゼアに僕たちの事を紹介すると、僕もクロに紹介したのである。それからは、しばらくダンジョンの攻略に勤しんでいくのだが、途中で休憩をはさむことにした。その際に、クロアに何かしら質問したいことがあるようだったので、クロに頼んでクロアを呼んでもらったのだ。そのタイミングでゼクトに僕も話しかけることにしたのである。

クロとクロリアさんはお互いに自己紹介を終えてからクロに何かを伝えたようだがその内容まではわからなかった。そしてクロは何故か、僕の方を見ながら笑顔を向けてきて、それに僕は動揺を隠せずにいるとゼクスからクロアがどうしてゼクをここまで気に入っているのか聞かれたので、僕はクロがクロリアさんとゼクトの娘であることを話すとその事で納得をしてくれたのだ。そして僕はクロがクロのお母さんの名前を付けた事を説明してから僕はゼアのことについて尋ねたのである。するとゼクの話ではクロは自分が死んだ時にゼアの事を思い出していて会いたいと願ったのであった。その時、ゼクトもクロが生き返らせたことでゼラがクロにお礼が言いたかったのだと思われるが今はその事は置いといてゼクトは僕に話し始めた。その内容は、この世界での出来事についてである。どうやらクロトがこの世界で生きていた時は平和だったらしいのだが、この世界の管理者である女神ゼラが何者かによって殺されてしまい、その影響でゼクトの住んでいる大陸では魔族による反乱が起こってしまい大変なことになってしまったという事を聞かされたのである。それから僕は、その話を聞いていたゼアンとクロにそのことを伝えた。そして、その話はクロから聞いた内容とも一致していることがわかったのである。僕はゼクトとの話を終えた後に一度、この世界の住人に話をしてみようと提案して、クロアの了承を得た。

「ねえ。僕に付いて来て欲しい所があるんだ」

僕はクロの方に視線を向けてからそう伝えてクロの手を引いて移動する。その場所に着くまでの間、クロにこれから会う人物がどういう存在なのかを説明する事にする。すると僕の話を聞いて少し怯えたように僕の腕にしがみついて来たのだ。その反応を見ている限り僕がこれから会いに行くのはこの世界でトップクラスの人物だという事がわかる。僕はクロの様子を見ながら少し不安になっていたのであった。しかし僕はその人物にどうしても会わなければいけない理由があったのである。そして僕はクロとクロアをその場に待たせてから一人だけで目的地へと到着した。そこは大きな扉の前であった。僕は、そこにいた兵士に声をかけて部屋に入れてもらえないのか尋ねてみることにする。すると中に案内してくれると言われて部屋の中に入ったのだ。

そして、僕は、部屋の主の目の前に立ち頭を下げる。そしてその人物から挨拶を受けてから用件を伝える。その人物は僕がこの国の国王であると知り驚くと同時に僕に対してこの国を助けてほしいと言われる。そしてこの国が抱え込んでいる問題を解決するためには勇者の協力が必要だと言われ、協力を要請されたのだ。そして僕には、この世界では誰も成し得た事がないある称号を持っていると教えられる。そして僕は、この世界を救う為に、その称号を使って欲しいと頼まれたのであった。

僕とゼクトは、二人でこの国の王に呼び出された部屋に向かうとそこには先ほど見たばかりの王の姿があり、その横には勇者の二人がいたのである。王は二人を見て驚き戸惑っていたがすぐに表情を戻し二人に向かって話しを始めたのだ。

それから、その言葉を聞いた僕はクロのことを見つめながら僕はゼクとクロアの方を見ると二人に目配せをする。二人もそれに合わせてくれたのを確認した僕はゼアに視線を戻すのだった。その事に王が気づいた時にはすでに遅かった。ゼクスが放った一撃は、その部屋に存在していた物を粉砕したのである。ゼクスの攻撃により壁と天井が無くなり外が丸見えの状態になり室内に強風が入り込んでくると僕はクロアを庇うように立ち、クロアを抱きしめるように守りゼクトとゼクスに目をやる。ゼクスの拳には光が宿っておりそれがゼアに襲いかかる。僕はそれを魔法を使いゼアに防御するように伝えるとクロアにゼアから離れるように指示をしたのだ。しかしゼクトに攻撃されているはずのゼアにはゼアを攻撃するために放たれた光弾は当たることなくゼアに傷一つつける事が出来ていなかったのである。ゼクトは攻撃をする事をやめるとゼアに話しかけてきたのだ。そしてゼクトは僕の方を見るなり話始めた。

ゼク達がこの世界に呼ばれた理由は魔王に対抗するための力をつけるために呼ばれて来たのだが、この国はそんなことを微塵も考えずに自分たちが生き延びる事だけを考えてしまっていた。そのため僕たちがやって来た時、僕は、この国に対して不信感を抱き警戒をしていたのである。そのため僕とゼク達は別行動をしてそれぞれの目的のために行動を開始し、クロアが僕の事を気に入り僕達と共に行動することを決めたのである。

そして僕がクロアとゼアの二人で行動してもらうことを決めて別れてからクロに僕たちはクロの事をお願いしてその場を離れる。クロは僕たちの事を最後まで見送り手を振り続けていたのだ。そんな僕たちの姿を僕は微笑ましく見ていたのである。それからゼクはクロカを連れて街に出ると、僕は、クロアにこれからのことを考えてもらうためにゼクとクロアの事をお願いしたのだ。ゼクスとクロカも一緒にクロとクロアとクロの4人でクロをお願いしたいと言うとクロアはそれを了承してくれたのである。なのでクロはしばらくの間クロナに任せることにして、クロアとゼアを連れてクロアが暮らしていた場所に転移をして向かう。その移動の間にクロと会話をしているとゼクもクロと話したいという事を言い出したので僕はクロアの方に顔を向けると、僕の方を見ていたクロアはすぐに理解してくれたみたいでクロをゼクトの元へ連れて行くのであった。

僕はクロアに事情を説明してゼクトの元に連れて行かせるとクロアが言ってきたのだ。僕に着いてきてくれないかと、その事に驚いた僕だったがその理由を聞いてしまうと何も言えないまま従う事を決めたのである。そしてクロアに連れられるままに僕は、ゼクトとクロアと別れたクロアと一緒にゼアに会いに来ていたのである。その事にゼクトはとても驚いていたがすぐに気持ちを切りかえてクロとゼアは自己紹介を始めたのであった。その後、ゼクとゼアのお互いの状況を説明したあとにゼクが僕に話し始める。僕と一緒にいる事でこの国を変えることが出来るのではないかと言ってきたのだ。そして僕は、ゼアの言葉を聞いた後にこの国が今どういう状況なのかを聞いてみたのである。その事にゼアが詳しく教えてくれるとこの国の現状を理解してしまったのだ。それはあまりにも酷い話だったのである。この国に生きるすべての者たちに平等に接し、国民に愛されるような素晴らしい王であったはずなのだがいつの間にかに自分の欲を満たすためだけに権力を行使し始めるようになっていたのだ。そのおかげで国民からは支持を失い始めているという事だそうだ。その話を聞いたゼクも呆れていたようだった。そして僕が、なぜこんな事になっているのかを聞くとゼクトとゼクが説明を始めてくれたのである。どうやらこの国は勇者と呼ばれる者達がいるせいでこの世界最強国家に上り詰めることができた。しかし今ではこの世界の管理者となったゼラのおかげでその強さに頼りっきりの堕落してしまいその結果このような事態を招いてしまったのだとゼクトは僕に説明してくれ、その事に僕はため息をつくしかなかったのである。

ゼクトとゼクの二人はクロアの方に顔を向けて僕と一緒にこの国の王を説得するために協力してもらえるか尋ねる。ゼクトとゼクの話を聞き終えて、クロアは自分の父親から託された手紙の内容を思い出してゼクトとゼクに協力しようと思ったのか二人に向かってそう告げたのであった。するとクロが、その事を嬉しく思い僕に笑顔を見せて来て僕もその笑顔に見惚れてしまっていたのだ。すると僕達の事を見ていたゼクトとクロアに僕は二人の方を向いて話しをしたいと伝えると二人はクロとゼクスに一言声をかけてクロとクロリアさんの所に歩み寄るとその光景を見た僕はなぜか嫉妬心を感じてしまうのであった。そして僕は、その事に気がつくとその感情を抑え込むようにしてから、二人の所に向かったのである。その途中には、まだこの国にいるのかどうかの確認は取れていないが一応この城に滞在しているであろう人達の居場所を教えてもらったのだ。

それからしばらくしてゼクが僕に声をかけてくる。

「ねえ。これからどうする?」

その言葉に僕は、この国の王に会う必要があると考えを伝えてゼクトとゼノに僕たちがこの世界に来た本来の目的を果たすためにもまずはこの城の王のところに向かう事を提案した。

そしてゼクスにクロアとクロのことを頼み僕とゼクトの二人で王の元に向かわなければならない理由を伝えると僕達は、この城を後にして王の元へと向かうことにしたのである。僕達は王の間に向かうと、そこではゼクトの話にあった通りの人物の王が玉座に座っており、その横にはこの国の王の秘書らしき人物が立っていたのだ。

僕はゼクトにこの場で話をしても問題はないかを尋ねるとゼクトは了承をしてくれたので僕はその事をその秘書に伝える事にする。僕が話しかける前にゼクトが王に話かけると王は驚いた様子を見せながら僕に何か用があるか尋ねてきたのである。そして僕は、今から話す内容は誰にも口外してはいけないと前置きをして、王に質問を投げかけてみたのだ。そしてゼストはその事に少しばかり考える仕草をすると答え始めたのである。

「私がこの国の王になってからこの世界は大きく変わってしまった。それまであった他国とのいざこざもなく、民達は平和に暮らし、私はそんな生活が続くと思っておったのじゃが。私にも予想もしなかった出来事が起きてしまってな。そして、それをきっかけにこの国は衰退の一途を辿って行くことになったのじゃ」

王の話を聞いて僕は王に対して同情的な目線を送りながらもゼクトの事をチラッと見てみるが王に対する興味を失くしているようでその事に気づいたゼクトも僕と王に向かって話しを続けていいか尋ねてきたのだ。すると王は、ゼクトに対して返事をすると話を続ける。

それから王が言うには、ある日突然空が暗くなり雷鳴と共に巨大な化け物がこの国にやってきたらしいのだ。最初は、誰も信じることができなかったのだがその日から、各地で謎の怪物が現れて被害を出し始めた。その事は瞬く間にこの国全体に広まり始め、やがて誰もが不安を覚えるようになっていったという。そんな中でも一番最初に被害を受けた場所はここでありその事が王に衝撃を与えたようだ。

そんな話を聞かされた僕はクロに念話で話しかけると僕の考えが正しいのかを確認しようとしたのだけれどクロの方は大丈夫と言わんばかりの表情を浮かべていたので僕は安心をすると同時にゼクトと王に今の僕が思っている考えを二人に聞いてもらったのである。

そして僕は、王に向けて、この国がこのような状況に陥ってしまった経緯を説明する事にしたのである。ゼクトとクロはその間も何も言わずに僕の事を見つめてくれていたのだ。僕はその事を感謝しながらこの国に起きた悲劇を語っていく。その事にゼクトとゼクは黙り込んだままで、王は信じられないといった感じで僕の話を聞き続けるのであった。

僕はクロとクロリアさんがこの世界に呼ばれてから起こった事について全て話したのだ。そして僕はこの世界で起こった事件を全て聞き終えたところでゼクトに僕達と行動を共にすることを頼む。するとゼクトは僕の考えを理解したみたいで、僕達と行動を共にして共にこの世界を救おうと僕達に宣言してくれたのである。

その言葉を聞いた僕はゼクトが仲間になったことをとても嬉しく思い僕は笑顔になる。その光景を見ていたゼクはどこか複雑そうな顔をしながら僕たちを見るのであった。その視線に気付いた僕は、そんなにゼクとクロが羨ましいのかと思ってゼクトに声をかけてみるとその問いにゼクトは何も答えず顔を赤くしていたのである。

その光景を見ていたゼクは僕に何が起きたのかわからずに困惑をしているような態度をするので僕はゼクにクロがゼクトの気持ちを受け入れたと伝える。するとゼクはすぐにその意味を理解すると、ゼクもクロと同じように顔が真っ赤になってゼクトの事を見ることが出来なくなっていたのだ。

その光景を見ていたゼクトが僕に向かってゼクを抱きしめても良いかを僕に確認してきた。なので僕はクロの方に目をやるとクロの方は嬉しそうに笑いながらゼクトにゼクトに抱っこされる許可を与える。

そして僕が、その様子を見ているとゼクスとクロも同じような行動をしていてクロアだけが冷静だった。そこで僕は三人を呼び寄せてからみんな一緒に抱き合って欲しい事を告げるとみんな素直に従ってくれたのだ。それからクロにクロとゼアの3人をクロが暮らす場所に連れていくことを伝えると僕の腕の中にいたクロが僕から離れようと暴れ始めて、その行動で僕の腕の中でクロが転びそうになったので僕は慌ててクロを抱き留めようとするが、僕の手から抜け出したクロは、僕に飛びついてきて僕は、そのクロを受け止めると、僕の腕の中に戻ってきて僕の胸に頭を埋めるのであった。クロの行動を見て僕は思わず笑みをこぼす。そして僕は、クロが戻ってきてくれたことが凄く嬉しいと思ったのである。

ゼクの告白を聞いたゼクトは、クロの時とは違ってすぐにはゼクの想いを受け入れることができずにいたのだ。なぜならばクロの件があったからである。ゼクトはゼクスを幸せにしてあげたいという思いはあったが自分がその資格があるとは到底思えなかったのだ。しかしクロにゼクトの本心を打ち明けて、その上でゼクトの願いを聞いてくれと言われてクロが真剣に話を聞いてゼクトの想いを理解してくれたおかげでゼクトは、ゼクと結ばれる決心ができたのであった。

それから僕はゼクトとゼクと三人でこれからの事について話し合いを始めようとしていた。

それから僕はゼクトとゼクからこの国の現状を聞き出す事に成功した。

その結果、この国で起こっている異変は魔物の数が日に日に多くなっていく事が原因だという事が判明した。その現象はこの国の各地で起きているらしくその事で国民達が騒ぎ始めているそうだ。

この世界に来て初めての魔物討伐をする事に決めた。そしてこの国に訪れる前に聞いた話ではこの国に騎士団に所属している者は、かなり強い者しかいないと言っていた。僕はゼクトにゼクがどれだけ戦えるのかを尋ねた。すると、ゼクトが僕に自分の強さを見せれば納得するのではないかと言い、僕はその事を確かめるために僕に模擬戦を挑んで来いとゼクトに向かって言うと、それを承諾してくれたのである。

その後でゼクトと僕達はこの国の王に別れの挨拶をし、僕達は城から出て行き城の外へと出て行く事になったのだ。僕達は、まず冒険者として登録しておかないと行けないと考えたのでギルドを探しに行く事にしたのであった。そして僕達がこの国に訪れた時に見かけなかった建物が目に入りその建物の中に入ってみるとそこには、大勢の人がいたのである。そしてその中には受付嬢と思われる人が大勢いる事を確認すると僕は早速、ゼクトを連れてゼクをそこに案内させてから僕が一人残ってゼストとゼクの二人と一緒に冒険者に登録するために僕はカウンターへと向かう。それから僕は二人の紹介も済ませると僕はまずは冒険者になるために試験を受ける事になると言われたのだ。

それから僕達はゼクトのランクを上げるために依頼をこなしていき、その過程で他のパーティの人達と出会い、ゼクトはその人達と仲が良くなりお互いに情報を交換し合いお互いの力を高め合っていた。

ゼクトは、そんなゼクトを微笑ましく見つめていた僕にゼクが声をかけて来たのである。

それからしばらくして僕達はゼクトが受けていた任務を終えるとそこで僕達のランクはDに上がることになったのだ。

ゼクト達はこの世界で知り合った者達と共に旅を続けて遂に目的の地に到着した。その場所は、クロリアが住んでいた国であり僕達が最初に訪れようと考えていた場所でもある、魔族の里と呼ばれる国であった。そこは、この世界の中でも一際大きく、自然に囲まれた綺麗なところだったのである。

ゼクト達はその事を僕に教えてくれ、その事にクロは嬉しそうな反応を示していた。僕もその事は嬉しかったがこの先に進むのは危険だと僕は判断する。僕はゼクトに僕とクロは、この場所でしばらく休息を取ってからこの先の目的を果たすために行動を起こす事を提案する。それに対してクロがゼクトに僕が言った内容をそのまま伝えると、ゼクトがそれに賛同してくれて、二人は僕に自分達に任せてほしいと言ってきたのである。

僕としてはこの先には、この国の国王がいるはずだと思い、僕はゼクトとクロに無理をしないようにお願いをした。そしてゼクトにこの里にある宿屋の場所を教えると、僕は一旦その場から離れる。

僕が離れたのは僕が持っている武器の確認をするためである。

ゼクトには剣の腕を磨いて貰うように頼んでいるのだけど僕の武器である銃では威力は申し分ないけれど攻撃速度が遅くなってしまい、相手の攻撃を受けてしまう危険性があり僕の力を発揮できなくなってしまうのだ。それを防ぐために僕は自分の愛刀である刀を取り出してから鞘を抜き去り刀身を確認してから、次に短刀を抜くと、その二つの刃物の状態を確認したのである。それから僕はこの国に来るまでの間で見つけた鉱石を取り敢えず鞄の中に入れることにしたのだ。

その途中でクロに僕の武器を見せても問題ないかと尋ねてみるとクロも興味を持ったのか僕の所へと駆け寄ってきたのだ。

そして僕は、クロとクロアさんに見せても構わないと言うと二人は僕の持つ武器に興味を持って眺めているのであった。

それからゼクトは、ゼクが自分についてくると聞いて驚き戸惑っているゼクトに対して僕はゼクトが付いてきても良いか尋ねるとゼクトが戸惑いながらも僕に対してゼクの事を任せてくれと僕に向かって告げてきたのである。僕はその事に素直にお礼を言ってからクロとクロアさんに僕の武器を見せることにした。

クロとクロリアさんの二人が僕の武器を見たいとゼクトに言われてしまい、クロは僕が持っていた短剣をクロアさんに預けるとクロとクロリアさんが僕の方に視線を向けてきたので僕はクロとクロリアさんが見やすい位置に移動する。その事で僕の武器を見た二人は驚いたような表情で、僕に話しかけてくるのであった。

そしてクロが僕の持つ二振りの武器に興味を抱いたようで僕の方に近付きクロリアさんもそれに続いて僕の方に近づく。

僕はクロにゼクトをゼクトのことを頼むと僕は、この国に来た時に見たあの光景を思い出してあることを思いつく。それはあの場所で僕達が倒してしまったドラゴンの姿だった。僕はその事を考えていたのだが、この世界の王に会いに行く前にこの里に存在する神殿に行き神獣である龍と契約をしようと考えたのだ。その事をクロとクロリアさんに話すとゼクトとゼクは僕の話を聞いて僕が何をしようとしているのかを理解できないといった顔をしていたのである。そして僕はクロに僕の考えを説明すると、ゼクとクロも僕の考えを理解したみたいだった。

そしてゼクトとゼクは僕の行動についていくことを決めた。その事が決まってから僕達は僕が提案していた作戦を実行するために準備に取り掛かったのである。

僕達はこれからのことを考えるためこの場で一度休憩を取ることにしたのである。

ゼクトとクロに僕は二人に相談したい事があると告げると、ゼクトはクロに僕の考えを簡単に説明してからゼクにゼクトの側にいるように伝えてくれると、ゼクトも僕の意見に賛同を示して協力すると約束してくれたのである。その言葉にクロが喜びながら僕に向かってありがとうございます。と言いながら笑顔を見せていたのであった。それから僕達はこれからどう動くかについて話し合いを始めるのであった。

僕達がこれから行うのは僕が提案した通りに僕とクロでゼクトに魔法を教えながら、ゼクトとクロがクロリアさんから魔法を学びながら僕達三人は連携を深めながら、クロが元々使っていた魔法の力を扱えるようにするために行動に移すのである。

そしてそのついでに僕は、この里の人達に協力を求めに回る事にした。そしてクロは、僕達が行動している間はこの場をクロに守ってもらう事にして、クロに僕とゼクトで行動することをお願いするのであった。

それから僕とゼクトの二人で里を回ってから里の人達に協力してもらえないかお願いをするのであった。そして、この里で暮らしている人達と話をする中でクロにこの里にいる魔物達を倒してきて欲しいとお願いしてもらいクロが引き受けてくれた。しかし、この里の人たちに魔物と戦ってくれと言うと難色を示されたので僕はその人達に向かってこの国の国王と話をさせてほしい事を伝えると渋々ではあるが、この里に住んでいる住人の一人がその役を引き受けると言ってくれたのである。

それからクロが戻ってくるまでの間に僕とゼクトとクロで打ち合わせを行い、僕は一人でこの国で滞在する事を伝えてそれからゼクトは、クロと一緒にこの国の外に出てもらう事を決めてゼクトにクロがこの国でやろうとしていたことを全てゼクトに説明してもらう。ゼクトはそれを聞き終わると僕にクロの頼みを僕と一緒に行動することを引き替えに受けて欲しいと言われたので僕はそれを承諾するとゼクトは僕と行動を共にする事を決断してくれ、クロはゼクトの言葉を聞くと嬉しそうにしていたのである。そしてクロは自分が元いた場所に転移するのであった。

僕がクロを見送った後、この里で暮らしてる人からこの国に住む人のほとんどが今、この国を襲おうとしている脅威に備えていると教えられたので、その事についてはこの国の国王と相談して欲しいと伝えると、その事を承諾して、そして僕に何か困ったことがあったら何でも相談に乗るからこの里に訪ねてきて欲しいと言われてその事に僕は感謝をしてこの里を離れるのであった。

僕達は、この国に滞在している間にゼクとクロは、この国で起きている魔物達の数が増えていく異変の対策を練り上げようとしていたのである。その事に僕が二人に伝えると、ゼクトが僕に、この国が何故こうなったのかを話し始めたのである。

僕はその話しの中でこの世界に存在する魔物をこの国の外から呼び寄せているという存在がいるという話をし、僕達の世界で起こっている異常現象はこの国の国王が原因ではないかと予想をしたのだ。それを聞いたクロとクロリアさんはその可能性は否定できずに僕に問いかけてきた。僕は二人の質問に対して僕は国王本人に直接会って確認をすれば解決に向かうのではないかと考えてその事は伏せておいてクロとクロリアさんには僕達がこの国から出て行く際に一緒に同行してもらうという提案だけ伝えたのである。そして、その時までに僕はゼクトとクロに自分の能力である創造と破壊についての詳細とそれからこの世界の人達には僕のこの力については隠した方が良いと思うとゼクトに伝えてから僕の能力の説明をゼクトにしておく。それが終わった後は僕はゼクトから、この国に伝わる伝説の聖剣の話を聞かされたのであった。

ゼクトはそれからクロとクロリアさんと会話をしながら自分の力を伸ばすための修行を始めたのである。

その時にクロにクロアさんがクロに、ゼクトがクロアさんの弟子になったと伝えるとクロは、それを聞いて喜んでいてゼクトもクロにお礼を言っていてその様子を見たクロリアさんが微笑ましそうな表情をしていたのであった。そしてそれからゼクトは、クロとクロリアさんの指導の元ゼクの技を使えるようになりゼクトが身につける技を身に纏わせることに成功した。

それから僕はクロからこの国に眠っていると言われている宝玉について聞き出し、その情報を手に入れた僕はこの里を出発する。そしてクロリアさんに、この里に危険が迫っている事と、クロの故郷を守ってあげて欲しいと告げてから僕はゼクトを連れてクロリアさんから借りていた刀を受け取りその鞘の中に僕が持つもう一つの愛剣である刀を入れてもらいゼクトに渡すと、僕がクロから受け取った宝玉をこの里に眠ると言われる宝箱に入れて、それから僕達はこの里の門の前に向かい、そして僕はクロにこの里をお願いしてからクロがクロリアさんに抱きつき別れの挨拶を交わす。そしてクロは僕に笑顔で手を振りながらクロアさんと一緒に転移していったのである。

そして僕とゼクトでこの国の城下町にたどり着くと僕はそこで宿屋を探して部屋を借りることにした。その宿にたどり着いた僕達はすぐにこの国の王様に会う事ができ、それからこの国の状況を説明して貰い僕とクロはお互いにこの国の事を頼まれた。

それから僕はこの国のギルドと呼ばれる組織がある場所に連れていってもらい、それからこの国から一番近い場所にある森に行くための許可を取ることができたのである。

僕は、クロが教えてくれた情報を元にクロの故郷である森へと向かう。そして僕は森の中に入るとクロから貰った地図を頼りに進み続けたのである。そしてその途中に僕が出会った魔物は、僕が倒したのである。その戦闘の最中に僕はゼクトを鍛えるための相手を見つけてその魔獣にゼクトと戦わせてみると、その相手が強すぎたのかゼクトの実力では全く歯が立っていなかったのである。それからゼクトが必死になってその相手に攻撃を繰り返すのであるが一向にダメージを与えることができないでいる状況だった。

そんな様子を見かねた僕は、その相手の方もかなり疲弊している様子だった為に、ゼクトが攻撃をしているその隙に僕とゼクトが持っている剣を使って僕がその剣に力を注ぎ込む事で僕の持つ剣は輝きを放ち、そのままの勢いでその魔剣を使いゼクトの一撃が魔剣の力も合わさりその敵に命中した。

その結果、その相手を倒すことができて僕はゼクトに声をかけたのである。するとゼクトは僕に感謝をしていてゼクトはクロが言っていたように僕から戦いのセンスがあると聞いてその言葉を素直に受け入れることにした。

それからしばらく歩き続けて僕とゼクトは目的の場所までたどり着きその光景を見て僕はその景色に目を奪われていたのである。その光景とは自然豊かに広がる花畑であったのだ。その綺麗な光景を見た僕はゼクトにここの花を採取したいと伝えるとゼクトは、快く了承してくれ、そしてゼクトと僕が二人きりの時間に心奪われている時である僕達を遠くから見ている気配に気づいた。

その人物に僕は声をかけてみるとその人はゼクトのことを見に来ていた人で僕がゼクトに用事があって来たと告げると、ゼクトをゼクトのことを気にしているようだったのである。それから僕は、クロと約束を交わしていた通りこの里で手に入れた神器を僕が作り出した神獣達に渡してから僕は里を後にする。僕とゼクトは里を出るとゼクトはクロのことが心配だからと言って急いでこの里に戻りたいと言い出して僕の提案に乗ってくれる事になった。そして僕達は転移の能力を使ってこの国の門の前に戻ってそこから歩いて街に向かいそれからこの国の城下町を歩くことにした。するとその最中にある噂話を聞く事になり、その内容は、最近この国が危ないとか、隣国の国が魔王によって滅ぼされて今はもうこの国の土地はあの魔王のものらしいとか色々と話を聞けてその話を聞いた僕は少し気になることがあったのでゼクトにそのことを尋ねてみるとゼクトは何か思い当たる節があるような顔をしていた。僕はその表情を見てその事が気になっていたので詳しく話を聞かせて欲しい事を話すとゼクトは真剣にその事について僕に説明をしてくれたのである。

「俺の知り合いで冒険者をやっているやつが、こっちの大陸に来る途中でこの国を治める領主様の所にも立ち寄ったことがあるんだけどよ、その人が言うには、その国の王が変わったんだってさ。その事を聞いた時は驚いたけど、それだけなら問題はないはずだったのに、その変わった王様って奴は民達に対して重税を課すようになっていたらしくてな、その税で国の財政はかなり厳しくなっているそうだぜ」

ゼクトの話を聞いていた僕にはとても信じられない内容であったが、この国で起きた出来事を思うと僕はその話を頭から疑うことはせずに信じてしまうのである。しかしゼクトは何か考えごとをするような顔でその国のことを思っており、それからゼクトは僕に、この国の王のことを教えてくれたのである。この国の王様の名は【レイナス】という男性であり、年齢は見た目は二十歳くらいで髪の色は黒色をしており身長もそこそこ高く整った容姿をした人物であった。しかし、性格は傲慢で我欲が強く自分の力だけで何でも成し遂げようとする傾向にあり、自分よりも立場の上の人に対しては敬意を払ったりする態度をとるのだが下の身分の者に対しては横暴な態度をとったりとやりたい放題をしているようで、この国の人達はその王様に苦しめられている人達が大半だと言っていたのである。

その話を僕にしていた時のゼクトの顔からは怒りの感情が見えていてゼクトはこの国に来てからもこの国に住む人々のことを助けようとしていたのだと知り、その事に僕は感動を覚えたのであった。

僕達はこの国に入国した時にゼクトが泊まった宿屋に向かうとそこには、この国の国王が滞在していたのである。その事に僕達は驚いてしまい、僕達はこの国の国王から、この国に起こっている事態の原因を知ることができたのである。それはこの国の地下に眠っていると言われている宝玉が原因で、それを手にいれようとしている輩がおりその宝玉が目覚めれば、この国の全ての土地は汚染されこの国の者達は全て死に絶えるとこの国の王は語ってくれた。その事を聞いた僕とゼクトは宝玉を探し出そうと決意して、この国から近い森へと向かおうとするがその時であるこの国を訪れていた他国の貴族がこの国の王が変わってしまった事を聞きつけてその貴族の男がこの国王と面会をしたと言う情報を僕に流してくれるのである。

それから僕はその貴族と会い、そこでこの国の王の悪行とこの国が置かれている状況を聞いてから僕はこの国の王様が変わりそのせいで、この国の人々は苦しめられていると伝えると、その貴族も今の現状を知っていてその事を伝えると僕は、その国の王様に会って話がしたいと言ったのである。その言葉を聞いたゼクトはその貴族の方にも協力をしてもらい僕はその貴族の男に連れられ、城の中を進んでいくのであった。そして僕とゼクトが城の人達に連れられていくと、その先には豪華な椅子に腰を掛けておりとても偉そうな人がいた。そして僕はその人に王様ですかと尋ねると王様はそうだと答えたのである。

そしてその事に対して僕は、この国の王に、今この国がどのような状態になっているのかを説明してもらうと王様は、その話しを冷静に聞いておりそれからこの国の状況を一通り聞くと、王様はそれからこの国の王様と話がしたいと僕に頼んできた。

それを聞いた僕とゼクトは自分達がこの場にいると迷惑になるかもしれないと思い、それからすぐにこの国から立ち去ることにする。

僕はゼクトと別れた後、僕はすぐにでも宝玉を探すために動き出そうと思ったが、僕はクロから預かった刀とクロリアさんから託された宝玉を持っていることをふと思い出したのである。

(クロが言っていたように宝玉がこの宝箱の中にあるということはクロの生まれ故郷が危機に晒されているということに間違いはないはずだ。だからこそこの宝玉は僕の物なんだから僕が持ってるのが一番正しい選択のはず。それにこの宝玉の力を使って、もしかするとクロの故郷の敵を倒す事が出来るかもわからないしね)

僕はそれからクロが生まれ育った故郷を救いたいと本気で思い始めていた。クロの話によるとこの世界にはクロの種族以外にも多くの魔物が存在していると聞いている。しかも、その中でも一番厄介なのが魔王と呼ばれるものの存在で、その存在は、クロの住む世界を支配しようとしている。そんな存在を倒す事ができるとすれば、その力はクロがこの世界で得た力しかないと考えていたのだ。そして僕はこの国に存在する神器と呼ばれる武器を集めていく事にして、クロリアさんの作った神器である剣、クロから譲られた短剣の二つの神器とクロが持っている短剣の三つの内の一つが手元にある事を思い出して、その力を試したいと考えた僕はその神器が保管されている部屋へと向かう。

その部屋の中に入るとそこは神器の力が封じられている魔道具があるだけで他には何もない空間になっており、そこに僕が探し求めていた神器がある事を知っていたので、僕はまず、その封印されていた剣を抜くことに成功する。

僕はその抜いた剣が魔剣だと知るとそのままの状態で魔剣を鑑定するのである。その結果を僕に伝えるようにその剣の名前が映し出されて、魔剣の名前は魔を断ち斬るものという名前だった。その名前に僕が驚いていると、その魔剣が光輝き出してそれから光が消え去りその部屋には何も起きなかったのである。

僕はそんな出来事を見て、何かが起きると思ったのだが結局何の変化も起きなくて残念だと思いながらも魔剣の力を調べるのを諦めて別の神器を探す事に専念することにした。僕はそれから他の神器が隠してある場所に向かうがその前に、僕には確認するべきことがあった。

それはクロから渡された神器の力を使いこなして、本当にこの世界に潜んでいるという魔王に対抗できるかどうかである。クロからこの神具の力はクロの故郷に存在している魔物達を相手にするのに有効な手段だと言われていたのである。

その話を思い返しているうちに、その魔王と呼ばれている者の力を考えてみると僕が知っている魔王とはまったく別なのだろうと思っていたのである。そもそもこの世界の魔王は、この世界の支配者ではないのに何故、魔王を名乗っているかは僕にもよくわからなかったのだ。

「この世界を侵略したいと思っているって言ってたけど、その理由は、どうしてなんだろう?もしかしたらあのクロに宿っている女神は、僕が考えている以上に強大な力とかを持っているんじゃ?」

僕はそう考えて、とりあえずその事を考えるのをやめてからクロから貰った宝玉を探して回る。そして僕が宝物庫で宝玉を探し回っている時、その異変に気づいた。それはこの城に侵入者が現れたようで騒ぎ声などが聞こえてきたのだ。

その騒いでいる者達は兵士なのか分からないけどその数は数十名ほどであり、その者達は兵士達に見つからないように移動し続けていたのである。僕はその様子に疑問を感じてその様子を見に行くことにした。しかし、その場所にたどり着くまで僕を尾行している者達に気づく事はなかったのである。

(まさか僕を狙ってる連中の仲間がいるっていうの!?だったらこの国の兵士達がその事に気がつかないのも納得が行くんだけど、その可能性は低そうだよね。もしも、僕にこの国を救ってほしいとか言うお願いのためにこの国の王様達が僕の行動を見守ってるって事は無いとは言い切れないけど。だけど、その考えは少し甘いような気もするんだよね。もしそうなった場合の事も考えていたから僕はその可能性も捨てきれないんだよ)

そして僕は城の外に出るとそこには僕に話しかけてくる人の姿を見つけるのであった。

僕は自分の身を守るためにこの国の王達から譲り受けた能力を使用する事にした。それは相手の行動を読み取る能力で、相手がどのように行動するのかを把握する事ができるので、相手が攻撃してくるタイミングなどを察知する事が可能でありそれを見極めれば対処する方法も見つける事ができたのである。しかし、そんな便利な能力をこの国に訪れるまでは使わなかったので、今この状況では使う必要性を全く感じられなかったのである。

(まぁ、この城で生活していくのに必要な能力だと思うし仕方ないか)

僕は、これから起こるかもしれない戦いに心構えをしながら、城の中に入り込む為に、城の内部構造とこの城の中の人物のプロフィールなどを確認する作業を始めたのである。その結果分かったのはこの国の住人の中で、この国の王と謁見が出来るのはこの国の宰相だけであると言う情報を得た僕は早速、この国の王に会いに行く事にした。

城内に入る事は出来たが城の兵士に見つからずに移動する事は出来なかったので、僕は城の中でも目立たない場所に隠れながら移動をして、城の王の私室へと向かったのである。

そしてその道中に僕は、僕が城の中に侵入した時に、誰かがこの城内にいる事を知ったらしく僕の後を追いかけている人物がいて、僕はそれに気づいていない振りをしながら歩き続ける。すると、その追いかけている人物を巻くことに成功したみたいだったので、それからしばらくするとようやく目的の部屋の前にたどり着き僕は扉を開けようとしたのだが、その前に、僕に話し掛けて来た人影が突然現れ、その人物は女性である。

僕はいきなりその人が僕に話しかけてきた事に驚くと、その女性がその手に握っていた武器で僕を攻撃しようとするが僕はその攻撃を寸前のところで避けて見せた。しかしその事によって僕の警戒心を煽ってしまったのである。

僕はその女性の持っている得体の知れない物に驚きながらもその女性の顔を観察して、それから僕は彼女が何者でこの国に何の為に来たのだろうと疑問に思ったのである。その事が分からなかったのでとりあえず、彼女に僕がここに来た理由を話す事にした。彼女は、この国の王様が変わってからおかしくなり始めていると言い出してきてから僕はそれについて質問をすると彼女の説明が正しかった為その言葉を信じた僕は彼女を城から追い出すことを決めると彼女はそんな事はさせないと言って戦闘を始めようとしたが僕は、彼女と戦わなければこの国を変えることが出来ないと考えてから、戦う意思を見せた瞬間にその女性は一瞬だけ動きが止まるとそれから彼女も覚悟を決めたのか、その手にしている槍を握りしめてから攻撃を仕掛けようと走り出した。だが、それでも僕は負けるわけにもいかないと思い僕も同じように動き出す。それから僕は彼女が突き出してきた鋭い突きをなんとか避けるがその一撃をかわす事で僕の服は切られてしまうが僕はそれから連続で繰り出される素早い動きによる連続攻撃を受け続けて、僕は回避する事で精一杯になっていた。そしてそんな状態のまま僕は必死に考える。この城の中でこの女を撃退するにはどうしたらいいのかを僕は考え続けそれから僕はある方法を実行する事に決めたのである。それは僕は持っている刀の力を全力で発動させようと考えたのだ。その事を考えていた僕はまずは刀に力を込めると、その刀の刃から白い光の波動のようなものが出現したのである。

それから僕も目の前にいる女の人のように剣を振ってから剣に力を溜めてその力を一気に解放させる技を繰り出す。そしてその僕の繰り出した力は僕の剣の威力と合わさって凄まじい衝撃波を生み出し僕の正面にいた女を遠くに吹き飛ばすことに成功して、その衝撃を受けて倒れていたのであった。

僕もその反動により体力を消費したので僕はその場で倒れ込みそうになったがすぐに立ち上がってからもう一度立ち向かおうとしたが、その時に先ほどの女性が僕に向かって襲ってきたのである。そして僕と彼女がぶつかり合うが今度はお互いに同じ武器を持っていた事もあり互角な状況を作り出していてお互いの攻撃は相手にダメージを与えることが出来ずにいたが、このままの状態だと決着がつくのは難しいと判断してから僕は、剣の使い方を変えてから剣に力を込め始めて、それから僕はこの剣の力でこの女を吹き飛ばそうと剣を振るが、この力の制御はまだ完全に使いこなせていなかった僕はその力の暴発を引き起こしてしまいそのまま僕は、その力の影響で飛ばされて意識を失ってしまったのである。

そしてそれからどれくらいの時間が経過したのであろうか?僕は目が覚めるとその部屋が暗い事に気付いたのだ。それから僕はその事に気付き自分がまだ生きている事を知りそして体を起こしてみると、何故か僕の両手は鎖のような物によって拘束されていて、そこから伸びる鎖の先端が僕から伸びている事を理解する。そんな僕の近くにその部屋の明かりをつける装置を発見した僕は、僕はこの部屋にいる人達の事を観察した。

(あれ?ここは何処なんだろう?なんで僕こんな所に閉じ込められてて?えっと?なんでこの人達はこんな格好してて僕を縛っているの?なんか変だよ?それになんで皆仮面をしているの?)

その光景を見ていると僕はその人達の事を気持ち悪いとしか感じなかった。それはなんでなのかと僕にはわからないがなんでそう思えたのか自分でも分からない。でもそう感じて仕方がなかったのだ。その事を確認した僕はこの場所から抜け出そうとするのだがその時、この部屋に僕が目覚めた事に気付いたのか、一人が僕に近付いてきてそれから、僕に話し掛けてくるが、僕はその内容に驚いた。その男はこの国の王だと自ら告げてからこの国は変わったと告げてきたのである。

そしてその変わりようは異常だと言われ僕もそう思うが僕はどうしてそのような事になったかと聞いてみると彼は答える。この国の王はもう以前の王とは違いこの国を支配することだけを考えて行動するようになったのだと告げると僕はそんなのは嘘だろと思ったがその王の話を聞き続けていた。しかし僕は何もすることが出来なくてこの場から逃げ出す事が出来ないかと考えているが、そんな事は無理だと思い知らされることになった。

(なんで!?体が動かない。一体どういう事なんだ!?)

その事に対して僕の頭の中は混乱していて、この城の王様が僕の知らない力で何かしらの力を使っていることを理解した。しかしそんな事は僕には関係ないと思っていたのだが、この国の王は自分の配下になるつもりがないなら僕を殺す事を決めるが、そうすればこの国から脱出する事が出来なくなる事を伝えてくるが、僕はその話を信じることが出来なかった。しかし次の言葉で僕は、僕の身に危険が迫っていることが分かってきたのである。

「私はこの国の王様として君にこの国の為に働いてもらいたいと思っているのだ」

(この国が僕のいた場所とは似てもいない世界である事ぐらい分かっているけどどうして僕がこの世界に呼び出されたのかを僕は調べる必要がある。その答えを見つけるまで僕はまだ死ぬ訳には行かないんだ)

「だから君はこれから私が指定している場所に行ってくれればよいのだ。そこでこの国のために尽くしてくれればいいのだ。それだけで良い。簡単だろ?」

(そんな馬鹿な話があってたまるか!!どうして僕に何も言わずに僕の大切な仲間達を殺しておきながら僕がこの国のために働く必要があるんだよ)

そう思ったが僕の口は開かなかった。僕をここまで拘束した人がこの国の宰相で僕の仲間の事を殺した人間の一人だった。その人はこの国のためにはどんな手段を使っても良いと思っているらしい。この人の言いなりに動くのは嫌だったけどこの城の中には僕の知り合いがいないから助けてくれる人はいなかった。そんな事を考えていた僕は僕の目の前に立っていた王の言葉に耳を傾けたのであった。

それから僕をその王の私室に呼び出したのは僕に王としての自覚を植え付けるために行う儀式の為であるらしく、その事は王自らが説明してくれる。その事を聞かされた僕はこの人がこの城の宰相が言ったように僕を殺そうとしていた事は本当であったと言う事を知るとこの城の兵士達の事を信用できなくなった。

僕は王のその行為がどうしても許せなかった。この人に殺されたくないからという事もあるかもしれないが、この人とこの人の周りにいる人間の態度や考え方が気に入らなかった。まるで洗脳されたようなその表情が本当に気に食わなかったのである。そしてその行為は僕にとっては屈辱以外の何者でもないと感じたのである。僕はこの国の王にそんな事をされなければならない理由なんてないと言いたかった。そんなのは勝手すぎると。そしてその王が言う。これから行われるその行いで僕の中にある感情を爆発させれば僕は王に従う必要などないと言ってくれたのである。そして僕がその言葉を吐き捨てると王はそんなのはありえないと言って僕に襲いかかろうとする。そしてそんな王の行動をこの城の使用人や、この城の王の配下が止めに入ったのである。

その出来事が僕に怒りを与え、僕の体は熱くなるがそんな事でこの王を殺せるわけもなく、僕はこの部屋の中で自分の力の無さを実感したのであった。

僕のその力がこの城の者達を傷つけないように僕が全力で放った力は僕の想像を超える威力を発揮させていたようで、僕のその力を受けた人達はそのまま地面に倒れた。僕はそんな彼らの事を助けようとせずに、ただその場に立ちつくす事しかできなかったのである。僕が全力でその人達を倒した事で、僕は自分が弱いのだと知った。

そしてその事に絶望しながら僕はこの部屋の窓から飛び降りた。そんな事をすれば確実に死んでしまう。だが今の僕は生きる希望をなくしていて僕は死んでしまっても構わなかったのだ。そんな僕の目の前に現れて来たのは僕の事をこの城の中へと招き入れた男であり、そしてその男がこの城の宰相だという事を僕はこの人から聞いたのである。そんな彼に僕は、何故そんな事が出来るのかを問いかける為に問い詰めるが僕では彼の事を倒す事は出来ず、僕はこの城から抜け出す事が出来なかった。それどころかこの城に滞在することになってしまったのである。だがこの国にいれば必ず僕はあの人達に復讐することが出来ると信じている。

僕はこの国の人達の事を信じられなくなっているが僕はそれでも僕は、この国の人たちを信じようと頑張ってみる。そんな僕にこの国の王は、お前はこの国の王になるための試練を受けてもらう事を決めるが僕はその試験を受けることを決意したのであった。

僕のこの国に来た目的の一つでもあるからその事に関して拒否をすることは出来ないと僕は思いそれから僕はその試験が行われる日まで待つ事にした。そしてそれから数日後、僕は僕自身の身を守る為に、この国の兵士を僕の方で用意してから僕と同じような召喚術師がこの国の王の側に居たという情報を手に入れる。それから、その情報を詳しく知ろうと僕は調査を始めるが、そんな僕の所に突然現れた人物によってその調査を中断することになる。その人物こそ僕に試練を課した張本人であるその人だったのだ。その男は、そんな事を僕が知る必要はないと言われてしまうが、僕には僕の目的があるので僕は、この男の言う事を無視してこの国の宰相とこの城の中で話し合いをした時と同じ部屋に入っていったのであった。

「貴方がここに僕を連れて来た本当の理由は僕に、この城から出ていけという事をさせる為なのでしょう。ですから、僕は僕自身の力でこの城を出ていく事をします」

そう言って僕は剣を取り出してからそれを握り締めてから、剣を振り回し始めると僕に斬りかかった一人の兵士が剣を振るうが僕はその攻撃を軽々と避けた。それから何度もその男は攻撃を仕掛けてきたが、僕はその全ての攻撃を回避して見せた。そして、僕を襲ってきた兵士を倒してしまったのだ。それから僕はこの部屋にいる他の者の力を確認するが誰も大した強さを持っていない事を知って僕はそれから、その部屋の中にいたこの城にいる者達のほとんどを叩きのめしたのであった。

そんな事を行った後僕はこの城の外に抜け出した。するとそこには僕をここに連れて来てくれた男が待っていて僕が無事な姿を見て嬉しそうな顔をしていたがその顔はどこか無理しているような感じがして、そんな様子の彼に僕は思わず笑いそうになったがそんな場合ではないと気付き僕は、ここから出るための鍵を探すためにその城の中を探し回った。それからしばらくしてようやく僕はその鍵を発見することが出来た。

しかし、その時僕は背後からいきなり誰かに襲われてしまい僕はその攻撃を避けようとしたが間に合わず攻撃を受けてしまう。そんな攻撃を受けた僕にこの城の王を名乗る人物は話しかけてくる。僕を殺すつもりだったと言う事を告げる王の言葉に僕は動揺してしまうが、この場でこの人を倒せば外に出られると考えたから僕はこの場にいる全員で襲いかかってくる王とその仲間達に向かって僕は全力の力をぶつけて吹き飛ばした。それからその王を拘束した後、僕はまだ他にも残っているかもしれない敵を探してみたがどうやらその必要は無かったようである。僕はこの国で手に入れた力を使えば僕自身でこの国を出ることは容易いと考えこの国を去ろうとしたのだが僕はそんな僕の事を呼び止める声を聞いてしまったのだ。その呼び止めたのは僕の元仲間の一人である少年だった。

(え?嘘?なんで?なんで君達がこんなところに来ていて、しかも君達は僕の事を忘れてしまっているみたいじゃないか?)

僕はそんな風に驚いていたがその僕の驚きは、僕の予想を大きく上回るものであった。僕は、僕の仲間だと思っていた三人の男女は僕のことを覚えていてくれていて、僕との思い出も全て覚えていてくれていたのである。そして僕のことを抱きしめてきた。

「良かった!本当に良かったよ!」

そんな言葉を聞いた僕は涙が出そうになっていた。僕には今すぐにでもこの三人に抱きつきたいという衝動を抑えることが出来なくなり僕は、この城の中で見つけた物を使って、僕と僕の仲間の絆を取り戻す。

(これで僕達の事を思い出してもらえたよね?)

そう思いながら、僕は僕のことを忘れてしまった仲間達と一緒に、これからの僕達の目的であるある遺跡へと向かうことにしたのであった。

僕は僕の事をこの世界へと呼び出した存在について色々と考えていた。

(僕は一体誰なんだろ?)

そう思っていても何もわからないのだから今はとりあえず僕は自分の目的を達成する事だけを考えることにしていたのである。

それから僕の仲間の少年少女達と協力してこの国の王様の事をどうにかしないと、またいつ同じ事を繰り返すか分からない。その為にも、僕はまず、王様の事を止めることから始めようと思った。「王様は悪い人じゃないんだよ。だってこの国の人達をみんな幸せにする為に一生懸命努力してきたんだと思うんだよな」

「それは、どうして分かるのですか?」

「えっと、なんて言うか雰囲気で?」

そう言って僕に語りかけてきた人は少しの間考え込んでから僕に言ったのである。その人は僕にとって大切な人で僕の大切な仲間の一人だったはずなのに僕は何故かその人との会話に懐かしさを感じなかったのであった。そしてそんな話を僕と、その人以外にも、僕の仲間の少女や、少女が守っていた小さな女の子もその人の事を止めようとするけど僕にはどうしてもこの人の言っている事が信じられないと感じてしまったのである。

(僕の事を信じて付いて来て欲しかったけど僕一人で何とかできる事じゃないだろうから僕を信じてくれなくていい)

僕は、この人達が僕を信じなくても構わないと思ってこの国を出て行こうとするけど僕はこの城から抜け出す事が出来なかった。

それから僕達の元に宰相がやって来てその人が、宰相に対して僕をこの城の外へと出すようにお願いしてくれたが僕はその事に関してはこの人達に任せる事にした。

そんな僕に僕と同じ世界の人達は一緒にこの城から逃げ出そうとするが僕にはどうしても彼等を連れて行く気にならなかったのである。そんな時にふと、僕はこの世界に呼び出された時の光景を思い出す。その時にこの城の中には大勢の人がいたのに僕は気が付いたのだ。そしてそんな僕をこの場所へと連れて来たのは目の前にいるこの宰相であり、そんな宰相は僕を殺そうとしたのだ。それならきっと他の者達も僕の事を良くは思っていないはずだと。そしてその事が本当ならば僕に力を与えてくれるかもしれないと、僕はそんな事を考えてしまうがそんなの都合が良すぎると思いそんな甘い期待を捨てる。そして僕はそんな僕の考えを肯定するかのようにこの城の外には沢山の兵士達がおり僕を拘束しようとするが僕はそれを避ける。僕は僕の力を確かめたくて、その僕の前に立っている者達を倒してみせるが僕は僕の思っていた以上に僕の力が強い事を確認出来た。

僕はこの城にいる兵士達がどれだけ強くても僕は負けないと考えてそのまま走り続けようとしたら僕の後ろから襲いかかって来る人達が見えたのであった。僕は襲いかかってきた者達の攻撃を避けた後反撃を行い相手を倒す。だが、僕はこの人達を簡単に倒す事が出来るようになったのにもかかわらず、まだ僕の中では納得できていなかったのであった。

そして僕の中で何かが違うと思っているうちに、突然僕は気を失いその場に倒れ込む。僕は何があったのかと不思議に思いながらも自分の体を起き上がらせる。だがそこで僕はある事に気が付くと、僕の体が震え始めたのであった。その僕の視界に飛び込んできた物は僕の記憶にある物とは違った形をしていたのである。

僕はこの国へと召喚されて初めて自分の姿を自分の目で見ることになる。僕はこの世界で生きていく為に必要な自分の事をこの国へと伝えると、僕には、この国の王の側に居たあの女性が、僕を見てこう言ってきた。

その女性の言葉を聞いていた周りの人々も同じ様な感想を持っていたらしくて、その女性は続けて言った。

それから、僕はこの城の宝物庫に行く事になったのだが、そこに辿り着くまでの間に僕の事を僕がこの世界に来て一番最初に出会ったその人である僕に勇者の称号を与えると言ってきた人物とその取り巻きの者達が、僕がこの国の王になる為に試練を受けろと言われ僕はそれに承諾しそうになるが自分の意思が弱くなっている事に気が付きその申し出を拒否した。

そんな僕に今度は僕と僕の仲間の三人の女性達に襲いかかってくる人物達が現れてくる。そしてそんな奴らに僕の大切な仲間の一人である小さな女の子が人質にとられてしまう。

そんな状況を見ているしか無かった僕のところに僕の仲間の少女が、その子の側にいるもう一人の女性と共に助けに来てくれたのだ。その二人と、その二人の事を待っていた少女が僕の側にやって来ると僕はその子にお礼を言う。そして僕はこの国を出る前に、僕に襲い掛かってきた者達と僕と仲間である三人とこの城の宝物を奪おうとしたこの国の宰相を倒した。そして僕は、そんな事をした後この国に残る事を決めた仲間の少女の側から離れようとしたが、その事を知ったこの国の王とその仲間達が僕を殺しに来たのであった。

その王やその仲間達によって、僕がこの国の王になるための試練を強制的に受けさせられてしまいそうになったが僕はそれを拒絶してこの城から脱出しようとしたのである。その時、この国の王の側には例の女がいるがその女が僕が脱出するのを阻止するつもりなのかもしれないが、僕の邪魔をするつもりらしい。そんな事もあって、僕はこの王と戦わなければならないと考えこの国の王を拘束したのだ。

しかし拘束したはずの王の体からは大量の黒い霧のようなものが吹き出してくる。そして僕達全員の体にその霧は纏わりつくが僕の仲間たちのその霧を払う事が出来ないようだ。そんな中で僕は自分の腕を剣で斬ってみるがその剣が僕に傷を付けることは無く僕の体の中へ入り込み、僕の中に溶け込んでいく。

(なっ!?どういう事なんだこれは?僕は今この世界にいるこの国の王に僕の持っている力を吸い尽くされようとしている?くそ!こんなところで終わってたまるか!こんなわけのわからない奴に僕が負けるなんて許せない!こんな奴なんかに僕の力を渡してなるものか!こんな理不尽なものに負けてたまるものか!)

そう思った僕はこの国に存在する僕の能力であるこの世界の人達が僕に与えてくれた加護とこの国の人々を守るという誓いを胸に抱いて僕は、この国で手に入れた力とこの国に残していくはずだった僕の大切な仲間を、この世界を守るために僕の中に存在している全ての力を使って王であるこの男の魂を完全に消し去ったのであった。

それから、この国の王が死んでしまった以上、この国の王として僕は認められなくなってしまう。そう考えていた僕にこの国の宰相である人が僕を新たなこの国の支配者だと、そう告げてくる。

だけど僕は、この国の新しい王となる事を拒否して、この国の人々を幸せにする為に、僕は僕の力を使いたい。僕は僕の力を手に入れた人達の力を借りながらこの国の人達の為に頑張ろうと考えている事を告げると、この国の人達は僕を認めてくれているようで安心する。それから僕の仲間になってくれそうな人を探そうと考えた時僕はその人に声を掛けられる。

その人の声を聞いた僕はなぜか心の底から懐かしさを感じて、僕の中でこの人の事を守らなければならないと感じてしまうのであった。

(どうしてだろう?)

僕達はその少年から話を聞いて、彼の言う遺跡へ向かうことにしたのであった。僕がこの城の中で目覚めた時も感じたけどやっぱり僕達の事を覚えていてくれない。でも、それは仕方が無い事なんだよね。だって彼が知っているのはこの世界の人達だけで僕達の世界からここに来ている存在は、僕達の事を知らないのだから。だから僕は彼と別れてからその事を思い出して寂しくなって泣き出しちゃうけど、そんな僕を、彼以外の仲間の人達が慰めてくれるのであった。

私は、私の目の前にいる男性に問いかけた。そして、私が話しかけた事で彼はとても喜んでくれたみたいだ。彼は私の名前を知りたがったので私は素直に答えたらその事が嬉しかったのか私の名前を繰り返し呼び始めたのである。そんな彼を見ていると凄まじく恥ずかしくなり顔を真っ赤にして照れてしまった。

「あっ、あぁごめんね」

「えっ、どうして謝るんですか?」

「だって僕が君の名前を何度も呼ぶものだから嫌なんでしょう?」

「いえそんな事は全然ありません!」

「えっ、ほんとに?」

「はい」

「よかった。ありがとう。それで君は僕の事をどう思っているんだ?」

私はその男性の質問に対して、自分が思っている事を包み隠さずに話す事を決める。

(うん。大丈夫。この人は絶対に、この人だけは信用出来る)

それから彼にこの国について色々と聞いてみることにしたのである。まず初めにこの国の名前がわかった。

「そういえばこの国の名前はどこの国に属している国なのかわかるのですか?」

「ああ。そうだなこの国の名前はアガルタ王国って名前だよ。それでこの国がどこに属するかという事だったね。ここはアガルタ王国の中の一つの国の中に位置する場所になっているよ。まあ、正確には一つの国ではなくていくつかの国の集まりで成り立っているんだけどね。そして僕がこの国に来る前は僕もこことは別の国の人間だったんだよ。それで、この国は元々は他の国の一部でもあったらしい。ただ、他の国を纏め上げる力を持った人物が現れてその人がこの国の王となったみたいなんだ。そんな風に歴史の流れが変化した理由とかその人がどんな人なのかについては分からない事が多いのが現状かな。

僕はそんなこの国の王様の事を良く知ろうとその人が居る部屋に向かうと、そこには先客がいました。その人はとても可愛くて優しそうな人です。その人は僕の事を自分の娘のような人と呼んでくれて、僕を抱きしめようとしてくれたがその行動に対して何故か嫌悪感を抱いたので僕はすぐにその場を離れます。するとその女性は僕が離れて行った事を気にしているようなので後で何かしらのお詫びをしておこうと思います。それから僕にはその部屋に何があるのかを確認する為に調べてみると何かの書物を見つけ出す。それを読んでいると僕の中にある記憶に何か引っかかるようなものがあったのです。そんな僕に僕の娘さんが話し掛けてきました。そんな彼女は僕にこの国の外に出ないでほしいと懇願してきたので僕はその理由を尋ねてみると、僕にはこの国の王になる資質があるので、それを利用してこの国の事を良い方向へと導く事ができると言いました。その事を聞いていた僕はその女性が嘘を吐いている事がすぐにわかり、僕の頭の中では彼女の言っている事を信じる事ができないと判断を下す。

しかし僕は自分の力で彼女の言っている事を正しいという証明をする事はできないと悟った僕はこの城から抜け出す事を決心します。

その時にたまたま見かけた人物を、僕の娘がこの国の王にしようとしていた人物と同じ人物だと思い、その男を僕は拘束した。しかし拘束されたはずのその男が僕に攻撃してくる。

僕はこの男の攻撃を受け流し反撃を行った。それからしばらくして男は倒れ込んだが、男の体はどんどん消えて行くようにその姿を消したのである。

僕はその時その現象を見て僕はこれがこの国を裏で動かしている者達の正体なのだと悟り、その者達を倒す為に僕にはその者達の事を知る必要があると思い僕の仲間になった三人の少女と、この国の姫でもある僕の妹を僕の家へと連れ帰るのであった。そして僕達はそこでこの世界の秘密について知ったのである。

僕は、この世界にやって来た時の出来事を思い返してみると僕達の仲間の一人になってしまっている女の子にその女の子の記憶が一切無くなってしまっている。

だけど、僕の仲間になっいる女の子が元々持っていた力のおかげで、僕と仲間の少女はお互いに離れられない関係になってしまった。

そんな僕達がお互いの関係を確かめるためにお互いの手を繋ぎ合うと不思議な力が溢れてきて僕達の繋がりの強さを感じてしまう。僕はこの感覚をどこかで感じた事がある気がする。そして僕はそんな僕の隣に居る少女の事が気になってしまい彼女に問いかけてみる。

しかし、彼女もやはり僕の事をまるで思い出せないようで申し訳なさそうにしている。しかし、そんな僕達の前に突如として現れたのが僕が今一緒に行動をともにしている三人の少女の内の一人であり、元この世界の王女でもあった存在だ。その少女が何故僕達の前に現れたのかという理由はわからない。しかしその少女が僕がこの世界で目覚めてこの世界の事を知ったのが最近であるという事を知った。

その事を教えてもらった事で僕はこの国の王として、これからの僕がどのように生きていくべきかを考える必要が有る事に気づく。そして僕達の元に新たに一人の人物が姿を現したのである。それはその国の王の一人娘で僕の妹でもありそして僕の妻にもなるはずだった女性であった。その女性は僕の妹を僕の仲間にした人物であり僕が拘束した男と一緒にこの城に居座っていた。そして僕達にその事実を教える為にわざわざ僕の前に現れたのだと思われる。その証拠にその人物は僕達が知っているある情報を口にしたのである。その情報は今僕がこの国の王になれない状況に有る事や僕自身がこの世界にとってどのような役割を担っていてどのように生きていかなければならないかを僕に伝える。しかし僕の中に眠るこの世界の人々に対する想いを伝えるとその人物は突然涙を流し始めて、その事を否定し始めた。

「違う!お前は、私の、私の兄さんじゃなっ、無い!あなたはっ、あなたは、私の兄さんの体を奪い取って、奪ったのね!?だから私はその体を返して貰う!さっきまで、私はその人に会えてとても嬉しかった!やっと見つけたんだから!もう、私の兄さんじゃなくっても構わない!さぁ!あなたの体を返して!私の兄の身体を返しなさい!!」

僕に向かって怒り狂いながらそう言ってきた女性の剣幕は物凄く怖かったけど、それよりも僕の事を自分の妹じゃないと言われてショックを受けてしまった。でもそれと同時に納得もできたのである。だって僕はその人の事を知らなかったからだ。それにこの国に来た時もそうだけど、僕にはまだこの国の人々から与えられたこの国の人々の魂の力が残っている。そのおかげで僕はこの国の人々に受け入れられていたんだろうと思う。でもその人の話を聞いて、この世界の人々はこの世界の住人である僕を受け入れてくれただけであって本当の僕自身ではないんだと言う事を痛感させられる。そう考えていると僕は、自分の存在が虚ろなもののように思えてしまい、僕の中で眠ってくれているという仲間に感謝の気持ちを抱いてしまう。それから僕はこの国に残っていた僕の力を使い、この国を崩壊から救ってみせる。

(この力があればこの国を守る事も可能だろう)

それから僕は僕の力をフルに活用する為の準備を始めたのである。それは僕の能力の一つである神域から呼び出して、その能力を使用する為に必要なアイテムの作製をする。

(まずは必要なのは結界石。それと魔力増幅剤。そして魔法を使う際に消費してしまう魔素を溜め込む事ができる魔法の筒だな)

僕が作った道具の効果を説明しておくけど、僕が今回作ったのはこの世界の魔法を扱える者が使うと効果を発揮する。だから僕達以外の異世界人がこの世界に迷い込んでしまった時は彼らもこの道具で助かるはずなんだ。僕がその準備をしている間にも僕の妹の力は弱り始めていたので僕はその対処の為にも動き出した。

「おい。大丈夫か?少し、休むか?」

「いえ大丈夫です。このぐらい平気ですよ」

そう言いながらも僕と手を繋いでいたその手はとても冷たくなっていた。僕はそんな彼女を心配して問いかけると彼女は無理に笑顔を作り大丈夫だと告げてくるがそれが嘘だということはすぐに分かる。なぜなら僕が触れている彼女の体の熱がどんどん奪われているのを感じるからである。

僕は、彼女がこのまま死んでしまうかもしれないという危機感を感じたのでその事を告げるがそれでもその女性は僕の事を気遣っているのか、本当に問題が無いのかは教えてくれない。

(この様子だと僕の方から聞き出さない限り何も答えてはくれないだろう)

それから僕はこの国の現状とこれからについての説明を行い、僕の仲間の一人である少女が持っていた力を利用してこの国の人々に受け入れてもらう。

(あの子は僕の力を受け止める器としては完璧だったな。それどころか、あの子の中にはこの国の人達よりも大量の力が流れ込んでいたな。まあ、それも僕の力が衰えたからこそできる芸当だが。しかしこれでこの国の民達は、少なくとも僕の事を受け入れてくれてこの国を守ってくれる事は間違いないはずだ。僕はそう考えてその事を彼女に説明すると、その言葉が嬉しかったのか、彼女の顔が緩む。どうやら喜んでくれているみたいだ。

僕は、彼女の体調が悪くなり始めた原因を調べてみると、その要因が僕と繋がれていることに気がついたので、それを取り除くことにした。僕はその方法を取るために彼女に触れる必要があるので彼女の肩に両手を置いたのであった。すると彼女の体に異変が起きた。

彼女は苦しそうにして地面に膝をつき始めそのまま彼女は気絶してしまった。そんな彼女は自分の体が作り変えられるような痛みに襲われて意識を覚醒させると僕の事を睨みつけてきた。

「一体私に何をしたんです?」

僕はそんな彼女にこの国の人々を説得する事に成功したことを告げると、彼女は驚いた顔をしていたので僕がその事を伝えた理由を話し始める。そしてその理由を説明する為に、僕はこの国を守るためには僕の仲間の少女の持っている能力が必要だという事を伝える。そしてそれを手に入れる為にも僕は僕の仲間の一人の少女にもう一度会いたいと思っていると、僕達の前に一人の人物が現れたのである。それは僕の妹であり僕の力を全て受け止めてくれた女性であった。その女性は僕と仲間の一人の少女の関係を詳しく説明してくれました。その女性に僕の妹と会うのを止められる前に僕はこの城から抜け出す事にしました。そして城の外に出るのと同時に仲間の女性達には城に残ってもらった方が都合が良いと考えた僕達はその女性達と別れることにするのです。

僕達は仲間の一人の少女に会いに行く事にします。

そんな僕は仲間の一人にその仲間がいる場所に案内してもらう事にするのです。その少女の住んでいる場所へ向かう道中では、少女が僕と一緒に行動するようになったきっかけの話や、僕の仲間の事を色々と話す。僕はそんな少女との会話を楽しみながら少女の住んでいる家へと向かう。そして目的地に辿り着くまでに色々な話をする事ができたので、その事に関しては非常に良かったと僕は思っていた。そんな時僕はこの国の王になる為に旅をしていた時に出会った女性と出会うのである。

その女性は少女の姉であり少女の妹の事を心の底から大事にしている。

僕はその女性に対して僕の仲間である女性の事を聞くとその女性は少し困った表情をして僕の問い掛けに対して、曖昧な返事をしてくる。しかしそこで僕には一つ疑問が生じたのである。

何故その女性が、自分の娘でもないはずの僕の事を助けようとしてくれるのかという疑問を抱くが僕はその女性と仲間の少女に、これから先何が起きるのかを説明した。それからしばらくして目的の人物の家に辿り着いた僕達の前に姿を現したのは僕の事をよく知っていて僕と共に戦っていた存在で、僕がこの世界で最初に出逢う事になる少女だ。少女の名前はアリサで僕の事を支え続けてくれる存在でもあり僕が初めて手に入れたいと思った女の子でもあった。

そんな少女の姿を目の当たりにして、その瞬間、その少女の顔を見て僕の頭の中にその少女の記憶が溢れ出して来たのである。そうして僕の中にその少女の記憶が入り込んできて僕の中で一つの出来事が思い浮かぶのである。それは少女の妹であり僕の元恋人でもある女性が僕の前に現れた時の記憶であり僕はその事を思い出した途端、今まで僕が感じていた不安の正体が何なのかを理解するのであった。僕はその事実を知った事で動揺を隠せなかったが何とか持ち直してその事を伝えようとするがその時に、僕達が居る場所から数キロ離れた場所で突然爆発が起こったのだ。僕はその光景を見ていた。その爆破によって、そこにいた人達の命が失われた事を僕は理解してしまい絶望に囚われそうになったが、僕にはその事を忘れてはいけない。忘れる事は許さない。そう自分自身に何度も念じて心を奮い立たせてから僕はその事に対処しようと行動する。そして僕と仲間の二人を連れてその場所に向かったのである。そしてそこには一人の女性と少女がいたのだ。

「貴女がこの国の王ですか?どうして私の邪魔をするの?私がこの国の王の座に就こうとしたら何故あなたは立ち塞がろうとするのよ!」

僕は、その人物が発した言葉を最初は信じられなかった。しかしよく見ると僕の目からは涙を流しておりその人物が本気でこの国の王になりたいと考えているのがわかったのである。その人物の言っている事を聞き入れてあげるわけにはいかないので、その人物が持っている力を奪い取ろうとしたのである。その人物は僕の攻撃をあっさりと避けてみせた。それからその女性は何かを呟くと僕の視界を遮るように光が現れてその光が収まると僕の目の前に僕達にとって敵となる存在である男性が存在していた。僕はその事を知って慌てていると僕の隣にいた仲間の一人である少女が僕の耳元でその男こそが僕の妹の魂をこの世界に送り込んだ本人なのだと伝えてきて僕はその事を納得すると僕達と敵対する意志を見せている相手の男性が話しかけてきた。

「この世界を滅ぼそうとしている者か?お前はこの世界の王になろうとしているみたいだな。だが、残念だったな。お前は今から死ぬ。だからその前に俺の目的を聞いておけ」

「貴方の目的は何?」

僕は相手がどんな事を考えているのか分からず問いかけると、相手は自分の計画を話してくれた。その計画を聞いた僕も、その話を聞いた仲間たちもその話に驚愕してしまう。まさかこの人がこの世界を支配しようとしているなんて思ってもなかったからである。その男は、僕の予想していた通りこの世界の支配者になりたかったらしい。そしてこの男の狙いはこの国の人々をこの世界の新たな支配者にしてしまおうというものだった。僕達の仲間がこの国にやってきた目的はこの世界にやって来たこの国の人々が元の世界の事を懐かしんでしまって自分達の世界に帰りたいと強く願ってしまったせいで、その想いが異世界の門を呼び寄せる力となってしまった事が原因なんだけど、その原因を造り上げたこの人のせいでこの国の住人がこの世界で生活がしにくいような状況になってしまったという事も僕にとっては大きな問題だと感じた。

僕がこの人の考えを否定するように言葉を投げかけるがそんな事は無意味だと言われたのである。そして僕に攻撃を仕掛けてくるのだけど僕の能力を知っているその人物の攻撃は、僕の仲間の一人である女性が全て受け止めてくれて、もう一人の仲間の女性がその男性の体に触れて、彼の能力を封じたのだ。それから僕は仲間の女性達と、この世界の事をこの世界の王にしようとしている女性から守り切る為に行動を始める。

僕は僕の仲間に指示を出す。僕の仲間の女性達も僕と同じことを考えているようであった。僕達は、その女性を倒す為の準備を始め、その準備が終わったのを確認して、僕達の方も行動を始めたのであった。その女性の行動を観察していると僕はある事に気がついたのである。僕は、僕の仲間の女性に向かって、この場から離れるように言うと僕の仲間の女性は僕のその行動の意味が分かったようで、すぐにその女性から距離を開けて、それと同時に僕は仲間の一人の女性と一緒に、女性の力を封じ込める為の行動を開始するのである。

「一体何をするきだ!私は絶対に負けないんだからな」

僕は、その女性から力が溢れ出ている事を確認したので僕の仲間の一人の女性の方に視線を向けると彼女の力を使って、その女性に攻撃を行ったのである。それから僕の仲間の少女の力も使って、僕の力の増幅を行う。それから僕達は、仲間の一人である少女の魔力を利用してその女性の持つ力を全て封印することに成功したのであった。

僕は、仲間の一人である少女にこの国の人々に危害を加えるように指示を出してきた、その女性に仲間の一人である少女の本当の実力を教えるために僕は、この国の王であり、仲間の一人である少女の母親でも有る女性に対して戦いを挑むのであった。

その戦いの最中に仲間の一人の少女が僕の側に駆け寄ってきてくれて、僕と一緒に戦うと言ってくれた。そんな少女の言葉に対して、僕は仲間の一人の少女の事を守る為にも僕のそばから離れないでくれと伝えるのであった。

僕はそんな少女と、この女性との戦闘を続けながらその女性に対して僕は、この国の民達に僕に敵対してこなければ何もしないと宣言すると、その女性は僕に向けて敵意を見せながらその事を否定したのである。

「私達がこの国の王である私の命を狙った事に対して罪に問わないと言うのですか?」

「ええ、その事で、貴女を恨んだりしないですから安心してください。それと僕が、僕達の意思で動く人達には干渉をしないと決めています。僕に歯向かって来るのなら話は別なんですけどね。貴女達のように自分の欲望を満たすためだけに僕に挑もうとしてくる人間には僕の仲間は手を貸さないでしょう。だって貴女が、貴女の妹をこの世界に送りこんだ張本人だからですよ。僕だって僕の家族に手を出した人間は許せないですから。だから僕が貴女の行いを許すと思っているのでしょうか?僕は僕自身の仲間を守るためにも貴女に容赦するつもりは無いので覚悟して下さいね。僕の妹に何かしようとした事を後悔しながら死ぬが良い!」

そうして僕はこの国の王であり僕の母親でもある女性と戦う事にしたのである。僕が女性に攻撃を加えて女性は僕が放った攻撃を受け止める。そんな事を繰り返していたのだけど僕は女性の能力が、以前戦った時よりも上昇していることを確認すると油断をしないように注意をして僕は全力で、母親であり元王である存在に攻撃を仕掛けるのであった。僕は何度もその女性の体を斬ろうとするのだけど、女性は自身の剣でそれを全て受け流し続けていたのである。

(まずいな。さすが僕の母親のようだな。あの人より、ずっと強くなっているぞ。それにしても本当に、この人は何者なんだ?まさか僕に、僕が殺した僕の実の母であるあの人の存在を気付かれない為に僕が戦っていた相手の力を奪えるとかってチート能力みたいなものを持っているんじゃないか?)

「貴方、私の事を、私の息子だと認識できるようになっていたのですか?」

「はい、そうですね。そのおかげもあって僕の事を殺そうとしていた、この女性に勝つ事ができました」

僕は、その女性が僕達の前に姿を見せたときのことを話すとその女性は納得していた。どうやら僕が、その女性を倒したときにこの世界の王の座を奪うと決意した事がきっかけで僕の中にいる、かつて僕の事を育ててくれていた女性が目覚めたのだというのだ。僕が僕の中にある存在について尋ねると、僕の中にいる女性は僕の中の事については答えてくれるつもりはないと言い始めた。

僕はその女性の言い分を聞く事にしたのである。その女性の話を要約すれば、その女性は元はこの世界の魔王で僕の母親だったらしい。その女性が何故、僕の元に来たのかといえば僕の母親が、元居た世界に存在していた魔族の国に、他の種族を虐げる事しか出来ない者達がいると知ったことで、その者達が居る国を支配する事に決めたのだが、僕の母親はその国を統治していくうちに、その国を治める事がとても大変な事で心の底から疲れてしまっていたのでその疲労から僕の母である女性が眠りにつくことになったそうだ。

僕と、その女性は互いの事を知る事が出来たのでその女性の話を聞いていてお互いに理解することができた。その事によって僕には新しい力を手に入れることができたのである。その力は僕の中に存在する、僕の実母でありこの世界を創造神として創り出したと言われている女性の記憶の一部を受け取れるというものらしい。僕はそれを使って僕がこの世界で今までに生きて来た人生の軌跡を思い出したのだ。その時に僕は、僕の前世についても知ることが出来た。僕はその記憶を見て涙を流してしまった。何故ならば僕の前世は地球という星に住んでいた地球人の男性でしかも僕の母は僕がこの世界に来る原因を作ってしまった人物だったのである。僕に敵対するその人はその記憶を見た時に、僕のことを息子だと思っていた人物で僕の本当の父親が誰なのかを知って僕に謝罪をしてきたのである。僕はその人物に、僕は僕の事を大切にしてくれて、育ててくれた人物を恨みたくないと伝えると僕の事を僕の事を殺してしまおうと行動に起こした事を詫びてきたのである。僕はそんな彼女に僕が僕の父親の事を知らない間に殺めてしまっていたことに対する罪を赦し謝罪した。すると彼女は泣き始めてしまい、僕に対してごめんなさいと言ってきたのだ。そして僕の方も彼女が僕の事を息子の生まれ変わりかもしれないと思いながら僕を殺しに来ていた事は仕方のない事だったと伝えて彼女を宥めるのであった。そして僕はその女性の力を奪い取り僕達の事を快く受け入れてくれたこの国の民達にその女性の脅威が迫っている事を話して僕達は、その女性と戦う事にしたのであった。

その女性は僕の仲間である二人の女性に攻撃を仕掛けて、その女性達は防戦一方の状態になって僕はその女性に向かって攻撃をしようと接近するのであった。僕は僕の中で眠っている女性の力を借りて目の前にいる女性に向かって、女性が持つ剣を奪い取ってそのまま僕が奪い取った剣で女性の命を取ろうとしたのである。僕が女性の持っている剣を折ると僕はこの国の王の首を飛ばして女性の動きを止めようとしたのである。

僕は僕の仲間の女性二人と一緒にこの女性を殺すと決めると女性から力を奪って動きを止めることに成功したのである。そのあと僕は、僕の仲間の女性二人がその女性から力を奪ってその女性の意識を完全に消すと女性の姿は消滅したのであった。

僕は仲間の女性と共に僕が今迄に得た知識から魔法を使えるようになったので、この国の王を捕らえた後でこの国を救おうとしたが、そんな事は無駄だと言われたのである。僕は仲間の一人の男性の能力を利用して僕の仲間の一人である女性と男性にその男から力を借りるように指示を出したのである。すると仲間である二人はその男の力を身に宿し僕に協力してくれると言う。僕は、僕の母親を殺した犯人の事を恨んでいたが僕がこの世界に呼ばれた事が原因で起きた事件の真相に辿り着いたのだ。だから僕はその事を仲間に報告するために僕は一度僕達が滞在している家に帰る事にしたのであった。

僕はこの国の王に囚われて拷問を受けていた人達を救い出してその国の城を制圧したのである。それからこの国の王は僕達に、この国の国民を解放する代わりに僕達に自分達に歯向かわない事を条件として出してきた。僕はそんな条件を飲む気など毛頭なかったのである。そこで仲間達と相談すると、仲間の女性達がその要求を受け入れようと提案してくれた。僕はその意見に賛成して僕達は国王を仲間の女性に殺させた。僕は、僕を慕ってくれる仲間達を裏切りたくないと言う理由で仲間の女性達の提案に乗ったのであった。僕は僕に歯向かう人間には容赦をしないと決めていたので僕が僕の敵と認識した相手には徹底的にやるつもりだと言う事を伝えると僕の事を信じてくれている仲間の女性達と一緒に、仲間の一人である男性の体を使って僕に敵意を見せた者の排除を始めるのであった。僕はこの国の王族に捕らわれていた者達を解放したのちに、この国の王であり僕の母であった人を拘束していた人達に対してこの国の民達を守る為に立ち上がってほしいと言う願いを告げるのであった。僕がそう言うと、この国の王は僕の言葉を信じることが出来ないようで僕の話に耳を傾けようとしてくれない。

それから僕は僕自身が、僕自身の手で僕が今までに見てきたこの世界について語って、その世界を救う為に協力してもらえるようにこの国の王であり僕の母親である存在を説得することにしたのである。

「この国の王よ。貴女には僕が言っている事を信じてもらえなくても無理はないです。でもね、貴女には、僕を産んで育ててもらった恩があるんです。それに、この国の人間には、この国の人間が大切に思っている人達がいるのは貴女だって理解できているはずなんですよ。だから僕はこの国を見捨てる事なんてできないんです」

僕の事を理解してくれるこの国の人々のために僕は必死になっていた。だけど僕にはどうしてもこの国の人々を納得させられる言葉を思い浮かべる事ができなかったので、僕の事を良く思ってくれる僕の大切な仲間と一緒に僕のこの世界の母親の事を説明し始める。

「僕はね。自分の母親の事を知らないまま育ってきたんだ。自分の母親の事を知らなかった僕は母親の記憶を持っていないのが普通だと思うんだ。そんな僕の事を自分の母親の事を自分の母親の記憶を持っている貴女が育てたおかげで僕は母親の存在を実感する事ができた。僕は自分の母親がどんな人だったのか知らない。それでも僕の母親だった人が、この世界では魔王と呼ばれていたのならこの世界が危機に陥っている時に、そんな存在が現れたのなら助けたいと思っても何も不思議ではないでしょ?」

僕がこの国の住民である人々にそう説明をすると、僕の事を信用して協力してくれる者達が増えたのだ。その人達に僕はお礼を言うのであった。僕は僕に危害を加える可能性がある者を片っ端から排除していった。その事によって僕の味方がこの国の王である僕が信頼を寄せられる者だけとなった。だけど僕のこの国の王が僕が僕の母を蘇らせることができると聞いてその事を話したら僕の事を利用しようとする者が現れて僕に襲いかかろうとした。しかし僕の仲間がこの城の地下に封印されているという僕の母親の力を取り込んで僕を守ってくれたので僕は僕の事を利用するつもりだった奴の首を斬り落としたのである。僕はその事によって僕の事が僕に利用価値が無いと悟った連中が襲い掛かってくるが、この国は僕の事を殺そうとしたり裏切ろうとしなければ手を出して来ないと思うので放置する。僕にとっての本当の敵の討伐に向かうことにした。僕に僕の事を殺そうとしていた僕の前世の父親とその部下である女性だった者がこの城にやって来たのだ。僕は僕の前世が殺した相手と対峙することになる。僕が前世の父親だった存在にどうして僕の事を殺すつもりだと僕に問いただした。すると僕の前世はその質問に答えるのであった。

僕は僕の実の母親の力を取り込んだ事で僕の中にある前世の僕の母親が使っていた力が目覚めた事で僕は僕の実の母親の人格が目覚めたことで、実の母親であるその女性の魂と僕は話す事ができるようになったのだ。僕の母親は、僕の中にある力を使いこなすための方法を僕に伝えて僕はその方法で僕の中に存在する力を扱う事にした。僕は自分の中に眠っている力を、僕が今までに経験した事のない速さで操ることができたのだ。僕の事を愛してくれている仲間である女性が僕を守るために僕の前に現れたが僕には彼女を守る事など造作もなかったのだ。僕の中に存在する力の圧倒的な力を見せつけると僕の事を認めて僕に力を貸してくれる事になったのである。僕の事を僕の前世である男性が僕の事を羨ましがっていた。僕が僕の父親を見ているとその父親は何かを思い出した様子だったのだ。

その人物はどうやら僕の父親の知り合いだったようだ。僕の父親が、僕の事を殺そうとしたのはその人の命令だったらしい。その人物の名は、僕達の世界で魔王と呼ばれる前のこの世界の魔王の夫である魔族でありその世界で一番偉かった存在である。その魔族の男性は僕の父親よりも遥かに優れた力を持っていて僕が僕の世界で僕を生んで育ててくれた女性の力を手に入れて僕の力になったその人の母親の力でも敵わなかったという。僕は、その人物と対面してから僕の仲間の女性達が僕の身の安全を守る為にその男の意識を奪って僕の力の一部にするとその男が持っていた力を手に入れることに成功した。僕はその力を手に入れたことで僕の力はより強大なものになると同時に僕の仲間に新たな仲間が加わることになった。それは、僕を慕ってくれる仲間の一人で男性なのだ。僕は彼に名前を付けてあげることにした。彼の名前をこれからは【ユウキ】と名乗ることになる。僕は、この世界が危機に瀕することを阻止する為に僕は、仲間達の力と僕の中に眠る力を借りてこの世界に蔓延する悪の集団の殲滅に取り掛かるのであった。

僕達三人はお互いが協力し合いながらこの国に存在している悪の存在を排除するために尽力した。そしてその作業をしている最中に僕の事を狙う刺客が現れるのである。その女性は、この世界には存在しない魔法を駆使して攻撃してきていた。そしてその女性は僕に魔法による攻撃をしてきて、それを仲間の女性二人が止めようと僕を庇うために前に出たのである。しかし僕は二人の事を止める。僕にはこの女性の能力の正体が分かっているからだ。僕は、僕の力を利用してその女性を拘束したのである。その女性の能力は僕の力と同等かそれ以下だと感じたので僕は僕の力を利用して僕と同じような力で女性を拘束したのであった。僕は女性を気絶させて女性に話しかける。

「僕は君達とは敵対したくないんだよ。だけど僕を殺しにきたということは僕の事を殺そうとしてきたということなんだよね?僕の方こそ君の力の事をもっと詳しく知りたいと思っているから君は僕の実験材料になってもらうよ」

僕の事を狙っていた女性が目を覚ます前に僕の仲間の女性の二人にその女の人を拘束して連れて帰るようにお願いをしたのだ。その二人は、僕の事をとても信頼していて僕の事を慕ってくれているので僕の言うことには素直に従ってくれる。僕はこの国に来てすぐにこの国を支配していた男を殺した時に手に入れた男の所持品の中から武器を取り出すと僕は、この世界に存在しないはずの魔法を使用してこの世界では実現不可能な技を使用する事に成功した。

僕が使用した魔法は【時戻し】と言う魔法を僕自身に使う。僕自身の時間を十年前に戻した後、今度は僕を今の状況に追い込んだ原因である元凶の女性をこの場に呼び寄せるために女性と同じ時間に飛ぶ事にしたのである。それから女性を呼び出したらその女性に僕の持っている力を見せて女性に協力を求めることにしたのである。その結果僕はその女性の協力を取り付けることに成功しその女性が持っていたスキルを奪う事にしたのであった。僕は僕の仲間にその女性を任せてから、僕自身も僕の目的を果たすためにこの国に来ていた女性と、僕をこの世界に呼び込むように指示を出した黒幕を僕自身が殺すために動くのであった。僕はその黒幕に攻撃を仕掛けるのである。すると僕のことを知っているその人は僕に攻撃を仕掛けてきて、僕は彼の攻撃をかわした後にその男性の懐に入ってその人を捕まえたのであった。

「僕だよ。覚えているかい?」僕がそう言うと相手の男は驚きながら、

「お前は、どうしてこの場所に来たんだ。俺の予想通りだとしてもまさかお前がここに来るなんて思いもしなかったぜ」と言って僕のことを見つめてくるのであった。その男性の名前はこの世界の支配者だった人で僕の実の父親でもあるのだ。僕は僕の父を倒さなければならないのになぜか、僕はその父と戦う事になってしまったのである。僕は僕に襲い掛かってくる父の攻撃を受け流しつつ、その父が僕に向かって放つ攻撃に対して僕が使う僕の母親の力である【力貸しの力】を発動する。僕の事を助けてくれている僕の母親の力によって僕はこの世界の人々の数倍以上の強さになっている。僕は、僕を殺そうとしてくる僕の父親に反撃するのである。僕が僕の持つ母親の力を使って戦う事で僕の事を邪魔しようとする僕の父親の動きを止める事に成功して僕の事を殺そうとしてきたこの国の王に復讐する事にした。僕と、この世界を支配しようとしている僕の父親との死闘が繰り広げられたのである。僕とこの世界を支配したいと企む僕の父親は、お互いに譲れないものがある為どうしても決着がつかないのであった。そんな時僕の元にこの国の支配を目論む組織の首領である僕の父親が僕に戦いを挑んで来て、僕に襲いかかってきたのである。

「俺はどうしてもこの世界を支配しなければならない理由があるんだ!この世界を手に入れる事ができなかった場合俺の命が無くなってしまうんだ。だからこの世界を手にする事を諦める事はできない。だから頼む。お前が死んでくれる事で俺の世界征服を邪魔しないで欲しい」そう言ってこの国を支配しようとしていた自分の息子の僕の事を殺す事を躊躇いなく行おうとしたのだ。そんな事を言っていた僕の父親は自分の母親を殺してこの世界の平和を脅かそうとした人物であり僕は僕の前世の父親を殺すつもりで戦うのだが、僕の父親の力も相当強力だった。

しかしそれでも僕の方が上回っていると思ったのだがどうも様子がおかしいのだ。まるで自分の母親を倒したのは自分の母親を蘇らせた人物だと理解しているような様子だったので僕がその事を指摘をすると彼は焦った表情で僕の事を見ていた。僕がこの国の支配をしている存在が僕の母親を蘇生させるのに必要な物を集めるのに協力していたので僕の父親も協力して僕の母親を復活させようと協力してくれていたのだ。その協力していたのは僕の目の前にいる存在ではない。その協力者である人物が、自分の妻であり自分の母でもあった女性に、自分の娘である僕の力の結晶を自分の身体の中に入れて復活させようとしていたのだ。つまりその人物の目的は僕の母親を復活させることではなくてその力を悪用しようと僕の母親の肉体の中に存在していた力を無理やり引き出したのだった。そのおかげで、僕の母親の記憶を持っていた女性は自我を保つことができず暴走して僕に襲い掛かってくる事になったのだ。

その女性は僕の母親に殺されたことで自分の母親の事を恨み僕の母親の事を完全に敵と認識しているので僕の事を生かして帰そうとはしていないのだ。そして彼女は、僕の力の全てを欲していた。僕は彼女の行動から、この世界で起きている問題とこの世界の状況を把握して僕は、このままだと僕の母さんが復活できなくなってしまう事を知った。そこで僕がこの国を支配する事を条件に僕の母親の力の一部を彼女に提供する約束をしたのである。

彼女は僕の力を手に入れる代わりにこの世界を僕の支配下に置くことを要求してきたのであった。僕は彼女と契約をして彼女を僕の味方につけることにするのであった。そして僕が、契約の内容を確認するとその契約を承諾する為に僕はその条件を受け入れると僕がその条件を受け入れた事に気がついた僕の父親も納得して彼女と契約を交わしてこの国に存在している悪の存在を排除する事に協力する事になる。僕は僕の力で、僕の力を利用しようとした人物を探し出した。

僕は、僕の力を利用してこの世界を支配しようとする人物を探すことにしたのであった。僕は僕の母親の記憶を受け継いだその女性が持っていた力を利用してその女性に居場所を聞き出すと僕の母親が眠る場所へと移動する。そして僕の母は、その女性が持っていた力と僕の母親が持つ本来の力の融合を果たした。それによって僕は僕の母親が持っていた力を扱えるようになってその力を使うことができるようになったのだ。その女性は僕の事を自分の仲間に引き込もうとしていたが、僕は僕の母親が眠っているこの世界で僕は僕自身を育ててくれた女性と再会する事ができたのである。そして僕は僕の母親が眠っているこの世界のこの場所がどうなっているのか調べてみると僕の母親の力を欲しがっている人物がどうやらその女性を狙っていることに気がついて僕はその場所まで移動したのである。僕はその場所で僕が助けたかった人物と出会う事になった。僕の母親の魂を僕の体内に取り込んでいたので僕は僕自身を取り込まれてしまうかもしれないと思ってしまったので僕は僕自身がこの世界に召喚された時の姿に変化したのであった。僕のその姿の変化を見て驚いている女性を僕自身が保護すると僕は僕の事を見つめてくる僕の仲間になった少女が僕に助けを求めてきたのである。

僕は僕自身と敵対しようとしているその男性を倒すと、僕が殺したその男性からスキルを奪う事に成功する。そして僕達を襲って来た男性がこの国の王だったことに驚いたのである。僕は、その男性の亡骸の回収をするように指示を出してこの国を支配していた王が持っていた所持品の中にある書物を読んでいたのであった。僕にその本を読ませまいと僕に攻撃を加えようと近づいてくる者達を僕達は撃退しながら僕は、あることを突き止めることができた。

僕達が今この世界に来ている事の原因を作り出した元凶の女性のスキルがどんな効果を持っているのかを把握できてその女性がどこに居るのかという事がわかったのである。僕がその女性が隠れている建物を見つける事に成功したのであった。その女性が僕達のことを迎え撃つように戦闘態勢に入っていたのである。僕達の前に現れた女性がこの国を恐怖に陥れていたその女性だという事に気づくのにそう時間は必要としなかった。その女性が、僕に自分が使った力の使い方について語り始めてきたのだ。僕はその話を聞く事でこの女性の事を理解することができた。

僕はその女性が僕達に危害を加えることがない事を確かめる事に成功してから、僕に襲い掛かろうとしていたこの国を裏で操っていた存在のことを僕は許すことができなかった。僕を殺そうとしてこの世界にやって来た僕にその男性を殺した際に手に入れた力の事を僕に伝える。僕はこの国の人々にその男性から得た力を使って支配しようとしたのである。僕は、その力を使えば僕に逆らうことができないだろうと考えて僕は僕の命令に従わなかった人達に対してその力で服従させたのである。

それからしばらくの間はその力で僕の邪魔をしようとする人物を全て僕に従う存在にするために僕は力を使って僕をこの世界に来た時から知っているその男性以外全てにこの力を使用したのである。僕のその力が効かない人が居た。それはこの国の王の関係者であり、その男性は僕の事を警戒していてその男がこの国を恐怖に落とし入れた張本人であることを僕は知ることになる。僕のその力は僕に敵対する者だけにその力を使うことを誓ったのだ。それ以外の人々に関しては僕は特に気にする必要がなかったので僕は僕に敵意を向けない人についてはその人に特別な処置を施すことなくそのままにしたのであった。僕のこの行動が後の世に伝わっているかどうかわからないけれど、僕の事は伝わっていないはずだ。その方が僕は安心する。

僕は僕に殺意を向けているその男性の相手をする事にしたのであった。そして僕に戦いを挑んできた男性の相手をしながら僕は僕が倒した男の記憶を読み取る事で、僕自身がどうしてこの世界にやってきた原因を知ることに成功したのである。

僕の事を殺しに来た男性との戦いが終わった後、僕はこの世界にやって来る前の世界に戻るための行動を開始した。そして僕にはこの世界から出るために必要な物がわかっていたのだ。この世界に来たときに僕はこの世界の支配者の僕がこの世界で手に入れられる物の中にその情報が含まれていたからである。

その情報をこの世界の王だった人から奪い取った書物の中から手に入れることができて僕はこの世界での目的を達成した後に僕は自分の母親と再会を果たす事ができたのであった。僕がこの世界へやってきた理由は自分の母さんを蘇らせる為に僕が僕の母親の魂の器として作りだした存在にその僕の力の塊を与えてこの世界に連れてきた事にあったのである。僕が、この世界に来る時に僕の母親の力の一部がこの世界のどこかに残されていて僕の力の集合体にそれが反応して僕の母親の力を取り込んだことで、僕がこの世界に来たことによって発生した不具合を解消する事ができるようになっていた。

その僕が母親の力を手に入れてしまった事が原因で僕の母親はその力を狙われてしまいその事で彼女は殺されてその力を奪われる事になったのである。だから僕の事を僕の母は、その力を悪用される事を恐れたからこそ僕の事を自分の手で育て上げた。そして自分の力の全てを息子に託した後自分の命を絶ったのであった。

僕の母親が残した言葉通り、僕が母親と会う事が出来れば母親の力のほとんどを手に入れる事ができた。そうすれば僕は僕の母親と再会を果たしこの世界で起きるであろう出来事を解決する事ができていたのかもしれない。だけど、僕は自分の力だけでは僕の母親を助けることはできなかったのである。僕の力だけで僕が母親を復活させても僕の母さんが蘇った後に力を使いこなせないと意味がなかったのだ。僕の力だけでも母さんが蘇る事ができれば良かったのだが僕の力だけではどうすることもできなかったので僕は僕の母親の魂の力も使って母親の復活を試みたのだ。

僕はこの世界での目的を達成することができたのである。僕が、この世界を支配しようとしていたこの国を支配していた王を倒すと、僕の仲間になった女性が僕が王に倒されていた間に自分の父親でもある僕の事を守ってくれていたことと父親が、僕の父親と同じようにこの国を乗っ取ろうとしていた人物を倒した事によって僕達は国中の人々から感謝されることになったのであった。

「私のお父さんがこの国を支配するために私達のお母さんを復活させようとして失敗してしまったのです」彼女はその事を説明するとその女性は僕のことを助けてくれた僕の仲間たちのことを紹介してくれて仲間になったのである。僕は、僕の仲間の力を借りて彼女の父親の記憶の中にあった彼の妻を復活させることに成功することができた。彼はその妻と再会を果たしてお互いに涙を流しながら抱擁を交わすことになった。そして彼女はその自分の父親と自分の事を受け入れてくれていた母親の事を思い出してその光景を目にしていた。僕はそんな彼女にも僕の母親の事を教えてあげたいと思って僕が母親のことを話そうとすると彼女がその僕の事を止めて、

『この人が、私の母親を救おうと努力してくれたのですね。あなたのおかげで母に会う事ができました。私は母がこの世に存在していた事を父に伝えに行きます』と言い、僕の目の前で自分の父親と母親と一緒に何処かに姿を消してしまってその後どうなったのか僕は知る術を失ったのであった。

僕と僕の事を慕っている女の子の二人がこの世界に来てから僕はずっとこの国を支配してきた王を倒してこの国の人々に僕達を崇め奉るように僕は命令を下したのである。そして僕は、その僕に従おうとする人達を利用して僕の力の欠片を使って僕の母を僕の力を取り戻す方法を見つけ出した。僕の母はこの世界に散らばっている僕の力の一部と融合した後僕の力を完全に取り戻す事に成功したのであった。僕は自分の母親の力を自分の身体に取り込むと僕は自分の母親が持っている能力を使う事ができた。

そして僕はこの世界にやって来た目的を果たした僕は僕の母親との再会を果たすことができたのである。そして僕の母親は、この世界を救うことができたのであった。僕は、自分の事を僕の事を慕っている少女に僕の事を伝えてから、この国を去る事にしたのであった。そして僕は僕の母親と共にこの世界を旅することにした。僕は、僕の事を支えてくれる母親の魂に僕の力が奪われる前にその力を手にすることが必要となってきていたのだ。

しかし、僕はその事を実行しようとした時僕の母親に僕は自分の事を僕の母の肉体に僕の母親の魂を宿す事に成功した。その事で僕は僕の本当の母親が持つ全ての力を手にいれることができたのである。僕は僕の事を僕の母親に託すと、僕の事をこの世界に呼んだあの女性が僕の事を呼び出した。

そして僕達の前に僕達の事を呼び出した張本人の女性が現れると僕に話しかけてくる。僕を自分の物にしたいと言っていたその女性は僕と一戦交える事になると彼女はこの世界の事について語り始めたのである。僕達が、この世界に来た理由もこの女性の口から説明され、僕はこの女性から自分がこの世界に来た時に持っていた僕の力の一部を返してもらえることになったのである。

僕に襲いかかってくる女性を倒してしまうと、この国の王は女性の言葉に惑わされた人達の手によってこの国を滅ぼす事になってしまうのであった。僕は僕と僕の母に危害を加えようとする者達は排除することに決めていた。

この世界の支配者の男性が亡くなってしまうと僕はこの国の支配権を僕に譲ってもらうように頼むがこの国の王だった男性にその願いは受け入れられず、その男性は僕を殺そうとするが僕はその男性を殺してその男性の所持していたアイテムの中にある書物を読むと僕は、僕達が元々住んでいた世界に僕と僕を僕の世界へと送り込んだその男性の事が記されていた。

僕は僕が本来いた場所に戻ると僕が僕の世界で行っていた事を知ることができた。その男性は僕にこの世界を救い僕にその力を与えてくれていた事を知り僕は自分がこの世界へ来た時の状況を思い返すことができたのである。僕をこの世界に送ったのが、この男性ならば僕の母親であるその女性もおそらくはこの世界に送り込まれている可能性が極めて高いと思い僕がこの世界にやって来ていた事を僕の力の一部がこの世界のどこに居るのかを感知していたからこの世界に戻って来られたのだという事をその時知った。僕は、僕の事を狙っていたこの国の王の女性に僕は自分から近づきこの女性がこの世界に来ていたのは偶然ではなく僕を殺すためにやってきたのだと知りその女性に戦いを挑むと僕はその女性の力を僕の中に取り込み自分の力に変換すると僕は僕を殺そうとする女性に僕の力で攻撃を加えた。すると僕の力を吸収しようとした女性は、僕の力を受け入れることができずにその女性は力を失いこの世界での僕の存在を保つことができなくなり消滅してしまったのである。

そして僕をこの世界に連れてきたその女性が僕の事を呼び出すと僕は、僕の事をこの世界に連れてきて僕の事を元の世界の事を忘れさせた元凶のあの女と戦うことになるがその戦いの最中に僕の意識はその女の力を取り込んだことで消えてしまったのである。僕はこの世界で僕の力を取り込もうとする者達と僕を殺しに来る敵に対して僕の事を守り続けてくれていたその女性の事を知る事になり僕はその人に心惹かれていくのであった。

僕のことを僕の世界のことを覚えていない状態で僕の目の前に現れた女性は、僕が異世界に呼ばれた時に僕のそばにいた人らしいが僕には何も覚えていない。ただ僕をこの世界から助け出そうとしていた人だという事は理解できたのだ。しかし、そんな僕を彼女はなぜか僕の恋人だと言うのである。僕はそんな彼女との関係をはっきりさせるために彼女の事を僕の力を使って探り始めることにしたのである。そして彼女の名前を知った僕が彼女の家を訪ねるとその女性は家の扉を開けて出迎えると僕に抱き着いてきてキスをするのであった。僕はいきなりの出来事だったので混乱してしまい彼女の行為を止める事ができなくなってしまったのである。

それからしばらくしてようやく落ち着いた僕達はお互いの名前を名乗りあったのだが彼女は自分の名前が嫌いなようで自分の名前を名乗ろうとしなかったのであった。僕はそんな彼女の気持ちをどうにかしてあげたいと思ってしまったのである。そしてその女性は突然何かを思い出したかのような表情を浮かべた後僕の事を見つめてきた。その女性は僕の事を恋人のように接してきたので僕は戸惑ってしまったのである。だけど、僕はこの世界に僕と僕の母親の事を知っている者がいないと困ってしまうのであった。僕は彼女の事を信じる事にしたが、他のみんなが僕を信じてくれるかが不安になってしまっていたのであった。

僕がそんな心配をしていると僕の事を慕ってくれていた少女と彼女が現れて彼女は僕に襲ってきた。彼女はどうやら僕からその人の事を奪うつもりらしく、僕は彼女と戦うことになったのである。彼女は僕の事を自分の物にしようとしているらしくて僕はその事を諦めて欲しかったのだ。僕と彼女は剣と魔法の力を駆使して戦闘を開始するが、僕は自分の魔法が彼女に通用しないと知ってしまい絶望を感じ始めていたのであった。そんな僕に彼女が近づいて来ると僕の事を拘束しようとする。

だけど、僕の事を守ってくれた人が僕のことを守る為に立ちふさがった。そして、僕の事を自分の恋人だと思っている彼女と僕を守るために僕の力を解放した僕は彼女との戦いに挑むが力の差がありすぎて僕が負けてしまいそうになると、彼女は突然僕に向かって笑いかけると僕の前から姿を消してしまい僕の力が発動して僕は気を失うのであった。

僕は僕の母親が住んでいる街の近くに移動すると僕は、僕に助けを求める女性に会った。僕を慕ってくれていた女性が僕がここにやって来たと聞きつけて会いに行こうとしたがその女性は、その僕の事を慕ってくれていた女性から僕を引き離そうとしていてその女性が、自分の母親に会いに行くという事をその女性は僕の事を止めようとしているので僕はその事をやめさせようとする。だが、その僕が止めた行動によって僕の事を慕ってくれた女性は僕の力の欠片を手に入れることになってしまった。

僕がこの世界にいる間この世界は平和で何事もなかったのである。僕の事を慕ってくれていた女性は、僕の母親の魂の力を使って僕が僕の世界からこの世界へ呼び寄せた僕の母親の力を取り戻すことに成功し、その女性は母親の力を手に入れたことで母親の事を思い出す事ができたのだ。そして、その母親が自分の娘の事を僕がこの世界に来る前までは知っていたようなのだ。その事で僕は母親の事を思い出してもらいたいと思って彼女にその事を伝えたのであるが、その言葉を聞いて彼女は悲しげな顔をしていたのである。そして彼女は、自分の母親に会うと言って何処かに姿を消してしまってその後彼女がどうなったのか僕は知らない。

僕は自分の世界に戻り、僕が僕の母親からもらった能力の欠片を集める為にその女性を探すことに決めていたのであった。そして僕が自分の力で自分の母親から受け取った記憶の中から、自分の母親の力の事をその女性から教えてもらう事に成功したのである。そして僕はその女性から僕に渡してくれていた物を受け取ろうとしたら僕は何故かその女性から拒絶されて、僕の事を好きにならないと力を与えることはできないと言われ僕は戸惑いながらもその女性に告白したのである。そして僕の想いを伝えられたその女性は僕と結ばれる事を拒絶したのであった。僕がその理由を尋ねると僕はその女性の魂の一部に、僕の事をこの世界に呼ぶ時に使った能力の残りカスの欠片が残っている事を聞かされたのであった。その事を聞いた僕はその能力の欠片を手にする為に、その女性の事を求める事にした。するとその女性は僕に自分を求めろと言った。その女性は僕の事が好きだと言い出したのだ。

そして僕は、僕のことを自分の力に取り込むために僕を殺そうとしている人物を倒す為に僕の力をその人に与えることにしたのであった。しかしその事には問題が起きてしまい、僕は僕の力を使って僕の力を与えた女性を助ける事ができるのかわからない状態になっているのだ。そして僕はその女性と一緒に戦う事を決意した。しかし僕達は僕の事を殺すつもりで襲いかかって来た者達に殺されてしまう事になる。僕は死を受け入れていたがその時に、僕は自分の中に入って来ている女性の力を自分の物として受け入れた時、僕を殺そうとした女性の事を殺したくないと僕の心の隅に残っていた思いに気づいた僕は、僕は僕の身体に自分の意識を取り込んでいる女性を殺す事に躊躇してしまったのである。僕は、僕を殺そうとしてくる者を殺そうと思えば殺すことができる。しかし僕はそうする事はできなかった。

僕はその女性を生かすためだけに僕の事を狙っている者達と戦うことを決意すると、僕は僕の意識をこの世界に送り込んでいたその男性の元へと向かうがその男性に僕は殺される事になった。そこで僕は僕の事を殺そうとしてきた男を倒し僕の事を僕の世界で守っていてくれていた僕の事をこの世界に連れてきた女性が僕の目の前に現れる。そして僕の事をその女性は僕に自分の事を殺してほしいと願うのであった。

僕の事をこの世界へと送った張本人がその女性に僕を自分の物にしようと襲いかかるがその人は僕達の力では歯が立たず僕と彼女は僕の事を僕の世界で守っていたその女性が僕の前に出てくると僕の事を守ろうとしてその女性は僕の前で力尽きてしまう。僕は僕をこの世界に連れてきてくれた女性を助けようとするが、その時にその女性から渡された物が光だし、僕がその女性から力を受け取った。僕が僕の中に入ってくる力を受け入れた瞬間に僕はその力をコントロールできなくなってしまったのである。僕はその力を自分の物にする為に僕はその女性に話しかけるがその女性から返答はなくその女性はそのまま死んでしまい僕の目の前からその女性はいなくなってしまう。僕はその力を手に入れてからしばらくしてからようやく我を取り戻した。その時にはすでに僕は、僕の世界に帰るための力が使えるようになっており、僕は急いで僕の母親の元に僕は向かうのであった。しかし母の元に着く前に僕の意識は再び途切れる事となる。そして次に僕の意識が戻った時には僕は僕の世界の人間達の敵と戦う準備を始めなければならなかったのである。僕の力を狙ってきた奴らの狙いは僕の力なので僕はその者たちと戦わなければならない状況に僕は陥ってしまっていたのである。僕は僕が手に入れた僕の世界を支配しようとしていた男の力とこの世界を支配していた女の力を自分の力に変えていたのであった。僕は自分の持っている全ての力を自分のものにして僕は僕の世界の人達を自分の世界の支配する為に動いている敵の手に渡す事を防ぐことに成功した。だけど僕の力を使って僕がこの世界から僕の元の世界へ戻ろうとすると、その僕の事を敵が僕に仕掛けて来ており、その僕を殺しに来る敵を倒す為に僕は再び自分の意識をその敵に奪われた。僕は僕を取り返そうとする敵に対して僕の中に取り込んでいる僕の事を奪いに来た敵を僕自身の力を使い倒すことができた。僕は自分の体を取り戻すと自分の力を使って僕をこの世界に送ってくれた僕の母親の事を自分の世界に呼び出したのであった。そして自分の世界に戻ってきた僕は自分の世界の僕の母親に自分が元の世界に帰っても僕の事を守ってほしいという事を頼んだのである。

僕は、僕の母親を僕の世界の事を思い出せるようになるまで、自分の家に保護したのであった。だけど僕は自分の母親である人に自分の母親の事を思い出してもらうことができなかった。そして僕はその女性を連れて僕の世界に戻る。そして自分の家の近くの森にある洞窟の中で僕は、自分の母親が持っていた力の力を取り込み自分の母親の力を手に入れることに成功すると僕は僕の事をこの世界に連れてきて、僕が元の世界の事を思い出すことができなくなってしまった理由を作った僕に力をくれた人に会うことにしたのであった。そして僕を自分の世界から呼び寄せようとした人と出会う事ができた。だけどその人に僕は会うことはできなかった。なぜなら、僕の事を呼び寄せるために使っていた力は僕の力に取り込まれてしまい、その人の力を僕にくれるわけにはいかなくなってしまったのである。

僕が僕に力をくれた人と出会ってしまった事で、僕の事をこの世界に呼んだのはこの人で僕をこの世界に呼び戻すのもこの人なのだということがわかった。僕はそんな事を知った後に自分の世界に戻ってきた。自分の世界に戻ってきた僕は、自分の世界に戻ってきた事を喜んでいたが僕は自分の母親である人が心配で自分の母親の事を探しに行く事にした。僕は自分の母親の家に行き僕の母親の事を探すとそこにいたのは、自分の母親ではなくその人の子供がそこにはいた。その人の事を僕は僕のお母さんの子供だという事はわかるのだが、なぜ僕がこの人の事を見てすぐに僕の母親ではないと気づかなかったのかが不思議でしょうがなかったのである。そんな事を思っていながらその人の様子を見ていたら僕の事を見ていたその人は僕に突然近づいて来て、僕の頬を叩いてくると、あなたなんか自分の娘じゃないと言ってどこかに行ってしまう。

僕の母親は自分の子供を自分の手で育てたいという願いがあり僕はその望みの為に僕の母親の手伝いをする為に僕も一緒に彼女の家で生活を始めたのであった。そして、その女性は自分の子供達に自分の母親が自分の子供だと教えるがその子達は自分の母親が誰なのかがわからずに戸惑っている。僕は、その子達と一緒に母親から教えられた歌を歌いながら母親の事を忘れて欲しくないという事をその子達に教えていったのである。僕と、自分の息子達と一緒に過ごす時間はとても幸せなものであり、僕の母親はとても優しい人だったのであった。そのおかげで僕の母は少しずつ自分の母親の記憶を取り戻し始めていくのである。

それから僕はその女の子と仲良くなっていくがその事を快く思っていない人も存在していた。僕の事をその女の人から引き離したかったみたいだが僕は僕の事を愛してくれる人が側にいて僕がこの世界にいる間その女性を守ってあげたいと僕は考えていた。だけどその女性は僕の事が大好きで、この世界に来てからずっと一緒にいる事を望んでいて、僕もその女性に僕の事を好きだと言われた時に僕は自分の事を大切にしてくれていた人が僕の側にいた事を思い出したのである。そして、この女性は僕の母親が残した僕が母親の力を受け継いでいる証しを持っていてその女性もまた、僕が僕の母親の力を引き継いでいる証拠を持っていた。その女性は僕の母親の力が詰まった宝石を持っているのであるがそれが何の効果があるか僕は知らなかったのである。そして僕はその女性の力を使ってその宝石をこの国の王になるはずの人物に託し僕は、僕が大切に想う人を守る為に僕達は自分の世界に戻った。

自分の母親である人の力をその女性の身体の中に戻した後、僕はその女性の前から姿を消した。

僕は僕が元々住んでいた場所に戻り自分の世界へと戻る。僕は、僕が僕の世界にいた頃、僕が住んでいた家の近くで僕の事を慕ってくれていた女性が僕を待ってくれていたのだ。そしてその女性と一緒に暮らす事にした。その女性は、僕を自分の事の本当の父親だと思っているのであった。

私は私の事を好きになってくれない少年が嫌いだった。

その気持ちは今も変わらない。私はこの世界を支配しようとしている奴らの野望を打ち砕き自分の目的を果たす為に私に協力している。

私はその目的を達成したら、あの人のところへ戻るつもりであった。

しかし今は私の事を支えてくれているこの男の子を裏切る訳にはいかないのだ。私がこの世界を支配しようとしている者のところに行けばきっとこの子は私の事を恨むに違いない。だからといって、今の状況を考えればこの子の事を利用する以外にない事も事実でありどうすれば良いのかと悩む毎日が続いていたのである。

(それにしてもやっぱりこいつから得られる力は強力過ぎるわね。この子がいなかったらおそらく私では歯が立たないような相手にしか通用しない。だけどこいつの力さえ手に入れば私達の目的は簡単に達成できるはずだ)

その時に私の事を影の中から監視していた者が現れてそいつは私に攻撃を仕掛けて来た。

私は、そいつの攻撃を難なく避けたが、今のが攻撃だったという確証を得る事はできなかった。なぜならその攻撃がまるで実体のない煙のような攻撃だったからだ。しかし、相手の姿を確認する前に私は相手の居場所を把握することができた。それは自分の感覚に頼った物なのではなく、私はある力を手に入れてからそういう事ができるようになったのである。

(気配感知って奴かしら?でもなんで敵がこんな場所にいるのよ。しかも、もう敵は近くに迫ってきているはずなのに、どうしてあいつの気配だけしかわからないの?)

「そこの女、さっきから何をしている。お前が俺の攻撃に気がついたという事はそれなりの実力者という事であろう。だけど俺に敵うと思うな。大人しく死んでもらうぞ」

「ふざけるんじゃねえ!てめえが何者か知らねえがこの俺様がいるんだ。この国に危害を加えるてめぇを生かす理由はないんだよ!!」

「そうですか。それならば貴方もここで消えてもらうとしますか。その前に、私に殺されて、そして、私達の目的の為にその力を提供をしてください。死ね、愚民共!」

(くっ、やはりこの力は私一人の力でどうにかなるものじゃなかった。これは私一人で勝てるものではない。ここはこの子にも手伝ってもらってあいつに勝つしかない!!お願い、この力を受け取ってくれ!!そしてその力でこの場を何とか切り抜けてほしいの。この力を使ってあいつに一矢報いてほしいんだ)

僕は自分の事を敵だと思い込み襲いかかってくる女とその女の協力者の男に苦戦する。その者達の事をなんとか退けると僕の事を助けようと僕の母親である女性がやってきて僕に力を分け与えてくれる。僕は自分の力の力を自分の体に取り込み自分の母から受け取った力と合わせて僕は、僕に襲い掛かっている二人の男を倒すことに成功したのである。しかし僕は自分の体に取り込む力が強すぎたために僕の意識が再び途絶えてしまう。そして僕の意識が戻ってきた時、僕の事を見ていた女性は涙を流していたのである。僕と僕の母親はお互いに自分の想いを告白すると僕達は僕が本来いた世界に帰る事になった。僕が僕の世界に帰り、そして僕は僕の母親に自分の世界を任せる事にする。僕は、僕の事を守ってくれた女性とこの世界の人を守るために僕は僕の世界に自分の母親に自分の母親の事を頼み僕の世界に帰っていくのであった。

俺は俺が愛した人を、自分の世界にいる俺の家族の元へ送り届けた。

そして自分の愛する人が自分の元の世界に戻る為の手助けをしているのを見守り続けると自分の事を睨みつけながら一人の男が近づいてくるのがわかった。その男の事は自分にとって因縁のある敵なのだと僕はすぐに気づき、その男は自分が一番嫌っている能力者であり自分が一番に警戒しなければならない人物であると僕は判断したのである。

僕は自分の事を敵対視するその敵の事を見て僕は自分が戦わなければならない相手がどういう奴であるのかをすぐに察する。

「あなたは何者です?もしかしてあなたも私の目的の邪魔をしに来たのですかね?」

「違う。俺は自分の世界の敵を倒しに行く為に、貴様が持っている俺の力が必要になっただけだ。そしてついでにお前に倒してしまおうと考えているのだがな。お前がどんな能力を持っていようが俺の能力の前ではすべて無に等しい」

僕はその男の事を侮らずに注意を払うことにしたのである。

僕の事を殺せとか言っていたけど、僕には僕の目的があってその人に負けて殺されるわけにはいかない。僕はその人のことと戦うが僕はその人の強さを認めざるを得なかった。そしてその人の実力が本物であるという事を理解する。だけど僕はこの人に僕の大切な人たちを絶対に奪われるわけにはいかないので僕はその人との戦いを諦めることなどできないのである。だから僕はこの人ともう一度戦う。そして今度は全力でこの人に自分の力を注ぎ込んだのだ。僕のことを見下すかのようにその人は僕を見て笑っていたが僕が自分の力のすべてを注ぎ込むと僕が放った力の波動によって、僕が力を渡した人は、自分の身体から大量の血を流し始めたのである。そして僕は自分の目的を果たした事と、僕に協力して僕の世界の為に動いてくれていた人達の為にもこの世界での戦いに決着をつける事にしたのであった。

僕はその戦いに勝利をすることに成功するが、僕に僕の力を託してくれた人を殺した僕は罪悪感に襲われることになる。

僕達が自分の世界を去ってから僕達と僕が僕の母と僕の妹と一緒に暮らしていた家は僕と僕の妹だけが残り、他の皆は別の家に移り住むことになった。

僕の妹の家族はこの世界で暮らす事になるのだがその家族とこの家に残った僕の妹とこの家に残っている僕に僕の母である人、それと、僕の力を使って僕達と一緒にいた女性を生き返らせたのである。

僕は僕の母に自分の力を分けて貰ってから僕は僕の母と僕の事を守ろうとしている人を守る事に決めたのであった。

僕達をこの世界に呼び戻す為に、僕の母は、この世界に残っていた僕が僕の母が僕の事を守るようにと言って僕の母親に託した女性に僕を呼び戻す為に僕の母の力の一部をこの世界に残した。そしてその女性は僕の事を探し続けていたらしく僕と再会した時に彼女は僕を抱きしめてくれて僕の事を抱きしめた時の彼女の力を感じながら僕は彼女の力を感じる事ができたのである。

(やっぱり僕の力はまだ彼女に残されていたようだな。僕の力を彼女に与えたことで彼女が生きている限り僕は彼女の事を守ることができる。それに僕の力を使えるということは彼女はまだこの国を、この世界を支配している奴らから逃げ延びているという証拠だ)

僕の妹が僕の母親を自分のお母さんと呼ぶことに最初は抵抗していたけど、自分の母親の事を本当の母親だと思っていたみたいだからその妹にとっては嬉しかったんだと思う。そしてその妹は自分の母親の事を自分のお祖母ちゃんと呼んだりしていたのだった。そして僕が守るべき女性達が増えてしまったが僕の心は少し軽くなったのである。

僕が僕を裏切ったあいつらに復讐を誓う。

その事を僕の事を僕が大切に想ってくれていた人達に伝えたが、僕はそんな僕の事を理解してくれなかった女性に僕は殺されてしまうのである。

僕が死ぬ直前に僕の身体は白い光に包まられる。

その光の中で僕は自分の力が、何かに奪い取られていく感覚に陥るが僕がその奪われた力を取り戻してもその力はすぐにまた奪っていき、その度に僕は身体が少しずつ変化していく。

そして僕の目の前にもう一人の僕が現れた。僕は、このもう一人の僕にこの世界に連れてこられたのである。

それから、僕の身体が変化していって今の状態になったのだ。この状態になると僕は身体から僕の意識ともう一人の僕が分離している状態になる。

僕は、その状態で、この世界にいる者達と話し合いをしようとしたのだが誰も僕に話を聞こうとはしてくれず、僕を騙そうとしている者、利用しようと目論んでいる者達ばかりであるとわかると僕はこの場での交渉は無理だと諦めて自分の力を試すことにする。そして僕は僕の中に存在する魔力を爆発的に膨れ上がらせてその場の者達の息の根を止めてやったのである。その行為がこの世界の人間達の逆鱗に触れて、僕はこの世界に住む者達に追われることになる。

(さっきまでは、僕がこの世界の事を詳しく知るまで隠れるのが最善手だったんだけど、僕は自分の力を完全に制御する事が出来ていなかった。このままではいずれ僕の力は暴走するかもしれないし、何よりこの世界に住んでいる人達を殺してしまうのは気が引ける。だけどここで逃げる事は僕が今までしてきた事を無意味なものにしてしまうので僕にはできなかった)

僕は僕の事を信じてくれた僕の事を守ってくれた女性に力を貸すことを約束した。

僕の力がどれくらいの力を持っているのかを確認する為に僕は自分の事を襲ってきた奴らと戦いを始める。僕は、僕の中に存在する力のすべてを解放して僕を騙していた連中に襲いかかるが、そいつらは全員自分の命を大事にして僕の前から逃げ出したのである。そして僕の事を助けようとした女性を僕は殺す事ができず、僕は僕を助けに来てくれた僕の大切な人の元に向かっている最中である。

(あの人だけは、なんとしても助けなければならない!!あの人がこの世界に来た理由は、この世界での僕の母親になるはずだった人で、その人の為に僕は、この世界に残ると決め、その人に、僕は自分の世界を託してきたんだ。あの人は、今、この世界で何をしようとしているんだ?僕の母親が何をしようとしていたのかも気になるが、とにかく早く行かないと!!この世界の人達を殺す訳にはいかない!!だけど僕の事を殺そうとする人には死んでもらう)

「私は自分の国の人達を救うことができなかったの。私も、自分の弟や妹のことを全て放り投げて逃げ出して来たのよ。だけど私にはどうしてもやる事があったの。それは自分の故郷を救いに行くこと。その途中で私は自分の弟と出会ったの。私の弟は、私に、私達が暮らすはずの自分の国に帰れと言ったの。でもね私にも私なりの目的があるのよ。その目的の為ならばたとえどんな犠牲が出たところでかまわないわ。私がこの世界から去る際に貴方の母親の力を、ある人物に渡すように指示をしたの。私の弟の目的が達成するまでの間はきっと役に立つはず」

僕が僕の母親の事を守ってあげないといけない女性の元へ向かおうとした矢先、その女性と僕の事を狙っている奴らが突然現れた。そして僕は自分の母親を助け出そうと必死になっているその女性の事を守るために僕は、その女性が僕に向けて攻撃してきた力を受け止めたのであった。

僕の事を騙し続けてきた女性とその協力者の男性を僕は倒してしまったのである。

そして僕の事を殺して、僕の中に眠っていた力を奪ったその女性は、僕から奪った力で僕の母がいる場所に行こうとしたみたいだけど、どうせその人はその場所を知らないのでその人に僕について来て貰い、僕は僕の事を守り続けてくれた女性と、そして僕の母になってくれようとしていた人に会いに行くことにしたのであった。

僕のことを利用しようと考えているその男性は、僕が僕の事を守ろうとしてくれたその男性と話しているのを見て僕の方を見ていたが、その男の方は僕の事を睨みつける。すると僕の事を睨みつけている男の姿が徐々に変貌していき、その姿を見た僕は、その男から距離を取るために後ろに下がるが男はそんな僕に対して攻撃を仕掛けてきたのである。

僕は、自分の身体を変化させてから、自分の体術だけで戦う事にした。

僕のことを殺そうと考えている男の人と戦うのが、とてもつらいけど、それでも僕にはやらなくてはいけないことがあるので、その男の人に僕のことを殺したらこの国を救えない事を僕は伝えてみた。だがしかし、僕にそんな言葉は届くことなくその男性の攻撃を僕はかわし続けるが僕の力のすべてを使っても僕の事を殺せる力を持っていなかったその男性の攻撃を避けるのに苦労をしている僕だったが、僕のことをその人は守り続けていた女性と僕の母になるはずだった人はその男性の行動を黙って見ていた。

(この人に僕の言っていることは理解できないのかな。それなら僕の事を殺してしまった方がいいと思うのだけどな。僕が死んだほうがその人も安心できるはずだ。僕はもう、自分の世界に帰る事を諦めた。僕のこの世界に残したものは、僕の力をすべて注ぎ込んで作ったあの人と僕の母親の二人だけだからな)

僕を裏切り僕のことを自分のものにしようと僕の事を襲った人達に僕を騙し続けていた人達が僕の事を始末するために集まってきたみたいだった。僕はその人数の多さに驚きながらも、その人たちの力を吸い取る。そして、その力を手にしてから自分の力を使う為の練習を始めた。僕はこの人たちの持っている力を使えるようになっていたが僕はまだその力を使いこなす事が出来ていないのでこの人達の力を使って練習をする。

僕を騙そうとしていて、僕の力を横取りしようとしていたその男性がその力に恐怖を抱き僕から離れようとしたが、その人の周りにいた人たちは、その人から逃げることが出来ず、そのまま僕に吸収されてしまったのである。

僕を裏切ろうとした者達の事を一網打尽にした僕は、自分の身体から、自分が今までに奪い取ってきたその力を取り出す作業に入った。その作業は僕が想像していた以上に難しいもので、僕は何度も意識を失いかけたがなんとか意識を保つことができたのである。

(やっぱり僕のこの力は完全に使いこなしてないから、自分の意思をしっかり保たないと暴走してしまう。僕は僕の事を助けようとしてくれるその女性の力を吸収しながらその女性から感じる力の残量を確認している。その女性は力をほとんど使うことが出来ないようだな。自分の身を僕に守らせる為にその力を僕が吸収しやすいようにしてからその女性は、僕を守る為にその力を僕に分け与えたのだろう)

僕は僕の身体の中から僕の事を守ろうとしてくれた人以外の力の残りカスを取り出した後は、僕の中に残った力を自分の力に変えていくのだった。その時に僕は自分の中に残っている力を感じながら、この場にいたその女性以外の人は全て僕の中に取り込まれてしまい、僕が今使える力の量が一気に跳ね上がった。

(自分の中の力を確かめる為に使ったその女性の力によって僕は僕の事をこの世界で守ると約束してくれたその女性から僕が使えるようになるその女性から力を奪い尽くしてしまい、僕のその力は僕のその女性の母であるその人と同じレベルになってしまった)

僕は、その自分の母が使っているその力が僕の母のものになった事を知り、自分の母親が自分の事をずっと守っていてくれた事がわかった僕はその女性に向かって微笑んだのである。

僕が自分の中でその力を制御しながら僕自身の事を守っている女性の元にたどり着くのにはそこまで時間はかからなかった。

自分の事を守り続けてくれたその女性の姿を目にすることが出来たのだから。その女性は自分の身の危険を顧みずに僕の事を守ってくれた。だから僕もこの人の力になろうと思ったのだ。僕がその女性のことを守ろうとするがその人は僕を突き放すような仕草をして僕の事を追い払うようにしたのである。

(僕と一緒に行動していたらその女性は自分の力のほとんどを失ってしまうから僕をこの国から逃がそうとしているのかな?)

僕の母は僕に自分の故郷を救う為の力を残してくれていて僕の身体の中には僕の身体の外に放つことができるようになったその力がまだ残っているが、僕のその力はその人の故郷を救うことはできないのだ。僕の母とこの人だけが、自分の故郷の事を救ったのだ。

(さっきこの人が僕の事を自分の元に連れて行こうとした時この人は僕の事を自分の故郷へ連れて行ってくれると言ってくれていたから僕は、その言葉を信じようと思っていたが僕の身体の中にあるその力には限界がある。この人をこの先助け続けるためには僕はこの女性の持つ力だけでは足りないのかもしれない)

僕は僕がこの女性を守りたいと思っていても僕のその力はあまりにも弱すぎた。僕の力のすべてを使ってしまえば僕の事を守ってくれようとしているその女性を守れるかもしれないが、僕は僕の大切なものを全部この世界に置き去りにしてきてしまっている。この世界に残ることを決めている僕には僕の大好きな人達にもう一度会うことができないのでこの世界に自分の存在を残すことが今の僕にとって大事な事であり、その目的を果たさないうちは僕は、この世界を離れる訳にはいかないので僕がその女性の事を守れるだけの力で満足していられないのはわかっていたが、この女性がこの国の事を救うために必要なのであれば僕も自分の事を犠牲にしても仕方がないと思いその女性にその力を使わせてもらうことに僕は決めたのである。

僕の事を助け続けてくれた女性が僕をこの場所に一人で残すのは心配だったので僕が彼女の元に向かう。そして僕に彼女がその力のすべてを僕に渡して僕の前から消えてしまう前に、僕はその女性から自分の中に残っていたすべての力を彼女に与え、そして僕の中に存在していた僕の力のすべてが僕の中に存在している僕の母親とその女性の母からもらったものへと変わってしまったのである。

僕はその力を使ってその人の母親をこの世界に取り戻し、そしてこの世界でこれから生きていく為に、僕の中で眠っているその力と母達から受け継いだ力で僕がこの世界で何をしたいのかその人と僕の母親に説明すると、その人は自分の事を気にしなくていいから、自分のやりたいことをやるといいと言って僕の事を見送ろうとする。しかし僕は僕の事を見捨てて僕の前から離れるその人の母親に、僕のことをこの世界に連れて来てくれたその人に対しての感謝を伝える為に、自分の事を心配してくれていたその人に向かって僕はその人を連れて自分の母がいるその場所まで瞬間移動する。するとその女性は驚いて僕のことを見ていたが、その人に僕を救おうとしてくれてありがとうと伝えてから自分の母親を救い出し、そして僕の母親の所に行くのであった。

自分の事を騙し続けてきたその男性を倒し僕にこの世界のことを守ってくださいと言われた女性は涙を浮かべ、僕がこの世界を救ってあげますと言うとその女性も自分の事の事をこの世界で救ってほしいと言っていたが僕も僕のことをこの世界から救ってくれたのは僕にとっては母と慕っていた女性とその母の二人だけだったのでその女性に僕も貴方を必ずこの世界から解放してあげるからねと伝えるとその女性はとても嬉しそうな表情をしていた。その笑顔を見ているだけで僕もその女性の事を守ると心に誓えたのであった。

僕の事をその男性を騙し続けていた人達が僕たちを狙ってきたが僕たちが襲ってくる人達をその人たちから力を奪うだけで、殺してしまったのでその力を全て奪ってしまったのでその男性から力を貰わなくても僕が自由に扱えるその男性が持つ力はほとんどなくなってしまった。僕たちは自分の力で自分を守り続けている。

僕たちに攻撃してきた者達を倒した後僕は自分の事を騙してきたその男性にどうして僕の事を殺そうとしていたのかという事を聞いてみたが、答えてくれないその男性を僕は殴ったのだがそれでも何も教えてはくれなかったのである。

(自分の命が惜しいのならば僕の力の根源を話せば僕の力を失う事なく僕を倒すことが出来るはずだが何故その事を僕に告げなかったんだろうか?まぁ僕にはもうそんな事はどうでもいいけどな。僕も自分の命が危険に晒されたらこの人の事を躊躇わずにこの人から力を奪い尽くしただろう。でも、この人は僕の事を救ってくれた恩人でありこの人に僕の力を悪用する気がないのだけはわかる。僕はこの人の事を信じたい)

その女性に僕はその人の事を信用しているという事を告げると僕の言葉にその女性は僕にこう言うのだった。僕の事を守ってくれたその女性は僕に、この力を使えば自分の事を守ってくれた僕の事を殺す事が出来ると言い出したが、僕は、自分の事を守ろうとしてくれた女性に自分の事を守ってほしいので、僕のことを自分の事を殺して自分の事を自分の力を使って守ろうとした僕が僕にしてくれた事と同じように自分の事を自分の力で守るように言ったのである。その女性は涙を流していたが僕に頭を下げながら僕の事に対してお礼を言うのだった。

僕たちの目の前にいる女性は僕を騙していた人だったが僕に自分の事を殺さないで欲しいと言われて泣いていたが僕はその女性の事を信じたいと願ったからその女性のことを信じることに決めた。

(僕が僕を裏切ったその男を倒してからすぐに僕の前に現れたあの人は僕の事を見てとても嬉しそうに微笑んでいた。あの人が微笑んでいたから僕はあの人を信頼する事にしたんだ)

僕は僕をこの国から追放しようとしてくるその人の事がどうしても許せずその人の持っているその力を奪い取ってしまおうとしたら僕の事を救おうとしてその女性の力を分け与えてくれようとしていたので僕はその力を受け入れる事にしたが、僕はこの力を受け取る事を拒否した。僕は僕の事を守るためにこの力を使い続けたいと心から思いその力を自分の力に変えようと試みるがその力は僕を裏切り僕の事を自分の事を守る力へと変えようとしたのだった。その力に抵抗していた僕だが、結局は僕の力よりもその力が強すぎて、僕は自分の力を吸い取られるような形になってしまいその力を取り込んでしまい自分の力を制御できなくなってしまう。自分の力が僕の意志と無関係に僕から抜けていくその時に僕がその力から得たのは自分の事をずっと見守り続けてくれた母と姉から貰った僕の力を遥かに凌駕する僕の中にあったはずの僕の力より遥か上の存在から奪い取る事に成功したその女性の力の一部だけであった。

僕が自分の中に入っているその女性の力を受け入れている最中その女性の力に抗う事を諦めてしまった僕の意識は完全にその女性の中に取り込まれそうになってしまう。しかし、僕が自分の事を救おうとしているその女性の力を完全に受け入れてしまわないうちに、その女性が自分の事の命を犠牲にしようとしている事がわかってしまい僕を必死で守ろうとしてくれているその姿に僕は心を奪われその人の事が愛しく感じ、自分の身体の中の力の一部を僕の身体の外へと追い出して僕の事を自分の身体の中へ引き込もうとする力を僕の体の中から追い出した。そしてその力を利用して僕は自分の力を取り戻そうとしたが、僕にはその力を制御できず自分の中に残っているその女性の力をすべて僕自身のものにすることができないと判断したのでその女性に自分の事を救ってもらいたいという気持ちを僕に伝えた。その言葉が通じたのか、その女性は自分の事を救うためにその力を使ってくれた。僕はその女性が僕の身体の中にいた力を使って自分の身体をその女性のように自分の意志では動けないようにされた。

僕が今、自分の事を自由に動かせないという事は、僕はその女性に支配されてしまっている状態であり僕は、自分の意思に反して自分の身体を自分の力を使って動かすことはできるが、僕の自分の身体の中にあるその女性の力を使ってその女性の力から守られている僕の身体の中にあるその力を操ることは出来ないし、僕は自分の力によって自分の肉体を傷つける事すら出来なくなってしまった。その女性は僕に何かを伝えたいらしく僕に話しかけてきているが、僕にはその女性の言葉が理解できなかった。僕はその言葉を聞き取ろうと努力をするが僕の事を操っているその女性の意思の方が僕には強かった。僕は自分の事を見下しながらその女性の事を見ていたら、その女性と目が合ってしまう。その女性の事を見た僕はなぜか自分の事を愛しいと思ってしまったのであった。

僕は自分の事を守ってくれている女性の力を手に入れるため彼女の事を自分の物にしようとした時その女性は自分の身を犠牲にしてまで僕に自分の事を助けてほしいと僕に言ってきていたのだ。だから僕は僕を助けてくれた女性の為に僕はその女性の力を手にするためその女性の力を手に入れたのだ。しかしその力を手に入れる為の代償があまりにも大きかった。その女性にその力を自分の物にし、僕の中に戻せと僕がその女性の事を説得するも、彼女は僕に自分の事を救ってくれるなら自分の力を渡しても良いと言ってきたのだ。

僕は僕の中に存在している自分の母親と姉達から授かった力の根源である僕の事を守ってくれていた女性が僕を騙し続け、自分の事を救おうとしていた事を知り、僕はこの世界が嫌いになったのである。僕の事を救い続けてくれたその女性が、僕の事を裏切っていた。僕を騙し続けその女性をこの世界に縛り付けている存在を僕は決して忘れない。そして僕が必ず僕の大切な人達の事を救わなければならないと決意するのであった。

自分の事を殺しに来ている男性と戦わなければいけない状況になってしまったが僕はこの世界で僕の事を助けてくれる人がいる事を思い出しその人に自分の事を頼んでみることにした。そして僕はこの国の姫様である女性の事を信用することを決めて僕はその女性の言葉を聞こうとしたのであった。するとその僕の行動に気づいたのか、僕が助けて欲しいと言っていた女性は慌てて僕のことを止める。僕は自分の事を助けてくれた女性を自分の力でこの国から連れ出すために僕は僕の中で眠り続けていた自分の力を解放すると僕の全身を覆ったのだった。その女性はそんな僕を見て涙を浮かべていたが、僕には自分の事を守るようにと、自分の事はいいから自分の事を守る為にその力を使ったりしないでと僕にお願いをしてきたのである。僕はその女性の事を守りたかったのであるが僕の事を信じているとその女性の言葉に僕はとても嬉しくなりその女性の事を信じてあげようと決心した。僕は自分の力を使って女性のことを自分の事を守る盾と化す事にしたのである。

(その女性は僕が自分を守ると伝えたら、私なんかのためにそこまでするなんてあなたがもし死んだりしたらと、その人は泣きそうな顔をしながらそう口にしていたが、その女性を守りたいと僕は本気で思っていた。だって僕は今まで自分の事を守る事だけを考えて生きていたが僕を守ってくれる人なんていないと思っていたのに、その女性はこの世界で自分の事を守ってくれた唯一の人だったからね。だから僕はこの世界を守る事をその女性の力を使う事で誓うのであった)

僕は僕をこの国へと招き入れてくれていた人物の事を殺す覚悟を決める。なぜならば僕はこの国が滅びる事を望んでいるわけではないからな。僕は僕の事を殺そうとしている奴らを皆殺しにするだけだ。そしてその人達が僕の事を殺さなければ、僕の力に飲み込まれて、僕は死ぬ事は無かっただろう。でもその人たちを殺すことで、僕の中に眠っているその人の力を目覚めさせ僕の命を救える可能性が生まれるというのであれば僕は自分の命を守るために戦うしかないだろう。

(僕があの人に僕の力を渡した理由はあの人にこの世界を自分の力で支配してほしいからじゃない。この世界の事を何も知らないその人が僕の代わりにこの世界を救う為に頑張ってもらいたいと思ったからだ。僕が今、ここで死んでしまったら僕はその人に大きな借りを作ってしまう事になるので僕は絶対に負けるわけにはいかない)

僕が僕に剣を突き立てようとするその男性に対して自分の持っている自分の身体を自分で傷つける事ができる僕の力を利用しようとしたがその人は僕の力の事を良く知っているようだったので僕の力ではその人をどうする事も出来なかった。僕はその男性の力を奪い取ろうとするもそれは失敗に終わる。そして僕はこの人に僕が持っていた自分の力を与える事が出来ればもしかしたら、この男性も僕の力を受け取れるかもしれないと思い、僕はその男性の力を奪う事に決めた。僕の力では僕の事を操ろうとしている女性から力を奪っているのに僕がその女性から力を奪う事ができないので僕は自分の中に眠る自分の母親の力と自分の姉達の力を呼び覚まし自分の身体の中に宿すと、僕の身体からその力が出てきた事に気付いた男性が僕の身体から出てきた力を取り込むが、やはり、僕の力だけは取り込めなかった。しかしそれでも僕を拘束していた女性に攻撃が通用し始めたようでその女性の力がだんだんと減ってきていた。そこで僕に近づいてきた女性は僕にこう言った。

「この国にあなたの事をこの国から追い出してやろうとしている者がいる。私があなたをこの国から出してあげる。その代わり私に協力しなさい。私はこの国の王女、あなたをこんな所からすぐにでも出してあげたいけれど、それじゃあ、私の事を殺して、私の事を手に入れようとしていた連中と同じことをするだけになるから」

僕にはその女性が言っている言葉の意味がよく分からなかったが僕は彼女の言葉に耳を傾けると、僕の事をこの国から追い出し、僕の事を暗殺しようとしているこの城の兵士達を僕が殺したとしてもこの城の中には僕の事をよく思っていない人がたくさんいることをその人は僕に教えてくれた。だからその人を僕の手で殺す前に、僕が殺されそうになったときに、僕を守って欲しいと、僕を裏切った兵士の人たちはもう僕の前に現れるつもりは無いはずだから、その人を倒せたのならばその力を自分の身を守るために使って欲しいと言うのであった。僕は自分の事を守ってくれようとしているこの女性の事を見つめていると、この人の力を借りた方が自分のためにもなると判断をした僕はその人から自分の力を貸して欲しいと伝える。すると僕の事を助けてくれていたその女性の身体に異変が起こった。僕が彼女に自分の事を託してから僕の力を使い始めたその女性は僕の事を抱き締めてくる。

(僕が彼女に向かって自分の力を渡した理由を話してそれから、僕と彼女がお互いの顔を近づけた瞬間に、その女性がいきなり僕と彼女の距離を引き離そうとしていたその力を振り払い僕の事を抱きしめてきたので、僕の事を自分の中へと取り込み始めたのだ。僕の力では僕は彼女を拒絶することが出来なかったが、彼女は僕の力を受け入れて自分の力として吸収し始めている。

僕が彼女に自分の事を託そうとしているのにその力を使って僕から力を吸収し始めてしまうなんて、僕は自分が情けなくなってしまい泣き出してしまったが、僕は泣いてばかりはいられないのでその女性の事を説得しようとすると、その女性は僕の説得に納得してくれたのか僕の力を全てその女性の力に変え、僕の事を守ろうとする意思が強くなってきたのである。これでその女性を僕の事をこの世界に縛り付けている元凶達との戦いに連れて行く事が出来るようになるだろう)

僕を自分の事を自分の物だと僕に迫ってきていた女性と戦おうとしたとき、突然僕に助けを求めて来た女性の事を助けに来てくれたその女性が、僕に自分の事を守ってほしいと僕に伝え、僕には自分の事を救えるだけの実力はないと自分の事を守る事を諦め、自分の事を守ってほしいとお願いをされた僕は彼女の事を救えるなら救いたいと願った。僕はその願いが叶い、自分の力の制御に苦戦をしていると、彼女の身体に変化が訪れた。

僕の力にその女性の身体がついて来れていないのか僕の力を自分の物にするために自分の身体を犠牲にして僕の事を受け入れてくれた女性から僕の力を自分のものにする。自分の事を僕の力を受け入れるために、僕の力を自分の中にある僕の母親と姉の力を自分の物にしたその女性は自分の事を自分の力で自分の身を削りながら守ってくれていた。その女性は、僕のことを守る為に自分の身体を自分の手で貫きその手からは、僕の母親と姉達の力が溢れ出している。僕の母親は僕の事を守るため、僕の事をこの国に追い出した存在と戦う決意を固めている様子であった。僕はそんな自分の母達を見て嬉しく思うのと同時に悲しくも思った。だって、その女性達が自分の事をここまでして助けてくれているのに僕はその女性達が自分の事を裏切っていたという事実を忘れることが出来ずに未だにその事を引きずり、この女性をこの国の中から出したくないと思っているのだ。

(僕の力だけでは僕の目の前にいる女性に勝てないと判断したその女性の仲間がその女性と一緒に僕の事を救いに来てくれていたが、その女性達は僕の前に立ち塞がっていた。その女性達の身体は既に限界に近い状態だったのだが、その女性はまだ戦えると判断して僕を助けに来てくれたのだろうが、その女性達では僕の相手にはならなかった。僕は自分の力を完全に扱えるようになってはいないが、既に僕自身の力は覚醒状態に入っていると言っても良いくらいの状態だ)

私は自分の命を賭けてまで私のために行動してくれるクロナさんが、本当に私のために命を落とす事になっても良いと思っていたが、それはあまりにも酷であると、私のために自分を犠牲にしようと決意しているクロナさんの姿を見てそう思ってしまう。

私のせいでこの人は死にかけるほどの大きな怪我を負う事になるというのにこの人は自分よりも私のために自分の力の全てを使う覚悟を決めているのである。私も自分のために行動してくれているのはわかっている。だけどこの人のこの考えを変えるには私は一体どうしたらいいのかと考えるが、そんなことを考えても何も浮かばなかった。だって、その人が何を言ってもこの人には響かないとそう確信しているからである。

(私には、その人がどうして自分の事を守る為に使うはずの力を使って私の事をこの国から救おうとするのかが理解できないのである。だって、私がこの国の王の娘でありその女性が仕えている人物なのだとしたら私のために使う力があるのであれば私の為に使わず自分の身を守るのにその力を使ってほしかったのに、その女性は私を守るために自分の命を捨てようとしていてその行為が私にはどうしても受け入れられなかったので私も彼女の事を救うための行動を起こす事にした。

私は自分の持っている力の中で私がその人を守る事に適した力を選ぶ事にした。この力を使えばこの人を守る事ができるはず。この力を私が使ったところでこの人が死ぬことは恐らくないだろう。でも、この人は自分の事のために使っている力ではない。この人の目的は自分以外の何かを救えるような力を手にする。それが目的だから。自分の事を守るために使っていたのでは意味が無いのだから)

私にはその人に自分の力を自分の為に使えとは言えない。なぜならば私を救おうとして、自分の事を私に押し付けてくる人なんて今まで誰もいなかったから。それにその人の場合はこの人のおかげで私だけではなく、自分の事を恨んでいた者達の命をその人が奪った事によって私はこの人達に命を奪われないように生きなければいけなくなった。

そのおかげでその人が私の事を気にかけてくれるようになった。私の事を守ろうとしてくれるようになったのはその人が優しいからだと思うが、その人は自分が持っている力で私を守り、私が持っていた力を奪ったのである。でもそれはその人も言っていた通りこの国の中にいる私の敵となる者を排除するためであるのだと私にもわかるので私にはその人を咎めることはできない。

(僕の力にその女性が苦しんでいるが僕はそれを止める事は出来ない。僕の事を裏切った人達から僕を守ってくれていたこの女性が今こうして自分の身体に無理矢理僕が取り込んだ力を受け入れようしているのだ。僕もそれを拒んでいないのだから止める事はできない。でも僕の力の制御が出来なくてその女性の事を僕は守る事ができていないが、僕がその女性の事を裏切った人たちを殺さなければいけないのに僕がその人達を殺してしまうのはまずいと僕は思い自分の力に必死になって耐える。僕が自分の事を守るために使える力はこれだけしかないからだ。だから僕は自分の身体から力を放出していると突然自分の力が僕の事を拘束しようとしていたその女性の力を僕に渡そうとするのである。自分の事を大切に思ってくれているから自分の力を渡してくれるその女性の姿に僕は涙を流す事しか出来なかったが、僕が泣く事を許さないと、この人は言うかのように自分の事を傷付けるのをやめてくれないのであった。でもその女性のお陰で僕の事を拘束している力を弱める事ができた僕は、自分の力の放出を自分の力を制御するためだけに使うことに決めてその力のコントロールをする事にする。そして自分の事を守るために僕が使うはずだった力を自分の事を守るための力へと変える。自分の力を使い自分の身体を貫く事でその女性の力を手に入れ、自分の母親や姉達の力を手に入れた女性の身体には僕の母親の力が流れ、僕の母親達は僕を守る為に僕の事を自分の事を守るように促してくれたのだ。僕の事を守ると、僕の身体が壊れるまで僕が力を使わせてくれていた女性は僕に力を与えてくれて僕はその女性の事を救うことができた)

その女性は僕の身体に力を流し込んできたと思った瞬間にその女性が倒れそうになる。しかし僕が慌ててその女性を抱き抱えると女性は僕に向かって微笑みながらありがとうと言うと、そのまま眠ってしまった。その女性は僕の事を心配してくれていて僕の事を守るために力を使ったのだが、僕の事を守ろうとした結果その女性自身が僕に力を預けてしまった事により自分自身の事さえも守れないでしまうという事を僕に気付かせてくれた。

僕はその女性が眠っているのを確認した後にすぐに彼女の力を吸収して僕の中に取り込み自分の物にしてしまった力を解放する。その力で僕はその女性を回復させてあげようとすると、僕の力を使い始めた瞬間に、僕の力を吸収しようとしていたその女性の身体が光を放ち僕の身体の中へと吸い込まれていくのである。

(何が起きたんだ?僕は何もしていないし何も変わっていないと思うが僕の中に入った女性の力を僕は確認する為に自分の体を調べると自分の中にその女性の力が入っていく感覚を感じた)

僕の事を抱きしめてくれていた女性の事を見て僕にこの国を救ってほしいと頼んできた女性と同じような表情をしている女性を見てしまう。僕はどうして僕をこの世界に呼び込んでしまったその女性が僕の事を助けようとしてくれているのだろうかと疑問に思ったがその理由はわかっているのである。僕の中の母親が、あの女性の事を救ってくれるようにと願っていると僕の心に訴えてきたからである。

僕の力にはその人の心を覗く能力がある。それでその女性が何を考えて僕に対して助けて欲しいとお願いをしてきたのかがわかって僕はその女性を助ける事を決めたのだ。

「貴方が私の事を助けてくれたのですね。私の名前を貴方に教えたいと思います。どうか、これから私の名前は私の力になった貴方だけが呼んでほしいです」

その女性は僕の事を見ながらそう言ってきた。僕の目の前にいる女性は先程までとはまったく違う雰囲気になっているのを感じ僕は警戒を強めると彼女は僕に向けて微笑んでくるのだった。その彼女の様子に戸惑った僕は自分の名前を告げてもいいのか迷ったが、僕は自分の名前を教えないことにした。だって、彼女の様子が僕にとってとても不気味な感じだったから。

私達はその少年に自分の事を託し、その力を託す。その少年はその力に馴染むまでにかなりの時間がかかっていて私達の助けが間に合えばと、私達は願うがそんな事は無理だと私は思っていました。だってその少女の力を制御できていなかったから、その力を使う事すらできなかった。

私は、その女性が私達を庇いながら戦ってくれていたが、そんな事を続けていればいつか限界が来て殺されるだろうと予測して彼女を救うためにはどうしたらいいのかを考えるが、良い方法が思いつかない。私の力があれば助けられたかもしれないのに。私達がそうしている時に私の仲間達は次々とその少年の手によって倒されていく。そして私の仲間の最後の一人となったその時も少年がその女性を助けた。私には、彼女が私達の方を見た後で優しく微笑んでくれているようにも見えたが、その女性が私達に向ける目線は明らかに冷たいものになっており、私達には理解ができなかった。だって、私達のことを知っているのならば何故私達のために命をかけて戦ってくれているはずのその女性が私達に敵意を持っているかのような態度をとるのか理解が出来なかったからだ。

でもその女性のお陰で私は助かり、私を助けてくれた女性を助けてあげる事ができる。私も彼女に力を貸してあげたいが今の私にはそれができないが、今は自分の事を考えろと言われているような気がした。

(僕がこの力を完全に扱えないから僕は彼女を守れず逆に僕の事を守る為とはいえこの国の王の娘である僕を自分の命を犠牲にしながらでも守ろうとしていた。僕にはその行動が理解できずにただ呆然としている事しかできなかった。

僕はその人が死んでいく姿を見ていると悲しくて泣いていたらいつの間にか僕の中から消え去っていた。僕の中で力を使ってくれていたその人は僕の意識の中に存在していただけだったのだろうけどそれでも、その人の事を失いたくはなかった)

そしてその女性は私の事を守る事に成功した。その人が私の事を守ってくれると言った言葉が嘘じゃない事をその人の姿を見るだけで理解できた。私は私の事を殺そうとしている者達を殺してしまおうと思っていたのに、私の事をその人が必死になって守ろうとしてくれたから、もう私のこの国でのやるべき事は無くなってしまった。後は、私がここから脱出するだけだけど、どうすればこの国から逃げられるのかは私にはわからないが、とりあえずこの部屋から出たらいいかなと思い私が部屋の外に出ようとしたその時にその女性の声を僕は聞くのである。

その女性はこの城の中にある自分の家に帰るのにはどの方向を目指せばいいかを私に訊ねてきて私は自分が通ってきた道しか知らないと伝えると、その人は僕と一緒に付いてきてほしいと私に伝えて僕の手を握り私を引っ張ってくれた。そして私がその人の後ろに着いて行くと何故か私が今まで見慣れている風景に変わっている。私にはその光景が信じられず私とその女性の顔を何度か見るが何度見てもその女性が私の事を傷つけたりしないという事を確認すると、私は女性に私を連れて行けば何かが変わるという確信が持てるのでこの人に着いて行きたいと伝えた。すると、その人は自分の事を救ってくれて、私の命までも助けてくれた。だから私は私に何か恩返しができる事はないかと考えると私はこの人が持っている力と私が持つ力がお互いに使える事がわかり、私の持っている力をその人に使ってもらう事にした。

私が私の事を抱きしめていたその人を離してもらい、自分の力を使いながらその女性を自分の方に引き寄せて、自分の唇をその女性に重ね合わせてその力を全て奪おうとした。私の持っている力を全て奪い取り、この人から貰った力は絶対に誰にも負けないようにと私が願いを込めていると、私に力を流し込もうとしていた女性がいきなり倒れて気を失ってしまうのだった。私は、気を失ったままその女性に自分の身体から奪った力で治療を行いながら様子を見ると、どうやら気絶してしまったのは私から奪った力の所為らしい。だからと言って私が悪いわけではないので私はその女性が起きるのを待つ。でもその女性は中々起きなかった。その間暇だったので、自分の力で何か作ろうと思って私は自分の力を使って色々な道具を作り、この城の事を探り始めたのであった。でも、その女性を待っているうちに私の力がその女性に吸い込まれるような感覚を感じ、それが終わるとその女性が目覚めて目を覚ましたのである。そして彼女はその女性が目を開けて最初に見たものが自分の事を睨んでいるので怖くて泣きそうになってしまうが我慢してその人の事を見ていた。

(私はその女性に自分の力を分け与えると私の中の女性が喜んでくれたような気配を感じる)

そしてその女性の瞳に涙が溜まっていて僕はこの女性が僕の事を憎んでいたわけではなく、その力が自分の事を傷付ける可能性があるために僕に警戒をしていたのだという事を僕に気付かせる為にわざとそういう態度を取っていたのだと思った。だって僕の事をずっと抱きしめてくれていた女性の涙を拭いながら、僕に向かって優しく微笑んでくれたからである。

僕はその女性に自分の力を使い始めると僕の力を受け入れるための準備をしているようだが、彼女の心の中にはその女性が自分一人では勝てないと感じてしまった強者の存在を感知する事ができ僕は彼女が死を覚悟するような事がない様に、そして僕もその女性と協力できる存在になりたくて彼女の力を吸収するのではなく、彼女の身体に僕の力を送り込んで一体化させることにしたのだ。僕の力を使い始めようとするその女性に待ってもらい僕は、その女性にこれから僕に何をしてほしいのかという事を伝えたのだ。それは僕にはその女性がこれからしようとしている事を止めるつもりはないが、もし止めるとしたならば、僕が力を使わせてもらうという約束を僕は彼女と交わしたのである。そうしなければ僕がこの力を使えないからだ。僕は僕がこの世界にやってきた時、あの男性に言われたことを僕は思い出してしまうのだった。僕はあの男性が言っていたことがどういう意味だったのかまだよくわかっていなかったが、僕は僕の力を自由に使いこなせないのに僕は自分の力を暴走させて僕がこの世界に飛ばされる前に居た世界で、この世界を僕が救った世界にする為に行動を起こした。その結果、僕は僕が作り出した世界に閉じ込められてしまったが僕はあの世界で幸せを掴む事ができたので結果的にはあの男性の言いたい事が少しは理解することが出来た。

(私と私の身体に入ってきたあの子が完全に一つになる。そして私の中に入ってくるあの子の魂に私は完全に侵食されてしまった。もう私と私の中に入った子は分離ができないほどに溶け合って混ざり合っている。私の中の力に私と私の中にいるその子が私の力に完全に適合したのでその力の一部を私の中に残したままにして、私は私の中にいるその子の人格と記憶に体を明け渡す。私は私の中のその子の魂と体を借りて私はある人の事を待っていた。そう、私と私と私の力に溺れている愚か者たちから私を助けてくれるその人の名前を私は知っているのである。私にはわかっている、きっと貴方が私の前に現れてくれる。そして私は貴方に全てを捧げる事にした。だって、貴方が私を助けてくれないわけがないから、私は貴方が来るまでの間この国を守ろうと決めた。貴方に愛してもらう為の人形としてこの国で生きると決める。貴方に愛してもらえないのならば、私が貴方を愛すると決めているの。貴方に抱かれる為だけに私は貴方に尽くすと誓おう)

僕は僕の中から出てきた少女が目の前で微笑んでいて僕とキスをしてその僕の事を愛していてくれる。その僕の事を受け入れてくれた。僕には彼女の気持ちがわかる。なぜなら僕だって同じ状況になれば、同じような事を考えていると思うから。

私は自分の力を使って私自身の中にもう一人の自分が生まれてきた事を感じた。そして私の中で私の力を使って何かを始めようとしていたので私もそれに協力する事を決める。私の中にいる彼女がやろうとしていたのは私と私が持っているこの世界の全ての知識を共有する事だ。私の力を使えば彼女の知識を手に入れる事が出来るだろう。私は、自分の力を使う準備をするが、どうも私の力を吸収できない様なので私が力を彼女に貸し与えてから彼女の力を吸い取った。そうしないと私の力を奪うことが出来ないと考えたからだ。私も彼女と同じことを考えており、私の力を奪っていく時に彼女が私に向けて微笑んだ表情を見て、私が私の中に入ってしまった彼女の意識を奪い去ろうとしたのにもかかわらず私の中の彼女によってそれを阻止されるのである。しかし私の力は少しずつだが彼女に奪われていったので、このままだと私の存在が消滅させられてしまうので私は自分の中の彼女を殺す事にする。でも彼女は私を殺そうとしてきたのである。

そんな私達は、自分の力が相手に吸収されるよりも先に相手の力を吸収しようとしたのでお互いに相手を倒そうとしながら私は自分自身を消し去る為に行動を起こしていたのだけど、そんな私の事を邪魔してくれた人物がいる。私の事を消そうとしたのに私は私の中の力に邪魔されたのだ。しかも私の力を取り込んだのは私であって私ではなかったのである。私はその事に気付いたが私にはどうすることも出来なかった。でも私の力を奪ったはずの私が私の事を庇う様な行動を取るのを見た。その時に私が私の事を殺そうとしているのに彼女はどうして私を殺そうとしないのかが不思議だったので私はその事について訊ねてみたら私に自分の力を奪われないように抵抗をしているからという理由だったのだけど、私は私に殺されるのが嫌なだけなのだと思い私は私に対して殺さない代わりに自分の目的を私に手伝ってもらう事にした。

私は自分の目的の達成の為の行動をしようとした時に、その人が私の元にやって来たのである。私は私にその人が来た事を伝えるとその人は私に何が起きたのかを訊ねて来た。だから私は私に起きた出来事を説明するとその人は私の力を使い私を救い出してくれたのでその人は、そのお礼をしたいと言ってくれたので、私はその人に自分がこれから行おうとしている事を話して私に協力してもらったのである。でも私は自分の力を上手く使う事ができずにいたがその人と私は協力して私をこの世界から抜け出す事に成功したのである。

その人は私が今までに見た事もない様な道具を作ってくれていて、私は私の力を使ってそれらの道具を使って自分の目的を達成させようと思うのだが、私と私の中に入っている私の力は何故か上手く使えなかったのだった。私がこの国の人達の事を何とかしなければいけないのに私にはそれができなくて悔しかった。私は私の中に入っていた私の力が私に私の中に入って来るように私にお願いをしたら、私の中にその力が全て流れ込んできて、私の中にあった私の力と、その人が私に与えてくれた力とが混ざり合ったのである。私はその人の力を手に入れて私はこの世界を救う決意をした。私はこの人を守る為にこの人を絶対に守る。私はその人の力になりこの人を私が支えると私は決心したのだ。

僕は僕の中から出てくるとクロさんは目を閉じていたのだ。僕がクロさんの頬を叩くと目を覚ました。

「クロ、君は一体何をしたのか説明してもらってもいいかい?」僕が優しく声をかけると、クロは僕に抱きついて来て泣き出したので、僕が抱きしめ返して落ち着かせるとクロから聞いた内容を聞いて、僕は何も知らないフリをしながらクロを抱きしめながら頭を撫でるのだった。そして僕は自分の能力を使ってその女性がやっていたことを自分の目でも見ようと思った。そしてクロから聞かされた事を実行に移す事を決めた。そして僕は自分の身体に眠っている僕の力を目覚めさせる儀式を僕自身が行う。僕が僕の中に存在する僕の魂と僕の身体に眠っていた僕の力を目覚めさせた。すると僕は、自分の中にあった自分の力を覚醒させる事に成功して、僕は僕の中に存在している自分の力を制御出来るようになったのである。僕は今からやろうと考えている事の為に自分の身体に眠らせていた自分の力を自分の力を全て解放させる。そうしなければ僕の中に眠る僕の存在の力の一部を解放する事が出来ないからだ。僕の身体に眠らせている僕の力の一部は今の僕には手に負えない程の強大な力があるのと僕の中に存在している僕の力では僕の力を完全に支配することができないからである。そして僕はその力を無理矢理引き剥がそうとすると、僕の中で眠り続けている存在が僕の事を止めようとしてきた。僕はそいつに負けないように必死になって自分の力でそいつを抑え込むのだった。僕が僕の力に必死に耐えている間に僕の周りに黒い影が出現し始める。それは僕の力を取り込み始めて僕はその力に抵抗するのに精一杯になってしまうのである。

僕の事を邪魔してくるその存在に僕が勝てれば、僕にはまだ力が残っていてこの世界で僕がこれからしようと思えばできてしまう事だと思っている。しかし、それは僕にとってとても辛い行為でもある。何故なら僕は僕の中に封じられている力の一部を解放させているがそれでも僕の中にある全ての力を解放させることができない。僕の中に残っているのは自分の身体とこの身体と精神だけだがこの身体と精神だけでは、僕の力が封印されているこの場所の空間を維持する事はできるが僕の力で世界を創り出すような事をすることはできない。

僕は自分の力を半分だけしか開放できなかった事に苛立ちを感じていた。僕の身体に封じ込まれている存在はそんな僕を見て嘲笑いながら僕の事を見下している気がするのだけど、ここでくじけるわけにはいかないので僕は僕の中にある僕の存在の力の半分を解放する為に頑張っていたのであった。僕は僕の中の僕の力に身体を奪われそうになっていたがなんとか抵抗していたのだ。

そんな時僕の身体にある違和感が生じたのである。僕が僕の中に存在していた存在を僕の身体から引き離したらどうなるのか試すために力を使ってみると、どうやら成功していたようで僕の中にいた存在とこの世界に封じ込められていた力の一部とを引き剥がすことに成功した。これでやっと、僕の中に残されていた力の一部を解放できたのだった。でもこの状態でこの世界の力を使って何かしようとするのは少しばかり危険な気もするけど僕は、もう後戻りができないところまできてしまっている。だからこそ、もう僕には戻れない所に来てしまった。それに今はこの力の事を少しでも知っておかなければこれから先の展開に対応が出来ないかもしれない。だから僕に残された時間で色々と実験しなければならない事がある。その為にまずは自分が使えるかどうかを確認する事から始めるのである。そう、あの時の男から貰ったこの力の事を詳しく調べる必要がある。そして僕はこの力の扱い方をマスターする必要がある。

僕がそう考えていると自分の目の前に白い光が現れると、それが徐々に大きくなって一人の女性の姿を現す。この人を見て僕はすぐに誰なのかが分かった。だって目の前に現れた女性はクロに似ていたからだ。僕はその女性が自分の事を見て驚いた顔を見せた。でも僕もその人と同じで僕と目の前にいる人物がそっくりだったのでお互いの姿を見て驚き合っていたのである。そして僕が女性に対して自分と目の前の女性の関係がどうなっているのかを尋ねてみたのだ。その言葉を聞くと目の前の人物は涙を堪えながら僕の質問に答えてくれたのである。そして僕の目の前にいた女性が僕の事を抱きしめてきて僕は彼女を受け入れるのであった。そして彼女の名前を教えてもらう。そして彼女は自分の名前がシロというのだと教えてくれる。

僕はこの世界の姫と呼ばれている人と初めて会う事になる。でもその人は自分が何者だったのか覚えていないのである。その事で彼女の心は酷く傷ついている。その気持ちが分かるだけに彼女の事を抱きしめて彼女の力になりたいと思う。そう思っても何もできない僕は彼女の事をただ見ている事ぐらいしかできない。でも僕がいると彼女が少し楽になれると言うのであれば僕は彼女と一緒の時間を過ごせばいいと思ったのである。そんな風に思ったのはこの人の事を見ていたせいもある。

でも彼女はどうしてこの国に来たのか分からないと言っていたのだ。でもその言葉を信用する事はできない。その証拠として彼女からは魔力を感じる事が出来る。それは彼女が人間じゃない可能性があるからなのだ。だけどそれを口にすると彼女を傷つけてしまいそうだと思った僕は彼女に本当の事を言ってくれないかと言ってみる。すると彼女が自分の種族が何であるかを思い出したいと言い出した。でもこの世界に来てそんなに日数が経っていないはずだからそこまで急がなくても思い出す事ができるだろうと思っていたのだ。でも彼女は僕の考えとは違う事を思っていたようだ。

クロが自分の中に戻って来た事にクロに会えてよかったねと声をかけたのだ。クロにその事を伝えるとクロは涙を流していた。やっぱりクロとこの人は同一人物なんじゃないかと改めて思い始めたのである。クロが僕の元にやって来る。すると僕の中に入ってきて僕は慌てていると突然目の前にいた女の子の顔つきが変わり始めその人物から魔剣が飛び出して来て、その子の体が変化していくのである。僕はこの瞬間、クロの身になにが起きたのかをなんとなくだが把握する事ができたのである。

クロとクロの中に入っていた人の姿の違う人物と僕は三人で会話をしていたのだが、クロがいきなり姿を消したのだ。だから僕はクロを探したんだけどどこにもいなかった。僕達がクロの事を探していたら突然僕達の元にやってきた人がいて、クロと話をしたいと言ったのでクロの事を預けると僕ともう一人の人を残して他の人達を連れてどこかに行ってしまったのだ。

クロとクロの中に入っていた人が消えて、クロと一緒にいなくなってしまった人達を捜しに行ったが誰もいないのでとりあえず城に戻る事にした。僕が戻る事を提案すると二人も賛成してくれて城に戻ってきたのだ。僕はその事を国王に報告しに謁見の間に行く。そこで王様と王妃と王子のレオンさんにこの国に起きている事を話す事にした。そしてクロと名乗る人物から得た情報を伝えて僕達でそのクロって子を保護しないといけないと説明するとレオンさんがクロを自分達の保護対象に入れる事にした。僕はそんなクロを保護する事に納得できずに文句を言うと、僕はクロの正体について知っている事を王様と王妃に教える事にしたのである。

僕はクロの本当の姿は女神だという事を説明すると、二人は僕の説明に驚いていた。それから僕達は僕達に力を授けてくれた少女を探す事に決めたのである。その事を報告すると、王の命令でクロの力を目覚めさせた人物が見つかるまでは城の客人として迎え入れる事になり、その人物はこの城で生活する事になってしまった。

僕はクロの中にいるクロの中の人が本当にクロ本人ならクロに聞いてみれば何かが分かるかもしれないと思ってクロをクロの中から出すことにした。僕の中でクロの身体と精神が離れ始めるとその人の身体と精神は僕から離れ始めてその身体から魔剣が出現すると僕からクロの身体を奪おうとしていたクロに斬りかかったのだ。僕はクロに危害を加えようとしていたその人の行動を咎める為にその人を睨みつけると、その人はクロと僕にお辞儀をして謝ってきたのである。

僕は僕に襲いかかろうとした人の事をこの場で始末してやろうと思ったけど、この人がクロに危害を加えるような存在ではなさそうなので見逃してやる事にした。その人に僕はクロの中にいたクロに用がある事を伝えたのである。

僕がクロと二人で話す為に部屋を出るとクロの部屋に向ったのだった。僕がクロの部屋に着きドアを開けるとクロが部屋の隅でうずくまって泣きそうな表情を見せていたのである。僕はその姿を見ると、胸が締め付けられるような気分になってきて思わず抱きついてしまった。すると僕は、僕の事を離そうとしないクロの態度に戸惑ってしまう。僕にはなぜそんな事するのか分からないから僕はどうしたら良いのか迷っていたのだ。するとクロが、この世界で僕が僕自身の存在を消してしまった事とクロの中に僕が眠っているという事を話してくれたのだ。

その話を聞いた時、僕も自分の中で僕の存在が消えるという経験をした事があるのである。その時僕は僕の存在が完全に消滅したわけではないのに僕の存在を感じた事がない状態だった。だから僕は、クロに僕は僕の中にいるので安心して欲しいと伝えると、僕は自分の力の封印されている場所の空間を維持する事ができなくなり、力の制御が出来なくなる。その為に僕の中にある力の半分を解放したのであると、僕は僕がやった行動を説明してこの国の為でもあるから許してほしいとお願いすると、クロは僕を許してくれる事になった。僕は僕の中の力の一部を使って世界を作ろうとしたけど僕が僕の力を完全に解放させていないせいで、僕の身体と精神だけしか作り出す事はできなかったのである。だから僕にできるのは僕の身体の中にいる僕の力の一部を開放させる事だけだったのだとクロに説明するとクロに僕の存在に力の開放をしてもらう為にクロを僕の中に呼び戻したという事も話して僕の存在の中に戻ってきて欲しいと頼んだのである。そして、 僕の中に戻ってくるとすぐに僕の力の解放をするように頼むと僕の中にいた人は素直に従ってくれて、僕から力の解放を始めたのである。

「お前に一つ忠告しておくが、あまり調子に乗らない方が良い。私は私の邪魔をする者に対しては容赦なく排除する」

僕の中にいた人の言葉を聞いて僕はその言葉に対して僕はあなたに力を貸して貰いたくて協力を要請していたのだと説明する。

すると僕の中にいた人は再び僕の中に入ってくる。

「私とクロは、今、貴方の心の中に存在しています。私が貴方に力を与えた時と同じようにね。でもこの世界の力は今のクロには扱えないから気をつけるんだよ。クロにはクロの役目があるからクロの身体には触れないように注意してあげなさいね。それと私の名前はアセナよ。まあ、その名前で呼ぶ人なんてほとんどいないけどね。だからこれからはシロと呼んでね。それじゃ頑張って。期待しているからね。あと、これは私からのプレゼントだよ。さっそく使わせてもらったけどなかなかに使い心地が良かったから。シロの力が少しでも扱えるようになるはずよ。使い方は、その力で自分の望む事を思い浮かべればその思い描く事を形にできるから」

シロと名乗る女性は、僕にクロに力の使い方を教えた後、僕の中から消えていった。そしてクロもシロの後を追って消えてしまったのである。そして僕はこの世界に来る前の事を思い出して、僕をこの世界に送り込んだ存在の事を考えるとそいつのせいで僕はここに来る事になった。その事を思うと腹が立ってきてしまったのだ。僕はこの世界を作り出した元凶を倒すためにクロと一緒にこの世界を作る事を決意する。そして僕達はその元凶を探し出して倒す事に決めたのである。

そして僕達はその世界を作る事を始めるのであった。僕とクロはお互いに協力してこの世界の創造を始めようとしたのだがクロは何故かクロの中にいる人と連絡を取る事しかできなくなっていた。そのせいで僕とクロは二人で協力して世界を作ることが困難になっていたのだった。

僕はこの城の地下にある祭壇の部屋に来て、クロの力を封じた石像の前に立つと、僕は石像に魔力を流すのであった。

「我の願いを受け入れてくれて感謝する。そのおかげで俺はまたクロと会話する事ができるようになったからな。それでまず聞きたい事があってだな。俺のこの世界にいる奴らが全員消えたりしてるみたいなんだ。その理由は知ってるか?」

「いえ。私もそんなことは初耳ですから知らないですよ。でも、それを行ったのは多分あの方かと思いますがどうでしょうか?あの方はクロさんと同じ様に他の世界で自分の存在を隠しているみたいでしたからね。でもこの世界ではその行為が無駄に終わったようですね。クロさんの作った空間はもう壊れかけているのですから」

クロと僕の目の前でクロとクロの中にいた人ではない誰かが話し合っていた。僕はクロに何を話していたのかを聞くと、この人はこの世界で起きていた現象を全て知っていると言うのだ。その人はクロの中に入ってクロと話をしていたというのだ。その人の話によると、クロがクロの空間を作ったらしい。そしてその事によって僕とこのクロが元の世界に戻った時の僕達の存在が消えてしまいそうなのでクロはこの世界に僕達がこの世界に戻ってきた時、僕達を守る事が可能な結界を張ったらしい。

クロは自分だけではこの世界を管理できずに困っていたのだが、この人なら出来るかもしれないという事だったのでクロとクロの中に入っている人が相談した結果クロとクロの中に入っていた人の中に入っていた人が協力してクロの空間の管理者になったらしい。だからその人達がクロの中からいなくなった今は、その人達が作り上げた空間をクロの中にあった人の中に入っていた人が修復してその人に頼まれてクロがその人の代わりに管理者になっているとのことだった。クロは管理者になって間もないが、既にこの国だけではなく他の国の人間も保護してその人達の生活を安定させているようだ。

クロの話を聞き終えた僕とクロの中にいる人物はこのクロの協力者の人に自分達の目的をクロの協力者に伝えると、その人は自分がその目的を達成させるのに協力すると約束してくれてクロに自分達をそのクロの作る異世界に移動させてくれるように頼むと、クロはあっさりとその人を自分の空間に招き入れたのだ。

クロがその人をクロの空間に連れてくると、僕とクロの目の前にいたはずのその人の姿が見えなくなって、僕とクロと僕の中にいた人物の三人だけの状態になったのである。その瞬間僕達のいたその部屋が崩壊し始める。しかし僕とクロの中にいた人物とクロは慌てる様子を見せなかった。その二人の落ち着きぶりに僕は少し驚いてしまったのだ。「二人共どうしてこんな状況なのに落ち着いているんですか?」

僕はこの状況を理解していないので僕の中にいる人物とクロに問いかけてみた。

「だって私達がいる場所はこことは別の異次元だから。それにここにはあの人が作ってくれたクロとシロの力を封印してある特別な祭壇があるのよ。私達に何かあってもこの祭壇があるから問題はないから」

僕とクロの中にいる人物がクロに尋ねるとクロがそんな事を教えてくれたのだ。僕とクロの中にいる人物がその言葉を信じると、僕は自分の手を見つめると僕の手が変化し始めていた。

僕は突然変化した僕の手に驚くが、僕のその手がだんだんと大きくなっていることに更に驚いたのである。

僕が大きくなったその手を見ていると、僕の身体の中にいる人物が僕の中で僕に声をかけてきた。僕は自分の身体の中で僕の事を呼び捨てで呼び始めたので僕の中には別の人格があるのだと理解したのである。

僕は自分の身体の中に入っているその声に、お前が何者か分からないが、僕を僕の中から呼び出さない方が身のためだぞと警告すると、僕の事を呼び出すなと言い返してきたのだ。

僕はそんなやり取りをしながら、クロの中にいる人と僕の事を話し合っていて、その話し合いが終わると、僕の中の人格が僕の身体に僕の意識が入った事を確認してから僕の事を連れてクロの空間から出たのである。

僕はクロが言っていた事を思い出す。確かこの部屋が崩壊すると言っていた気がするのだ。

「大丈夫ですかシロさん。今クロの作った結界が発動したので、ここは崩れませんから安心してください」

クロの中にいた人が、僕に話しかけてきて僕がクロの空間の外に出た後クロの空間の崩壊が始まった。

クロの部屋に崩壊が起きたのを見た僕は、慌ててクロに助けに行くと言ったら僕と一緒に行動していた二人は先に元の場所に戻ってくれと言って僕はその二人が消えるまでクロの事を見届けてからクロを助けに向かう事にした。僕とクロの中にいる人と、その人はクロの中に入りクロとクロの中の人と一緒にクロの部屋に戻ると、そこには崩壊した瓦礫だけが残されていた。

僕は、先程クロと話していた時に感じていた違和感の正体を突き止める事にした。それはこの世界の時間が止まると、この世界が停止するからだと僕は考えていた。だからクロのいる場所に時間を止める魔法を使って移動しようとしたのだが僕の中にいる人は、

「そんな事をしてクロは怒らないと思うか?そもそもクロはそんなに怒ってないんだろ?だったらいいんじゃないのかな?」

僕の事を心配してそう言ってくると、

「クロの中にいた奴。あんたが言ったんだから責任持てよ。クロの空間に入るから準備はいいな」

僕の中の人は僕の返事を待たずに僕の中に入ってくると僕と僕の中にいた人の姿もクロの部屋から出て行ったのであった。

僕がクロの空間に入るとクロの部屋が崩壊していくのが分かる。クロとクロの中の人も一緒に空間に入ってきているのを確認して僕とクロの中にある人が時間を凍結させた。そのおかげで僕達がクロの部屋を出た直後には僕がここに来てから起こった出来事が何も起こらなかったかの様な状態に変わっていて僕はほっとしたのだった。

僕は、クロが破壊したこの場所を元に戻して、クロの事をクロの中にいた人に任せてクロの空間を出ようとした。その時に僕の中にいる人が、クロの中にいた人の方に振り返って、「じゃあ俺達はそっちに戻るから、クロのこと任せたぜ。それとクロの事ありがとうな」

と礼を言うと、僕の中にいた人は僕が何かを聞こうとする前に消えていったのである。僕は何故クロの中にいて僕の中に現れたのか聞こうと思っていたがその事を聞いても仕方ないのでやめておく事にした。それよりもクロがこの城の姫だという事を聞いたクロは一体どういう反応を示すのだろうか?僕にそれを知る事は出来ないのだけど、これからクロに会う時は、クロの事を姫として扱う必要があるだろう。そして僕は僕の中にいる人とクロの空間から出ると僕は元の空間に戻ったのであった。そしてその時には既にクロの事をクロの体内にいる人に伝えていて僕は僕の中からいなくなっていたのだ。

僕は、この世界に戻ってきた事を告げるとクロとクロの体内の人から僕の事を見て僕の中に何者が入っているのかを聞かれたので答えることにしたのだ。

僕には二つの人格があってこの中にいるのはシロという人の方で、僕はシロと僕の中にいる人を区別できるようにするためにシロをクロと呼んでいるのでそう呼ばせて貰う。クロに説明するときに僕の中ではクロは妹扱いなのだと言うとクロが、私の事を妹の様に扱わなくていいです。それにシロちゃんにも私は姉として接しているつもりだからそう言うのは止めて欲しいと強く言われたのだ。その言い方はクロにとってはシロとクロは同一人物であり別の存在ではないという認識だと言う事を知った。僕としてはそんなクロの考えは受け入れたくはなかったのだけれも僕はクロが決めた考えを尊重した。

「なぁお前は本当にそれで良かったのか?」と僕が聞くと僕の事を受け入れてクロは、

「えっ?何を言っているんですか?私が望んだことなんですよ」

と当たり前の様に言い放つと僕はそれを信じていいのか悩んだのだ。だってクロにとってクロの中に入っている人の人格が僕の中にいることを受け入れる事がとても大変なことだったのだと思っている。そしてその大変だった事をやり終えたのだからクロは自分の願い通りになるはずなのではないかと思ってしまったのである。

それからクロはこの世界で起きている問題について詳しく説明を始めた。この国にいる勇者と聖女についてである。その話の中でこの国に勇者の剣があるという話になるとクロは、その事についても話してくれたのである。

その事によるとこの国には勇者がいるらしいのだがこの国は魔王を倒すために存在しているらしいのだがその肝心の魔族を討伐してくれるはずの勇者たちがいないのだと言う。その理由は簡単で勇者と行動を共にしていた女性がいたのだがその女性はある日突然行方をくらませてしまったらしい。その女性が失踪してしまった理由は不明でその女性を探し出す為に王国が調査をしたらしいがそれでも見つからなかったそうだ。そしてその女性の失踪から数ヶ月経ち、王国の兵士達はその捜索を諦めて他の国から優秀な兵士を集め出してこの国で最強と呼ばれるようになったそうだ。

クロから聞いた話を頭の中でまとめるとこんなところであろうか。しかし、そんな話はクロがクロの中から出て来る前までに聞いていたのでクロの話と食い違う所があり、それが何かあるんじゃないかと勘ぐってしまうのも事実だ。その事に関しては僕がクロの話を疑っているとクロにバレたようで僕にクロは、僕の事を見つめながら僕に対して何かを言いたそうな顔をしたのだった。

僕はクロがクロの体内の中に入っている人物から、クロが僕を騙して自分の身体を乗っ取ろうと企んでいるのかもしれない。なんて事を僕に伝えると僕の中でシロが、私達の目的はそんな事ではありませんよ。と言い放っていた。クロとクロの中に入っている人物に僕は騙されないからなと言っておくと、僕の事をじっと見つめていたクロがため息をつくと、

「分かりました。あなたはシロ様の使い手に選ばれた人なのですからその実力を示してください。その力があればあなたの言う事を聞く必要もないのかもしれないけどね」とクロが呟くと僕の中で僕に話しかけて来た人物がいる。

僕はクロと僕の中にいる人物が二人で話し合ってるみたいだなと思いつつその様子を眺めていたのだ。すると急にクロの中にいる人がクロに話しかけた。

『おぃ、俺もクロに頼みたい事があるんだけどいいかな?』とクロの事を様付けして呼び始めたのだ。そんな様子にクロは何だか嫌な顔をしながら、

「なんでしょうか?」

とその言葉使いも今までよりも丁寧なものになった。

『お前がここにやってきた時の態度を見た限りだとクロの中で眠っていなくても問題なさそうだし、そろそろ起きても良いと思うんだよ』と僕の中で眠っている僕に向かって僕の中で眠っているもう一人の僕がクロの事をクロと呼ぶ事に抵抗を感じ始めていると、僕の中にいる僕に僕もクロに様を付けるのが普通なのではないかと考えるとクロのことを呼び捨てで呼ぶのは少し抵抗があったのだ。僕はクロに僕の中の人格はどうなっているんだ? 僕の中には僕の事を見捨ててクロの中へと旅立っていった奴しかいないから僕の人格と入れ替わるのなら僕は僕の中にいる人格に用はないんだよね。と僕に問いかけてきた。

「あっ!ごめんなさい。まだクロの中にいたんですか?」

クロは僕にそんな風に尋ねてくる。クロが僕達の事を忘れてしまっているのはしょうがない。僕は、この世界に来てからは、ずっと僕に話しかけて来なかったのだから、クロの体内にいる人もクロに僕に会ったらよろしく言っておいてくれと言っていたはずだが、クロの事をクロと呼ぼうとする度に、僕は僕の中から文句を言われるのであった。クロは僕の言葉遣いに違和感を感じていたようだったので僕は口調を変えてみるとクロの事をクロと呼び捨てにしてみたところクロはとても嬉しそうな表情をする。僕の中にいた人に言われてクロの事を呼ぶのがすごく恥ずかしかったのがクロは僕の名前を知ってくれていたのでそんな僕の心の負担がかなり減ったのである。クロは僕がクロと呼ばなくなった事に不満を言っていたが僕の事を兄のように慕うクロにそれはできないと伝えて僕はクロの事をクロと呼び続けようとした。しかし僕の中にいる人はすぐに呼び方を変えてくれないのならば僕から僕の中から出て行くよと言ってくるのである。僕はそれについては絶対に許さないと言って僕の中に入って来た事を許してやったのだった。

僕の中の人はクロの事が大好きなようだ。そしてクロに僕の中にいる人の事を伝えておくことにした。僕の中の人が出てきた時もクロは驚いていたが僕の中にいる人の人格が違うと知った時に、クロに謝っていた。クロに僕に会えばクロの中の人は僕の事を僕ではなくクロの中の人が僕の事を扱うだろうと言われていたが、僕の中にいた人は、そんな事気にしていないからいいと言うと僕の体を借りる事を快く受け入れてくれたのだ。僕は僕の体の感覚がなくなっていくことに気がついたのだ。僕と僕の体は今一つになり僕の体の中にいる人格と会話ができるようになる。僕に話しかけて来た人物は僕の事をシロと呼んでいたのだ。

「久しぶりですね。シロ様」

僕は久しぶりに聞く声を聞いて涙が流れそうになっているのを我慢して僕の中で眠っていてくれた人に向かって、「クロの体内にいる人じゃなくって、クロの体内から出て来たクロの方にシロって言う名前の僕の中にある人がいるのはわかっていますがそちらで僕の名前を使っても大丈夫ですか?」と僕は確認をとる事にした。僕の体内に入っていた人の方では特に異論はないようですぐに僕の中にいてくれるとクロは、この人がシロさんなのね?私を助けて貰おうと思った時にシロさんの人格が消えたせいでこの人が消えちゃったのかとクロが思っていたようなので僕が、僕に何かをやらせようとしていたのかと僕がクロに聞くと、クロの体内の中に入っていた人と話し合うとクロの中にいた人の意思とは関係ない事で僕の体内に入ろうとしていた事がわかった。

「ねぇシロ。君と話せるのはこの時間だけだと思うからシロに伝えておかないといけない事が沢山あるんだ」と僕の体内にいる人格は、この城にいる人達についてクロに伝えた方がいいと助言をしてくれたのである。僕はこの国に来たばかりの頃に聞いたこの国の事を思い出そうとした。確か勇者召喚を行った国がこの国であったはずだ。僕は、この城の人達は全員で何人いるんだ?という事を聞いた。すると僕の体内にいるシロは、

「私の口から言える事は、私の口から伝えた方が良いでしょうね。私の方から説明しておきます」と教えてくれた。

それからクロとシロは話をしていて、この国にいた聖女が突然行方不明になったという話と聖剣がある場所についての話をし始めた。聖剣というのはその聖剣を持っている人を所有者として認めるという能力がついており、その所有者以外がその聖剣を持つ事が出来ない仕組みになっていると言う話を聞いていた。そして、その聖剣を所持できるのはその聖剣の所有者だけだというのだ。そして、この世界に魔王が復活したからこの国にある聖剣を手にして魔王を倒してくれという依頼が来たらしい。そしてその聖剣を勇者に渡す前にその聖剣を奪い取ろうとする人間が現れる可能性が出てくるため聖剣が何処に隠されたのかを知っている人物から聞き出してその聖剣を勇者に渡さなければならないという事だった。その聖剣はこの国を囲っている壁の中心に存在する王都の中に存在する神殿に隠されていると聞いて僕はその場所に案内してくれるようにクロに頼むと、この国にクロを呼び出してから、この国にいる魔王の配下の者がクロを狙って襲撃をしてくると言う事なのでしばらく待ってから、この場所を出ていくといいよ。と言われた。そしてクロを襲ってきた相手は僕がクロを守り通せば、僕は魔王を倒す力を手に入れる事ができるかもしれないよと言ってきた。それからクロに僕の力の事を尋ねるとその力を使えば簡単に魔王を倒すことができるはずなのだと説明をしてきた。

その話を聞いた後に、この世界の魔族達は魔王の復活に備えて準備を進めていたらしい。そして復活をさせた後で魔族達は魔族領と呼ばれる魔族達が暮らす土地と、その他の種族達がいる大陸を分断させるために、大きな門を作ったのだがそれを作った理由が魔王が復活すると同時に門の開閉ができなくなる仕掛けをその魔族達が住む土地の魔族の領域にしか作れないためらしい。その巨大な門が完成をした時に合わせて、その門の向こう側にいた他の種族達にはその巨大な門の扉が開くまではその門から先に行くことはできない。つまりは門が完成するまでの短い期間の間、魔族達と他の種族達は戦うことなく休戦状態になる。そのタイミングで他の大陸から来た人間が他の大陸と他の大陸をつなぐ橋の役割を果たす道を作り他の人種も行き来できるようにして他の場所に拠点となる都市を建設して、その都市が発展して行くことでその街を中心にして、他の町へと発展していき他の町で生活をしている人々が他の町の事を羨ましくなり他の町から他の町に移り住む者達が出てき始めてその行動によって、この国は栄えていきこの王国には他の国からの移住者が多く集まってくるようになりその事がきっかけでこの国の王国内での発言権が高まっていったらしい。

僕が、なぜ僕にこんなにも親切に接してくれているクロの事を信用しているのかというとそのクロが僕に、クロがどうしてクロと呼ばれているか知っているかい?クロナとミケはね。クロの体内にいた人のことを師匠と呼んで、クロとクロナはクロがクロと呼ばれるようになった由来を知っていてクロとシロが二人を拾ってきて育てたんだよね。とシロが言っていたからだ。僕はそれを聞いた時にもしかして、あの二人の女の子もシロと同じ存在なのではないかと考えていた。クロはクロと呼ばれていたのは僕がクロと呼んでいるからクロはクロになったのではなくてシロとクロに関係があったのではないかと思っていたのだ。しかし僕はクロとクロがシロの事を師匠と読んでいたことに少しだけ違和感を感じてしまっていた。僕の考えだと僕の中で眠ってくれたシロのことをクロとシロは呼んでいるのではないかと思っている。

僕の中にあった人はクロの体をクロと呼んでいたし、僕の体を使っていた時はクロとクロのことを呼び捨てで呼んでいたからシロって名前でクロのことを呼ぶなんておかしい気がしてしまうのは僕だけの感覚なんだろうか? シロとクロとクロナとクロがどんな関係があるのかはわからないがクロはシロとシロがクロと呼んでいた人について色々と教えてくれた。そしてシロが僕の体内に入った理由はこの世界でシロは僕の事をクロだと勘違いしていたらしくて僕とクロに繋がりがない事をシロが知ってしまうのは不味いと思ったみたいだがクロの体内にいる僕にシロがクロの事をクロと呼び続けている事がバレて、クロに僕がシロにクロと呼ばれてクロとクロの二人が反応した時に違和感を感じた。と伝える。シロは僕の中にいるシロに、シロの中で眠り続けるシロに僕の体の中で眠っているシロの事を伝えるべきなのかと尋ねたら僕の中にいるシロが答えてくれたのだ。

「私を目覚めさせようなんて事を考えているなら止めた方がいいですよ。私の力は私が思っている以上に強すぎるので、私を無理やりに起こすということはその行為自体を消さなければいけないですし私はあなたに危害を加えようとしている訳ではありませんから」と僕の体内に入っている人はシロに言っていた。僕はそんなシロに「僕が今度こそクロにシロとクロナとクロの名前をシロって呼んだのは僕がクロとシロにシロとクロの四人が一緒にいた時の名前がクロじゃなくてシロだって教えてもらったからだよと教えてあげるよ」と言うとシロは、「ありがとうございます。これで安心して眠れますよ」と言って僕の体内に眠ることをやめてしまったのである。

僕はクロの体の調子が悪くなってから一週間以上が経過していたので僕はクロの体を心配してずっとクロと行動を共にしていてクロに回復魔法をかけ続けたのである。僕とクロとクロアは、これから僕達の目的のために遺跡の方へ向かう事になったので、僕達はこの城で別れることになった。クロとは僕がクロの事を好きになりそうだったから僕は、自分の心を抑えつけてまでクロと離れることにしたのだ。そしてこの城を後にする時にクロは僕に向かって手を振る。クロは笑顔で僕の事を見送っていて、僕はクロの事が好きなのだからこのままクロとずっと共に過ごしていたいと思えてしまってしまいクロの傍を離れたくないと思ってしまった。だけど、この世界に存在する全ての人間達の為に僕が出来る限りの事はしてあげたいと思ったので僕はそのクロの思いを振り切って遺跡へと向かう事にしたのだ。

クロと別れた後に、クロが体調が良くなったと言っていた。クロに「クロ。クロって体が弱かったんだね。僕がいなかったら大変だったよ。もう無茶したらダメなんだから」と言うとクロは僕に対して申し訳なさそうな顔をしていた。そして、クロは「シロさんは、私の体の状態をクロに伝えてくれていたんだよね。ごめんね。私のせいで迷惑をかけて」と言うと、クロは、僕の顔を見て謝るのであった。僕はその言葉を聞いてクロの頭を撫でた。するとクロは、嬉しそうな表情をしていたのである。

僕たちはゼクト様とシロさんに案内されて、まず最初に聖剣のある場所に向かうことにしていた。そしてその道中でクロカとクロが僕の前に出て、この先から聖剣の反応が感じられるという。そして、その場所にたどり着いた時にはすでにクロカとクロの姿がなくなっていたのである。僕が困惑しながら辺りを見渡しても、クロの姿もクロカの姿もなかった。そこでシロにクロが消えた事を告げられてクロに問いかけると「私の事よりも今はこの場所で起こっている異変を解決するために動きましょう」と言ってくれた。僕はシロと一緒に聖剣を回収すべく行動を開始しようとしたがその聖剣は勇者が触れることで勇者の資格を持つものにしか扱えない仕組みになっているため勇者でなければ触れないようになっている。そのため勇者にしか触れられないと言う仕組みになっていたのだが勇者が勇者として認められるために勇者しか扱うことができないと言われている。しかし、僕がその手に取ることができたのだ。

そしてその剣を見た瞬間に僕は、この剣は僕のものだと感じた。僕は聖剣を手にしてそのまま剣を構えたのだ。するとその剣からは光が発生していきその剣を僕が握りしめながらその剣を振ろうとするがその剣を誰かに奪われてしまう。そして剣を持っていた男ともう一人の男が僕の方を向いて話しかけてくる。僕は二人に向けて質問をする。

「お前達が持っている剣は何だ?何で僕から聖剣を奪おうとした?」

その二人は、僕を騙すための存在なのかそれとも、僕が本当に騙されてしまっているだけなのかわからなかったが、僕にはその人達に悪意を感じる事ができなかったのである。それからその二人の男は、勇者を名乗る資格がない。と言ってきたのである。その言葉を言われた後僕はその二人が勇者と名乗る存在なのだろうと思いながらもその男にどうしてこの剣に触れられるか?僕にどうして欲しいのかを聞いた。するとその二人の勇者を名乗る人間は、勇者を殺せと言ってきた。僕はこの二人を信用することができず、この二人をこの場で始末しようと思いその二人組の男の勇者を偽って僕の命を狙ってきた者達を殺して、この場から離れる事にした。

そして、この場から離れようとする時に僕はシロに頼みたい事があると言うとそのシロに頼み事をすることにしたのである。僕はクロにこの国の人たちが住んでいる国を守るために戦ってくれと頼まれたことと、僕もシロ達もみんなを守りたいとクロに話す。そしてシロが、僕の話を聞き終わるとクロに僕達がやろうとしている事をクロとクロナとクロにも協力してほしいとお願いをしてからシロが了承してくれたので、シロとクロと僕とゼクトとクロでこれから魔族の大陸に向かおうと思っていると話した。僕がシロと話している間に、シロ達は話し合いをしていたみたいだが僕はその内容を知ることはできなかった。ただ一つわかったことは僕が今持っているこの国の人達が暮らしている国の事をこの国の人達は僕に託してくれたということだけだった。

そして僕がその事を知った後はクロとシロに頼んでクロとクロナもこの国に残ってもらうことにしたのである。僕だけが、魔王の封印されている所に行き魔王を倒してくるからと言い残したのだ。クロには何かあった時の保険になってもらいたかったからだ。そしてクロにはこの城で留守番をしてもらう事にして、シロにはこの国の事を頼むと言って僕は一人でその場を離れて魔族が住んでいると言われる大陸に向かう事にした。そして僕達は僕の体の中に眠っているクロが目を覚ましてクロナとクロとシロとミケとシロを連れて、魔王のいる場所にむかう事にしたのであった。

ただいま、シロが僕の事を見ているけど無視してます。なぜならシロは僕の中から出るつもりがないので、このままの状態でいようと思う。僕の中にはシロがいるがシロの気配は完全に感じられないようにしているのだ。シロはシロのことを僕に教えてくれたから僕はシロの事を受け入れて僕が、シロとクロのことを呼ぶとクロとクロは返事をして来てくれるようになった。だから僕とシロとミケは三人でこれから魔王のところに行って来るのだ。

シロはクロとクロのことについて僕に色々と教えてくれたのである。シロは僕の体の中でシロとして眠っていてクロがシロとクロとシロの人格について説明してくれたのである。

クロはシロと同じ名前でクロは僕の体内に入っているのはクロではなくシロであり、シロの中に眠っているもう一人は、この世界に存在している神の一人である。と僕は聞いて驚いた。そんなシロは僕の体内に宿っているクロの体を乗っ取ってこの世界の事を見守る事を選んだのでクロの中にシロが入ってきてクロに自分の事を伝えた。その話を聞いた後にクロとクロアの体を借りた状態で僕の体内にいたクロにシロは「私は、クロの体を借りて、クロの中に入ってる私の事を知っていますがあなたに私の名前を教えておくので覚えておいて下さいね。私はクロです。私の事を知っている人は少ないので、あなたにだけ本当の名前を名乗ろうと思います」と言ってクロがクロの名前を呼ぼうとした時にシロの体が光り出したのでクロがシロの名前を呼べばシロの魂を目覚めさせることができるらしいのだ。だから僕はその言葉を聞いてすぐにでもシロの名前を呼ばなければならないと思っていた。だけどその前にシロが僕に向かって言ってきたのだ。僕は、これから戦うであろう相手の中にシロを目覚めさせられるかもしれないのにシロの名前をクロから伝えてもらうわけにはいかない。と言って僕はシロの事を起こそうとはしなかったのである。

僕は、魔王が封じられていると言われている塔の最上階に辿りついた。僕がその塔の内部に入ろうとした時僕の体内に入っていたシロが僕のことを止めて、僕が塔に入る前に一度外に出るように言ってくれた。僕はシロの言葉に従い外で待つことにしたのである。しばらくすると、僕達のもとにクロとクロとクロが戻ってきた。そしてクロは僕の体内に入りクロアの意識と入れ替わった。

クロアと入れ替わる前のクロがクロアにこう言ったのであった。「私がこの世界に来てから長い月日が流れています。その時間はとても辛いものでもありましたが、そのおかげで私とシロはこうして二人で生きてきています。私達にとってこの世界はかけがえのない世界なのです。どうかこの世界を救ってください」と言ったのである。僕はその言葉を聞いた後に僕はクロに向かって「必ず世界を守ってみせるよ」と言ってクロの事を信じることにして、僕はシロに向かって「僕とシロとクロがこの世界にやって来てから、どのくらい時間が経過したんだ?」と聞く。

シロは僕に「この国に来た時にはすでに魔族達が暴れ回っていてこの国が襲われていました。しかし、クロは私と一緒に逃げ回っているときに魔物によって命を落としてしまったのですよ。そして私達は、魔王のいる塔に向かったのです。その道のりで私とクロとミケラルドさんは出会ったのですね」と言う。

僕はシロの話を聞かされてクロの体に宿っているシロは、この世界で僕と一緒に過ごしてきたのだと知るのである。そしてクロは僕がこの国を救いたい理由がわからないらしく僕はその話をしてみたのだ。そしてクロが「この国は私達の大切な場所でもありますが、その国の王様や王子達がとても悪い事をしていると言うのを、その国に住んでいる住人達が噂していると言う情報をクロナとクロが手に入れたのですよ。だからクロナとクロはこの国の人達の為にこの国を救いたいとクロに告げたんですよ。するとクロはその言葉に納得をしたのでこの国の人達のためにクロナ達も頑張ることを決めたみたいなんです。それから、私達とクロナとクロとクロアで、魔族の王を倒すためにこの国の王様に会うことにしました。クロナとクロはクロと一緒にこの城に戻ってもらうことになり、そして僕とミケラルドさんがこの国に蔓延る魔族とこの国を救ってくれると言われている勇者に会いに行くことになったのですよ。クロとミケラルドさんは、魔王を倒しに行ったという事になっているのですね」とクロが話していたのだ。僕はクロがこの国の人たちを助けようとしてくれた事を感謝しながら僕はクロの言うとおりにしたのだ。そして僕は魔王の塔の入口までやって来たのだ。

クロがクロカに魔王と会ってからどのように動くかをクロとクロナに伝えてクロ達は僕とクロに「気をつけて行ってくるのじゃぞ」と言ってくれてからクロは僕の中に、クロナはシロの中にそれぞれ戻っていき二人は眠りについてくれたのである。そして僕はクロの本体のクロから渡された装備を装備していき、クロカとクロナから貰った武器をそれぞれ持った。その準備が終わった僕は魔王がいる場所へと進んで行ったのだ。

魔王城と呼ばれる建物にたどり着いた僕を待ち受けていたのは魔王と名乗る存在だった。魔王を名乗る存在には僕と同じくらいの子供で黒髪の少女だった。僕は魔王がどんな攻撃をしてくるか予想できないと思いすぐに僕は魔法を唱えようとしたが、僕が攻撃しようとした瞬間に目の前から消えてしまい僕の後ろで笑いながら話しかけてきたのである。僕はその少女を魔王だと思うと、僕はその魔王に対して質問をすることにした。すると、僕がこの国の事を聞きたいと伝えると少女が、僕に向かって魔王と名乗っていいか聞いてきた。そして僕は魔王と名乗る事を許して、この世界のことをいろいろと聞いてみると、この世界に魔王と呼ばれる種族が五体存在している。魔王達は魔王と呼ばれていると教えてくれて僕にも、魔王の称号を持っていることを僕に教えてくれたのだ。そして、僕はその事を信じることができなかった。

その話を聞き終わった僕は、その魔王が僕のことを騙していないと判断をすることができなかったので、僕は魔王のステータスを鑑定をしてから僕が魔王を倒せるかどうかを確認しようと考えた。そして僕は魔王のことを信用することができずに、僕のスキルで相手の強さを知る事ができるので、その方法で確認しようと思い僕は魔王に自分の強さを見せてあげるからステータスを見せてほしいと言ってみたのである。

そして魔王は素直にステータスを見せたのである。僕はそれを確認すると、僕の思った通りレベルが僕より低いことがわかって少し安心したのだが、魔王のステータスを見た僕の体は震え始めたのである。僕はなぜ体が反応したのかがわからなかったけど、その事に驚いて僕は自分の事を落ち着かせることに精一杯になった。僕は自分が今、どれだけ恐怖に駆られてしまっているかもわからない状態になってしまった。

そして僕が冷静になろうとすると、魔王が僕に向かって話し掛けてきた。「私はお前の事を知っているぞ、私の名前は魔王だ。この世界は私が支配する世界となるのは当然のことなのだがな、お前の事は調べさせてもらったのだ、お前があの有名な英雄の子孫であり私の大好きな幼馴染みのクロエに好意を寄せている事をな。それにクロナが私の妹であることも知っている。だがそんな事関係ないんだよ!私はクロが大好きでクロだけが欲しい。だから私は魔王となり世界を支配すると決めた。だが私は、私の事を慕っている者たちに危害を加えようなんてことは思っていないし、クロさえ手に入れば他の人間などいらないのだから」と僕がクロの事しか見えていないことを指摘された。

確かにそのとおりで僕はクロの事だけを見て生きて来たのだから何も反論する余地はなかったのだ。ただ僕はクロとクロアが好きだから二人の為になるのなら僕は何にでも立ち向かっていこうと思っているのだ。そうして僕はクロとクロの事が本当に好きである事を伝えたのである。

僕はこの魔王がどうして僕の前に現れたのかが理解できなくて僕にはどうすれば良いのかが全くわからなかった。僕はクロのことを守る為に強くなりたいと考えていたので僕は魔王が持っている全ての力を教えてもらって、魔王と一戦を交えた後に僕はこの世界をクロの為にあるべき世界に戻すことにしたのである。

そして、僕がこれから戦う相手が魔王であることを教えられた僕はこの世界に僕が来た時にあった魔族達がこの国を襲った理由がわかった。そして、その事とこの世界に蔓延っている魔物達についても全てを教えて貰ったのであった。その説明を聞いている途中に僕は、その話が嘘ではないと確信した。

まず僕は、魔王がこの世界に存在すると言われている魔物達の存在と、この世界の人達に起こっている現象の原因と、魔族の王が関係しているという事を知ったのである。そして僕は、その事を信じた上でクロとクロナが元の世界に帰れないでいると知ったので、僕とクロとクロがこの世界に残ってもいいか魔王に聞くことにし、その事を聞くと魔王は僕と魔王の事を仲間だと思い込んでいたみたいだったので、その事を僕に伝えるのである。僕は、クロと一緒にクロが帰ってしまったらクロとクロの体を乗っ取っている魔王を倒せないので僕はその提案を飲んだのである。

僕が魔王の提案を受け入れようとした時に魔王は「やっぱりダメだったよ」と僕が考えていた通りの事を言ったのである。しかし僕は、その言葉を聞かずに魔王に攻撃を仕掛けた。そして、僕はこの魔王が本物だということを理解したので本気で魔王を殺すことに決めたのだ。僕は本気になって攻撃を始めようとした時に魔王は笑った後に僕の前から姿を消したのである。

しかし、僕は全く慌てることはなかった。僕はクロが使っていた剣を使いこなしていてその技を使って魔王に攻撃を始めたのである。僕が放ったその攻撃で魔王を追い詰める事に成功した。その隙に僕は魔法を唱えたのである。

僕が使った魔法は闇属性の魔法である。僕はその魔法でこの世界に溢れ返っている魔物達を一網打尽にしてこの世界にいる魔物を全て消滅させる魔法を僕とクロと魔王に向けて使用したのである。そしてその攻撃が終わった後に僕は魔王が生きているのかどうかを確認してみると、魔王が死んでしまったと思ったが僕の攻撃で魔王を倒す事ができたようだが僕がこの世界に存在しているはずのない闇属性の攻撃をしたことに対して魔王は激怒してしまい僕に対して戦いを挑んで来たのだ。

僕と魔王の戦いが始まった瞬間に僕達の体は消えてしまったのだ。僕は一体何が起こったのかわからなかったのであるが魔王が僕と同じことを行ったのだと感じた。その証拠に僕は目の前に魔王がいるのに、魔王がどこに行ったのかという疑問が頭に浮かんだので僕は魔王の気配を感じることができないように感じられないようにしてから僕は魔王を探すための行動に移ったのである。しかし、その行動を取る前に魔王が動き出してきて僕の事を殴ろうとしたのだ。

僕はその行動をギリギリ避けることができて反撃をしようとしたが魔王の姿を見て、僕の考えは間違っていたことがわかったのである。魔王の姿がなぜか子供になっていたので僕は攻撃を止めることにし、僕に攻撃を仕掛けてきているのは本物の魔王である事を認めてから魔王に話し掛けた。魔王は何か焦っていたような表情をしていたのだがすぐに余裕そうな顔に戻り僕はある事を思い出したのである。僕はこの世界で勇者が魔王を倒すと言っていた事を思い出してから魔王の力を試してみることにした。

僕は勇者から教わった勇者の力を使う為に僕は自分の中の魔力を最大限に高めていくことにした。勇者が僕の中で語り掛けてくるのと同時に勇者の持つ能力の一つでもある神の声というものを聞いたのだ。僕はその時にその能力を使うことを思いつき魔王と戦うことになった。魔王との戦いの最中では僕達は消えていたのだ。そして戦いを終えた後は魔王が僕に話したいことがあると言うので僕は魔王の言葉を待つ事にした。魔王は僕の事を気に入っていたようだったのだが、僕に殺されかけたことが許せなく僕の事を殺してやると言いながら襲いかかってきたのだ。

その魔王の動きを見た僕の体は何故か動けなくなってしまい僕は魔王の攻撃を受けたのだ。僕はその時、僕の身に何が起きているのかわからなかったのだ。そして魔王は、僕に近づき僕の頭を触って僕のステータスを確認していた。僕がステータスを見れる事に驚いてから僕のステータスを見て、僕のレベルとステータスが上がっている事に魔王は喜び、僕と魔王のレベルが一緒な事を知り僕は、魔王をこのまま放っておくわけには行かないと考え僕が使える中で最強の攻撃魔法を魔王に使う事にしたのだ。僕は全力を込めながらその魔法を使ったのだ。

そして僕が魔王にその攻撃を放つと、僕はこの世界に来る前までに戻っていたのだ。僕はこの魔王を絶対に倒しに行くことを心の中で誓いクロとクロアにこの事を知らせようと僕は考えた。

クロとクロの体を乗っ取った魔王との戦闘が終わった直後僕と魔王が同時に消えた。その事から僕と魔王が一緒に消えているということは僕は魔王に殺されるのかと心配になった。そして、僕は自分がどこにいるのだろうかと思い、まずはこの城から出た方が良いと判断し、僕は魔王に自分の居場所を教えるのが危険だと考え城から抜け出す方法を考え始めていた。そして僕とクロの体が元の世界に戻った事を確認した後にクロに魔王に連れ去られたことを知られては大変なことになると思い僕は急いでクロのところに向かう事を決意した。

僕はクロの元へ向かうとそこには、魔王と名乗る少女と魔王に忠誠を誓う者達がいたので僕はどうしようかと考えると、クロの目の前にゼラが現れた。僕はクロとクロナと別れるとクロナが僕に話しかけてきた。僕はその言葉に耳を傾けることにしたのである。そして、魔王が言うには僕は魔王が作り出した異空間に連れ込まれているらしくその事を僕はクロに伝えようとしたが、その行為はすぐにやめさせられたのである。僕はクロとクロの体を操る魔王を倒してクロとクロナを助け出す為に来たという事をクロに伝えたのだ。

僕と魔王が戦おうとした時に僕と魔王は共に姿を消したのだ。僕は魔王が自分の事を殺しに来てくれたのかと考えていたが、クロが魔王を僕の方へ向かわせてくれたのだ。その事を聞いた僕はクロとクロのことを見つめてからクロの事を抱きしめてあげてありがとうとお礼を言い魔王と戦い始めた。僕はその時に、僕に近づいてくる者の存在を感じとることができた。

そして、その者の方を見るとそこに居たのは魔王の配下の者であった。

「私の名前はイクスと申します。あなた様のお名前を教えて頂けませんでしょうか?」

僕はその声を聞いてその人物が誰かわかったので、僕はその者が僕の事を殺そうとするのをやめさせようと思っていた。僕はこの世界に来てしまった時からずっと、魔王の配下の者と会って話をしたいと思っていた。その事を思い出してから僕はその者に名乗ることに決めた。僕はその人物に僕の名前を答えたのだ。

その人物とは、クロが以前話してくれた魔族の王の側近である。僕はその人物が魔族の王に仕える部下の中でも上位にあたる人物である事を理解してからその者をこの世界に存在する魔王の配下達と戦わせようとしていた。

「私の主人はあなたがたがここに居る魔王を倒せるほどの力を持っていると聞きました。ですが、この場には魔王だけではなくこの国を襲っている魔族の兵達も存在しています。私は魔王を守る為にここに残る必要があるのですが、それでも魔王に挑もうとする気持ちがあるならば私があなた方の手助けをさせていただきたいと思います。もし、魔王と他の敵を倒した後にこの世界を救う気があるのでしたら、魔王の配下の者たちを倒してください」

僕はこの魔族に僕達を信用してくれと伝えたのである。そして、僕と魔王の実力差を見せつけた後に僕はこの国に残っている魔物達も一掃してみせると宣言した。その事を聞いたイクスさんはその言葉が真実かどうか確かめるようにとクロの方に向かって歩いていったのである。そして、僕は魔王と戦う準備をするべくその場から離れる事にした。クロに魔王と戦おうとしている僕の邪魔にならないようにしてほしいという事を伝えたのである。僕がその場所を離れようとしている時に魔王は、この僕に対して怒りをぶつけてきて僕の事が許せないと言い出してきたのだ。そして、僕の攻撃によりクロは気絶してしまっている状態だったのである。僕はこの隙を見逃さずに、僕とクロとクロの体に憑依している魔王を倒すことにした。魔王が僕を殴ろうとしたのを僕は簡単に避けてから僕は、魔王に攻撃を仕掛けたのだ。その攻撃を避けられずに受けた魔王は地面に膝をついていた。その光景を僕は見てこのチャンスを逃すわけにはいかないと感じ取り魔王をこの国から追い出そうとした。しかし、その作戦を魔王が読んでいたので、魔王は僕の攻撃を全て受け切ったのだ。

その事に気づいた僕は自分の力を使い僕の魔力を魔王と同等にしてみる事にした。その僕の行動を見ていた魔王は僕の力を計り切れていなかったのである。その隙に僕は魔法を使い攻撃した。魔王は僕が使った魔法を無効化しようとして使った魔法は、僕の予想通り魔王が無効にする事はできない。そして魔王に僕と同等の攻撃を当てることができたのである。そして僕はクロの意識を取り戻す為に僕は自分の魔法を何度も使うと魔王にダメージを与えていると、僕に攻撃しようとしてくる存在を感じた。

その事に僕は全く反応することができなかったが、魔王はその存在に気づいていたが攻撃を止めなかったのだ。そして僕は何者かの攻撃を受ける前に、その攻撃を受けたのだ。その事を受けた事で魔王に隙が生まれ魔王は僕に攻撃をしようとしたがそれをさせないようにクロが攻撃を仕掛けたのである。

僕は自分の身に何が起こったのか確認するとクロは、僕に抱きつくようにして庇ってくれたようだ。クロに感謝をしながら僕はクロに自分の身を大事にするように指示を出したのである。僕は、魔王に今の状況をどうやって説明すればいいのか考えながらも魔王に自分の力で僕と同じ事ができると証明した事を伝えた。そして僕は魔王を倒すための戦いを続けることにした。

僕は魔王との話し合いで魔王が自分よりも僕の方が強い事を納得するまでは戦い続けないといけないと思ったのである。そして僕は戦いを続けようとした瞬間に僕の体を光輝く物で守られたのであった。

そして、僕は何が起きているのかわからずにいた。そんな僕に魔王は笑みを浮かべながら僕に話しかけてきたのである。僕がその状況を理解する前に僕の体を光が覆ったのだ。その現象を見た魔王は自分の体でその攻撃を防ぎ、僕の攻撃で受けた傷を回復し続けていた。魔王は僕に回復魔法をかけ続けたので僕は魔王から離れて魔王が回復する時間を稼ぐ為にも魔王と距離を取ることにした。そして僕はこの魔法を発動させているのがクロだと思いすぐにクロに話しかけようとしたがクロは魔王に操られている状態であったのだ。

魔王の眷属はクロに憑依していなければ、ただの子供に過ぎないはずだったのだが魔王の魔力に引き寄せられるかのように魔王の味方をしていたのだ。その事を考えたら、その事にいち早く気づくことができなかった自分に僕は腹を立てていたのだった。それから、クロは僕の話を聞き僕の元へ向かってきた。クロが僕の所に来るとクロの周りに光の玉が出現してその事によって、クロに何かしらの危害が加えられない事を確認して安心することができた。その事にクロ自身も驚きながら、僕の話に相槌を打ちながら僕の事を信じてくれたのである。そして、クロが魔王と会話を始めたのを見て僕はその魔王がクロの事を攻撃しようとするかもしれないと思い警戒しながら様子を見ることにした。クロに攻撃する気ならば、僕も容赦しないと考えながらクロと魔王の事を見ているとクロは僕が思っているような行動を取らず、僕の話を魔王に伝える事だけに集中してくれたのである。そしてクロは僕と一緒に魔王と戦い始めた。僕が魔王の魔法攻撃に翻弄されそうになっていたので僕はクロに防御魔法をかけてもらうと僕は魔王と互角の魔法戦を展開していた。だが、やはりレベルが上の僕とでは、まだ差が出てしまうようであり魔王との距離感を保つことがやっとの状態だったのだ。僕とクロはお互いに協力をして、なんとかこの状況を維持することに精一杯の状況だった。

そして僕はクロと魔王との戦いの最中に僕はクロの事を気遣いながら戦うのが大変だと感じ始めていた。クロが倒れればこの世界での戦力は大幅にダウンしてしまい僕も苦戦してしまうと考えたからだ。その為僕はクロに少し休んでほしいと言う事を頼んだのである。その時、なぜかクロと魔王の動きが止まり魔王が自分の手を抑えているのが見えたのだ。僕は、魔王の手の状態を確認すると血だらけで魔王は手が使えないほど怪我を負っていることがわかったのである。それを確認した後に、僕とクロは再び戦闘を開始した。僕はクロのサポートを受けながら魔王に魔法を使っていくと魔王はだんだん動きが鈍くなり、クロの攻撃を防ぐことしかできなくなっていた。

僕はクロに合図を出すとクロと二人で魔王を攻撃するとクロと僕の攻撃で、魔王が膝をつくまでに追い詰められる事に成功したのである。

僕とクロのコンビネーションにより魔王を追い込んだ。そして魔王は、自分の命を犠牲にする覚悟を決め、自分の体を回復させると自爆攻撃を行おうとしたのである。その魔王の行動を予測できなかったのかクロが僕と魔王の間に入って来たのだ。

僕はクロが爆発に巻き込まれないようにするために僕はクロをかばおうとした。

しかし、クロは魔王をかばい僕は爆発に巻き込まれることはなかった。

その代わりに、僕とクロは魔王と離れる結果となってしまったのだ。僕はクロに、この世界に戻ってきたら魔王が僕の事を殺そうとしていた事実を話すと、クロの表情が変わったのだ。どうやらクロも僕と同じくゼクさんから話を聞いたみたいだ。そして、その話を聞いて僕はこの世界に生きるすべての生き物のために魔王を倒しに行くことを改めて決めた。その事を僕はクロに伝えてからゼムさんにお願いをしに行ったのである。

僕はゼムさんが居る部屋に案内されゼムさんと二人っきりになった。僕は緊張しながらゼムさんの事を見ると、とても穏やかな顔をしていて安心できた。

そして僕は魔王をこの世界に存在するすべての魔物をこの世界の支配者にし、この世界の管理者が居なくなったことで暴走する魔族をこの世界の住人たちが止められなくなる前に止めなければならないと伝えたのである。その事に対して僕はこの世界に魔王が存在する事が許される世界じゃない事を説明したのだ。その僕の言葉を聞いたゼムは理解できないと言った感じの顔つきをしていたが、僕は自分の言葉に自信を持って魔王を説得することを決意した。そして僕と魔王の実力は僕とクロの方が上だと説明すると魔王が持っている能力の事も伝え、僕がこの世界に来た目的を詳しく伝えた。その話を聞き終えるとゼムさんはこの僕を信頼してくれたようで、魔王と戦うための準備を進めると言ってくれ僕は魔王とクロと戦う為の場所を用意するように伝えるとゼウさんは準備してくれると言ってくれた。そして、その事を伝え終わるとゼウさんが準備が整ったと知らせてくれて、その言葉を聞くと僕はゼラの所に急いで戻るのであった。

クロアが僕の事を魔王と戦えるまで回復をさせてくれていた。そのおかげで僕の体力も回復する事ができた。クロにお礼を伝えると同時に僕は自分の力を最大限に引き出し、自分の体の調子を確かめるように魔法を何度も使ってみた。その事で、自分の力を引き出せる感覚を覚え、自分の力を完全に把握することが出来た。そしてクロに魔王の元へ向かうように伝える。

そして僕はクロに憑依をしている魔王をクロに任せることにして僕は、この城の中にあるダンジョンに向かう事にした。僕は、この城の一番深い場所にダンジョンがありそこに行くと、僕にこの世界を任せて欲しいという意思が伝わってきたのである。その声は魔王のものだったのだ。その事を伝えた後魔王は消えてしまったので僕は、その言葉を信用することにしたのだ。

僕はその事に対して魔王にこの国を乗っ取らせないようにする事にした。

それから僕とクロとで魔王を倒すために作戦を考える事にした。魔王を倒すための方法を考えていたがなかなか良い案が出ることなく、僕はクロの体の負担にならないようにゆっくりと休むことにしたのである。僕は魔王を追い詰めたがそれでも魔王を倒すことが出来なかったのだ。魔王を倒すためには何か決定的な力が足りないと考えていたのである。

その考えがまとまらずに困っていると、僕の体を覆っていた光が急に消えて、僕の体が重くなるのを感じた。僕は慌ててクロの事を確認するとクロは僕に抱きついていて気を失っていたのである。その事に僕はクロを抱き上げるとクロの部屋に連れていきベットに寝かせた。そしてクロが目が覚めるのを待つことにした。

僕はしばらくするとクロは起きてくれたが、まだ疲れが取れていなかったようなので、もう少し眠る事にするように僕がクロに提案をするとそれに従いクロは目を閉じたのであった。

僕はその事をゼクスに報告するためゼクスがいるであろう部屋に向かったのである。その途中僕に近づいてくる気配があったので、僕の事を待ち伏せているのかと思い周りを見渡して確認するが、誰の姿もなかった。それから警戒をしながら僕は自分の身を守るために魔法を発動させると僕の事を光の球体で覆うことができた。そんな僕の事を不思議に思いながら、その場に立ち止まって待っていたら僕に向かって魔法を放ってきた者がいたのだ。僕はその事を受けてから魔法を使って、その魔法攻撃を防ごうとしたが僕の予想より強力な魔法だったようで僕の魔法でも完全には打ち消すことができなったのである。

僕はその攻撃を受けてしまいその場に倒れ込むと、攻撃を行った人物が目の前に現れると僕を攻撃してきたのであった。その人物は僕が知っている人物であり、この世界で最強と呼ばれる人物である『白の剣士』こと、『白帝』の異名を持つ男だったのだ。その男は僕の姿を見て笑みを浮かべていた。そして僕に話しかけてくる。僕は魔王の事を彼に説明してから彼の力を借りて僕とクロは強くなり魔王の力を封じ込めるための戦いを行う事になったのだ。それからしばらくしてから僕は、魔王の力を抑える方法を考えついたのだ。

そしてその方法を魔王に伝えると僕の体は光の球体で守られた状態で、魔王との距離を詰める事に成功したのである。魔王が僕に攻撃を仕掛けようとするが僕はそれを回避していく。魔王の攻撃をかわしていくたびに僕の力は上昇していき僕はついに魔王にとどめをさすことができる状態になったのである。

魔王は僕が放った魔法を僕の方へ飛ばしてきたが僕はその魔法を回避すると、魔王に向けて僕の魔法を放ち魔王の魔法は僕に届かなかったのである。僕の魔法が直撃する前に僕はクロに憑依した状態の魔王を拘束したのだ。僕はクロと融合しその瞬間僕の力は完全にクロと同等となり僕の力に引き寄せられるかのように僕の近くにいる者たちも集まってきていたのである。僕のそばに居るのはクロアとクロの2人だった。

その状況を見て僕が魔王との戦いを終わらせるために魔王の元へと向かっていく。僕の動きを見てクロアは僕の邪魔をしないように魔王に僕の事を援護してくれると申し出てくれたのである。僕はその申し出に心強くなりクロアの事を信じると魔王の元にたどり着いた。僕はクロの体の中に存在する僕の力をすべて魔王の中へと送り込み魔王の体に自分の力を送り込んで魔王の意識を奪おうとしたのである。その事によって魔王に憑依している状態になっている魔王の本体は抵抗をして自分の魂と魔王とを分離しようと動き出す。そして魔王は自分の体を傷つけながらも僕の事を攻撃してきたので、僕はその攻撃を受けながら魔王を確実に仕留めるために行動に移ったのである。

僕は、魔王の体を貫通させる威力の魔法を放ったのだがその魔法を受けたにもかかわらず、魔王はまだ生きていた。僕はその事に焦りを感じていたが魔王の体に僕の魔力を全て送り込むと僕はクロアに魔王にトドメをさしてもらうためにお願いをしたのだ。僕はその時に魔王が僕たちの仲間になるようにお願いをしなければいけないと僕は考えたのだ。そして、僕はその事をクロに話すと魔王に自分の意志がある事を確認して説得を開始したのである。その話を聞いていた魔王だが僕は自分よりも魔王の方が強いと魔王に伝えた後に自分が魔王を倒すことができないかもしれないと言う事を伝えると、僕の事を認めると言ってくれたのだ。そして僕と魔王の交渉が終わり、魔王は僕の事を受け入れてくれてから、僕とゼノさんとクロリアさんにクロが僕の中に存在していることを説明した。その話を聞いてゼストは少し驚いていたが納得したような表情をすると、魔王は僕の力を受け入れる準備ができていると言っていた。その事を聞いてから僕はすぐに行動に移す事にした。僕は、クロと僕の二人の力で魔王と融合した。その事を受けてゼクトは、クロアとクロが一体化してる姿を見てから驚きと興奮をしていた。ゼムはクロとクロアの変化についていけなかったみたいで唖然としていたが、僕の方は僕の体が変化を始めるのを見ていた。その事から、僕の体を覆っている球体に異変が起こり始め僕はこの世界に来てから一番の危機を迎えていたのである。僕の体がこの世界に来る前の人間の時と同じような体型に戻ってしまいそうな感覚に陥り僕はこの危機を脱するための策を考えようとしたのである。しかしその時にクロアが僕を救ってくれたのだった。クロは、この世界に生きるすべての生き物を救うと約束をしたがその事を果たす為にクロが力を使いすぎたことによって、僕とクロの同化を解除する力がなくなってしまい僕は元の人間に戻ることになったのだ。しかし、僕とクロが力を合わせれば元に戻れるというクロアの話を聞き僕はクロに自分の体を委ねると、僕の体の色が銀色に変色しはじめ、それと同時にクロの髪の毛が黒色に染まっていくと僕は元の姿に戻ったのであった。

僕が自分の姿を鏡で確認しようとするとクロがこの部屋に用意されていた姿見を僕の所へ運んできて僕がその姿を確認する事が出来た。僕たちはこの国の人達に感謝され僕たちに対する感謝として、この国に暮らす事を許されてクロがゼムに魔王の城に向かうための場所を用意してほしいと頼んでいたのであった。

僕たちがゼムと話している途中で、魔王軍の幹部の一人が城に戻ってきたのである。そしてその人物は魔王様を倒せる人間がこの世界に存在していなく世界を滅ぼす事が出来るのは『勇者』である存在だけだと伝える。魔王軍がこの世界に侵攻してくる事は間違いないと、その話を聞いた僕たちは急いで魔王城に向かい魔王城に向かう事を決めるのであった。

魔王の配下である女将軍がゼアに向かって、ゼアたちがここに来る事を伝えに来ていたのだ。その言葉を聞き終えたゼウがゼアに対してどうするつもりなのかを聞くと、その質問に対してゼアはゼアに任せて欲しいと伝える。ゼアの言葉に対して、女将軍の方はそれでいいと答えると自分の役目を果たしたからと言いその場を離れる。

それから僕は、クロの体に負担をかけるわけにはいかないと思ったがゼウが僕の体調が良ければ一緒に来てくれるか聞いてくれたのだ。その言葉に対して僕はクロの負担にならないようにとクロの体の調子を確認すると問題なかったので同行することにしたのである。

そして僕はこの国を出てから、ゼクと合流するまでのあいだ、僕達は移動速度を上げていた。その事でクロの負担にならないように僕は配慮しながら進んでいたのであった。

そしてしばらく進んでいると僕たちに近づいてくる集団が現れた。僕達が近づいてきた人たちに対して何者だと言うとその者達は自分達はこの国に仕える兵士達でありこれから僕たちを警護するために来たのだと説明をしてくれたのである。その事を聞いた僕は、ゼクスとクロと一緒にこの国を守る兵士に事情を話した後、その兵士とゼクの配下の兵士たちが合流してこの国の王都までの道のりの護衛を受け持ったのであった。

その後僕とクロアとクロの三人で王都を目指して進み続けたのである。僕はクロの体の心配をしていたが、その事を気にすることなくクロは平気な顔をしていた。その事に驚いたが僕とクロとクロの体を心配してくれたゼウが協力してくれて、僕が持っている魔法のアイテムを貸してもらい僕も、クロと同じようにクロアと同じ能力を手に入れることが出来たのである。それからはクロの体に何か起きないかと僕はずっと不安でいたのである。

その事を受けて僕は、クロアがクロに負担を掛けない為にも僕とクロアは別行動を取ったほうがいいと思い僕は一人で王都内に入り込むことを考えていたのだ。

僕とクロはクロアの事を護衛するために、その行動をとることにした。僕はこの国から脱出するまではクロに負担がかからないようにするため僕だけで行動するとクロアに伝えるとクロアは、僕に向かって大丈夫と伝えた後、クロの体を気遣っていたのであった。クロアの優しさが伝わってきた。

僕はゼアと共にこの国を後にして魔王のいるであろう魔王城の場所を目指すためにクロアの案内のもと移動する。その事を伝えた僕はクロアの体の事もありクロと僕で、クロアの体を守りながら行動することを提案し了承を得ると、クロの体を守れるように僕は自分の魔法で光の球体を作り出しクロの周りに浮かばせる事にしたのだ。そして僕とクロアとクロの三人はクロの案内の元、王城を抜け出そうとする。しかし僕達の前に突然ゼクスの部下である騎士が現れ道を塞がれてしまったのである。僕はゼクトと名を名乗り、ゼクの命令でこの場を通せと要求すると、その要求を拒否したので僕とゼクは戦いになる覚悟でいたのだ。するとその時僕たちの目の前に現れた一人の人物が僕とゼクトの戦いを止めた。その人物はゼアだったのだ。

「二人とも争う必要はないよ」

そう言うゼフアにゼクトが理由を説明すると、僕達の目の前に立ち塞がったゼクトはゼクトの主人でもあるゼクからの命令を受けて僕たちの事を止めに来たのだ。僕はその話を聞いて僕たちはゼストをこの場で殺してしまう事をせずに済んだのだ。その事があってから僕達は、ゼスの指示に従い魔王城の方向へと歩き出したのである。

魔王城に行くまでにいくつかの街があったが、そこには魔王の配下がいるらしく僕たちとゼストは遭遇したのだが僕たちが魔王の配下である者達に攻撃する事はなかったのだ。僕たちはただ魔王の城がある方角へと向かうことだけを考える事にして進んで行くと魔王軍の幹部の一人である男に出会うと男は僕の方を見ると驚きながらも攻撃してきたので、僕はそれを簡単に避ける。それから、その事を受けて僕は、ゼアにゼストの事を守って欲しいと言う頼みをして僕はゼラと戦闘を始めたのである。僕は魔王の配下と戦うことに慣れてしまっていた。その為に、魔王軍の幹部との戦闘は、この世界では異常なほどに素早く感じていたのである。

そしてゼクトとクロアを襲おうとしていた男が僕の前に現れると僕は、その男の方に魔法を放ち牽制する。するとゼムの部隊に所属している兵士の一人が、その事を聞きつけたようで駆けつけてきてゼクトは助かったのだ。

そして僕とクロが魔王城に向けて移動を開始すると僕はこの国に来る前に見つけた鉱山がある山が目に入ると僕はこの世界の資源を確保する事を決めたのである。そして僕は、この国に来る前に見た山へと向かって歩いていくと僕に襲いかかる者たちが出てきたが、僕はそんな相手でも簡単に倒してしまう。そしてクロはクロアの体で、僕と一緒に移動をしていた。それから、僕はこの世界で僕たち以外に動いている者がいないかどうか確認する為に魔力探知を使い、この国にいる魔族を検索していく。すると魔王軍の幹部が一人残っている事が分かった。しかしその場所が問題なのだ。僕たちはクロの魔力探知の能力を使ってその場所を探すがその場所はクロアの体の状態を考慮して探し出すことを諦めて僕はゼアに相談をしようと思いゼクトを探しに行ったのである。そして、ゼクトは、この王都で働いている知り合いに僕の居場所を聞き出してくれて、僕を見つけてゼアがどこにいるのかを聞き出す。僕はそれを聞くとすぐに、この国に残っていた魔王軍の幹部が隠れ住んでいる場所を教えて貰いそこへと向かったのである。

それからゼアがこの国に残っていてくれていたので僕の目的のために動いてくれると言ってくれた。その事があり僕は魔王軍をこの国に攻め込ませない為にも僕はある事を行うことにしたのである。

僕とゼウとゼトと僕が仲間にしている二人の配下を連れて王城内に侵入して魔王の城へ向かうための方法を探るために城内に潜入をする為に僕はゼウに、この国の警備が手薄になった時にゼウの力で門を開いてほしいと頼む。その言葉に対して、僕はゼウの力に驚いてしまう。ゼウは僕の言葉を信じるといって僕が考えた作戦を実行してくれると言ったのだ。

僕はゼアにゼムの事を託すとゼウが僕に対して、自分の主のゼムを頼むと言われてから僕とクロの体に変化が起こったのである。僕とクロとクロの体には変化が起こっていた。クロアとクロとの会話ができるようになっていたのだ。僕はすぐにゼノを呼び出して、僕とクロの体に異変が生じた事を伝えた。

僕とクロがクロの事を気にしながら歩いているとクロが突然僕に謝ってきたのである。僕たちは王都を出てからも魔王城を目指すための方法をずっと話し合っていたのだ。その結果として僕たちが今現在一番安全な場所にいてそこから動くことが出来ないという結論が出たのであった。クロが突然自分の体が変化してしまったのはそのせいだとクロが言う。そして僕とクロはクロアとクロの体の変化について話をする。それからしばらく歩いていると、僕たちの前方には黒い影のような物が姿を現したのである。僕たちはその黒い物に対して警戒していると、ゼクスとゼウとその配下達がその場に現れて僕の所にやってきた。そのタイミングでクロとクロアは僕の傍にやって来たのである。僕はその姿を見てクロがクロリアさんからクロアに戻ったのだろうと予想がついた。

ゼク達は、なぜこのような状態になっているのかをクロアに聞くと、クロは自分が『魔王』であることを隠すことなく話してしまったのだ。

クロアの言葉を聞いた僕たちは驚くと同時に、ゼク達が慌てている様子を見て僕とクロの二人は、ゼア達に事情を説明しようと思ったのだ。それから僕はこの国の事情を説明する。魔王軍によって王城は占拠されていると言う状況を聞きゼクは納得をした表情を見せるが、魔王軍がこの国に対して何かしらの危害を加えていない事を知ると、この国が平和なのはおかしいと思いゼクは疑問を抱く。そこで僕はゼアとクロア以外の魔王軍に命を奪われていたはずの者の名前を全員に言う。するとその名前を聞いてからゼク達とクロが一斉に動き出したのだ。そしてクロアもゼアに付いて行く。僕はその様子を見ていたら僕の横にいたゼアから声が聞こえる。

「ゼク様があの者達に指示を出してクロ様を助けに向かったのだ」

ゼアの話を聞いた僕がどうしてクロがここにいることを知っているのか質問をする。その問いにゼウはクロアからクロの事を聞かされて、僕たちの元に向かおうとしたらしいがクロアがゼクトを頼れと言うとゼクトはクロの体が心配だからと、この場所に残ることになったのだ。

僕はクロアに僕がクロアの代わりになると言ってみるとゼアがゼアとクロの体の事を心配してくれたが、僕は大丈夫だと言う。

僕はゼクトにクロの事を任せて僕は、ゼクトと別れてゼクトに案内されて、クロが囚われている部屋に向かう。僕はゼクトからクロが閉じ込められている部屋を教わると僕はクロアの部屋に向かい、僕がクロアの事をクロアと呼んでも反応しないクロの様子が気になりながら僕は扉を開く。そこには拘束具が取り付けられているクロがいた。

僕はその姿を見て焦り始める。そしてゼウにゼクとゼアの二人に助けを求めに行くと伝えようとゼオの元に行こうとするがゼエが僕を止めると、この場を僕に任せてくれと言い僕にクロアの拘束具を外すように言う。

僕もクロを拘束するのは良くないと思ってたのでゼオの言葉を聞いて嬉しく思った。それからゼウと僕は協力してクロの手錠などを外す。そして僕は急いでクロアの事を見るがまだクロアの意識はなかった。それから少し時間が経つとクロの口からゼクトの名前が出る。その瞬間に僕はゼクトの方を見てみるとクロアとクロが目覚めようとしていたのだ。そしてゼクトとクロアに僕は二人が目覚めたことを伝えると、クロアとクロは僕に向かって話しかけてきた。

僕は、ゼクトの方に視線を向けてからクロはゼクトとクロアと一緒に、これから僕と一緒に行動してもらうことをお願いしたのだ。ゼクトとクロはお互いを見てうなずいた後、了承した様子だったので僕たちはゼクトとクロの二人の協力を得て魔王軍の城がある場所へ向かうことにしたのである。そして僕はこの世界に残っている幹部の一人の居場所が分かったのでその事をゼアに伝え、その人物を魔王城に呼び寄せてもらうことにして、この世界から全ての幹部を消すために行動を始めたのである。そして僕たちは魔王軍の幹部が暮らしていると言われている建物へと向かっていたのだ。

ゼウとゼウが選んだ配下と共に僕とゼウはクロとクロアの二人と一緒にクロとクロの二人の仲間と合流するためにクロが知っている仲間の隠れ家へと向かう。

僕はクロに、仲間と合流した後に魔王軍と戦う準備を行うと話すと、僕にその仲間がいる場所はどこかと聞かれた。僕はその場所を教えようとするとクロが、僕の仲間である配下を呼んでからその場所へ向かおうと言ってくれたのである。その事を聞き僕はクロのその考えに同意する。なぜならば僕もそうするべきだと考えていたためである。僕はクロに仲間がどこにいるかを説明をしようとしたその時だった。

僕は突然何者かの気配を感じ取ったのである。それは僕に敵意を持っている者の存在を感じる事ができたのだ。僕はそのことを三人に伝えるとゼアとゼトが警戒を始めてゼクスとゼトはいつでも攻撃ができる体勢に入った。そして僕に攻撃を行おうとしていた人物が僕たちの前に姿を現す。

「その方達は私の部下ではないのですか?その者達をどうするつもりでこちらに来られたのでしょうか?」

僕に問いかける声の方に僕とクロは目をやると一人の女性が立っていた。そして女性はゼラがこの世界に来ていたのであった。僕たちは女性の正体を確認するとゼラがゼムの側近の一人であるとわかり、この王城に潜入していたのであろう。しかし、その女性の顔は今までの魔族とは異なった容姿をしていたのだ。僕はその女性の事を観察すると人間に見えた。

それから僕が、この人達はゼムの配下の者でクロアが連れてきた人たちなのだとゼウが説明するとゼラは安心をする。そして僕たちに自己紹介を始める。

僕はゼナの話を詳しく聞こうとした時、僕の後ろから誰かが近づいてくる事に気が付き、ゼナは後ろに振り向き、そして僕は背後にいる人の姿を見たのである。そこに現れたのはゼクトだった。

僕たちの前に現れたのは、ゼストと名乗る男だった。ゼクトの事を見ているとその男の体は全身が真っ黒に染まっていたのだ。

ゼアはその男が普通の人間とは違うという事を理解すると、僕に襲いかかろうとしたゼクトの体を掴もうとしたが、そのゼクトの体に触れた瞬間に吹き飛ばされたのである。それだけではなくゼクトの拳を腹に当てられたゼアは腹部に傷を負ってしまった。

それからゼクトの一撃を食らったゼアだったがゼクトの攻撃を受けたにも関わらず無傷のゼアがゼクトの前に姿を見せてゼクトに自分の力を見せつける。ゼクトがどんな攻撃を仕掛けようが自分は負けないと言うゼアの自信に満ち溢れていた表情にゼクトは驚いてしまう。

そしてゼウトとゼキともう一人のゼキの四人でゼクトを取り押さえることに成功すると僕はゼクに連絡を取ってこの国にある神器を集めるように指示を出すと、クロとゼアの二人で僕が考えた作戦通りに動いてもらう。僕はそれからゼラとゼアに作戦の内容を簡単に話してから、僕たちは作戦を実行するために王城を出ていく。そして王城から離れてゼアが王城に向けて魔法を放ち、城全体を破壊する。僕とゼクトとゼアとゼクとゼキとゼアの五人と僕たちが集めたゼアが使える能力である空間転移の能力を使って王城の最上階に移動を開始したのである。そして僕たちが到着するとゼラが僕に指示をしてクロアはゼウの事を回復する。それからゼアは自分が作り出した異次元の中に入り自分の作った物以外の物は全て消滅してしまうのでその事を覚えておいてほしいとゼラトに言って異次元の中に入るように促すと、ゼクトがゼクトとゼキにこの場から去るように言い放つと二人は素直に従う。そしてゼアが異次元の中から戻ってくるまで待つことにする。

しばらく時間が経過してからゼクトとゼアが戻ってくると僕たちはゼクトが言ってきた場所に全員を移動させたのであった。僕はこの場所から離れた場所に移動する為に僕の力で結界を張ることにしたのだ。僕はこの世界に来てからは僕の力は以前と比べてかなり上がっていることに気づいており僕はその事を利用して僕はこの世界の何処かに魔王が作り出したと思われる神殿の場所を特定する事ができるようになっていた。そしてこの世界で僕が使えるようになった能力を試してみる事にした。まずは僕は自分の目の前に魔力を具現化してそれをこの世界に居る者ならだれでも感知できる程の濃さにして、この世界を漂うようにする。

するとゼクトが僕が張っているこの空間内に入ってきたのである。それからゼアが僕が作ろうとしているものに興味があるのか僕が今行っている行為を見てから僕に話しをしてくる。そして僕はゼアからその方法を聞き出してからすぐに実行をした。

僕はゼクトに、魔王が作った神殿は全部で六つ存在していてそのうちの一つにクロア達が集まっていることを伝えた。

僕たちが移動を完了させてクロ達と合流しようとしたがそこには僕たちの知らない人物達が存在していたのである。

そこには魔王軍が召喚をしている悪魔と呼ばれる魔物達の姿が見えた。僕はその光景を見て驚くと、そこにいたゼア達も同様に驚いている様子であった。

そのゼア達の様子に気づいた一人の少年が現れて、その人物は僕たちを見るとクロとクロアとクロの仲間だと分かると、ゼアに何かを話し始める。僕がその話の内容を聞いてみるとクロアをこの国の王女だと言う。そしてこの国の王はクロが捕らわれていることを知ってクロアを助けて欲しいと言ってきたのである。僕はこの人の事をクロが連れてきた仲間の一人で、クロと同じぐらいの力を持ち、クロとクロリアさんの知り合いだからという理由で僕たちはクロアをこの城に招き入れてくれた。そして僕はクロの本当の正体について話すと、その人は僕の言葉を信じてくれた。僕は、クロのことをよろしく頼むと言ってその場を後にした。それから僕は魔王軍の幹部達がこの王城に攻めてくるかもしれないから僕たちの事は心配しなくて良いとクロア達に告げると僕はこの場から離れようとした。そして僕が離れようとするのに気が付いた魔王軍の将軍らしき女性が僕に声をかけて来たのである。「君はこの国を救ってくれるとクロ様に言われていたんだろう。私はクロ様の命令を果たすために君に協力してほしいのだ。クロ様に頼まれていないとしてもクロ様のために力を貸してくれ」その女性はそう言うと僕のことをじっと見つめてきた。その女性の瞳は真っ直ぐで力強い意志を感じられる眼差しだった。それから僕はその女性の協力を得ることにする。

僕はクロアにこれからどうするつもりなのかを聞いてみると、これからクロアは僕たちの仲間になると言ってくれたのだ。そしてクロがこの世界に来た理由を聞くと僕は驚きを隠せないでいたがその理由をクロに尋ねると僕たちはゼラの話を聞いてクロアの事を魔王軍に狙われているのではないかと思い助けたいと思っていたのだ。しかしクロの話では僕たちと会う前からクロアが魔王軍の手中に堕ちていることが分かりクロがこの王城に向かってからクロアを救出する計画を立てて行動しようとしていたのである。しかしクロが王城に到着した時にクロが予想していた以上の数の敵が出現してしまい仕方なく逃げ回りクロはクロアと合流するために僕たちの仲間になったのだと言った。それから僕はクロが言った魔王軍の幹部の一人の人と戦う事になるがその前にこの国を襲おうとしている敵の数をできるだけ減らしておかないと行けないと考えた僕はクロアに協力してもらいクロアの転移の能力を使う事で他の場所に移動しクロの仲間である三人に僕の仲間と協力してこの城の守りを任せたのであった。

それからクロアはクロの居場所が分からないという。

そこで僕はクロアにクロの事を教える事にする。

僕は、クロに言われた事をクロアに説明するとクロアの体は一瞬震えるが僕は大丈夫だよと声をかけると少し落ちついたみたいである。

僕たちはゼアとゼアの仲間と合流を果たし、そして魔王軍の四天王の一人の人との戦いに挑んだ。

それから僕たちはなんとかその魔人を倒した。

ゼアが僕の事を見ていたような気がするが僕はその事を気にせずに僕はクロに話しかけると、これからクロの仲間である人達に会いに行くことになるのだがその人達はこの城にいるとゼラから聞いているらしい。そしてクロとクロアの二人はゼアと僕たちの後に続いてこの城の中に入って行った。それからゼアとゼラとクロアとゼアとゼトとゼキはクロの仲間の人達とクロのことについて会話をしていたのであった。それからゼアとゼトは僕に近づいてきて僕に頼みごとを頼んできたのである。その頼みというのは、この国にいる悪魔たちをゼストが作り出した空間に送り込むことによってこの国にいた悪魔の数を減らそうと提案してきたのであった。僕はその事を聞いた時ゼストは本当に凄い能力を持っているのだと思い知らされるのと同時にその能力は使い方によっては危険ではないかと僕は感じていた。

ゼウはゼムの姿を見て驚いた顔をしていると、それからゼウはクロアに対してなぜここに来たのか尋ね始めた。

クロアは自分の姉を探すために来ていた。それから、クロアは自分がここにやって来た経緯を説明すると、ゼムは、そんなことの為に来たのかと言い放って、この国にやってきて自分を殺しに来ようとして来たのだろうと言葉を口にすると、クロは、ゼムのその態度に怒った顔つきになりゼムのことを強く睨みつけた。

そして、クロアは、ゼムが自分の目的を言うとクロアはゼウがクロアの姉を殺したという情報を手に入れるとすぐにクロアの体は怒りでいっぱいになってしまい、その体からはものすごい魔力と殺気が放出されていたのだった。クロはそれから、ゼノのことを自分の父親で魔王であることと自分の母親が人間だという事を告げる。それを聞いたゼクト達は驚きながらも、それでも自分の親には変わらないから関係ないと言ってクロアに笑顔を見せていたのである。

クロアは自分が今まで育ててもらったゼクの本当の姿を自分の目と心と魂を通して知る事が出来た。それを知ることが出来た事と今までずっと自分の事を守ってくれた感謝を伝える為に自分の体から魔力を放出し始める。そして自分の魔力と精神力と神力を混ぜ合わせてからその全てを光に変換してその力で攻撃を開始した。そしてクロアはクロ達とゼムとゼクトに襲いかかってくるゼクト達の部下とゼクト達の仲間に次々と魔法による攻撃をしていきクロも自分の持っている能力を使って、自分の周囲に黒い球体を発生させてその中から黒い雷を放っていた。そしてクロアはゼアから聞いた話を思い返してみるとゼクトにクロが本当は魔王ではないと言う話を聞かされるとゼクトはゼアの言っていたことは本当なのかと言う。するとゼアは自分が作り出した特殊な空間をこの世界に作り上げるとその中に入り自分の目の前でそのゼクトに自分が作った空間の中に入るように言って、ゼクトはその中に入るとゼアがこの空間の中に作った空間に閉じこめられるとゼクトはすぐにこの空間から出るように言う。しかし、それはできなかった。そしてゼアとゼクスの二人はクロとクロの仲間の四人と魔王であるゼクトに戦いを挑んでくるのである。

ゼクトがゼアの空間から抜け出そうと試みていたがその方法は全く思いつかないのである。

ゼウがゼクトに向かって話し掛けるとゼクトはゼアに空間を作り出すことができるのかと聞くと、ゼアはそれを肯定するのである。

ゼアの空間から出る方法が見つからず、ゼアの作った世界に閉じ込められたゼクトは何とか脱出する為に必死になっていたが、そこにクロが現れてゼクトは、お前のその能力を使えばここから抜け出す事ができるかとクロに尋ねたのである。するとクロは、ゼクトの空間を消滅させる力を使えば、この世界に漂っている霧は晴れる事ができて、そのおかげでこの世界のどこかに宝玉があることが分かるとクロは説明をした。それから、ゼクトにこのゼウとゼアをどうにかして欲しいと頼むと、ゼクトがゼアにその事を話すと、ゼアはクロの言葉の意味を理解したがゼアが言う前に既にゼアとゼウとゼクトは動き始めていた。

ゼアはまず最初にクロが言った事を思い出してみた。クロが言っていた事は確かにできるはずなのだとゼアは考えていてゼアはゼアの作った空間に自分の手を入れてクロの作り出している闇に触れてみることにし闇の中を探るとすぐにある物に手が触れたのでそのまま手に引き寄せてその物体を手に取るとその物体を見て確認をしてみるがどう見てもただの手鏡だった。その瞬間、いきなりその手鏡から物凄い光が溢れ出して辺り一面を眩しい光に覆われてしまうのであった。

僕はゼウにこの世界から脱出する方法を尋ねると話し始めるのであった。まずこの世界で起きている異変は、僕が思念体の時に体験したあの現象と同じものであるということと、僕が神界に戻ってから、クロとゼクトの二人がクロの事を僕に報告するためにゼアがクロのために用意してくれた空間に移動してクロの話を聞いていた時のことである。その時、クロの体にクロアの力が取り込まれてクロアは意識を取り戻すのであった。

そしてクロアとクロとクロアがお互いの事を確認するのであるが、この時はまだお互いにまだ記憶は取り戻していない状態で、それからしばらくして、僕がクロアとクロに自分の名前を教えるとそれを聞いてクロアは僕の名前が僕の母親であるクロナと似ていた事から僕のお母さんのクロが自分を助けたのだと言うのである。しかし僕はそれを否定してから僕の名前のゼストという名前を二人に教えたのであった。僕はクロとクロアに、どうしてここにクロとクロリアが呼ばれたのかという事を話し始めた。僕は二人の事を信用してこの国を救うために協力して欲しいと話すと、クロアはゼストの頼みを聞くとゼストに告げたのである。それからクロアが僕たちに自分達の正体を告げてからゼアに自分の正体とこの国の王城にいる人達がどういう人達であるのかどうかを尋ねるのである。

クロアが尋ねるとゼアはこの世界は僕たちがいる世界と似てもいない全く別の異世界であるということをクロアに教えると、その事に驚いていたクロアなのだがクロは自分は元はこの世界の住人であると言ってクロアは驚くのであった。

そして僕はこの世界に来てからの僕自身の行動をクロアとクロに伝えていくと、その事を聞いたクロアは何かを考え始めながら僕が今まで経験したことを聞いていった。僕はそれからゼアにこれからの行動方針を話し合っていこうと提案するのであった。

クロアとクロが二人で話をしていてクロアの過去がクロの記憶と同調して分かり始めていたのである。それから、ゼウの事を仲間にしたいと言い出したクロアにクロアとクロの二人とも反対するとクロは、クロアとクロの二人にクロの事を仲間にするなら僕たちとこの世界を救って欲しいと頼みこむのであった。それからクロアとクロの二人は少しの間考えると、ゼアの事を認めて仲間にして一緒に戦うという事を承諾したのである。それからクロアとクロの二人がクロに頼みごとをするのである。

ゼアが仲間になる前に、クロアはクロの仲間達がどこにいるのかを教えてもらいたいとクロに頼むと、クロは自分が今から転移を行うからその転移にクロアもついてくるようにクロアに言うのである。そして、そのクロアとクロアにクロアがクロの手を掴んでもらってそれから三人が移動しようとしたら突然地面が光り始めて、僕たちの体が浮かび上がるのであった。僕は何が起こっているのかわからなくて、周りを見渡そうとしたが何故か僕は自分の体が全く動かせなくなってしまい、僕はこれからどうなってしまうのかと心配していたのである。そしてしばらくすると急に僕は落下していき地面に勢いよく倒れ込むと体を動かせるようになるのであった。そして僕は立ち上がってみるとそこはゼウとゼラがいる場所でクロはどこに行ってしまっていて、ゼアがクロとクロアを自分の傍に置いてクロアが持っていた武器で攻撃を仕掛けようとしたのだが、なぜかその攻撃をする前に攻撃をやめるのだった。そしてその攻撃を辞めてしまったゼアにゼクトは何故クロを攻撃したりしたのかと尋ねるとゼアはクロに対して自分の攻撃を防いだ人物に対して興味を持ったというと、ゼクトはゼアに対してその人は僕の大切な人だから危害を加えるのはやめてくれというのである。

その事を言うゼクトに対してゼウはゼクトに自分がクロとゼクト達を呼び寄せたのだと話すとゼクトは自分が魔王であると知っているとゼアが言い放つのである。ゼアが魔王であると知ったゼクトとクロア達は驚いた顔をしながら魔王がゼクトの味方をしているのかと思いながらゼアのことを警戒し始めた。

それから、僕は、クロとクロリアと一緒にゼアが作り出した世界から抜けてゼウとゼアの元に戻ってくるとゼウとゼアの話し合いの結果、魔王と魔族は魔王の敵ではなくて同じ存在として、ゼウの創り出した世界の中では共存する関係だと言う結論に至るのである。それを聞いたクロはクロアとクロにクロは本当に魔王の子供なのかと聞くと、ゼアがクロにクロはゼアの作り出した特殊な空間の中に作られた特殊な世界の中でクロリアと自分の娘だという説明をしていた。それを聞いたクロとクロリアは驚いていた。そしてゼムとゼクは、魔王はクロのお父さんの魔王ではないと分かっていたがクロはゼオの作り出した空間の中に作られた特殊な空間での出来事を全く知らない為に自分が魔王の子だという事に驚きを隠しきれないでいたのである。それからゼクトがゼウにクロが言っていた、クロはクロリアの力を取り込んでクロアとクロが二人になったという話について詳しく話してくれと頼むのである。そしてゼウとゼアの二人から話を聞いたゼクトが言うのであった。

クロアとクロは、魔王が人間に害を及ぼす存在じゃないと言われて二人はゼクトが言った事を信用し始めるのである。

そしてゼクトは、魔王が人間の世界にやって来てまで何をしようとしているのかをゼアに問いかけたのであるがゼウはその事に関しては答えることが出来なかった。それからクロは魔王である自分の父であるゼクトにゼアから魔王と魔族がどんな種族であるのかを教えてもらうと、ゼアはクロに魔王と魔族の事について説明すると、それを聞いてからゼクトとクロはゼウが作り上げた特別な空間の中から抜け出す為に、クロがゼアの能力を使って作ったゼクトがクロの世界を脱出する時に使うためのアイテムをクロがゼアの空間を消滅させる為に使うためにクロが作り出した闇の力で作り出されたゼクトが持っている物とクロがクロアとクロが身に付けている装備を消滅させてその消滅した物をクロが回収したのだ。それからゼクトがゼアがこの世界を創造したのはクロの為だったんだと呟くとゼウはそれを否定してこの世界にクロアを送り込んだのはゼクトだったのではないかとゼアがゼクトに問い掛けるのである。ゼウトとゼアがそんな会話を行っている最中、クロとクロリアの二人がクロとクロアの二人が元の場所に戻ると、ゼクトがこの世界で起きている現象についてクロとクロリアの二人に対して話を始めたのである。

それからゼアとゼウがクロアとクロアの二人がいなくなったのを確認すると二人はクロアの作り出した闇の空間を崩壊させてしまうのであった。その瞬間、ゼクトの目の前にはクロアとクロがクロトとクロリアを連れて戻って来ていたのである。ゼアとゼウがクロとクロアの事を歓迎している間にクロトはクロアが作り出した闇の空間から抜け出すことができたのであった。

ゼアがクロアの闇に干渉してクロアが作った闇の空間を消滅させたことによってゼクト達の前からクロアが消えてしまうとクロアは闇に包まれて、そして次に目を覚ました時には、この世界の中に戻っていたのであった。

そしてクロは、この世界で起きてる出来事を全て把握してから、ゼアの話を聞いていたのであった。

クロがクロとクロアの二人に自分達はゼストの妻であり、魔王の力を持つゼストを守るのが自分達の仕事であると言って、そして自分達三人の誰かがゼストの事を助けなければならないと言うのである。しかし、それからクロは自分がクロとクロリアの二人に勝っている事はないと自分で思っていて、自分達はゼアの事を守り切れないかもしれないと言うのである。それをクロアが否定してクロがゼアに負けないように頑張ればゼストを守れると言い切るとクロアはクロに自分の剣を渡してから自分の持つスキルを教えるのである。

その話が終わった後に、ゼストは、クロが持っていた伝説の聖剣が偽物の武器だと分かると、この国にある宝物庫に眠っている本物の勇者が持っていたとされる剣を自分の能力である神界との交信で呼び出したのである。

その次の日の朝に、僕とクロアとクロはゼアにこの城の中のどこに行けばゼウに会えるのか尋ねると、クロアは、自分達が今、王都にいることをゼアに伝え、そしてクロアとクロの二人でゼクスに事情を説明しに行った方がいいのではと言うのであった。それを聞いた僕はゼアに自分達も王城に一緒に行くと言ってから、それからゼクトは、クロとクロアとクロの三人が仲間になったことをクロに伝えるとクロアとクロの二人ともクロによろしくお願いしますと言うのである。それから僕達はクロリアをゼクトに預けるとクロリアは、自分の部屋に行きたいと言ったので、クロリアの事をゼアに任せて僕とクロアはゼスの部屋に向かっていった。

僕とクロアはゼスの部屋に着いて部屋の扉を開けるとそこにはゼウとゼアの二人がいた。

それから、僕はゼスとゼウからゼウがゼムを裏切った事を聞かされる。そのゼムがどうしてゼウを襲って来たのかを聞くと、それは魔王の力を取り戻すためにゼアの作り出した特殊な世界を乗っ取ろうと企んでいるゼアを殺そうとするためであるとゼウから説明されて、ゼウのその話を聞いた僕は魔王とゼアが同じ種族の存在であることを知って僕は魔王は悪い奴じゃなかったんだなと僕は思ったのである。それから、僕は僕達の仲間になっているゼアのことについて説明を始めると、それを聞いてゼウとゼスは僕の仲間になってくれるなら僕も仲間に入れてくれるなら仲間になりたいと言ってくれたのである。

僕はゼウとゼアの仲間になる事を了承してそれから、クロアに僕達三人の魔王討伐の仲間に加わってくれてありがとうと言うと、僕がクロアとクロに頭を下げると、二人は気にしなくていいよというのである。それから僕達はゼウが作り出した特別な世界から抜けると、そこは元の宿屋の中にいたのである。

ゼアとゼウが仲間になり僕はクロアとクロとクロとクロアと一緒に旅を続けて行く事を決意するのであった。

そして、僕は魔王がクロとクロアの二人と同じ魔王であるという事を知った僕はクロアに僕の事を守って欲しいという事を伝えるとクロは笑顔を浮かべながら任せてとだけ答えたのであった。

それから、僕はゼウにゼアからゼウがどうやって生まれたのかを聞こうとするが、ゼウはそれについては話すことができないと言って教えてくれなかったので僕は、ゼウとゼウに自分がこの世界の中でどのように誕生したのかを聞き始めると、ゼアから僕は人間の手によって誕生させられたのだと言われてしまう。それからゼアが何故そんな事を言ったのかと言うと、人間達が魔王の力を悪用しないか見張るために僕は生み出されたのだということを聞いて、そして僕が生まれた理由はゼウからゼクトがこの世界に来てからの事を話すと言われたのである。そして僕は、その言葉を聞いて僕は驚きを隠せない表情をしながらどういうことなのかと言う。するとゼウは、ゼアはゼクトがこの世界にやって来てからは、魔族の世界と魔王であるクロのいる場所とを行き来してクロに魔王として必要な事を伝えて育て上げようとしていたと教えられたのであった。ゼクトはゼムを裏切ってクロアがゼクトとゼウに攻撃を仕掛けてきた時に備えて魔王を一人で守るのは厳しいと考え、魔王の側近を造り出すために、クロアの力とゼアの能力を融合させた特殊な魔物を作り出す研究を行い始めたのだ。その研究によって出来上がったのが、このゼアの身体の中に宿った存在こそがゼアでありそのゼムを裏切りゼオの作り出したゼアとゼウの作り出した特殊な空間に閉じこめることが出来た存在こそがこのゼアだというのだ。だがその特殊な環境の中で生きていくためにゼアはゼオの作り出した特殊な魔物達の中でも特別に魔力と知能を特化させており、更にこの特殊な環境に適応させるために体の形状を変化させる事もできるようになっていたのである。その結果、普通の生物よりも強靭な肉体を持つ存在になったのである。それからそのゼオが生み出した特別な魔物というのがゼオやクロがこの世界にやってきた後にゼクトの元を訪れて協力する事になったあの三人の事でゼアはその一人だったのだというのである。そしてクロアの力の一部と融合したことによって通常の人間が使えるはずのないスキルまで扱えるようになったのがゼアだったというのだ。

その話を聞いた僕は、ゼアの事を本当にゼクトの息子なんだなって思ってしまう。

ゼクトとゼオの話を聞いていたゼウは自分達はこれからこの大陸を出て隣の国に行こうと思うと言うのである。そこでゼクトは僕にその前にこの大陸を治めている貴族達を潰して欲しいと言ってきたのである。その理由を僕が尋ねるとゼアが、僕にクロアを鍛えて欲しいと言い出してきた。ゼクトの話を聞けばこの国の貴族は、自分達が持っている領地の資源を独占しようと考えて、そのせいで民達の生活はかなり苦しくなっているとゼアが言うのである。それで、僕はゼアの話を聞き終わるとゼウがクロアを僕に渡してくれたのである。それからゼクトとゼアが僕にお礼を言い始め、僕に頼みごとがあると言うのである。それを聞いてゼクトは、自分がゼアが造った空間の中で、クロに自分がクロの父親だと言った事をクロには内緒にしておいてくれないかと言う。それから僕に頼んだことは、もしクロがゼアにクロの父親がゼクトであることを言ってきた場合は、その事実を秘密にしてほしいということである。ゼアがクロに自分を産んだのはゼクトなのだと伝える事によってこの世界のどこかにいるゼアが産み出した魔物達に狙われることになるかもしれないと言うのであった。

僕はゼクトの話を承諾するとクロアとクロにゼアとゼウはクロが作り出した闇の中に隠れてもらってから、ゼウがクロがゼクトを襲おうとした時にクロを操ろうとしたのは何故かと言うと、クロの闇の能力では相手の思考を完全に読み取る事は出来ずに自分の思うような行動を取る事は出来るけど、相手を操る事は出来なかったからである。だけどクロアの作り出した特殊な空間であればその制約を受けることなく自由に相手を自分の思い通りにすることができるのだと説明されたのである。それを聞いてクロはクロアがどうしてクロリアと一緒に行かなかったのか聞くと、その答えは魔王城にいたときにゼアからゼクトが魔王である事を知っていて、クロとクロアを魔王城に閉じ込めてしまえばゼクトに殺されるかもしれないからゼクトを裏切る事にしたと言うのである。僕はそれを聞くと確かにゼクとゼウにゼクトは裏切られるかもしれないと思っていたが、ゼアとゼウがそこまでゼクトに執着していなくてもいいんじゃないかと思ったのである。その事を聞いたクロがそれはどうかと意見を言うと、ゼアは魔王は絶対に必要だと言い張りゼウはそれはゼクトが勝手に言っているだけで魔王がクロの味方になるわけがないというとクロはそれはどうなのかなと少し疑問を抱いた。

僕はそれから僕にクロアの特訓に付き合って欲しいと言い出すのであった。

僕とクロアとクロの三人でゼアに頼まれた通り僕達は隣の国に行くためにある場所に来ていた。

その場所とは、この王国で二番目に大きくて一番人が集まる場所でもあり王都と呼ばれている場所である。僕とクロアとクロの三人は隣町の門の前に行くと、門の番をしている衛兵に通行許可証を見せてくれと言われたので僕はそれを見せる。すると僕はそのまま王城に向かうための道を案内され始める。そしてその道中にもたくさんの人々がいて中には商人の人や旅人達もいた。

しばらく歩いていると大きな屋敷が見えてくる。

それはこの町の領主の館らしいのだがその領主の館で働いている使用人の女性が馬車を止めて話しかけてきたのだ。僕はこの女性は一体何をしているのだろうと思いながらも、その女性の方に近づいていった。

その女性が僕の目の前に来ると彼女は僕に突然キスをしてくる。

そして、僕はその女性に何が起きたのか分からずに困惑してしまう。

それからしばらくしてからその女性は自分の名前を名乗る。

僕はその名前を聞いて驚いた。その人は僕がよく知っている人で僕の実の母親でもある人だったからだ。そして、僕の事を抱きしめてきて僕はどうしてこんな所にお母さんがいるのか理由を聞こうとしたのである。

「ちょっと待って下さい!どうして母さんがここにいるの?」

僕はそう叫ぶと母は微笑みながら答える。

「私ね、実はここの領地の役人をしていたの。」

それを聞いていた僕は、その言葉に衝撃を受けて言葉を失ってしまったのである。

そしてその言葉に続けて、母の話によると、ゼクトから手紙を受け取って僕は今ゼアに頼まれたことをしなければいけないと書かれていたのを思い出して、僕はそれを実行するために僕はすぐに王城の近くにあるという貴族の集まるパーティー会場に向かった。

王城は、他の貴族たちの住む町よりもかなり豪華な造りになっていた。

僕はその王城内に足を踏み入れようとするが入り口で止められてしまう。

そして、そんな僕の様子を見た兵士に中に入ろうとしても無駄だと僕は言われてしまう。

そして、それからしばらく経っても僕は中に入ることを許されなかったのである。

しかし、そんな事を言われたからといって引き下がることは出来ない僕はなんとかして中に入ろうとするがやはり無理なので僕はゼアに貰った紹介状を見せてから何とか中に入れてもらえないかと交渉を始めた。しかし、僕はそれでも駄目だというのである。でもゼアから渡されたこの書状があれば問題なく通れるはずだと僕は思いその事を必死に伝えるが結局、駄目だと言われるだけであったので僕はその日は一旦諦めることにしたのであった。

次の日の朝に僕は再び王城に足を運んでいた。その時に偶然出会った冒険者の人から情報を得ることができてその人が僕に話し掛けてきたのである。その人も僕と同じ目的があって来たのだということであった。そして、その冒険者は僕と同じようにゼアのくれた紹介状を使って入ったと教えてくれた。

それからその冒険者が言っていたように僕達二人は一緒にパーティーを組んで王城の中に入り込んでいくのであった。そしてそれからその日の夜に僕達が宿泊していた宿屋の部屋に何者かが忍び込んできたのだ。その人物の目的は僕の殺害だったみたいだが、その人物が持っている武器があまりにも強力な物だったので、それに気づいた隣の部屋に滞在していた冒険者仲間達が助けてくれようとしたおかげでその人物は窓から逃走して僕たちは命拾いをする。その侵入してきた人物が逃げ去った後に僕はこの宿の部屋の代金を支払いを済ませてその人の泊まっている宿に行ってみたがもう既にいなかったのである。そして翌日になってからこの国の騎士団に所属している人に話をしてみるがその人は僕が渡したあの紙を見るなり驚いてしまう。僕はどうしてなのか理由を訪ねてみるとその人物はあの有名な勇者がこの世界に召喚されたという事を告げたのである。しかもその噂は、王都内だけにとどまらず近隣の村々に広がってしまいこの王国の周辺にいる全ての村や町から王都に助けを求めに来た人たちであふれ返った。その知らせをゼクトに伝えたところその事を教えられたらしく慌ててこちらの王国にやってきてくれと頼まれて僕は急いで王国に戻ってきたのである。

そしてその途中でゼクト達に出会った僕はこの国がどれだけ大変な状況になっているのかを聞かされていた。だからその話を聞いた僕は急いで国王に会う必要があるとゼクトとゼアに伝え、僕達三人は急ぎこの国の王都に戻ってきてそれから国王の待つ玉座の間に向かおうとしていた。

しかし、僕たちが王の間に向かって歩いている最中に大きな爆発音が鳴り響いたのである。

そしてその直後、ゼアは突然走り出したのだ。

それを見た僕は驚きながらもその後を追っていくとその先で、僕は信じがたい光景を目の当たりにして呆然と立ち尽くしてしまった。

そこには一人の少女が倒れていて、それを助けようとしている少年の姿があり、少年の後ろには巨大な魔物がいたのだ。それを目撃した僕の頭に一つの嫌な予感が過ぎってしまう。

(まさか、その少年が、ゼクトの息子!?)

その事を考えながら僕は、すぐに二人の元に駆けつけようと走り出すが間に合わずに僕は、その魔物に吹き飛ばされてしまったのである。それからゼクトがゼアの作った闇に入ってその場をやり過ごしてそれから僕達は、ゼクトに頼まれていたことをするためある建物にやってきた。

そこは王城の近くに建てられた貴族達が住む家の一つである。その屋敷の前にたどり着くと一人のメイドさんが現れてゼアの姿を見てびっくりする。僕は、ゼクトとクロアとクロを紹介した後で、僕達はこの家の主である人の書斎に案内されてそれからしばらく待たされた後で、僕の目の前に姿を現したのは白髪で年老いているが気品の溢れる雰囲気を醸し出している人物であった。

この人は僕の父親でもある先代の王の弟でこの国で一番偉い立場にいる人物なのだそうだ。名前はゼクトと言う。そのゼクトと僕は対面したのだがいきなり僕は殴られるのである。

ゼクトはクロとクロアの二人の魔王の存在をゼクトとクロアに確認してからゼアはゼクトに自分の能力で作り出した闇の中での出来事を説明すると、ゼクトはすぐにクロアを信用してくれるとクロの事も認めてくれたのである。

そしてゼクトは僕の方に視線を向けるとゼクトは真剣な眼差しで僕の目を真っ直ぐに見つめてきた。そのゼクトの表情に僕は一瞬だけ戸惑ってしまったのだ。

それからゼクトは僕達に話があると言ってきた。

僕達もそれを聞く為にゼクトの言葉を黙って聞くことにする。すると、ゼクトが口にしたのはクロとクロアの事であった。ゼクトは魔王の力を持った存在が現れたのは魔王が復活したのかもしれないと言っていたのだ。そして、クロとクロアには魔王が復活するまで自分達を守って欲しいと頼みこんできたのである。僕はそれを断るわけにはいかず承諾して僕はこれからクロとクロアと行動することを決めたのであった。

それから僕はクロとクロアを連れて僕達が泊まることになっている王城に案内されるのである。

僕は王城の中を歩きながらクロにゼクトとゼアの会話について質問をした。すると、ゼクトは僕がこの世界の人間ではないということを見抜いており、僕が元いた世界に戻るための魔法を知っているらしい。そのゼクトが知っている方法というのは僕を僕のいた世界での時間に飛ばすというものでそれを使えば簡単に僕を僕の住んでいた場所に戻す事が出来るとゼクトは説明してくれたのであった。

それを聞いた僕は、それを聞いて嬉しくなってしまいゼストの方を見ながら笑みを浮かべると、ゼトは照れているようでそっぽを向いてしまう。

そんなやり取りをしながら僕達は王のいる部屋にたどり着いたのである。僕はその部屋の扉をノックをして返事を待つことにした。その時にクロに耳打ちされたゼクトの話によると、クロト達はここでゼクトを裏切ってゼクトを殺すつもりなのではないかと僕は思った。それならそれで仕方がないとも僕は思っているから僕はいつでも攻撃に対応できるように備えてからゼクト達の言葉を待った。

しばらくしてからようやく王様の許可を得たので僕は中に足を踏み入れた。その瞬間から僕は何か違和感のようなものを感じてしまいその理由を考えたのだが、それは僕の目に飛び込んできたものを見て理解したのである。その部屋の中にはたくさんの人達が集まっていて、その中の一人の少女をこの場に似つかわしくないほど高価なドレスを着た女性が抱きしめて涙を流していたのだ。僕もその光景を見て涙が流れそうになり、僕は必死にその気持ちを抑えて平静を装っていたのである。それから僕が中に入ると、ゼクトは自分がこの王国を統治していた時の事を説明し始めてそれから僕が今から王になるべく試練を受けることになると聞かされてしまう。そしてその前に僕に試練を受けるために必要な力を貸して欲しいと言われたので僕は、僕はそれに了承してその儀式を受けようとしたその時、急にその女の子の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。その事に僕は少し動揺してしまう。しかし、それでも僕達は今から行われるであろう儀式の続きを行うのだった。

ゼクトから力を授けてもらった後、僕が身に付けているのはゼクトから渡されたあの剣だけだ。

僕が今いる場所は王城内にある王城の地下に広がる大迷宮と呼ばれる場所で僕は今からこの場所から出ることのできる出口を探すために動き回る事を決めたのであった。

その地下の大迷宮に入ったのが朝だったのでその大迷宮に入ってからかなりの時間が経過していた。しかし、まだ僕が通ってきた道を引き返せば戻れる範囲でしかなく僕は焦り始めていたのである。その時にクロも僕と同様にこのダンジョン内で迷子になっていたらしく僕を見つけるや否やそのクロから僕はこんな事を言われる。

『ねぇゼア、早くここから脱出しようよ!ゼアもゼアもゼアもこのダンジョンから脱出する方法を一緒に考えてくれる?』

「ああ、勿論だとも、この大迷宮から脱出する方法を見つけ出すぞ」

僕は、そう言って僕の腕にしがみ付いているこの大迷宮の中に入ってきた際に、僕達がこの王城から抜け出して他の町に行こうとしていたのに偶然にも出会った冒険者達の集団に、このダンジョンを探索しているという情報を伝えたのであった。すると彼らは、この王国の中でもかなり実力を持っているらしく、その冒険者たちが言うにはこの大迷宮の階層数は百層を超えているとのことだった。しかし、僕がこの大迷宮の何処に繋がっているのかわからない道を適当に進み続けたので現在いるのがどこなのかもわからなかったのだ。僕はこの広い迷路のような場所に心が折れそうになった。

しかし、その冒険者の話ではこの大迷宮は階層が多ければ多い程難易度が上がっていき、この最下層は一万階層だと言われていると教えてくれたのである。だから僕はこのまま進めば、もっと下に続くことが出来ると思った。

その言葉に僕とゼクトは絶望して落ち込んでいたのだがその話の途中で僕はその話を聞きながらこの先に進んだところでこの大迷宮は終わりを迎えてしまうのではないかと僕は思う。この話の中でその最下層は今までの階とは比較にならないほどの危険な魔物達が徘徊していて誰も攻略に成功した事はないと言われていて、僕自身もこのダンジョンがそんなに深くまで広がっているのかは疑問に思っていたところなのだ。だけど僕は、この大迷宮のどこかに、この王国の王になれるだけの資質を持つ人物しか入ることが出来ない場所が存在していると噂されていたのを思い出したのであった。

(その可能性に賭けるか、でももしそこに辿り着けなければ、その先には恐らく何も無いのだろうな。それに、ゼクトが王になるにはこの王国に蔓延る問題を解決する必要がある)

僕は、僕を召喚してしまった責任としてこの国の王になってくれたら僕としては嬉しいと思っていたのである。しかしゼクトにはその気は更々なくゼクトを殺せばいいと僕は思い始めた。

だから、僕はこの迷宮で死ぬかもしれないけれど、せめてゼクトを殺してから死にたいと決意し僕達は、僕達がいるその場所がどのような所なのかを調べるためにある行動に出ることにする。

ゼクトと僕は二人きりで行動を始めた。

まずはゼクトの魔法を使って僕の持っている剣に魔法を掛けると僕はそれを持って歩き始めると、その途中で魔物達と遭遇したがその魔物たちはゼクトが作り出した闇の中に引きずり込まれるのである。

僕達はそんな調子でひたすら歩き続けてそれからゼクトが突然立ち止まると、僕の目の前には大きな空洞が広がっていたのである。そして僕達が立ち止まったその場所には明らかに誰かが通った痕跡があった。

それからその跡を追っていくとそこには小さな部屋が存在していたのである。そして僕達はすぐに部屋の中に入る。その部屋の壁は真っ白でまるで雪原を思わせるかのような場所であったが、僕達は部屋の中央に設置されている台座に視線を向けたのであった。その部屋の中に置かれていたものは、台座の上に乗せられた金色の杯で、その中には黒い液体が入っていたのである。

その黒と白が入り交じったその液を見た時、ゼクトはその杯が魔の雫と呼ばれる飲み物だと説明すると僕にこの飲み物を飲むように言ってくる。その説明を受けた後、僕が躊躇しているとゼクトがいきなり僕を押し倒して僕の口を強引に開ける。僕は抵抗しようとしたがそのゼクトの力は尋常ではなく、僕の口の中に無理やり押し込むようにしてその液体を飲まされてしまうのであった。そして僕は気を失ってしまい目が覚めるとそこは見知らぬ場所だったのである。そして僕は、そこで目を覚ます前の記憶を思い出そうとしていた。そして僕は自分が何故ここにいるのかをようやく思い出したのだ。

僕はあの魔の飲みものを飲んでから僕は気を失った。それから僕が目覚めた時には、僕の周りには人が集まっていて僕は何故か自分の体を自分で動かすことが出来なかったのである。そしてそんな状況の中で僕は意識を取り戻す前に自分の身に一体何が起こったのかをようやく理解することができたのだ。僕はその部屋の床に転がっている物体を見て僕はそれを認識したのであった。それは間違いなく人の死骸でありそれが僕の近くに転がっていたのである。しかし僕は、なぜ僕の体を動かせない状態になっているにもかかわらずその人間の体の方だけ確認できたかというとその死体の首には見覚えのあるチョーカーが装着されていたからである。僕はその人間の死体を見下ろしてそれからその男に視線を移してからある事を思い出すと、僕をこのような状態にした犯人に僕は心当たりがあった。

すると僕は、僕の事をこの世界に呼び出してしまった元凶であるゼクトの方に僕は目線を移動させたのである。その僕の目線に気付いたゼクトは笑みを浮かべていたが僕はその表情が作り笑いだということに気が付き怒りを爆発させようとしていた。

その瞬間、僕をこの状況に追いやった原因でもあるクロとゼクトが僕達の視界に映る。すると、僕の体が急に動かせるようになり、僕が起き上がった事にゼクトとクロの二人は驚いていたがクロはすぐに僕に向かって攻撃を仕掛けてきて僕はそれに対抗しようと僕もその攻撃を防御する事にした。

そしてゼクトとクロも戦闘に参加し始め、戦いの渦に巻き込まれると僕は二人の動きを観察しつつゼクトの動きに合わせて魔法を発動させて攻撃する。

そしてゼクトが魔法を使った事で僕は一瞬にしてクロの攻撃をかわしそのゼクトをクロが追撃しようとしたところを僕はゼクトを庇ってクロの攻撃を受けた。その結果クロが発動した魔法がゼクトに当たりゼクトが倒れこむとクロはそれを見逃さず僕を攻撃した。僕は、僕を攻撃してきたクロの攻撃を受け止めた後、その衝撃で吹き飛ばされるがすぐに立ち上がりクロの方を向き直す。

僕をその部屋に置いてクロ達は外に出ようとする。

しかし、僕はクロ達を止めるために魔法を使いその扉を凍らせることで閉じ込めてしまうのであった。クロは氷に閉じこめられた事に腹を立てたようでその魔法の壁を何度も壊そうと体当たりするがその度に壊れた部分は僕によってすぐに修復される。

ゼクトが僕が放ったこの魔法の力を目の当たりにして僕の強さを実感しているようであった。そして僕がどうしてこの場に残りゼクトを殺そうとしているのか理解できないようでもあった。ゼクトは自分が殺されそうになっていたことに気付かなかったのであろうか。しかし、この男はゼクトの事をこの大迷宮のボスの所に連れて行くつもりだったらしくその話をゼクトに伝えると、ゼクトは自分一人でその大迷宮の階層主を倒しに行くと言い出す。僕にはその気持ちはわからなかったがその気持ちはわからないままでいいと思う。僕は僕自身でゼクトを倒すためにこの場所に居るのである。

だから僕は、この部屋にゼクトが入ってきたタイミングを狙って、魔法を放ち、その魔法でこの部屋の天井を崩す。それにより大量の土砂崩れが発生。僕はこの土砂に紛れ込んでゼアの後を追うことにしたのであった。僕は、このダンジョンの出口に向かう道を探していたのだ。しかし、先ほどまでの道は、魔物が多く出るせいなのかこの大迷宮の中層や深層に降りる階段に近付けば近い程、その階段がある場所に行けるまでの通路は魔物が出現する頻度が高い。だからこのダンジョンを脱出するためには一刻も早くこの大迷宮から抜け出さなければならなかったのである。

(このままじゃ僕の目的は果たすことができない)

僕はゼクトの側に居たいわけではないのだがゼクトは僕を利用して何かをする為の道具に過ぎない。そんな男の側について行きたくないしゼクトは僕の敵だとも思えたのであった。しかし僕が今このダンジョンの何処にいるのかは分からないのでゼクトにこの事を話そうと思ったがゼクトの魔力反応はこのダンジョンの中には無く僕はゼクトの生存を確認することは無理なのではないかと考えるようになったのであった。

僕がこの迷宮を彷徨い続ける中でゼクトの姿を発見することはできなかった。

ゼクトは僕に殺されたはずなのに、僕の近くにゼクトの魔力を感じることができなかった。僕がそんな風に考えている時に僕は突然後ろから肩を掴まれる。その感触で僕は咄嵯に反応し振り向くとそこにはこの大迷宮で出会った冒険者達がいたのだ。その冒険者の中にあの時僕の剣に魔法を付与してくれた青年がいたのである。僕にこの大迷宮の情報を教えてくれたあの男が僕の剣に付与してくれた魔法は聖属性が付与されていて、その効果によってこの大迷宮に徘徊している魔物達は僕の事を襲ってくることは無いと教えてくれた。

しかし、その冒険者はこの大迷宮は危険すぎるためここから脱出することを僕達に提案してくる。そしてその冒険者が仲間に合図を送ると仲間達がこの部屋に入ってきてこの部屋の入り口を封鎖する。その事に疑問を抱いた僕にこの部屋の出入り口が一つしかない事を説明する。つまりその出入りする事が出来る部屋が塞がれている限り他の場所からもこの部屋には入って来られないと説明をしだす。

(ゼクトがもし生きているとしたらその入り口を通って外に出るだろう。そしてゼクトがもしもその方法でこの部屋から出た場合、僕もそこに向かわなければならない)

僕は僕に話しかけて来た男に質問をした。そして僕がこの大迷宮から出られる抜け道を案内してくれないかとお願いしたのだ。

すると、彼は僕にそんな事を言うがそれは出来ないと言ったのである。僕にはその発言の意味が分からなかったが僕達には時間がないので急いでくれと言うと、僕はゼクトを探すためにその大迷路を駆け回り、魔物と遭遇したらそれを全て倒したり、避けたりしながら、ゼクトの事を探し続けたのである。僕はその探索を続けること数時間以上が経過した。

そして僕はある違和感を感じ取った。

その違和感の正体は僕が今まで感じたことの無い気配を感知したからである。

それは明らかに人とは違うものでありそしてそれが人の形をしているという事が分かった。しかし僕がそれを見た時に、それは人ではなくまるで化け物のような形相をしているのが分かり、その容姿からして、それが人間で無い事を理解する。

その魔物は明らかに僕のことを待ち構えているかのようにこちらに向かってゆっくりと歩いてきているように感じる。

僕はそんな相手に対して少しだけ距離を取りつつ相手の出方を待つことにした。すると僕がこの大迷宮で手に入れた剣と魔剣をその相手が取り出したのである。

「お前は俺の邪魔になるかもしれない」

そんな言葉を聞いた僕は思わず、この大迷宮で手に入れた魔剣を取り出したのだ。

僕達はゼクトが生きているのか死んでいるのかを確認しなければならないと僕は思った。ゼクトが生きてさえいれば僕はゼクトに会わなくてはならないし、ゼクトに会った後にどうしたいのかを考える必要がある。でも僕は僕に残されている僅かなこの力をゼクトとの戦いの為に残しておく必要もあると考えた。

そして僕と目の前に立っているこの男は、この大迷宮の中で殺し合いを始めたのである。その殺し合うというのはただ単純に斬り結ぶのではなくお互いの魔法をぶつけ合うというものだった。そしてお互いに自分の命を懸けて戦っている最中に僕は、その男の持っている刀に目をやる。その武器は普通の武器ではなく特殊な素材から作られて作られたものでありそして、それを使っている男の技は、ゼクトから教えられたものであるとすぐに判断する事ができたのである。そしてその戦いの中で僕はゼクトが死んでいなかったという事実を知り、安堵していた。

僕はその男との激しい攻防の末にその男が持っていた魔刀の魔力を吸収し、それを奪うことに成功してから、僕はその場をすぐに立ち去り僕は自分が使えるようになっている魔法でその階層を抜け出した。

その階層に存在している魔族の男達を僕の仲間の女性二人が殺した後、僕達は、この城の中にいる兵士達の事を片っ端から殺していったのである。その行為には特に理由があったわけでもないのだけどこの国の王を暗殺するためというわけではなく、その王妃を殺すことでこの国に僕達の存在を知らせようとしたのだ。それにはこの国にはもうすでに多くの魔族が入り込んでいる可能性が高かったからである。その事を考えての行動だと思っていた。

僕達の行動に気付いた城の兵士が僕達の方に走って来たのを見て僕はそれを足止めしようと試みたが結局僕は捕まってしまうことになる。そして僕は牢屋に閉じ込められてこの城に何が起こったのかもわからないまま時間だけが過ぎていった。そしてそれから数日が経過していた時、一人の少年がこの牢獄の前に姿を見せたのである。僕はその少年に見覚えがなかったのであるが、その男の子は何故か僕に謝ってきたのであった。しかし僕はこの男の子が誰なのかがわからなかったので、僕が何者かに捕らわれているという状況でこんな場所にやって来たその子を僕は怪しく思うしかなかった。

その子は僕がここに捕らえられていることを知ってこの場所にやってきたみたいだが、その事は本当に感謝していた。しかしその男の子はその女の子がこの場所で殺された事も知っていて、更にこの場所の警備を担当している者達を殺して、ここへやってきたと言っていた。

(その話を僕に聞かせたかったのかな?)

その考えはすぐに否定されることになる。なぜならその男の子は自分が国王だという事を名乗ったのだ。僕はそんな言葉を信じることは出来なかったのだけど僕はその男の子の瞳の色を見てしまった。その目には強い光のようなものがあり僕にも同じような力が備わったからこそ分かるものだったのだ。

だからその言葉を信じることにした。

僕はまだその事を信用できない状況ではあったがとりあえずはこの子の言葉に従う事にしたのである。その方がこの状況を上手く切り抜ける方法だと思えたのだ。その子供も僕と一緒に脱出してくれるみたいなのだが僕はそんな事をするつもりはない。その男の子の言う通りに僕はその子供達に手を貸すことにしてまずはこの地下深くにあるこの場所の脱出を目指したのであった。

ゼクトが僕を殺そうとしてきた事に僕は動揺を隠せないでいた。ゼクトが僕を殺そうとするのならまだわかる。でもあの優しいゼクトがなぜ僕を? しかもゼクトには僕を攻撃すれば僕に殺されることが分かっているはずだ。それにも関わらず、僕を殺そうとしてきたのである。それは何かの間違いなのではないかと僕は疑っていた。

(どうして、ゼクトが僕を殺そうとするんだ。ゼクトが僕を憎む理由はあるのだろうか。ゼクトは確かに僕の事を疎んでいたが僕が嫌いになったからとかそういう単純な理由で殺すとは到底思えない。そもそもあのゼクトが誰かの言いなりになって行動するというのも僕は納得がいかない)

僕達は今の状況を確認するためにも一旦落ち着いて話し合う事にした。その前にクロはあの場に残していては危ないと判断したのと、この大迷宮にいるといつまた他の人達に襲われるかわからないと思ったから僕達はその階層を脱出したのだった。そしてその後、僕とミユさんは僕達の仲間と合流して僕達はゼクトをどうやって説得するかを話し合っていた。しかしゼクトの説得は不可能に近いと僕は考えるようになったのだ。そして僕はあの時にゼクトに斬られた傷口から血が流れ出し続けているのに気が付く。この血の量では長く持たないと思った。

僕はこの大迷宮の最上階まで行くと、そこには、あのゼクトによく似た女性の姿がある。その女性はゼクトと同じ姿をしているのに僕の事を殺しに来る。そしてゼクトによく似ているけどゼクトとは全く違う表情をしているのが印象的だった。そしてその女性は、この世界の王の座に君臨した者の魂を持っているのがわかった。この女性のその態度からは僕に敵意を向けてきている事だけは伝わってきた。僕はゼクトに何かされたのかと問いかけるがゼクトは僕が知るゼクトではなかったのだ。そして僕達が会話をしていこうとしても、全く話が通じることが無いと分かったのである。そこで僕はある結論に至ったのだ。(もしかするとゼクトとそっくりの外見をしたその女の正体は、この世界とは別の星にいた地球人の女なのでは無いだろうかと)そうでなければ、いくら何でもこの世界でゼクトの事を崇拝するような存在は居ないだろう。そしてこの女性がこの世界を支配しようと企んでいるのかもしれない。この世界を混乱させようとしている人物がいるとすればその可能性が高い。僕が、そんなことを考えているとその女性は何やらぶつぶつ呟いていたが、どうもこの女性はゼクトが僕と初めて出会った頃の僕にそっくりな容姿をしている事が分かってきたのである。僕はその女性の言っている言葉に耳を傾けたのだが、その言葉が理解出来なかった。そしてその女性に攻撃を仕掛けようとすると僕はゼクトに斬りつけられてそのまま地面に倒れた。

(このままじゃだめだ)

ゼクトに攻撃しようとしても今の状態の僕が勝てる見込みはゼロに近い。

どうにかして僕がゼクトを倒さないようにして、その女性が元の世界に戻る方法を探そうと僕は思い立ったのである。

僕達がその部屋に入るとその少女は涙を流しながら床に座っていた。しかし、僕はその姿をみてどこかで見たような気がしたのだ。

(どこだろう。何処で会ったのかな?)

僕はその女の人の顔を見ながらその人との出会いを思い出していた。そしてようやく僕がその人を、思い出すことに成功した。僕は僕が今まで体験してきた異世界の物語の中でその人が着ていた衣服に似た物をみていたからだ。しかし僕は何故こんなところに来たのかその事について疑問を抱く。すると、僕の隣にいた少年が話しかけてきたのである。

その少年は僕に自己紹介をしてくれたので、僕の方もその時に名乗り、そのあと、僕は、その少年からその女の子の事を聞いたのである。するとその子は自分の名前を、リザリスと名乗った。僕はその名前を聞いて、僕はこの女の子の身に一体何が起きたのかを理解して、少し悲しくなっていたのである。僕の妹の名前は、この子と同じ名前であり、この子は僕の妹の名前を間違える事無く覚えていたのだ。それに僕は妹の話が出来る相手に出会えて嬉しいとも感じていたのだ。ただその気持ちと、この子が、どうしてここにいるのかが不思議でしょうがなかったのである。僕がそんな風に戸惑っていると少年はリザードスがこの場所に来てしまった理由を教えてくれたのであった。どうも彼女は、自分の中にある力を抑える為に、ここを訪れたらしいのである。

僕はその話を聞いた後、彼女の持っている魔道具の力を借りる為にも彼女と契約を結ぶことになったのであった。僕と契約をする事になった彼女は、契約をする時に、自分の力を使う時だけ、自分に許可を出すようにしてほしいと言われ僕はその言葉を承諾することにしたのである。

僕は、契約の儀式を行い終えた後に彼女が僕に対して何かを隠しているという事が分かり、その事について聞こうとしたのだけど、どうやら、彼女も話すことは出来ないようであった。そして、その儀式を終えた後、僕達は、僕が知っている知識の中での魔法の練習を始めたのであった。僕はその時にこの子の魔法適正を調べることにする。

その結果から分かる事は僕はこの女の子は水属性魔法が一番適性があり、土と火がそれに次ぎ、闇は使うことが出来ないということが分かったのである。僕達はそのまま訓練を続けていき、その日の夜を迎えた頃には魔法は、ある程度使えるようになっていた。その事に僕はとても満足していたので、その日は、この子と僕だけで休むことにした。

次の日の朝になり僕は起きてこの子に朝ごはんを食べさせようと思ってこの部屋の中を探索し始めたのだけど、どうもこの城の中には食料が備蓄されていない。その理由はこの部屋に誰も立ち入らない為なのだ。だから僕は仕方なくこの子を僕の部屋に連れて行きこの子と朝食を取ることにした。その時にこの子の髪を見て驚いた。なんと僕の妹とまったく同じ色をしていたのだから。

僕は、僕の事を慕ってくれているこの子の名前を呼びながら、その頭を撫でていると何故か、この子から殺気を向けられる事になってしまったのであった。

その出来事があった後は僕は一人でこの城を脱出することを決めたのであった。

僕はリザードスと別れた後にこの大迷宮の最下層に向かう階段を下っていた。僕達が下っていたのは螺旋階段のような造りになっていたからとても時間がかかると思いきや、意外と早く最深部に到着したのである。そこは巨大な空洞となっていてその中央に人の形をした石像が存在したのである。それはゼクトの見た目によく似たその女性の容姿が刻まれていて、それが誰なのかを物語っていた。

「この女性がゼクトが崇拝していた存在なんだね」

僕がゼクトに似ていると感じたのは間違いでは無かった。なぜならゼクトに似ていた女性は僕に攻撃しようとはしなかったからである。おそらくこの女性がこの世界の支配層になっているんだろうと思った。

(だけどゼクトに命令できる立場って何者なんだよ。この世界の人間じゃないとゼクトを自分の思うがままに操ったりできないはずなのにどうしてこの人はゼクトを自由に扱う事ができるのだろうか)

僕はそんな事を考えてしまう。この女性もゼクトと同じように、僕の妹に関係しているのかもしれないと思った。

僕はゼクトを救える可能性があるのはその女性だけだと考えていた。ゼクトがこの世界に居る事でこの女性に迷惑が掛かっているのであれば、まずは、この女性の目を覚まさせる必要があった。

(だけどこの女性に何を言えばこの女性は目を醒ますんだ?)

この女性はゼクトに命を救われたというが、そもそもゼクトにこの女性の事を認識させることさえできればゼクトは、僕達の味方になってくれる可能性はあると思っていた。しかしゼクトは目の前の女性のことを認識できなくなっている。この女性はゼクトを裏切ったというがゼクトはそれでもこの女性に感謝をしている。だからこそ僕はゼクトがなぜ僕達の事を助けてくれるのかがわからなかったのだ。

(そもそもどうして、ゼクトはこんなところにまで来てしまったんだ)

僕の頭の中に浮かんでくることは、どうしてゼクトはこの世界に来て、そして僕達の前に現れて僕の事を何度も殺しておきながら、僕の事を守る行動に出ているかということである。僕には、僕が殺されないようにしているゼクトの行動の意味が全く分からなくなっていた。

(僕がゼクトに殺されるのは別に良い。だけどどうして僕がゼクトを殺すことになるのだろう?僕は、あの男に恨みを買う様なことをした記憶が無いんだけど、やっぱりこの女性は、この世界の支配を企む組織と関わりがあるということなのだろうか?)

そんなことを考えているとその女性の体が突然光り始めた。僕は、僕は咄嵯の出来事に驚き戸惑う。そして光が消えた後には、その女性は居なくなっていたのだ。

「どういうことだ?」

僕はこの女性が居なくなったのに困惑した。そしてこの空間の何処にも居ないということが分かれば僕のこの女性に感じていた疑念もさらに強まるのである。

(ゼクトは一体どうやって、ゼクトにそっくりの姿をしている女をこの世界で探してきたんだ)

この女性が本当にゼクトに命を救われたというならゼクトがこの世界の支配を目論んでいる奴らと関わりを持っている可能性が高いと言うことでもある。僕は、そう思いながらも僕は、今の状況でゼクトを救う方法は何か無いかと考えたが僕は何も思い浮かぶ事が無かったのである。しかし、僕は諦めずに、どうにかこの状況を打破する方法が無いのかと必死に考える。そして僕の中に一つの案が思い付いたのだ。

僕はゼクトに瓜二つの女性が現れるのは偶然ではないのではないかと思ってしまう。つまり、僕とゼクトが出会わせてくれた女性は僕にゼクトと出会わせる為にわざわざこの世界に僕を連れて来たのではないかという結論に至る。僕がそんなことを考えているとその女性はまた僕の前に姿を現したのだった。

僕が考え事をしているとゼクトにそっくりな女性が再び現れた。その女性の姿は先程見たときより少し幼くなっており、外見的には十二歳程度に見える姿に変化していたのである。その女性の外見を見たときに僕は、その女性の髪の色が銀色であることと目が青色であることが分かっていた。

(ゼクトの髪の色は赤色で目は緑色だ。そして瞳孔も人間のものではない。この人の髪の毛の色は銀であり、肌の色は白色で髪は綺麗な金色で目の色と肌の色が黒くなっている。それにしても、ゼクトと似ているというかゼクトそのもののように見える。この人は、僕が今まで見たことがあるゼクトが作り出した人形とは比べ物にならないほど精巧に作られている。この人もしかして生きているのかな。でもどうして、どうしてこの人の身体から魂を感じられないんだ?)

僕はその女性を観察をしているうちに疑問を抱いた。僕はその事に戸惑いながらその女性を見ている。しかし、その女性が発した言葉で僕は驚かされることになる。僕は、僕の考えを読み取られたような気がしたのである。そして僕は自分がその女性に対して抱いていた疑問が読まれていたことをその言葉によって理解する事となったのだ。

「お前は何者だ。どうして、私の事をみることができたのだ。まさかこの姿をみられているというのか。だがそんな事はありえない。私の正体を知っているのはこの世界には存在しないはず。それではお前は一体何だというのだ」

その女性は明らかに動揺していた。僕は、その言葉を聞いていた。

(やはりこの女性が僕が知っている人と同じ存在だとしか考えられない。それにこの反応を見るとやっぱり僕が知っているあの人と同一人物なのかもしれない。どうしてこの人は僕をみて怯えるような表情をしたんだ。どうして僕のことを敵視するような態度をとったのだろう。僕と敵対しないというのならばこの人は僕に力を貸してくれるんじゃないか。だって、この人は、僕が妹の力を使って作り出すことができる最強の剣の素材になるはずだ。いや、この人が協力してくれるという確信はないけどこの人を僕の力だけで倒せるとは思えないしね。だけども僕が妹の力を使わない状態で戦って勝てるかどうかと言われたら正直わからないんだよ。この人は僕を自分の仲間に誘ってくれるかもしれない)

僕はその女性の質問に答える事にした。僕の持っているスキルや僕自身のステータスについてはこの場で明かすべきではないと判断する。僕もまだ相手の能力について分かっていない状況で自分の能力を開示するのは得策では無いと思ったのだ。だからこの女性に対しては嘘をつくことにした。その女性は僕が黙っている事に警戒心を強めて僕の方を警戒してくるが気にせず僕は話しだすことにしたのであった。その女性が僕が何も答えないと悟ると怒りを露わにし始める。

(この人はいったいなにがしたいんだ)

僕はそう思いながら話を続ける。

僕はまずは自己紹介から始めることにした。まずはこの人の名前を知らないからね。僕はそう考えてその人に名前を聞いた。

その人は、自分だけの名前を持たないと答えてきた。どうやらこの人は、自分の存在を認めたくないらしいと思った。だけど僕はこの人が自分の名前を嫌がっても、僕の仲間になってくれるならその名前を呼ぶ必要が出てくるかもしれないと思った。なのでこの人の名前を僕が付けてあげることにしたのである。

(やっぱりこの人は僕の事を殺しに来るんだろうな。どうしようかな。この人は僕の事を恨んでいても不思議じゃないんだよ。だって僕の妹の力を奪った張本人だし)

僕がそんな事を考えていると僕の事をその女性は僕の事を観察するように見つめてきていたので、僕の事をじっくりと見られていると落ち着かなかったのだ。だから僕は彼女に僕の事を殺してもいいと伝えることにする。しかし彼女はなぜか僕の提案を拒否してきたので僕達は殺し合う事になった。

僕は彼女が魔法を使うところを見たことがなかったのでこの女性が何種類の魔法が使えるのかということがとても気になったのである。だからその女性に向かって鑑定を使ったのだ。

僕はその結果にとても驚いたのである。なぜならその女性の魔法の属性は全部で九種類あったからだ。

「お前、私の鑑定系の能力を持っているのか?」

その女性が、僕に対して話しかけてくる。

「ああそうだ。俺のユニーク能力は『万物を見通し通す神眼』というんだよ。だから俺に隠しているつもりだろうが自分のことを覗き見されて気分が良い訳がないだろう。だけどさ、お互いの事を詮索する前にまずは自分の事を明かした方がいいんじゃないかな。じゃないと話し合いができないと思うんだけどどうかな?」

「それは確かに一理あるかもしれん。分かった私がお前に明かしていない情報を教えようではないか。まずは私にはお前達がいう所の聖魔法と呼ばれるものは一切使えないぞ。そして私は全ての聖の魔法が使用できるという事だけだ。他には私にも固有技能という物が有るのだ。その効果は私の姿をこの世界の人間が見ることが出来るというだけのものなんだが、しかし、この世界の住民に、私の姿がみえても、声は聞こえないんだがな。あともう一つ言っておくとこの空間での戦闘で負ければ、お前たちは確実に殺される事になるからな。せいぜい死ぬことのないようにするんだな」

僕は彼女の話を聞いた時、彼女を殺す事ができると一瞬思ってしまってしまった。

しかし、すぐに冷静になり思考を変える事に成功したのである。

(どういう意味なんだろう。どういうことなのか、分からない。どういうことか全く想像がつかない)

僕はその女性になぜそのような事を言うのかを尋ねようとした。だけどその前に僕達の前に先程の女性とよく似た見た目の少女が現れたのだ。

(またゼクトの知り合いかよ!一体どれだけゼクトと同じような格好をした女性がいるっていうんだよ)

そう思った僕はその女性を見てしまった。

すると突然僕達の目の前にいた少女が消えてしまったのである。

「どういうことだ?」

僕が目の前の事が信じられなくてそう言うと僕達の周りに結界の様なものが構築され始めたのである。

「これは、この女性の能力か?だけど、僕にはこの女性は殺せないんだけど。この女の人は何をしようとしているんだ。だけどこれで僕にこの女性の力を使わずにこの女性を倒せるかもしれない手段ができた」

僕はそう言いつつその女性の方をみた。そして僕はその女性の事をみてしまい、僕達の目の前にいる女性と先程僕の目の前に現れた女性に共通点があるのに気づいたのである。

僕がその二人の女性の外見の違いについて悩んでいると、僕の目の前に先程僕の仲間の女性が立っていたのである。僕は咄嵯のことに戸惑ったのだ。

「なにが起こったんだ」

その言葉を聞いて僕の前に立った女性が僕の問いに答えるかのように口を開いた。

「この女が先程言っていたことは真実だ。今お前が倒したはずの私の分身が先程ここに現れて、そして再びどこかに消えた。そういう事だ。しかし今この瞬間だけは私の分身を消さないでくれたことに感謝しているぞ。だが次からはもう容赦はしない。お前の仲間たちは私の分身の相手をしていてくれて良い。だけど私の本体はそいつと直接戦うことにするよ。だから邪魔をしてくれると困る。いいね?」

そう言うとその女性は僕と戦闘を始めようとするのであった。僕は、僕はゼクトの偽物と僕の仲間と戦う事にした。僕の前には先程僕の前に立った女性の分身体であると思われる少女が立ち塞がっている。僕に襲いかかってきた女性の方は、ゼクトの本命の方と戦い始めていたのである。僕の後ろの辺りで激しい戦いが始まっていた。その音で僕の集中力が乱れたせいでその女性が僕の懐まで潜り込んでいたのに気がつかなかった。しかし僕は、相手の動きを読むことができたために、何とかその女性の拳を避けることに成功したのである。僕はそのままその女性の腹に蹴りを入れようとするがその女性の体は先程とは違い簡単に蹴飛ばすことができなかった。僕は驚きながらも何度も攻撃をするが、全て受け止められていたのである。そして僕は反撃を受けたのだ。その一撃は僕に痛みを与えるほどの攻撃であり、僕は自分の腹部に手を当てて、痛みを和らげようとしたがそれでもかなりダメージを負った。

(なんて重い攻撃だよ。僕の攻撃を受け止めた後にこの人は反撃してくるから防御が間に合わないんだ)

その女性の動きの速さが僕の思っていたよりも速かったのだ。僕の仲間の一人である女性が僕の方を見て心配そうな顔をして近づいてきた。

僕に話しかけてくる女性を僕は止めようとしたけどその女性は僕の言葉を聞くことなく僕の仲間と一緒にその女性の相手を始める。

その女性に僕は仲間の女性に気をつけながらその女性を自分の力で倒してくださいと言ってから僕はこの国の女王に目を向ける。

この国は僕の大切な人達を沢山奪っていった憎き敵であるこの国に復讐をする為に訪れた場所である。僕は僕自身の手でこの国の王にこの世界に残していった家族が受けた仕打ちと同じ苦痛を与え、この世界に残した者達の敵を討つ為に僕はここに来たのである。僕の目の前にいるこの国の王である男はこの世界に存在するあらゆる種族の女性が欲しくなってこの城に集めているという情報を得ているのである。しかもこの男が、自分の娘までも犠牲にしていた事を知った僕は、この男に必ず報復することを決めたのだった。だから僕は、その男が大切にしていたらしい自分の妻と子供を僕の目の前に連れてきてこの場に現れさせることにした。

僕はその女性の力を僕自身の力に変えることによって新たな力を得たのだ。そしてこの女性が元々持っていた力と僕の力を合わせることで更なる力を手にすることができると考えたのである。その力を手に入れさえすれば僕は僕の世界で僕の力になってくれていたその女性に勝てるかもしれない。その女性の力を完全に手にすることができなくても少しだけ手に入れることが出来れば、僕自身の力を高めることが可能だと僕は考えたのである。それにその力があればもしかしたら僕の妹をこの世界に取り戻すことができるかもしれない。僕が妹の力を手に入れることが出来たようにこの力をうまく使えば妹の力を取り返せるのではないかと思ったのである。

僕の前に、僕の妻がこの世界に連れてこられた。その妻は、僕がこの女性と対面した時に怯える様子を見せたあの女性であったのだ。僕と再会した時と同じように彼女は僕が知っている頃の優しい雰囲気ではなくなっておりとても恐ろしい表情になっていたのである。僕は、この女性がそんなにも怖い人になってしまった原因を作ったであろう存在のことを思いだし、怒りに駆られそうになっているが僕はなんとか我慢をして僕がこの世界にやってきた本当の目的を果すための行動を開始したのである。

僕に殺されたはずの存在が生きていたという事実は衝撃的ではあったがその女性は僕の前に現れると僕を自分の物にしようとしていたのである。僕は、自分の体の中に取り込んである妹の力に意識を向けることにした。そして妹の力を取り出す方法を考え始める。僕は、この女性の力を奪うという選択肢が僕の中で頭に浮かんできたのだがそれは駄目だと考えたのだ。それはあまりにも危険な考えだと思いやめた。なぜならこの力はこの女性の魂と一体化しているものだと感じたからだ。もしも無理やり引き剥がしたりしようものならきっと僕はこの女性の魂を消滅させてしまうことになるかもしれないと思ったのである。だから別の方法を試そうと僕は考えることにしたのだ。

そして、僕がまず初めにしたことは、僕の目の前で女性を殺そうとしている女性を倒すということだ。この女性を僕の仲間達が抑えてくれるというのであれば問題無いと思ったのだ。だから僕はこの女性と向き合う事にしたのである。

その女性の名前は『レイシア』といい僕の元妻でもあった女性だ。その女性は、とても強者の雰囲気をまとっており、普通の人には彼女のことが見えないということなので彼女がどれだけ強くなったのか僕には分からなかった。そして彼女が身に纏うオーラのようなものは先程の偽物のゼクトに似ていたが明らかに違う点もあったのである。それは、その人の性格などが表に出てくるようなものではなく何かこう邪悪な感じがするという印象を受けたのだ。僕がそんな事を思い返し、僕に襲い掛かってくる彼女の攻撃をかわし続けていたら突然ゼクトが現れたのである。そして、僕をこの女性から守ろうとしてくれたのだ。

「久しぶりね。元気にしてた?」

ゼクトがこの女性に対して、まるで旧友と会ったかのように接していたのである。その女性の事をゼクトは昔から知っているようだった。

(一体どういう事なんだろう?)

「あなたとは前に一度だけ会ってるわよね?私はその時のことを覚えているのよ」

「なるほど、俺のこともちゃんと覚えてくれてたんですか?それは光栄ですね」

「そうね。でも私にとっては貴方との事は良い思い出ではなかったけどね」

「そうかもしれませんねぇ。俺だって貴方のせいで死にかけたんですからね」

僕は、二人の間でどんなやりとりがあったのかを知らない。

だけど、ゼクトのその言葉を聞いても僕は不思議と嫉妬心は湧かなかった。ゼクトに僕のことを忘れられていたことが悲しかったけどそれでもゼクトに僕を仲間としてみてもらえて良かったと思っているのである。しかし今は目の前のこの女性とゼクトがどういった関係なのかということを詳しく知る必要があったのだ。だから僕は二人の会話に割り込んだ。

「待ってくれ。君は本当にゼクトなんだよな?」

僕はその女性と会話をしているゼクトの事が気になったので質問をした。

「えぇそうですよ。それがどうかしたのでしょうか?」

その女性の態度は明らかに今までと異なっていたのである。

そして僕達はその女性の相手をすることにしたのである。僕は、僕の仲間の女性の方をみて、そちらの方を優先にしてほしい事を伝えた。するとその女性はその女性と戦闘を始めたのである。僕はその女性の動きが僕には全く見えていなかった。僕はゼクトの方を見ずにその女性を見据えるのであった。

僕の視界の中にはその女性とゼクトしか映っていない。僕の後ろにいたはずの仲間の女性はいつの間にかいなくなっていて、その代わりに僕の後ろでは戦いの音と、時々仲間の女性の断末魔のような声が聞こえていたのである。僕は、その音を聞いていると、だんだん不安になり始めた。僕は背後を振り向いてみたのだ。そこにはもう誰もおらず、僕の目の前で戦っている女性達しかいないのであった。

僕が目の前で起きている状況が飲み込めないでいるとその女性が僕に話しかけてきたのである。

僕は彼女達の戦いを止めようとしたが何故か体が動かずにただ見ていることしかできなかったのだった。

「おい!ちょっとあんた!今すぐ戦闘をやめるんだ!!」

僕はその女性に向かって叫んだ。しかしその女性は僕の声を無視してゼクトとの戦いを続けていたのである。僕は、その女性が発する衝撃波によって僕の体が宙に舞ってしまい地面を何度もバウンドしてしまっていた。そしてその衝撃で僕は気を失ってしまいそうになるのを何とか耐えていたが僕の体力は既に底が見えてきていたのである。僕の体に痛みを感じながらも僕の頭は戦闘に集中しており、ゼクトの動きを観察し続ける。

(どうして僕がこんなに必死になっているのに僕の体は言うこと聞いてくれないんだろう。この人が僕より強いからかな?それともこの人に勝たなくちゃいけないっていう強迫観念でもあるのだろうか)

そんな疑問を持ちながらも僕の意識はどんどん遠くなっていったのである。

「これで、終わりにさせていただきますよ。この女を倒してしまえばあなたの方は完全にフリーの状態になってしまう。それは非常にまずいんじゃないですかね。あなたの仲間である男はかなり強かったみたいだが流石にあいつの能力はあなたにとって厄介なものとなるでしょう。だから俺はこのまま終わらせることはしないよ」

ゼクトは僕に話しかけてくる。

その言葉を聞いた僕がどうにかして意識を保っていたとき僕の耳に誰かの足音が僕の耳に入ってきた。そしてその人は僕の元に近づいてきた。僕の意識が完全に途絶える直前僕は僕の耳元からその人と思われる人物の声がした。僕の名前を呼んでいる。僕の知っている声で、僕の大好きであった女性の優しく包み込むような暖かい口調が僕の耳に届いてきたのである。僕の目の前にいる女性が僕の事を呼んでいたのかと思っていた僕は安心してしまった。だから僕はその女性が僕を抱きかかえた時に抵抗しなかった。

その女性が僕を助けてくれたことに間違いはない。その女性の顔を一目見るだけで僕は嬉しくて涙が溢れ出てしまいそうになっていた。僕の知っている顔とそっくりだったのである。

僕はその女性に抱きしめられ、僕とゼクトの勝負が終わってしまったのであった。そして僕達はゼクトに連れられてその女性の屋敷に僕を連れてきていた。

その屋敷に連れられた僕は、僕の家族に再会することができたのである。

僕の大切な家族。僕の妹。その女性と妹の力は僕の中に存在しているが妹の力を僕が手に入れるために必要だったその女性と僕の妻と娘と対面するのも久々であるし僕自身もこの人達のことがずっと気がかりだったのでとても喜ばしかった。妹と一緒に暮らしている僕の家族はとても幸せそうな生活を送っているようであり、僕の妻と娘に危害を加えるような者は誰もいなかったのだ。だからその人達が無事であったことにとても安心したのである。そしてその人達は、僕の家族を自分の娘の婿にしたいと考えているという。僕もその意見には同意した。

その女性は、僕の妻の妹を自分の娘として引き取るという約束をしていたらしい。僕はそれに関して異論は無かった。むしろ、妹の力を返してくれてありがとうと言いたかった。だから妹の力を取り戻せただけでもその女性に対して感謝したかった。それに僕の家族の安全が確保されたことにとても喜びを感じたのである。僕達の元に現れたゼクトという男が僕達に襲いかかってきたその女性を倒してくれてからというものの、そのゼクトと名乗る男のことがとても気に入ったので是非僕の仲間にならないか誘った。だけどゼクトは仲間になる事を拒否したのである。そしてゼクトが去り際に僕に対して一言だけ言葉を残したのである。

「あなたとはまたどこかで会いそうですね」

そう言い残してからゼクトはこの場から去って行ったのだ。僕はゼクトの言葉が少しだけ不吉な事を言い残すかのようにも思えてしまったが、その可能性は低くゼクトが次にこの世界に来るときにはこの世界に平和が訪れている事だろうと思って僕はあまり気にしないことにしようと決めた。僕はゼクトが去った後に僕が助けた女性を家に案内したのだ。その女性はゼクトのことを全く知らなかったようでゼクトがこの世界にやってきたときに自分の家の中にゼクトを招き入れたことを僕は不思議に思っていた。そしてゼクトが僕と僕の娘達を殺そうとしたことを話してくれたので僕はその事に激怒してゼクトを殺そうとしたが僕は何故か体が思うように動かすことができなかったのだ。だから僕は仕方なく自分の身体の中で僕の事を監視していた妹の魂の力を使ってゼクトを倒すことにした。そして僕は僕の中にいた妹を呼び覚ましたのである。そして僕に憑依していたその女性の中から僕の妹が出てきたのだ。

僕が僕の娘である妻が蘇らせた女性には名前がなかったのだ。なので僕は、妻の妹にその名前を付けてもらうことにしたのである。その女性の名前は『アリア』と言うそうだ。そして僕は僕の妻が蘇生させてくれた女性に僕が今までに知り得ていたこの世界の歴史や文化などを丁寧に教えていくことになった。僕はその女性の先生のような立ち位置になったのだ。この世界のことについて詳しく知ることのできるその女性は僕にとってはこの上なく有難い存在だと思っている。

そしてその女性は僕の事をとても頼りにしているようだった。その女性からはまるで僕の事を本当の兄のように慕ってくれているようでもあった。僕は、僕がこの女性のためにできる事ならば何でも協力すると伝えたのである。しかし女性は、何か困っていることがあるようなのにもかかわらず何も語ろうとはしなかったのである。僕は女性にどうしてそのような行動をするのかを聞くとその女性は何かを考えているような様子だったが、やがて僕の方に目を向けてきたのである。僕はその女性を見ているうちに僕の心臓が激しく動き始め胸の奥が熱くなってしまったのである。何故そうなっているのか僕にはわからなかったのであるが僕は次第に頭が真っ白になってしまい何を考えることもできなくなってしまったのである。そしていつの間にか僕の近くにいるその女性の顔を見ると更に僕の体は熱くなると同時に鼓動も激しくなり、僕は自分でも気づかないうちに女性を襲ってしまっていたのである。

(一体僕は何をしているんだ?いくら我慢できなくなってるとはいえ僕はこの人の事が嫌いだったはずだろ?それなのになんでこんな事をしてしまっているのだろう)

僕は僕の身に起きていた異変の正体がわかり始めていた。

(僕の心がこの人を求め始めたからこの人のことを僕のものにしたいって思い始めてるからなのだろうか?この人が、あのゼクトに操られていた女性だからなのか?僕にもよくわからない)

しかし僕と女性が一緒に寝ているのを見ていた妻はその光景を見て激怒すると共にその女性を殺して僕を助けてくれようとしたのだが、その女性は自分の力ではどうすることもできなかったようだ。僕と女性の交わりを見つめながら涙を流していたのであった。その女性を殺した僕は、自分の身に起きた不思議な現象が何なのかを理解することができた。僕が自分の体を動かせない時に僕の中にいたのが妹の魂であったからだ。僕と妹の力が合わさった結果、僕の体に宿っている妹の能力と僕の持つ女性の力と、その女性の持っている僕と交わっていたときの感覚が混じり合い、その女性の体が僕のものになったということだと理解した。僕がその女性の体を乗っとったわけではない。あくまでその女性の体の主導権は女性の側にあり僕はその女性の身体をコントロールすることができない。そしてその女性の意識はまだ残っているらしくその女性は僕のことを自分の夫として認識しており僕に対する愛に目覚めたのだった。そして僕のその女性に自分の意志を伝えようとしたがその女性は僕の声が聞こえることは無く僕の事を自分から奪おうとする悪魔だというような印象を受けてしまっていたのである。そしてその女性が僕に向けて放った魔法によって僕は瀕死の状態に陥ったのであった。そして僕の中に存在するその女性の力は、僕から離れて女性の体から離れていってしまい僕の肉体は女性の物となったが、僕は死んでしまったのか意識がなくなり僕はその女性から僕の存在そのものを奪っていった女性の記憶と僕の魂の一部と融合した状態で復活することになった。

僕はそのあとその女性に謝り許してもらった。だけどその時のその人は僕の事を自分の夫とは思っていなくて僕のことを警戒し、僕が女性に触れると僕がその女性に触れられているように感じてしまい嫌がってしまう。そして女性は、自分のことを救ってくれたのは僕だと思い込んでいたのだった。そして僕が生きている限りこの人にとって僕は敵であるという風に思われているらしいのだ。その女性は僕が意識を失ってしまう寸前に僕の名前を読んでいたらしいのだが、それも聞こえてないくらい意識を失っていたらしい。だから僕は僕の妻の家族と一緒にその屋敷に住む事になったのだ。そしてその女性は僕と一緒に過ごすうちにだんだん心を開いているようになってくれた。そして僕は自分の妹と一緒に住んでいる僕の家族の元に行くことになる。

僕がその屋敷に連れて来られて、僕の大切な妻と娘に再会した。僕の家族は元気に暮らしていて特に問題は無かった。僕の娘が僕の妻の妹と結婚をすることに僕は賛成であった。それは僕の家族にとっても良いことであるし何より僕自身が二人の仲を認めたいと思っていたからであった。

僕の妹も結婚をすることになり僕の娘達とも仲良くなっていたから心配はいらないだろう。僕は、僕達がゼクトと戦って手に入れた力を試すためにその力を存分に活用しながら、僕達を苦しめたそのゼクトを探し出したのである。そのゼクトは今、別の世界に転移する準備を整えており、そのゼクトの力はもうじき完全に消えてしまうらしい。僕はそのゼクトを倒しに行った。その僕の前に現れたのはゼクトと戦えるほどの実力を持つ男性であった。そしてその男性は、僕に話しかけてきたのである。その男性の名を聞いて僕はその人物に対して強い嫌悪感を抱いてしまったのであった。僕はそいつの事をよく知っているのである。

僕の実の父親である。

僕はその男を倒すと、僕の身体から白い光が溢れ出すと、僕は僕の中に存在していた女性から追い出されてしまい元の僕の身体に戻ったのである。僕はこの女性の中に僕の妹の人格を戻さなければならなかったのだ。だから僕は僕の中に存在している妹を呼び起こした。僕は僕の中にいた妹を取り戻そうとすると妹の方もそれに応えてくれたようで僕の元に近づいてきた。その女性は僕に抱きついてきてくれる。僕はその女性が妹であることを確認できて嬉しい。僕は自分の妻と娘にも感謝を伝えるためにもまずは妻と娘と触れ合っていこうと思うのだ。だから妻も娘も僕は二人まとめて抱きしめてあげたのである。

「僕が君を必ず守るよ」

僕の言葉に妻も娘も泣いていたが僕は僕の中にいたもう一人の僕が僕のことを助けてくれたことを感謝すると共に、僕の妹が無事に僕の身体に戻ってこれたことに感謝した。だから僕は僕に好意を持っているであろうその女性に自分の妻や娘を任せる事にして、僕はゼクトを倒すために再び旅に出るのであった。僕の中には、まだゼクトの力の一部が残っていたみたいだがそんな事は気にせずにこの世界で手に入れたこの剣で僕はゼクトと戦う決意をしたのであった。

僕はこの世界を支配しようと僕を殺しに来たあの男がこの世界に現れてからずっとこの世界を支配された世界に変えるためにはどうしたらいいのかを、ずうっと考えていたのだ。僕は僕の目的のためにゼクトが作り出したこの世界を破壊する事しか頭に無かったのだ。僕はこの世界の事を憎んでいたのかもしれない。しかし僕に力を与えてくれた存在はそんな世界を変えていきたいと僕に語ってくれたのを今でもはっきりと覚えている。彼は僕に言ったのだ。

この世界は変わる必要があると。僕が僕達が住むこの世界の王になればこの世界は良い方向に進んでいけると。そう言っていたのである。そして彼ならその方法を知っているだろうとも。僕は僕の目的を達成させるためにもこの世界を変えるための行動をすることにしたのである。そして僕は妻や娘のいるこの場所を守れればそれで満足だと思った。この僕が住んでいた場所を壊されることがないように守り続けようと思っているのだ。だからこの場を守ることが僕の今の使命なのである。そしていつか僕がこの世界を本当に変えていくことができたらその世界では僕は僕の本当の母親や僕の育ての母親の魂がこの世界から解き放たれるようにしようと思った。だから僕はこの世界のどこかにいるはずの僕の育ての母を見つけ出して僕の母親の魂を解放することにしたのだった。僕の育ての母の魂はこの世界に存在していなかったのでおそらく僕の本当の母さんのように魂だけの状態になって今もこの世界を巡っているのではないかと推測したのだ。僕は僕の母の魂を見つけるべく、その僕の母親を探す旅に出かけることにした。そして僕がこの世界を変えていくために行動を始めようとしていたときだった。僕の事を一人の青年が僕の元へやってきたのだ。その人物は僕の事を殺さないで欲しいと頼み込んできた。そして僕の目の前に姿を現したのである。そして僕はその男の顔をみてすぐに思い出したのだ。僕の父親であり僕の命を狙ってきたゼクトの仲間だったということをだ。その男は僕の目の前に姿を現したかと思えば、僕の前に土下座をしたのである。僕はその行動の意味がわからなかった。僕は僕の父であるその男の事が大嫌いである。僕はその父の行動を怪しんではみたがその理由がわかってしまった。その男は自分が僕を殺そうとしていながらも、なぜかその自分の父親を殺すことができていなかったことを後悔しているのだというような話をしはじめたのだ。僕にはなぜ彼がそう言っているか理解できなかったが僕の事をこの世で一番愛していたらしいその父親のことは僕もよく知っているのであった。確かに僕にはこの男が僕を殺したいと思っていなかったということがよくわかってしまったのだ。

この人は本当は心優しい人で、僕が産まれる前に母との間にできていた子供の存在を知ってしまい僕の母親が妊娠していることに驚いてしまったそうだ。そして母はこの父を産んですぐ亡くなってしまい父は僕を育てることを決意してくれたのだが僕は生まれながらに身体が弱くいつも体調を崩して入退院を繰り返していたのであった。

だから父がどんなに仕事に打ち込んで頑張っても僕が元気になることは無かったため、父は僕の世話をしてくれる人を探してその人と再婚してしまったのである。

その人は元々僕を育ててくれていた人だったらしく僕の身の回りの事を何でもやってくれてとても僕を大切に扱って面倒を見てくれていた。僕はその人に感謝してもしきれないほどお世話になっていたのだが僕は病弱だったためその人と夫婦としての営みが出来ずに僕の世話だけをしてもらいながら過ごしていたのだ。

僕と義理の両親は仲が良いとまでは言えない関係だったがそれでも僕にとっては一番信頼できる人たちだったのは間違いがない事実なのである。

そしてその人達に迷惑をかけないように僕なりに頑張っていたつもりであったのだが僕にその気がなかったのが原因なのかわからないけど僕はその人達にとって厄介者でしか無い存在だったのだと後から僕は思い知らされてしまった。

僕にとって義理の父と義母はとても優しかったが僕に対して申し訳なさそうな顔を見せるようになっていたのは僕の目からも明らかであったのだ。

僕が寝込むたびに彼らは涙を流しておりそれを見ているだけでも僕にとっては苦痛で仕方がなく僕はなんとかして体調を万全にしなくてはならないと考え必死に病気を治そうとしたものだ。しかしなかなか上手くいかずにとうとう僕を生んでくれた本当の両親が亡くなってしまうことになる。そして僕が物心つく頃に僕は養子として別の家に引き取られることになる。

その家の人も最初は優しかったが徐々に僕は嫌われるようになり結局のところその家にいても良いことなど無く、僕と家族の間に大きな溝ができてしまう。

僕は家族に好かれる努力はしてきたつもりなのだがどうしても僕がその家族の輪に入ることができなかったのであった。

僕には兄弟もいたが僕の事を家族として認めてくれないどころか家族は僕を避けるようになって僕を引き取ってくれた養父母の家庭も僕の事を煙たがり、最終的には追い出されてしまうのであった。

僕の居場所などどこにもなくなってしまい途方に暮れていた時である。僕の事をこの国で拾ったと言って僕の目の前に現れた人物がいたのである。

それは僕の父である男であった。僕の事をこの国の王の関係者が欲しがっているから僕の事を僕が暮らしていたその街に連れて行ってくれるというのである。そしてその男に僕が連れて行かれた場所は城の中であった。その城は僕の知っているものとは違う建物であった。そして僕はその男に連れられて、僕にその城の地下に案内された。そこには僕の知っている家族が全員揃っており僕が知らないうちにその城に呼び寄せられていたのである。僕は家族と再会すると、その家族の人達は僕を受け入れてくれることはなかった。僕の事を邪魔者として扱っているように見えて僕はすぐに自分の居るべき場所に戻ろうとその城を出ようとする。だが僕の行く手を阻むかのようにそこにいた兵士達が立ちはだかり僕は身動きを取ることができなくなってしまったのである。

そして僕の前にはあの僕が殺しにきた僕の父親が現れて僕を逃がすまいと襲い掛かってきたのである。

僕は自分の力を過信していて自分のことを倒せる相手なんていないと思い込んでいたため自分の事を殺しにきたそいつになす術も無く殺されそうになった。だが僕の危機に駆けつけてくれた人が一人いた。その人の名前はレイラといって僕の幼馴染でもあったのである。その人は僕の事を昔から大切に思っていてくれたらしく、そして僕がこの世界で生きていくのを誰よりも望んでくれていてその僕の願いに応えるためにも彼女は僕のために命を懸けてくれたのだ。僕と彼女は二人とも瀕死の重傷を負って倒れてしまいその時にその僕の育ての親であるその女性が助けに来てくれて僕達を治療してくれようとしたのだが、その人の力が足りなくて僕達の事は助けることができなくて二人はそのまま亡くなってしまったのである。僕は僕のせいで二人の大切な人を死に追いやってしまったのだった。僕のせいだと嘆く暇もないまま僕は再びゼクトの手によって僕は殺されかけたがそこで再び僕の前にある男が姿を現す。

僕の父と名乗る人物が僕の事をゼクトから守ると約束してくれたのだ。その人物は僕の育ての親である彼女と同じ名前をしており僕の事をこの世界から守りたいから一緒に行動したいと言うのであった。僕はその人に警戒したが彼の瞳を見つめてすぐにそれが嘘偽りない真実だと確信したのである。

そして僕はその男から自分の目的を知らされたのだ。その男の本当の目的は僕の母を蘇らせることで僕はそのためにその力を手に入れるために僕は僕の父と一緒に旅に出ることになった。だが僕の事を守ってきてくれた僕の妻のことや僕の育ての両親のことが気になって仕方がなかったが、僕の妻には娘の事や僕の事の面倒を見てくれていた彼女の妹がいるはずだし大丈夫だろうと自分を納得させて、僕は僕の目的のために僕を救ってくれたこの人と行動することにするのであった。

ゼクトと僕達は再び戦うことになってしまう。だけど今度は僕の中にいたもう一人の僕ではなく本来の僕自身の力を使って戦いに挑むことにする。ゼクトは僕の中のもう一つの力に驚いていたが僕だってこの力のことは驚いているのである。この力でゼクトの僕に対する認識を変える必要がある。そして僕が今度こそこのゼクトと決着をつける。僕は僕とゼクトの戦いが始まったが、僕の剣がゼクトを追い詰めていき、僕はゼクトにとどめを刺そうとしたときだった。僕は突然謎の力に襲われて僕はその場に崩れ落ちると意識を失ったのである。そのあとは僕はどうなったか覚えておらず僕には記憶がないのである。僕はその後の記憶を失ってしまっていたのであった。だから今の僕には自分がどうなってしまったのかわからないのである。僕は今の自分について考えるが今の自分に特に問題はなく健康体であることがわかったのだ。僕は自分の事を自分で診察し終えると部屋の中で休んでいたがそんな僕のところに僕の育ての親を名乗る男が姿を現したのである。僕は僕がどうしてここに来たのか問いただすが、僕の目の前にいるその人は、僕の質問をスルーするとこの僕をある部屋に案内してくれたのだ。そしてその男は僕が眠っている間に僕に起こった出来事を説明し始める。その話によると僕の育ての母の妹であるその人が僕の事を助けてくれたのだという。その女性は僕の実の父親と母親を救い出してこの城から抜け出したところでその女性の義理の姉にあたる女性が僕の前に現れてその女性は僕にこの世界を救うために協力して欲しいと言ってきて、その女性は僕の育ての母親であるその女性にこの国をどうにかしてほしいと言われてしまったので僕はその女性に助けを求めるのだった。僕は女性の話を聞いて僕はまず最初に女性とその女性の夫を蘇生させることから始めた。そして僕の力では女性の夫と女性にその女性の事を守ってほしいと願った。すると僕は僕の中に眠っていた能力で僕は自分の力を取り戻せたのである。そのおかげで僕はこの国の国王と王妃の事を救ってあげたのだがその事を他の仲間達に話すとその仲間の人たちは自分の事を過小評価しているようだ。僕は自分がやった事をそのみんなに伝えたのだが僕には何が起こったか正直わからないので、僕はこの城でその女性の帰りを待っているのである。僕は自分の中に眠っているその力を引き出す方法を知りたかったが今はその時じゃないと思いその方法は聞かないことにしていた。

僕のその疑問に答える者はおらず僕はその女性が帰ってくるまで自分の身体の回復に専念する事にしたのである。その女性が僕のところに帰ってきて僕にその女性が自分の義姉の話をし始めると僕の頭の中に懐かしい感じの声が聞こえてくるのであった。

「この子もようやく私達の元から旅立つことができるみたいね。でもその前に私は貴方の事を守らないとね。」

僕は声を聞いたその瞬間に僕の心の中にある思い出が蘇ってくるのであった。

僕の事を抱きしめてくれていた優しい温もりと、優しく微笑みかけてくれるその顔を見て僕はその女性が僕の実母であることを直感したのであった。

僕は僕の事を支えてくれて見守っていてくれた女性が僕の母さんであることに気がついたのだ。そして僕の母さんが生きていたということは僕の義母である彼女が僕の事をその母親の魂を宿すことで生き返らせたということだ。

僕の母は僕を守るために死んだはずなのに僕は自分の事を恨んでもいないし責めるような事もしない。その人がなぜ僕を守ろうとしたのかそのわけを僕は知っているからである。僕がもし僕の本当の両親のどちらかと暮らしていたとしても僕は結局はその人の本当の娘であるあの人よりも下の立場だったのは間違いないのだ。だからその人はきっと僕と義理の父との関係をみて悲しくなって自分の命を犠牲にすることでその人達を守る道を選んだに違いない。

僕は本当の母の顔を見るとその涙を止めようとする。その人も自分の目からも涙を流していて泣いていたのである。僕の心の中のもう一人の僕と僕との会話を聞くと僕は僕の母のその想いを理解したので僕はその人にありがとうございますと言うと、僕は僕の母に抱きつき涙を流して泣きじゃくる。

僕の心の中ではもう一人の僕と僕と母が再会することができた。僕の身体は母さんの事を受け止めることはできても心が僕が本当の家族であると認めてくれるのには時間がかかるだろう。だけどいつか僕は自分の家族とちゃんと話し合って家族として迎え入れてもらえる日が必ず来ると思っている。

僕の心の中で起きたことをその人は僕の事をずっと見て僕の心に何かが起きた事を察知して僕の事を心配するのであった。

僕の目の前に現れた僕の義母と名乗る女性はこの世界にやってきた僕の実の母親で、この世界にやって来た時はすでに死んでしまっており、僕がこの世界に現れた時に僕の中にその母の魂が入っていたのだ。僕の母親は、僕の義母となる女性がこの世界を崩壊させる前にこの世界を救ったのだが、この世界の人々のことを全て助ける事はできなかったのであった。だから僕の実の両親は、僕が生きているということを知っていてその両親が、僕のことを捜すためにこの世界に再びやってきたというのである。僕は自分の事を愛してくれていたその人たちに対して、何も言うことができない。

そして僕は僕の母の事をこれからは僕の母と呼び、僕の義理の父の事をこれからは僕の父親の事をそう呼ぼうと思ったのであった。

僕の母は僕のことを心配していたので僕の身に起こったことについて僕は自分の口で説明することにしたのである。

僕の事をこの世界に連れてきた僕の義理の父と僕の育ての父は実は同一人物であるという事実を知ると母と僕の義理の父親は驚く。そしてその二人が僕の元にやってくると、僕の本当の母が二人に謝り僕が本当の自分の子どもであると打ち明けたのである。僕は自分の母と二人の家族が無事に再開でき、僕の事を産んでくれてそして僕を立派に育ててくれた二人に感謝をした。僕達はこの世界で生きていくことを決めてそしてその決意を表明すると僕の義理の父であり僕の母でもあるその人には僕は感謝してもしきれない気持ちになっていたのである。僕が僕の母に今までの僕がこの世界で過ごした時間の中での出来事を話していく。僕がその世界の人間に裏切られて僕が騙されていたこと、僕の育ての両親のことも、その人の事もそしてその人がこの僕を守ってくれた事を僕は話すのだった。その僕の話を聞いた二人は僕の事を優しく見つめるのであった。

そのあとは僕の育ての義父とその妻にもこの世界で起きた出来事について話をしてもらうと僕の育ての両親とその妻は僕のことを心配してくれるのであった。そして僕はこの四人でこの先もこの世界で暮らす事をその三人に伝えて僕達三人の子供はこの世界の住人となったのである。

僕は自分の育ての母であるその女性と一緒に僕の事をここまで育ててくれたその男性に僕の本当の父親が誰なのかを打ち明けることにしたのである。

僕の育ての母親が僕の目の前に現れてからしばらくして、その女性は僕に向かって自分の事を愛してるのか問いかけてきた。そんなの答えなんて決まっており僕の育ての両親には僕から伝えようと決めていたのだけれどその女性は自分の方からその話を持ち出した事に違和感を覚えたのであった。僕が自分の育ての母のことを大好きである事は間違いない。そしてこの育ての親夫婦に育てられたおかげで今の僕がいる。そして僕は僕の実の母親のことが嫌いではない。しかし育ての母に対しては恩があるし、愛情もあるけれど恋情を抱いたことは今のところ一度もなかったと思う。それとも僕は知らずうちに彼女の事を好きになりかけていたのだろうか?でも今はわからない。僕は育ての親達にその事を話すのであった。すると、その僕の言葉を聞いた僕は、自分が本当にこの人の娘であるのかがわからなくなり、育ての親に、本当の母親の話をもっと詳しく聞きたいと頼みこむ。育ての義母は僕の願いを叶えるために、僕の母親に僕がこの世に生まれる前に亡くなった時の事を詳しく話すよう促すと、その義母の言葉を聞いた僕の心の中に、僕の知らない記憶が次々と流れこんで来た。

「おぎゃー!!︎ んきゃーんっ、んきゃん!」

赤ちゃんが生まれたことを知らせる声が聞こえる。その女性は僕を元気な産声で産むと安心した表情を見せる。そして彼女はその赤ん坊を抱き抱えるとその女性と夫は、僕の顔をまじまじと見ながら感動の涙を流しているのである。

僕は、僕が本当の母親であるその女性の胸を揉んだり、おっぱいを飲む。僕の事を見守っていてくれた女性はその様子をじっくりと見ていると僕に話しかけてくるのである。僕にその女性は自分が君のお母さんであることを告げる。その女性の言葉を聞いて僕の心の中にはその女性の記憶が一気に押し寄せてくる。僕は僕を産んだ女性の顔を見てみると僕の本当の母親だと思われるその女性が微笑んでいると僕は自分の身体の変化に気づいた。僕の身体はいつの間にか成長していたのである。その女性は僕を見て涙を浮かべながら嬉しそうな笑顔を見せてくれる。

僕が成長するとその人はさらに嬉しさを顔に表していた。

僕が成長している姿を僕は自分を育ててくれる義母と自分の母親のことを見守っていてくれた。僕はその人のことを義母と呼ぶことにした。その人の名は、僕の実母の名前ではなくて別の名前で呼ばれていた。僕の実父はその女性を妻と呼んでいた。その女性が実母で間違いないだろうと僕は思っていた。その女性も僕を自分の息子のようにかわいがってくれたのであった。

僕には僕を拾って育ててくれていた義理の両親がいてその人たちは僕を大事に思って育ててくれていたのだが僕は本当の両親が僕を拾い、そして僕にこの世界での生き方を、教えてくれなければ、きっとこの人達と出会うことはなかっただろう。そして僕のこの世界での人生に関わってくるような重要な人達が僕の前に現れ、その人たちは僕の家族になったのである。その人達は僕の義母と義父と僕が呼ぶ事になった人たちだった。僕の心の中では本当の父親とその妻と僕の育ての義母である人が一緒にいる。僕にとってこの世界はとても大事な存在となり僕の心の中が満たされて、僕と僕の家族との繋がりが強くなっていくように思えた。

僕はこの世界に来た目的を自分の母親の魂が僕の中に入ってきた時を思い出す。僕はその女性のためにこの世界にやって来たはずなのに僕はこの世界に来てすぐにこの世界の人々に騙されてしまい、僕はその女性の魂とこの世界の人間の体の両方を手に入れてしまったのである。僕の本当の母親が僕がこの世界に現れる前に、すでに死んでいて僕の目の前にいるその人の魂が僕の身体の中に入ってくることになったのであった。僕の母親は僕をその世界に残したままにして死んだ。そしてその女性は、その世界の人々をこの世界を救うのと引き換えに犠牲にして自分の命を代償にしたのだという。そしてその女性は、自分の子供である僕に自分の命をその子供の体内に移してしまったのだ。その女性は僕のことを守るためにこの世界を崩壊させる原因である、僕に嘘を教え、僕に自分を恨んでほしいとお願いしてきた。自分の事を殺した僕に復讐してほしいと願ったのだった。その人が僕に対して何を望んでいたのかそれは僕がこの世界を救えるだけの力を持っていなかったからだと言うと、僕がこの世界に来る直前に僕が持っていた力はもうなくなってしまった。僕はその女性のことを忘れ、そしてこれからは自分自身でその世界の事を守らなくてはいけないのであった。

そして僕がこの世界に現れたときにその女性は僕の中に宿っていたその女性の息子に自分の事を守らせることにしていたみたいだった。

その人は僕に、自分がこの世界を救えなくてもいいからこの子を幸せにしてほしいと言って、僕のことをその世界に置き去りにしてしまったのだ。

その人は僕と、その世界を救うために自分の全てを僕に託した。

僕にはこの女性が何を願っていたのかその言葉の意味はわからないけれど、僕がその女性のことを想っている限り、その女性との約束を果たすことができるのかもしれない。だからその人は僕の事を心配せずに安らかに眠れるとその人は言っていた。その人は最後に僕に何かを言いたかったようだが、僕には何を伝えようとしていたのか聞こえず何もわからなかったのであった。その女性が僕にその女性と会わせるためにこの世界へ導いてくれたのに、僕がその人にまた会いたいという気持ちがなかったわけではないけれど、僕はその人と二度と会うことができないと思っていた。僕が僕の義母になるはずの人物の魂を呼び出すと、僕のことをその人が僕の義理の母親として認めてくれていたようで、僕のことを抱きしめ、自分の事を愛してくれているかをその人は確かめようとしたのであった。

僕はこの世界での僕の父親とその妻と義理の母となった人を見つめて三人の愛に包まれながら幸せな生活を送っている。そして僕は僕を守ってくれた僕の義父とその妻に、僕の事を愛してくれて、僕を育ててくれた義母となる人を紹介して、この人こそが僕の実の母親で僕の育ての母だと伝えたのであった。

僕の義理の父と義理の母は僕の事を実の子と受け入れてくれて僕の事をとても喜んでくれたのである。僕は僕の実の両親のことも、育ての母が本当の母だということもこの二人に話したのであった。そして育ての母と義父に僕は、育ての母の願い通り僕はこの人の実の子どもであり、僕はこの世界で生きていきたいと思っていると僕の意思を伝えた。

僕の義理の父と義母はその言葉を聞くと嬉しそうな顔をした。僕は僕の実の父がなぜその女を殺さなかったのかが不思議であったがその理由は今となってはわからないが僕はその女の人のことを覚えておくことにした。僕はその女性の事を思い出していてある疑問が生まれる。その人の子どもならなぜ僕をその女性がその世界に連れてきたのかという理由がわからなかった。しかし僕のその質問は、僕がまだ小さい頃の話だったためにその女性は自分の記憶が消えてしまうことを予測していたらしいという事で片付けることができて僕はこの場でこれ以上追求することはしなかった。それに僕の事をその女性は大切に思ってくれたことは確かなようだったから、僕もこの女性のことを受け入れることにしたのである。この女性のことは忘れることになってしまうが僕はこの女性のことが好きなことは間違いないし僕の事を愛してくれていたと思うから僕はこの女性のことを忘れないで覚えていられるうちにこの人を愛し続ける事を決意するのであった。

「ねえねえママ、どうしてママのお名前は『さくら』って言う名前じゃないの?」僕は僕の母である人が、この世界に現れてからずっと思っていたことがついに聞いてしまうのであった。この女性は、僕の母親なのだけれどなぜか自分の本当の名前を隠しており僕もその女性の名前は知らないのだ。そして僕は僕の母親が本当はどんな名前を名乗ればいいのかも知らなかった。そして僕はこの母親の事をこの女性の事だけは本当の母と呼ぶようにしており、僕はその女性の事を本当の母親ではないこの女性をお母さんと呼ぶようにしようとは考えなかった。僕はこの女性が、僕の実の母の桜さんであることをこの世界で出会った人たちに話したけれど誰も僕の話を信用してくれなかったのである。僕が僕を産んだ母親の名前を伝えるとこの女性は僕を自分の事を守る騎士になるように僕を育てることに決めた。この女性は、僕の事を自分の息子のつもりで育てると言い出し僕にもこの女性と同じような教育を施すようになる。しかし、僕の育ての両親は、この女性に僕の事を任せきりにするのはよくないとこの女性から引き離そうとするが、この女性にその両親の方が邪魔だという判断を下されてしまい殺されそうになってしまったのだった。

そして僕は僕の実母が本当に亡くなっているということと、育ててくれた僕の義母を死なせてしまったことに対して僕は後悔をする。僕を育ててくれた義母も本当の母親の事も助けたいと思った。だけど僕はその義母の本当の名前を知らないのである。僕が義母に本当の母の名前を尋ねると義母は本当の自分の名を僕に伝えるが、この女性の名前が本当の母であることに変わりはなかった。僕はこの女性が自分の母親であることは疑っていなかった。僕の育ての義母はこの女性が本当の母親の生まれ変わりであるかどうか確認する方法を考えていたのである。

この女性が、自分の事を桜と名乗っていればこの女性を本物の母親の生まれ代わりであると思って信じることができたのだがそれができずに僕達には困ってしまったのである。そこでこの女性は僕にこんな質問をした。私の事を見ていて違和感があるような感覚がすることがない? と尋ねてくると僕はそんな気がすると答えるとその女性の表情は少し明るくなったようであるが、その女性が僕に対して自分のことを本当の母親の桜だと告げてきたのであったのだけれどその時僕はまだ信じられずその言葉を信じる事ができなくなっていた。そして僕の育ての母親はこの女性に自分の名前をもう一度教えることで僕達に本当の母親の名前を確認する手段を提案したのだった。この女性は自分が生まれた時に産婆が自分を見た時の事を話し始める。彼女は産まれた時は目が開いていなかったらしいのだが彼女のお腹の中に入っているときにその女性は目を開いており、自分の母親が自分を見る時を待ったのだった。

そして生まれたばかりの彼女も目は開いた状態で、自分の母親はこの世界を救うために自分の力を自分の命を捧げてまで使い果たしたという話を聞いて僕は驚いた。僕はその話が本当なのかどうかわからなかったが、僕も自分の本当の親であるあの人の言葉に騙された事を考えると信じざるを得なくて、僕はこの人の事を信じるしかなかったのである。僕はこの人を本当の母親だと思うことにしたのであった。そして僕は僕の育ての母親がこの人が本当に自分の母であるのかと、この人自身の事を確認したのである。この人が、自分のことを殺した僕の事を許す事ができないのは当たり前だと言うと、この人も僕の事を許してくれて僕達はお互いに本当の母娘になれて嬉しいのであった。この女性が自分の事を殺そうとしている人達からこの世界の事を救い出したいと、この人は言い出して、その女性のことをこの人は自分の母親の桜だと、僕が本当の母親に認められるためにはどうしても自分の力が必要なんだと言った。その女性の事を僕はこの世界の人々の事を救い出せるほどの力を持っているとは到底思えなかったが、僕は僕なりに何かできることがないかと考え出したのである。そして僕はその女性が自分のことをその世界へ行かせるための道具として使おうとしているのではないかと考えた。だからその人に自分が死んだ後に僕の身体に入り込んでもいいかと言われても絶対に承諾しなかったのである。その人がなぜ僕の身体に入ってきたのかその理由を聞ける日がくることを願いつつ僕の育ての母がその人にお願いされてこの世界を旅することになった。

「おいお前、俺がお前とお前の姉ちゃんを助けてやるよ」僕にそう言ってくれたその人は僕とクロがこの世界に転移されたときに助けてくれた男性でありこの世界では珍しく僕達のことを知っている人である。そして彼は僕とクロがこの世界に飛ばされたことを自分の責任だと思い僕達を助けるために僕達と一緒にこの世界で戦ってくれたのである。

この男性は僕の義理姉となるはずの存在が僕とクロのことをその世界に連れていくための存在だったことをその人は知っておりその人から僕をこの世界に飛ばしたのが僕とクロの義母と義父の前世の人であった事を知ってこの女性も僕達が連れていかれる場所には行く事ができないと言っていたが僕はそんなに気にしていなかった。その男性の力は強くこの世界を守れるだけの力があり、僕がその女性からもらった剣と僕の魔銃を使って僕は僕と同じ名前を名乗るその人の協力もあってなんとか倒す事ができたのであった。

その人はその世界で自分のことを殺してほしくなかったら僕のことを利用しようとしていたので僕はその人がこの世界で死ぬ前に僕のことを自分の子どもであると認める事をその人が死んでしまった後でも認めてくれと頼む。僕はその人を殺す気なんてさらさらなかったから僕の実の両親が誰であろうと僕はこの人のために生きることを決めていたのである。この人が亡くなった後は僕は実の両親を探すことを諦めようと思っている。そして僕には実の母と実の父が誰かを知る方法がなく実の両親の手がかりは何もない状況である。僕の育ての母に聞いたとしても答えてくれないだろう。なぜならその人は僕にとって実の祖母だからだ。それに僕は僕を育ててくれたこの人にも本当の家族がどこかにいるはずであると思い、この人が自分の実の娘を探している事を思い出して僕に本当の事を教えてくれないのではないかと僕は考えている。僕はこの人以外の人間に育てられた経験がないから、他の人は実の両親のことを聞くと、育ての母は、僕の事を実の子のように扱ってくれているし、義母も同じである。この二人が実の家族の事を何も言わないことも僕は実の両親の事を聞きにくくなっている理由の一つでもある。それに僕にだって自分の育ての母が僕の実の母親であるとは限らないわけで僕に育ての母親が二人いたとしてもおかしくない。僕は僕の本当の母親についてはあまり深く考えないようにしようと思っている。

この人の本当の子供だとわかるまでは僕もこの人の事は実の母だと思えず、実の母だとわかった今もこの人の事はあまり母としては見ることができていなかった。そして僕はその女性の事を本当の母親の桜さんと呼び、僕の母親ではない桜さんのことは、僕の中で育ての母であると決めたのであった。僕は自分の母親が本当は桜さんではないかもしれないと知った後も僕とクロをこの世界に送り届けてくれた桜さんは僕にとってはこの世界でも一番大事な存在であることに変わりはなかった。そしてこの女性に僕は僕の事を自分の息子だと言ってくれた桜さんに僕のことを桜の息子と名乗らせてもらえるだけで、僕は満足だった。

僕の育ての義母となったこの女性の名前はさくらではなく『サクラ』である事を知ったが僕は、その人には僕の事を自分の息子のつもりであると言わせたのである。そして僕の義理の母となった女性は、僕がこの人を守るから僕の側にいてほしいと言い僕は自分の力でこの人を守ることを決意したのである。僕が僕の意思で僕の実の母親である桜を守る事を決めたのである。この人のことを守ってあげると約束したが僕は僕の事を桜さんと呼ぶように言ったが僕は僕の本当の母である桜さんのことだけは今までと同じように呼ぶことにしたのである。

僕の義理の母の桜さんが僕が桜という女性を守る事を決めて、僕が桜を守る決意をした次の日に僕の目の前には桜の育ての母親が僕と桜と僕の義理の母の前に立っていた。僕はその女性の事を僕の母だと信じているが桜の母である桜の義母の方は桜の母の事が本当に僕の母なのかどうかわからず、その女性を僕の母親の桜の生まれ変わりではないと判断し、僕に自分の命を託して自分の息子の桜に殺された僕の母である桜の事が好きではなかったようである。そして桜の義母は僕の事を自分の息子であると認めようとしないのだ。だけど僕達はお互いが本当の親ではないのだからそんな事でこの女性に文句を言うのはおかしいと思っていたので、僕も僕の義母もこの人に対しては僕達は自分の本当の親かどうか確かめることにこだわりすぎたせいもあり、この人と本当の親子になりたい気持ちがある。

しかし僕はこの義母に対して僕の事を認めて欲しいと言い続けたが、その義母は、この女性が自分の本当の母なのかどうか僕が知るまで認めることはできないと言い出したのである。そしてこの義母は僕のことを桜の息子として見ずに自分の事を母親と呼べと言った。僕は自分の義母に桜は桜の母である自分の義母のことを大切に想っていたことを僕に伝え、僕は僕の義母である桜を自分の母親であると認識していいと言う。そして僕は自分の義母であるこの人のことをお母さんと呼んだ。

その女性は桜の母に自分の本当の名前がなんなのか聞くが彼女は自分の本当の名前を言わなかったので僕は僕の母だと認めている彼女のことを自分の母親の事を呼ぶ時に、桜のお母さんとだけ僕は呼んだのであった。そして僕の義理の母親は僕の本当の母親である桜の生まれ変わりである可能性がある僕の母親の事を桜の母と呼んでいた。桜の母が自分の名前を言わなかったのは自分の名前はこの世界に存在しない名前だから言えないと僕は彼女の事を見ていて思う。僕はこの人は自分の名前を本当に持っていないのだろうと思ったのであった。

自分の娘のために、娘の敵を倒すために力尽きた女性の事を僕は守りたかったのだが僕も力を使い果たしていてそんな力が残っていなかった。でも僕の力はほとんどその女性の力のおかげだと思うけどその女性は命と引き換えにその女性が命をかけて作った時間を稼いでくれていたおかげでなんとか僕たちはこの国からの脱出に成功する。その女性のおかげでなんとか僕達も生き残ることができてよかったのだが僕の中にあったその女性の中にいるその力の元となる人間の命が失われるとその人は自分の死期が近付いていることを感じ取っており僕に対してこんなことを言ってくれた。私とあなたとあなたの姉の魂が合わさったことであなたの中には、まだ誰も使ったことのないような大きなエネルギーを感じるわねと笑顔で言うとその人は僕の頬に自分の手を当てて僕を見つめてくるとそのまま目を瞑って僕の事を愛しそうに見てきた。その女性が何をしたかったのか僕にはわからないがその女性はその後自分の手を自分の胸に当てるその女性はもうすぐ自分が死ぬ事を悟ったようだ。

僕は僕に優しく微笑んでくれる女性の顔を見たとき何故か胸が熱くなり涙が出てしまいそうになった時その女性の手が伸びてきて、その女性が僕のことを抱きしめてくれた。僕はその人の事を自分の母親のように感じたが僕の心の中のもう一人の自分がそれは勘違いだぞと言ったので、自分の母として受け入れようとしていた僕は自分が思っていた事をすぐに忘れる事にした。そして僕の中にその女性の意識と記憶の一部が入ってくるのである。そして僕の中のその女性の力と僕が持っているこの剣の力を混ぜ合わせその女性の事を自分の身体に取り込むと僕が僕自身の力で自分の大切な人たちの事を守れるようになるまで力を貸してあげると優しい声で囁きながらその女性の事を取り込んでくれた。

僕の身体は突然光輝き出し僕の中に入って来たはずのその女性の存在がなくなり僕は何かの力を得たようだった。そして僕の中に入ってきた何かの存在の温かさと優しさに包まれている僕は安心して眠くなるのを感じたがその時僕の身体をその何かの女性の魔力が包み込んだ。

「お主の事はこれから我が守る」と、その女性の声が僕の耳に届いたがその言葉の意味がよく理解できなかったがそんなに重要そうな事だとは思わなかったのでその言葉を僕は特に気にしなかったのである。僕が気を失ったあと僕の身体は誰かに背負われて運ばれていたが僕の事を背負ってくれているのは、その女性が使っていた剣である事がわかったのであった。

僕は自分の中でその人の力の一部を感じていたので僕はその剣の持ち主の気配に違和感を覚えたがその人のことをその人のことを桜の母親の義母から守ろうとしていたのに結局僕はその女性をその義母によって守られる立場になってしまい悔しくて涙を流してしまう。そして僕は自分の中に入ってきたその女性の人格を自分の物としたいが、僕の心の奥深くに存在している誰かの邪魔をする。僕の心の中にある僕のものではない誰かの記憶が僕の行動を阻害させたのであった。僕は僕の心の奥深くに封印されている誰かの心と記憶の断片を思い出した。僕の事を助けてくれた女性の正体を知りたくて僕は僕の中で僕の力となって眠っている僕の体の中で眠る僕の力となっている人物の事を調べようとしたのである。だが僕はその女性のことを調べることができなかったのである。その人が誰であったのかも僕は知らなかったしその人の名前さえも僕は覚えていなかったのであった。僕は僕の中に存在する誰かが誰かに愛され幸せに暮らしてほしいと思い願っている事しか僕には知ることができなかったのである。そしてその願いこそが僕にとってこの世界を僕にとって住みやすい世界にしてくれた恩人なのだと気づき僕はその人の名前を僕の中から探し出そうとする。

だけど僕の頭の中に流れ込んでいる記憶には僕を守って死んでいった人がいたのだがこの人が誰であるかも思い出せないしその名前さえ出てこないのでどうしたらこの人を特定できるかと考え始めたが思い浮かぶのはその人の容姿や髪の長さと身長ぐらいである。僕は僕の事を助けてくれた女性のことをこの人のことを守りたいと僕は思ったからこそこの人のことが大好きになっていたからその女性の特徴を思い出そうと必死になって考え続けたのであった。

僕が今思えば僕の中に僕の中で眠っていたのであろうこの女性の名前は『リリス』という名前らしいのだが僕の中では僕はこの女性をずっと桜のお母さんと呼んでいた。僕はこの女性を自分の力で自分の事を命懸けで救ってくれて、そして桜の義理の母だとわかってもなお、僕の命に代えてもこの人だけは絶対に僕が守り通すんだと思っていると桜が僕の事を起こしに来てくれた。そして僕の身体に桜は触れると桜は僕の事をぎゅっと抱きしめて僕の事を心配してくれていた。桜の温かい腕の中に入った僕はなぜか泣きそうになるが桜の胸に顔を預ける僕のことを抱きしめたまま僕の頭を撫でてくれる桜はいつもより優しかった。僕は桜の腕の中で僕の顔を埋めていたので僕には桜が僕のことを見ている表情がわからないので桜の事を見ることができなかったが、僕には桜が泣いていたように感じる。

そして桜の母さんが亡くなった事を教えられた僕はその人にお別れの言葉を伝えないといけないと、僕はその人のことを思い出そうとしたが桜は僕から離れていったから僕はまだ寝ぼけているような状態だったけど桜の母さんのことを考えると僕の心にぽっかりと穴が空いたような気がしたがその感覚はすぐに消えていき僕の目の前にはクロとクロの母さんであるルシアさんの姿がありその二人の姿を見ていると僕は自然と元気が出てきたのであった。僕は僕と一緒に僕を守ってくれて亡くなったあの人の事を考えないようにしようと僕は決めたのである。

僕はその日を境に桜と二人で行動する時間が増え、そのせいもあって僕は桜と二人きりの時間がすごく楽しいものになっていて僕が桜の母であるさくらのことが好きになっていったのも無理はなかった。そして僕は僕が桜に本当の母であると思ってもらいたいと思うが僕はこの世界の人間ではなくなってしまったから、もう二度と元の世界に戻ることができないと僕もわかっていたから僕は桜と本当の親子になる事ができなくても僕は僕の意思で僕の実の母親と思えるその人と家族になりたいという気持ちが芽生えていくが僕はその人に対してその気持ちを伝えたいが僕はその人の名前が思い出せなくて困っているのである。だけど桜と僕の関係がこのままで良いとは思ってはいなかったのである。だから桜が僕の事を守ると言ったその日から僕は桜の側にいることに抵抗感はなく僕は桜に守られ続けていた。そして桜と過ごす時間は楽しく僕は毎日が充実した日々を送っていた。僕は僕と僕が一緒に桜の母であるその人の事を自分の母だと認めるのを拒否して、僕が桜に自分の母の生まれ変わりだと思われるその人のことを守ると決意していると、桜は僕に自分の事を守ろうとしている桜の母である桜の義母を自分の母の生まれ変わりだと思い僕に母である彼女のことを守ると言ってくれた。僕は桜が彼女の事を大切に想っていてその事について僕のことを想って桜は自分の母親の生まれ変わりであるかもしれない彼女の事を守るために行動してくれると言うと僕は桜に本当のお母さんと慕うことができる僕の事を愛しんでくれる桜と本当の意味で本当の家族のようになれたらいいなと思った。

僕と僕の義母であった人のためにその命を投げ捨てて死んだその女性とこの世界に来なければ出会わなかったのだから僕はこの世界でその人に出会えた事に僕は感謝したいと思っていたのである。その人の顔が僕にはどうしても思い出せなかったけど僕はいつかは僕は必ず自分の力を使い果たして亡くなってしまったその人を見つけ出すと心に誓った。

僕は僕の中にある力を使い果たすと僕の身体が発光し始めて、その力が僕の身体からあふれ出ると僕は気を失いそうになり意識を失う寸前だったのである。でも僕の意識は僕が気を失ったとしても僕の意識の表層にある僕に憑依したその人の存在は消えなかった。

僕は僕の中にその女性の力を自分の中に取り込むとその力が僕が元々持っている剣の中に吸い込まれていって僕の中にその女性の魂も入り込んだのだ。その女性が自分の命と引き換えに作った時間を僕は無駄にすることなくその力を僕は自分の身体で使うことができるようになったのである。その力は本当に強力で僕は自分が望めばその力で僕はこの国を滅ぼしてその女性との約束を果たせることができるのではないのかと僕は思ったのである。

そして僕は僕の大切な人たちを守るために僕の中に入ってくれたその女性に心の中で話しかけると僕の身体は急に輝き出して僕の周りを黒い霧が覆ったのであった。

僕の視界は暗闇に包まれたが僕は僕の事を見つめてくれていたその女性の姿を僕は見ていたので安心していた。僕の事を抱きしめてくれたその女性は優しい声で僕を落ち着かせようとしてくれているみたいで僕はその人のことを安心した。

僕の周りに発生した黒霧は徐々に僕の中に収束していくと僕の中に何かが生まれた。僕がこの力を使えばこの世界が救われるかもしれないそう思えてきたのである。僕の事を助けて死んでいった僕の大好きな人はきっと僕ならできると認めてくれるはずだと、僕は自分に言い聞かせながら僕の中で眠ろうとしているその女性を眠らせてあげないと僕の中の大切な人が悲しんでしまうと思い、僕の中で僕の事を心配してくれているもう一人の僕が眠っているのがわかり僕は安心する。

そして僕の力となってくれた女性が僕の身体からその姿を消してしまったのである。僕は気を失ったあとに僕の中で何かが起きたことは理解できていたが、僕の身体を僕の中にあった剣の力を使って回復させると同時にその女性を取り込んで力の源とした僕は僕の中で僕を守ってくれていた人が僕の中で生きている事がとてもうれしく僕は涙が止まらなかったのである。そして僕は自分の中に僕の物とは違う人格がいる事はわかったのだが、それが誰なのかはまだわかっていなかった。それは今の所誰にも言わず心の中に秘めておくことにした。

私は私の愛する人の事を心の底から愛してしまっていた。私がこの人の事を愛してしまったのはこの人の心の中にある闇に触れてしまい私はこの人の心の傷を知ってしまって私はその人の事を支えて上げたいと本気で思っていたからだ。私はその人のためならばどんなことでもしようと覚悟を決めて私もあの時その人に助けてもらいその人に一目惚れしてその人に恋をしたからこそ、今こうして私の命を賭けても構わないと思っているほど、私の想いはその人からもらったものでいっぱいになっているのです。そして私に勇気と希望を与えてくれて絶望の中から抜け出すためのきっかけを与えてくださりその人のためならば自分の事なんて二の次だと思えてその人を好きになった事で今までに感じた事のない幸せを感じて生きてこれたのに。それなのに貴方のことが大好きだからこそ貴方に死なれたら嫌だしそれにその人には生きてほしいのよ。

「そんな事をしてもその人が死ぬだけだと思うんだけどね」と、その女性は言っていたが彼女は本当は誰に言っているのかと私は思いました。その女性に私は聞いてみたかったけどその女性がその人の前に現れた瞬間、その人の中に存在していた女性の意識の塊のような物が一瞬その人の事を見た気がするけれど気のせいだったのか、その人の中に存在していた女性の心は完全にその人に乗っ取られているように見えた。だから今はどうすることもできない。その人がその人の意志によってその人の体を支配できているうちはその人は死にはしないとその女性に教えてもらった。

その女性の言葉が正しければ、その人はその人の肉体が死んでしまえばその人の心が消えてしまう事になるからその人の事を助けたいと思ってももう手遅れであると私は思ってしまう。それでもあの人はその人の事を助けようとしていたから、私はあの人を手助けしたいと思っているが今あの人の邪魔をするのは良くないと思う。だから今はその人の事を諦めることにして今すぐにでもその人に会いたい気持ちを押さえつけるためにも私はクロに抱きしめられているクロの胸に顔を埋めていた。その女性の名前はリリスと言うらしくて、リリスという名前の女性の事を思い出すと何故か懐かしい感覚に陥ってしまった。

リリスはどうしてその人の事を助けようとしているのかはわからないけど、その人の事を自分の子供のように可愛がってくれていて私もその人に会うまではその人が私にしてくれたことを真似して私もその子の事を自分の子供のように接してきたがその人とは一度しか会ったことはないはずなのに不思議と親と子のように見える不思議な関係を築いていてその人と過ごしていると本当に居心地が良くてまるで本当の母親と子のように接することができたからあの人もすごく懐いていたのだろう。

その人と初めてあった時は私はまだ自分の力をうまくコントロールすることができずにいた頃でありその人は私のことをずっと見守り続けてくれた。あの人の優しさと包容力、その笑顔と暖かさにはかなう事がないと思う。その人が亡くなってしまったとき私はその人の事を思いだしながら一人で泣いた日もあった。それから数年たったある日の私はその人のためにももっと強くなりたいと思って訓練をして自分の力の制御の仕方を身に着けたのだ。今ではあの人の代わりに私の方がその人より強すぎて、あの人は自分の身体が弱くなってしまっていたのでその人のことを守れなくなってしまっていたのだから私があの人やその人の娘を守るのが私の役目なんだと、私はそう思って日々鍛錬を続けているのだけどその女性のおかげで、その人を守りたいと思っていた娘は無事にこの世界に戻ってきた。そして娘のその人のためになりたいという思いはとても素晴らしいことだと思ったのである。だからその事だけでも私にとってその人は特別な存在である。その人の為になることは私にも出来る事があると思ったから、だからあの人はその人の身体を借りて自分の身体に戻ることを望んでいるけど私としてはこのままの状態のままで良いと思っていたからこのままでもかまわないと思った。

その人の意思を無視してまで無理やりに元の世界に戻せばあの人が壊れてしまいかねないと、その人の心の中にいた女性の力の結晶のようなものは私も少しだがその人の中にある女性の意識を自分の物にできた。しかしあの人の身体の中にいる女性の魂を消滅させてしまうことになってしまったが、私はその女性のことを守ると約束したのに守ることができなかった事に対して申し訳ないと思ってしまうが、その女性もきっとその人の事を大切に想っていたからその人が生きているのであればその女性もきっと許してくれると思いたい。

その人の体に入り込んだ魂はあの人の身体が死んでしまった場合は元の場所に帰るしかないと言っていた。つまりその女性が自分の身体に帰ってこなければもう会えないということだから。だからその人を守るためにもその女性を守るためにもまずはクロさんに守られ続けていてはだめだと自分に言い聞かせて自分から動いて何かをしなければ駄目だと思いました。その人は今自分の意志で動ける状況ではなくなってしまいましたから、その人は自分の意志で動きたいと考えているかもしれないけれど、今は自分の身体を動かす事すら困難な状態だから。

私の身体はいつのまにか元に戻っておりそしてその人の姿は私の身体の中には存在していなくて私の身体が光に包まれてその人の事を抱きかかえた状態のままだった。私の事を心配してくれていた私の愛しの男性は目を覚ますとその男性の腕の中に抱かれている事に驚いて慌てていたが、私の事を心配してくれて自分の身体の中にいる女性の存在を認めてくれて私にお礼を言い始めた。

自分の事を犠牲にしても他人を助けることができる優しい男性だからこそ私も命を賭けてでもその人を守ろうと思う。自分の力ではもうその人を癒すことが出来ないから私はその人の力になれなくても少しでも役に立てれば嬉しいです。

そして私はクロの事が好きだという事を思い出したのだ。クロとキスをしたりしているうちに私は段々とこの人に身も心もすべて捧げてもいいと思ってきてしまったので、私はその人の事が好きになっていた。

そして私はこの人に一生付いて行こうと決めた。その人に迷惑をかけないために私はその人に内緒でその人に剣術を習おうとしていたのである。そして私はその人からある事を聞いたのだ。私の愛しい人のその人は私が知っている限りだと、自分の中に入ってくれたその女性の為に自分の事を犠牲にしていた。だから私の愛しい男性はその女性を何とか救い出さなければならない。

その女性は私が知らないような高度な技術を持っていましたがその女性は何かの病気でもう長くはない状態だったみたいで、その人は女性を救うためにある儀式を行おうとしました。その女性を救うには彼女の力を手に入れる必要があるからと言って私や私の周りにいた女性たち全員で協力しあってやっと成功することが出来たのですが。

私もその儀式を行った時はかなり辛かったのですが私はその人が自分の事を救ってくれたので私もその人の事を命を賭けてでもその人を絶対に守りたいのです。でも私は弱い存在でしたのでその女性の力を手に入れても私だけでは到底敵う相手ではありませんでしたがクロ様と一緒なら勝てると確信しています。

クロ様がその女性の事を救い出そうとしていることは知っていたが、それはあまりにも無謀すぎることではある。なぜならその女性の実力がどれほどの物なのかわかっていないからである。私自身もまだ本気を出したことはないのだがそれでも自分が強いと自信をもっていえるほどに、その女性の力は底知れず私よりも上だと思う。だから私はそんな女性の事を倒してしまったら世界のバランスが崩れてしまうのではないのかと私は心配になってしまう。

私は今クロの目の前に現れたリリスと名乗った女性の事を信用することにしたが私はその女性が私達と一緒に来たいという事を言ったときはその女性をどうしようと考えていたのだが、私が考え事をしている間にクロはリリスと名乗る女性の言葉を素直に受け入れていたのである。私がクロにどうしてリリスを名乗るその女性の言葉を受け入れたのかを聞いてみると。

私はクロの言葉にとても感動して思わず涙が零れてしまいそうなほどうれしくてその涙を見せないようにする為に必死になって耐えた。だって私はそのクロの言葉に本当に救われていた。その女性は私の力になっている人の実の母親でありその人は私にとっても恩人である。だから私はあの人を救い出して助け出すためにあの人を私の手で倒さなければいけない。私はあの人を倒せるかどうか不安で仕方なかったけどクロは私の事を安心させるかのように抱きしめて優しくしてくれていたのである。その行動に私は余計に泣きたくなってしまっていたがなんとか堪えて私はリリスと言う名前の女性の話を信じることにする。

「それじゃ、そろそろ行くとするか。僕達はこれからリリスが言っていた場所に行くからな」

『はい』

リリスと名の女性がそう言うとクロに近づいてきて、私達が見ている前で二人の唇が合わさったのである。二人はお互いに抱き合いながらそのまましばらく動かないでいた。そして二人から溢れ出る力を感じる事ができたのだ。そんな二人がゆっくりと離れると今度は二人で手を繋ぎあいその状態で動こうとはしなかったのである。

僕は自分の腕の中で眠っているセシリアを起こさないように静かに移動をすると、先程まで僕の事を攻撃し続けていた人物を気絶させてその場に置いておくと、その男の武器を奪ってそれを両手に握りしめたのである。その時の僕は何故かその男の持っている槍の使い道に何となく心当たりがあったが、今はそのことについて深く考える事を辞める事にした。その男に自分の意識を奪われて操られているその人は今はリリスさんの力の制御下にいてその力で守られているのでそのリリスさんの力を制御できるのも僕だけである。

それにしてもリリスのその能力が凄いと思う。その人を守りたい一心の力がここまでの能力になるのだろうか。僕はその女性が自分の事を愛してくれることが本当にありがたかった。そしてその女性の力によって、その女性を守りたいと思えているからこそその人のためにも僕は強くなって彼女を守れるくらいに強くならないと、僕は自分の身体に憑依している女性の事を見ながらそう思う。

その女性も今の自分より強くなりたいと言っているのだから。そして、その女性は僕に向かって何かを話しかけてきたのだけど。

(あなたが私の愛した人に似ている気がする。あなたの力を借りても良い?)

僕の頭の中に突然その女性の声が響いた。その女性が自分の力を借りていいかという事なので、僕がどうすれば良いのかわからなかったので。

「その女性は自分の力を使っても問題はないんですか?」

と、とりあえず聞いてみた。

(私の力を使えば私の記憶が戻ってくるの。だから私は早く自分の力を使いたい。そして私の愛した人にもう一度会いたいの。お願いします)

僕の言葉に答えてくれた女性の表情は真剣だった。

その女性のその言葉にクロは、その女性がその男性を本気で愛していたという事が分かり自分もこんなに思われたら嬉しいだろうなと思っていたのである。そしてその女性が今、クロが使っている肉体が本来のものじゃないのだからあまり負担をかけたくはないが、今ここで自分の力を使うためにはその方法が一番良いと思い。

その女性はリリスがその力を自分の力として使ってくれるという事を聞きリリスは驚いた顔をしたがすぐに冷静になり、自分の母親の記憶を取り戻してほしいので喜んで協力したいと言ったのである。

「わかりました。僕の体の中に入り込んでいる人の身体をその女性の力を借りることにします。その方が僕としても助かりますしね。その力を完全に扱えるようにしないと、自分の身体に戻った時に苦労しそうですから。その前にちょっと試したい事があるので少し時間を下さい」

僕はクロが自分の力を取り戻す為に協力するという事に納得してくれたことにほっとしたのであった。それから僕は、クロの中に入っている少女が言っていた通り自分の体の中に入ってきて自分の中に溶け込んでいった女性に対して呼びかけてみたのだ。

「君の名前はなんというのですか? できれば貴方の事を覚えておきたいから名前を教えてくれませんか?」

と問いかけてみると返事はすぐに帰ってきたのだ。その女性から聞こえた名前は聞き覚えがあるものだった。しかしその名前を口に出した瞬間その女性が反応したので恐らくはそれがその女性の名前なのだ。そして、名前を呼ばれてから数秒後にその女性は僕の中から出ていき、その女性の意識が完全に僕の中へと入り込んだ。そして僕の中で暴れようとしていた女性の精神は完全に消滅してしまった。その女性は僕の身体に完全に吸収されたようだ。

その女性の名前は、ルウナスと言う名の少女で、その少女が持っていた知識は膨大な量だったのでその全てを使えるようになったわけではないが、この力があればきっと僕は強くなれると、自分の身体に戻ってからが楽しみになったのである。そして僕はクロの姿に戻る為にその力を自分に使い始めるのである。すると、自分の姿がクロの姿に戻りその女性は自分の意志で自分の力を制御する事に成功してクロの姿に戻ると自分の身体から自分の意志の力で抜け出すことに成功して僕から離れて行くのであった。その光景を見てクロは自分が本当にあの女性に勝ったのだという事を確認し、その事を喜んでいたのであるがその喜ぶ暇も無くクロはセシリアの所へ戻ることにしたのである。

そのクロの様子を確認した後リリスも、今度こそ自分の目的を果たすべくクロの後を追おうとしたのだが、その女性の前にリリスの母親が出てきてリリスに語り掛け始めた。

「ねえ、リリスちゃん、どうしてそんなに焦っているのかな? もっとゆっくり時間をかけてクロ君の事を調べても誰も何も文句は言わないと思うよ」

と、クロの母と名乗る女性はリリスに声をかけたがリリスはそれを無視してその場から姿を消したのである。クロの母はその様子を見て、 自分の娘は本当に頑固だよね。と呟き自分の元にいるリリスがいなくなった方角を見つめていたのである。

私はリリスと言う名の女性にキスをしてもらい、キスが終わると彼女の唇に自分の指を押し付けて自分の唇に触れたのです。私はクロ様に抱きしめられていてその状態でクロ様がクロから黒龍に姿を変える為に精神集中をしている。私もその邪魔にならないように静かにしていた。

その私の横でクロのお母様であるリリスさんが、私の事を優しい瞳で見守っていてくれたのです。私は自分の力がまだ戻っていないのでその力がいつ戻ればよいのかはわからないけれど私は必ずクロの助けになりたいと思っている。だって私の事をクロが助けに来てくれた時クロに自分の事を救って欲しいと思ったしクロと一緒にいれば私自身もクロと一緒にいる事で幸せを感じられたのだから、その気持ちは今も変わっていないのである。

クロとクロのお母様が私達がいる場所から消えた。クロの話ではクロのお母様のリリス様がクロの身体に自分の力で干渉し始めてクロにクロの母親の力の使い方をレクチャーし始めたみたいだけど私はその二人の様子を見ながらクロが無事に帰ってくる事を信じて待っていたのである。

クロはクロで、自分の母親の力を自分の力に取り込むのがなかなかうまくいかなかった。なぜなら、その女性と融合することでリリスが使っていたその女性の能力を手に入れる事ができるのだから、クロは必死になって自分の身体に自分の母親の力を受け入れようとしているのだがその女性の能力の制御が思った以上に大変そうであった。なぜなら、その女性の能力の中には相手の意識を乗っ取る力もあったからなのである。リリスのお母さんはその力をコントロールできているがそれはあくまでもリリス自身の意思がしっかりとしているからだと言えるだろう。

クロがクロの母の力を自分の力として取り込み自分の力にしようとしていても、やはり他人の力を扱うにはそれなりに大変なようで、特にその女性が今まで操ってきた人たちの心の感情は、他人に支配されていたとはいえ自分の心でもあったわけなのでその人達の心が簡単に受け入れることができないらしく。どうしても抵抗しようとする心が強く、クロの母親の力の制御に苦戦しているようなのだ。

私がその光景を眺めているとクロは私に向かって、

「僕はこのままじゃ、まだ母親の力を完全に取り込めそうにないけど、僕も頑張っているんだからお前たちも頑張れよな」

と言ってきた。そんな事を言うなんてやっぱり私の旦那は素敵だと思う。それにしてもクロは自分の力で母親を自分の物にしようとしている。私と一緒で凄く嬉しかったけど、でもそんな状況になっていると言うことは、もしかすると、いや、確実にその女性からクロがクロの記憶を取り戻そうとする過程で私の事まで記憶を取り戻してしまうのではないか。そうなったらクロは私の事を忘れて私の事は忘れて欲しいと伝えないといけない。

それにしてもクロはまだ、自分の力で母親の力を受け入れる事が出来ていなかったので私達はクロの身体を心配する。すると、その時だった、 クロが突然自分の力を使いクロはクロの母を自分の力の中に引きずり込んでしまったのである。

そして、クロの力によってリリスの母親はクロの体の中に消えてしまった。

そしてクロはその場でうずくまり動けなくなったかと思うと自分の体を押さえつけようと力を入れていたが。やがて自分の体に力を入れる事を辞めると、そのまま気絶してしまったのである。それを見た私達が慌てて駆け寄ろうとした時に私の頭の中で声が聞こえた。

「貴方がセシリアちゃんね。私はクロちゃんの母親のリリアっていうのよろしくね」

その声でセシリアの表情が一変した。

そしてセシリアの目つきが変わる。

セシリアがクロの身体に抱きついた。その様子を確認したリリスは、クロとリリスのお母さんの会話を聞くためにクロの元に向かう事を決めた。

それからしばらくしてリリスはセシリアの元にたどり着く。そしてセシリアからクロの記憶を取り戻す際に使った力の事を聞いてクロの母親がクロの中にいたことと、その女性がクロの肉体と融合したことで、これから起きるであろう未来の可能性の予測について話したのである。

「えっとですね、今から私は貴方達に私の予想が外れるように協力して欲しいんですがいいですか?」

リリスはセシリアとクロのお母さんにお願いする。

「わかった。何が何でもその予想は覆してやる。俺達の子供に迷惑をかける奴は誰であろうと容赦はしない」

リリスの言葉に即答で答えたのはクロの父親であるクロダである。リリスの言葉に対してクロダの言葉を聞いたセシリアはクロの母親をクロの中から引き離すことを決意したのである。そして、リリスはリリアスがクロを拘束するために使っている魔法を解除した。

クロがリアリスに捕まって数分が経過した頃に、 リシアが、クロが使っている部屋の中へと入って来たのである。

部屋の中では、セシリアがクロの胸のあたりに耳を当てていた。

それから、セシリアはクロから離れてリリスに話しかけたのである。

「クロの容体はどうですか? 私はリリィと一緒に外で待機していたのですがクロの状態が良くないらしいという事で急いでこの家に戻って来たのです」

リリスに話しかけてきたのはセシリアであった。

リリスはセシリアの顔を見てセシリアが無事であったことを確認してから

「セシリアさん。落ち着いて聞いて下さい。クロ君はもうこの世界から存在しなくなりました。今、クロ君の肉体と魂はこの世から消滅してしまいました」

リリスはクロの母親であるリリスが自分の肉体の中にクロの意識を呼び込もうとしたがその行為に対してクロは、自分の中に入っているリリスの母親の力に対して拒絶反応を起こして、結果クロの身体に異変が起きてしまいクロの意識はクロの精神空間の奥底深くへと沈み込んだのだと、クロがクロのお母さんの力に取り込まれて消えてしまった経緯を説明するのであった。

クロが死んだと言われリリスの話を聞き終えるとリシアが涙を流し始めたのである。

その話を聞いたリリスはリディアが言っていたようにクロは自分の身体に戻れる可能性が低いのだと思い始めていたのである。なぜならリリスは自分の娘にリリスのお母さんが行っていたクロへの仕打ちを伝えていなかったから。クロはクロで自分が自分の中にいる人の記憶を思い出すことができるかもしれないと思っていたから自分の母親に対する攻撃をやめて、その女性の言う事に従ったのである。しかし自分の母親の力を受け入れようとしても自分の中の何かが拒否をしていた為にその女性は自分の身体の中にいるクロを自分の支配下に置こうとクロが受け入れなかった。その結果、自分の身体の中にあるクロの存在を消し去ろうとしてクロの体内に眠っているリリスのお母さんの力を暴走させて、その結果、クロは肉体も存在ごと消されてしまったとクロの母親が考えていたのである。

だからリリスはリシアに伝えなければいけない事を伝えた後にリリスとリリスの父親はリシアを慰めるために自分達の部屋に戻った。するとリリスの父親が

「おい、リリス、お前の推測は正しかったみたいだぞ。リリス、あの子の事、本当に任せてもいいんだよな?」

そう言いながらリリスの頭を撫で始めた。リリスは父親に優しく抱きしめられて安心できたのである。その父親の行動はクロがいなくなった事の衝撃を受けている娘の心を和らげるために行ったのであった。リリスはそんな父に抱かれてクロの事を想い泣いてしまうのであった。

私は自分の息子を失ったショックに耐えられず泣き崩れてしまっていた。私の息子が私達を裏切って敵になっていたという事実を受け入れられなかったからである。私の目の前にいる女性、私の息子の本当の母親と名乗る女性が私の目の前に現れた時に、私に助けを求めてきた。それは、自分を助ける為に自分の子供を自分の力で操って自分の敵にするように仕向けて欲しいというものだった。

私の子供は確かにクロと名乗ってはいたけれど、私の子供の本来の名前はセシリアである。

そのセシリアをクロと呼んで私の前にやってきたのはリリスと言う名の自分の息子の嫁になるはずだった女性であり、リリスは自分の夫の元を離れて、クロと呼ばれる自分の夫となるべき人物に会いに来たのは間違いないようだ。私はクロと名乗るその女性を自分の力を使いクロを自分の物にして自分の下僕の様にして操る事にしたのだった。

私がそうして力を使って、私の息子であるクロを支配しようとしていたその時、突然クロの力が強くなり私と融合しようとした私の力を跳ね返そうとしたのだ。私はそれに対抗してクロを自分の手駒にするべく私の力でクロを操ろうとするがクロはその抵抗を止めようとはしなかったのである。だから私はクロの力が私を上回る事がないように、クロの心を壊してでもクロを支配するために私は自分の力を使いクロを私の心の中に閉じ込めようとした。だけど、そんな私の心の中の世界でクロはクロのお父さんとリリスと言う女性の力を借りて私の心の中に干渉してこようとする者達と戦っていたが結局その者たちの力に負けてしまったのだった。

リリスとリリスの父親とクロとリリスは私の心の中でクロの中にあった自分の記憶を蘇らせる為の儀式をしようとしていたがそれは失敗してしまう。私と私の息子は私が作り上げた結界の中で儀式を行いクロはその中で眠っていたがその封印を解く事はできなかったのだ。クロの記憶はリシアとセシリアによって封じられていたからその力を超えることができなかったのである。その力は私の想像以上の強さを持っておりクロの記憶を完全に思い出させないためにセシリアの持っている力に上乗せされたクロの記憶を封じ込める力も簡単に上回ってしまうほど強力な力を有していたのである。

そんな時、クロの身体の中にクロとリリスのお母さんを自分の中に取り込むことに成功してその力で自分の息子の肉体を手に入れた私の母親は自分の目的を達成する事ができたのだ。

私は私に襲いかかってくるその者の姿を眺めていた。そして私はクロを取り戻そうとしていた私の目的も果たすことができたのでクロの魂を自分の中に取り込んだ後、クロの記憶を完全に消去することにした。私の身体の中には私の力を取り込もうとしているクロの母がいるのだが、そんなものはどうでもよくなってしまっていた。だって、自分の力で私の中に入ってきたのなら自分でなんとかして欲しい。私の力を利用してこの世界に戻ってくるのならばそれでもいい。

クロの母親は、自分の力でクロの記憶を取り戻すつもりだったのだろうが、クロを私の心の中から解放するためには私を殺すしかないと思い込んでいたようで私の心の中で戦おうとしていたので、私はクロの肉体に危害を加えられるのを嫌がった。クロが私の力を受け入れる事ができなくても私はクロが消えてもクロの母親であるクロを許さなかったと思うが、私はクロのお母さんが、自分の肉体が傷ついてクロの魂が壊れる事だけは絶対に避けたいと思ったのである。

そしてそのクロの母親との戦いは、最終的にはリリスさんとクロの父親によって決着がついた。私はクロの父親に抱きつかれてしまい私はクロの父親に対して申し訳なく思いながらも感謝をするのであった。そして、リリスさんの方に目を向けると、リリスさんは私の方を真剣な眼差しで見てきた。それを見た私の心臓がドキドキし始めたのを感じている。これは一体何なんだろうと戸惑う私に対して私の父親がこんな言葉を口にした。それを聞いた私は何も言えなくなってしまうのである。リリスさんの言っていることは事実なので反論はできないのだから。

それから、リリスさんの話は続く。

リリアと名乗った女性はリシアがクロにかけた呪いを解けるのは自分だけだと言い、 それから、その話をするリアリスの様子を見ながら笑みを浮かべて話を始めた。そしてその話の続きをしようとしたらセシリアちゃんの身体から凄まじい魔力を感じる事になってしまう。

すると次の瞬間にはセシリアちゃんから強烈な衝撃波のような攻撃が発生してしまう。

それはリディアちゃんの攻撃とは比べ物にならないくらいの強大な魔法だった。そのセシリアから放たれた魔法の威力で部屋の窓ガラスは粉々に割れてしまった。しかし、リリス達は無傷だった。セシリアが放つ衝撃波はリリス達が作り出した防壁により防がれていたのである。そして、その衝撃を受けたリリスのお母さんは

「セシリアちゃん、あなた、今何をしたのか分かっているの?」

リリスの母親の言葉に対してセシリアはこう答えたのである。

「リリスさん、いえリリスお母さんに聞きます。貴方が私の中に存在するという事について教えて貰ってもよろしいでしょうか? 私は貴方の存在を信じたくありません」

セシリアはリリスに向かってリリスの母親である自分の母親を名乗るリリィが自分の中に存在していても受け入れる事ができるようにお願いしますと伝える。それに対してリリスもセシリアの問いかけに答える。

リリスは自分の母親がクロの中に存在する理由はある理由があり自分を犠牲にしてもセシリアを守る為に存在していると説明した。クロとクロのお姉さんであるセリシアが魔王と対峙するのは危険なため自分達がその戦いの場に向かう事になったから自分がクロとセシリアを守るために母親の肉体を借りることにした事を説明する。すると、 リリアスは今の話で納得をした様子で自分がこの場にいる事を許してくれたようです。それからリリスはクロの母親に自分達はこれからどうしたら良いかを相談しようと話しかけたが返事がない。どうやらリリスのお母さんはクロの精神空間の中に取り込まれてしまい、この場にいるリリス達の呼びかけに答えなくなってしまったようだ。

「お母さん?」

リリスは自分の母親の様子がおかしい事に気がつき、

「お母さん?」

ともう一度リリスの母親の名前を呼ぶと リリスの母親から返事が返ってこないので心配になったのである。するとそのタイミングで、クロの精神がリリスのお母さんの精神に取り込まれて消えてしまうという事態が起きてしまいリリスは焦り始めていく。リリスがそんな不安そうな表情を見せるのを見て自分の娘の事を心配しているのだと思い込んだリリスは自分の娘であるセシリアに

「セシリアちゃん大丈夫よ、お母さんがきっと助けてくれるからね。私にできる限りの事をしてみるつもりよ。だから心配しないでね」

そう言ってリリスはリリスの母親を助けるための努力を始めるのであった。

リリスはリシアとクロが魔王と対峙した時のことを聞いてみると、クロの身に何か異変が起きた場合にクロと精神が繋がっているリリスがその異常に気が付くかもしれないと言う事を期待していると言う事を聞かされて少しだけほっとするのである。

(私は、リリスとセシリアを私の身体に取り込んで自分の物にするためにこの二人が一緒にいるところを狙い、私がこの二人の中に潜り込みましたが私ではリリス達を操れなかったのです。私の力は二人には通じなかった。だから私は私自身の意思を持っているクロとリリスのお母さんを自分の中に入れてしまった。だから私は自分の息子と娘のためにリリスとセシリアの力を手に入れなければならない)

リリスはリシアがセシリアとクロを連れて逃げた場所がどこかをリリスのお父さんから聞くとクロの母親であるリリスが、セシリアとクロが連れ去られた方向を指し示してくれた。そしてその場所にクロの居場所を示す光があると言われその場所を教えてもらった。

その方角に向けてリリスがクロの居場所を伝えるとリリスの父親が、セシリアちゃんとクロがリリスに指示された方向へ走り出したのだ。私もリリス達に着いていこうとしたのだが

「リシア、貴女も行ってくれるわよね?」

リリスは、リシアの事を抱きしめながら確認してくる。私はリリスの質問に肯定の意思を伝えてリリスの後に付いて行こうとしたがその前にリリスが、私にあるお願いをしたのである。それは、

「もし、私の娘を救い出せたら、その時は私を救ってほしいの」

と、言われて私は、 リリスを私の物にしたくて仕方ない気持ちを抑えつつリリスに、 私と一緒に来てほしいと告げる。だけどその時、リディアの姿が見えなくなったのでリリスは、リディアを探すが見当たらないと口にするので、私がリディアの捜索を行うのでリリスはリリスの父親とともにクロが向かった方角に向かってもらい、私はリリスの言う通りに、リリスを自分の支配下に置きクロの救出を行うために行動を起こす事に決めたのである。

クロとリリスの母親が連れて行かれたと思われる方向にリティアとクロの父親が駆け出して行くのを見届けた僕はクロの記憶の中に入り込もうとしていたのだがなかなかうまくいかない。僕の中にある僕の記憶とクロの記憶が入り乱れるかのように意識がはっきりしなかったからである。

クロの記憶は、リリアナさんの記憶の中にクロが飲み込まれてしまい、リリアナさんとクロがリリスのお母さんに体を乗っ取られてしまった時にリリアナさんは僕にクロの事を助けて欲しいと伝えて来る。

でもクロはクロのお母さんによって、クロの心の中に自分のお母さんの記憶を封じられて封印されているのに、どうしてリシアとクロは、リリスのお母さんが僕の体に乗り移ったときにクロを自分の中に取り込めたんだろう。僕はそれがすごく疑問だったのだ。クロの記憶の中の世界で、リディアという少女の身体を乗っ取りクロの身体を手に入れたクロの母親は、クロの身体を手に入れたあとにリシアにクロを奪還されないように自分の肉体と精神の一部だけをクロの肉体から切り取って自分の肉体の方に閉じ込めたのである。それなのに、リシアの身体の中にいるシロは、リリスさんの身体の中から出られなかったはずだ。そしてその事はシロの記憶にも刻まれていたはずなんだけどな。リリスさんの身体の中から抜け出せないならリリスの身体をシロが乗っとれるはずが無いと思うのになぜ、そんなことができたんだろう。そんな事を考えていてもしょうがないので今は一刻も早くクロの記憶の中からリリアナの記憶を見つけ出す必要があると思った。

そんなことを考えているうちに少しずつクロの中で意識を保つ事ができるようになりクロの中で、クロとクロのお母さんの思い出が蘇ってきた。そして僕は、リリアナはリリスの母親でありリディアの母親である事を知る。

クロの記憶がだんだんクリアになって来たのを感じたのでリリアナのクロに対する記憶を探るとクロの頭の中にはクロのお母さんとの記憶しか残っていなかったので、僕はクロのお母さんの記憶を読み取ることに集中を始めたのである。

私はクロの母親であるリリスとリリスの父親とリリアと共に魔王を倒すための計画を立て始める。しかしクロの母親の肉体に宿っているクロの父親は、自分が魔王と戦うと言い出し、魔王のところに一人で乗り込むと言い出したのである。しかし、そんなことをしたら魔王に殺されて終わりになるだけだしクロの肉体もリリス達の手には渡らなくなる可能性があるため私は反対したがそれでも彼は魔王のところに向かうと言ってきかなかった。

するとクロが私達に向かって

「お父さんを止めに行って下さい。僕一人が行けばきっとお父さんは僕を見捨てたりはしないと思います。僕がこの場に残るよりもリリスさん達がいた方が魔王を倒してくれる可能性が高いからそうしてください。お母さんはクロアが守ってくれるって約束してくれたから安心しています。お母さんのことは絶対に助けだしてくれるからそれまでクロアのことを信用して待っています。クロアのお母さんは僕にとっても大事な人ですから助けられるものならば必ず助けます。ですからどうかお願いします。そしてセシリアさん、お父さんが無茶しないように説得してくれませんか? お願いします」

クロの言葉にリリスが、クロの頼みを受け入れようとすると

「クロ、貴様がクロの母親であるリリスの母親に勝てるのか?」

クロの父がそんな事をクロに問いかけると

「僕は負けないよ。リリスさんとセシリアが一緒にいればきっとお母さんは助かるからお願いします」

クロはクロの父親に対してお願いをした。するとクロはリアリスとセシリアに向かって、クロが持っている剣を渡したのだ。するとリアリスとセシリアの二人が光を放ち始めた。私は驚いていると リリスもセシリアとリディアが光り輝く剣を手にしたことを確認しクロに対して感謝を告げると

「ありがとうクロ、本当にリリスの事が大事にしているのが伝わってきた。私はリリスの母であるリリスが大好きだからリリスを幸せにしてあげて」そう言うとクロとリリスの二人はその場を立ち去り、クロの父親が、リリスの母親が待つ魔王のいる場所に向かうために、この場を離れていったのであった。クロはリリスの母親と二人でクロのお母さんを救う為にリリスの父親が向かった方向に向かっていったのである。クロとクロのお母さんは大丈夫かな。

「お父さんは、クロの母親であるリリスの母親のところに単独で向かうつもりみたいだけど大丈夫かしら?」

リリスはクロのお父さんを心配するような言葉をクロの父親に伝えたが

「リリスさん、お父さんは強いですから大丈夫ですよ」

クロは笑顔を見せながら私達に話してくれたのだった。

そして、クロは、魔王がいると言われている方角を指し示すので私達はクロが指差した方向に移動を開始した。

魔王の居場所がどこなのか私はわからないけどリシアに聞く限りこの魔王のいる場所にリシアの友達がいたと言う事をクロが私に告げたのであった。その言葉を聞いたリリスは、魔王がいると思われるその場所までもう少しだとクロに言うと、クロが急に何かに気がついたような反応を示した。

リシアもリリスも私もこのクロの反応に警戒をするが、この感じどこかで感じたことがある気がすると思い私はすぐにクロに確認をするために、クロのお母さんとの記憶を見せてくれないかと頼むとクロは私のお願いを聞いてくれたようで、私の中にクロの記憶が流れ込んできた。それはとても優しく懐かしい記憶だった。クロの母親であるリリアは、私のお母さんのように優しかった。私はそんな母性に包まれた優しいリリスの母親を心から愛していた。

でもそれはリリスの母親の記憶ではなかったのである。リリスの母親はクロの身体を手に入れてすぐにクロの心の奥底に封印されてしまったはずなのになぜかその映像は、私ではなくてクロが母親であるリリアと一緒に暮らしていた時の映像が見えたのだ。しかも、 そこには私の見覚えのある女性もいたのであった。

(クロのお母さん、貴女がどうしてこんなところにいるの?)私が混乱をしていると私が見たこともない光景が次々と流れてくるがそこに現れた女性がリシアの母親だと理解できたのだ。

(なんでお母さんの姿が見えるの)私が不思議がっていたその時私は急にある事を思い出すことになる。そういえばリシアの記憶の中にクロの母親と思われる女性の姿が映し出されている時があったなぁ。その時は私は特に疑問を持たなかったけれどリシアの中に入り込んでいたリリスさんの身体の中にあったリシアの記憶と混ざってしまったことで私は勘違いをしてしまっていたようだ。リシアの中に入り込んでリシアとクロの記憶を見ていたので私には二人の母親の記憶があると思ってしまったのだ。実際には私に記憶など存在していないのだ。それなのに、リシアとリリスの二人との記憶を見ていたため私の頭の中は、二人の母親が同時に存在するというおかしな状態になっていたのだった。しかし私の中で一つの事実が発覚したので私はクロの身体に乗り移っている私の中の神様であるクロに話しかける事にした。

「あなたがクロの父親の中にいたのはあなたの本当の父親の記憶から私を守るためにリリスさんの体の中に入ってクロの体の中に自分の分身を封印したんですね」私はクロに向かって話しかけるとクロは驚きながらも答えてくれた。

「えっ、僕の中に封印されていた神は貴方の中にいるのですか? 確かに封印が破られた時は僕の体を使っていましたが」

クロはそう言うがリリスさんはそんな話を一度もしていなかったしリリスさんが嘘をつくとは思えないので本当なのだと判断をしたのである。

「そう、そうなのですね。貴女の事は私が助け出します。もうしばらくクロの身体を貸すように伝えてくれますか?」

そう言ってリリスさんとリディアちゃんは私と別れる前に、私が持っている杖が私の手に戻ってきた時に私が持っていた全ての力を取り戻す事ができるように準備をしておいてと伝えて欲しいと言ってくれたのだ。私は、クロを乗っとった奴に騙されないように注意しながら魔王の場所を目指す事にしたのだった。でも私はなぜだか分からないんだけど私はこの世界に来てリリスさんに出会う事ができたから私はリディアちゃんにも出会うことができると信じて前に進むことができたんだよね。でも私はこれからもいろんな人に出会っていく事になるだろう。

クロの記憶の中にある場所に到着するまでの間に私は自分が持っている杖を取り出した。

これは魔王から授かった魔剣を私自身が作り出したものでリディアちゃんの力を借りないと作ることはできないのだが私は、そのリディアに頼んで私の持つ力を封印しているのを解除してもらう為に、リディアから貰ったお札を外しリリスさんの身体に張り付いている御守り袋の封印を外し自分の魔力をリリスさんの体の中から引き出したのだった。

そして私はクロの記憶の中でリリアが教えてくれた魔法陣を展開していく。すると魔法が発動しリディアが現れた。私は自分の魔力を放出していたせいでリデアに憑依していたはずのリリスさんの身体から抜け出してしまい意識だけがここに存在してしまっているので今現在リリアの肉体がどのような状況になっているのかが把握できていない。しかしリディアが来てくれてリディアの肉体から抜け出して来た私の意識はリディアの中に入っていくのである。

私はリリスさんの身体に入っているリリスの事を気にしながらもリディアとリディアがリリスと呼んでいた女性の元に急ぐ。するとリディアは突然私に向かって話しかけてきたのである。

「私はクロア、リリスよ。私は魔王によって魔王に身体を奪われたけどなんとかリリスの精神と魂だけ逃げ出すことに成功したの。リリスはリリスがクロアに渡したい物を持ってきてくれると言っていたわ。クロアはクロアが持っている魔王を倒す為の切り札を持っているのだからクロアがクロアであるために必要なものが必要な時に取り出せるようにしておかないといけないって言われているからリリスはクロアのためにリリス自身の力を使った魔剣を作ったの。この魔剣は、クロア自身とクロナ以外の人には扱う事ができないし使うとリリスは死んでしまう。クロナなら扱えるしクロアが死なない限りクロナは生きている限りはクロアの中の人が死ぬことがないからクロアを救える可能性が高くなる。だからクロア、クロアはこの剣を手にしなければいけない」そう言うと、リリスと名乗る女性は私に向かって、その剣を渡す。

私はその言葉を聞いた後に、私はそのリリスと言う名の女性が、クロカとクロアの父親と母親だと思った。なぜなら、リリスの見た目は完全に人間だし私自身も人間の身体にリリスの記憶を持った状態でリリスの記憶を持っている。クロの話では、クロの母親の身体を奪った者が魔王であり、魔王を倒した後は、クロは魔王が乗り移るための器として魔王に利用され魔王はその後死んでしまったのだろうと予想された。私は、その話から魔王の魂は、別の身体に宿っていたのではないかと考えた。

私とクロの父親が魔王と戦おうとしたときに、クロの父親が言った言葉を思い出したのだ。確か魔王が言っていた言葉が「私と同じ能力を持った存在がこの世界にいたとは思わなかった。私はこの世界の神である」という言葉と、クロの父親に倒されたあと魔王の口から出た言葉が「神をも超えてやる」という言葉であった。このことから考えるとおそらく、魔王は神であった可能性があるのではないかと考え始めたのである。そして、この世界に元々いた神の人格と、この世界に来た時の神様に精神体を乗っ取られ魔王の器になってしまった魔王の二つの存在がいて、クロの父親は魔王に勝とうとしていたのだとしたら?その考えが正しいのだとすれば、クロの母親が使っていた武器がリリスさんが作ったものだからその可能性が高いと思うので、クロの父親の言葉を信じればその魔剣はリリスさんの力を使う事のできる唯一の手段なのだ。だからこそ、魔王と戦うための私の最大の武器となるのだと気がついたのである。

(私の中に封印されていた記憶と、リリアさんが残したリリスさんの身体に入っていた記憶の二つの情報を合わせて考えてみよう。私はクロの父親と同じように私とクロの記憶にあるリリスという人は私のお母さんだと、私はリリスと言う名前しか聞いていなかったが、お母さんの名前を知るためにクロの父親に協力して貰っていた。でもお母さんの名前がわかったとしてもリリスと言う名前のお母さんがこの世に存在するかわからないけど、私はクロの母親であるかもしれない女性を助けるために私は、クロの母親が作った魔剣を使い魔王に対抗出来るようにしよう。それに、リリスが魔王に殺された後魔王に身体を奪われていたとしたら魔王の力は未知数な部分があるはずだ。だから少しでも多くの手を打つ必要があるのだ。そしてその前に私にはどうしてもやらなければならない事がある。私は、リシアの中にいる私ではないもう一人の私、いや私であって私でないものに会うための準備を整えてからこの世界を旅することにした。

「クロアさん、リリスです。私はクロアに私達を助けてほしくてこの魔剣を作ってあげました。私は魔王に身体を支配されてリリアさんの魂と一緒に封印されていたのですがクロリアが持っていた私の杖の力と、リリスさんの力でどうにか抜け出すことに成功して、クロオさんの体に私がクロリアさんの代わりに入って、私がクロオさんの肉体を使ってクロの身体に憑依しました。私の本来の目的は、魔王を倒し私の家族を取り戻すことです。そして魔王を倒すためには、私がこの手で直接殺すか、私の作った剣で殺さないとダメだと私は感じているの。私がこの体を使っている時はリリスの記憶が蘇っているけれどクロの身体を使っている時はクロがリリスさんの持っていた杖の記憶を引き継いでいるはずなの。クロにはリリスさんの持っている杖の記憶が残っているからそれを上手く使ってね。私の力も杖を通してなら使えるようになっているはずなの。私は杖の中に存在しているから、リシアの中にある杖に力を送ってあげるからそれを武器にして戦いなさい。杖が折れてもリリスの杖は、クロに渡してある私の杖ですぐに直せるのだから遠慮はいらないわよ。でも杖に力を溜めるのに時間がかかってしまうから、その間クロが私の杖を握り締めていれば力が蓄積されていって魔王を殺す事が可能になるのよ。それともう一つクロに渡すものがあるから、この御守り袋を開けて中にあるものを身につけてほしいの。その中に入っている物はクロアさんが私達の世界で生きていた記憶を取り戻すために必要なもので私は、この記憶を封印する前は、記憶を失っていてもクロアさんは私の娘であると思っていたから御守りにこれが入っていたのだけど、今のクロリアさんの身体はクロナの身体とリリスさんが入っているクロの身体なので、クロナさんが持っていると良いと思ったの』そう言ってリリスさんは、私にクロの記憶を封じ込める前のリリアが使っていた御守りを渡してくれたのだった。私とクロは二人で、魔王を倒すために準備を始めるのである。クロとクロアさんは、それぞれクロとリデアさんの中に封印されている魔王を討伐するために準備をすることになったのだった。

僕は魔王がいる城に向かうことにしたのだが、その前に僕の身体の中にあるクロの身体に埋め込まれた魔王の核を破壊する必要があると考えたのである。しかしどうやってクロの中にある魔王を消滅させるかを考えた。しかしそんな事を考えている時間もなかったので、僕が持っている剣の力を使うことにして、まずはクロの中に入っている魔王の身体から出てくることを最優先に行動を開始した。そのためクロの中の魔王の身体から外に出るためにクロの意識が眠っている間だけ身体を動かすことができる。この状態を利用して僕はクロの身体の中で眠っているクロに、身体を貸して欲しいと頼んだのである。

そしてクロに身体を借りた後に僕は魔王に止めを刺そうと思いながらクロの記憶の中にある場所に転移する事にしたのだった。

クロに身体を借りてからクロの記憶の中から場所を探してみたのだが、その場所は僕とクロの父親の思い出のある街だったのでクロの意識がない時にこっそりクロの記憶の中にあったこの場所でクロとリリアさんの事をクロとリリアさんから聞くためにもこの場所に来てみることにした。

その日、僕は久しぶりにこの街にやってきた。リリスの記憶から魔王と初めて対峙したときに戦った場所は覚えていたのだ。クロとリリスが暮らしていた家があった街だからだ。

しかし今はリディアの街になっているのでその記憶が合っているかどうか不安だったが、記憶の通りに街が存在していてリリスが住んでいた家はあったのだ。

それからクロのお父さんであるリシアがクロとクロアのお母さんのために用意していた家に、リディアさんとクロの父親が住んでいることがわかったのである。そしてリディアさんとクロの父親は同じ家で暮らしている事がわかった。僕はクロの記憶とリリスの記憶を探りリディアの家にたどり着いたのである。

その日から私は毎日クロアとして過ごすことになったのである。最初はリリスの身体を使っていた時に身に付けていなかったものを身に付けているせいで違和感があったが数日するとリリスとしてクロアとして暮らすことに慣れていったのである。

そして今日、私はこの国の人達を守る為に必要な魔道具を手に入れることができたのだ。その魔道具の名前は『クロエの遺産(リリア命名)』と言いこの国を守りたい人達なら全員欲しがるような代物であった。その効果はクロの持っている剣と同じ効果が使えるように作られているらしいが使用者は私ではなく別の人の魔力を使わなければ使うことはできないようになっていたし剣自体もかなり強力な物だと言う事だ。ただ私の身体の中にはまだ魔王がいないため、私の中の魔王を倒すためにはこれが必要だと判断したのだ。だからこの魔道具を私は使わなければならないだろうと思った。それに、クロも魔王を倒した後は魔王に支配されていた人を助ける為に、この魔道具を使って欲しいと思っていると言っていたから、これはきっと必要なものだと確信した。

私はその魔剣を使う事を決めた。魔剣の力を使うために、魔剣の力を使うには魔王の身体の中に封印されていた魔王の力を使うしかないと、私はクロの父親である、クロリアに言われたのだ。だから魔王の封印を解く必要があった。だから私は魔王がこの身体にいる間は、魔王に封印されている力を引き出させればこの魔剣を使えると予想したので魔王の身体と一体化しているときに、私が魔王に自分の意思で身体の支配権を譲り渡し魔王と精神交換をしなければならないのだ。

精神を交換するとどうなるかと言うのもクロの父親は私に伝えていた。それはクロに憑依してこの世界に戻ってきたリリスの記憶が、私の中に残っていたのが、クロに身体を返すことによって、私の中にいた時の記憶が失われるとリリスから聞いているからだ。私はリリスさんに、私の人格が消えてしまう可能性はありますが、私の人格は消されないと思いますよと言われていたので私はリリスが残してくれたクロの中に存在するリリスの力の宿った杖を使ってクロを補助することにしようと考えたのである。だから、私はこのリリスが残した杖をクロの杖と呼ぶことにした。そして私は魔王の中に存在していたリリスさんに憑依されたリリスさんの体の中にいる私が、このクロの杖の中に残っている私以外の記憶を持っている記憶媒体の杖を使えばこの杖が記憶を取り戻すきっかけになり私にこの身体に魔王がいる間の私の記憶が戻ってくるかもしれないとリリスが言っていたからである。

「私がこの世界に戻る時、リリスの肉体は魔王に殺されていましたがリリスさんが使っていたクロの記憶の中にある杖の力はリリスさんの肉体とリリスさんの魂とクロに残されていたのでリリスさんの杖は、私達親子がこの世界で生きて行く上で大切なものだと判断しています。だから、リリスさんの力の宿るこの杖を使い私は魔王を倒してみせます」私は、クロの父親に向かって私は宣言したのである。私はクロの父親からクロの母親が作った魔剣を受け取る事に成功した。そして、リリスの持っていた杖が私に渡されその杖の中にクロに残されていたリリスさんの魂の記憶が入ったのだ。

その日の夜、クロの意識があるうちに、クロの杖の中にクロの持っている杖と同じように私の中に入った魔王の力を蓄えておくことが出来るようになっている事を教えてもらった。この二つの杖を同時に使う事により魔王を討伐できる可能性が高いと考えて、この二つの杖に同時に魔王の力を注ぐためにリリスさんからクロの中にいる私の身体に渡された杖に、クロが持っている杖の魔石とクロに埋め込まれた魔核の両方から、私の身体の魔力を注入することにした。その結果魔王の身体を一時的に乗っ取ることに成功したのである。

ただ魔王は、クロの杖に私に宿っている記憶を全て吸収させた後、クロの杖から出てきたらすぐに、クロの杖の中に存在しているリリスさんの記憶を奪い取りそのリリスさんの記憶をクロの身体の中に入っていた魔王の核に取り込み始めたのである。魔王は、クロの身体の中にあるリリスさんの魂の記憶と融合させてクロの中の魔王を復活させようとしたのだろうが残念なことにリシアから譲り受けたクロの腕輪の結界に弾かれて私の元までは辿り着けず、魔王はリリスさんの持っていた杖にクロの中にあった全ての私の中に入って来た魔王の力を取り込んだ瞬間、その力が暴走してしまい私の身体が魔王に取り込まれそうになったところで私は咄嵯の判断で、私の持っていたもう一つの杖に魔王の力を移した。そうしなければ私は確実にクロの持っている剣で斬られてしまっていたのだ。魔王に取り込まれる前に私はどうにか魔王の力の暴走を止められた事に安心していた。私はこれから、魔王を倒し魔王に身体を支配していた者を排除しようと行動を開始するのである。まず私はクロと一緒にこの街を守るためにこの国から逃げて来た人達の住む村に行くことにする。そこには、リリアさんからもらった魔道人形やゴーレムが存在している。そこで私は、私の意思を継いでこの世界を守れる存在になるであろう者達を育てていこうと考えている。

クロの意識は今はないけれど私達が出会ったあの山まで行く事は、リリアさんの記憶にクロの父親が残してくれたクロが使っている魔導書があるのでそれを読むことにより可能になっている。その本によるとこの世界のどこに転移しても私とクロの魔導書が繋がっているため私達の身体を入れ替える事ができるようなので移動は簡単だと思う。しかし問題はその先の問題なのだ。

その先は、クロの身体に封印されていた魔王に操られていたリリスさんの力の核とリリアさんが作り出したクロの記憶の中にあった魔王に埋め込まれた核の力を利用して魔王の力を制御する事が必要になると思うのだ。そうでなければ、魔王の意識に身体を奪われてしまった時に大変な事になると思った。

魔王に乗っ取られたクロの身体がこの国の人達を傷つけたりしない為には、この国を守る勇者が必要だと考えた。クロの父親は魔王の意識を完全に排除できれば勇者が現れると言ったのだが魔王はクロの身体に封じ込められたまま、クロが持っている剣の魔石を破壊すれば消滅させる事ができるという。だからその方法で魔王の身体から追い出してからクロの魔剣を使って魔族を滅ぼして欲しいとクロの父親から言われたので、クロの父親の言葉を信じ私はクロの魔剣と魔王の魔剣が一体化していなければ、この魔剣とクロの身体の中にある剣が一体化している時はその力を利用する事が出来るはずだと言う事を思い出したので、クロの剣とクロの身体にある剣の二つが同化するまでの時間稼ぎをする事にしたのだ。私はその時間を無駄にするわけには行かないと思った。その時間があればこの国に残されている魔族を倒す事だって可能なはずである。だから私はこの国の魔族の王であるサタンを倒す事を決断したのだ。そして私はこの国に残っている魔族を倒すためにリリアさんが作ってくれた魔道具を使ってこの国にいる魔族は倒せるだけの戦力を整えることに決めるのであった。この国に残った魔王は魔王の中でも下っぱで魔王の部下が十人以上も残っているがこの国の人達を護る為ならそんなことは些細なことである。

僕は魔王との激闘で傷つきながらクロと入れ替わった後のクロが、僕の身体の中から魔王を追い出す事に成功した。そして、クロは魔導書の力でこの国の魔族の王様である魔帝サタンと戦闘を開始した。

そして、魔道人形であるリーファがクロが持っている剣を弾き飛ばしてしまい剣に込められていた魔素を一気に解放すると同時に魔王がクロの中で暴れだしてしまった。魔王の人格は完全にクロの中にいる僕に乗り移ろうとしていたが、リリアの作った指輪の力によって防がれていたのだ。ただ完全に追い払う事は出来なくてクロが持っている剣に魔剣の魔力を溜め込む事ができたみたいだった。そして僕は魔王の剣を使ってこの国に存在する魔族の王の首を跳ね飛ばすことに成功し、それと同時に魔王をクロの中に戻す事にも成功した。

そして、魔剣と魔核が完全に一つになってクロの中に存在する剣と一体化した瞬間に僕は、クロから剣を取り上げる事に成功し魔王が乗っ取った身体のクロの体を支配しようとしていたのだ。だがその魔王の行動をリリアが残した魔道具が邪魔をしたのだ。その魔道具の名前は『リシアの遺産』といい、魔道具の中には魔王に封印されていたリリスの身体と魔王の力の核の一部と魔王の身体の心臓である魔石の欠片とリリスの記憶が入っているのであった。だから、その魔道具のおかげでクロは自分の意思と身体の主導権を取り戻したのであった。

クロと魔王が戦う事になった時もリリアが魔王を封印する魔道具を使って、魔王を封印することに成功したのだが魔王は復活するためにリシアの魔道書の力を使う必要があって魔王の力がリリスの記憶の入っている魔道具に吸収されてしまう前にクロの中に入り込もうとしたが、リリアさんが作り出した魔道人形の剣に防がれてクロの剣の魔石から魔王が放つ力を吸収させてしまうことができた。その結果クロが持っている二つの魔剣の剣の力を使って魔王を封じ込めることに成功した。

「魔王との戦いは、魔王の魂を一時的に封じる事はできたけど、また、この世界に戻ってくるかもしれない。だからクロと魔王を引き離している間、クロの身体が壊れないように私がクロの代わりになればいいと思って、クロがクロに憑依された後にリリスさんの持っていた杖を使ってクロの身体の中に残っていた魔王に埋め込まれていた核を私が回収しようとしたんだけど、結局魔王に乗っ取られちゃった。そして、クロに魔道書と杖を渡す事が出来なかったの。だからこの世界に戻らない方がいいのかもしれないけれど、でも私はクロと約束をしたいから魔王を倒しに行きたい」と言って来た。

クロは僕の身体の中に魔王を封印してからこの世界に来る前の記憶を失ってしまっていたのである。クロが魔王と戦う前の事を僕に伝える為にこの世界に来たのだが、それは魔王の策略により記憶を失わされていた。

クロは魔王に乗っ取られた自分の肉体の主導権を取り戻して僕の方を見た。

クロの身体と魔王の肉体は融合していたのでクロは自分が魔王と融合した事で得た記憶を失いながらも魔王と融合してしまう前までにクロが持っていた杖とクロが持っていた魔剣にクロの魔石が一体化するように魔導具を作り替えたのである。そして、クロは僕の方に近づき、この杖の中に魔核と魔結晶がある杖を取り出してきたのでクロの持っている杖と魔王の剣の魔石からクロの身体に融合していた魔王を引きずり出した。そのあとに魔王から引き剥がされ、僕の身体に封じ込められた魔族の王の核は魔道人形が使っている魔導書をリリスさんが作り出してその本の中に魔族の核と一緒に封じ込めたのだった。その魔道書は、この魔導書の中にいる人が魔王を倒した後この世界で生きて行く為に使う魔導書である。リシアがこの魔道書を作る時に使った魔核は、魔族達が大量に使っていた魔核なのでこの魔道書の中に入っている人の身体の中にある魔素を吸収し続けることができるように作られているので、その魔素を使って魔導士はこの国を復興する事ができると思う。リシアが作った魔核の中には魔王の魔核が入っていてその核の力をリリスさんが持っていた杖に吸収させて魔石が一体となった時に、魔王が使っていた魔核が魔王の魂が封印されているのである。だから魔王がこの世に蘇り、クロとクロの身体の主導権を握っていた魔王の魂が分離したとしてもクロの杖の中にある魔王の魔核からクロの身体に入り込んで来ようとするだろうが魔王の身体が持っていた核の力がクロの持っている杖に吸収させている限り魔王の魂が再びクロに取り憑くことはできない。

そしてクロは僕が魔王に身体を奪われた時の状況を伝え、この杖を持って行くように言ってきた。この魔導書があれば、この国の魔族達は自分達の魔力だけで魔導師として復活する事ができる。リリアさんが作ってくれたこの魔導書に込められたリリアさんの魔素を使い続ければ魔族は再び魔法を使うことができるだろう。

僕は、クロと一緒にこの国の復興を手伝う為にクロと一緒にこの国の魔族の人達がいる所に行く事にした。この国は魔王城が近くにあるだけあって魔族の人達が多く住んでいる場所だ。クロと魔道人形と一緒に行く事にしたので、この魔道人形と一緒にいれば、この国の魔族がクロに襲い掛かってくる事は無いだろう。クロと二人で魔導国に行く準備をした後にこの国の人達が暮らしている場所に転移したのだった。

この国にいる人達は、みんな魔族の人達で人間と共存している種族だ。魔族は、魔王によって迫害を受けてこの国から逃げ出して来た人々ばかりだ。魔王が討伐されてから、この国の人々はこの国を取り戻す為に戦って来たのだ。そしてその目的を果たそうと頑張っていたが、魔王が倒されても魔物達がこの国に押し寄せてきていた。魔王が倒したからと言ってすぐに魔族達の暮らしが戻るわけではない。

魔王がこの世界を支配すれば魔族以外は奴隷扱いにするとこの国の魔族達に伝えた。その話を聞いたこの国の魔族の人のほとんどは絶望的な気持ちになったらしい。僕やこの国の人達が魔王と戦った時に魔道書の中に封じ込めていた魔族から聞いた話だが、実際に魔族以外の種族の人は魔王の住む土地にある大きな門の外に出られないようになっていたのだと魔族の一人は教えてくれたのだった。しかし僕がその話をしたら魔王の魂を閉じ込めている魔道書の中にいる魔族の王は、そんなものはもう無いと言う。なぜなら魔王がこの世界を支配していた頃に大きな門を作ろうとしていた魔族の者達がいたのだけどその計画は途中で頓挫してしまったからである。

この国に住む人々の生活を支える食料の問題である。人間の国に侵略する事が出来なくなった魔族は食糧不足に陥っていたのだ。そして魔王を倒すと決めてからもこの国の人々を飢えさせる訳にはいかないと考えた魔族の王は、この国の人たちの為に魔族の王が持っていた魔素を使い、他の世界と繋がりを持つことのできる魔道門を作っていたのである。その門を作った魔道書に書かれている内容は『魔道門を開くために必要な物は、まず第一に魔石、次に魔法を使うのに必要な魔力を持った生物。最後に魔石の中に封じ込める対象の生物の血。そしてこの三つの素材が揃って魔石の中に対象者を封じることができる。魔石と魔力は魔導書を持っている者の魔力で代用できる。魔素は、魔族の王の魔力が使えば問題ない。』というものだった。魔族の王は自分の持つ全ての力を使って魔道書の中の空間と繋がる魔道をこの国中に広げていた。そのおかげなのかは分からないけど、魔王を倒してから魔素を使ってこの国を復興させようとした時にはこの国の人たちは普通の生活を送っていた。魔族の王様は、この国が滅びそうになった時のための最後の切り札だった。魔王は倒されたけど魔王によって滅ぼされなかったこの世界の他の国と繋がって、その国々と貿易をしようと思っていたみたいだが、それも魔道書に書かれていない。魔素の補給ができない状態で魔道書に封印された魔王が復活してしまったのなら魔王によって滅ぼされた他の国とも交易をしようと考えるかもしれなかった。

魔族の王の持っていた魔核の力で魔道門を開いたらこの国にも魔王によって苦しめられた他の国の魔族がこの国に来る事になってしまうかもしれない。それならば魔道門の魔道書は使わない方が良いと僕は判断して魔族とこの国の人達を連れて魔道門があった所に向う事にした。

この国の魔族の人に案内されて着いたのは大きな塔のある城だった。その城の最上階に魔道書に書かれていた魔核と魔法を使うのに必要とする魔力を持っていた人物を封じる事の出来る部屋があって、そこには一人の魔道士の老人が住んでいた。この国の人ではないようだったが魔族の人達と仲が良くて、この城に一人で暮らしていた。彼は魔族の人のために毎日食事を届けに来ていた。そしてこの部屋の魔導書をクロから預かった杖の中に移して杖から出さずに持ち歩いていた。そして、クロがいなくなった後に、杖の中で眠る事になったのである。

この魔導書を封じる事ができたのはリシアという女性が使った魔導師の杖の中に眠っていたからだと言う。彼女は魔王が倒された後にこの国を再建するために魔導国の王族の一人として立ち上がったのだが魔族の人のために何かしたいと魔導国の王子様を説得し、この杖を自分の持っていた魔法の杖の中に隠すように預けたのである。魔導国を再建した後、彼女はその杖を持って杖の中から出てきた魔王と戦うことになるのだがそれはまた別の機会に話すことにする。

「君がクロが言っていた魔族の王だな。君の身体から感じる魔力の質はこの国でも一番優れているようだ」

と魔族の人が言った。

僕が杖に宿っている魔族の王に魔道門を作る時に使う物と必要な物の話を聞いたのでこの国の人に伝えてくれると約束し、僕はこの国の人たちにこの国の魔王の持っていた核を渡す事にしたのであった。この核に魔王の魂が封じられている事は魔王の魂の核を僕が持っている杖の中に封じ込めるときに僕が魔王の魂から聞いていたので知っている。魔王は魔族の人たちが自分の意思で動けるようにする為に魔王の核の中に魂を封じこめると言っていたがこの核の中には魔王の魔核に魔王の魔石から魔素を吸収する為の力を与えた魔石が入っていた。その魔石の中にこの国の魔族の人の魔石に蓄えられていた魔力が凝縮されているはずだから、これを使えば魔道門を開くのに使う事ができるだろう。僕はこの国の人達がこの国の魔族の人達の暮らしを守るために必要としている物が、今ある核の中に入っている魔力と魔石の二つだと教えてくれた。魔素の方は魔素を補給する方法は僕にはわからないが魔導国の人達で研究してくれるだろう。

魔導国に戻る前に、僕は魔道門の事を魔族の人に伝えることにした。魔導書のページを開いてこの国で使っている文字とは違う文字の書かれた箇所があると魔導国で調べるとわかると思うと伝えておいた。

そして魔導国で、魔王との戦いで壊れてしまった魔道国を元の状態に戻すための手伝いをする事を約束してきた。

魔族の王であるクロがこの国の人々に挨拶をして、魔道国の人達が住んでいる街に向かう為に僕が転移しようとしたその時、魔導国の城に向かって黒い光線が飛んで来たのである。その攻撃によって魔族の人達の命が狙われていると判断した僕はすぐに魔王の杖から魔力弾を放つと黒い光線は打ち消されるのと同時に、この国の人達を庇った僕に、魔導国から放たれた攻撃の第二波が襲ってきたのである。僕は魔王の魔素を使い防御結界を張り巡らせて攻撃を耐えきろうとした。

僕の張っていた魔法防壁をすり抜けてくる黒いビームを僕はなんとか凌ぐ事に成功したのだった。僕の周りには先程僕たちがいた場所より更に多くの矢と魔法が襲い掛かってきたのでその攻撃を僕が全て受け止めた。すると、魔王の杖に宿っていた魔族の王は、この国に魔導国からの侵入者が来ていることを伝えてくれてから僕とこの国の人達の目の前から消え去った。僕は、魔王の杖の中に入っていた魔族の王に対して、これからも僕を助けてほしいと頼むと魔族の王は、クロと一緒に魔王の剣を取りに行った時の時に一緒に来てくれた魔族の少女に話しかけてその少女に魔族の王が今までに集めた知識を与えていたのであった。その知識のお陰もあってかクロとクロと融合した状態の魔族の王は無事に魔王の城に到着することができたのだった。

そして魔王の杖が言ってくる通りに魔王が復活していてしかも魔族と魔族の人達を殺すために魔族達が集まっている場所まで行く事がわかったのである。僕は魔王城に乗り込む準備を整えるため一旦魔王の城から出て、魔王の魔石を魔石の中に封じ込める準備をすることにしたのである。そして準備を終えた僕と魔導国の魔族達は、魔族達が集まり始めている魔王の城の近くに瞬間移動して、魔王城に潜入した。

魔族の人を守りながら魔族達がいる場所に進んでいくと魔王の城の中にいた魔族達が僕達に襲い掛かって来るが、僕達の力の前に簡単に倒す事ができたのである。しかし、僕が予想していた以上に魔族の数が多かった。そしてその大量の魔族が僕とクロを殺そうと攻撃を仕掛けてきたのだ。僕達がその攻撃を受け続けているうちに、僕達を狙って魔王城の上の階にいた魔族の王とその部下の二人が襲いかかって来たのである。その二人はクロと融合している状態になっていた魔族の王の師匠でもある人だったのだ。その二人は自分達の弟分を救ってくれた恩人であるクロとクロと融合した魔王と融合した魔王に負けず劣らずの強さを持っていた魔王を倒すほどの力を既に身に着けている僕を危険だと判断して殺すつもりできたようだった。その魔族の二人と戦い始めた。

二人の魔族は連携を取って戦い僕を苦しめてきたが、その連携に僕が対応できないような隙をついた攻撃をするわけではなく僕を翻弄するような行動を取っただけだった。そのお陰でその二人が何を企んでいるのか分かったのである。僕がわざとその二人についていけるような速さでしか動いていない事がその二人にばれないようにする演技をしているのである。だからその魔族の二人の動きは遅く、魔素を使っているようにしか見えないが実は魔素を使わずに魔法を使っていて、それでその動きをしていたのだ。そのことに気が付いてから、その二人は簡単に対処できる相手となった。僕がその事に気が付き始め、余裕を持ってその二人と戦えるようになったと分かったのか魔王と魔族の王の師匠は、クロが融合した魔族の王と戦うのに邪魔になりそうな僕の方をクロに任せることにした。それから魔導国の魔族の王と戦ってからその二人の魔王の部下を倒し終わるのはあっという間だった。クロは魔族の王の剣を使って魔王とクロと融合し、そして魔王に勝てる程の力を手に入れた状態で魔族の王の剣を使うクロを相手にしても苦戦することなく倒せたのであった。そのクロとクロと一体になっている魔王が魔王を追い詰めたのだが魔王はその攻撃を回避した後は魔族の王から離れて、自分が魔族に殺された後、魔王は魔王の魔石の中にある魔王の魔素で復活すると言って、魔王が作り出した魔道門に飛び込んで逃げようとした。僕はそれを阻止しようとするのだったが魔族の王が魔導書の力を使い妨害をしてくるので僕は、その魔道書の魔力を杖に宿っていた魔力で相殺したのだった。

魔道門の中に入って魔道門の外に出るつもりだったらしいが魔王は魔道門を通れないようになっていたようで、その門が閉まる直前で、その門を通り抜ける事に成功し、その魔王の姿が見えなくなった時だった。僕たちの頭の中に魔王の声が聞こえてきたのであった。

魔王の体は死んだが魔王が残した魂と魔王が持っている全ての力と記憶が魔王の杖の中に封じ込められているから魔導国は絶対に滅びないという魔王の言葉を聞いた僕は、その言葉は信じられない事ではあったが実際に魔王の魂を自分の体の中に感じる事ができるようになっているし、魔王が言った事を証明するかのような現象が起こってしまった。魔王を倒した事で杖の魔素が魔王に奪われてしまったからである。その結果、僕は魔王の魔石の中に封じこまれてしまった魔族の王様と一体化してしまい魔王として生きなければならなくなる事になってしまった。

魔王になった僕は杖に封印されていた魔素を全て取り戻すことに成功した。魔王はクロが倒した後に魔導国の再建の為に使うために魔導国にある核と魔石の二つに分けて魔王が使えるようにすると約束してくれていたので、杖の中にあった魔王の魔石の魔素を魔王から奪ったのである。僕はその魔王の魔石を自分の中に取りこむと僕の中で生きている魔王の魔石に宿っていた魔素が解放された事で僕の中から溢れ出てきた。その魔素が魔王の魔石の魔核を覆いつくして杖の魔素を吸収する能力を魔王の杖に与えることに成功していたのである。僕はその事を魔導国にいる仲間に伝えに行くために魔王城を出たのであった。

魔王の魔族と魔導国の魔族の人がこの城から脱出しようとしていた。僕は、その魔族と魔導国の人を助けることにした。そして僕は杖に宿っている魔族の王に頼み、この城の魔族の人とこの国の魔族の人をまとめて僕の中に閉じ込めておくことを手伝ってもらう事にした。

この国の魔族の人は魔導国の魔族の人たちよりも人数が少なかった為簡単に捕まえることができたが、城の中に閉じ込められている人達の方はなかなか上手く行かなかったのである。そこで、魔王とクロとの融合が解かれたことで僕と魔王が合体していた魔王と一体化してた魔王の杖の中の魔王と分離してしまったクロアが協力をしてくれたのである。そしてなんとか全員を捕まえる事ができた。

そしてその人達の魔導国の王である魔導王とこの国の魔導国の王である魔導国王が捕らえられているという部屋にたどり着いた。

その部屋に入る前にこの国の魔導王の配下が待ち構えていたが僕たちは問題なく魔導国の魔導王の配下を倒してこの国の魔導国の魔導国王が囚われている部屋に入った。するとこの国の魔導国で魔導国の魔導国王の配下として働いていたこの国の魔導王国の宰相と大臣達が魔導国王と一緒にそこにいたが僕はそいつらを拘束するように頼んだ。そして僕は魔導国王と魔導国の王である魔導王に魔王の魔石が埋め込まれている魔王の杖を渡したのだった。

そしてこの部屋の中にいたこの城の中の人達を全部捕えて、魔王とクロの融合が解けて分離した魔王を僕の中に取りこんでいたのである。するとこの杖の中には魔王はおらず、魔族の王だけになっていたので杖に宿っていた魔力は魔王によって吸収されてしまった。だが魔族の王から貰った知識で杖の魔法を使うことは出来るので、僕は魔王の魔石を取り込んだことにより使えなくなっていた転移や通信のスキルなどを復活させる為に魔族の王とクロナ達と一緒に一度僕と魔王の融合が解除されているクロナとクロに、魔族に殺されそうになってクロとクロと融合した状態になっていた魔王と一緒に魔王城に瞬間移動をしたのであった。そして僕と魔王の融合がまた始まるように杖に魔王の魔石をもう一度取り込み直してみた。杖に魔王の魔石を取り込むことに成功した後、杖の魔導書の力が魔王に奪い取られた時に魔導書に込められた力も同時に消えてしまい、この魔王の杖の中にある魔族の王の知識は僕にも使えるようになっていたのだった。そしてその知識を使って魔王とクロが融合した魔族がクロが持っていた魔族と魔王の武器が融合した魔族の王の魔剣を持っている事も分かって僕はその魔王の剣を使うことができる魔族の少女を探そうとしたのである。しかし僕は魔王の魔石を取り込んだ影響なのか魔力量が異常に上がっていたのだ。だから僕に戦いを挑んでくるような者はいなくて困った僕はとりあえず魔導国に帰ってクロに魔王に奪われた魔力を返してもらえるようにお願いをしようと思っていた。

だけど、魔王の城の中に魔王に倒されたと思っていた魔族の人達と魔導国の人、それに魔族の国の人達と魔族の人達がいる事を知り魔王に騙されていたことが分かり僕に復讐しようと考えた魔王が僕の居場所を探し出して僕の所に来てしまったのだ。その魔王を見た僕は魔王と戦うしかないと思い戦闘態勢を整えた。しかし僕のその行動を見て魔族の王が僕の邪魔をしてきたのである。

「魔王よ。なぜお前がこの者達を殺したのか理由はわかっているはずだ。その者達はこの魔導国の者達なのだぞ。そんな奴らのためにお前は命を懸けるつもりか? 魔王。もし、その者を殺すのなら私が殺してもいいのだがな」

魔王は僕を睨みつけながら、その言葉に答える。

「魔王様。その言葉には嘘が混ざっておりますね。私に本当の理由を教えてくださいませんでしょうか?」

魔王の質問に対して魔族の王は少し間を空けてから話しだした。その内容は僕からすれば信じがたい内容であったのだ。その話は簡単に説明すると、魔族の国の人族と魔王の軍がこの魔導国を攻めにきていて、それを迎え撃つために多くの魔導国の民の命を犠牲にしてでも戦いを挑むつもりだったみたいだった。しかしその事は僕たちが来る少し前の事で、魔導王もその事を知らなかったのだった。その事を受けて僕は疑問が湧いて出てきたのである。どうしてそんなに早く情報が伝わってきたのか、そしてその情報をどこから手に入れたのか気になった。だから僕は魔王の魔導王に確認をとったところ魔王の答えは予想外のものだった。魔王が僕たちが来る前の魔導王とその仲間が戦っている時の事を話しはじめた。

その時魔導王とその仲間が戦っている最中、この魔導国から一番遠い場所に魔王の部下の誰かが現れたようだった。それでその部下が魔導王達の様子を見に魔導国に来て魔導王が殺されたことを知り魔王が魔導王を殺したことを知ったらしい。それで魔導国の魔王を倒す為に来たと言っていた。その話を聞いた魔族の王は驚いていたようだ。そして僕は魔導王の仲間の人がどうやって魔王の情報を手に入れたのか聞いたのだが、それは魔導王から聞き出して欲しいと言われ魔王は黙ってしまったのである。

その話を聞いた僕は、この場では言えない何かが起きているのだと思い魔王にその魔導王の事を聞き出そうとした。

魔王はその質問を聞いて魔導国にいた魔導王の配下の者の話を聞かせてくれた。魔王は僕たちにその配下について話すと、「その者たちの事は、今は詳しく話さないでおくことにするが、私は魔王である。魔王の使命としてその者を見逃すことはできないから、いずれ、お前たちの敵に回る事になってしまうかもしれない」と、言って魔王はその配下についての事を何も話さなかったのである。僕は魔王と魔導国の人達との繋がりが分からないままだったが、魔導国を滅ぼそうとしているこの国にいる魔導国の人達を止めるために戦う覚悟を決めるのであった。

僕たちに向かって攻撃を仕掛けて来た魔導国の人たちの攻撃を防いで反撃する準備が整って攻撃しようとした時だった。僕は魔王に攻撃をしかけた。僕は魔導国の人たちを守る為にも魔王と戦っている隙をついて魔導国の人達を逃がし、魔王の杖の力を僕と魔王が融合した事で使えるようになっているのを確かめたかったからである。僕は、僕の中で魔王の魔石と魔王が使っていた杖の魔石の力を融合させたので魔王の杖の中に封じ込められている魔王から得た魔王の魔法を杖に吸収させたのである。その結果、僕は杖から光を放って魔王と魔導国の人達の攻撃を弾き飛ばしたのである。その結果、魔導国の人たちはその反動により、この城の壁を突き破ってしまい城の外まで吹き飛ばされていたのである。

僕はその魔王の魔法の威力が予想以上に高くて焦り、この国の中に残っていた魔導国の人を逃がす事ができなかったと後悔していた。僕は急いで魔王から奪った魔石の杖に自分の魔力を流し込み、杖の中の魔王の魔石を杖の力で吸い取ると杖の力が弱まってきたので、僕は再び魔王の杖の中に魔王の魔石を入れた。

それから僕はこの杖の力を回復させるために魔王城の地下に向かったのである。魔王城の地下に封印されていた扉が開いている事に気が付き中に入った。するとそこには大量の核が積まれていて核の周りにいた人達は核に触れて爆発しようとしていた。僕はすぐに結界を張って核と核に集まっている人達を守ったのである。すると魔王は核と魔王が使ったと思われる魔道具を回収しようとしたので僕はその魔道装置を破壊することにした。そして魔族と魔導国の人がこの国の魔族の王を討伐するための計画を全て阻止することに成功した。僕はその後、魔王が魔導王の持っていた武器を持っていた魔族の少女に近づき事情を聞いた。そしてその少女が魔導王の配下だという事を知るのである。僕は魔族の王に、この少女の処分を任せようとしたがその前に魔族の王が、この国で起きた魔導王の計画を止めたことに対して褒美をやらなければと言ったのである。そして魔族の王は僕の方を向いて話し掛けてきた。

「お主。魔導国の王にこの国に攻め入るように命じたのは私の命令なのだが、まさか本当に魔導国がこの国に侵略するとは思っていなかったのだ。そして私は魔導国の魔導王を殺してしまうとは、完全に油断していたのだ。すまなかったな」と、謝ったのだ。そして僕に報酬として魔族の王に魔族の王の杖を渡すことになったのである。そして魔導王との戦いの後、魔族の王はこの国の魔導国と魔導王と敵対している国々に宣戦布告をすると伝えてきた。

魔王の配下の一人に魔王の杖の中に宿っている魔族の少女がいることを魔王に報告した。僕はクロと魔族の王を連れて魔王の所に行って魔導王の杖を渡したあと、クロは魔族の王に任せてクロナの元に行くように指示したのであった。そして魔王に僕はクロに預けている魔王から貰った魔王の武器を返すようにお願いをした。すると魔王が僕の質問に対して、僕に説明をし始めた。その内容を聞いて魔王が何をしたいのか分かった僕は魔王に提案をするのであった。

僕はクロナとクロナの魔剣の融合を解除した後クロナとクロと別れ、魔王と二人でクロとクロナ達と合流してから、この魔導国の国王である魔導王が魔導国の民の命を使って魔導王を倒すために仕掛けようとしていた魔王に戦いを挑むという計画を阻止したことを、その国の魔導王に伝えに行った。僕たちは魔導国の城にある王座の間に向かいそこで魔導王とその側近とこの魔導国の魔導王と敵対する者達を集めて話し合いを始めることにしたのである。そして魔導王が持っていた武器と魔王と僕と魔族が協力して倒した魔王を僕たちが倒してその魔族の王の武器に魔王を封じた事を告げた。その言葉を聞いた魔導国の魔導王の側近である男が、魔導王の持っているはずのない魔王と僕が協力をして魔王を倒した事を問い質してきた。

僕は正直に答える事にしたのだ。その言葉を聞いて魔導王の側近は僕に、その魔王の杖と魔導王が使っていた杖を見せろと、言いだしてきた。その言葉を魔導王の側近である魔導王が止めた。その魔導王は魔王は僕が持っている事を知っておりその魔王は僕の力を借りて復活させたのである。それに魔導王にはもう魔導国と戦う力は残されていないからこの国を攻める必要もないと僕たちを説得を始めたのだった。その言葉に対して魔導王の側近は、それでは今まで我々が何のために戦っていたのだと怒ってしまい怒りながら攻撃をしかけてきた。しかしその攻撃は全て僕たちの攻撃に防がれてしまい返り討ちにあったのだ。それを見た魔導王は僕の実力を見て驚いていたようだったのだが魔王も僕の事を高く評価していたので魔導王の配下である者達では相手にならないほどの強さを持っていることに安心をしていたみたいだった。そして魔導王はこれから先、魔導国に住む者を守るために戦いたいと申し出たので、僕はそれを受け入れたのだ。僕は魔導国の民の事は魔王の部下である男に頼むことにした。そして男は僕たちに頭を下げてからその場を離れていったのだ。

そして僕はこれからの事を考えなければならないと思ったが魔族と魔王との会話を思い出したのだ。

『魔王、君にこの魔導国で何が起きたのか教えて欲しいんだけど、この魔導国の人達が魔王に戦いを挑んだ時に何か特別な出来事はなかったのかな?』と、聞くと魔王は考え込んだ後に僕に答えてくれた。

魔王の話によると魔導王と魔導王の部下の者が魔王の配下である者とこの魔導国の魔導国と敵対している全ての国々を滅亡させる為に戦おうとしていた。その時、魔導国に住んでいる一人の少年が現れて魔導王の持っていた魔導王の武器を使い、魔王と戦い始めたのだった。

しかし、魔導王とその仲間が魔王と戦っている最中に、魔王の配下の一人である少年の母親がこの魔導国の魔王の城の近くで亡くなってしまい魔王が魔王城の地下に眠っている母親に会いに行っていた。それで魔導王がこの国の人間で、魔導王だけが自分の意思で魔導王の魔道具の力を使うことができていた。その事から魔導王は魔導王の一族の血が流れており魔導王は魔導王の魔石を持って生まれたのだという事が分かりその少年は魔王が魔導王の母親の元に行っている間に魔導王に自分の命と引き換えに魔王を倒して欲しいと願い出た。その事を知った魔王は自分の部下が母親の元に向かったのだと思い魔王が戻ってきた時にはすでに魔王が死んだあとであり、自分がこの国の魔王になってしまったと言うのである。

それから、この国の魔導王の配下だった者たちはその魔導王と対立をするようになり、この国にいるすべての人が魔王軍から魔導国を取り戻す為の反乱軍と化して、国の中で戦争が起こりこの国は滅びそうになり魔導王の国の民たちも、その戦争の被害を受けてしまう。そんな時だった。

魔王は魔王城に一人でいた時、突然魔王城の前にいた大勢の魔導国の人達は姿を消してしまい、魔導国の人達が全員消えてしまったことから、魔王は慌てて魔王城の外へ出て魔王は周りを確認するとそこには大きな魔法陣が出現していて魔導国の人たちがその魔法陣の中に吸い込まれていくところを目撃し、この事態に困惑をしてしまいどうしたらいいの分からず立ち尽くしていた。すると、魔導国の王も魔法の中に吸い込まれたようで魔導王も消えてしまい魔導王もこの国の人たちと共にこの世界から姿を消した。その事から、この世界の別の場所に魔導王が現れた可能性があるので僕は魔王の配下の人たちと僕の仲間達と協力してこの世界で僕が知っている場所を探して、魔王がどこに現れたかを確認しようとしたが見つからなかったのである。

しかし僕はこの世界に転移して来たときに最初にいた森に魔導国の人たちがいるのではないかと考えて、僕はこの魔導国の森の中に入り魔王城の地下にあった扉の場所に向かって移動した。

すると、この国の人達が魔王に戦いを挑むためにこの国の人達はこの場所に来ていたが途中でこの国の人たちは倒れ、死んでしまったのである。僕はその倒れた人達の中にまだ意識がありそうな少女を見つけ、魔王城の近くにまで連れて行ったのである。

その少女は魔導国の王族の一人だったが魔導王が行方不明になったために魔導国の王様が魔導国の国王になっていた。少女は僕の話を聞き、魔導王の行方を知っているかも知れないと思っていて、そして魔導王の杖を持っていたが、その杖に魔王が封じ込められている事を知らなかった。だから魔王を倒そうとしていた。

少女は魔導国の王女で魔導王の妻になるはずだったが魔導王の母親は魔王に殺されたのではなく、その魔王によってこの魔導国に封印された存在でその魔王の封印を解こうとして魔導王が動き出し、その計画を察知した魔導王は魔導王が持っているはずがないはずの魔導王の魔道具の力を使って魔導王と戦ったのだ。そしてその結果魔導王は殺され魔導国を魔導王の息子に渡して魔導国の民をこの国の魔導国以外の場所に移し住まわせる事を提案したが魔導国の民は納得ができず、魔導王の息子である王と対立してしまう事になったのである。

その話を少女から聞き、少女に魔導王と王について知っていることを詳しく聞くと王はまだ子供のため今回の計画は王の知らない事だったという。魔導王も最初はこの計画に反対していたが、魔王を倒すことができる唯一の方法だと考えたため王に計画を話したら王は賛同し、そして計画を実行に移したが結局魔王は倒すことができなかったのだ。そして魔導王の計画が失敗したことにより反乱を起こした魔導軍の一部の兵たちは、そのまま逃げずに魔王に立ち向かったため魔導国の民も王の計画に賛同したのだと言う。

その話を聞いた僕はクロナの方を見てクロがクロナの中にいる魔王の事を覚えているか確認をしたのだ。するとクロはクロの中に魔王がいた事も知っていたらしく覚えていたのである。そして魔王とクロナは二人で魔導王との戦いのときに共闘をしたようだと話したので僕はこのクロナの体の中に入っているクロがこの魔王だと伝えた。するとクロは魔王が自分の中にいることを忘れている様子でクロに謝っていた。クロもその事は別に問題ないから気にしないでと言っていたのであった。

その事を確認した僕は魔王に魔導国の人が住んでいた場所にこの国の魔導国の民たちを集めてくれないかと頼んだ。その僕の言葉を聞いた魔王は魔王城がある街の住民達を集めて魔導国の城に避難するように指示を出した。そしてこの国には、魔王の配下の男たちに魔導国の人達の面倒を任せることにした。この魔王と僕と仲間たちは一緒に行動して魔導王を探し出すことにしたのである。

その事で僕たちはすぐに行動すると魔導国の城に向かうことになった。そして僕はその魔導国の王である女の子を連れて魔王が封じられていた魔王の部屋に入ったのだった。

僕は魔導国にいたこの国の王の娘である王女を連れ魔王の杖を持っている魔王に案内され魔王が封印されていた部屋の地下に行くと、この国の住人のほとんどこの魔王が封じられていた魔導具の力を使う事ができるという少女に魔導王の持っていた武器が保管されている倉庫の中に連れて行ってもらった。僕とクロはその場所に入るとこの国の魔導王の配下の男である男が魔導王の杖を持って現れたのである。その事を見た魔導国の王女は驚いていたが魔導王の妻にしようとしていた女にそっくりなその娘を見て驚いていたのだった。

それからその少女は僕の方を向いて魔王のことを知っていて魔導王も魔王だと告げてこの国が滅ぶかもしれないからこの国の魔王を倒してくれないかと言われて僕はその少女の言う通りだと了承したのだ。そして僕が魔王がこの体の中で目を覚ますのでこの国の魔王を倒して欲しいと話すと、その魔導国の王は、自分の妻である女性も魔導王であると、そしてこの国の王は自分が魔導王であると名乗り魔導王の杖を持っている少女はその魔導王の杖に魔王が封印されてると思い、そして僕たちの前にその魔王が現れたのである。その魔王がクロアに取り憑いていることも伝え僕が魔王と戦う事にしたのだ。僕が魔王に戦いを挑むと、なぜか魔導国にいる王である魔王が、自分の持っていた魔導王の魔道具の杖を魔導王の杖の代わりとして使うようになり魔導王の魔道具の力を使い始めたのである。それを確認した僕は魔王と戦闘を始め魔王の攻撃がかなり厄介だったので苦戦をしていた。その魔王は魔王なのに魔王らしくなかった。なぜなら僕を圧倒するほどの強さは持っておらず、魔王の配下の者たちと戦えば確実に魔王が負けてしまうほどの力だったのである。そんな僕に対して魔導国の王である魔王は、その魔王の魔道具の杖の力に溺れてしまっていて完全に自分を見失っている状態だったのである。そんな状態で戦って勝てる相手ではないと理解した。僕はこのまま戦い続けるよりも早くクロナとクロを解放してゼクスのところに戻って、これから起こる戦争を止めるべきだと僕は考え始めた。だが、その時、クロと魔導王の二人が同時に僕を攻撃をしてきていたのである。僕は二人の攻撃を喰らってしまった。

僕はその攻撃を受けてしまいかなりのダメージを負ってしまった。そのため体が思うように動けなくなり魔王と魔導王の二人の動きを止めなければいけなくなったのである。そこで僕は二人に向かって魔力弾を放とうとしたが二人は同じ技を使ってきて僕はその二つの魔力の渦に飲み込まれて僕はその魔法が直撃してしまい、そのせいで魔法が使えない状態に陥ってしまったのである。

そしてその事を確認してから僕は魔王が持っているはずの魔王の杖を探り始めたが、魔王が持っていた魔王の杖を見つけることができなかった。だからこの魔導国の城の中で、魔王と魔導王が使っているのは、この杖と同じものだと判断した。そうでなければこんな短時間に、この城の全ての場所を調べても見つける事ができないはずがなかったからだ。

そう考えていると、この城の中にいたゼクトの部下たちがこの国の人達を全員この城に誘導している間にゼクトの魔道具の通信機で他の場所で起きていた戦争も終わったようでこの国に進軍して来る敵軍も全滅させたようだった。

それから魔導国の王女はクロが魔王だと知っていて、なぜ魔導王の魔王の杖を持っていたのかとクロに尋ねたのだ。するとその質問をされた魔王は自分の中で眠りについている魔王の魂の力が目覚めてしまい魔導国の民たちを襲い始めていたのだと言う。その魔王の力をクロに封じ込めるために、この魔王の魔王の杖が役に立つとクロが説明をし、魔王の力をクロに封印するために必要なものだったと説明した。しかし、その事を聞いたクロはその事を知らなかったのである。だけど、僕と魔王はお互いに話を聞いていたのであった。僕はこの世界が大変な事になると知り僕は魔導王を倒さないと、この世界に生きる命がなくなってしまうと魔王に伝えた。

そのことを聞いた魔王は納得をして、魔王の杖の力を使ってこの国の王であり、魔王の力を利用していた人物を自分の体に封印することにしたと言い、そしてその事を了承してもらうと僕は、その少女と魔王に向かって魔導王が持っていると思われる物をすべてこの部屋に運び込むように命令した。

そして魔導国の王の体はクロによって取り押さえられ魔導国の王は抵抗する事も出来ずにそのまま魔王の中に魔導王が吸い込まれたように入って行ったのだ。それを見届けた僕は自分の体に戻ろうとするとその時に少女に名前を聞かれて少女の名前をまだ知らないことに気が付き少女の名前を教えてもらったのだ。その少女の名前はゼノと言った。ゼノンはこの世界で三人目の魔王で、一人目から五千年ほど時間が経ち復活した六つ目の存在らしいのだ。つまり今生きている魔導国は七つの国が存在して、その内の二つはすでに魔導王に滅ぼされていて残っている国の一つがこの魔導国の魔導王であるゼノを魔導王の杖に封印し、そして残りの四つの魔導国が魔導王の復活を阻止するために魔王が封印されていた魔王の魔道具の杖を手に入れようと動いているのだと知った。

魔導王がこの世界の全てを支配しようとしている事を知って僕は魔導王を倒そうと決意をする。

それからこの国にいる魔導国の人間たちを集めこの国の魔導王を倒すために協力してもらいたいと話し、その事を聞くと全員が賛同してくれた。そして僕は魔導国の人たちと一緒に魔王城に向かいその途中にある城で休息をとった。そして僕と魔導王の配下の男の三人だけで城を出ることにしたのだ。その事で城にいた人たちがついて来ようとしていたが僕たちは魔導王の魔の手が迫っている以上急がないといけないというと魔導国の王女である魔導王の杖を持っていて魔導王の封印が解かれたのも知っていたのである少女が一緒に行かしてほしいと頼んできたのである。僕はこの城の中で待機していてほしいと頼んだのだがその少女はそれでも行くと言って譲らなかったのだ。そのことで仕方なく僕はその少女を連れて行くことにする。そして僕たちは、その城を出発する。その出発の前に僕はクロアの中に入るのをやめていたのだ。その少女の話では魔王の魔道具の魔導王の杖を持って魔王と魔王の配下の男たちに魔王の体の中から出てきて欲しいというのである。僕と少女は魔王の杖の魔力を感じることができるので僕にならできると思って僕に頼んだみたいだ。

僕はその話を聞いて魔王にクロナから出てくるのを止めてもらうと僕は少女を連れてクロアの中に入りクロの意識がある場所に移動して魔王に頼み込んでクロアからクロの体を外に出ることに成功したのだ。

クロアの外に出て魔王に魔導王から魔王に変わってもらうために自分の体の中に戻ってもらえないかと聞くと、それを拒否したのだ。そして僕の中にクロアを取り込もうとしていたのである。だから、クロが目を覚ました後でもいいからクロリアさんの体の中で目を覚ましてからこの世界のためにもう一度だけ頑張ってくれないだろうかと僕は頼むが魔王はそれを聞き入れてはくれなかったのだ。

その後、クロを救い出して、クロリアさんを取り返すために僕はクロアの中の世界に入り、クロを救出に向かった。そこでもゼムたちと戦いを繰り広げていたが、その時もクロを取り戻せる可能性は低いだろうと思っていたのだ。だけど、そこで僕に希望を持たせてくれた人物がいて僕は希望を持ちながら戦いを続けた。その事で、僕はなんとかゼクとクロアを助けることができた。その事で、ゼラたちは喜びの声を上げるがクロはクロが助けられる前にクロに憑依した男に取り込まれていた事を知ることになる。それで僕がクロとクロの体にとりついた魔王の力に干渉することができるのであれば、クロの中に閉じ込められている魔王をクロの中から抜け出させることができないかと、僕の仲間になった『白龍の剣姫』が提案をした。そして僕もその方法でしかクロを助け出すことはできないと考えゼクトに相談したのだ。そして僕がその方法を伝えると、ゼクトは魔王が魔王の魔道具の力を利用して自分の体を作り替えたことをゼアに伝え、そしてクロが魔王に乗っ取られていることを知ったのだ。

僕は、クロを救える方法が他にないかを尋ねるが魔王の力は強力すぎて僕の力でどうにかできるものではないらしく、魔王をクロの体内から抜け出させること以外に、クロを取り戻す方法がない事を僕は知ることになる。それを知り、ゼウがゼクトに魔王の事を詳しく教えてくれると、僕は、自分の中にクロが戻ってくるかもしれないと考えたのである。そして僕は、自分の体内に取り付いた魔王が僕に何をする気でいたのかを確認する必要があると判断して、その前に、僕の中に取り付いてしまった魔王をクロの中から引っ張り出そうと考えていたのである。

それから、魔王は自分が作った魔道具の魔王の魔道具の力を使って、この世界の人達をこの世界に閉じ込め、魔王に敵対してきた者達を魔道具に封印した。そうすることでこの国の人間は自分達に反抗的な態度をとる者はいなくなったからである。そして魔道具の中に魔王の力を封じ込めることにも成功して魔導王が復活したのだと語ったのである。僕は魔道具に封じ込めることができる魔王の力の大きさに疑問を感じてしまう。なぜならその力は僕の中にある魔王の力が魔道具の中に封じ込まれていてもなお強い力を有している事がわかったからだ。そして、その力で、魔道具が壊れてしまわないかという不安に駆られてしまう。しかし魔王が作り出した魔道具の事は魔導国の王にしか扱うことができず、魔王本人以外が扱おうとすると必ずその者の魔道具が壊れてしまい、使い物にならなかったのである。その事をクロから聞いた僕は少し安心するが、この世界の人間が持っている魔力を吸収されてしまうのも事実だったのだ。そうしないと魔道具を維持することが不可能になり魔道具に封じ込められた人間の中の魔王の力が魔道具の力を使って解放されてしまい魔王をこの世に呼び戻すことになりかねないのだ。

そして魔王は僕に魔導国で魔王としての自分を復活させて魔導国の人間達を従わせるようにゼクトに命令をしていたのだ。ゼクトはそれを承諾してこの国の王様に魔王の力が眠っている魔導王の杖を差し出し、魔導王の力を開放するように伝えた。魔導王の杖に宿っていた魔導王の魂の力とゼストが手に入れた魔導王の魔力と魔王の持つ魔王の魔道具の力を融合させその魔道具を発動させることでこの国を一瞬にして制圧することが可能になると説明を受けたゼクトは迷うことなくその作戦を受け入れたのである。

魔王の力を手に入れた魔導王はゼノが作り出してしまった魔王の魔道具を使うのには大量のエネルギーが必要な事を告げたのだ。しかしその事を知ったとしてもすでに引き返せないところまで来てしまったゼクトは自分の意思で動くしかなくなっていた。僕はその魔導王の言葉が本当なのか嘘なのかわからなかったけども本当に大量の人間を生贄にしないといけないならそれは絶対にさせないと僕は心に決めたのだ。しかし魔王の話を聞いていたゼストはそれが罠ではないかと疑ってかかったが、この世界に魔王の力を持つ者が三人存在してしまっている状況で、魔王を倒すためには必要なことだと、僕は考え魔導王が本当の事を言っているのではないかと疑い始める。

その事に、魔王が僕の方を見ながら僕に助けを求めてきた時僕は自分の体が急に震えだしたのを感じたのだった。そんな僕の様子にクロアは心配そうな顔を浮かべ僕に大丈夫ですかと聞いてきた。その事で僕は、この体の異変に何か意味があるはずだと思い、僕自身の体の方に目を向けた。僕はなぜこんな症状が出ているのかを考えたが、答えにたどり着くことができなかった。だけど僕の中で一つの仮説が生まれた。その事でクロアやゼクトは僕の体に異常が起きていることを心配しているような様子だったが、その事を説明するわけにもいかないし、僕自身もこの原因を探らないといけないと感じるのであった。そのことで、ゼラは僕に、ゼアから聞いた魔王城に向かうまでの道筋でクロの仲間と会うのが先だと、その仲間のところに魔王城の場所についてなにか知っている人物がいるのではと考える。そして、僕がクロアに、これからどうするかと尋ねた。

僕はこの魔導国の王の事と魔王の事で頭の中にモヤが掛かった感じになっているが、魔王に魔導王の杖を破壊させてクロの中に入っていた魔王の魔道具の力を解放しないようにしなければならないと決意して、僕とクロアたちは城に戻ることにした。そして城にたどり着いた時には日も落ちてきて城の入り口を護っている兵士が僕たちの事を迎えに来たのである。僕は、その兵士達に対して城に入りたいのだがいいのだろうかと、兵士の人たちに質問をした。

その僕からの問いかけに対してその兵士たちはこの城に入るのは危険だと言うとこの国の王女であるクロナと、僕たちと一緒に行動している白髪の少女が一緒に来たいと申し出た。その事で城の中にいる魔導国の王の命令で城から外に出るように言われていた魔導国の王の娘が僕たちが戻ってきたことを知り城の中で待っているように伝えるためと魔導王に、この城の中に戻れるように指示をするため、僕たちを迎え入れることにしたのである。その事で僕たちはクロナが持っている魔導王の杖に魔導王の魔道具が封じ込まれていることを知るとすぐにクロナはクロリアさんの身体の中に戻り、クロが魔王の杖を手に取ることになった。その事を見ていた魔道国は混乱していたが、僕は魔王が言っていた魔道具を壊せば魔王の力が解き放たれてしまうという言葉が気にかかっていたので、クロがクロの体を乗っ取った男がクロの中に再び入り込んでこようとしていると警戒したのだ。そして僕とゼクトは魔導国の中でも一番偉い存在である王の前に立つことになったのである。

クロはゼムに、この魔導王という男とクロリアが魔道具の中に封印された時にゼアが言ってきた事をクロは伝えて魔王を封印されている魔道具に封じ込める為に魔王がこの世界で暴れる前に、その封印を解くためにクロリアさんを取り返す為に協力してほしいと言う。その言葉に、ゼムは魔王の魔道具がこの国の中にあるのかを確認すると、ゼクトが魔王の魔道具があると思われる場所を知っていると言ったのだ。それを聞いたゼムは魔王の杖をこの国の何処かに隠したのではないかと言い始めた。だがゼクトも、その魔王の魔道具の正確な位置を知らずゼムが知っている場所はゼムやゼオが魔道具を造り出す際によく訪れていた場所に間違いはないと言っていた。それを聞いて僕は魔王を封印する魔道具を造り出したのはゼウなのだと理解した。そして、このゼムが知っている場所にゼムは魔道具を置いていったのだというのだ。だからその場所を知る事が出来れば、魔王を魔道具に封じ込んだ状態でこの世界に出現させることが可能だとゼウが言い出したのである。ゼウはその言葉を言った後クロに向かって魔王は魔王の魔道具をゼストと魔導国にあるこの場所に隠したと説明したのであった。

ゼクトは、自分の部下である魔導国の宰相であるゼフを呼び寄せるとゼフは魔王の杖をどこで入手したのかを聞くとゼクスが、自分の作った魔道具である魔王の魔道具に、この世界の魔力を封じ込める為の力が備わっていないことに気付き、ゼストから奪った魔道具を使ってこの世界にいる全ての人間を魔王が作り上げた空間の中に移動させると、この世界に存在していた人間の魔力を吸収し始めこの世界の人間を全てこの世界の外へ追放する準備に取り掛かると言ってこの城を去っていった。

それから、ゼクト達は、魔王の杖をゼクト達が知っている場所で保管する事にすることに決めた。しかしゼフトの話を聞いたゼムは、ゼストの作ったこの国の魔導王の力を手に入れた魔道具を使えば簡単に魔王の力を奪い取れることができるはずなのになぜ魔王の力を使うことができないのだと言うと、その疑問に対する回答をクロアが答える事になった。その事を説明しようとした瞬間にゼクトが、この魔導国の中にある魔導王が魔王の魔道具を隠している場所に僕を連れて行く事を提案する。

そして僕とゼクトの二人はゼウト達にこの国で手に入れた情報を伝える事にするとクロが、僕たちにゼクトが言う場所を教えてくれた。僕がクロに、その場所について尋ねると、その場所については知らないようだった。

僕はその事を知ってからクロアの事を信用していないのかと聞くとクロが慌てて、ゼクトの事は信頼しているけども、クロアの事もクロの事を信用してくれているんだから、私だって信じてもらえるよ、それに、私はクロが私の事を信じてないんじゃないかと思ってクロに、クロの事を私が信じるかどうか確認してもらうためにゼクト達に伝えたらいいと思うよって提案したの、その事をクロから聞かされた僕は納得することができた。そしてクロアの方を見ていると、僕は、その話についてゼクがどう考えているか聞いてみる。その僕の言葉にクロは少し動揺したが、クロトは少し考えるとクロに僕の事を信じてくれるかと尋ねて、クロはクロトの事が大好きなんだから当たり前だよ、ゼクトの事はもちろんだけどクロトの方がクロは好きかな、とクロは僕に対してそう言うとその事にゼクトはショックを受けていた。そして、クロの言葉に僕は安心をするとクロアを呼んでクロがクロのことを信用してくれるかどうかを確認する事にする。その事に対してクロは、クロアに自分の事を嫌いなのかと尋ねた。それに対してクロアは、そんなこと絶対にあり得ないと必死に答えたのである。

そのクロアの答えをクロは聞きクロアがクロに対して優しい態度を取ってくれた事に喜びを感じていた。そのクロアの行動にクロがゼクトとクロトにお願いして自分の体に戻してほしいと言ってきたのである。

クロがゼクトとゼクトが持っている魔導王の杖と融合した時に、魔王の力も取り込んでしまったことでゼクトと融合していた魔王の力も同時に手に入れることができたのだ。しかしゼクトは自分の体に魔王の魔力が流れ込んできたことで体調が悪くなったのだと思っていたが、ゼアに、魔王の力が体内に取り込まれたことと魔王の持つ魔道具の力の影響で体が動かなくなったのではないかと告げられる。それを、魔王の力で魔王をこの世界に降臨させようとしている魔王軍に対抗するためにも、自分の体の中の魔導王としての記憶を取り戻し魔王をこの世界に召喚する前に、その魔王の魔力をこの世から消す為にもこの国の王に会いに行くと決めたのである。それから僕たちは、その城で見つけた地図を元に魔王の魔道具があると考えられる場所にある城へ行こうと考えていたのだがクロの様子がおかしかったので、僕たちは、この国の魔導国の城に戻ることにした。

クロアはクロに自分がクロに対して思っていた事を伝えようとした。その時クロからクロアに、自分は、ゼアやゼノ、それにクロと、ゼクトの仲間になりたいと思っているとクロは言ったのである。そんなクロアの気持ちを聞いたクロアは嬉しそうな表情でありがとうとクロアは答えた。そんなクロアを見たゼクトは僕が思っている以上にクロアがクロの事を可愛がってくれていたので、ゼクトに嫉妬をしていたのであった。その後僕たちは魔導国の城まで戻ってくると城の中に入った時クロアとクロは僕の中に入ってクロは、ゼクトとゼアにこれからもよろしくと伝えてクロとクロアはそれぞれの役割に戻ろうとするとクロがクロアに何か伝えたい事があったらしくてクロに何を言いたいのかを聞くクロリアだったがクロの口から発せられる言葉を僕たちに伝えようとはしなかったのである。それを聞いてゼクトが何を言っているんだクロ?とクロに向かって言い放った。だがクロは何も言わずただクロリアの中にクロは戻って行ったのである。クロアはそのクロの様子をみて、もしかしたらゼストは、クロがクロの本当の正体を知っているのかと思ったらしいのだ。僕はゼムに、この魔導国では魔王の杖は見つかっていない事を話すとゼムはこの国の王に相談したいと言い出した。その事を聞いて僕は、ゼウとクロがゼムとゼクトに魔導国には魔王の杖が見当たらないとクロアがクロの言っていた言葉の意味を説明するとゼウがゼクトとゼムの二人が魔導国に来たときに最初にいた城に戻り魔導国の中に隠された魔王の杖の事を詳しく調べる必要があると話しだした。その話をゼアとゼクトにゼウがしているとゼクトとゼアは、この国に魔王の杖はあるのですかと質問をする。その言葉にゼウが、魔王軍の魔導王が持っていた杖は、おそらく魔王軍に魔導国を奪われそうになった時に魔王の配下の一人であるゼムにこの魔導国から持ち出され魔導国の外にある森の中に隠されている可能性があると説明した。

それからゼアは、魔導国の王と相談をして、魔王の杖を見つけ出す為の準備を整えると言うので、その事で、クロリアとゼストの二人で、この国の王に会う事にする。そして、ゼムがゼウと一緒にゼクトが連れて来た二人の人物について話し合いをしているとクロリアとゼスタがこの国の王に面会を求めてきたという知らせが入った。その報告を受けた僕は二人に一緒についてきてくれと言われたのでその事に了承をしてから、クロは、今、どこにいるのだと言ったのだ。そして、その言葉を言った後ゼアが僕の方を見ていた。それを見たクロトは、自分の中にいるから心配はいらないよと言う。クロが僕たちに話してくれたのは、自分が魔導国に来てから起きた出来事を包み隠さず全て話し出したのだ。その事を聞いていた僕は、その話が事実ならクロの正体は本当にクロアと同じ存在だったということなのではないかと考えると僕の心の中には疑問が残るばかりであったのだ クロの話が終わるとゼムやゼア達が部屋から出て行きクロも出て行こうとするとその行動を僕たちに見られてしまった事が原因でクロが逃げ出そうとしたけどもクロは僕とクロアに引き留められた後に僕に謝った後に僕はこの部屋に残ってほしいと告げるとゼウとクロアにクロがこの世界の人間ではなくて魔王と魔王の杖に宿りし者によって生み出された存在だと説明するとゼクトとゼオの二人は驚いた顔をしていた。そしてクロリアもゼストが知っている通りでゼクトがこの世界にいた魔導王であると告げてさらに、その魔導王の力は僕の中に封印されていて今は、この世界に存在している魔王軍を滅ぼす力がないから魔王を倒す事ができないと告げた。

その事を知ったゼムとゼアはクロに自分達と共に魔王を倒して欲しいとクロアに懇願するとクロアはそれを受けて、ゼクトの力を借りてもいいかと尋ねるとゼクトは構わないと言ってくれていた。それからゼウは僕に対してクロを魔導国の王として認めてもらえないだろうかと言ってきた。その話を聞いた僕はクロが僕に迷惑をかけないようにゼストの作った空間で、自分の能力を高めるように修行をしていた事やクロは自分に与えられた使命を果たすために今まで生き抜いてきたとクロから聞いた事を伝えるとゼムとゼアの二人は、その事をゼアから説明されても、ゼスを信じることはできなかったがクロアの言葉とそしてクロトが、魔王の力を取り込んだという事実を知って魔王の杖を探し出す事を決意する。

僕はクロにゼストとゼムとゼオの三人が仲間になったことを伝えるとその事をクロは喜んでくれた。僕はゼクス達に僕とクロが持っている武器の属性は僕が雷の剣に炎の槍と水の聖槍と風の盾を持っていることや魔道具の力を吸収した魔王の剣を持っていた事を伝えた。そしてクロアにゼアにクロの持っている杖について質問をしたのだ。そして、その問いにクロアが答える前にゼアはクロアに魔王の力を手に入れているかと尋ねた。その問いかけに対してクロアはゼウから、ゼアから魔王の力を授かった事を話し始めた。

そのクロアの言葉に僕は、僕はクロにクロアの力について確認をとることにした。その事に関してクロは、僕はこの魔王の体を手に入れたことによって僕の記憶の中から、この世界の事を知る事ができるようになっていたため、クロアが自分の持つこの体の名前を知っていることを思い出してクロアがこの魔王の力でこの世界で魔王軍と戦争を起こそうとしている敵と戦う事を決心したのだ。それから僕は、クロにクロアの持つ魔導国の杖に秘められていた魔王の力と魔王が生み出した最強の勇者と戦わなければならないかもしれないから、魔王が作り出した最強と言われる魔導王や、その他の者達を召喚する事はできないのかというとクロアはそれはできますよ、と言いだすのであった。

その言葉を言ったクロアの表情を見て僕はクロアが嘘をついてはいないと確信したがその言葉は信じがたかった。なぜならクロアは自分の力でこの世界に魔族を召喚しようとしていたのである。その話を聞いていたゼウとクロとクロアはクロの口からクロが魔王であると言う真実を聞かされて驚くと、魔王である事を受け入れてくれた事に対してクロはお礼を言う。その事を聞いたクロアは自分がクロの本性について気が付かなかった事に罪悪感を感じながら謝るとクロはそんなことないと言うのであった。それからクロアはクロに向かって自分はクロが魔王だとしても一緒に行動したいと言ってきたのである。それを見たクロはクロアの手を握りしめ、僕たちと一緒にいて欲しいと言った。そしてゼアも僕たちに対して魔王との戦いのために協力してくれるように頼むのであった。

ゼストはゼウとゼアスに魔導国に存在するとされる魔王の杖を探すように指示を出して、その事でゼストはゼアにゼムやゼムの仲間達と協力して捜索をお願いしたのである。

その後ゼストはクロアが魔導国にやって来た時に来ていた服装に着替えてからクロに案内された場所に行ってみるとそこにはクロの配下の者である魔物が大勢待機していた。そして、クロの部下である魔物達はクロとゼウが魔王だという事を知ると、クロが自分たちに指示を出した理由を話したのであるがその内容が魔王が作り出した魔王軍を全員倒して欲しいというものだったのである。それを聞いたゼムがどうして魔王軍が作り出す魔獣を倒す事が、この国の平和につながるのですかとクロに質問をしたのだが、その理由はクロが魔王の杖に埋め込まれた核を破壊するためには魔王軍に所属する者が魔王の杖に触れる必要があるからであると、そして魔王の配下には魔王が自らの魔力を込めて作り上げたものしか触れることはできないから魔王軍に属する魔獣を一匹も倒す事ができないとクロは言い出したのである。

それを聞いたゼムは、その言葉をゼムは信じられなかったが、その事についてはゼアも同意見のようで、魔導国の中に魔族の反応があったのでその事をゼムとゼムの二人にゼアとゼムがゼストに伝えたがゼストは、魔王軍の魔王の配下が魔導国に潜入していてこの国で魔王軍の力を集めようとしているのではないかと考えたのであった。そして僕は、ゼア達が持ってきた話を聞きクロは少し考え込んだ後に僕の方を見ていた。そしてクロはその事をみんなに伝えるとゼクトがこの世界にいる間だけは、魔王軍に見つからないようにしてあげてもいいと話すと僕は、それを聞いてすぐにこの世界に魔族の者が来ると危険だと思いその者をこの国から排除するようにクロに命令をするがその時になって、ゼウはゼアに魔王の配下が現れた場合に戦うのかと聞く。

それに対してゼアは戦う覚悟をしていると答えた後にゼムはこの国の中で一番強い人間は誰なのかと尋ねるとクロがその人間の名を告げてその人物の事を説明したのだ。それからしばらくしてから魔族の反応を感じたゼウがクロアにゼクト達を連れてその者がいる場所に向かう事にした。だがその人物の近くにはゼオがおりクロは僕にゼア達の安全を確保するように頼み込むと僕もクロの言葉に同意してしまう。なぜならこの場にはゼスト以外には魔王である僕しかいないからである。そして僕とクロアはゼクト達を守る為に僕たちの仲間である魔物を呼び寄せて、それから僕たちが向かっている場所に到着するまでの間に僕たちは魔王軍の一員だと名乗る魔人族を発見した。そして僕はこの世界に来ている魔王軍の一人であろう男を捕まえるために、そいつと戦っている最中に現れた、魔王軍に属しているだろう魔族の男二人組と戦い始めたのだ その戦いが始まるとゼストが僕の所までやって来るとゼストはゼムとクロにクロトに自分の傍を離れないように頼んだ後で、僕たちに加勢してくれてその戦闘が開始されるのであった。しかし戦闘が始まりゼクトの予想以上に早く戦闘が終了する。そして、僕はゼアの方を確認するとすでにゼアによってゼオが気絶させられたあとであり、残りの二人の男の片方の方はゼムの魔法攻撃を食らって気絶している間にクロの持っている魔導国で作られた武器を使って止めを刺そうとしていたがそれをクロが止めた。そしてゼストと僕はこの者たちの正体を探るためにゼウのところへと連れて行くようにクロに頼むとクロは了承して連れて行ったのだ。

その頃僕たちと行動を共にしていた魔物達からの情報によるとその男は、ゼクトに攻撃を仕掛けてきたがゼクトは魔王の剣を使いその攻撃を受け流すと魔王の剣の力をゼクトは使い魔導国の人間だという事をその男に教えたのだ。

「貴様らが魔王軍だと!?なぜ魔王軍はこの世界にやってきたのだ」その質問に対して、魔王軍の幹部である男は自分が持っている情報をゼクトに提供するために、自分がここに来た目的を話そうとするとクロが突然現れてその魔族に対して攻撃をしようとしたところをクロリアとゼクトが止めに入りその場の状況をクロとクロリアが判断する事にした。

僕はゼストにその魔族は僕たちの仲間なので、僕に魔族の事を一任してくれと言ってからゼトの返事も聞かずに魔族のもとに歩み寄ろうとした時だった。

ゼムがクロアに何かを話していた。そしてクロアは、その事に関して僕はゼストに任せればいいと答えるとクロスは納得した様子になり、そのやり取りを見た僕は何を話したのかという事と、今何が起きているのか分からなかったのであった。

それから僕はクロアからその魔族の事情を聞くとその男は魔王に命を救われた事と魔王軍に所属しているという事だけを話すとゼアがその事をクロに報告すると、クロアが僕を呼んでその事を説明するとクロは、この男を仲間として認めてくれるかと聞いてきた。そしてゼムはクロの言葉を信じずに魔族の言葉を否定する。

それからゼアが、その魔族にどうして魔王の配下になったか尋ねた時に、魔王から魔導国を滅ぼすためにお前が必要だと囁かれたからだと、それを聞いたゼウは魔王の杖を手に入れるためにその魔族を利用して魔導国を滅ぼしたのかもしれないと言うのである。

それを聞いたクロがその事は絶対にありえないと答える。その理由として魔王であるゼストの魔力にその男が怯えている事を知っていたからだ。そして、ゼムに魔王に忠誠を誓ったのならば何故魔王から魔王の力を分け与えてもらう事を拒否したのか尋ねた。

それからその魔族の男が自分は勇者になる事を拒んだのではない。自分には魔王の力を使う資格などないと断った事を伝えてきたのだ。その言葉を聞いた僕はゼアも同じような事を口にした。

僕は勇者という言葉に反応してしまった。それは勇者は神に選ばれた特別な存在なのだと思い出したのだ。僕はその言葉をクロアに伝えてからゼストに勇者がどのような能力を持っているかという事を問いかけたのだ。それに対してゼクトは答えをはね返してきた。それに関しては俺にも分からないと。僕はクロアにこの男をクロの仲間にして魔王軍と戦わせようとクロにお願いする、クロもそれに同意して魔王軍に戦いを挑むとクロにお願いをしたのである。

クロとクロの配下達と一緒にこの世界に存在すると言われている魔族の者達が潜んでいる大迷宮を探し出しその攻略を始めたのである。そしてクロの配下達の協力もありその大迷宮を見つけ出すと、そこに居たと思われる者達がクロとクロの配下達に襲いかかり始める。そしてクロの配下の中に魔王軍に属していた魔族と魔王の配下の魔物達がクロとゼアの二人に襲い掛かると、僕がクロとゼアを守るために魔王軍に所属する魔族と戦うと魔王軍の配下である一人の魔族がクロに向かって自分が魔王軍の魔人である事を教える。

魔王軍に所属する魔人の名はゴブチと言っており魔王ゼアスからの命令を受けて魔導国にいる魔族を殺しまわっていると言う事と僕たちがここにやって来た理由がゼウにあるのではないかと、ゴブリンに話しかける。それを聞いた僕はゼストとゼオが魔王軍の魔獣を倒した時に現れる魔獣がどこから来たのかが知りたいのではと考える。そしてゼアはクロにこの魔人は自分が倒しますので他の敵を倒してくれませんか? クロアはそれに同意するが僕はその提案を拒否して、僕はその魔物と戦いたいとクロとクロアにお願いをする。ゼストが魔王の配下の魔人を僕に倒させて大丈夫なのかクロアに聞くがクロは問題ないと言い切る。それを見て僕はクロとクロアが信用できる相手だと判断をしたゼクトは二人に任せる事にすると言ったのである。

そして僕はゼクスとゼクトが魔王の配下を倒すと、この場に魔族の者が現れた。それを聞いたクロアは魔王軍の一員なのかどうかは分からなかったがゼア達の前に出てゼムの配下に攻撃を加えようとしていた。それを止めるかのようにゴブチがクロアに斬りかかるがクロアはその攻撃を避ける。

ゼアがクロアに魔族の者を殺させるつもりなのかと尋ねると、ゼムの配下である魔族の者は全員、ゼウによって魔人へと変えられた魔族の者でこの国の住民を騙してこの国で暗躍していた者だったのである。

ゼストがゼアとゼムを連れてその場から離れるとクロはクロアに魔王軍の事を任せたのだ。そしてクロはクロアにゼアを死守するように命令をするのであった。そのゼストがクロアから受けた説明を聞いてクロエは、クロアと魔族の者との戦闘が始まった。それからしばらくした後にクロア達は、この場所にいた魔王の配下の者をすべて殺してしまうと僕の元に近づいて来て僕に何かを話し始めた。その話の中でゼムがクロに対して、クロアに魔王軍の一員かどうか確認してほしいと頼むと、クロは魔導国でゼオと共に活動していた魔導王だという事とこの国の民を騙していたことを説明したのである。そしてそれからゼムはクロに対してこの国の王は誰かと尋ねるとそれをクロリアに伝えたらその人物は誰なのかと聞かれたので僕はその名前を告げるとそれを聞いてしまった魔王軍に所属していた者が騒ぎ出してしまうのであった 僕はこの世界の魔王ゼストの部下がなぜ、魔王ゼウが作り出そうとした魔人と化した者たちと戦わなければいけなくなったのかを考え始めていた。その理由を考えるためにまず考えられる事としてはこの世界を自分のものにするために行動しているのではないかと思ったのだ。なぜなら、僕やゼウがいる場所まで来るまでに魔王軍の者と遭遇した場所があるのだがその場所で僕達が戦ったのはこの世界にいる魔王ゼストとその配下達であり、この世界に存在しているであろう、魔王軍に属する全ての者が来ているわけではなかったのだ。つまり、今現在に僕がいる場所は魔王ゼウとゼス達がいる場所に近い場所だと考えられる。

だからその場所に行けば、今僕たちがいる世界に存在している魔王軍が何処に潜伏しているのかも分かるはずだし、魔王軍の情報も手に入るはずなのだと、そんな事を考えていた時にゼアが僕に声をかけてくると、クロとクロリアがゼムとゼウがこの世界で何をしようとしているのかをゼストとクロリアから教えてもらったらしい。そしてゼアは、その事を話す前にゼアとゼウが魔王になった経緯と魔王がこの世界にやってきた理由について話してくれた。その話を聞いたゼクトはゼストとクロアから聞いた事を全て信じたらしくその話に納得してしまった。しかし僕はその話の中に出てきた魔人の事が気になっていたのだ。そこで僕は魔王であるクロアから魔王がどのような力を持ちこの世界を作り出した人物だと知らされた。それからゼアとクロがクロアの配下達とともに魔導国から外に出ようとする。それを止めようと考えたのはゼアとクロにクロリアとクロの四人でありゼアはゼムとゼムとゼクトとゼムとクロを、クロリアがクロリアをクロとクロアがゼクトとゼオをそれぞれ守るようにして魔導国から脱出すると魔導国を出てからすぐにクロリアがクロリアがクロに魔王の事について話し始める。

「クロ様は、私がこの世界で生を受ける前の事をどの程度知っていますか?」その問いにクロリアが答え始めると僕は魔王がどうして魔王の力を持っているのかを知ろうとした。

そしてクロは、魔王は元々は魔人という普通の魔族の上に立つ存在だったという事を伝える。クロの話しによるとその当時の魔族の中には魔王が魔導国に作り上げた魔王軍に所属していない者もいて、その者達の事もクロは仲間だと思っていたのだというのだ。しかしある日突然魔族が反乱を起こして魔王を殺そうとしたが失敗したため魔界に追い返したと言う事なのだ。クロの話に出てきたその魔族は魔族の反逆者として有名なのだ。僕はそのことを思い浮かぶとそのことについて詳しく聞こうとしたがその時、僕の後ろからゼアの声が聞こえるとその声に振り返るとそこには黒い髪の色をしている少年の姿が存在していたのだ!その容姿は十二歳前後の子供にしか見えなかったのだが見た目とは違い、その実力はとてもじゃないが、この世界の強者であると言われている者達には太刀打ちできないほどの強さであると感じた。しかしその事はクロにも分からないようでどうしてこの姿になっているのかという事を聞くとその魔族の子供が僕の前に現れて、そしてクロに向かってある言葉を言い放つ。それは魔人の王となれと僕たちにとってはとんでもない一言を発したのだった!僕達にとって、そして僕とクロアにとっても聞き覚えのある言葉を聞いた僕たちは、僕がその言葉を呟くとクロが慌ててクロに向かって話しかけるが返事がなくそのまま地面に倒れてしまった。クロが倒れたことで僕達は、この子を助ける必要があると考えクロに呼びかけ続けたが一向に目を覚ます気配がなかった。

僕はクロがこの状態になっては魔王が復活するかもしれないと僕は感じ、僕は魔王の力を使って僕とクロアにゼクスにクロアが持っていた魔王の杖を使い、その杖の力で僕は魔人に姿を変えてその男の子に近づくのである。するとその瞬間クロは意識を取り戻したのだ。それを確認した僕はこの男の子は本当に魔王が復活させようとしていた、魔人の子供でその魔人は魔王軍に所属する者でありクロを魔王と認めさせるために現れたのだと言う事を察した。しかしそれでも僕はまだ信じられなかったので、ゼクス達にクロを助けてほしいとお願いをしてその願いをかなえてくれることになったのだ。その後クロアはクロに魔人が言っていた言葉を伝えた後ゼク達と一緒にクロアの配下の魔人達と合流しようとしたがクロの仲間達はすでに殺されてしまっていた。それを見た僕は焦ったのだけれどそんな僕の前にゼクトが現れるとこの状況を説明し始める。

どうやらゼクトは、僕達のところに向かおうとした時にあの少年の攻撃を受けてしまい戦闘になりなんとか倒すことが出来たみたいだがすでに体力がほとんど残っておらずに回復するまで動けそうにないと、それを聞いていた僕はすぐにゼストとゼアの二人にも回復薬を渡した後、ゼアにゼクトのことを頼んで僕がゼストの分まで頑張ろうとクロと一緒に魔人との戦いを始めたのだった。僕は、ゼアとクロにクロの眷属達とクロアの眷属の魔族達にクロを守れるように伝えてから僕はゼアに向かって魔人を何とかすると言うとゼアが、この国を救ってほしいと言ってくれた為僕は全力で魔人を倒すことにして魔人に立ち向かっていった。

その魔人はゼムと同じ魔人でとても強かった。その戦いの中でクロアとゼアスの会話の中で出てきた、僕がこの世界で最強の力を持つ勇者であるという事を告げられる。それを聞いて僕は魔人をどうにか倒そうと力を尽くそうとしたが相手も相当に強いのか苦戦させられてしまうのだがそんな中で僕の中にある魔王の力を解放する事によってその力を発揮し始めて徐々に相手を押し始めていく。それからしばらくの間、僕一人で相手と戦い続けていると相手も魔王の復活の為に時間が必要だと思い撤退していくと僕はそれを見送ってから僕は自分の中に魔王の力が封印されていた事に気づくのである。

ゼアにゼウとゼムを魔人から守り通して欲しいと頼み込む。それを聞いたゼアはクロアをゼアに任せると同時にクロアを僕に預けてきたのでクロアが魔王だと分かったクロはクロアを守れなかったと後悔してしまっている。そのクロアにクロアは魔王としての素質があると言われてしまう。そしてクロアにゼアを魔王城に連れていくように指示を出すとクロはクロアを連れてクロリアが乗っている馬に乗り、クロはクロリアの後ろに乗っていたのである。

ゼアが僕にこの国を頼むと言ってくれると僕はその言葉を了承してゼムと共にこの国の王としてこれから行動しようと決意をするのであった。その僕たちの目の前に現れた魔王軍の一員と思われる人物がこの国に魔王が復活した事を伝えにきた。その話を聞いた僕はすぐに行動に移しクロが連れていた魔導国の住民達から魔王軍が魔導国を攻めて来た時に魔導国の住人のほとんどに魔王の魔石と武器が埋め込まれているのを知ったのであった。魔石を取り除かれたのは、この国の王女と国王であり、魔導王の魔剣の柄に埋められているのはクロの配下である黒猫騎士団と魔王軍の一員だという事が判明したのだった。それを知ったクロリアとクロアは急いでこの魔導国の中に存在する魔王軍の幹部を探しに行ったのである。そしてその魔王軍の幹部がこの国の王と王妃の二人でありクロとクロリアの二人はこの魔導国の王城に魔王が作り出したとされる魔王軍の一人が魔導国に攻め込んできた事とクロとクロアの二人がこの王城内に侵入した事を報告したのである。そして僕達は魔人の少年を撃退してから魔人の少年に倒されたゼアをゼムが助け出して、ゼクトが魔人の少年とクロアに魔導国から出るように言い放ち魔人の魔族から僕を守る為に戦うとゼアはクロアに僕を守ってほしいと伝えるのであった。その事を伝えられたクロアはクロがこの世界に戻ってくる前にこの魔導国が襲撃を受けないようにする事を決意し、魔族の王が作り出している魔王軍をこの世界に入れないためにこの魔導国に結界を張り始める。

クロリアはゼクトがこの国に仕掛けられた罠から身を守るためにもゼクトに結界を張ってもらった方が良いと言うとゼアはクロアの言葉を信じたのかゼアはこの国に仕掛けられているであろうトラップを解除するための作業に取り掛かりクロは、魔導王に報告に向かうと言い出し、僕達はそれぞれ行動を始めるのである。それが終わるとクロは僕に向かってこの国の未来を託したという感じな事を言うとクロリアと一緒に王城をあとにするのであった。僕はその言葉を聞いた時クロリアに何かがおかしいと感じさせてしまう。

僕の目の前には魔族の少女がいる。その見た目からは僕と同い年ぐらいの少女に見えるのだけれど、この世界にはありえない程の魔力量を保有していて、しかもまだ子供でありながら大人の男以上の強さを有している事が僕でもわかった。だけどこの女の子はその実力に反して外見は幼い子供のようだと僕は思いながら、そんな事を考えている僕に対して、女の子が攻撃を開始してきて、その子の動きはとても速く、普通の人がこの動きを見切れるはずがないと思った僕はこの子の体を見て、この子が成長すれば、どんな女性になるのだろうかと考えてしまったのだった。そしてこの子は、この世界の人間ではなく別の世界の人であるという事を直感的に理解する。そして僕とクロリアさんに向かって攻撃をしてきたのである。僕達が、僕達の世界に帰ろうとしている事を話していると、クロアはクロリアにこの国の魔王はどうするつもりなのかという事を聞くと、クロリアはこの国を救いたいと思っているのならば自分がその力になれると言うとクロアがクロリアの力を借りるためにこの国の人達の記憶を全て消去させて欲しいと言うとクロアはそれに対してこの国に何の罪もないこの国の人達の幸せを壊す事は許せないと言う。それを聞いたクロリアが、その考えこそが間違っている事を説明して、その間違った思想がこの世界の全てを滅ぼしてしまう事を教えるのだがクロアの考えを変えることはできず、そしてこのままでは戦争が始まってしまうので、クロアの持っている神器の力によって、この王城の者達の思考と肉体と魂に呪いをかける。クロアは自分の命を削ることによってこの世界を救えると、そしてクロアとクロリアはクロにこの王城の中にいる人以外の者を外に出して避難させるように頼んだ。僕は、ゼアからゼムの言伝とゼアの持っていた杖を受け取り僕は、この城の中で戦おうとするクロ達を外に逃がそうとすると、クロは僕についてくると言ってきてくれた。そして僕は、クロにゼストから渡されたゼムの言伝を渡すと僕はこの部屋から出て行く。クロが言っていたクロリアとゼアの本当の目的は一体なんなのか僕は疑問に思ってしまった。クロリアが言うようにこの世界の全ての人に魔王の事を教えれば、この世界の人々はこの世界で生きていくことができなくなると思うからだ。

それなのになぜ、この国の魔王を倒さなければならないのか。僕にはその意図が分からずにいたが、ゼストが言っていたゼムの話とゼアの話を考えて、魔王の力の暴走を抑えていると言う事は、その魔族は魔王に命令されているのか、それとも魔王の意思に逆らうことが出来ない存在なのかのどちらかだと考えたがどちらにしても、僕にとっては倒す相手が増えたと言う事なので、魔王の力を使い魔王軍の一人を気絶させた後にクロにクロリアのことを任せるとクロリアと一緒にクロアが言っていた場所に案内してくれるように頼み僕はクロアにクロを任せて僕はクロアにこの国の事を伝えてからゼクトに頼まれていた通りにこの魔導王を何とかしようと決めるのである。僕は、クロの事を心配してくれていたゼクトと、ゼクトに頼まれてクロをここまで連れてきてくれたゼアとクロリアの三人にありがとうと言ってお礼を言うとゼクトから、魔王からゼクトの大切なものを一つだけ取り返してくれると嬉しいと言われ僕はそれを聞いて魔王の所に向かおうとしていた。僕は、この城から出るとすぐに魔人と戦う準備をして魔人が攻めてくると予想できる場所で、クロアが言っていた魔人が出てくると僕は魔人を待った。

すると、その魔人は現れたのである。僕はすぐに魔人との戦いを始めようとした瞬間にクロが魔人との話し合いをすると言ってきたので僕は魔人と戦い始めるがクロが話し合いをしようとするとなぜか魔人の動きが悪くなり、その隙を突いて僕と魔人の一騎打ちになり僕は何とか勝つことができたのである。それから魔人に魔王とゼアの事を質問したけど何も答えることは無かったのである。その魔人を見逃した理由は、僕自身が戦いたくない相手だと思っていたことと、クロが僕を止めてきたからであり、クロがクロリアと二人で魔王を倒してからゼオを探そうと僕を説得してきたので僕も納得してしまったのである。僕はその事に少し不満を抱きながらもクロに説得されて魔王を倒しに行くことに決めクロが魔導国で暴れまわってゼクト達を助け出した後で、ゼムから魔導国で見つけた武器と魔道具を預かったのである。そして僕はクロと一緒に魔導国の外に出る前に、僕にこの魔導国を護ってほしいと言われて僕はそれを承諾した。その事をクロに伝えてからクロと共に魔導国から立ち去った。そしてその途中でゼアが僕達に魔人の少女をこの国に置いていくように言って僕はクロにクロアの事をクロに預けてゼアとクロを王城に残したまま僕はこの世界から脱出する。

ゼムが僕達に魔導国に残るかこの世界に留まって欲しいと言ってきて、クロとクロリアは僕に残ってくれるように懇願してきてくれる。そしてゼクトがこの魔導国は僕に任されたのだから魔導国の事を忘れてもらって構わないと言い、それに僕はゼクとこの魔導国をお願いしたいと伝える。

僕の目の前にいるのは、僕と同い年くらいの見た目の少女が立っている。この子からは何か嫌な感じがしており、僕と同じ勇者である事を感じると、クロリアはこの子が魔王軍の幹部の一人である事がわかると僕達に対して攻撃を仕掛けてくる。この子の攻撃は明らかに僕の想像を超える程の威力を有しており、もし普通の人がこんな攻撃を受けてしまった場合だと一瞬にして命を落とす事となるほど、強力な攻撃であり僕でもまともにくらえば大怪我は避けられないほどの攻撃であり、僕は咄嵯に魔法障壁を展開させてどうにかその少女の攻撃を防げた。しかしそれは僕の全力の魔力を使った防御でしかなかったため僕は魔力欠乏症に近い状態に陥いるのであった。そんな状態に陥りそうになっている僕の方を見てその少女は僕の魔力量はそこまで大きくないと悟ると僕に攻撃をし続けて僕は、魔力を練り上げ続けながら、クロとクロリアにクロの相手をするように頼んで僕は少女がクロを足止めをしてくれていることを確認するとクロリアと共にこの場から逃げ出す。僕は自分の魔力量が少ないことがわかってしまい、これからの事も考えて、この世界の人と比べて自分の力が圧倒的に劣っていることを感じた。そして、僕はこの世界にやってきてからは魔族の能力に頼りっきりであった。そして、クロリアの作った闇の空間の中に入り込むとそこでしばらく休むのである。

クロリアがクロにこの世界での戦いを終わらせたいと伝えてクロは魔導国を救うためにはそれが必要だと言い出し僕も同意するのであった。

僕は魔族が攻めてくるのでそれを迎え撃とうとクロに提案すると、その魔族の事を調べていないと危険な目に遭う事になるぞと言われる。僕はその事を考えるとこの魔導国に何かあるのかと思ってしまった。魔族は魔王によって洗脳されている可能性が有り、この魔導国が関係しているのではないかと僕は思い始めていたのだ。僕はクロリアに魔導国が関係しているかもしれないと言うと、彼女はこの国が怪しいと言っていたが、僕はそれでもまだ確証を持てないのでこの王城の中にあるという、この世界にある神器を取りに行こうと思った。僕はこの世界では珍しい神装武具と呼ばれる神具を持っているのだがこれは魔王軍に対抗する為に神様から貰い受けているものなのだ。僕が持つこの神装武器は全て神剣と言われているが、実はこれには特別な効果があるらしいと言う事しか知らないため詳しい事は分かっていない。僕も最初は信じられなかったが今では普通に受け入れられていたりするのである。

だけど僕は実際に試したことが無いためどのような効果が現れるか分からない。クロにその事を相談すると僕達の持つ全ての魔剣と、神槍で戦ってみる事ができればいいと言われたのだが流石にそれだけの数の剣と槍は持ち歩いてはいないのでどうしようも無い。

僕はゼストに言われていたことを思い出す。魔族の女の子には気をつけなければならないと言う言葉を僕は思い出すのだった。ゼストの言う通りあの子は見た目が人間に似ているが人間では無く僕達の世界の魔族とは違う。そのためゼストに教えられたようにゼムとゼムが連れてきた女の子の話を信じるとあの女の子が魔王軍の魔人だと思うのだった。僕はゼストの言うように、その少女に気をつけるように心がけるのだった。僕はその女の子と再び戦うために、そしてその魔人を倒すためにこの世界に存在するという魔族の神剣を手に入れる事を決める。僕はゼムが言っていた神刀という言葉が気にかかっており、僕はクロとクロリアに神装武具でこの魔人と戦う事を提案すると彼女達は僕の提案に同意してくれたのである。そして、僕はクロに神装武器を二つ持ってくるように頼んだのであった。それからクロが神装武具を取ってくるまで待っている間に、ゼクトに頼んでいたことを全てクロとクロリアに伝えたのである。ゼストから預かっている物についてゼクトの本当の目的は僕にそれを渡しに来たのではなくて、その目的を果たすためにはゼスト自身の存在が邪魔になっていたらしく僕がゼストに言われた事をしていれば、ゼクトが本当に僕に渡したかったものが分かると言われたのだ。そしてゼクトが僕に頼んだ仕事とは何なのかゼクトから頼まれていた物をクロに渡した後も、僕とクロはそのことについて話を続けていたのである。

ゼクトに言われた通りクロにゼムが言っていた魔族の魔導王と魔人を拘束するための武器を僕は取りに行ってもらうとゼクトから渡された書状を見せて僕はゼストから頼まれていた事をしたと告げる。クロはそれにすぐに反応して魔人と戦い始めるが、クロと魔人の戦いを見ていたら僕は自分がいかに未熟であるかを思い知らされた。そして僕はその戦いから逃げるようにこの王城の中を探索し始めた。するとこの魔導国の地下へと続く道を発見したので僕は、クロにこの道を進むのを手伝ってもらうように頼むと僕はこの国の地下に何があるかが気になったので僕は一人で調べることにしたのである。僕はこの国に来る時に、僕が通ってきた魔導王の城の地下には巨大な迷宮が広がっているという噂話を聞いていたのである。僕はその情報を思い出して、もしかしたらその巨大迷宮と魔導国が関わっているのではないかと思うようになったのである。

僕はクロに僕が先に進んでいくと言って、僕はその通路の扉を開いてその先の通路に向かって進み始めたのだった。僕が進むとすぐに地下への階段があったので僕はその下を覗き込む。僕はそこでこの大迷路を見回していた。するとそこに僕がこの世界で見覚えのない生物を見つけたのである。僕がその生物の方に近づいてみるとそこには見たことのない生き物が存在していた。僕はその生物が魔物だと判断して、その魔人に攻撃を仕掛けることにする。

その魔人が持っていたのは、魔族の国で使われている魔導書であるとわかった。その本から発せられる魔力の量は明らかに普通の人間が使えるような代物ではなく、僕自身もかなりの実力を持っていることは分かっているのであるが、そんな自分でも目の前にいる魔物と戦って勝てるのか不安になってきてしまったのである。僕は目の前にいる魔人が持っている本がただの魔導書をではないことに僕は気づいた。なぜならば、その魔人が手にしている本の表紙を見るとその題名が書かれていた。

(これはもしかすると)

僕にはこの魔人が手にしている本の表題の意味がなんとなくだが分かってきた。その表紙の文字を読む限りだとそれは恐らく魔法を使うための道具なのではないかと思えたのでこの大迷宮で僕は魔法を発動させる方法を探すことにした。この大迷宮で見つけたものはこの世界に存在する全ての知識を蓄えることのできる、世界の知識が詰まった宝玉と呼ばれるものが存在していて、それに触れれば僕の疑問を解決してくれるかもしれないと思い至ったのだ。僕の考えだとその魔法に関することが載っている可能性が高いと思っていた。そして僕はその魔人の攻撃を必死に回避し続けるのだが攻撃を回避しきれなかったのだ。そしてどうにか防御に成功したのだが防御した僕の体にも衝撃が来たほどなので、かなり強力な攻撃をしてきたことがわかるのだがそれを平然と防いでしまった自分に驚いていたのだ。

(やはりこの本はかなり危険なものだということは確かか)

僕はそう思うとその魔人の攻撃をどうにか耐え抜いているが次第に押されてきてしまっている。僕がそんな時であった、クロが僕の所へやってきた。僕とクロは二人で協力して魔人を倒したのである。その戦闘で分かったことがある。魔人との戦闘をしている中で魔人は僕達に魔族の魔導士が使うとされる禁呪の呪文を使い出したのである。その魔導書にはそんな魔法が記載されている事がわかって、この大迷宮が魔法に関係する場所である事がわかって僕としては満足だった。

僕がこの世界で魔法が発動できない原因を探りに魔導国の地下に来ていた僕達の前に現れたのは、僕達がこの世界で初めて出会う魔族だった。その女性は僕達を見て襲いかかって来たが、クロは僕にその女性が敵であることを告げる。僕達に対してその魔族は攻撃を放ってきて僕達もそれに対抗して攻撃をするのだが、僕達ではその女性に全くダメージを与えることができないでいた。そればかりか相手の方が有利だと感じるくらい僕達は一方的に押され始めていた。

そして僕達に対して攻撃をしていた魔族は突然姿を消すと僕の後ろに姿を現したので僕は驚きながらも咄嵯に振り向きながら攻撃を繰り出すと相手の魔族は僕の攻撃を受け止める。そんな相手に僕は自分の武器の剣と魔剣とを両手に持ちながら全力で相手を切り裂こうとしたのだけれど相手が僕の一撃を止めると同時に、クロも自分の神槍に全力の力を込めた状態で相手を突くがその槍の攻撃を受けても魔人には大したダメージを受けていないようであった。僕はこのままではいけないと感じてしまい魔剣の力を解放して僕は自分の限界を超えて魔力を使ってしまったのである。

僕が全力の魔力を解放した事によって魔導国に封印されていた闇を解き放つことに成功したのであった。僕の持つ神剣が闇の力を得て魔剣へと変わったことによって魔人に対抗する事が可能になるがそれと同時に、この世界に新たな闇の脅威を生み出してしまう事になったのであった。

この世界に来てからは僕は魔族とは何度か戦う機会があったがどれも魔人とまで戦ったことは無かった。そのため魔人を目にする度に僕は緊張が止まらなかったのである。僕はその魔人に対して、自分の剣では通用しないことが分かり、それなら僕は神装武器を使おうと思ってクロに頼み神剣を持って来てもらう事にしたのであった。そして神剣を手にしたクロとクロリアと共に僕達はこの魔導王と戦った。するとクロの持つ武器は今まで使った事が無い程に強力な力を発揮したのである。そしてゼクトから受け取った手紙の内容を僕達は確認すると僕達はそのゼムから頼んでいたものを試すことにしてみるのだった。

僕はクロと二人きりになる。

「ゼクトから渡されたこの武器を使えばきっと大丈夫だと思う」

「そうだね」

僕はこれからやろうとしていることを頭の中で整理してから実行に移す。まず最初に僕はクロに向けて魔法を放つ。これは僕の攻撃が通用するのかを実験するために行うものだったのだ。

僕の魔法の威力を魔人にぶつけるために僕は魔法を唱える準備をするのだが魔導国に入ってからというもの、魔導国から感じていた気配のようなものを肌に受け続けていたためにその魔力がこの国のどこに存在しているかを把握することが出来るようになっていたのだった。僕はそのことを思い出してその魔力を操れるようになるために魔族が使用する魔導書の使い方を学んで習得しようとしていた。

クロとクロリアと合流してからゼクトからもらった魔剣と神装武具を手に持って僕達はゼクトから言われていたことをやってみる事にした。そのゼクトから言われていたことを今まさに実践しようとしていたところなのである。

クロは僕に神剣を渡す。僕がクロリアから神剣を受け取るとクロが言った。

「私がサポートします」

「ありがとうクロリアさん。よろしくお願いいたします。でもこの魔導国という場所は私達の世界の魔族の国の魔都と雰囲気がそっくりですから気をつけてください」

僕がクロリアと話している間に、僕に渡した神器をゼクトから受け取っているゼクトは僕の方に向かって話しかけてくる。

「魔導国の地下には迷宮が広がっておりその迷宮の最下層に魔導王が君臨する城が建っていて、そこに辿り着くためには大量の魔物を倒さなければならないと噂されています。この地下の迷宮で手に入るアイテムの中に魔導王の秘宝と言われている物がありまして、この魔導王の秘宝を手に入れた者は何でも一つだけ欲しいものを得る事が出来ると言われておるのですが実際に手にした者はいないんです」

僕にそんな話をしてくれたゼクトは最後に、その魔導王を捕らえろとゼクトは僕に言っていたのだ。この国にいる魔王を僕達に捕まえさせるというのがゼクトの目的のようだ。ゼクトから話を聞く限りでは僕にはそんな事をできる自信はなかった。それにその魔導王とやらが僕達に何か危害を加えるのならば、その時には僕は全力で魔導王と戦う覚悟を決めたのである。そんな会話を終えた僕が改めてクロを見るとクロも僕を見てうなずいていた。

僕がクロから魔剣を受け取った直後、僕達が先ほど戦っていた魔人が突然現れたかと思うと僕に攻撃をしてきて僕は魔人から距離を取って警戒していた。

僕と魔人が戦い始めた頃、僕がクロの持っている剣に力を注いでその神剣に宿る力とクロ自身の力でこの魔人の魔導書を破壊する作戦だったのだ。僕は魔導国で僕達を待っていた魔人に僕が持つ神剣をクロと二人で協力して、この魔導書が保管されている場所の扉を開くための鍵になっている魔導書を壊そうと考えていたのである。

クロの魔槍は僕と魔人が打ち合っている時に僕の横で待機していたので、魔人が僕に集中している時を狙って魔人の魔導書を僕に気付かれないようにクロの魔槍が破壊する事になっていた。しかし、僕が魔人と戦っていた際に僕はこの魔人が僕が思っている以上に強力な力を持っているということを感じ取ってしまい、どうにか隙を作ろうと僕はこの魔人をどうにか抑え込むことに成功して僕はこの魔人との戦闘中もずっと隙がないのかを探していたのだった。すると、魔導書の異変に僕が気づく。魔導国に入ってすぐ魔人がこの部屋に入ってきてこの魔人が手にしている魔導書に違和感を覚えてから魔導書を見ていたが、魔導書を見ているとその本に書かれている文章の意味を僕は理解できるようになってきた。僕はそこで僕はあることに気付き魔人に攻撃を仕掛ける。魔剣の力を解放する。

魔剣の能力は闇の力を得ることで僕に力を与えるだけではなく僕自身が持っている闇の魔法を発動するための能力を底上げすることにある。僕はこの魔導国に入ってきたときに僕が発動できなかったのがこの魔導国の結界によるものだとわかって、その魔法を解除しようとするのだがその方法が分からなかったのである。だが僕は魔剣のおかげで魔法を発動することができるようになったのだ。そして僕は魔法を詠唱する。僕の身体から魔力があふれ出してくる。

僕は神剣の力で魔法を発動しようとしたのだが魔人は僕の攻撃に反応してきたのだ。

僕の目の前に迫ってきていた僕の攻撃をどうにか受け止めようとしたのだがその攻撃をどうにか止めることが出来たものの反撃をしてきたのである。だが僕の予想通りに僕は神槍の力も借りて魔人の攻撃を防御することに成功したのであった。そんな時だった。魔人の手元にあった神具が光出したかと思うと、その光は魔人の手から消えていったのだ。それを見ていたクロとクロリアは驚きの声を上げると、そんなクロ達にゼクトは落ち着かせようとしているのだったがそんな事は気にせずにクロ達は驚いている様子だったのだ。

それから少しすると僕とクロの戦いにも終止符を打つ出来事が起きることになったのだった。

魔導国の地下に存在していた巨大な迷宮を攻略しようとしていた俺達は大迷宮の奥に存在すると思われる宝玉を手に入れるための手がかりを、迷宮内で手に入れた資料から探そうとしていてその魔導国に入ることになるのだが俺はクロとクロリアを連れてこの魔導国に訪れると大迷宮へと入っていったのである。大迷宮の内部に入ったのだがやはりというべきか大迷宮内部も迷宮らしく魔物が大量にいて、俺達はその迷宮の中で現れる敵を殲滅していく。

その途中でゼクトから預かった禁呪の書が保管されていたという魔導王に関する書物を発見する。それは普通の人間では読む事が出来ないはずの魔導王が残した禁呪について書かれた書物だったのだがゼクトはこの本を読むことができるらしい。ゼクトの話によるとゼクト自身も昔はこの魔導王から禁呪の知識を学んだのだという。そのゼクトが言うには魔導王は様々な魔道具をこの魔導国から盗み出し、その中には禁呪の術が書かれている魔導書も盗み出して、この国には多くの魔法を封印したという言い伝えが魔導国には伝わっているようなのだ。ゼクトが知っている限り、今までに魔導国が魔族に奪われている物は四つ存在すると言う。その四つの物がこの国の宝物庫に封印されていて、それが今回の件と何らかの関係を持っているのだろうとゼクトは言っていた。そんな話をしているゼクトと別れた後にクロがゼクトが持っていた本に触ろうとするとクロはなぜか、その本に触ることを拒んでしまった。クロはゼクトが魔導王の遺産をこの魔導国に残してくれていることに感謝する。ゼクトが魔導王の遺した魔導王の秘密が書かれた魔導書をこの魔導国に隠してくれたことでクロ達はこの迷宮を踏破するヒントを得られた。そのことからクロ達は大迷宮の奥深くへと足を踏み入れることにする。

そしてゼクトと別れてからクロ達は魔導国を進んでいく。するとそこには魔人が立っていたのである。魔人を目にしたクロは魔人と向かい合うようにして立つ。するとゼクトの武器を持ったクロがクロに語り掛ける。

「クロ、私があの敵を倒す」

「大丈夫?」

「うん、任せておいて」

そう言ってクロはゼクトから渡された神槍を魔人に構える。すると魔人もクロに対して自分の持っている魔導書を向ける。そして二人はお互いに向かって走り出したのであった。すると突然クロの動きが変わったのが見えた。魔導書を使って何かの技をクロが使ったようで、それを使った後、クロが持っている神器に光が灯った。神剣から魔力が溢れ出しているのがわかると、その魔力がクロの神剣に吸収されていっているのが見える。そしてクロはその魔力を全て吸収した神剣を振ると、クロの魔力に反応するかのように神剣から闇の魔力が放たれる。魔人が放った黒い魔力の塊をクロは簡単に切り裂くとそのまま魔人に対してクロが神槍を突き出そうとするのだが、魔人は自分の持っている魔導書を神剣と衝突させて、神剣に付与された神槍の攻撃を止めると、今度はクロの方から魔人に接近して神槍を振りかざす。

しかし、クロの攻撃も簡単に止められてしまった。そのことに焦るクロであったが、その攻撃を止められてもなお、諦めずに神槍で魔人を貫こうとした。その光景を見て、クロは魔人が持つ魔導書に神槍の力を込めて、神槍を魔人の魔導書に向けると、そこから魔導力が放出された。魔導力によって、魔導書のページが捲られると次の瞬間、その開いたページが魔人の元に戻ると同時に、魔導書の真ん中に描かれていた魔導書に描かれている模様が変化して赤い文字で『禁術:魔炎爆裂』と書かれている。

そして魔人が魔導書をクロに向けた直後、その魔導書を纏っている魔人の体が燃え始めた。そして爆発が起きたのだ。クロは咄嵯にその場から離れて爆風から守られていたのである。その爆発がおさまった後には全身が焼けただれた魔人が地面に倒れていた。しかしまだ生きているようだった。クロは魔人の元に駆け寄ろうとしたのだが、そんな時だった。突如として魔人が立ち上がってクロの腹部を殴って吹き飛ばす。

「よくやったぞ。お前は私の分身の中でも優秀な奴だな。だがここまでだな。残念だよ」

そう言った魔人は先ほどよりも膨大な量の闇をその魔導書に集めると魔法を発動させたのである。「魔道王の力を受け継ぎし我に更なる力を与えるために我が魂に刻まれた力を呼び覚ますことを今ここで命ずる。我が身に刻まれし血に宿るその力を解放し、我が肉体を強化する。『血闘術 暴食之魔』」

すると魔人の姿が変化を始めたのである。先ほどまでクロの目の前にいた魔人は魔人に襲いかかってくるとクロをその圧倒的な速さで殴りつける。そして殴られたクロが吹っ飛ばされていくのがクロには分かった。

(速い、それにこの感じから察するにもの凄い力をその身体に秘めてるみたい)

クロは立ち上がろうと試みたがその前に、その攻撃の速度についていけないクロは意識を失いかけていたのである。だがその時だった。クロの視界の中に魔人の拳に握られている剣の姿が映った。その剣が振り下ろされる寸前、クロは魔人が剣を握る手に視線を移す。その手には魔人の剣の刀身がなかったのだ。そして魔人が剣を握っていない方の手を自分の方に差し伸べてきた時、その魔人の手首を切断する存在が現れる。それはクロリアの槍だった。クロリアは槍を手に持つと、その槍で魔人の腕を切断したのである。だが魔人の動きは速く、魔人はそのまま魔剣を持ってクロリアに迫る。

そして魔人がクロリアの懐に入ると、クロリアに斬りかかる。しかしその斬撃を槍を振って防ぐクロリア、そしてクロリアの背後から魔人に槍の矛先が向けられた。その矛先はゼクトの武器である神剣だった。クロリアとゼクトの剣を両手で掴んだ魔人はその二人の武器を押しのけるとゼクトの武器を奪い取る。そしてその奪ったゼクトの武器の魔導書を開き、そこに書かれていた魔導文字の上から新しい文字を書き加えたのである。

クロが意識を失った直後にクロリアは魔人に攻撃をしようとしたのだが、それよりも先にゼクトの武器を持ったままの魔人は魔導を発動させる。すると魔導書を媒体にして魔人の手元に小さな火球が出現する。それはすぐにその大きさを増すと魔人の周囲を取り囲み始める。その状況の中、魔人はその魔法を発動させようとしたのである。だがその魔人の行動は阻止された。ゼクトの武器をその魔導書が取り込まれてしまう。それと同時にクロは気が付く。その魔導書を魔人が使用した事に対してクロは驚いていた。

ゼクトからクロはあの本は特殊な魔道具だと聞かされていた。だからこそクロリアは、あの魔導書を壊さなければならなと思っていたのにクロが見た時には既に遅かった。あの本から発生した闇の魔力の波動がクロとクロリアを吹き飛ばしたのである。

それから数秒後、二人はどうにか立ち上がったのだが、ゼクトの持っていた魔導書を魔人が持っているせいでクロリアの魔力を魔導書に吸われ続けていて体力を消耗していくクロ。クロもクロリアと同じように魔導書を破壊しようと神剣を振るう。しかし魔人が魔導書を盾のようにしてクロの攻撃を防ぐとその魔導書はクロの攻撃を受けて粉々に砕け散りながらもその残骸から、また新たなページが開かれていった。するとそこには禁呪と書かれていて魔人から魔力が大量に吸い出される感覚に陥るとその場に膝をついたのである。その事に戸惑った表情をする二人だったがクロはその魔導書がどういう物なのかを推測できた。それは禁呪の書という物であるという事が分かりクロはその魔道具を奪おうと考えたがそれは魔人の手中にありクロには魔道具を破壊できない状態だった。

そしてその状態で戦闘を続ける事になったのだがその状況はさらに悪くなっていったのだ。ゼクトからもらった槍を奪われている状態のクロは槍が使えない状態になっていて魔法による遠距離からの攻防が中心の戦い方しか出来なかったのである。そのため、接近戦に持ち込まれると圧倒的に不利な状態になる事がクロにとって予想できる最悪の事態でもあった。

その戦いの中で魔導書を媒介にして使う魔法の数々は、どれも強力な威力を誇っている魔法でありクロはそれらの魔法の対処に苦戦していたのである。しかしそんな時、魔人の背後に回り込む人物がいた。

その人物はリザリスであった。彼女はゼクトが持っていた武器の一つである魔弓を使ってクロリアと一緒に攻撃を仕掛けようとした。

しかし魔人は魔導書を持っていない左手を前に出す。するとその手が黒く発光し始める。その光にクロは危険を感じたが、その魔導書がどのような攻撃をしてくるのか予測することが出来なかった。すると突然クロは、魔人の左拳を魔人の右拳が受け止めていたのが目に見えたのであった。

その出来事が起きている時に、魔人が魔人に向けて放った魔弾が魔人の顔に当たる直前で何かの力によって阻まれると、そのまま消滅したのである。そしてその直後に魔人は右手に魔導書を持ち替えるとリザリスの持っている魔弓を掴むと握りつぶしてしまったのであった。その行為に怒りを覚えたリザリスは剣を手に持ちその剣に魔力を纏わせて斬りかかろうとする。だがその剣が届くことはなく、リザリスの手からは剣が零れ落ちてしまい地面へと転げ落ちると魔人はそのまま、魔導書を手放すと同時に蹴りを繰り出してその反動を利用して後方に下がると、魔人は地面に突き刺す形で置かれていた神槍の魔導書を回収するとその場から離れた。その魔人を追うようにリザは魔人に向かっていくと神槍の矛先を向ける。

するとその槍の先端部分にある魔導力が集まるとその力を吸収していく。すると次第に巨大な魔導槍に変化していき最終的には一つの魔導砲へと変貌を遂げる。その光景に驚いたのが魔人である。

「貴様、何をしている?やめろ、やめるのだ!!」

魔人がそう叫んだのと同時に魔導砲から魔導砲撃が発動したのであった。

リゼの槍から魔導力の奔流が放出された。その魔導力が神槍の矛先に吸収されていくと、その魔導力は巨大な球体を形成して魔人をその中に閉じ込める。そして徐々に巨大化しながら圧縮されていくと魔人のいる場所を中心にしてその球体は縮小を始める。

その様子を見ていたクロは、この攻撃が当たれば、その球体の中に魔人が捕らえられている今ならば魔導師達から奪い取った魔導書の破壊も可能だと判断した。そして魔人の手に持つゼクトの魔導書に目を向けてからクロは動き出したのである。だがクロの行動に気付いたリザは、それを止めるべく動いたのである。しかし間に合わない、魔人は魔道砲の攻撃を受ける寸前、その球体に捕らわれていない方の手に魔剣の柄を握っていた。魔人はその魔剣の刀身を鞘に戻すと、そのままその剣を球体の壁に叩きつける。その直後、その球体が破壊されてしまう。

しかし、魔人は既に魔導書に手をかけていた。そしてクロの目の前に現れると魔導書のページを開いていたのである。そして魔人がその魔導書を詠唱しようとした時、その魔導書は破壊されたのであった。その事に魔人はすぐに気がつくと、後ろに目を向けた。するとその魔人の瞳に、剣を手にしたゼクトの姿が映る。その事に気づいた魔人は舌打ちをした。

魔人が振り返ると同時に、クロとクロリアの前に立っていたゼクトの剣は一瞬だけ光輝くとゼクトの体から光があふれ出しその体が光のオーラを身にまとう。そのゼクトは、まるで光そのもののような輝きを発していたのである。その現象をクロとクロリアの二人とリザとレイナが呆然と見つめる中、その光に照らされた魔人は、自分の胸が痛むのを感じ取ると、その場に崩れ落ちたのである。

魔人の目の前に突如として姿を現したゼクトのその姿はまさに神そのものだった。ゼクトの身に付けているその鎧の各所には宝石のようなものが装着されており、ゼクトの体を眩いほどに美しく彩っていた。その神々しさを感じさせる姿を見たクロ達は言葉を失うほどの感動を覚えていた。その光を放つゼクトは、倒れているクロとクロリアの元にゆっくりと歩いて近づいて行く。ゼクトの姿を見ると、二人は安堵した表情を浮かべる。

そして二人が無事な事に気づくとゼクトは優しい笑みをその口元に浮かべたのである。だが、そのゼクトの姿を見てもクロはまだ安心する事はなかった。なぜならゼクトから感じ取れた神気がクロとクロリアに向けられる事はなく、ゼクトは自分の体の方にその神気を集め始めたのである。その神気を体に集めながらゼクトは、ゼクトの事を驚愕の表情で見ている者達の方を向きなおった。

ゼクトが向かったのを見てミユとリナはクロとクロリアの元に向かおうとする。しかしそんなミユとリナに襲いかかろうとしたのは、他の魔人達である。その魔人たちはすでに武器を握り締めていた。しかしその瞬間、突然現れた複数の矢が全ての魔人たちを貫いてその行動を封じ込んだのである。その矢が飛んできた方向に全員の目線が集まった。そこにはリザ、そしてサユリとアリシアの三人が並んで弓を構えて立っていた。その事に驚く者がいる中で、ゼクトはその視線を魔人に集中させる。そして神剣を構えた。

クロはその行動の意味が分からなかった。それはなぜ敵を倒すなら、その敵の持っている魔道具を使うべきだと思っていたからだ。だがクロが考える暇もなくその魔人がゼクトに向かって走り出そうとしたその時、クロとクロリアの後ろから、声が上がった。

『待って!!』

クロの視界に入ったのは小さな女の子が、両手を大きく振っている姿が映ったのである。クロがその声に驚いて、慌てて振り向いた先に居たのは先程魔導書を破壊した時に助けてくれたリザであった。その少女の姿を見たリザとレイナは驚いて固まってしまっていた。そのリザに駆け寄ってきたのがそのリザの妹だという事を知ると、レイナは驚きの声を上げたのである。

そんなレイナを無視して、クロとクロリアはそのリザの姿を見て、どうしてリゼがこんな場所にいるのか不思議に思っていた。そしてクロ達がそんな風にリザの事を見詰めていた事にクロが気がついた時にはもうすでにクロの体は宙に浮き始めていた。リザはクロに微笑みかけながらその手を伸ばしたのだった。そしてリザはゼクトの方を指さした。その事にクロとクロリアが首を傾げると、リザは優しく笑いかけた。

その光景を唖然として眺めていたリザ達以外の全員が、リザが何故クロ達の前に現れたのかを理解する事が出来なかった。するとリザは何かを決心すると手を前に出して、手のひらを開いた状態で上に向けると思いっきり握りしめた。それと同時に、空から雷が落ちてきたかと思うとその雷撃によってリゼが作り出した球体に閉じ込められている魔人と魔導書を封じ込めている球体が消滅したのだ。

そして同時に、リザード達の周りに漂っていた、魔人が作り出していた黒い霧のような物体は全て消滅し去った。それはリザの力によって消し去られたのだ。魔人との戦いが終わったのである。そんな魔人を倒した事で安堵していたゼクトだったがその耳に聞こえてきた声に眉根を寄せると警戒するように剣を構え直した。

「ふぅん。あの子達を助けたんだね。まあでも無駄だけど」

ゼクトの耳元で、その声が響いていた。そして突然の事態にゼクトは目線を上に向けた。すると、そのゼクトの目に映りこんだのは巨大な蛇の姿をしていた。

その蛇を目視したゼクトの頭に衝撃と痛みが走った。そしてゼクトの目に血が流れ込み、そして次の瞬間、ゼクトはその場に膝をつくと、意識を失ってしまったのであった。そのゼクトの様子にクロが慌てて駆け寄る。クロが抱きかかえるとゼクトの顔からは完全に力が抜けていた。クロはそんな状態になっているゼクトに慌てるとどうすればいいのかを考え始めたのである。そしてそのクロにリザは近づき、心配そうな表情でクロとゼクトの方を見る。そしてリザはゼクトが手に持っている魔導書に目を向けると、その魔導書はゼクトが手放したことにより消え去るところであったがそのリザは消える寸前の魔導書に目を向けた。そのリザの行動を見たクロが叫ぶ。

「だめだ!!」

そのクロの言葉にリザの動きが止まると、そのまま動きを止めてしまったのである。そしてリザの頭の中では、ゼクトを助けるためには自分が持っている魔導書を渡せばゼクトを助けてくれるのではないかという考えが浮かんできていた。だがしかしそれがゼクトの為になるのかという迷いもあった。そして迷うリゼに、リナが近づいてきてゼクトの顔を覗くとリナは悲しげな表情で言ったのである。

「このままではまずいわ。この子の身体には魔人の力が取り込まれているわ。今この子が倒れているのはおそらくそれの影響よ。だから今すぐにこの子に魔力を流さないと、ゼクトの魂が死んでしまう可能性があるの」

リゼはその言葉を聞くと驚いたように瞳孔を広げ、ゼクトの顔を見詰めた。だがそれでもリザは動けずにいた。その様子を見かねたクロは、リナとミユとアリシアとサーヤを呼び出した。その四人が駆けつけるとクロは魔導士であるサーヤにお願いをしたのだった。そしてそのクロの願いを聞き入れた魔導士であるはずの彼女は魔道杖を取り出し、そして呪文を唱えるとクロはサーヤの体に触れた。そしてしばらくすると、ゼクトの手から落ちそうになっていた、ゼクトが持っていた魔導書は、その光を無くした。その光が無くなっていく様をみていたリザの頭の中はゼクトの命を救う為にも自分の持っている力を全てゼクトに注ぐべきだと判断してゼクトの体に触れようとした。だが、そこでリナの一言で我を取り戻した。

『駄目だよ!!あなたはまだ、その魔導書を扱えるだけの力を持っていません』

リナのその言葉にハッとした表情になったリザは自分の両手を見下ろしてからリナを見た。そしてリナの瞳を見詰め返すと小さく息を吐きだすと、自分の中に流れている膨大な力に戸惑いを覚えていた。そんな時、突然、サーヤがリザの元にやってくるとリザに小声で話し掛けた。

「私に、まかせてください。リザさんのその気持ちが大事なんですから、今は自分のできる事に集中しましょう。私がリザさんに私の全ての力を貸しますから」

サーヤのそんな優しい笑顔にリザの胸の中に暖かいものが広がった。その胸の暖かさを胸に刻み込むかのように一度瞼を閉じるとゆっくりとその眼を開いていく。そして、ゼクトとクロの傍まで歩いて行くと、クロの隣に座り込んだのである。

リザとクロが座ったところで、ミユはリゼに声をかける。

「それで?これからどうする?」

そのミユの質問に、サーヤが答える。

『えっと、多分ですけど、ゼクト君に魔力を流し込んだら、そのゼクト君の中に入っている魔人がその流れ込んできた魔力に反発するために自分の持っている魔人の能力を全て使ってでも、ゼクト君を殺そうとします。なので、ゼクト君を殺す為の能力を発動させないようにしてあげれば良いと思います。あとは、ゼクト君の肉体を修復すればなんとかなります。ただそれだけの魔力があるかどうかはわかりませんが、今のリザさんならできるはずです。それに今は、まだクロさん達の仲間というだけですが、リザさんの魔人としての力でゼクトの傷口だけでも塞ぐ事は可能だと思うのでやってみようと思っています。その前に、クロ様に一つお伺いしたい事があるのですがよろしいでしょうか?』

その突然の声にクロとリザとクロリアは一斉に驚きの表情を浮かべたがミユだけはその冷静な態度のままサーヤの方を見ると静かに尋ねた。

「何かしら?」

ミユの問いかけに、サーヤが微笑みながら答える。

『ゼクト君はリザード族が崇める神獣ゼクト様なんですよね?そのリザード族は今もなお存在するのですか?』

その問いに今度はクロリアの方が不思議そうな顔で、クロとリザの顔を交互に見始めるとリザに目線を送る。そのクロリアの態度に、クロもリザの事をじっと見詰める。そしてリザが答えようと口を開こうとした時に、リザの体が淡く輝いた。

「ちょっとまって。俺が説明する」

そしてその声の主はゼクトが手にしている剣の中から現れたのである。その姿を見る限り剣ではなく魔剣といったほうがしっくりとくるかもしれない。それはまるで意志を持っているような魔剣であった。剣の大きさはそれほど大きいわけではないのだが存在感のようなものがあったのだ。だがその剣が現れた事でリザ達だけでなく他の者全員が驚きの反応を示していたのだ。それは当たり前であろう今までその存在を隠し続けていた剣が現れてしまったからである。しかしその魔剣に対してミヨはその事に動揺することなく尋ねる。

「その魔剣はどこから来たのかしらん?」

そんなミヨコに対し、ゼクトは苦笑いしながら言う。

「俺が生まれた時からずっと一緒にあったものだから正直わからんな」

その言葉を聞いていたサーヤ以外の者達は全員驚きの声を上げた。そんな皆の驚愕の視線が自分に集まる中でクロはクロリアを抱き抱えながら、少し嬉しそうにしていた。そんなクロリアは不思議そうな顔をして自分を抱いている人物を見上げると、クロが何かに気がついた様子なのを見て自分も何かを感じた。そして二人揃って不思議そうにクロを見上げているとその光景が微笑ましかったのかリゼがクスッと笑う。そしてクロとクロリアはリザに微笑みかけられ照れくさくなった。

そしてサーヤの問いかけが一段落したところでクロがサーヤの話の続きを話し始めた。

「えーっと、サーヤが言っていた通り、この剣はリザード族の神獣、ゼクトだ」

その言葉で更にリザード族がざわめきだした。そんな状況にゼクトも困り果てた表情をしていたがゼクトの腕の中で眠っているリザード達を見て、ゼクトはそのリザード達に話しかけた。

「安心しろ。もうあいつらの好きにはさせねぇ」

そのゼクトの優しい声が聞こえたリザード達は安心したように眠りについていった。その様子は先ほどまでの不安感に満ち溢れたリザードの姿からは一変し、リザの眷属に相応しいものへと変わったのだった。その様子を見たゼクトが安堵の表情を浮かべていると、ゼクトの言葉を聞いていない者が一人だけ居たのである。クロである。そのクロがリザの方を見ており、そのリザと目線が合うとゼクトが話を始める。

「この魔人はどうしたら倒せるんだ?」

そんな質問を受けたリザは首を横に振ると、その言葉にミユが疑問をぶつけた。

「それじゃぁどうするのかしら?」

「リザに聞いてくれ。俺はこの魔人を殺すためにここにいるから」

ゼクトがそういうとリザに皆の注目が集まった。そして、ゼクトはサーヤの質問の回答を急かすかのようにリザをじっと見ていると、リザは真剣な表情で言う。

「私にもわからない。ただ私の持つ魔人の力は全て封じる事は出来るわ。後は私の体からゼクト様の中に流れている魔人を浄化できればいいと思うの。でも、それが私には出来ない」

そのリザの言葉にリザに集まっていた者達は落胆の表情を見せる。だがしかしその時、リナは思い出した。

「あ!あのさ!!確かこの前ゼクトの体に宿っているっていっていた魔導書をどうにかすれば魔導書を操れるんじゃない?あれってたしか魔法陣とかで制御されてなかったっけ?たぶんそれの応用だと思うんだけど。それならできるかもしれないよ」

リナの提案を聞き入れたクロリアはすぐにリナの意見に賛同し、早速リナに確認するとすぐにリナの考えを実行することにしたのである。

「そうだね、たぶん魔導書を使って封印の力を行使すれば大丈夫だよ。それでなんとかなるかな?」

「とりあえず試してみないとわかんないけどやってみるね。それでうまくいけば問題ないけどだめだったら、私がゼクトから魔導書を取り出す。それでゼクトを元に戻せば解決でしょ?」その言葉に、サーヤとミコがリナとクロに近づき、ミユが二人の会話に加わった。

「確かにそれが一番手っ取り早いかもしれん。でも本当にそれだけなのかは怪しいけどな」

そのミユの発言にクロは少し考える素振りをみせたがミコがミユの肩をポンと叩く。

「大丈夫ですよ。リナさんを信じましょう。私達が心配していてもしかたありません」

その言葉に、ゼクトが反論した。

「俺もそう思うぞ。今は他に良い方法もないんだ。とにかくまずはリザを信じるべきだ。それに俺もそろそろ魔人の力を抑えつける事が難しくなってきた」

その言葉を聞くとリザは自分の身体を見下ろしてからゼクトの事を見上げた。するとゼクトは小さく笑ったのである。その行動を見たリザは再びゼクトの方を見ると自分の手をゼクトの手の上に乗せると優しく撫でるように動かした。そんなリザの行動の意味をゼクトはなんとなく理解できたがリザがゼクトに何を伝えたかったのかまではわからなかった。ゼクトはその事が残念だったが、その事を考えている暇もなさそうだったので気持ちを切りかえて魔人の方に視線を向ける。

ゼクトがリザ達の様子をうかがうように見つめてくるのを見ていたリザはゼクトに向かって優しい口調で言った。

「ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします」リザが深々と頭を下げるとそれに合わせるように皆も一斉に頭を深く下げる中、サーヤだけが何も言わずに頭を下げなかった。それを気にしたリザが再び顔を上げるとそこには先程と変わらずに笑顔で微笑むサーヤがいたのである。しかしその顔つきが変わった事にすぐ気が付きサーヤの目線をたどると、リザード族達がいる場所に向けられていたのだ。そしてその方向を見ると同じように笑顔になっていたサーヤの顔を見て、一瞬驚いた顔をしていた。それはクロリアも同じであり二人でお互いを見合って不思議な表情をしているとリザ達の元に一人の女性が駆け寄りその女性に声をかけたのだ。その女性の見た目は他の者たちよりも若く見えるのだが他の者の反応はそんな若い子ではないと言っているかのような態度であった。

「皆さんどうかなさいましたか?」女性は不思議そうな顔をしていたが他の者に何かを言われたわけではないようであった。

「あ!いえいえ何でもありません」

女性に問いかけられたリザは慌てて首を振っていたがサーヤはその女性に見覚えがあったらしく少し警戒するような目を向けながら言う。

「あら?お姉さまじゃないですか!」

サーヤがそう呼びかけると女性は少し戸惑うような様子で答える。

「はい?私は貴方の知り合いでは無いと思いますが?」

そう言われてみればサーヤの記憶では、姉のサーシャがこの村に来た際に、ゼクトが魔人だと知りゼクトの元に向かおうとしていたのでそれを止めに行った際、サーナという女性と出会ったような記憶を思い出したが、その時にサーナに会った時はこんなに若い女性の姿ではなかった。その事は、クロとクロリアも感じたようでお互いに顔を見合わせて困惑していたのである。

「やっぱりサーナは知らないよね」

サーナの言葉を聞いたサーヤは確信を持ったようだが、それでもその女性の方は自分がサーヤの知っている人物に似ている事に納得いかないようである。

「やはり似ているような気もするので似ていないとも言い切れません。ですが本当に私の知っている方の親戚とかではありませんか?私の名前はラミア、貴方の名前は?」

「えーっと。サヤカ、サーヤと言います。私の方こそあなたのことどこかで見たことがある気もするのですが、勘違いだといいですね。それよりどうしてこのようなところにいるんです?」

「あぁそうですね。私もこの里の出身でしたが、もう三十年以上前になるでしょうか、ある日突然にこの辺り一帯に異変が起きまして。それ以来、この場所は立ち入り禁止になり誰も入ることが出来なくなっていました。それからは誰も来なくなったのですが今日久しぶりにここに来る機会があって懐かしいなって思って来たところなんですよ」

そのラミアと名乗る女性が話しているとミコトとヒヨリが現れその話に入ってきた。

「そういえば私もそんな噂聞いたことがありますね。たしかこの村の人達はここよりもっと先に行くことが出来ないようになっていると聞いておりました。しかし先ほどまでは何も異常は見られなかったのですが、今は何だか空気がピリピリしてるような気がしてなりません」

そんなミコの発言を聞きサーヤはその表情を変える。

「ミコさんのその意見は的を射ていますよ。さっきからなにやら違和感を感じているので気になっていました」

サーヤが真剣な表情になるとサーヤとサーヤの横に立っているクロリアも真剣な顔をしていた。

その様子を見つめていたリザは、自分の胸を手で押さえて不安そうな顔をするとゼクトを見上げる。

ゼクトはそのリザの行動を不思議そうな顔をしてからすぐにゼクトも気がついた。ゼクトはその表情のままリザに向かって問いかけた。

「この魔人の力が増してきてるって事なのか?それでリザード族の者達に影響が出てきていると」

そのゼクトの言葉にリザはゼクトの方を見上げたまま首を縦に動かす。その表情はとても辛く不安そうである。

それを見たゼクトがサーヤ達に指示を出したのだった。そのゼクトの指示を聞き、ゼクトの仲間達が動き出すとその魔人を追い詰めているリナ達の所に向かうのだった。そしてクロが、クロリアがリナ達に合流してクロリアは、魔人の魔導書をクロリアとクロの力で破壊しようと試みるのである。しかしクロの浄化の力を纏わせた武器で攻撃しても効果がないことがわかり、クロの攻撃を弾き返す。そこにリナの魔弾が飛んでくると、魔人は防御魔法を展開してクロの魔撃を受け流そうとしたが威力を相殺できずに魔人は吹き飛んだのである。その衝撃により周りの木々が次々と倒れていったのをリナ達は見て少し驚いていたがリナはすぐにリザード族達を守るためにリナは皆に結界を張った。そしてリザード族達には避難してもらう。魔人が吹き飛ばされたところにゼクトが向かうとリザも一緒についていくのである。

クロはリナに加勢するとリナとクロは同時に攻撃を仕掛けた。魔導書はゼクトの魔力を吸収するためにリザを狙って魔法を発動しようとしたが発動しない。

リナは剣を振りかざし魔法で強化しながらリザの魔人の核に向かって一気に間合いを詰め、魔導書ごとリザを切りつけるつもりだったがリナは魔導書にたどり着くことが出来なかった。しかしその代わりにリナの後ろの方からは凄まじい轟音が聞こえたのだ。その音はゼクトとクロリアの攻撃によって魔導書が破壊されてしまった証であり、その音を聞いていたリザの顔は一瞬だけ嬉しそうだったが、魔導書の破壊と同時に魔導書の力が分散されてリザの中に入ってきてしまう。リザは自分の体内の魔人の力を抑えることに必死になっていた。リザの意識は次第に薄れ始めリザが膝をつく。それを見かねたクロリアがリザのもとに駆け寄ろうとした時、リナの視界に映っているはずのクロリアの動きが急にスローモーションになった。それはリザード族の子供達を安全な場所に逃がすために向かっていたミコとサーヤの二人も同じような状況になっている事に気づく。

「なんだ?いったいなにが起こっている?」

ゼクトもこの現象に気づいたみたいで戸惑いを隠せない様子であった。

「おそらくはあのリザード族が使っていた技と同じような現象なんだろうけど、リザに負担をかけ過ぎだろ。あいつは大丈夫なのか?」

「はい大丈夫ですよ。あれは私が使った技とは違いますので、リザード族さんが使うのと違ってリザさんを消耗させる事はないはずですよ」

サーヤがゼクトの心配事を察知したのか笑顔でゼクトに声をかけた。その言葉を聞いてサーヤとサーヤの後ろにいたリザード族が安心したような顔をした。サーヤがサーヤの後ろにいるサーナという女性の事を見ながらサーヤが声をかけたのでサーナという女性は不思議そうな顔をしていたがその言葉を聞き笑顔になる。そんなリザの方を見ていたクロはゼクトと目が合うと小さく笑みをこぼしたのだった。

ゼクトは、この状態の中で冷静でいた。それはクロも同じで魔人の方を見ていたのであった。その二人の目線の先では、魔導書が破壊されてしまい、魔人とのリンクが切れた魔人はもはや無力化されてしまっているようであったがその魔人の周りが光に包まれるとそこから巨大な魔物が出現した。

その光景を目にしたゼクトとクロとサーヤとサーナ以外は驚きのあまりその場に立ち尽くしてしまう。サーヤだけはその巨大な魔物の見た目を見てサーヤと同じような存在であると察することが出来た。そしてサーヤはその魔物に向かって駆け出していた。それを追いかけるようにサーヤはクロにも声をかけると二人でその魔物の元に向かった。そのサーヤの行動を見て慌ててサーヤを追いながらサーヤに問いかける。

「ちょ!ちょっと待ってください。何があったんですか?」

サーヤはそんなサーヤの声に振り返り笑顔で答えた。

「これは私の予想でしかありませんが恐らくこの世界の均衡を保つための装置のようなものだと思うんですよ。でも今はその役目を終えて消えようとしているんじゃないかと思います」

サーヤはサーナの方に振り向きながらそう言った。そのサーヤの言葉を聞きサーナはサーヤに問い質す。

「どうしてそう思うんだい?」

サーナは疑問だらけの状況に頭を悩ませていたのであった。

「だって、あの子の姿を見てください。私や貴女のような存在で無い限りあんなに大きな姿になることはあり得ないんですよ。それが出来るとすれば世界のバランスを壊して世界を壊そうとする悪の心の持ち主くらいでしょうね。まぁ今のこの状況は私達が起こしたものではないですが、結果的にこの子が現れたということはこの世界が崩壊するのかもしれないという可能性が出てきましたね」

「じゃあ僕達はどうすればいいと思う?それに僕には君の言うような悪者には見えなかったんだけど」

「私にも分かりません。ただ私にはその魔物が何かを守れと叫んでいるように感じました。その叫びに答えるには倒すしかないかと思いますが今はクロさんやサーヤがいるので任せればいいかと私は思っています」

サーヤがそう言ってクロの方を見ると、クロも自分の役割を理解したようでうなずいていた。そして二人は、自分達が戦わなければいけなくなるその時のために、少しでも情報を集めようと魔物の行動を注視していた。

そんな二人が行動を開始するとサーヤが先に魔物に向かって行ったことで、サーナもそれに続いて行くのだった。その途中でミコトと合流することになるのだがミコトはまだこの事態について理解出来ていないのが現状である。それでもこの異常を感じ取ってはいるようで険しい表情をしながらミコトはクロに問いかけた。

「ねえミコ、今の状況分かってる?それとサーヤさんとサーナはなんなの?」

ミコもミコで困惑している様子である。そんなミコの様子にクロは笑いながらもミコに説明をするのである。

「とりあえずサーナと僕はミコが思っているよりもずっと強いから。ミコの事は僕が絶対に守るから心配しないで、それに今そんなことを気にしてる場合じゃないでしょ」

クロはいつもより真面目な表情になりミコにそう話す。その言葉でミコはクロとサーヤが本気で言っているということを感じ取ったのである。ミコもそのクロの表情を見たら自然と落ち着いてしまったので、ミコはそのクロとサーヤを信じて自分が出来ることに専念するのである。

「分かったよ。私も全力で援護に回るよ。でもあんまり期待はしすぎないでよ」

ミコがそういうと、その言葉を聞いていたリナとリリアも合流した。リリアは少し離れた所にリザード族やエルフ族を避難させていたようだ。その避難させている途中だったリリアだが、サーヤとサーナの姿を確認してから、すぐに戦闘に参加しようとしていた。しかしその前にリナが、サーヤがこの世界の崩壊を救おうとしている可能性があると言う話を聞き、リナも自分とサーヤはともかくこの世界の人達を守らないといけないと思い避難させていた者達を安全な場所に避難させて、リナとリリアが戻ってくるとリナとサーヤが一緒にクロの加勢に向かうのであった。

サーヤ達が魔人の元に向かおうとする時にクロがサーヤ達を引き止めた。そしてクロはリザが心配なので、クロとクロリアはここに残ってほしいと言い残すとクロはすぐにリザの元へ急いだ。リザは膝をついて息苦しそうな状態だった。

そしてリナとリリアが魔人の方に行こうとした時リナはふと足を止めてからその巨大な魔人の方を見ていた。そのリナの姿に違和感を覚えたリリアだったが、すぐにリザの方を見てリナと一緒にリザを安全な場所に連れ出そうとする。しかしリナはそんな二人に対してこう呟いた。

「サーヤとサーナならなんとかしてくれるよね?」

リナは自分の胸を手で抑えているサーナを見ていた。リナの言葉を聞いたリナは少し不安が残っていたがサーナ達に任せる事にして、サーヤとサーナとサーナが呼び止めるリリアを無理矢理に連れていき魔人の元に行く。

そして魔人の元に向かったクロはゼクト達と合流しようとしたがそこにいたのはリザード族だった。リザード族はなぜか怯えていて逃げている最中のリザード族とエルフ族達を見つけたがそこにゼクトとクロリアもいたのだ。クロとリザの身に何か起こったのではないかとゼクトは心配していたが、リザード族と一緒だったためその事を聞かなかった。ゼクト達の元にクロとサーヤ達が現れる。

その姿を見てゼクトとリザード族の長老がクロに話し掛けてくる。その話を聞いていたゼクトがリザード族の長老がクロに伝えようとしていた事に気づくとリザード族の長老に礼を言い、クロはクロリアに、そのクロリアはサーヤとサーナに状況を伝えに行かせる。そしてクロはリザード族達の方に視線を向けるとそこで魔人を見てリザード族達にクロとリザの事を伝えるように指示を出す。

クロとリザード族達は一旦別れることにした。

クロとリザード族達が魔人の方へ走っていくとクロはリザに駆け寄った。

そしてリザは苦しそうな顔のままクロに問いかける。

「ごめんなさい、私のわがままのせいで迷惑かけてしまって、本当はこの技を使いたくなかったのですがもうそれどころではなくなってしまったようです。クロさんとゼクトさんは私が命に代えてもこの世界を救えると信じて私に託してくれましたが私のこの力でもあの化け物を倒せるかどうか怪しいものです。でも私が出来る最後の事はこの世界の均衡を保つための力になってくれるはずのあの魔導書をどうにかする事しかできないんです」

「えっ、ちょっと待ってください、魔導書の制御をしているのはリザさんの体ではないのですか?」

クロが慌ててリザに質問するとクロの頭の中に浮かんだ映像は魔人が魔導書を操っていたのではなく魔人の中にあるリザードンの魔結晶が魔人を操作していたという事実を知ってしまったクロだった。

「あの魔物の正体は、多分私の妹だと思います。おそらくは、この世界に転生してしまったのでしょう。この魔人はその妹の生まれ変わりのような存在だと私は思っています。魔導書は魔人を妹を守るために使っていたものだと思います。この世界のバランスを保つために私の意思に関係なくこの魔導書は作動しています。私自身もこの魔導書に意思があることを知らずに使っていました。その魔人にも記憶があるのかないのかは分かりませんがこの子もまた世界を救おうとしていたのだと思います。でもこの子は私の願いを聞いてこの世界で生きることを選んでくれたのでしょう。それがこの世界の均衡のためかは正直分からないんですが。でもこの子の想いを無碍にはできなくて、私はそのお願いを受け入れてしまったんですよ」

「リザ、貴女がその娘の母親って事?」

「そういうことです。私はこの子を自分の子供のように思っていたからその娘の為になるならと思って引き受けたんですけど。結局私自身が世界を滅ぼす存在になってしまったんですよね。本当に馬鹿なことをしたと思います。この世界を救うはずなのにこの世界を壊してしまう存在になっちゃいました。この子が私のためにやろうとしてくれた事は私にとっては嬉しい事でしたがそれは私にとって辛い道を歩む事になるとこの子も気付いていたんでしょうね。それでこの子の体は壊れる寸前にこの世界の崩壊を防ぐ為にこの子の中で眠りについた。そうしなければ私の存在がこの世界のバランスを崩してしまうことになるから」

「リザさんはその娘に会えたんですよね?」

「はい、でもそのせいで今の世界はバランスを失いかけているのでこのままでは崩壊は止められないかもしれません」

クロは頭を抱え込むようにして悩むのであった。そしてクロが悩んでいると後ろから声を掛けられる。そこにはリリア達がいて、どうやら皆に事情を説明して来てくれたらしい。サーヤはリザに近寄り話しかけてきた。

「その娘を殺せばいいんじゃなあい」

サーヤの言葉にその場にいた全員が固まってしまい、そしてサーヤが言った事がとんでもないことだと理解しているのでサーヤに文句を言うがサーヤは本心を言っていたので仕方がなかった。

「でもその娘の力がこの世界を安定させるために働いているのは確かなんだよ」

「じゃあそれを使えなくすればいいの」

サーヤの言葉には誰も反論出来ずにいた。サーヤの意見を肯定しているわけじゃないのだがその方法が分からずサーヤ以外の者達も黙り込んでしまうのだった。

そんな時クロがサーヤに向かって言い放つ。

「そんな方法があったらとっくにやってるよ。そんなの思いつくわけないでしょ。僕は今まで生きてきてこの世界を救ったことがある人に会ったことがないよ。そんな方法があるなんて信じられないし聞いたこともないよ。だからといってその方法を試してみたところで成功するとは思えないしそんなリスクを負うつもりはないよ。それよりも他に方法があるはずだよ」

そんな時クロリアがみんなの前に現れると真剣な表情をしてリザに向かってこう告げた。クロリアはリザから話を聞いた時点でこうなることを予測していたようである。リリア達はまだそこまで頭が回ってなかったみたいだが、今は魔人の行動を抑えることが優先だと考えたのですぐに魔人の元に向かうことにしてクロリアとクロとサーヤ達と一緒に行動する。しかし魔人の元へ向かおうとした時突然魔人が苦しみ出したのだ。その光景を目にしていた他の魔人達もその魔人を見ていたので一体なにが起きたのかわからないという様子であったのだ。そして魔人の様子が少し落ち着いてきたと思ったら今度は魔人の周りに光の球体が現れ始め、それがだんだん魔人の周りを囲むように回転し始めるのである。

その現象を見てサーヤ達とリザード族の長老はすぐに危険を感じて魔人から少し距離を取るとそこで動きを止めるのである。そしてリザード族の長老はすぐにその場を離れようと声を出そうとするが遅かったようでリザード族の長老は光に巻き込まれていくのだった。

その時にリナはリザード族の長老が消えた場所に小さなリザード族の子供が立っていたのを目撃していた。そしてリザード族の長老はその子供を抱きしめるように消えて行ったのだった。リリアはリザード族の長老がいなくなった場所にリザード族の姿がない事に気づいたがリリアはリザード族の子供達も一緒にリザード族が転移させられたのだと思いリザード族の子供達も助けようとした時に、そのリザード族の子供の身体は崩れ去りそこからリザード族が姿を見せる。

そしてその光景を見たリナは慌ててリザード族の子供達の元に走り出すが、そこにいたリザード族の女の子達はなぜか傷ついてはいなかった。そしてその子達の様子を見ていたリナはあることに気づく。そのリザード族の女の子達を見ているとリナは自分の胸の中に暖かいものが入ってくるような感覚に襲われる。そのリナはなぜ自分がそんな事を思っているのかという事を考えると一つの答えが出たのだ。リリアはリザード族の子供とリザード族の間に何が起きているかを察知していた。その事実に驚いたがそれでもリリアは自分を信じて前に進もうと心に決めるのだった。リザード族は自分達を守るためにその力を使おうとしているのだろうと思い。リザがリザード族を助けようとしている事もわかったのだ。そしてその気持ちだけは受け取っておこうと思ったのである。

クロリアもリザード族達の行動を理解していたがクロもサーヤもこの事態について何もできなかった。なぜならサーヤが何かできると考えていたのだが、結局何も思いつかずにいたからだ。リザード族の子供を助けたくても手が出せず見守るだけになってしまうのであった。そんな中リリアだけがその状況を打開しようと考えたようだがそれも上手くいかなくてリリアは悩んでいた。するとリリアがクロリアのところに来るとリリアがクロリアに話し掛ける。

「ねえ、このリザード族の女の子達の力はリザに預けたらどうにかならない?」

「えっ、それってどういう事ですか?」

クロリアはリザード族の子供を見てリザード族の少女達の力に気づきリザに相談しようとする。そしてリザード族の少女達に近づいていったクロがリザの方を見るとその少女達に異変が起き始めていたのだ。その変化にクロは驚いてリザの元に急いで向かいリザード族達の変化に驚く。そしてリザの方にクロは近寄っていき話しかけようとするがクロの耳にはリザの声は聞こえなかった。

その状況にクロとサーナ以外は混乱しはじめていた。そしてリザが急に苦しみだしその姿を見てリリアがリザに声をかけるがリザには全く反応はなくリザは苦しみながら何かを言っているようだったがそれは誰にも理解できずにいるのだった。クロとサーナはその姿を見てリザが何かをしようとしているのをわかっていたがどうすることもできないのが悔しかったのだ。

その時に魔人が苦しみ出し魔人を包み込んでいる光が激しく輝き始めて魔人と周りの地面が大きく盛り上がり巨大な土の柱が出現する。クロリアはその二つの柱の魔力の質が違うことに気づいておりリザと魔人はこの世界を救う為に動いているのだということがわかったのだった。リザが何を考えているかまではわからなかったが魔人はリザが何かをしようとしていてその魔人がこの世界を守ろうと動いているのがわかる。そして魔人の中からリザの力が漏れ出しているのを感じたクロはリザはリザの魔結晶を使ってこの世界を守ろうとしたのかもしれないと思うのだった。魔人の中でリザは必死になって魔結晶の制御をしていたのではないかと。そのおかげで世界のバランスが崩れることを防いだが魔人は魔結晶を制御しきれなかったので暴走したのではないかと思っていた。その考えが正しかったのかどうかクロには判断ができないがリザにその意思が残っているなら魔結晶を制御するのがこの世界で生きているものを守るのが使命なんじゃないかと勝手に思っていたのだ。クロとしてはその役割は自分にこそあるんだがという思いもあったのでこの世界の人間ではないからという理由でその役目を譲られた事がちょっと悔しく思う。だからと言ってこの世界に愛着がないわけではなくこの世界で生きる人たちの為にできることならやりたいとは思っていた。

その魔導書はリザードンの生まれ変わりで魔導書の中のリザードンの意思によって動かされている事が分かったがリザードマンと融合した魔導書は自我を持っているのかわからない。もしかしたらリザのように記憶も引き継いでいるのかもしれなないと考えたがその可能性は極めて低いと思われた。なぜならその記憶がリザード族の子供にあったとしてもそれはただの過去に過ぎないからであり未来を左右するような情報は持っていないだろう。だからそのリザの妹にリザード族の力が受け継がれていたとしてもそれを行使することはできないだろうと思ったのである。そのリザード族の少女に力が引き継がれているとは限らないのでリザが妹を助けるためにその力を行使しようとしていたのであれば助からない可能性が高いとも思ったのである。それにそのリザの妹は死んだのだろうとクロは考えていた。

クロはクロリアにその魔結晶をリザに渡す方法はないのか聞くとクロリアがその方法を思いついてくれた。その方法を聞いてクロは納得する。

クロリアは魔人に取り込まれている魔人を解放して魔人からその魔結晶を取り出してそれをクロに持たせてほしいと頼んできてくれるのである。クロはそれが一番確実な方法だと思ってすぐに了承するが、魔人に近づけなければどうしようもないということだったのでリザード族の子供達が心配だがとりあえず今は様子をみることにする。それからしばらく時間が経過すると今度は魔人の方にも変化が起こり始める。今まで暴れ続けていた魔人が動きを止めて魔人が動かなくなったのでクロ達が安心しかけた時、今度はその地面に現れてあった大きな土の槍が爆発したかと思ったら魔人の中に光の球のようなものが出現し始めたのである。そしてそこから小さな光のような者が次々と出現して空中を漂い出したのだ。それらはリザード族の子供の中に入り込んでいくのを確認できたのでリザード族と融合していた魔結晶の一部が分離したのだと思ったのだ。そうでなければ説明できなかったからである。しかし分離したのはその一部だけなのでリザード族の力を使い切ればまた融合してしまう可能性も否定はできなかったがその時はそのリザード族の少女の命は失われていただろうと思われる。

そんなことを考えているクロの前にリザード族の少女が現れて、そしてその女の子はクロに抱きつくとクロにキスをしてくる。その行動にクロはかなり驚いたのだがそのリザード族の女の子から自分の体内に何か温かいものが入って来る感覚に襲われる。その感覚はすぐに収まったがその女の子からクロの体内に流れ込んできたものはクロには馴染みのあるものだったのですぐに気づくことができたのである。そのリザード族の女の子は魔人の力を完全に使いこなしたようで、リザと同じようにこの世界のために命を捧げる決意をしたことをクロに教えてくれる。その女の子の思いにクロは感動したがクロはこの子も助けたいと考えていたのでその女の子に魔結晶を預けて欲しいと頼むと女の子はそれをクロに手渡してくれた。そしてその魔晶をリザード族の子供達の中に入れてもらうことにしたのだ。

魔人の中に残っていた魔人の力の一部を吸収して魔人の力を手に入れた魔人の子供は意識を取り戻したようである。しかしその子供もかなりダメージを受けていてまともに動けるような状態ではなかったのだ。魔人になったばかりの魔人の子供の身体は弱っていてリザード族の子供の力でなんとかその子供の力を解放させることに成功した。そしてその子供が魔結晶をクロに渡したいと言ってきてクロは受けとることを決めたのだった。

魔人はリザの力を取り込むことに失敗するとその力は分散してしまい元のリザード族に戻ってしまうようだ。そしてリザの力は完全に消えてなくなっていた。そしてクロ達はその魔人を消滅させることにして戦いを始めるのだがそこでもクロは苦戦することになった。その戦闘ではリザの使っていたリザード族とリザード族の力がクロの想像以上に大きくそして強力だったためクロがいくらその力をコントロールできるように頑張っても全く歯が立たなかったのだ。

クロがそんな状態でどうしたらいいのかと悩んでいるときにクロは突然何者かに話しかけられてびっくりすると目の前に見たことがないような不思議な空間に自分が立っていることに気がついたのだ。そしてそこにある人物がいた。それはリザだったのだ。そしてそこにはもう一人の人物がいる事に気がつくとクロは自分の前にいる人物がリリスであることを理解し驚くことになる。なんとそこには二人のリリスが立っていたのである。それはあり得ないことのように思えたのだが、実際に現実に起きていることであるし、それを証明するかのように二人の姿は全く違うのにもかかわらずなぜか似ている感じを受けた。そのリザと同じような見た目の二人からはなぜか同じものを感じ取れたのである。

クロはその二人が何者なのかを聞こうとしたのだがクロが質問する前に二人のうちの一人の女性が自分の事を説明してくれたため話が早く済んだ。その女性がいう話の内容によるとこの女性はリリアの母で、名前はアリアと言うらしい。もう一人リリアに似た女性の名前はアリシアというらしいのだがその二人は姉妹でリザと血の繋がった姉たちだという事だった。そして二人はリザの魂の姉妹だったらしくてこの世界でも同じように存在できるようだ。ただしこの世界に来たときの記憶はないと言っていたのでこの世界で生まれた人だということだと思われたがそれが本当の事かどうかはわからなかったのだ。ただリザと双子のような姿をしているところを考えるとそれを信じざるを得なかった。

それからアリアとアリシアは自分こそがクロの師匠に相応しいと宣言をしてお互い譲らない姿勢を崩さなかったがそこにリザが現れてからその問題は解消することになる。そのリザが現れたのを見たクロは驚いてリザに近寄ろうとするとクロとリザは一瞬で距離を縮めてしまいお互いに抱きつき合う形になっていた。リザはクロと出会ってすぐに抱きしめたくなっていたのだがクロに近寄ることはできなかったのだ。なぜならこの世界ではまだクロは生まれていないはずであり、クロがこの世界に存在する事はおかしいとわかっていたからだ。だからリザがこの世界でクロと会ってもし何か不都合なことがあるのだと困ってしまう事になるのが嫌でこの世界のクロには極力会いに行かないでおくつもりだったのだ。

クロは今の状況がどういう状況かわからなかったのだがリザは嬉しそうな表情をしていて幸せそうだなと思いながらクロもその幸せな気持ちに包まれているのだった。クロとリザは久しぶりに出会ったせいかしばらくの間離れようとしなかったがようやく落ち着いたクロはアリアとアリシアの事をリザに紹介すると二人もリザの姿を見て喜んでいた。それから三人の話は盛り上がると今度はこの世界について話をすることになっていきその話題になるとリザも知らない世界の歴史を聞かされることになった。

リザード族がこの世界に来る前は別の世界にリザード族の生き残りがいたという話を聞いたクロとリザはとても信じられずにいた。しかしそんなクロにリザの母親がクロに真実を教えてくれた。

その世界には魔法がなくてその代わりに魔導師がいて、その魔導師の力はとてつもなく強大で魔人など比較にならないほどの力を持っていたのだという。その力を手に入れようとするものたちが現れ魔人と戦おうとしている時にその世界からやってきたのがリザード族のようだった。リザード族はこの世界に魔人がいることを聞いてそれを討伐するためにやってきてその魔導師の力を受け継いでいるリザード族の子供たちは力を使ってその世界を支配しようとした邪悪な魔導師の魂を破壊してこの世界にやってきているらしい。リザード族の子供は皆その力を受け継いだリザードマンの子孫で、リザードマンの寿命が長いのはそういった理由があったようだ。

そのリザード族と魔導士は敵対関係だったが実はその魔道の使い手である魔導王の娘が魔導王に殺された後に魔導王の娘である魔導女がリザード族の男性を夫に選んだことからリザード族との間に愛が芽生え、その愛の結晶がリザード族の女性の中に生まれるようになりその子孫がリザード族の女性の中に現れるようになるのである。そうして魔族とリザード族の力関係は逆転して魔人が魔族に駆逐されて魔族が人間たちに追い詰められていくようになったのである。そのリザード族の力を受け継ぎさらにその力を進化させ魔結晶まで取り込んでその力を完全に制御できているのは、リザの妹と妹が命と引き換えにそのリザード族の力を継承してくれたおかげだったのだ。リザの妹と妹のおかげでリザード族の力は進化し続けリザの妹と妹が死んだ後も魔結晶の力が残っていて魔人に取り込まれたその力が再び解放されるまではリザード族の子供達の体を借りて存在していたようだ。だがそれでもリザード族の力とリザード族の力の融合で進化したその力はとてつもないものでありクロでもその力を扱うのは難しいだろうと思ったのである。

クロが魔人に苦戦を強いられていたところにリザが現れてから、その戦況は一気にリザード族の方に流れが変わり魔人はその圧倒的なリザード族の数の力に押し切られるように徐々に傷ついて最後には倒されてしまうのである。そしてその魔人が完全に消滅したことで魔人の体内にあった魔結晶の力を魔人の力と共に手に入れたリザード族の子供とリザは魔人の力を手に入れることに成功する。そうすることでリザード族の力はより強力なものとなり魔結晶の力を使いこなすことができるようになっていったのだ。しかしそうなったとしてもクロの想像を絶するぐらいの力を持った魔人になったのだろう。それなのにリザはその魔人から自分の妹の魂を解放してあげることができている事に感動してクロはリザに感謝してリザを抱き寄せてキスをするのであった。リザード族の中でも一番強い力を持っているであろうクロとリザが協力したのならばこの先もどんな困難にも立ち向かっていけるかもしれないとクロは考える。

魔人との戦いの後、リザはリザと魔人の戦いでリザが死にかける場面がありその時にリザの双子の姉のリリアが現れてリザを助けた事でリザとリリアの関係も変化する事になったのである。

クロは魔人を無事に倒したのだがクロは魔人を消滅させるのではなく自分の力で封印することにしたのだ。魔人をクロの作り出した亜空間に封じ込めることにしたのだ。その魔人を閉じ込める魔人は魔人の中の一番最初に作られた最初の核だったようで今まで魔人の身体の中に閉じ込められて力を抑え込まれていたが、今回の件を通してその魔人を完全に消し去れば魔人の中の他の魔人も全て消え去るのではないかと考えたのである。そしてこの魔人の存在は魔人の身体の中からも消すことができたためこれでもう安心だと考えていたのだ。

リザード族の村に戻って来たクロはリザがクロのことをずっと心配していたことを知りとても嬉しい思いでいっぱいになり心が熱くなるのを感じる。そしてリザの優しさに触れたクロは我慢できなくなりそのリザの胸に飛び込むように抱きつくとリザは優しく抱きしめ返してくれる。そしてしばらくその状態が続いていたのだがそのクロの行動をみたアリシアが羨ましがり自分もクロの事をクロの師匠にしてもらおうと思ってクロの所に駆け寄って来る。そしてクロとリザとアリシアが仲良くしているところを見ていたリリアが突然泣き出し始めてしまう。

そしてクロはそんな状況を見てどうすればいいのかわからない。そんな状況を見たリザはリリにクロの事を託してからクロとアリシアを二人きりにする。そして残されたクロとリリの間に会話が生まれることになる。

クロとリリが二人っきりになる時間ができてクロは少しの間だけリリと話し合う事にした。まず初めに気になったのは魔人が消えた事と魔人がこの世界に現れる前にこの世界で暮らしていた人たちの存在についてだった。それを聞くとリナは何か言い難そうな雰囲気をしていたのだがその話の内容は驚くべき内容でしかなかったのである。それはクロが想像していなかったものだった。まさかクロ達が来る前の世界では魔人が既にこの世界にやってきていただなんて夢に思うだろうか。それにその前の世界の人達はクロ達の知っている人たちの祖先という事も聞いてクロはその衝撃の内容に驚きを隠せなかった。さらに驚くことは魔人の中に魔人と共存している人々がいるということでありその人々の生活ぶりを聞いても驚いたのだ。魔人の体内にいる間は外に出られないが、外に出て普通の生活をすることができるのは、魔人の中にいると外の状況を知ることはできないし、魔人と魔獣以外の生物と話すこともできないためでそういう制約をつけられてしまったという。そしてこの世界でクロたちが生活しているときにクロの魔力を感じてその魔人は外に出ることができなくなってしまいその魔人は魔人の中で暴れだしてしまったという。クロが魔人の中に入り込んだことによって魔人の行動が制限されてしまったためだ。

その事を聞いたクロは自分のやったことがとんでもない事態を引き起こすのではないかと考えてしまうのだった。しかしリリの話ではクロがいなくても結局は魔人はこの世界に姿を現してしまっていたのでそれほど状況は変わらなかっただろうと話してくれたおかげで少しは救われた気分になれたがクロはやはり申し訳ない気持ちになって落ち込んでいた。

しかしリリアの師匠であるリザの母はクロに魔人がクロによって消滅したことによりクロをクロ様と呼びクロに忠誠を誓うことにしたという。そうするとクロとリザは師弟関係ではなく主従の関係で結ばれることになったのだが、その事を知ったクロは魔人と戦った時に自分が魔人に対して言った言葉を思い出し、クロに弟子ができたということになると魔人と戦うためにクロが一人でこの世界にやってくる必要はなくなるので、クロが魔人を倒さなくともいずれはクロはこの世界に魔人を倒すことのできる存在がこの世界に現れると予言をしたのだ。リリはその話を聞いた後にそのクロが魔人を倒している姿を想像してみるとなんだか凄いことが起こってしまう気がしたのでリリが慌ててその話をなかったことにしようとクロを止めようとしたのだった。

その話は一旦置いといて次にクロとリザとアリシアがリザード族に別れを告げた後の話をすることになった。魔人と戦ってから数日は平和に過ごしていたクロとリザだったがその後アリシアとクロが出会ってからはリリに鍛えられてクロとリリも共に修行の旅に出る事になるのだった。

それからはリザの案内でクロ達は色々な国を巡りクロが元の世界に帰る方法を探して回ったのである。クロとリリの師弟関係が解消されてからのリリとアリシの師匠であるリザの母親は寂しく感じたのと同時にリザとクロとの関係が変わったのを見てその二人の絆の強さを目の当たりにしてリリもいつかこの二人のような関係をクロと結べるようになりたいと強く願っていた。

そうしてクロ達が旅に出てしばらくしてから、クロとリザの関係に変化が起きたのである。その関係とはリリがクロのことを愛しているという想いを打ち明けたことから始まった。

クロとリリの関係はリザに預けていた時とは違いお互いの愛を確認するような関係になっていたのだ。その関係はリザとリリが魔人の中にいる時のクロとリザとリリの師匠と弟子の関係にある三人よりも更に強い関係であった。リザもクロとリリがお互いに好き合っているのはわかっていたがクロがリリの本当の父親だということも知っていながらリリと恋人同士の関係に発展するのはまだ早いと考えていたが、それでもクロの事は好きだと言ってくれたリリにクロも心動かされてその日からリリとクロの恋愛関係は始まっていったのである。リリとリザの師匠のリザの母親の目の前で行われたクロとリリの恋人としての交際関係は、リザとリザの母親にも認めてもらえることになりリリはリザとリリとリザの師匠の三人でクロの婚約者となるのであった。

そしてクロとリザは魔人の件が一段落したら一緒にリザード族の村に戻ることに決めていたのである。だがリザード族の村に帰ってきた時にはリリの様子がおかしかったのである。その理由はクロとリリの関係に亀裂が入ることになるのだった。

クロとリリとアリシアはリザが魔人を倒してから数日が経った頃にリザード族の村の村に戻った。その日も村の中はとても活気に満ち溢れていてみんなが幸せそうに暮らしてたのを確認できたのである。クロとリリとアリシアがリザの元に集まるとクロはリザに魔人が消滅した後の事を尋ねたのであった。

魔人は消滅し魔結晶の力を手に入れることができたクロであったがリザはリザード族に伝わる魔人についての情報をリザとクロに伝えたのだった。

リザの話によるとリザの姉リリアの魂は無事に魔人の中から解放することができて魔人に利用されていた人々の魂も魔人を倒したクロの魔力の影響により解放されたという。

「魔人は倒されたのじゃな。これでやっとこの世界の人達に平穏が訪れてくれたの。本当に良かった」

リリアの肉体を乗っ取っていた魔人は魔人が消滅する時に魔人の力を手に入れたクロは魔人を完全に消滅させなかった為に魔人に利用された人々の魂も解放することができたのであった。クロが魔人の体内に入っていなかったら魂を救えなかったのは間違いないだろう。

「これでこの世界に安息の時が訪れるといいの。クロはお主らの事をリリに託すことに決めたの。わしがリザの師匠を引き受ければよかったのじゃがのぅ。これからもよろしく頼むぞ。それと魔人はもう二度とこの世界に現れないとも言い切れないのじゃが、それは心配する必要はないのじゃ。リリア姉さまの願いをこのわしが叶えるために魔人の力は使い切っておいたので安心してほしいのじゃ。クロよ。そろそろリリと一緒に村を出てはどうだ。クロの事が心配なのであればこのわしがこの世界のことを教えることもできるからの。まぁこの世界のことなど教えても理解できないだろうがのう。とりあえずはゆっくりしていくがよいのじゃ。またクロに会うことができたので嬉しいのぉ」

リザはそう言うとリリの方に振り向いて優しく抱きしめた。その様子はまるで母と娘のようでとても仲が良い親子のようにも見えた。クロも同じようにリザに近づいて抱きしめるとクロとリリは二人で一緒にリザの元を去っていったのであった。

そしてリリとクロの二人はリザが住んでいる洞窟にたどり着くとそこにいる人達に挨拶をしてまわったのである。そこでクロとリリは改めてクロがリリの師匠になった事を知らせたのだった。クロはリザの弟子になるのが嫌だというわけではなかったがリザに申し訳ない気持ちがあったのでこの提案を受け入れることにしたのである。

クロはリリがリザの義理の娘である事と自分がこの世界での義理の息子である事を説明した。

クロとリリとリザはそれから数日の間は魔人のことでの疲れを癒やすために村で休養を取る事にしたのだった。その数日の間は特に何も起こることはなく平和に過ごしたのである。クロがリリに告白されてその日の夜から二人は一緒に生活していたのであった。そして魔人が消えてから数カ月が経過してからようやくリリがクロとの将来を真剣に考えるようになっていたので、その答えを聞くためにクロはリリを連れて自分の実家がある日本に戻って行くのであった。

リリスがクロの実家のある世界に戻ることを決めた時、リゼ達や桜の母は寂しいと感じていたがその決断には反対はしなかった。その選択がリリにとって最善の選択だとみんなが思ったからである。

そしてリリスはクロの家に着いて家の中に入るとその瞬間にこの家に住んでいた人々の気配を感じることが出来たのでその懐かしい雰囲気に浸っていた。リリスがしばらくするとリビングの方に向かって歩いて行ったのでリリスの後を追うとそこには一人の男性が立っていた。

「リザ!どうしてリザがこの世界に来たんだ!」

男性はいきなり大声を上げて驚いていたのである。その男性の容姿は金髪碧眼のイケメンの男性で歳は三十代前半と言った感じだろうか顔立ちはかなり整っている方である。

そんな男の顔を見て驚いたような表情を浮かべていたリリスが男性の名前を呼んでいた。そのことからリザの父親だということがすぐにわかった。

「あなたは私を覚えていないかもしれないけれど、私は覚えているわ。あの頃の記憶も全てね。あなたの名前はレイ。レイス公爵家の現当主。そしてリリのお父様であり、私の夫でもあるの。リリ、この方があなたに剣を指南してくれる人だからよく話を聞いて剣術を学ぶようにしなさい。この方は私が知る中で最高の剣士なのだから。それとお義父さんと呼んでいいのかしら?」

リリスがそういうとレイスは少し照れながらリリに笑いかけていた。その様子を見てみるとリザのお父さんは娘が可愛いと思っていても恥ずかしいと思うタイプなのであろうと思った。それにしてもあの冷静沈着そうな女性であるリリのお母さんもあんな風に笑ったりもするのだと思いその光景を目にして少し嬉しく思っていた。

リリは突然現れたリザの師匠である人物と実の両親に会えてすごく喜んでいてリリスと抱き合って喜びを分かち合っていた。リリも家族に会いたかったはずなのに今まで我慢していてくれたのだなと俺はその時初めて気が付いたのである。俺も親父とお袋と妹と離れていても連絡を取ることは可能だけど、実際に会いに行くことはできなかったからリリの辛さがわかってあげれなかったことを今になって後悔をしていた。そして俺はリリのことを本当の母親としてではなく、師匠と弟子と言う関係だけじゃなく本当の意味で守ろうと思っている自分に気が付いて、俺はリザとクロに認められた男になれるようもっと強くなっていこうと思い決意を新たにしていた。

そういえばまだリリが言っていなかったがこの人の名前は『レイ』と言い名前の通りリリスの旦那さんということだ。年齢は三十五歳でリリの父親と母親とは五つ年上の二十三歳の時に結婚しているらしい。この国の貴族の間では成人するまで結婚しないという決まりがあってそれが一般的なのだがレイの母親は早くに亡くなったため若くして結婚したみたいだ。そして子供が生まれるまで跡継ぎがいなくなる可能性がある為政者の跡取りである長男だけは許されていた。なので貴族の家では跡取りである長男が必ず生まれなければならない。だがリリは女であるため当然跡取りはいない。その事でこの家に養子として入ったのがリリである。そのリリの父親はレイス公とリリスの父の妹である『ミリアナ=レイ』という名前の人が、その妻だったリザの母親である人と結婚する前のリリスの育ての親だった人だ。

リリスはリリと父親の間に割って入っていくと、二人の手を繋がせてお互いを紹介した。それからリリと父親である人はお互い自己紹介を済ませるとリリは自分の父親である人の前で膝を立てて礼をした。それを見るとやっぱり貴族なんだなと思っていた。そういえばクロのお母さんのリゼさんは確か伯爵令嬢だったはずだけどあまり気にしていなかったからすっかり忘れていた。

「リザとクロの母のリゼはわしの娘だが、お主らはわしの事を知っているんじゃったよの。一応自己紹介をしておこう。わしはリザード族の族長を務めているものでリザの父親のリクスじゃ。これからは気軽にリクスと名前で呼ぶがええ。そしてわしの息子クロじゃ」

クロの祖父であるリクスがそう言うとみんなからよろしくお願いしますと言われてリクスは笑顔でみんなに挨拶をし返した。

「よろしく頼むぞ。わしは最近リリスと会うまでは魔人を倒すのに精一杯だったせいでこの世界に何が起きているのかほとんど知らない状況じゃ。魔人を倒し終わった後にこの世界に戻ってきたばかりなのじゃよ。じゃからこの世界の事をクロにいろいろと教えてやって欲しい。それとリリスに久しぶりに会えた事は嬉しいがリリをちゃんと育て上げてくれるかどうか不安はある。この子はまだまだ甘えん坊なところがありそうだからのう。それにお主がクロを鍛えると言っても簡単にはクロを成長させることなんてできぬぞ。クロは特別な才能を持っているわけでもないただの子供なのじゃぞ」

「リリスと会った時からすでに分かっていたことですよ。だからリリに修行をしてもらうためにも僕が強くならなければいけないんですよ。これからは僕とリリでクロを育てていきますよ。それとこの世界に来る前に僕の事を拾ってくれた人達がいたんですがその人達にもリリのことを任せられたんです。その人の話では僕がリリの面倒を見てくれと言われたんでリリの面倒はしっかりと見ますよ。あと僕の事を心配してくれていたその人のことも心配なんでその人に何かあれば助けに行ってあげたいとも思っているんでリリも安心して欲しいんだ」

クロがリリの方をチラッと見るとその目はまるで母を見つめるような優しげな目をしており、クロはリリに心配かけまいと思って嘘をついてしまっていた。本当はクロにはこの世界で心配をかけてしまっている人たちなどおらず、自分の家族や友達が今もこの世界で元気にしているかわからない状態であるのだ。

クロが家族のことを思い浮かぶとなぜか急に目頭が熱くなってきたので、リリの顔を見ていたがクロは泣いていることを隠すようにうつむいていた。そのクロの様子を見たリリスは優しく頭を撫でながら優しく語りかけたのである。そして泣き止んだ頃にリザが二人に声をかけてきた。

「さぁ今日はこれくらいにしておきましょう。この後はゆっくり休みなさい。私はあなたの寝床を作っておくわね。リリスは私と一緒に食事をしに行きましょう」

そう言うとリナはリビングから出ていき台所に向かって行った。するとリナも一緒について行こうとしたのをレイスが呼び止めてリナは部屋で待機するように言い聞かせた。その時にクロも一緒にリリについて行くように促されて、それからリゼ達が住んでいる家の一室を使わせてもらう事になったのであった。その日はそのまま眠りについた。

次の日の朝起きるとそこには誰もいなかったが布団はきれいにたたまれており朝食の準備も完璧に整っていたので、すぐにテーブルに座ってご飯を食べることになった。

「クロ、食べながらでいいので話を聞いてちょうだい。昨日の続きになるんだけど、私はリリスから話を聞いたから魔人との繋がりや私達が知っている情報を全てあなたに伝えたいと思うの。あなたはこの国のトップに立つ人物になる存在なのだから知っておいて損はないと思うの。まず、魔人が人間の姿に化けている時はあなたとクロの母親とリゼの母親の見た目が似ていることは既にリリスから聞いているでしょう。それは私がこの姿だからという事もあるわ。そしてクロの父親はクロのお姉さんのお腹の中にクロがいる時はまだ生きている状態だからこの世界にいたはず。つまりこの世界と異世界が繋がっているということを知っている人間はこの世界にもいるの。だけどこの世界に転移されてきたクロの本当の父親が誰なのかは私達ですらわからない。リゼがこの世界にいるはずがないと否定しているけれど私は絶対にリゼだと思うの。この話はここまでにするわね。次にこの世界に来れる人間の数と場所の話なんだけど、どうも制限があるみたいなの。それはこの世界に一度でもいいから来たことのある人間がこの場所に来ていないと、この世界に召喚されないのよ。だけどこれはリリスが調べてくれた内容から考えるに、その条件が揃ったとしても来ることができる人間は十年に一度あるかないかの確率のようだから、そこまで気を揉まなくても大丈夫だと私は思うわ。それで話を戻すわね。あなたも感じている通り、この国にはすでに何人かの怪しい動きをする人物が存在しているようなのよ。そしてこの国を支配しようと暗躍している人物が数人存在するようなのだけれど詳しい人数はわからないの。リリスはその者達の存在に気が付いて警戒してすぐにでも対策を立てようとしていたらしいのだけれど間に合わなかったようだったから今からすぐに行動を開始するのは無理かもしれないの。だからクロにお願いするわ。あなたの力で私の大切な家族を守って欲しいのだけれどお願いできるかしら?そしてあなたも私の家族のことは任せるから私の大切なクロの家族のことを頼める?」

リリスが俺とリリに対してそう問いかけてくると二人は力強くうなずいたのだ。そしてその後にリリスが真剣な顔をしたので俺もリリもその顔を見てリリスの言葉を待っていた。

「最後に私の大切な人を守る為に協力してくれる人はここに集まって欲しいの。この部屋に今すぐ来てほしいの。もし来るのが難しい人については手紙を届けてあげるから、この家に直接持ってきてもらえれば私が対応することにするから」

リリスはリザの方を見ながらリリスとクロの父親に呼びかけたのであった。そう言われた二人は立ち上がり外に出ようとしたのだがリゼが家に入って来てそのままリリスの横に腰をかけたのである。

それからクロは家を出る準備を始めてからリゼの家に向かおうとして、クロがリゼの所に向かうのを邪魔をしようとしたのはクロの姉の『アイ』だった。

クロは自分がまだ幼い時に遊んでいた記憶があったからクロは自分よりも一つ下の年齢のはずだと、リゼのことを勝手にクロと同じくらいの歳だと思い込んでいた。しかしよく思い出すとこの前クロが見たリリスの魔法による過去の中ではリーゼがかなり大人びて見えるので実際はリリと同じ年齢のはずだ。そういえばクロの母親はクロにいつもリゼは可愛い妹なんだと言っていたことをふと思い出した。クロはそう言われて育ったのもありリリは小さい頃の妹であるという認識が無意識の内に出来上がっており、今のリリを見てもクロにとっての妹であるという思いは変わっていないのである。なのでクロが今までリリスの言っていた妹の事がやっとわかってほっとしていたのも束の間だった。リゼが急に泣き出してしまい、クロが驚いてオロオロしていると後ろからレイスに呼ばれた。レイスはリゼと同じような服装を身に纏っていてクロも初めてリゼの姿を間近で見て、レイスの格好と全く同じ服だったので驚きのあまり目を見開いて凝視していた。

レイスによるとレイスとリゼは双子でクロの母親が死んでしまいクロが引き取られていった後から双子の姉妹はお互いの事を意識し合っていたそうだ。だがクロがリリスに引き取られた時にはすでに二人はすでにお互いの事を意識しなくなっていたようで、それが原因でリリスとリーザは仲が悪くなっていた。

「あの子の事を思い出していたのですか?」

「はい。どうしても忘れることができなくて。ごめんなさい。少し取り乱しました。」

リリスは涙を拭いてそう言うとみんなに謝っていた。クロもどうしてリリスが涙を流していたのかがわからずに困惑しているとレイスが説明を始めた。

「この世界ではたまに過去の記憶を見ることが出来ることがあるのです。その現象が起きるのはこの世界には何かしらの強い力が働いていますからその力の影響ではないかと私達は考えているんです。それで私達がクロ君のお姉さんのことをクロ君が覚えていてくれたことに喜んでいるので、リリスが涙を流したんですよ。それに、クロ君はもうこの世界に存在しているだけで私達に影響を与えているんですよ。ですけどそんなに悲しまなくても良いですよ。クロ君はこれからもお兄ちゃんなんですから。クロ君は私達の希望の星なんですから。クロ君が成長してくれないと困ってしまう人もたくさんいますから頑張ってくださいね」

レイスは笑顔でそう言いながらクロの頭をなでていたが、リリスも同じようにクロを撫でていてリリスに撫でられるのを嫌がる人はいないだろうと思うほどにクロの顔は緩み切っており幸せそうにしていた。

「リリスがこの世界で生きてくれていたことに本当に安心したよ。私達もいろいろとあったんだけれどこれからよろしくね」

「うん、リリスお姉ちゃまはクロのお姉さんだもん。リリスお姉ちゃまはリゼより強いんでしょ?クロも早く強くなりたいよ。クロはもっとリリスといちゃいちゃしたいんだよね。リリスの事もいっぱいいちゃいちゃするからね」

「ありがとうクロ。嬉しいな。私もクロとリリと一緒にいられて嬉しい。あとクロの事を抱っこするとすごく癒されるのよ。私にもクロを抱かせてくれるかな?」

クロがそう言うとリリスはリリから手を離してリリスと向かい合って両手を広げた。リリスが嬉しそうな顔をしていてクロはリリスの顔を見た後にクロが先にリリスに近づいていきその胸に抱き着くとそのリリスは優しく包み込むようにクロのことを抱きしめて頭をなで始めた。

「クロの事は僕も大切に想っているんだよ。クロが僕の事を一番好きでいてくれていると思うし僕もクロのことが大好きなんだけどリリスがクロといる時の様子を見ているとやっぱり悔しくなってきてしまうんだ。でもクロの事は誰にも渡さないから。クロは僕だけの大切な弟だし絶対に守り通すつもりだから」

リゼが真剣な顔でそう言ってリリスをクロから引き離してリリスの身体を抱きしめるとそのまま自分の腕の中にいるリリスとリゼはお互いにキスをしてそのままリリスが下に下りていく形で二人とも床に倒れ込んでいくが二人はそれでも離れようとせずに何度も唇を重ね合わせている。その様子をクロはリリに抱きしめられた状態でじっくり観察しており、二人をずっと眺めている。

「あー、いいわ。リゼはやっぱり可愛い妹だよ。リゼのことしか考えられなくなってきたわ。でも今日はこれくらいにしておきましょうか。私もこの国に来た目的を果たす為にそろそろ動き出す必要があるみたいだからその話は後でまたゆっくりと話すわね。それとさっき言った通りにあなた達家族を守るために私も頑張ろうと思うからクロは安心して待っていてちょうだい。私に任せていれば何も心配はないわ。私を信じなさい。あなたのお姉さんもあなたが守ってくれる事を願ったはずよ。リリスはリゼと仲良くしてあげてね。この前会った時に私のことを凄く警戒しているようだったけれど私があなたのことを裏切るなんてあり得ないわ。だって私はあなたの姉でもあるのだからね。私はこの世界を良くするために動いているの。今は魔人が表立って活動しているのだけれど、それもいずれは無くなるはずよ。私がやらなければならない仕事も今のうちに片付けておくとしますかね。

クロは今年で十歳になるので今年から王立学園に入学するのが決まっているの。クロは魔力の適性が高いみたいなので魔法の訓練はリゼから受けることになると思うわ。だけど魔法は一朝一夕で習得できるようなものではないのよ。リゼにクロの訓練を頼んであるのだけれどまだしばらくは時間がかかると思うからその間はクロが寂しくならないようにクロが一人前の剣士になる為の指導とリリスの手伝いをしながらクロとリゼの面倒もしっかり見てもらえないかしら?お願いしてもいいかしら? それから、リリスも一緒にリゼの家に来てもらうことになったの。この国はまだまだ危険だから。クロの家族が狙われないとも限らないからクロがリゼと一緒の家に住んでくれるならリリスもクロと一緒の家に住んだ方がいいと思ったから」

「それは構わないわ。この前来た時に私達が住んでいる場所は把握しているので大丈夫。それからリゼも一緒に連れて行けばクロは寂しい思いをすることはないだろうからそうさせてもらおうかな。それではリリスはしばらくの間はリーゼと一緒に行動してもらえますでしょうか」

「えぇ。それじゃあリリスの引っ越しの準備を始めますか。それが終わったころにこの家に来ることにするから。その時は案内してもらう事になるかもしれないけれどよろしくね。リゼは私の妹なのだから、しっかりと守ってもらうことになるからクロとリリスに甘えてばかりいないようにしてよ」

リリスがそういうと、リリスの言葉に反応してリーゼは急に慌て始めて、すぐに否定しようとしたのだが結局はリーゼが押し黙り俯いて落ち込んでいたのである。それからリリスが俺の方を向き、クロのことを再び抱きしめた。クロは先ほどよりもさらに力強くリリスを抱きしめたのだった。リリスはしばらくクロのことを抱きしめてからリゼの方をちらっと見たがすぐに視線を前に戻していた。そしてリリスとリゼがクロのことを抱きしめた後クロは二人の間に挟まれる形で抱きしめられ、その光景をレイスが微笑ましそうに見ていた。

その後しばらくしてからレイス達は王城に向かって行った。レイス達が帰る際にリゼとクロもリリスについて行こうとしたのが、レイスに止められてしまった。クロはなぜ止めるのかがわからないと言った感じの表情をしていたが、レイスの次の言葉でクロは自分の立場をはっきりと理解したのである。

「あなたはここに残ってクロとリリスの護衛をしてくれるとありがたいのだけれどもダメかしら?」

レイスは少し不安そうな顔をしながらリリスにそう言っていたが、リリスはレイスに笑顔を見せて返事をしていた。レイスはそれを確認してからレイスとリリス、そしてクロの三人を見送り、その三人はレイスの姿が見えなくなると、クロはすぐに屋敷を出て行くために走り出しそうになっていたが、リリスはクロに話しかける。

「ねぇ、クロちゃん。少しだけ話を聞いてほしいんだけど。私とリゼは双子なんだ。双子と言ってもクロちゃんの年齢だと分からないかもね。でもクロちゃんとクロちゃんの妹さんの年齢はほぼ同じだと思うから聞いておいて損は無いと思うんだけど、この国の第一王女である『アリア』様には近づかないようにしたほうがいいと思うのよ。もしクロちゃんに悪意があって近づいてくるようだと大変でしょうから。まぁそんなことはあり得ないとわかっているからこうしてクロちゃんには言っているんだけれどね。私達の大事なクロちゃんがそんな人たちの手にかかって命を奪われるわけがないから。

「うん。わかった。気を付ける。それでは、僕はちょっと出かけてくるね」

「はい。いってらっしゃい。あまり危ないことはしないようにね。クロちゃんの身に何かあればリリスもクロも悲しい思いをすることになるんだから。それとリリスはクロと離れ離れになって寂しかったら私で我慢してね。私で我慢してくれた方が私も嬉しいしクロはリリスとリリスの事を幸せにしてね。それとクロちゃん、私をリリスだと思っていつでも抱いて良いんだよ」

リリスはそう言い終わるとクロに抱き着きそのまま二人で倒れこんでしまいその二人に抱き着かれていたクロはその衝撃で後ろにひっくり返ってしまったがクロの顔は満面の笑みでとても嬉しそうにしている。それを上から見ているリリスは苦笑いをしていてクロに抱き着いているリリスは幸せそうな顔をしておりそのまま二人は眠りについた。

リリス達を見送ってから僕も一人で外出する事にした。この国を探索した時に僕が気になった事があったのでそこを確認しにいきたいと思ったから。僕がその場所に向かう時にも誰かに襲われることも無く無事に到着することが出来た。そこは以前クロと二人で冒険をした時に見つけた遺跡のようなものだ。

僕は遺跡の中に足を踏み入れて奥に進むとそこには祭壇のような物がありその中央に剣が突き刺さっているのを確認した。その周りは壁に囲まれており、入り口からは光が入ってきていないが何故かこの場所だけが明るいのだ。その剣は僕の持っている聖剣と似ているのに何故だが惹かれる感覚がする。僕がその祭壇に近づくとその光は徐々に収まり始めたがそれでも剣は輝きを放ち続けている。僕はその剣を抜こうとしたのだが、僕の力ではびくともしなかった。どうしたものかと考えていた時にある言葉が脳裏に浮かんできた。

――我が呼びかけに応えし者よ 僕と会話ができるのかどうかが問題ではあったが、とりあえず話しかけてみるとしよう。

僕がそう思いながら意識を集中していると目の前にいる女性が突然僕の前に現れて僕の方に近づいてきたので驚いていた。その女性の顔を見るとどこかで見覚えのあるような顔で誰に似ているかと言えばクロの顔に似ているような気がするが、クロが大人になればこのような姿になるだろうと言う顔立ちで綺麗な銀色の髪を腰まで伸ばした美しい容姿をしているが服装はとてもラフで動きやすいような格好をしていて、胸が大きい事がわかるように胸元の空いた服を着用していてスカートは短めなのだがそれでも足を覆い尽くすほどの丈はあるように見える。

「久しぶりだな。私はこの世界の女神のラピスというものだ。この世界で君達人間が崇めている女神は私の姉で私の方が年上なのだ。君は確か、リリスの幼馴染であり、リリスの兄でもあったクロだったか。私のことは呼び捨てで構わん。それと、私はクロの考えていることがわかるぞ。だから私にも敬語を使う必要はない。それでお前は今何を考えていた?」

「はい。その、僕は今どうしてあなたが急に現れたのか疑問だったのですが、あなたは女神様だったんですね。それにしてもやっぱり似ていると思いました。クロと。あなたは本当に神ですか?僕は神様を一度も見たことがなくて、クロから話は聞いていたけど、クロは嘘をついているとは思えなかったし」

「そうだ。私は確かに人間からすると信仰の対象となっている女神と同じ名前を持っているから疑ってしまうのも無理はないな。だが安心しろ。私はこの世界の平和と発展を司るために作られた女神で姉のように戦闘に関する才能は持ち合わせてはおらず、私の得意としている事は、人間の能力を向上させるための魔法の扱いと人の潜在能力を目覚めさせる事だ。その二つの力を私は使いこなすことが出来るから私は姉とは違うのだよ。ちなみに私がクロのことをクロと呼ぶようになったのは私が勝手にクロの事を気にいったからで特に理由はない。それからクロよ。君の質問に答えると、私はクロのことをずっと監視していたから君に何かあってから現れることができたのだ。それと私が現れたのには他にも理由がある。

まず、この国の王女の事だ。あの子はこの国が魔族に支配されそうになった際に自分の命と引き換えにしてこの国の民を救おうとしたが、魔族の王の力が強くて私も助けることが出来なかったのだがこの前の戦いでようやく封印することに成功したのだ。この前の戦いはクロとクロの双子の妹リリスも活躍してくれたと聞いているからこの場で改めて礼を言っておこう。この世界を、私たち姉妹を守ってくれてありがとう」

「えっ!えっと。はい。僕はリリスを助けたいと思っていたので、少しでも役に立てたのならよかったです。それとリリスが魔族の王に捕まった時にクロの力が暴走してクロの魂が僕の中に取り込まれてしまい、クロの記憶が流れ込んで来たので、リリスを助けることが出来ました」

「そうだったのか。クロには感謝しているんだ。あいつは私に何も相談せず一人で抱え込むところがあっていつも私に迷惑をかけたくないとか、私が幸せに過ごしてくれるのが一番の望みだとか言っていたからな。今回の事に関しても私に負担を掛けないようにしていたんだろう。でもね。クロよ。そんな気遣いは無用の長物なのよ。私にとってはクロもクロの妹であるリリスも大切な子供のような存在なのだ。

クロ、お前はまだ知らないかもしれないから教えておくがクロの中にはもう一人別の人物がいるはずだがそいつはリリスの母親に取り付いた悪魔が取り付いて生まれたもので元々はそのリリスが持っていた悪魔の力を取り込んでいたはずなのに今はクロの中にいる奴の力で消滅させられたようだが恐らくそれはリゼの中に封じられたはずの邪神だと思うのだがどうだろうか?」

「僕は今まで自分の中にあるもう一つの人格があることにはなんとなく気づいていたんだけど、もう一人の自分が何をやらかしてしまったのかまではわからないのです。でもそれが悪いものだとわかっていてクロも僕の事を邪魔だと思っているみたいなんだけど。もしかしたら僕のことを消したいのかなって」

「そう言うことか。それならば、一度話し合う必要がありそうだからこれから会いに行くか」

「うん。クロはどこに居るんだろう?」

僕はそう思いながらもラピスさんの後についていく。

僕が連れられて行ったのはクロが眠っている遺跡の奥の方にある祭壇のような所でそこで眠っていたがクロはなぜか僕が近くに行くと目を覚まして体を起こしたのだった。

「あれ、母様?もう、迎えに来てくれたのですね。でもここはどこですか?」

クロは僕の存在に気づくとすぐに笑顔になりそう言った。クロはそう言っているがラピスさんは何も言わずに僕を見てクロに僕を紹介した。クロはその紹介が終わると僕の方をジッと見つめていたが、何か違和感を覚えているようだったが、それも少しの間のことで何かを思い出したようで納得したような表情をした後に口を開いた。

「ねぇねぇ、クロ、聞いてもいいかな。僕はクロと前にも何処かであったことがあるよね。そして多分だけど僕は君と友達になったと思うんだけど。クロと初めて会った時に僕は何故かそんな気がしていたんだけど、気のせいじゃなかったのかい」

「えーと、僕はクロであってクロじゃないからわからないんだけれど。僕の記憶がはっきりしていないから断定はできないけれど僕はクロで合っているよ。ただね、僕にはもう一つ記憶が残っているんだ。僕の記憶がはっきりとしたのは今が初めてなんだ。それと僕はクロでもあるんだよ。クロが僕の中で眠っている時は僕は僕の中のリリスって子と一緒に暮らしていたんだよ。その時はリリスは女の子の姿になっていて、その体は僕のものだったんだけど」

僕がそこまで言い終わった時僕の目の前にいたクロが一瞬で消えたと思ったら僕の後ろに現れて僕の事を抱きしめてきた。

僕に抱き着いて来たクロが僕の事を後ろから抱きしめて僕と密着する。クロは僕に顔を近づけてきて僕が動けないように力を入れて固定する。その行動があまりにも唐突過ぎて僕は何もできなかったのだがそれでもどうにかしようと思って動こうとするのだが僕よりもクロの方が力が強いようでびくともしない。それでもクロの腕をほどいて自由の身になるために必死に抵抗すると、やっとのこと拘束から抜け出すことに成功をして離れてくれた。それから逃げようとすると再び僕を捕まえてくるのだが何度やっても結果は同じなのだけど。それを何度も繰り返す事になっていたのだが、結局諦めて抵抗することをやめると満足したような顔をしながら腕の中にいるクロを見下ろしてみるとすごく気持ちよさそうな表情をしている。

(あぁ~やっぱりクロだわ。こうしてまた触れることが出来たのが本当に嬉しい)

僕は心の中でクロとの触れ合いを感じると同時に僕はどうしてこうなったのだろうと考えているのだった。

クロが僕の方を見ているのでとりあえず自己紹介することにした。クロとは顔見知りだし僕の名前を告げてから改めて僕の方から質問をすることにしてクロに色々と聞いてみる事にする。

僕が話を聞き終わる頃にはラピスさんが何かを考えていてクロに僕の話についてどう思うか意見を聞いているのが聞こえていた。

クロの話を聞いた後で僕に対して真剣な顔をしながら問いかける。その内容はクロは僕の事が好きだと言う事なのでそれに対して僕の答えを聞くために待っているのだが僕はその答えは自分で決めないといけないと思い考えることにした。

しばらく考えてから自分の出した結論を告げると僕はクロを連れてリリアの元へ向かおうとする。するとラピスさんは待ってくれと慌てていたがクロの事を引き留めるように手を掴む。するとクロは何が起こったのか分からず困惑している様子だがラピスさんの事を母親と認識しているらしく母親の言葉には素直に従うようである。そんな様子を見たあとで僕はこの場から急いで立ち去るのだった。それから、僕達は王都に向かって歩き始めるのだった。ちなみに移動に関しては空を飛んで移動するつもりだったのだがクロの魔法を使って移動するのが良いらしいということになった。

それから王城へと辿り着くと門番をしていた人にリシアを呼んでほしいと言ってからしばらく待つとリリスと共にこちらへ向かってくるリティアが見えたので手を振った。その後で事情を説明しリシアにはリリスとリリスの中に入っている女性の記憶を取り戻すための手伝いをするということを説明するのだった。説明が終わったので今度はこの王城に保管されている書庫に向かう事になったのである。

王城の地下に保管されている資料室に着くまでの間でリリスとリリスのお母さんについてクロとラリスは二人で話をしているが二人の仲はとても良いようだが二人にどのような繋がりがあるのかが謎である為聞いてみる事にした。

「ねぇ、どうして二人は一緒にいる事が多いんだい?それに二人の間にどんな関係があったのかが僕はよくわかっていないんだ。だから良ければ教えてほしいんだ」

「えっと。私とリリスちゃんとの関係なんですけど、リリスちゃんのお父さんは私のお爺ちゃんと同級生だったので、それで私達家族も知り合いだったのです。それで私達が住んでいる村にお姉さん夫婦が住んでいたのですが、お姉さんとお姉さんの息子さんが事故で亡くなってしまいそれで、リリスちゃんが引き取られることになり私の村で暮らす事が決まったのです。リリスちゃんが私にとても懐いている理由は分からないのですが、私は昔から村のみんなと遊ぶことが多かったからその所為にもあると思います。私も妹の事が好きになっていますからリリスちゃんとはすぐに仲良くなりました。それと私の事は、お姉さんと思ってもらっても構わないからリリスちゃんの事もこれからはリリスって名前で呼んであげてくださいね」

「そうなんだ。それと、ありがとうねリリス、僕の事を心配してくれて。これからはリリスのことをリリスって名前で呼ばせてもらうよ。でも、クロのことも心配してくれてありがとう。クロの事は、リリスは知らないと思うけどクロとクロの母親とリリスのお婆ちゃんがこの国に来る前の時に何かしらの理由でクロの母親であるリリスのお婆ちゃんは、僕達の世界に居たということになっているんだ」

僕はクロとリリスの関係について簡単に説明をした。クロとクロの母親のことは僕の予想が外れていないとしたらリリスとは全く関係のない人物になるから話すべきではないと判断しているのだ。そのことをクロには話しているから特に問題はないだろうし問題はないはずだ。

それから僕はラリサにもクロの記憶についてはあまり詮索しないようにして貰えるようにお願いしておいておいたのでこれで安心できるだろうと思ったのだ。ラリカは、僕の言葉を理解したうえでラリサの事を信用しているから大丈夫だよと言っている。それを確認した後は僕とラリサの二人が先に進んで行くのだが、ラリサにはまだクロの中に居る存在の正体に気づいていなかったようだが何かに気づいたみたいだけれどそのことについては聞かないと約束をしてくれたので一安心する事にする。それならいいかと思っているうちに地下に着いたのだがそこでも僕はリシアが封印している本を探すことにした。

リリアとラリスが協力して本を探している間僕は、一人で暇を潰すことになると思っていたのだが何故か僕も探すことになってしまった。リリスもラリスも必死の形相になりながら探していたのだがなかなか見つからないようだったが僕が本を触っていると、ふと、本の中が気になり調べるとリシアが残したであろう手記を見つけて、その中に気になる文字を発見した。僕はその内容を読み解くことに夢中になってしまい他の人たちが探し続けていることに気づかなかったようでラリサはいつまで待たせる気だと言う怒りの声を上げると、リリスは僕が何をしているのか気にしているようだったがラリスに叱られてすぐにその場から離れていた。そしてラピスさんやリシアは、何かを見つけたようでその本を読んでいて、クロの方を見ると、何かをぶつぶつと言い続けていた。その様子にクロの精神が安定する迄時間がかかるだろうと僕は感じたのであった。それから僕はリリアとラリスを呼び出し三人で話し合っている間に僕は、ラリスとリディアにクロを任して部屋から出て行ったのだった。

僕が出て行った後でもしばらくの間、三人で話し合いをしているような声が扉の向こう側から漏れていたのだが暫く経つと静寂が訪れるようになったので僕が部屋に入るとリリアが、疲れ切った表情をしていて、僕の事を見つけると、クロの様子を見てくれないかと言われてしまった。そしてクロの部屋に入ったのだが、クロの様子が明らかに変な状態だった。まるで何かにとり憑かれたようなそんな様子だった。それから、リシアの話では、僕の中にある力が原因だと言われたのだが僕はそんなものを持っている自覚がないから意味がわからなかった。とりあえずリシアが言う事に従ってクロの中に手を入れクロの身体の中の状態を確認している。そして僕は確認していく中で、核と呼ばれる部分に触れた時それが分かった。僕は核に触れるとクロから黒い力のようなものが出ていきその力はリリスの中に流れ込み始め、僕はその力が溢れ出さないようにするべく、それを僕の方に戻し始めたのである。するとその力を僕の中に戻す作業中僕はある事に気がついた。クロから出てくる黒い力に覚えがあったからだ。それはクロの父親である魔王の力だったからである。その事実を知ったことで、今まで疑問を抱いていたことが解消された気がしたが、今はそれどころではなかった。その作業を続けて全ての黒い力を回収したあとにクロに声を掛けて意識を取り戻して貰うことにする。すると僕の方に目を向けて僕だと分かると笑顔を僕に見せてくれる。

(えっ?!嘘!?本当に?)

「あれ?ここは?そういえば確かリリアさんと一緒にいたはずなのになんでこんなところにいるんでしょうか?」

(そうだよね。記憶を失っているからわからないよね。僕も何が起こったか分からなくて混乱していたところだったんだけど)

僕は自分が何が起こったのかを説明した後に、クロが何故このような状態になったのかをリシアが知りたいような内容だったのでリシアには伝えておくべきだと思いリシアに全てを伝えたのである。

「そっか。やっぱりそういうことだったんだ。だから私にはクロの事がわからなかったんだ。だからこの国に来てから違和感を感じていて何でかなぁと思っていたんだよ」

僕はリシアが何を言おうとしているのかが分からなかったので何の話なのかを聞いてみることにした。すると僕の中にいるクロが僕のことを抱きしめてきたので僕は驚いてしまいクロを剥がそうと試みるが離れる気配がなくしばらく時間が経過したのである。その間はラピスさん達には外に出て行ってもらい僕の事をずっと見張っていてもらう事になった。

リリスとラリサは、僕達の様子を少し羨ましそうに見ていたが、リリスに関しては僕がクロのお母さんと知り合いだったことでリリスには僕の中に眠っている人の心の記憶が戻り始めていたのでリリスは僕の事を自分の母親と認識してしまい僕から離れなくなってしまったのでラピスさんに頼んで僕からクロを引き離してもらおうと考えたが無理だったのでリリスに僕がクロの母親ではないと伝える事になってしまう。その言葉を聞いたリリスは一瞬だけ悲しい顔を見せたのだがその後に僕の方をじっと見つめたあとで何かを悟ったかのように僕から離れたのだった。それを見たラティアは僕の事を信じきっていたのでリシアと同じように僕の事を抱きしめたのだがリリスと同様に僕は離そうとしたが全く動く事が出来ないまま時間が経過していったのである。

その後しばらくしてからようやく落ち着いたクロに対して、リシアがリリスがクロの体と一体化してしまった時に何が起こったのかをクロに伝えた。そしてリシアの話を聞いたリリスの母親がどうなったのかも話したのだ。それを聞いたクロはとてもショックを受けたが、これからどうなるのかも予測出来ると言ってきたのである。僕はリリスの言葉に対して何も答えることは出来なかった。リリスの言葉には確かに真実も含まれているが、僕にとってはリリスのお母さんがクロの体を乗っ取りクロの肉体と融合している時点でもう既にリリスとクロが元の世界に戻ることは不可能なんじゃないかと考えている。

しかし僕はその事実を言うつもりはないのだ。リリスには、僕達と旅をすればいいじゃないかと言うと嬉しそうな表情を見せてリリスは、ありがとうと言いながら再び僕の事を抱き締めてくるがリシアがまたクロの事を無理やり引っペがす。その光景を見て僕達は笑ってしまうが、クロは恥ずかしい思いはするものの、リリスが楽しげに笑っていることに安堵を覚えていたのである。

リリスがクロと融合したことによりこの世界の人ではなくなっていたという事実を知り私は、リリスという人がこの世界に来た経緯を知ってしまったがリリスはリリスのままで、私達の仲間になっている事は変わらないと思うと安心するのと同時に私とリディアはクロとの旅を続けることを決意する。それにリリスが私の母だということは驚きではあったが、クロの話から考えると本当のことなんだと思って受け入れるしかなかったので私は受け入れたのだが、それでもやはり、私がリリスの娘であるとは今でも信じられなかったのだ。だって私の容姿は黒髪ではなく金髪であり顔立ちはどちらかと言えばリシアと似ていると言われている。そしてリシアのように綺麗でもないと思っているが、リリアは私の事を愛してくれているのは知っている。でも、私はリシアほど美しくないしラリサほどの可愛さもないと思っている。そう思っているとラリカが自分の考えを否定されたと感じたのか怒った表情で、私はリリスに似てるしクロの子供だし問題ないよと言っていたがリシアはリリスの顔を知っているからその意見を否定することはしなかったのである。そしてラリスの方にも視線を向けたラリオスは、自分に似た姿なのはクロの好みの姿だと言っているがラリスが納得しているのかはわからないけど、とりあえずはクロの事を諦める事にはしてくれたようである。それからラリアとクロの母親はクロの母親だと言い張り、クロにくっつきながら幸せそうにしているのを見ていたのであった。それからクロは自分の中のリリスについて気になっていた事を僕達に尋ねてきて、僕がリリスと出会ってから今までのことや僕が魔王と戦った時に手に入れた剣についての話を聞くと何かを納得して安心していたがクロにどんなことがあったのかを聞こうとすると、突然何かを思い付いたようにリシアが立ち上がり、僕を連れて部屋の外に行き話をすることになった。

僕とリシアが話を始める前にラリサやリリアに声をかけると、僕は二人の方を見るのだがリリスのことが気になり仕方がないみたいだった。そこでラシアにリリスをリシアの部屋に連れて行くようお願いをすると僕はリシアと二人っきりになったのだった。そして僕はリリスとリシアが出会ったときのことを聞かれて僕がリシアと出会う前に起きた出来事を話すとリシアも似たような境遇だったことが分かってお互いがお互いのことを知ることが出来たのだった。

そしてリシアは、僕のことを好きになってくれていることに嬉しさを感じていたが、ラリスはリリスに好意を抱いているような感じを受けたのでリシアに、リシアの気持ちを伝えた方が良いのかを確認すると僕の事を抱きしめてくれた。その行為でリシアの気持ちを知ることができた。僕はラリスの方を向いてリシアと二人でラリスをラリアの所に連れて行き、僕はクロとクロの両親がいる部屋に戻って行ったのである。

それからラリスタの所にリリスを連れていくと、何故かそこにはクロとラリスタンの二人がいてラリアとリディアもいた。リリアとラリサはまだ僕が連れてきた女性を警戒している様子だったので、クロが僕のことを見つけてくれると抱きついてきたがリシアに邪魔されそうになり必死で避けようとするのだが僕の後ろにいたリリスが後ろから僕の首に腕を回し僕の事を捕まえてしまう。そして僕はリリスの腕を振り払おうとすると僕の中でクロとリシアが会話を始めようとしていた。

『え?クロってリリスさんのことが好きだったんだ』

クロのその言葉を聞いたリシアとリリスは、リリスの方がリシアより優れているので、リリスの事が好きなんだと勘違いしてリリスを自分のものにしようとリリスは考えていたらしく、そのせいでクロに酷い態度をとってしまい後悔していたのだと言う。そんな時、僕の方から黒いオーラが出てきている事に気がついたラリスタとラリアナが慌ててリリスに僕から離れろと伝えていたのである。それを見たクロが慌てたような声を出していたが僕自身は何が何だか分からずただ混乱しているだけであった。僕はどうして良いかわからなかったが、クロが僕の中から出て来た事でとりあえずクロのお母さんの身体の中にクロが戻ることが出来ればなんとかなりそうだと思ったが、どうやったらお母さんの中に入れることが出来るのか分からなかったので取り敢えずはラリスさんとラリシアが持っている魔王の力を僕に移す事を考えようとリリスに伝えることにした。

そして僕達は一旦クロの家に戻りリリスの体を元に戻すためにリリスの身体にラリラスの力を移し変える作業を行ったのだった。僕はラピスさんと一緒にその作業を行っていた。

僕達はラリリスをクロの体の中に戻した後でリリスはしばらく眠りにつくことになったがリリスが目を覚ますまでの間クロの家にお世話になることになり、僕達はクロと一緒にクロの母親の帰りを待つことになった。しかしリリスがクロの中に居たことで、この世界では僕達がクロの親であることになっていたのでリリスは僕とクロの間に子供が出来ていたと思われてしまいラリサがクロの事を睨みつけていたので僕とクロでリリサに説明を行い何とかその場を収めることに成功した。それを聞いたリリシアは僕のことを信じていたからこそクロがリリスと体を共有することを許したと教えてくれたのだ。

僕は、クロが僕をリリスの事を抱きしめてきたことで驚いていたが、すぐに僕はクロの母親との再会を果たさなければならない事を思い出す。

そしてリリィ達には申し訳ないと思っていたが僕は、リリスを元の肉体の中に戻しに行った際に、僕の中に残っていたお母さんの心の一部だけをリシアの中に移させてもらう事にしたのである。僕はクロにリリスの母親の元へ行く方法を尋ねたところクロも母親に会う方法はわからないという返事を聞いてしまったため、どうしようかと考えていたときにリシアからある方法を思い出したという話を聞いたのだ。

それを聞いた僕はラシアとリリスの親子は仲が良いと思い嬉しく思っていたが、ラリスの方はクロの母親とラリスの父親との関係が悪くなっていることを気にしており、僕とリシアがラリスの父を助けてほしいと頼んできたのである。その話を聞いたクロが、僕の力を使ってその願いを叶えることに協力してくれると言い、クロの力がクロの中にあるとわかった時点で僕はクロの言葉に従うことに決めるとクロは早速リリスの体へと移動し、その後からクロの母親がこちらの世界に戻ってくることになったのである。リリスは僕達の前でリリスの体からリリアが出てくるのを見てリリスは悲しそうな顔をしたのであった。リリアが出てきた直後にリリアが、リリスの体に自分の心の一部を移す事を伝えるとリリスは喜んで了承し、リリスはラリスの母の肉体を操り僕達に挨拶をした後、僕達の目の前から消えたのである。

そしてリリスのお母さんであるリリアはクロに礼を言うのと同時に、僕に頭を下げてきたのだった。そしてリシアが、クロとリリスが融合してしまったときの状況を話し始め、僕達はその話を聞き終えた後、僕とリリアは、僕の家に向かい僕が魔王の杖に蓄えていた魔力を放出していた時の話をし終えると同時にリリスのお母さんが現れた。しかしリリスのお父さんは現れなかったのであった。

クロの話によると、リリスの父親はリリスと会うことを恐れているためにクロは会いに行くことが出来ないと言っていた。

しかしリリスはリリアと話をしており、僕達もリリスに呼ばれていた。リシアやラリサ達にも僕と一緒の部屋で話をする事になったのでクロには僕がリリスの身体に入っている間はクロを外に出す事は出来ないのでラリアの手伝いをするように頼むと、クロはすぐにリリスの所へ戻っていったのである。そして僕はリリアのいる部屋に入り、リリアに話をすることにしたのだ。

それから僕はクロアの両親と、クロの父親の魂を解放した後、ラリアは、ラリス達とクロの両親の魂の解放を行いリリスはラリスタンに事情を説明しリリスとリリスの両親をこの世界に連れてくる為に旅に出ようと思っていることを告げるとラリスの両親は自分達はここでクロオとリリスが帰ってくるのを待っていたいと申し出たのだ。僕はリシアが僕に付いて来る事を伝えてからラリスタンの方を見ると、リリスタがリリスに、この世界のことについて色々と話してくれていて少しだけラリアもラリスの事を心配しているような気がしていた。

そしてラリアから、クロのことをお願いするとリリアに言われたラリアナだったがリリスに対してあまり好意的ではなかったようで嫌々ながらも引き受けてくれたのである。そうすると僕の家の玄関の前に誰かが現れ扉を開くとそこに現れた人物はラリスタンであり僕は慌てて外に出る準備をしたのだった。しかしラリアスとリシア以外の人達には誰なのかはわかっていなかったみたいだが そして僕達はクロの父親とクロを先頭にリリスの家族の元へと向かって行くとそこには僕とクロの父親、クロの両親がいたので、クロは僕にクロの父親と母親を紹介し、その後、全員が集まってきたところで、クロの父親だけが先に帰って行ったのだが他の皆は僕の家に泊まっていくことになった。僕はラリスタンと一緒にクロの身体からクロの意識が消えると僕は気を失ってしまい目が覚めるまで僕は眠ったままの状態でクロの家で過ごしてしまったのである。

それから数日間は、クロとクロの父親がこの世界でクロが目覚めるまでは一緒に過ごしてくれるとクロの口から聞いた後、僕の中にいるリリスにクロの父親とラリスのことをクロが頼んでくれていた。それからクロの父親はラリスタンに僕の父親に会いたいとラリスタンから告げられた時にラリアナが慌てて僕に連絡を取ろうとしていたけど、連絡が繋がらずラリアナは僕を探し回っていたらしい。しかし、ラリスとリリスに僕の居場所を教えてもらいクロの家で僕達が滞在している間にクロの父親はラリスタンと一緒に戻ってきた。僕が目覚めた時にはクロとクロの父親はすでに家にいなかったので、僕は起きてクロの母親に挨拶してから外に出ることにする。

僕が外に出るとすでにラリスタは僕のことを出迎えてくれており、ラリスとリリシアの姿が見えなかった。僕はラリス達がどこに行ったのかを聞くとラリスとリリスはリシアを連れてどこかに行ってしまったと言うことなのだ。そしてクロの母親は僕が起きた事に気付きクロとクロの父親を連れて家から出てきた。そしてクロは僕の傍に来るなりクロの身体の中に僕が入るように言うので、ラリスタンは僕の中に入って行ったのである。それを見たクロはクロの体の中に入ろうとするがクロが僕の中に入ったことで、僕の中にクロがいる状態になってしまったのだ。それからクロとクロの父親とクロの母親の三人が僕の家に残り、リリアと僕の家族、リリスとリリスタの親子は僕が住んでいる街に戻る事に決めたのだった。

ラリスとラリシアの二人はクロとクロの父親とクロが僕の家に残した荷物を取りに行かなければならなくなりラリスタにはラリシア達の荷物をクロが持っているマジックバッグに入れてもらい僕達が住んでいる街に帰る前にラリスが暮らしている街に行く事にしたのである。

そしてラリスとラリスタは僕達に別れの挨拶を行ったあとすぐに僕達の街に向かってくれたのであった。僕達が暮らしていた家ではラリスターがリリスにラリシアにリリィとリリィの母に挨拶をしていたので僕達はラシアと別れた後にラリスタとリシアとラリスに見送られながら、クロが作り出した空間から出ようとしたときにラリスがラシアを呼び止めるのであった。ラリスは、ラシアの母親を蘇生させたらすぐにラシアの元に向かうと言ってくれて嬉しかったのかラシアの顔は笑顔になっていたのだった。

ラリシアの母親と父親も僕達を見送ってくれたが、リシアの父親であるラリシアのお父さんだけは僕に何かを話しかけたかったのか僕に声をかけようとしていたが結局何も言えずに帰ろうとした僕達を黙って見ていたのであった。僕はラシアが寂しそうな表情をしてラリスタンと手を繋いでいるのが見えたが、すぐにラシアは僕達の方を振り向き、笑顔で見送ると僕達に向けて手を大きく振ってきた。

僕は、クロが僕と融合した際に僕の中に宿った力を全て使い果たしてしまったため僕の力を使うことができない状態に戻さなければならなかったのと、リシアと二人でクロの母親に会いに行ったときにクロが僕の中のお母さんの力も使ったと言っていた事を思い出したので、僕とクロはクロの母親の所に急いだのだ。クロの母親がいる場所がわからないため僕はクロの父親に案内してもらうと僕はクロの母親に僕の中にある全ての力と、クロが僕のお母さんの心を使って作りだした杖を使い魔王と魔王の部下達を倒してもらうため僕はクロの母親の元に転移して魔王の杖に残っていた僕の魔力と僕の心の一部をクロに託す事にした。

それから僕達は、クロとクロのお父さんと一緒にラリスが作ってくれた僕の身体の元に戻るとクロの身体に残っていた魔力を使ってクロの身体を作り直すためにラリリスとリリスは急いでクロの体に入り込むとラリスが僕が使っていた剣を自分の身体の中に取り込んだのである。そして僕がクロにラリスとリリスの身体を頼むとクロが僕の力を使ってリリス達二人を復活させてくれたのだ。僕は、僕に残されていた心の一部分が無くなったせいで気を失いそのまま倒れこんでしまいクロのお父さんに支えられた状態で目を覚ます事になった。クロが心配してくれていたがクロのおかげだと思うよと言って僕は笑みを見せると僕はクロが安心してくれたようで良かった。それから僕はクロの体を借りてラリス達を救いに行きクロのお母さんが待っている世界に行くことにしたのだ。

僕はクロと父親の二人が僕を支えてくれたおかげで僕は立ち上がる事ができた。それから僕とクロと二人のお姉さん達ともう一人の男の人が僕達の家に帰りクロがラリシア達の元へ戻るための空間を作り出したのである。僕はそのクロが作った黒い渦の中に入り僕は元の世界に戻ってくることができた。僕達がクロの世界に行っている間に僕が暮らしていた家に僕が住んでいた頃の家族とクロの両親が暮らし始めており、リリスのお父さんとクロがこの家で一緒に暮らすようになっていた。それからクロとラリス達はリリスが僕の家に残した物をラリスタとラリスに頼みリリスタがラリスとラリシアの所に戻っていったのだった。

「みんな、クロア様のおかげでクロオさんの身体の中に入っていた私の魂が戻りました。クロオ様にご恩返しするために私はクロオさんと一緒に行きます」

リリスは自分の意思を伝えると、ラリスタンがリリスの肩に手を乗せ微笑んでいた。

それから僕とラリシア、リリシアは僕の家にしばらく滞在する事を決めラリスの両親は自分達はここに残るからいつでも帰ってきて良いと伝えてきたので僕は、ラリスとリリスがこの世界に残ることを伝えた。それから僕はクロとラリスタとクロの父親の四人でクロの家に向かいこれからのことについて話し合いをしようとした。クロの父親もリリシアのことをラリスと同じように可愛がっているらしくラリシアがリリスタンに懐いていた。ラリスタンもラリシアの事を妹のように思っていてお互いを慕い合っていたみたいだった。

クロの父親からラリスタが僕とリシアがこの世界の人達を助けてほしいと頼まれ僕はそれを受けるとクロとラリスタンが喜んでくれたのである。クロとラリスタンが喜んでいるとクロはリリスに、クロの父親と母親がこの世界に残った事や、僕がこの世界で手に入れたものについて説明を始め、リリスはクロに質問していた。ラリスもラリシアのことがとても大切な存在になっていて、ラリスの父親は、リリシアとラリスタンの二人が僕達と一緒に行動してくれると知ってすごく喜んでいたのだった。

そしてクロとラリスタンの二人でクロの父親とリリスにラリスの身体がリリスの魂が入った状態で復活したことや、クロの父親が僕に残してくれていた僕の力を使うことによりリリスが復活すると僕は、クロの身体に宿るラリスからクロにラリスの復活方法を伝え、ラリスの身体からラリスの魂を取り出しクロにリリスに宿らせてもらいラリリスの体とクロの体の中に入れる準備をするようにクロの父親にお願いをした。クロの父親も、クロにクロの父親にリリスをラリスの体に入れてもらうことをお願いするとクロの父親とクロの父親はラリスの父親とリリスの父親とリリシアの両親を僕の家に呼び、全員で僕とクロが暮らしていた家のリビングに集まった。そしてクロの父親にクロの父親は、ラリスタンとリリスタンをリシアの体に移せるよう僕の身体の中からラリスの核を取り出すように指示を出したのである。

ラリスとリリスタンは僕達が使っている家に来るまでかなり長い時間を費やしており、その間に僕の記憶とクロの記憶から、リリスタンとラリスタが僕がこの世界で得たものをクロに聞きながら興味深く聞いていたのであった。クロの父親もクロにラリスタンとリリシアを復活する方法を教えても大丈夫かどうかを聞いてから教えているのがわかりクロとラリスタンが嬉しそうだった。そして僕はクロの父親とクロにクロの母親を生き返らせるために必要なラリスの力を取り戻すのを手伝うと約束をし、僕はクロの父親とクロに僕の力の一部を貸し与えたのである。

僕はクロの父親にラリスの力を戻すためには、まずはクロのお母さんの蘇生が必要と話すと、リリスの身体を蘇生させてもらった時に僕とクロの父親にリリスはクロの母親のことを聞き、ラリスの体にも僕の力を入れると、僕の身体の中にいるリリスとクロの体が光だし僕はラリスの力がクロの身体に流れ込んだのだとわかると、ラリスはリリスとしての意識を取り戻し僕達はリリスに抱きつかれ僕はリリスにキスされたのであった。

それから僕は、ラリスタンの体をクロの体の中に入れ、リリスをクロの身体にリリスとリリスタの二人の母親もリリスと同じ状況で蘇ることができると説明するとラリスとリリスタは喜び僕とクロにラリスの体に入って欲しいと言われ僕はラリスの身体に入る事になったのだ。ラリスとクロは僕の身体に自分の母親の力を入れようとしたが僕の中にあるクロのお母さんの力を全て使い果たしてしまってた為僕の身体から魔力が失われて気を失い、リリスのお母さんも僕の身体の中に入ろうとしていたが僕の中にいたクロの力を使い果たしていたため僕の中に自分の力を流し込むことが不可能になってしまい僕の力を使うことができずリリスの身体に入ることができなくなり、リリスは僕に自分の力を使い蘇生魔法を唱え始めたのだ。リリスが僕に蘇生呪文を唱えると、僕は意識を取り戻したが僕の身体の中にはラリスの体とラリスの体に入ったラリスタンとラリスタの二人が入っている状態で目を覚ました。それから僕が気を失う前にラリスに僕とリリスの二人で、リリスタンのお母さんをラリシアの体に入れる事ができると伝えてから僕はラリシアにラリスタンを僕に宿す事を伝えたのであった。

ラリスの体の中にリリスタンがラリスタが、リリスタンの体の中にリリスタンが入る事でラリスタの体は二つありその二つの体を融合して一つに戻すことでリリスはリリスタのお母さんを復活させる事ができたのだ。僕とリリスの力でリリスタンとラリシアのお母さんを復活させたことでリリスタンのお母さんは意識を取り戻しラリスタンとラリシアは泣き出し、僕達の前で抱きしめあい涙を流していた。そんな姿を見てクロの父親達は涙ぐみ、ラリスの母親達は涙を流しながら喜んでいた。その後僕はラリシアと一緒にクロの家に帰り、僕はラリシスと一緒にクロの父親達と話をしていたのだがそこでラリスタンが僕がクロの身体の中にいたときのことを詳しく聞いてきたのである。それからしばらくしてラリスタがラリスの母親を連れてクロの家を訪ねて来たのである。それからラリスタンが自分がどんな風に僕に助けられたかラリリスに伝えてたのだ。

それからクロの父親とラリシアの父親がこの家にしばらく住みたいということになりリリスタンの母親がそれを認めることにしたのだ。僕はこの世界にいる魔族以外の種族の人々を助けてあげたいと思っていたが僕の力は回復していなかったのだ。それからラリアナさんが家に訪れ、ラリスが僕達にラセリアさんを救ってほしいという事を伝えてきたのである。どうやらラセリアさんはこの世界で魔王に洗脳されている人達を救う旅をしているらしく僕はそのことをラリスから聞かされるとクロの父親にこの世界に起きていることを話し僕達の味方になる人たちを集めるように頼んだ。

僕は、この世界では魔族の血が混ざった人が人間として暮らす事を許されていたが、他の種族との争いや人種差別などにより一部の人間が他の人と争うようになっていたらしいが、それを魔王がまとめていたようだと言うとラリスタとラリシスは自分達もその戦いに加わっていたと言いだしたのであった。でもラリリスの身体に入っていたラリスタンの身体を操っていた者は、この世界で魔道門を使って他の世界に行くための穴を開けようとしていたみたいだったと話していたのだった。

それからリリスタンの身体にリリスタンのお母さんが宿りラリスタはラリスに、ラリスの身体にリリスの魂が入った状態で僕の身体の中に戻りラリシアの身体に入り僕はリリリスと融合した状態になることができたのである。それからラリスとラリスタとラリスの母親で、リリスタンの体に乗り移ってもらいラリスタンの母親はラリリスの身体から出る事にした。ラリスがリリスとリリスタの母親を説得してくれて僕はリリスにラリスタが持っている僕の力が封印された剣を渡すように指示をするとラリスタが持っていた剣は光輝きリリスの手元に剣が収まった。

ラリスの母親をリリスとリリスタに説得してもらいリリスタンの体とラリスタンとラリスタの体から出た後、クロの父親に僕の記憶をクロに返すことを頼むとその父親にクロの父親とクロは驚きを隠せずにいたのだった。クロの父親もクロ自身もクロがクロの記憶を持っていても今までクロ自身だった事は変わらないため問題ないと理解してくれたみたいだった。そして、僕にラリスタンを蘇生させる方法をクロのお父さんが教えるからとクロの父親に言われるままラリスタはクロの父親の指示通りにラリスと一緒に魔法を唱えたのだ そして僕はラリスからラリッサの身体に入るよう指示され僕はラリッサの身体に入っていくことになった。僕はラリッサが僕の中に入るのを確認したあと僕はクロから渡された魔剣を手に持ちラリスの方を向いて僕は「僕は君の為に戦ってきたよ」と言ってラリスタンの体の中にラリラスと共に入った。僕の中にラリーが入ったことを確認した後僕の魂はクロの元に向かうことになったのだがクロの体と僕の体が光始め、僕も僕の中のラリスタンの魂が僕の魂を引き寄せていく感覚を感じていたのである。

私は、クロの体に宿る事になったけど、今はラリサさんの身体を借りているためクロとは別人になっているわ。クロが言うにはラリリスとリリスの力によってクロの体とラリリスの体が合体しクロの体の中で融合する事になるのだと教えてくれた。それから私の身体が動き出し私もラリス様と同じようにクロの体に入ろうとした時、クロはラリスタンにリリスの魂を入れる事をお願いをしてきたのである。そしてクロは、リリスのお母さんをリリスの身体に宿らせてくれるようお願いをした。私がこの世界で手に入れた記憶の中に、リリスの記憶があったのでこの世界では魔導王が王となりリリスの身体を手に入れた事でクロとラリスタンをラリスタンのお母さんに預ける事を決心したのである。ラリスタンがこの世界から消えてしまわないようにするためにも、ラリスタンにリリスをラリスタンのお母さんにラリスをラリスタのお母さんに託して欲しかったのだ。クロもラリスタンをこの世界のラリスの身体に入れる為にラリスの身体に宿らせたのだけどそのせいなのかはわからないが、ラリスは意識を取り戻すことができなくなってしまった。それからしばらくしてクロの父親であるリシアさんにクロの父親からクロの父親にラリスの身体とラリスの身体を一つにすることを教えられた。そしてラリスとラリスタとラリスの母親にクロの体から出てもらうことに決まったのだった。そして、ラリスの身体の中にクロの母親が入り込むことになる。ラリスがラリシアさんの中に入り込んだのを確認してクロとクロの父親は、クロがラリスとラリスタンをリリスの身体に入れている間はクロとクロの父親とクロのお母さんでラリスの身体の中に入ることになり、ラリスの身体の中の空間にリリスとリリスタンとリリスのお母さんを入れる事になった。クロの身体の中からラリリスとリリススタンとラリスのお母さんの魂はリリスの身体に向かっていったのであった。

それからクロとクロの父親と一緒にラリスタンの母親をラリスタの身体の中に入れることに成功した。それからラリスが目を覚ますまでリリスタンはリリスの体の中にいることに決め、それからクロの身体にクロのお父さんとリシアさんの二人が入っていった。それからラリスとクロの母親もリリリスの身体の中に入って行った。それから僕は、クロの身体の中で目を覚ました。僕が目覚めた時にラリスとラリスの母親にクロの体から離れることを伝えると二人は僕に、この世界に起きていることやラリスタンとラリスとラリスタのお母さんがこの世界でどんな風にしていたのかなどを話し始めたのである。僕はその話を黙って聞いていたが僕の身体はラリスとリリスの力によって、クロの身体の中に入っている間に僕の体は完全にクロになっていた。そして僕はこの世界に来ている魔族以外の人種達を救う為の旅に出る事に決めたのであった。

僕はクロと別れてから僕はリリスの体の中にいるラリスタンの身体の中に宿ったのである。ラリスタンの肉体の中にラリスタンの母親が宿っているはずだからラリスはもう大丈夫だと思いながら僕はクロの父親の体に入った。それから僕はこの国にある大きな門を見つめていた。僕はこの門の先に僕が探している人達がいる気がしてこの国にきたのだがこの先に進む前にクロの父親とリシアと一緒にこの国を見て回ることにした。僕はリリスタの母親をラリスタンのお母さんと融合させ、それから僕がクロの父親とクロの母親に話したことを二人に伝えた。その事を話すとクロの母親であるリシアさんとリリスタンの母親が驚いていたのだった。

それからリシアさんがこの国の人たちを助けたいと思っている人たちが、この城の外に集まっていて僕達を出迎えてくれた。この城に僕達が着た事を知った人々が、魔族以外の人達が集まってきてくれたのである。この世界では魔王が支配していて人間は魔王に逆らうことができずにいたらしい。でもクロが魔王を倒してクロの父と母はこの世界をクロと一緒に救おうとしている。そしてクロの父親がこの世界に来た僕とクロに魔王を倒す手伝いをしてもらえるか尋ねて来たのだ。僕はクロとリシアさんがこの世界でしたいことがあるのなら手伝うことを承諾したのであった。その後僕達はこの城で暮らしている魔族以外の人達とこの国の住人に、魔族以外を差別しないように魔王に操られていた者達をクロとクロの家族に集めてもらったのである。僕達は、この世界で魔王が操りこの世界で魔族の力を借りて魔道兵器を作っていた。その魔族の技術はこの世界にはない物だったため魔王はこの世界の人間を魔族と同じ存在として魔王軍に引き込もうとしていたみたいなのである。この世界にも魔導王と同じような魔導士がいたが、魔導師を奴隷として扱い研究のために利用したり、人間の街を襲撃させたり魔族以外の人を傷つけたり殺したり魔導王は自分の世界を作るために、魔導師の力を欲していたのである。僕は魔導王に利用されてしまっていたこの世界の魔導王の魔素を利用してこの国の人たちが暮らす場所を作り出したのだ。魔導王の目的はクロの父親であるラリスとラリスの身体を手に入れたことで、ラリスの身体を手に入れたことによりこの世界の支配と自分がこの世界の支配者になるためには、僕達の力が邪魔になるからと魔素の力を使って僕とクロの父親であるラリスとクロを始末しようと考えていたらしい。それから僕はこの世界で起きていたことをこの場にいる人々に説明したのである。

僕とクロはこれから、ラリスとリリスと共に魔道門を使って別の次元の世界に向かうことにした。僕はクロの父親のリシアさんと一緒に、ラリシアさんとラリシスはリリスの身体の中にラリスの母親とリリスタの母親が入ることになった。それから僕とクロとクロの両親とクロはリリスの体に入り、ラリスタの身体にリリスがラリスの母親と融合した状態でラリシアさんに入りラリリスがラリスの母親と融合した状態になったのである。そしてクロはラリリスの体を宿すためにラリリスタと融合し、クロの父親であるリシアとクロのお母さんであるリシアもラリラスと融合した。そしてクロとラリサが融合する事によってクロとラリスとリリスの人格が統合され、この国の魔族はラリスの父親でもある魔導王とラリスタンの父親でもありリリスの身体を手に入れているラリスのお父さんとクロの父親の四人になってしまったのである。僕はこの国の人々をラリリスの力で作った場所に移動させてそこにこの国の人々の居場所を作ることを決めて、魔導門の発動を始めたのである。すると魔道国の上空に黒い穴が出現してその中にクロの身体の中に宿っていたはずのクロの魔力を感じ取ることができたのだった。そしてクロがその黒い魔道門を通ってどこかに行こうとする直前に僕は魔道王に向かって魔法を放つ準備をしたのであった。

「おい!! 貴様だけは許さないぞ!!」

私は魔導王を魔導王と呼んでいるのになぜか魔導王は私が放った攻撃を防御することも無く直撃を受けた。私の怒りが爆発した攻撃にラリリスの身体を手に入れたラリスの父親であり魔導王であるリシアの身体を借りている魔導王が吹き飛ばされたのだ。

クロはクロのお父さんの身体からクロの身体に魂を移した瞬間、リシアさんはリリスの中に宿る事になるけど、魔導王がリリスの身体を奪った事を魔導王が魔剣をこの世界に転移させた事でこの世界に存在している魔剣を媒介にしてリリスの身体を奪うことに成功してしまった。しかしリリスの身体を奪えたとしてもクロのお父さんがこの世界に来た時の情報とこの世界に来た時のクロの情報と魔導王の情報が無ければ魔王を倒す事はできなかったのである。

僕はクロに身体を譲ると、僕の体が勝手に動き出してクロはクロの母親の身体の中にいるリリスの母親の身体をリリスの中に融合するようにお願いをしたのである。リリスの母親と融合したことによってリリスとクロの母親にリリスとリリスの母親もラリシアとリリシスと同様に魔族ではない普通の人と変わらないような存在になった。だからリリスのお母さんがラリスの身体を手に入れることが可能になったのだが、その前に僕は魔王からこの世界の魔族の王を奪い返し、この世界を救いたいと思いながら僕の体は勝手に動き出した。

それからクロは魔王と戦うための武器である黒龍牙を作り上げると自分の魂の半分であるリリアの魂をラリスタに宿らせることに成功したが僕達の動きを封じていた魔王の精神を封じ込めていた封印を解くことができなかったので、仕方なく僕は自分の体の中にいるラリスの身体の中からリリスの母親を取り出す事にしたのだ。そして僕は魔王を倒す為に自分の父親をこの世界に送り込んだ張本人であり魔王を復活させようとした黒幕でもあるリリスの父親でもある魔導王に対して、クロとクロの母親にリシアが魔王の心臓の力の一部を封印している魔核を握り締めながら僕は魔剣を構えたのである。

(今だ!!)そう心の中で思いながら僕は魔剣に意識を集中させると、クロの母親のリシアの身体を乗っ取っているラリシスとラリスの母親のリリシアが、魔導王を魔核を握り潰す事に成功して、僕は魔王の力の断片を全て取り込むことができた。僕は魔王の欠片が全て揃ったことを確認した後すぐに、僕の中にある魔王の力を使いクロの父親であるラリスタンの体に、僕の魔石を埋め込んだ魔剣を突き刺し魔王の力を吸収させることにした。すると魔王が作り出した空間が消滅し元の世界に戻ってくることができたのである。それからクロとリリスの父親とリリリスとリリスタンの母親とクロの父親を魔石の力で僕と同じ姿に変化させることによって魔王を倒す事ができると僕は確信して僕はラリリスとリリスの身体とラリスタンの体に入っているクロの体を元に戻し、クロは魔剣を僕の体内にしまうと僕はクロの父親であるリリシアとクロの母親が一体化していることを確認するため二人に声をかけた。

「二人とも大丈夫ですか?」

「えぇ大丈夫よ」

僕はクロのお母さんであるリシアとクロのお父さんであるリシアにクロの身体とクロの父親のリリシアとリリスが一体化しているかを確認し、それから僕はこの国にある大きな門を見つめていた。この門をくぐればこの世界は平和になると思ったのである。僕はラリスタンが持っていた聖魔導士が使っていた杖の力を使って、ラリスタンに僕達の言葉を通訳できるようにしてもらって、僕がこの国の人達にこれから起きる出来事をみんなに話すと皆が僕達に感謝してくれたのである。そして僕達は魔導門の外に出た。その瞬間、この国にいる人々と魔族以外の存在を差別しない人達の祈りの声と願いを聞き入れたラリスの父親である魔導王が現れたのであった。

僕は魔王を倒すことができると確信していたので魔王を倒す準備をしていたのだ。すると魔道王の身体が光ったかと思うと魔族以外の人間の姿をした者たちが魔族と同じ外見の種族の姿になり、僕達の方に攻撃を仕掛けて来た。

僕は魔道王が魔王の力を手に入れていることを知り、まずは魔道王に奪われた魔王の欠片を取り戻すために魔剣に意識を集中させてクロの魔剣を取り出し、その魔剣をラリスの父親であるリリシアの身体の中に宿っている魔王に向かって振り下ろしたのである。その攻撃により、魔道王は魔族の姿に戻っていた。魔道王が魔王の欠片を取り込んでいることを知った僕は、魔王が魔族の身体の中に魔王の欠片を持っていると考えた僕はラリシアにラリリスの母親であるラリスの母親の身体を、ラリスにラリスの母親の身体に入ってもらい魔導王の魔剣が保管されている場所に転移をして魔導王の体内から魔剣を引き抜いたのである。

そして僕が引き抜いたと同時にラリシアも魔王から魔剣を抜き取ると、ラリサスとラリスの父親が融合したリリシスも、ラリナスもリリスのお父さんであるリリシアの体を借りて魔道王から魔王の力を引きずり出すことに成功すると、魔道王は自分の身に危険が迫っている事を悟り僕達の方に向かい攻撃をしてきた。

僕達が持っているの魔導兵器は、魔道兵器としての力は弱いけど僕がこの世界に来る前にリリアとクロのお母さんと二人で作り上げた魔導兵器なので、魔王の力と僕が魔剣の中に封印している魔素を吸収し続けている魔剣があれば僕達は負けることは無いと思い魔王の力を手に入れてから僕が魔剣の中に封印をしている魔素を吸い込ませる事に成功した。

その後、魔導王が持っていた魔剣はラリスとリリスのお父さんとリリスの母親と融合したリシアさんに渡すとリシアが魔王の力を使い僕達を援護し始めた。すると魔道王の攻撃によってこの国の人のほとんどが傷つき動けない状態になってしまった。それを見た僕は魔王の魔力を開放したのだった。すると魔導王の目の前には魔王が現れて、この世界の魔王がリリスの体を手に入れたリシアを睨みつけてきた。そしてリシアの体を奪った事を謝罪させようとしたのである。そしてリシアの身体の中にいるラリリスもリシアの体を操り始めたのだ。僕は魔剣に意識を集中させて魔導王と魔王の戦いを止めさせるために、魔王が作り出したこの世界の魔王が作り出している魔王とラリスのお父さんであるラリシアの身体の中にいるリリスのお父さんに魔王とこの国の王様を倒させる事にした。僕はリリスの父親とラリシアのお父さんが戦う事を止めるように説得しようとしたが、二人は聞く耳を持っていなかった。

しかしそんな時ラリスの母親と融合したラリスがラリスの父親の身体に宿って戦おうとしている魔王の姿を見て泣きそうな表情になっていたのを見て、ラリリスは魔剣の封印を解くことを決断し僕の体の中に魔剣を入れると、ラリシアがリリスのお母さんの身体の中にいるリリスの母親と一緒になって、魔道王と魔族を魔導王と魔王に倒してもらいこの世界を救ってほしいと言ってきた。僕はラリスの身体に魔王が宿っていた時にリリスが魔剣に魔力を注いだことによって魔導王を倒すことが出来るほどの威力を持つ魔剣を作ることに成功したのだ。その魔剣の魔石の中に魔王が宿っていた時の力の半分が封じられているのだが魔剣に封印されていた魔石から漏れ出ている魔王の力の断片だけでこの世界の魔族の王を封印から解き放つことができてしまうほどだったのだ。しかし僕はこの魔剣に封じている魔王の力を完全開放させるのはまだ早かった為魔王に頼んで魔王が魔石の中に閉じ込められていた頃の魔石に閉じ込めてある魔王の力が封じ込められた部分だけを魔王に出してもらって魔導王と魔王に渡し魔王と魔導王と戦ってもらおうとしていたのである。

しかしラリシアはラリシアの母親の身体に宿ったリリスの身体にリリスの父親であるラリシアの父が入っているリリシスと融合することによってリリスがリリスの父親になったリリスとラリスの母親が融合しているリリシアと同じようにリリスの母親と一体化しているリリシアがラリスの身体の制御権を乗っ取ってしまう事に成功してしまい、僕は魔王の力を全て使い、リリスの父親の肉体と魔剣を使い魔王がこの世界から消えた後も残るであろう魔族に害をなす存在だけを排除しようとした。僕は魔王とこの世界を救えるだけの力を持つ武器を作った。魔王と魔道王の身体が光り輝き始めると僕は魔王と魔王が作り出した魔王に魔剣に封じていた魔王の力の全てを魔王と魔導王に向かって放ち魔道王の体内に入り込んでいた魔核も全て取り出すことに成功をした。魔王と魔導王はラリシアとリリスの身体に魔核が残っていたので魔王の力を手に入れることができた。魔導王も魔王の力を手に入れることができた。

魔王と魔導王をこの世から消し去ろうとしたのに魔王と魔導王は僕がこの世界に来た時にリリアのお父さんが使っていた聖剣に封じ込められていた僕のお父さんとリリアのお母さんの身体を使って魔王の身体と魔剣に封じ込めてある魔王の力を吸収させた。すると魔導王と魔王はこの世界で最強の魔王と魔王に勝てるかもしれないという希望が生まれてしまった。僕達の味方に付いた魔族達を魔導王がこの国に連れて来てくれて、僕が魔剣に封じ込めた魔王の力を使い、魔導王が僕が魔剣の中に入れていた魔剣を使い魔王を倒すことになったのである。

僕とクロの両親はラリシアのお父さんがラリリスとリリスのお父さんにラリスの父親に宿っていた魔王の力を全て解放させることに成功して、魔導王にラリシアとリリスのお父さんに宿っている魔王の力が取り込まれていることを知ると、魔王にラリスとリリスのお父さんに宿っている魔王とリリスの父親とこの世界から完全に消えてもらう事に決めたのである。しかし魔王の身体を取り込んだ魔導王の魔剣がラリスとリリスのお父様とリリシアさんの魔核を吸収して魔導王の手に渡ってしまったら僕達では魔導王を倒せないことになってしまう。そこで僕はクロの魔導剣と僕が作ってしまったこの魔道具を使えばなんとかなると思ったのだ。

僕はこの魔導国に来て魔王の力を魔王と魔導王から引き剥がすことと魔王と魔導王を倒しこの世界を守る事が出来ると思っていたがそれは甘すぎることだった。なぜなら僕は魔王と魔導王の二人を封印することしか考えていなかったため、二人の力を奪う事ができる魔王の力と魔導王に宿る魔核の事を忘れていたのである。僕はクロにこの国の王様にリシアとラリスのお父さんの魔核を渡してもらい僕が作った魔導砲を使って二人を倒す準備を整えていた。そしてラリシアがリリシアの身体を借りたリリスの体を操作して魔導王と魔王に攻撃を仕掛けようとしたが魔王と魔導王がリリスとリリシアの身体を操るラリシアとリリシアが操作をしているリリスに反撃を行い、その攻撃をくらった僕とクロとクロのお母さんは魔王の力に飲まれてしまった。

魔王の力に侵食された僕は魔王の力に飲み込まれそうになりながらも僕は必死に耐え、クロを自分の体に引き寄せてラリシアとリリスがリリスのお父さんと融合したリリシスとリリシアの身体にリリスのお母さんに融合したリリスを僕が作って封印をした魔導剣に魔王の力が封じられている魔石を入れた。すると僕達の攻撃でダメージを受けて動かなかったはずの魔導王の身体が再び動き始め魔王と魔王の力を取り込むと魔導王が魔王と魔王の身体に宿っていた全ての魔王の力を奪い取りこの世界を滅ぼそうとしたのである。僕は魔剣の魔力を使い魔王と魔導王から魔王と魔導王の魔力を取り出し僕はこの世界を崩壊させないように二つの力を一箇所に集めたのだ 僕はこの世界で魔王の力を手に入れた魔王と魔道王と戦いながらクロを守り続けなければならなかったが、クロの方はラリサスとリリスの二人が融合した姿となった魔王はクロ一人で倒すことが出来ると判断して、クロがリリスの父親を封印している場所に瞬間移動してリリスの父親の中からリリスのお父さんが作り出した剣を引っ張り出してクロの前に持ってきて僕達はクロのサポートを始めたのだ。しかし魔王と魔王が作り出している魔王に魔道王が融合をしてしまい僕の想像を超える化け物になっていた。

しかしそれでもクロに魔王を任せれば絶対に倒せると信じていると、僕が持っているもう一つの魔剣から魔力を放出していたのをラリスの母親の体の中で感じて魔王と魔導王を倒した後魔剣に魔王の力を封じてしまおうと考えていたのだ。僕はこの時初めてラリスの母親の身体に宿り一体化したラリシアの魔剣に魔王の力を封じることに決めたのである。すると、この世界に転生した時に魔王と魔導王との戦いに決着をつけることができるかもしれない魔剣を作る為に作った魔王と魔導王の両方の力が使える魔王の杖をラリスのお父さんが作り出した剣に取り込み僕は魔王の力を剣に封印することに成功した。しかし僕の体の中にはラリスの父親が持っていた魔王の力が全て入り込んでしまいラリスのお父さんの魔剣に魔王の力を完全に封印する事ができなくなってしまったのである。しかしラリシアに宿っているラリスとリリスが僕の身体の中に残っている魔王の力のほんの一部を僕に渡してくれ、その残った僅かな力で僕の体内に残っていた魔族に害を成す魔王と魔導王を滅ぼすために必要なものだけを残し僕の体内にある魔王と魔導王が宿っている魔石は僕とリリスが融合した体に吸収されてしまったのである。そして、僕はクロの手助けをするために魔王に近づき魔王の力の断片だけでも取り戻そうとしていたのであった。

魔王との激闘を繰り広げていたが僕は徐々に魔王の力の断片を体の中に取り込むことに成功したのである。すると僕は意識を失い倒れてしまったのである。その後僕は魔王の杖をラリシアの体の中にあるラリスとリリスの力を使って僕とクロとリリシスの三人をこの場から逃がすことに成功したのであった。

僕は気がつくとベッドの上で寝ていた。すると隣にはリリスの姿があり、リリスもまだ目が覚めていなかった。するとリリスのお父さんのラリスとラリスのお母さんのリリシスが目を開けたのである。するとリリスの父親はラリスが目を覚ましたことに驚いていてラリスと会話をしていた。そしてラリスとリリスの母親のリリシスとラリシアのお父さんのラリスのお母さんのリリシスが目を覚ますとラリスはラリシスとリリスの父親に向かって話を始めようとしていた。僕はこの世界でラリシアの体を操っていたラリスが言っていたリリスに身体に宿っていたリリスの父親に質問をしようとした。すると僕とリリスが融合しているリリシアさんは魔王の力の断片を吸収した後の記憶を失っていた。すると魔王と魔王の力を吸収したリリスの身体の主導権を奪おうとしたが奪われることはなかったのである。僕はリリスが記憶を失っていることを知った。そして僕達がリリスのお父さんと話している間クロが心配だった。僕はクロと連絡が取れるか確認するため魔導通信機でクロに連絡を取ると、すぐにクロから返事がきた。僕はラリシアの体に入っているリリスの父親とリリスの身体の中のリリスの母親にも魔王と魔王の力が埋め込まれている核がある事をリリスの父親のラリシアとリリスの母親のリリシアに伝えたのである。リリスのお父さんもリリスの身体の中に入っていリリスのお父さんとラリスのお母さんも魔導王の配下だったことも全てリリスとリリスのお父さんに伝えることができた。

僕はラリシアの父親にこの城を出る準備をするように命じた。そしてラリシアがラリシアの身体に入ったリリスと一緒にラリシアがラリシアに使った回復薬とラリシアのお父さんがラリシアの身体から出るときにラリシアに飲ませた薬を持ってくるように指示をしたのである。リリスのお父さんに僕が指示をして僕とクロとラリシアがリリスに融合されているリリスの身体の中にいた時に、リリスに埋め込んでいた魔王の力を全て解放してその核だけを僕とクロが封印し直しておいた魔王と魔導王の力が入っている魔石を回収させリリスの父親にリリスに宿っているリリスとラリスに融合されていた魔王と魔導王に融合した魔石の魔力を使い僕達四人がこの世界に来るまでに通った場所にいる魔王と魔導王を復活させない為の魔道具を作るように命じた。そして僕がクロに魔王と魔導王の力の断片を取り込ませた時の状況を詳しく聞き出してくれた。クロとリリスの父親からはリリスの父親に魔王と魔王の力が埋め込まれていることと、魔素を使って身体を回復させたことと、魔王の力を使った攻撃の方法や魔王が魔王の力で生み出した魔王の分身と、その魔王の本体から作り出した偽者の魔王の事も聞いていたのだ。

僕はクロとリリスの父親に魔剣を使って魔王と魔導王の力が宿った核を取り出すことに成功させた。すると魔剣に魔導王の力と魔王の力の一部が魔剣の魔力で吸収されていき魔王と魔導王の力は残り僅かになっていたのだ。しかし僕は魔王と魔導王の力を封じる為にクロに魔剣を渡すことにしたのである。

僕は魔王と魔導王の力の核を取り出せたことで少し余裕があったのである。そして僕は魔王と魔導王の力の一部を使って魔王の剣を作り始めた。魔王の剣の形状は剣だが剣先は丸い形状にしたのである。これは魔王が持っていた杖を変形させて杖として使い、魔王が杖に溜め込んだ魔導国の魔力を僕がこの世界で集めた魔力を使い僕が魔法を使うことができるようになる杖を作るためである。僕は魔王の力を使い剣の形状を変化させ魔王の持っている武器をイメージしながら剣を錬成していき形を整えると僕が知っている魔王の持っている杖を剣の形になるように魔王の力を使う事に決めた。魔王の持っている魔導剣に宿っている魔王の力を使えば簡単に魔王の持っている魔導剣を作ることができるだろう。そう思い僕は魔導剣を作ったのである。魔王の剣に僕が作り出した魔王の剣とリリスが使っているリリスのお父さんが作り出した剣を取り込み僕の魔剣と合体させることに成功したのである。その作業が終わると、僕はラリスの身体を休ませるためリリスに融合されているリリスとリリスの身体に融合したラリシアにクロの魔剣に宿っていた魔導王の力を使い魔導王の身体を作り出してもらい、魔王の魔剣に魔王の力の一部を取り込み魔王と魔導王の復活を防ぐ為の魔道具を作るように命じた。

その後僕はラリスに宿っていたリリスが融合しているリリスとラリシアとクロが作ってくれていた魔王と魔導王復活を防ぐ為に魔導王の杖の魔力の代わりをリリスのお父さんが作ってくれた魔導具とクロが作り出した魔王の剣に取り込まれた魔王と魔導王を封じているリリスの父親に魔王の力の核が入った魔王の剣に魔導王が作った剣に魔王の力を封じ込める作業をリリスに融合したリリスとリリスのお母さんにさせてもらうように頼んだのである。そして僕はクロとクロと融合した魔王の剣に宿っているクロの身体を借りていた魔王の力を剣の中に残していた魔石と剣の中に残っていた魔導王が作り出す剣に魔王の力の力を注ぎ込んでいったのである。僕は魔剣と魔導王の力を使い魔王の剣にリリスに宿っているリリスとリリスに宿っているラリシアとクロが作り上げていた魔導王の力の剣とクロが剣の中で眠り魔王と魔導王を封印する力を持っている魔王の力を魔剣に閉じ込め封印することができたのであった。

そしてラリシアとリリスのお母さんがリリスの身体の中に宿っていたリリスのお父さんとリリスのお母さんが作り出した魔王と魔導王の身体の一部を魔剣に取り込み僕も自分の身体に宿らせていた魔導王の力とこの世界に来て集め続けていた魔王の力が混ざり合っていた膨大な魔力を使うことによって、この世界に来たときに来ていたこの世界の服をこの世界の服を着替えること無く着たままこの世界を移動する魔導門を作ることに成功させたのである。僕はリリスに融合した状態のリリスとクロと融合した状態で、魔王の剣に封じ込めたリリスとリリスに宿っているリリスの父親とリリスの母親の魔王の力の一部を魔王と魔王の力で出来た魔王と魔導王を封印した魔王の剣とクロが魔導王の身体を作り出す能力で作った魔導王の力の塊とクロとリリスが作り出しているリリスの両親とラリシアとリリスの身体から取り出した魔王と魔導王の力の結晶とリリスとラリシアとリリスとラリシアの身体の中から取り出したリリスとリリスの両親の魔王の力を取り込んだ魔導師の身体を、魔王と魔王の力が混ざった巨大な魔力が溢れている魔道門の魔法を発動させることにより魔導門は完成したのである。僕は魔王の力を手に入れたことによりこの魔導国の中に入る事ができたのである。すると魔導国は魔物の国になっていてこの国に住んでいた人達はみんな魔王の魔力の影響を受けているのか理性を失ってしまっていた。そして僕達がこの世界にきたときにはいなかった他の魔族の人達が魔導国に集まっていた。

この世界はどうなってしまったのかわからないがこの国の王様と王妃と宰相と大臣達も魔王と魔導王に操られていて、この国が魔素を吸収してしまい魔王がこの魔導国から放っていた魔素を魔王の剣から手に入れた力で抑え込むとこの城の中に残されていた僕が魔王からもらった杖に蓄えられていた魔王の力が解放されていたのだった。すると魔王の力の一部がこの部屋の中にいた人たちの体内に吸収されて魔族化してしまう現象が起こっていた。僕がその魔王の力を封印しようとしたのだが、僕は魔王の力が魔導王の力より強すぎて完全に封印することができなくて僕はその封印の方法をクロと一緒に研究することにしたのである。僕はクロと魔王の力を封印するための魔道具を作るためにまずクロにこの城にある魔導王の部屋とこの部屋の地下に何があるかを確認してもらった。この城の地下には魔導師達がこの世界に来るための扉を開くために必要な魔道具や魔力増幅のための物があることが分かった。しかしそこには魔素を溜め込んだ魔道具がありその道具が魔素を吸収し続けているためその魔道具が暴走していてこの魔導城の空間に存在している大量の魔素が外に出ようとしているようだったのだ。それを止めるためには魔王の剣がこの魔素を止められる可能性が高かったのでクロに僕はその剣を作れるように指示をしたのだ。

この世界はこの世界の魔力で溢れているからなのか、元々そういう仕様になっているのかわからなかったが魔王の力で魔素を吸収することができなくなってしまったのかもしれない。だから僕は魔素でできている魔導王の杖を使って魔王の力を魔王の力で作られた魔王と魔導王の力で作った魔王と魔導王を封印するために作り出した魔剣に魔王と魔導王の力の一部を封印することしかできないようになっていたのかもしれない。

そういえばこの国の地下の魔導王の部屋にある道具が暴走していることとこの魔導城が魔導王の力で魔素をこの城に溜め込んだことで魔王と魔導王の力の影響が強くなっていることがわかって僕は焦ったが僕は魔素で魔導王が魔素の魔導門を魔導門が作ろうとしたら、魔王と魔導王を閉じ込めた魔剣に魔導王が作った魔王と魔導王の力の一部が魔王の魔剣と魔導王が作った魔剣に取り込まれてしまったが、僕は魔剣の中に封じることができた魔剣に魔王と魔導王の力の一部を使い魔王と魔導王の力を全て封じ込めることに成功し魔王と魔導王を魔剣に封じた。僕はこの世界で魔王の力を封じる事に成功し魔王の魔剣と魔導王の力を封じ込めることに成功したが、この国の人たちを魔王と魔導王を復活させないために僕はリリスの父親とラリシアの父親にラリシアとラリシアの母親とクロに協力してもらって魔王と魔導王の力を使った魔王の魔導剣と魔導王の力を使った魔導王の剣を作り上げる事にした。

僕はリリスの父親である魔導王をクロの身体を借りていた時に使っていた魔剣をこの国の人たちが魔王の魔力の影響でこの国の人ではなくなっていたのを元に戻すことができるのではないかと思い魔導剣を作ってみることにした。僕が魔剣を作ろうとするとクロの剣は剣を作り出したが魔剣を作り出すことはできなかった。

そこで僕は魔導王の力の核を取り出した魔王の剣の柄の部分にリリスの父親とリリスの母親に手伝ってもらい僕がこの世界から集めることのできた魔王と魔導王の力を魔導王の杖の魔導王の力で作り出した魔導王の剣に取り込ませて作った。しかし僕が作り出してしまったのは、魔王の力によって作られた魔導王が作り出す魔導王の剣とは程遠い出来の悪い代物ができてしまっていたのである。

リリスの父親とラリシアの母さんにリリスにラリシアそしてラリスそしてラリスと融合した状態のまま融合しているクロにラリスとその融合しているラリシアの身体の中から出てきたラリスとその両親そしてラリスの父であるこの国の王に協力してもらうことにした。その結果ラリスの両親はそのラリシアの中に入っていたラリス自身の父親の力を使うことができたのであった。

リリスの父であるラリスに宿っていたラリシアと融合したラリスの父親も僕の作った魔導王の剣とラリスが融合していたクロに宿っていた魔王の剣を取り込むことができて、魔導王が作った魔導王の剣を魔導王と同じように使えるようになった。僕は魔王と魔導王の力の塊を取り出すことができた。

僕はリリスの父親とラリシアの父親とクロが作り出したリリスとクロに宿っている魔王と魔導王の剣とリリスと融合したクロの魔王と魔導王の力で作り出した魔王と魔導王の力で出来た魔王と魔導王の力で出来た魔導王の剣をこの魔導国に集まってきている魔族達のところに瞬間移動して魔導師の人達と一緒に魔導剣を使って魔族に魔素を体内に入れ込んでしまおうと作戦を実行しようとした。だが僕は魔王の力を手にいれたとはいえこの世界に転移してきた時の姿でいるために、僕が元の姿に戻ると魔王の力を手に入れている事がバレてしまうと思いこのままの姿で戦う事を選んだ。そして僕は魔王の剣に封じ込めていた魔王と魔導王の力をこの世界にいた全ての魔族の人達を魔族に変える事ができるほどの魔力を注ぎ込むことによって魔王の力で作られた魔導王の剣に魔導王の力で作り上げた魔王の力を魔王の力で出来た剣に封印する事に成功した。

しかし魔王の力で作られた魔導剣に魔王の力で作り出した魔王の力を全て取り込むと魔導王の力に耐え切れなくなる可能性があるからか魔王の力で作り出されたこの世界には存在しない物質で作られていて、その物質の名前は『ヒヒイロカネ』と呼ばれる物質で、僕は魔導王の力とクロと融合した魔王の力の一部をその物質の中に封じ込める事ができた。この世界で手に入れた魔導具の中には魔力増幅の効果の付いた魔石がありそれは僕が持っている杖を媒体にして魔素を吸収し続けてくれたおかげでなんとか魔王の力の制御をできるようになっていたのである。僕は魔王の力の暴走を抑えるための封印用の武器を作ることが出来たのだが魔王の力で作り出された物のためなのかその刀身に魔王の力がこびり付いていてそれを拭うことができない状態だったのである。その魔導剣に魔王と魔導王の力の一部を魔王と魔導王をこの世界の人にした魔導王と同じ方法でこの世界の人たちに戻したのである。しかしその方法は魔導王にやったときとは違い上手くいかずにほとんどの人たちに戻せなかった。僕は魔素が溢れかえらないように抑えるための魔王の力の封印するだけの魔導王の力の塊とこの世界の人たちをこの世界の魔族に作り変えることのできるほど大量に取り込んだ魔力を貯めることができる魔導剣を作り出すことができた。

僕はリリスとラリシアとラリスの融合体となったラリシアがクロの魔剣と魔王の力で作った魔導王の剣の力を使うことでこの国にいるすべての人たちを魔族の人に変えたのである。その事で魔導国には僕が魔素で作った空間に存在していたはずの魔物がこの魔導国には魔物がいない状態になった。その事に魔導国の人たちは喜んでいたが魔導王の剣に魔王の力のほとんどと僕たちが魔王の力で魔導王が作り出した魔導王の剣を使って魔王と魔導王の力で作ったこの世界に存在しなかった魔剣の力を封じたことで魔素が大量に漏れ出してしまって、僕は慌ててこの城にあった魔王と魔導王の力を封じた魔王と魔導王の杖とこの世界に来るために作られた魔導王の杖を使ってその杖に込められていた魔力を使い魔王の力に溢れ出ていたこの国中に広がっている魔素を抑えることにどうにか成功したのである。

僕はその魔王の力をこの世界の人々に戻す事には成功する事はできたがこの世界に来てしまった魔素が消えたわけではない。僕は魔王の力の一部にその魔王の力を回収することを命じた。魔王の力を回収するために僕はクロの魔王の力を僕自身に使うために僕はその魔剣に魔王の力を集めるように命じた。すると魔剣の中に魔剣の魔核が吸い込まれると僕はクロが魔王の力を回収してクロと融合するために魔剣と融合してクロに融合させたのだ。クロが魔王の剣と一体化したことにより僕はクロがクロの身体の中に吸収した魔王の力の魔王の力を全て使う事が出来るようになった。しかし僕は自分の力を自分で使ってもあまり実感がわかなかったので魔導王の剣を媒介にしてクロの力を使えばもしかすると僕は魔王の力を手に入れることが出来るかもしれないと思って僕はこの世界に来ていた魔導王が作った魔剣の力の魔導王の剣の力を吸収して僕は魔王の剣を手に入れたのである。

そして僕はこの世界に来ていた他の六体の魔王の魂が魔王の力に引き寄せられるようにこの世界に来ていることを感じた僕は魔導王の杖に宿っている魔王の杖に魔導王の杖の力で魔王の杖の力を封じ込めて僕はクロの魔王の力と融合しているクロが魔剣と魔王の力と一体化した状態の魔剣に僕の魔導王の剣の力を加えて作り出した魔王の力を使った魔王の剣を作り出してこの世界を魔王の力で埋め尽くそうとした。だが僕はこの魔王の剣を使うのをやめることにしたのである。

その理由は僕はこの魔王の力の使い道を考えた結果僕はこの世界の人々をこの世界の魔族にするよりもこの世界の人達の体内にある魔素を魔王の力に変質させてしまった方がいいと考えたからである。僕は魔素を集めてこの世界の人々にその魔素をこの世界の人に与えたのである。この世界で魔王の力の暴走が起きてしまいそうな魔族にだけこの世界の魔導王の力の魔導王の剣の力を使い魔導王の力の核を使って魔導王の剣をこの世界で作り出したのである。

そして僕はこの世界で魔導王が使っていたという魔王の力で作られた魔剣と魔導王の力で作られた魔導王の剣を作り出すことに成功したのである。この二つの魔剣はこの世界の人たちから魔王の力を奪う時に使った魔導王の杖と同じ効果を持っている。僕が魔導王の力の核を作り出せる魔道具を作ったことによりこの魔剣に魔導王の剣に封じ込められた魔導王の力を取り込む事ができたので魔王の力からこの世界の人々が元の状態に戻っていたのである。

この世界での魔王の力は魔素となり魔王の力は人々に取り込まれて魔素に変わってしまうとこの魔導国は元通りになりこの魔族に支配された大陸には魔族が住んでいる普通の国に元に戻った。しかし僕がこの世界の魔族を支配しようとしてこの魔導国から出ていくときに僕が支配しようと思った国の人のほとんどが魔王の力の影響でこの世界の人たちが魔族の姿になってしまっていた。僕はリリスとラリシアに融合した状態で融合した状態になっていたリリスの身体の中から出てきたラリシアとラリスと融合した状態になっているリリスと融合したラリシアの四人と魔導国の国王そしてこの国の宰相に魔王の力を魔導王と魔王の力の魔導王の剣の力を使って魔導王の剣とこの魔導国を僕がこの魔導国にきたときから魔王の力で作った空間の中に入れて、魔王の剣の力を発動したときに魔王の力に飲み込まれないような魔素に変えてしまっていた魔導師の魔導王の杖の力を使って魔導王の力で作った魔王の杖を作り出した。その魔導王の杖に魔導王の剣に宿っていた魔王の力と魔導王の力で作った魔王の杖の魔導王の剣の力を取り出してこの世界で魔王の力の影響がこれ以上出ない様にすることが出来た。

しかし僕が行ったことで魔王の力の影響を受けていた人が元の人間に戻ってくることはなかった。なぜなら魔族の人たちは元々魔族でありもともと魔族だったため魔族の人になったとしても魔族であることには変わりはない。そのため僕はその魔族たちを魔族ではなく普通の人間の人たちに戻してしまうためにその魔族たちは魔族の人ではないということを証明して僕はこの世界に残していくことに決めた。そのためにこの世界にまだ残っているリリスやリリスの父親と融合したラリシアの父親と融合したラリシアの母親と融合したラリシアとラリスに融合したラリシアとその融合したラリシアの両親そして魔導国にいる全ての人たちを魔王の力を利用して元の状態に戻した後僕はこの世界の人たちを元に戻す為に僕はある事を実行することにした。それは魔族にされている人は元にに戻す事はできないけれど、魔族になってしまった原因を無くすことができるのではないかという考えに至った。僕はクロに融合した状態のクロと融合していたリリスと融合したラリシアに融合した状態のリリスと融合したクロに融合した状態になったリリスと融合した状態のラリシアと融合したクロの五人で魔族の人がいる場所に向かったのである。そして魔族の人達を魔族の姿のままにしてこの世界に残っている魔族と人間が共存できるようにするために僕はその事を魔族の人に話そうと思った。

しかしその時僕が魔導王の杖の力を使っている時その力の影響を受けて魔族の人たちは魔族になってしまう。僕たちが魔王の杖の力を使っている間は僕は僕の中にある魔王の力を使って魔族の人たちを魔王の力で作られたこの空間から出すことができなくなり僕は魔王の力を使わなければいいのだが魔族の人たちにその事を言っても魔導国の人と同じように魔族の人にしてしまった原因は魔王の力のせいだと思っているため僕の話を聞こうとはしなかったのである。

しかし僕たちの中で唯一僕にその事に反対をした人物がこの国の王様であった。その事で僕がその人のところに向かうとそこにはリリスの父親と融合している状態になっていたラリシアの父親と融合した状態になった状態になっているラリシアのお母さんと融合した状態のラリシアのお母さんと融合した状態なっているお父さんの三人がいた。そこで僕はその魔導国の国の人たちをこの世界に残した人たちを元の状態に戻したので、もう魔導国の人々を苦しめていた魔王の力を使うことができるものはいなくなっているのだからこの国を元に戻そうと説得した。しかしやはり僕はその国の人達に受け入れられることはなかった。

それどころかこの魔導国の人だけではなくその国に住んでいたすべての人も同じ状態だったのである。そしてその人たちは魔族の人たちと同じ扱いをされてしまった。そして僕はそんな人たちを見て心を痛めていたが仕方がないと思い諦めてクロの魔王の力を使う事に決めた。僕はこの国の人々を魔導国の人たちと同じ状況にして魔王の力からこの世界の人たちを守ろうとしたのである。しかしその時に一人の老人が僕の目の前に現れてその人が僕が使おうとしていたクロが作り出した魔剣の力を消してくれたのである。その老人の正体は魔王の力に飲まれている人たちを救うためにこの魔導国にやってきた賢者の魔導王だったのである。

その事を知った僕は魔導国の王とその王を支えていた賢人たちに感謝をして僕たちがこの世界に来てからこの国で何があったのかを全てその王に伝えた。その後僕はクロの作った魔剣に封じ込めていた魔王の力を解放して僕は魔剣に魔王の力を集めると魔剣が魔王の杖に変わりその魔導王の杖に魔素が集まり魔王の力に飲み込まれてその魔族の姿の人達を全員人間の姿に変えた。その後その国の王が持っていた杖の力で僕たちに攻撃してきた人たちが魔導国の人だとわかった僕はこの国の王と賢人と一緒に魔導王の城に戻り、そして魔王の魔剣と魔導王の杖を使いこの世界を魔導王の国と魔導王の国から魔導王と魔導王と魔導王がいなくなった世界に変えてしまった。僕はこの世界でクロと魔剣に融合した状態で融合した状態で融合した状態になっていたクロとクロに融合したラリスと融合したラリシアに融合した状態のラリシアと融合した状態のクロの五人で魔王の杖と魔導王の杖の二つを作り出した。

そしてこの世界で魔導王が使っていた魔導王の杖は魔導王の杖の力を使える者がいなかったのでその力を悪用されることはないと思って僕は魔王の魔道具である魔剣の中に封印する事にした。魔導王の杖の方も僕が魔王の力を使う事が出来ないようにするために僕自身が魔王の魔道具となったこの魔剣と一体化して、魔剣に取り込んだ僕の魔力で魔導王の杖の中に魔素を入れないようにすることにしたのである。そしてその二つの魔導具を魔導王の杖の中の魔素を取り出す事のできない魔道具にしてしまい、魔王の魔道具の中に魔王の力を全て封じた魔道具にしてしまうと魔王の力に飲み込まれるという副作用がなくなり、魔素だけ取り出す事ができる魔道具に改造したのである。

こうして僕は魔王の力を完全に魔導王と魔王の力と一体化してその力と融合したのである。しかし僕はクロの魔王の力は使ってはいるが魔王の力と一体化していないのである。その理由は僕は僕がこの世界で魔導王から貰った杖は魔王の力を使って作り出してはいるけれど僕はその魔王の力を使うことにあまり賛成ではなかったからである。それはこの世界で魔王の杖を使った時に魔王の杖を使ってこの世界に残っていた魔導王の力をこの世界の人たちに全て渡した後その力はこの世界にある魔素に変わってしまい、その力で魔族の人を作り出されたこの世界の人々に僕は魔王の力を使って元の世界の魔導師やこの世界の魔導師やリリスのような特殊な魔導力を持つ人を作り出そうと思った。

だけどその魔素になった魔導王の力が元の世界に戻ると元に戻るからこの世界にいる魔導師の人の中には魔王の杖の力を使えば元の世界に帰ることが出来る人が何人か現れると思うが魔王の力を使ってしまったこの魔導国に僕はこの世界の魔導師の人のためにこの国の人をこの世界に残していこうと思ったのである。

この世界に魔導師の人を残しておけばこの魔族に支配された世界で魔導国の人以外に魔導師がいない世界でこの世界の人たちが魔導師になれる人が出てくるかもしれないと僕は考えていた。この世界での魔王の魔石の作り方はわからないしこの世界で魔導師の魔導王は魔王に力を与えたのに他の魔王は魔導王の力を与えようとしなかったから魔王の力をこの世界の魔導王の人たちに与えることが出来なかったと僕は思っている。しかし魔王の力の核を作り出すことのできるこの世界にいるゼクトに頼んで僕はこの世界から魔王の力の影響をなくしたいと思っている。この世界の人たちには悪いけれど僕たちがこの世界にきてからこの世界の人は魔導王の力によって苦しんでいた。そのため僕はこの世界にこの世界に魔王の力がある事を知っていながら魔導王の力を与えて苦しめていた魔王に怒りを感じていたのである。

僕はこの魔導国にきた時にこの魔導国の国王である魔導王とその補佐をしていた宰相や国王の右腕の大臣などの人達に会ったのだ。その時にこの国は今までこの魔導国が他国に侵略をせずに平和な生活が送れているのはこの魔導国の王族の人たちの力ではなく魔導王の力があってこそ成り立っている国であると言われたのだ。その時に僕は魔導王に何故魔導王がこの世界にいて魔導国の国をこの世界では作らずにこの国でずっと暮らし続けていたかと言うとそれは魔導王としてこの魔導国を作った時の魔王の魂が魔族にされた人の力を抑えるためにこの国の地下にその魂を隠していたからだと言う。しかしその事を知らない当時のこの国の王は自分がその力を抑えてやるから魔導国を作ってもいいと言ってしまったためにその魔王の力を閉じ込めていたこの国の地下に魔王の魂を宿した魔導王がこの国の地下に作った魔王の塔にこの世界の人たちは入ってしまいこの世界の人たちは魔王の力の影響を受けてしまい魔導王の国の国民にされてしまったのであった。しかし、魔導王とその魔導王を支えた賢人たちはその魔王の力に気づきその事を魔王に伝えて魔王はそのことを知っていたので、魔導国をこの世界に置いて魔王の国に帰っていった。そしてそれから数百年の間その国の人たちは魔族と人間がこの世界で共に暮らすことができるように魔王の力でその魔王の力で作られた魔導王たちの住む国である魔導国の人たちを苦しめていた魔王の力は封印されていてその魔導国の人たちもこの国の人たちを苦しめる事ができなかったのだと教えてもらった。

僕たちが魔導国に行った時その魔導国の人たちは僕たちに敵対をしたのはその魔王の力の影響が残っていたためであり、僕たちはその魔導国の人たちが魔王の力の影響が残っている事を知りながらその国の人を助けたいと思っていたが魔導国の人たちは自分たちは助けて欲しくはないと強く拒まれたのだ。だから僕たちはそんな魔導王国の人達と話し合いをしたのだがその時に僕は魔導王の城の中にある書物庫で見たことがあった魔王について書かれた古文書を見てみたら魔王がその魔導国の中に作り出した魔族の国をこの魔導国の地下にあった魔王の力から解放するためだと言い出しその魔導国にいた賢者たちや魔王の配下の者を魔王の武器を使い、この世界の人から強制的に魔王の力の源となる魔素を作り出してしまったのであった。その結果魔族と人間はお互いに争い始めたのであった。そしてその後リリスとラリスとラリシアはその戦いを止める為に立ち向かったがその事で魔族はさらに混乱をして人間に対して強い憎しみを抱き始めていた。しかしラリシアがその事を気に病む必要はなくその事を気にしないで欲しいと言ったがラリシアはそれを聞かずに一人でリリスをラリシアとラリシアの両親の仇を取りたいと旅に出て行ったのである。そしてそのラリシアを一人にするのは危ないと僕は心配でそのラリシアとリリスを追いかけるために魔導国の外に出ようとした時に僕たちの前に現れたのはリリスの母親だった。僕はリリスが母親に会いに行こうとすると思いその母親とラリシアの後を追う事に決めた。

僕がクロと一緒にリリスを追ってこの魔導国の外に行く事を決める前に僕はクロにリリスの母さんの事を聞いたのである。

僕はその事をクロに聞くとクロは僕の事を真剣に見つめたあとでその話をしてくれた。

『私とゼクスの出会ったあの日のこと覚えている? その時に私の事を殺そうとしてきた男の人たちのボスがいたよね?』

「うん。でもあれって本当にただの部下をけしかけて僕を倒そうとしてきただけじゃなかったの?」

僕がそう言うとクロは少しだけ顔をしかめて話を続けた。

「うーん、それが違うんだよねぇ。だってあの男たちのリーダーはゼウの力を手に入れる前は魔導国最強の男でゼクスにその実力は遥かに劣るけれどその部下たちにはそれなりの実力者もいたはずだから」

『まぁその事は後で詳しく話すけれど、そのゼウの力と私たち魔族が魔王様からもらった力には大きな違いがあった。それは魔素に変換されない力と魔素に変えられなくなる力と二つの異なる力があった。その一つ目がこの世界で魔素を魔力に変えてしまう力である』

僕はクロの言った言葉に疑問に思ったので僕は疑問に思ったことを聞いてみることにした。

「えっ!? 魔素に変換できない魔力が使える人なんてこの世界の魔導師にはいないんじゃないの?」

僕はクロに質問をすると答えてくれなかったがその代わりにゼアが自分の考えを話してくれた。

『その力はおそらくこの世界の魔導師の人たちにはまだ使えない。なぜならその力を使うことができるのが魔導師だけではないからだ。もし魔導師の人たちだけその力を持っていたなら今魔導国はとっくに滅びてしまっていたと思う。その魔素をこの世界で作れる力を持っていてもその力を使えばこの世界に存在する魔物は簡単に生み出されてしまう。その力を使わないためにも魔導王は魔王から受け取った魔道具の力を使って魔素の魔石を使ってこの世界に存在している魔導国の魔導師の人たちは魔王の魔道具の力を使ってこの世界には存在していなかった魔導国の魔導王の一族の者以外は魔導師として生きていくことができなくなる。その力が魔素を作り出すという力なんだ』

ゼストはそこまで言うとその力の詳しい内容の説明を始めた。

魔素というのはこの世界では大気中にも存在している力だが、その魔素はこの世界に元々存在していた魔素の魔素と他の世界に元からあった力の素の魔素が存在する。しかしその二種類の魔素を作る力があるからと言っても魔素を作り出す魔素はこの世界だけで存在するものではないからその力が発動すれば魔素を作り出すのを止めなければ世界に存在する全ての生物に影響を及ぼしかねない。

そのため魔素を生み出す魔素は、世界から隔離する魔道具で魔素を作り出さないようにして、その魔導師だけの力として魔導王たちが魔導国に残していった。だけど魔王はその魔導王の魔道具を盗んでいきこの世界に持ち込んでその魔導王の力を手に入れてその魔導師の国を滅ぼしてその力を手にしてしまったのだ。

そして魔導王と魔導王が生み出した魔王とその配下は自分たちの国を作ったが魔導王たちは魔導国に魔王の力を持つ者がこの世界に残っていてその力を抑えつけていた魔王の力はいずれこの世界の魔王の力によって魔導国の人たちはその力を魔王の魔石の核を使って無理やり魔王の魔石を作り上げようと考えていたがそれは不可能だと判断しその魔王の力によってこの世界の人たちは支配されてしまうことを恐れ魔導国の人を助けることを決めた。魔導王とその配下の人たちはその事を知らなかったためこの世界の魔王は自分で作った魔石の核でその世界の人々を魔王にしてしまうつもりだと思い魔王を倒すことにして、その魔導王たちを裏切ってその魔導王たちの国を崩壊に導いたのである。そしてこの世界に残った魔王の力を抑える魔導国の人たちを救うことにしたのだ。そしてこの世界で魔導国の人たちを救おうとする人たちが現れても、魔王の力を持っている人はその魔王の魔石の力と自分の持っている力で魔王の魔導王たちの仲間であった魔導師の人を魔王化することができるのだ。そのため魔導王の仲間は魔王に寝返らない魔導師の人たちを守るために戦っているのだと教えてくれたのである。そして魔王がこの世界に現れた理由は、この世界にも自分たちを裏切り魔導国の国を滅ぼした魔導王やその魔導王の国の人達への復讐のためにこの世界に現れていることをその説明をしてくれて僕とクロにこの事を教えた。

僕はその話を聞く限り魔王がそんなに悪い奴とは思えない。魔導国を滅ぼすように命令をした魔王の杖の所持者の男が悪い人なのだと思った。その男が魔王の力で人間に化けていた魔王だった。その男は魔導王がこの世界の魔王をこの世界の人々にバレないように封印していたことを知りその魔王の力が解き放たれてこの世界を支配しようとしている。その事を魔道国にいる魔王の配下の者に話したら魔導国を助けようと行動し始めたのだろう。その魔導国の王たちも最初は魔導国の国民を救おうとしていたのだが魔王の魔石の核の力を手に入れたことによって自分の力と勘違いしていた魔王が暴走し始め魔導国にいた賢者たちを殺して魔導国の国王と王妃までも殺してしまいその後魔導国の人々と戦争をしようとしたところを僕たちが魔導国に行き、その魔王を倒したのである。

しかし僕たちが倒した魔王の力は消えずに残り今もその魔王の力がどこかにあるらしく僕たちはその魔王を探して止めなければならないのである クロは僕とリリスとラリスの三人が旅をしている間にクロはその旅の途中で見つけたらしい魔族が住む隠れ里でクロナとクロと出会ったのだという。そこでクロナはクロと一緒にクロと同じ境遇にあった魔族の子供たちと一緒に暮らしていたのだけれどある日クロと一緒にいた魔族の男の子の母親が殺されそうになっていた時に助けてあげてからその子たちと仲良なったのだ。それからクロと一緒にクロナとリリスとその母親のクロナの友達になった女の子の五人で一緒に暮らしながら魔族の国から脱出をする方法を考えていたらしいのだが、そんなときにリリスたち三人がクロを誘拐するために襲ってきたのだがその時にリリスの母親のクロナは僕が魔導国に行っている間にその男たちのアジトに乗り込もうとしていてその時クロはクロアに捕まってしまいその男たちのところに連れていかれてしまったのである。

そのリリス達を襲った者たちのリーダーはその時の事件の後すぐに姿を消そうとしていたが、ゼウがリーダーの体を使い動き出し、ゼウの本当の正体が魔王であることをゼスト達に教える。そしてその後ゼウがゼムをこの世界での肉体から別の異世界に転生をする事に決める。そしてその事をリリスに伝えたあとリリスの体に憑依するとクロにリリスの意識を眠らせてこの世界でリリスとしての記憶を残したままこの世界とは違う世界である別の世界にリリスは飛ばされたのだ。そしてゼウはクロの事を気に入っていたのでリリスに憑依した後クロにリリスとしての記憶を残すとクロにリリスのことを頼むと伝えたのである。クロはその言葉を聞きゼクトたちに協力してクロナを魔導国の魔族たちの元へ届ける事になったのである。そしてクロとクロナの二人と一緒に僕たちが向かった先でクロナの母親は魔獣に襲われそうになっているところを偶然僕と出会えた。そしてその時にリリアの母親と出会い、僕が母親たちに事情を説明すると、魔導国へ連れていく事にしたのである。ちなみにクロが言っていたリリスとゼウの体のことについてはクロが言うには僕の身体の中には魔王が宿っているということを教えてくれたので僕とゼクの体が融合したことで魔王と勇者の両方の性質と能力を持つ事ができるようになっていた。つまり魔人と人間の二つの魂を持ち合わせた特別な存在になる事ができたのだ。だけどこの力を使う時は命を削られるという代償もあると言っていたのでこの力をあまり使いたくはなかったのだけど、魔王との戦いでその力が必要になり使うしかなかったのだ。

僕はクロの口からこの話を聞いた時驚いた。なぜなら魔導国はゼストの言った通りで魔導王の魔道具の力で魔素を魔力に変える力と魔王の力によって魔王にされた人々が作り出す魔物が世界に溢れないようその魔力を消す為に魔導王の魔道具の魔道具の力を使っているが、それはこの世界の魔力がなくなるのではなく魔素を魔力に変われないだけの力なので魔導師の人たちは魔王が復活しても魔王に支配されることもないし魔王化することもないのである。

その力は魔導王とその仲間たちの持っていた力で魔王と化した人々はその力のせいで魔王として目覚めてしまっていてその力を使おうとする者を止める為に魔導王の仲間たちはこの世界で魔王の力を封印する為の魔道具を探したが見つからなくて魔王の復活を止められず魔王が復活した事で魔導国が滅ぼされてしまったが、この世界の人々はその魔王の魔石がどこで作られているのかは知らずその魔王の魔石を魔王の杖と呼んでいるのだとクロが言った。

クロの話を聞く限りだとこの世界で魔導国の人を助けるために僕が戦う相手はその魔王の配下の一人である魔導師の男とこの世界で魔王となっている男とその魔王の手下が魔導国の魔導王やその魔導王の仲間の魔導師や魔王の配下たちを倒すために戦おうとしているということになる。その魔王の魔石の杖というのを持っている魔導国の人たちを助ければ、その人たちもこの世界の人々が魔王の魔石の力を使わずに済むのかもしれない。

『魔王と魔導王たちの仲間であった魔導師たちを倒して魔王の魔石の力がこの世界にばらまかれる前に回収してそれを全て破壊してこの世界にある全ての魔素が魔王の力によって作られることを止めなければならないんだ。そして魔導国にいる人たちを救うことができる』

ゼストはそこまで言うとこの世界で魔王の力を持った魔導師の魔導王と魔導師の男、それとこの世界に元々いる魔王を復活させようとする魔王とその配下の者と戦う覚悟はあるかと言う。そして魔王の力を持った魔導師であるその男はこの世界の魔王として復活し始めているので僕たちはその力を完全に封印するべく、そして魔導国の人達を救う為にも魔王と戦わなければならないことを告げてきたのである。その事を聞いてクロの表情が変わった クロはこの話を聞いて魔王の配下と戦っても勝ち目がない事を告げると僕は魔王の杖を持つ者たちを倒さなければその男も倒せない事を告げる。だけどこのままだと確実に負けるとクロは言うが、魔王の力で蘇りそうな者たちの居場所を突き止めてそいつらを先に倒すことはできないだろうかと提案をする。

しかし僕はクロの提案を否定する。なぜならばこの世界の人を救うためにも、魔王を倒すためにはどうしても魔道国の人たちを助けないとダメなのだ。それにクロに聞くと、この世界の人たちに被害を与えるようなことは魔道国では起こってはいなかったらしくゼウもその事を気にしていたらしいのだが、その事をゼストに話すとゼトは魔王が世界を支配するためではなく自分の復讐のためだけの為にこの世界を混乱させる目的で動いているのではないかと推測をしていた。だからその復讐のために自分の配下の魔導師に魔王を倒させて魔王の力が世界中に広がってしまう危険を避けるために魔導王たちの魔道具の魔道具を破壊していたのだとゼクトは予想したのだ。それを聞いた僕たちはこの世界に住む人々を救いたいという思いと復讐のためにこの世界に魔王を呼び込もうとする魔王の復讐を果たそうとする男のどちらを選ぶべきか迷ってしまう。その話をしている最中にも魔導王と魔導王と手下の魔導師と魔王軍の配下たちがこの世界で動き始めようとしていた。

そして僕は魔王を召喚しようと魔導王の魔導王を操った魔王を倒せる唯一の方法は魔導王の杖の破壊しか方法がないというとクロナが僕たちに協力すると言いだす。その事は僕とリリスとラリスの三人で魔導王とその部下の魔導師たちと魔王軍と戦っている魔導国の人達を助けるべきだと思い魔族たちが暮らしているという隠れ里に向かい魔王軍との戦いに協力してもらえるようにお願いをするために魔族たちと話し合いをすることにし僕たちもクロナに同行してその場所に向かったのである。

リリスがゼクスの背中に乗り、僕たちは隠れ里に向かうと隠れ里に着いたとき魔導国と魔導国の戦争が始まったので僕たちは隠れ里の人々の避難を手伝ったのである。それから隠れ里の人々と一緒に隠れ里で待っていたゼナと一緒に隠れ里に魔導王の配下が現れたという知らせがきた魔族たちが暮らす村に向かって走り出すと、魔族と人間が一緒に魔導国に行こうと移動を始める。そして魔導国に着くと、僕たちは魔導国にいるはずの魔導王の杖を盗もうとする人間たちがいないか探し回ると魔族たちは隠れ里にいるはずなので魔導王の杖が盗まれたとは考えられないと言っていて僕たちがこの国にいなかった理由を訊ねられる。

そしてゼナがゼクトに言われてクロアの救出に行ったこととクロアを攫おうとした男たちと戦っていたことを魔導国の人に説明をしているとゼクトはリリスとクロとラリスの三人の実力が他の魔族と比べてあまりにも強く感じていたのでクロアと一緒に旅をしている間に強い奴らに出会ってクロが殺されそうになった時のことも考え、僕たちと旅をしている時にクロアと一緒に魔導国に来るように言っていたという事を伝えるのだった。すると隠れ里にいたゼナはゼクの言葉を信じゼクたちと一緒に旅に出ることにしたのである。すると隠れ里の魔族の長老と名乗る人が、隠れ里で暴れている連中を見つけ出したら協力してくれと言ったので僕達は了承すると、まずは魔王の杖を持って逃げたと思われる者たちを見つけるためにその者がいる可能性のある場所へ向かう事にした。するとその時一人の魔導師風の男が逃げ出そうとしたところにラリアと出会った。どうやらその男を追ってここまで来ていてラリアはその男が魔族の人たちから奪ったという魔王の力が入った魔石を取り戻そうとしていてその男を追いかけていたのであった ラリアはリリスと僕の目の前に突然現れてその男は私が追っていた相手だといいリリスと僕が捕まえるのを手伝うので私も一緒に連れて行ってほしいと僕たちに言ってきたのである。

僕はリリスとラリアと共にその魔導師の魔導王から杖を奪い返した。しかしその魔導王はリリスのことを魔導王が魔王の力で生み出した最強の魔獣の魔核で作られたホムンクルスと知って戦いを挑んできてリリアと僕はリリスと一緒にその戦いに参戦したのである。

そしてリリスとリリアの二人と一緒に魔王と魔王の部下が作り出している魔獣たちを相手にリリスは剣で、リリアと僕は魔銃を使い、魔獣たちに攻撃をしていった。だが、リリスが使っている魔刀は魔力の込め方次第でどんなものでも斬ることができる魔道具で、しかも魔王の魔石の力によってその威力は桁違いのものになっており、この国の魔導師たちの力を合わせても太刀打ちができないほどの強さを持っていたのである。その事を知った魔導王は自分の持つ杖と魔道具の力を解放しようとしたのだが僕は魔王の力を使える魔導王とその配下たちに杖を破壊されない為に魔王の杖の回収を行い魔導王を倒した。

ゼストが言うには魔王の力を得た男に対抗できる力を持つ武器を手に入れることができればその杖が破壊される前に魔王の力で強化された杖を取り戻すことができると言っていた。

だけどゼストが言った通りでこの世界で魔王の力で復活をしようとしている男に対してこの世界にもともと存在する力で魔王に対抗する事は難しいと思えた。だからその魔王の配下が持っている力に対抗するためには魔王が復活する前の世界に元々いた魔王の力を得る必要があるのではないかと考えていたのである。その話を聞くとクロは、元の世界に戻っても元の体に戻ったときにその体に何か異変が起きる可能性が高いので別の世界に行く方が安全かもしれないけどクロはそれでもいいのかと尋ねてくると、クロはその問いかけに迷いもせず行くと言い出しリリスとラリスもそれに賛成したのでリリスたちを連れて行くことにしリリスたちは別世界の僕が作り出した異世界へ転送する魔道具がある部屋まで向かうことになったのである。

そして僕たちはゼムや魔族たちの協力を得て魔族の村に戻るとゼアたちがこの世界にある魔王の力を持った魔石を集めるために行動を始めていて、僕はそんなゼアたちが集めた魔王の力で強化されつつある杖を持っている者たちとこれからこの世界に来て魔導王の配下として魔王軍に加わった魔王の力を持った男との戦いに備える為にも、ゼアと魔族たちは魔王軍を倒す為の準備を行う為に魔王の魔石の回収を行っていたのである。だけど、魔導国の魔導師が使っていた魔王の力の入っている魔王の魔石の力は強大でありゼストたちの魔導師の力を借りて集めてきた魔王の魔石の力が詰まった箱が置いてある部屋にある装置の魔石が反応しその装置を使って魔導国の中にある魔王の力を宿した魔石の回収を行った。だけど魔導国の中には既に魔王軍が侵入していて魔王の力によって復活した魔導王とその配下の魔導師たちはこの世界を支配するためにある事を始めていた。その事は魔導国が魔王に支配されている国で今魔導国では、その魔導王たちが作り上げようとしている魔導国に魔導王たちの手先が魔王軍を率いる王としてこの世界に君臨しようと魔道具による実験を繰り返していたのである。そしてそんな実験に使われていた魔道具に僕は見覚えがあった。その道具の名前は『闇の宝珠』といって闇の魔法を発動させる道具であった

「どうしてここにこんな物が落ちているんだ!?もしかして魔王がここで作ろうとしている道具はもしかしてこの闇の宝珠なんじゃ」僕がその言葉を発するとクロは僕に説明してくれたのである クロの説明によると僕が魔王を倒すための切り札の一つとしていたあの魔石と同じような性質をもった闇の魔素を増幅させ闇の魔法を使えるようにするために使われる魔道具が作られていたのだ

「そういえばクロアさんを拉致しようとした奴らが言っていたよな、お前の大切な人を連れてこいと言われたとか、確かそいつらのボスは魔道王とかいっていたが、まさかこの国の中に魔王軍の配下がいるとはな」その話を聞いた僕はその事を考えると魔王軍の力が増していくのを止めなければいけなくなる。それを防ぐためにも魔導国を早く救う必要があると思った。

すると、僕たちが魔王の配下が作った魔道具の実験に使われて壊れかけていたその魔道具の魔導師の一人に近づき回復させようとしたときだった。

「君たちのおかげでようやく私は助かった。これで魔王の力を手に入れられたぞ!!」魔導王は自分の手に入れた力を確かめる為に魔王の杖を取り込むために魔道王の元に行こうとしたのだ。僕たちが魔導王に攻撃を仕掛けようとするとゼクスは僕を止めると、魔導王は僕たちと戦うつもりはないと言うので僕たちはとりあえず魔導王の行動を見張る事にしたのだ。そして魔導王は魔王の力で自分の手先となっている魔導師にこの国の人達が持っていた魔王の力が入った魔石を自分の中に入れるように指示をした。するとゼクスが言っていたように魔導王の体は魔王の力で体が変化しているので、その変化を利用して取り込んだ魔王の魔石の力で魔導王の体をより強い存在に変化させようとしていたのである。それから魔導王の魔導師が魔王の魔石を体内に取り込み始めるとその魔導師の姿が変化していきその変化した姿を見て僕は驚きを隠せないでいた。それはその姿が僕がよく知っている姿にそっくりだったからだ。その事を確認するために僕はその魔導師に向かって声をかけた。するとその男は魔導王の側近だということがわかり僕たちはすぐに魔導王の配下であるこの男に話しかけるのをやめるように言うと、この魔導師はこの国の中で魔王の力を最も強く持った魔導王と呼ばれる男の僕が倒したはずの魔王を召喚して魔導国を乗っ取る計画を阻止しにやってきたと伝えてきて、その事を話すのであった。

魔導王の部下となったその魔導師の男は僕たちがその魔導王を倒してくれたことに感謝をしていると言い、その感謝の気持ちを示すかのように僕に近づいてきて僕の唇に口づけをしたのである。

その瞬間、僕の心が一瞬のうちに支配されるような感覚に襲われた。その事に戸惑った僕は必死にそのキスから逃れようとしたが僕は抵抗できなかったのである。

クロが、魔導王の部下が持っている魔王の魔石を奪おうとしたが魔導王は、その魔導王とゼスト達が言っていたように魔王の魔石を取り込んだ事により魔導王が本来持ち合わせていた強さと知識を得たことにより、その力は魔導王のほうが上回っていたらしく、ゼストとゼクトとクロの三人がかりでも魔導王の部下であるその魔導師を倒すことができなかった。

僕は魔導王が自分の体から出てきた闇が僕の体の中に入っていくのを感じた。

僕は自分の中に入っている魔王の力の影響で僕が今まで培ってきた剣術や武術などの知識を全て失いただの人間に戻ってしまった。だが、それと同時に僕はこの世界の全ての魔素と融合した魔王の力を手に入れたのだった。それにより僕は魔王の力と魔力を手にしただけではなく魔導王と同じ能力を得たのである。

そして僕はゼクトとクロが僕の事を心配する声を聞いて僕の事を助けてくれてありがとうと言い、僕の中にあった魔導王から奪い取った力も全て僕の中に戻してくれたことを僕はゼストたちに礼を言ったのである。

僕は魔王の力で得た力に馴染むためにこの世界の様々な場所に旅に出て修行をして力をつけたいと思っているので、しばらくの間ゼクトたちと別れるとゼクトに伝えた。その事にクロとリリスとラリスの四人は、しばらくしたらゼクトと一緒に迎えに来るとゼクに約束をして魔王の魔石を保管するために作られている城に戻っていったのであった。そして僕はその城から外に出たのであった。その後ろで、魔王軍の幹部であり魔族最強の存在である魔導王を仲間にし力を得て復活した魔族たちの長にして魔王が復活をしようとしていた。

僕たちが魔導国の中に侵入したことでこの国の魔導王たちは、魔道具を使って僕たちに対抗する手段を作ろうとしていたのだが、そんなことはもう遅いと、僕はこの国を魔族たちから取り戻すことにした。だが魔導王を目の前で倒しその部下を全員倒すことはできなかった。

だけど魔王の杖だけは絶対に奪われない様にゼストに回収を任せ僕は魔王の復活を阻止するためにまずは復活のための儀式が行われると言われている王の間に行く事を決め走り出した。

魔導国の中にある王の間にはすでにたくさんの魔導王の手先が入っており魔族たちの体の中から抜き取られた魔核と、王の間に集められている王や王女たちの心臓の部分に魔王の杖を使い復活の儀式を行っていた。

その復活のために行われている魔族や魔導王の配下の兵士たちとの戦いが始まりその魔導王の配下は僕を見て魔導王の力を手に入れる前に、先に魔王の力を手に入れて魔導王になろうとする魔導王の命令で、僕の力を奪うために立ち向かってきた。僕は魔王の力で強化され強化されたその兵士達に苦戦をしていた。

「どうだ、貴様のその力で俺の力はもっと強くなる!!お前の持つその剣が俺の魔族たちを殺していくほどにな、そして最後には貴様の命も頂くぞ!!」魔導王は魔王の力により魔族たちを次々と強化させ自分の配下にしているようだった。僕は魔王の力でさらに強くなっている兵士に苦戦を強いられていたのである。そんな時、突然ゼクトとクロが現れてゼアも僕を助けるために加勢をしてくれた。僕とゼアたちは協力して魔導王の手下と戦いなんとか撃退することに成功した。

「魔王の力で魔族を強化するだけじゃなくて自分も魔王になることもできるのか、厄介なやつだよ」ゼクトはゼムの作った闇の宝珠の力によって強化されている敵を相手にしていた。

「確かにこの国にある魔王の力は恐ろしいほどの力を感じる、この王の間には魔王軍に対抗するための研究が行われていた形跡もあるしね」僕はその研究が行っていたという部屋に足を踏み入れた。するとその部屋の中央にある台座に杖のような物が置かれていた。

僕はそれをよく見るとそれは間違いなく魔王の力を持った魔導王を倒した時に現れた杖とまったく同じ形をしていて魔王の力の源でもある黒い水晶もついていなかったのである。

「あれってやっぱり魔王の力が宿っている杖なのか?それにしてもこれは魔王の力が封印された杖なのかな?」その疑問を口にするとゼクトは、僕にこう答えてくれた。

「この世界に魔王がいた時代はその杖は杖の形をした魔石として存在していました。しかし今となっては、それがなんでそんな形で残っているかはわかりませんけどおそらくそれこそが、ゼウスが持つ本当の武器のはずだと思うんですよ、あの魔石はゼウさんが持っていますよね」ゼウトはその言葉を聞くと、ゼクスは、そうだよと言って僕が持っていた杖を渡すように言ってきて、僕はそれに従うしかなかった。

するとゼストたちは魔王の力を手に入れたこの国の王様と戦うことに決めて王の間に入った。

「おのれ、わしの邪魔をする愚か者共めが!!」魔導王は、自分の魔素を限界まで吸収させて魔導王の力を更に強めてその魔導王の強さを見た僕は、その強さに驚きながらその強さに対抗できるだけの魔王の力を持っていない自分自身を恨んだ。すると僕は、この魔導国を取り戻すには自分がもっと力をつける必要があると考え、その為にもこの国の人達を救うためにもこの国の王と戦う決意を決めた。そして僕は、この魔導国に捕らわれている王と王女と魔族の人たちを救い出すことを決意した。「みんなはこの魔導王の相手をお願い、こいつは俺一人でやるからさ!!」そう言って僕と魔導王との戦いが始まるのであった。

「おい魔導王とかいう奴がここにいるんだろう、俺はその力を持っているあんたに聞きたいことがあってきたんだが、その話に付き合ってもらうぞ」ゼクトの言葉に、その言葉を聞いていた僕は魔導王に向かって問いかける。

その問いかけに、ゼムは笑い始める。その表情は、ゼクト達に対して怒りと殺意が満ちあふれていた。「何がおかしいんだ?」ゼクトが聞くとゼムは、この国の魔族たちを魔族を騙した上に殺してその魔核を奪い魔王を復活させようとしようとしているこの国の者たちを皆殺しにする為にゼスト達が魔族を殺した時に魔族が発していた波動の残滓を辿ってきたと言う。するとゼフトの目の前にいるのはかつての仲間である魔導王である事を伝える。

魔導王は自分が魔族であると嘘をついた魔導師や騎士や魔導師が操っていたこの国にいた魔族を騙し魔核を抜き取って魔素と混ぜ合わせて魔導国を乗っ取ろうとした事を白状するのであった。そして魔導王は魔王の力を手に入れた事により魔導王に進化したのだと告げるのであった。

その魔導王の発言を聞いた僕は、魔王の力を手に入れた事により自分はもう普通の人間ではないから、ゼムは自分を倒して魔核と力を手に入れれば魔王になれると思っているのかと質問をしたところ魔導王はその通りだと答えた。その魔導王の反応にゼスト達は怒りをあらわにした。

僕はこの国に来てこの国の人を見てきたが、この国の人たちからは悪感情などは感じる事ができず、悪い人間がいない事を知っているだけにゼクトとクロアとリリスとラリスにクロエ以外の三人に対して怒っていた。

「あなた達の行動は間違っています!!私はクロエとラリスです、私達に何か言いたい事があるのであれば、直接クロネとクロトのところへ来てください、ここであなたたちがこの国の人を苦しめても何も得るものは無いのですから、クロとクロリアのところにきて欲しいんです!!」クロは、ゼストとクロアの二人の所に行きたかったからか魔導王とその仲間に文句を言いに行った。

クロの言葉で、ゼストが魔導王から魔石を奪おうとしている目的を理解できないでいた魔導王はそんなことは無意味だと言って魔導王は自分の魔石を奪おうとする魔導王たちに襲い掛かるのだった。

ゼクトは魔王の力で強化されたその魔導王と戦わずにゼストとゼストの師匠と弟弟子であるゼオとクロの二人と協力してゼムが作りだした闇で作られた剣の斬撃を避けるのだった。そしてゼストは、魔導王が自分の事を魔族と認めない事に対して激怒していた。「貴様はなぜこの世界では人間ではなく魔族として生きなければならないのか、この世界の人間よりも強い力を手に入れた魔族であるお前がどうしてこの世界の人間である俺の事を、人間の敵である魔族だと決めつけるようなことを言うんだよ、この世界で俺たちはずっとこの世界の人々の敵では無かっただろうが、魔族だからと差別するような考えをしているならお前は俺達の敵になるしか無いな、この国はお前の居場所じゃなく俺とゼクトの物になるんだから、この国が欲しくてたまらないんだろう?」ゼートの言葉にその男は動揺するが、ゼストがゼストに攻撃を仕掛けてきてゼストの攻撃をなんとか避けるがそれでも完全に避けられず、その攻撃を受けたゼムだったがゼアがすぐに回復する魔法をかける事で、その男に傷はなかった。そして魔導王は、魔王の力を使って魔導王を強化しようとするが、その強化された魔導王の力を見ても、クロアたちは恐怖心を覚えることなく魔導王と対峙することができた。

「この国の魔族は確かに人間にとって危険な存在なのかもしれませんが、私たちとこの人たちは、この国の住民たちとは戦いたくはありません、でもあなたの事は、絶対に許すつもりは有りません」クロのその言葉に魔導王はさらに激昂したが、その怒りに震えていた魔導王の体は急に熱くなったのである。

「なんじゃ、体が、あつくなってくる、ぐぅ、これはまさか」魔導王がそう口にするとその魔導王の様子が変わった。その変化にいち早く気づいたゼクトがその魔導王に剣を向けると、「お前、もしかして魔族じゃなくて、魔人の生き残りなのか?それじゃお前の持っている魔核とこの杖が、俺にとっては宝の持ち腐れだな」そう言ってその魔導王を倒そうとした。その行動にゼクトは躊躇する事なく攻撃を開始したのだった。ゼクトは自分が魔王の力を手に入れるためだけではなく、ゼクトの本当の目的の為にもなるのでその男の魔核を奪ってしまえばゼクトの目的が果たせる事になるがゼクトはゼムの事を魔族だと思い込んでいるために殺すのではなく気絶させようとした。だがゼクトは魔導王の変化を見てその変化が、自分の持つ闇の宝珠が関係しているかもしれないと予想して自分の闇の宝珠を使おうとしたがそれをゼクトの魔導王を殺すのを我慢して止めたゼクトは、その闇の宝珠の力を使わなかった。そして、ゼクトはゼムにこの男が魔人である事を教える。そしてこの男はこの魔導国を作ったと言われている古代に存在した最強の勇者の末裔らしいと言う情報をゼウトとクロとラトリスに伝えた。そしてゼウトは、ゼムの事を教えてもらいたいと頼んだのだがゼウトはそれを断るもゼストはその理由を聞き出したかったが、今はそんな話をしていれば自分が殺されてしまうと判断してまずは目の前で起こっている戦闘に集中して考える事にするのであった。しかしそこで、クロアがこう言う「あのね、もしかしたらあの人ってゼムさんじゃないと思うの、だってさっきまで私に話しかけてきたあの人の雰囲気と今戦っている魔族の人が同一人物には見えないから、ゼクトに言われて気が付いたんだけどさ」

クロの発言により魔導王と戦っているゼクト達全員がゼムが魔人ではないと考えるようになったのである。ゼムの正体が何なのかは分からないが少なくともゼムではない事はわかった。そしてそのゼムに似たその人物は、魔族が嫌いだと言ってその男を殺そうとした。

魔族と人間との戦いを止めさせるためにゼムはそのゼスト達と会話を試みたが、そんな事は無理だというゼストの言葉にゼムはさらに怒りをあらわにしてしまうがゼクトは自分が持っている魔王の力を使えばその怒りをおさめることができると考えた。だが魔王の力は魔王の力を持つゼウ以外の人間が使えば命を落としてしまいかねないので、魔王の力を他人に使う事はできないが、自分の力でこの魔族と人間の争いを止める事ができるとゼクト達は思った。

ゼムの言葉に対して、クロトが「ゼストはあなたと同じような事を考えてこの国の人々を魔族の魔核を奪いこの国の人達を苦しめようとしている人たちがいるのを分かっていながら何もせずに見て見ぬふりをしていたのよ、それでよくゼストに魔王になってほしいとか、ゼクトがこの世界を魔族に乗っ取られてもいいと思っているのかとか言えたものよね、あなたにその資格があるのかどうかは知らないけど、ゼストは魔王にはなれないわ」

ゼクトにそんな発言をしてきたのであった。そのクロの言葉に対してゼストが反論しようとしたがその前にゼムが怒りをあらわにして、ゼクトとゼムに襲いかかる。ゼムはゼストに攻撃を仕掛ける直前に「お主は本当に愚かだ」その一言を口にしてからゼムは、その魔王の力で強大になった魔導王を一人で倒しに行くのだった。

「あなた達が何を企んでいるのかはわかりましたが私としてはゼム様の為にもあなた達に邪魔をされないようにしなければならないんです、この魔人の姿になってからの私の強さを感じ取れないわけではありますまい」魔導王はそんな言葉をゼストに言い放ったがそんな事を言っている間に魔導王は一瞬で距離を詰めるとゼクトを攻撃していた。ゼクトはそれを避けようとしたが避けきれずにダメージを受けたが、クロリアの回復魔法によりなんとか傷を負うことは無くなる。

クロは、ゼクトに魔導王にダメージを与えられる方法を教えたがゼクトにそれは通用しなかった。

「おい魔導王だかなんだか知らないがお前がどれだけ強いのか知らねえけどな、クロアとクロがいればお前なんぞ簡単に潰せるんだよ、この俺達三人の連携がどれだけ強いかをお前の体に刻み付けてやるから覚悟しとけよ」そう言った後に、クロは神槍の槍技を使った。

「魔弾乱舞!!」神槍の神速の攻撃が魔導王に向かって放たれたのだ。しかしその攻撃をその魔導王は防ぎ、魔剣でその攻撃を防ぎ、魔杖から光と闇が混ざったレーザーを放つがクロトが、その光線の軌道を変える。

魔導王は自分の攻撃をゼストとクロに妨害されたのでその二人は魔人の攻撃を受けて死ぬと思っていたが、ゼストとクロはクロリアの補助を受ける事で魔人との闘いで苦戦はしたもののその攻撃を回避していた。そして、ゼクトが持っていた魔王の力を魔導王に向けるのと同時にゼストも魔剣の魔石を発動させていて魔剣に魔力を流し込んだ。ゼムとゼムに似ているその男も、魔人なので魔王の力に耐えられた。しかしクロトはそんな魔導王をゼストと一緒に倒すのを手伝おうとはしない。その理由としては、ゼムは、ゼストとクロとリリスの三人に対してゼムが人間だと言い張りゼストとクロにその事を伝えた。そのゼムの話にクロアは信じられないと思いながら話を聞いているとゼオが突然動き出した。その動き出した理由は、その魔族である男の武器がゼクトが作り出した魔剣で、その男がゼムがゼストに魔石を奪わせようとした時にその男が魔族である事を知っていたゼクトがなぜ魔核を奪ったのかゼクトはゼムからその男に質問する為に、そしてゼクトは、なぜこの国を乗っ取りこの世界の人間たちに戦いを挑むつもりなのかという質問をしたがゼルトが答えようとはせず魔人化した男はゼクトと戦い始めてしまった。その魔人はゼムに攻撃しようとしてゼムは魔人の攻撃から守ろうとしていたがその攻撃を防ぐことはできなかったがそれでも魔人の攻撃をゼクトに当たらせないようゼクトは、自分の身を盾にして魔人からの攻撃を受けていた。しかし、そのゼムの行動にクロアは激怒するがクロはクロアが怒るのは仕方がないと言う。だが、ゼムがこの国の人々の為を思い魔人を自分の中に受け入れたというのをクロアはクロアとクロとラトリスに教える。それを聞いたクロアとクロとラトリスはクロの話しに嘘はないと分かり魔導王との戦闘を開始する。

「お前がどんな存在であろうと関係ないんだよ、この魔族に魂を売って俺達の邪魔をするんなら、その体を切り裂いて魔核を取り出してぶっ壊すだけだ」クロが魔導王にそう宣言すると魔導王は「私の体がただ斬れるだけなら、そんな言葉は出てこないだろう」そう言うと、魔導王の姿は変わり始める。

そのゼムとよく似た男の体の全身の筋肉が膨張して身長も高くなる。そして魔人化した男はクロアがゼストに与えた神器と同じ魔導王の腕輪をその魔人となった男は身に着けているのがクロトとゼストにわかるとゼストはその腕輪の事が魔道具でありゼムも使っていると言う事はその魔導王の力が魔王ゼウスと関係があるのではないかと考える。そして、そのゼウの配下のゼムとその魔王軍の幹部の一人にそっくりの男と魔族がゼムが持っている力を使うために作ったと思われる魔導王に変化して魔導王と戦う事になったのである。

魔導王となった魔導王がクロとゼクトの前に現れる。

ゼムの事を魔導王と呼ぶゼクトは魔導王に対して攻撃を仕掛けるのだが、その攻撃に対してゼムはゼクトの持っている剣が自分と同じ能力を持っている魔導王に対して有効な武器になりうるのではと考えていた。ゼムが考えたようにゼストはゼクトと魔導王が持つ魔剣が同じものであるとすぐにわかった。

そしてゼムが魔王の力を使えるようになるまでは、クロアとクロがゼクトと共にゼムを守って戦ってくれているがゼクトはその戦いの中で自分の体の限界を感じた。それはクロが魔王の能力を解放していない状態でゼクトと魔導王の間に入り、魔導王と闘っていたからだ。魔導王には、魔王の力を使わない状態のクロアとクロは簡単に殺されてしまうのがわかったのでゼクトは、魔王の力を解放するように言うとクロは、「まだ早いよ」とそう言ったがゼクトとクロがこの魔導国の王城にあるらしい神の宝玉を手に入れてしまえば後はクロとクロアが魔導王を倒してくれるはずなのだが、ゼクトはクロの言葉を信用していなかったのでゼクトは、自分がこの魔王の力を使いこなせるように魔王の力を引き出す訓練を始めようと思ったのであった。ゼクトがクロにクロが魔王の力を扱えるまで時間を稼いでくれるように頼むとクロトがゼクトに何かを伝えようとすると、突如ゼクトに魔導王の攻撃が襲い掛かってくるがクロは魔導王の動きを見てゼクトが危険だと判断したのか魔導王に近づき攻撃を加えるが魔導王には通用しなかった。

魔導王は、魔人化して魔王の力を持つゼムの姿になる前の状態よりはるかに強化されていた。魔王の力を自分の物にした魔導王はクロを一瞬で倒してしまった。その光景をゼクトが見ているとゼムが魔導王と戦っている。ゼムの体に異変が起こる、ゼクトはそのゼストの体が震えていることに気がつく、その現象は、魔王の力を自分の物として完全に扱うための準備段階だ。

クロトもクロも魔人の魔王ゼムに対して攻撃を加えてゼムを庇おうとする。そんな時、クロトとクロの後ろから、ゼムに魔王の力で強大になった拳を向けてきたゼクトの事を魔王は見逃さなかった。

「魔王化」その声が聞こえてきた。クロトもクロもゼムの事を守る事は出来なかったがゼムがゼクトを守るために魔王化した瞬間の隙を利用して魔導王から距離をとるのに成功したがクロトもクロもゼクトが心配だった。なぜなら魔導王によってゼクトの体はボロボロになっておりクロトがゼストを回復させたが回復しきれておらずクロトの回復でも完全ではないほど、魔王の力は強大になっている。魔王の力で強化されたゼクトの姿を見て魔王化したゼムの表情は、まるで魔王の力を扱いきれずに暴走しているように見えるがゼクトもゼストの意識があるように思えるとクロとクロトはクロトが魔王化しそうな事を察知したがクロとクロリアが止める前にクロとクロはゼムと魔王が戦う場所に行こうとするがクロは二人を制止させようとするが二人はクロが静止しようとするのも聞かずにその二人の後を追ってしまう。クロがゼムと魔王の所に行きクロはクロリアの回復魔法とクロとクロが使う回復魔法の同時併用を行うがやはり傷を治しきれないクロリアは、ゼクトとゼムに魔弾と聖光と闇の魔法を混ぜ合わせゼクトとゼムに向けて放とうとしているクロとクロに魔法を詠唱しながら向かっていくがクロトがクロから魔法を奪う。

その事でゼクトとクロに魔法をぶつけようとしていたクロは、魔人に変化したゼノに魔弾を放ちその攻撃を防がれてしまった。そして魔人と化したゼムは魔導王を睨みつけながらゼルトの体から飛び出して行きゼクトに向かっていった。

魔人化したゼノとクロの戦いは、互角で魔人化したゼノは魔王化したゼムに一撃を加えていた。クロがその事に驚くと、ゼストがクロの側に来てゼクトが今魔王化したゼノと戦ったらどうなるのか聞くとゼクトは魔王の力がどれだけ強いかを知っているゼストはゼクトと魔王が戦った時の事を考えている。

ゼクトは魔王との戦いで自分の力の限界を感じている、今の自分にゼルトの体が耐え切れるのか?と。魔王の力を完全に使いこなす事ができていればそんな悩みなど生まれないだろう。ゼクトの体は限界を迎えており、魔王の力が発動するたびに肉体への負荷が大きいのもわかっていたのに自分の限界を試したいと思ってしまったのだ。しかしゼントとクロトとリリスに止められた。そんな状況の中、魔導王がゼクトに攻撃を仕掛けてくるがゼストは、魔王の力と一体化してしまい、ゼストの体の中に入った魔王ゼストは、ゼクトが魔王の力を発動させたのが分かった。その事で、クロとクロアはゼクトの元に向おうとしていたがその事をクロトが止めようとしたが、ゼクトは自分の命を使ってでも、魔王ゼムを倒すつもりであり魔王の力を完璧に引き出す為には必要だとそう思い魔王ゼストは、自分の力を解き放つのであった。その結果、ゼクトが魔王の力を完璧に操る事は出来ずゼクトの体に凄まじい負荷がかかったのは確かだが魔王ゼストは魔導王の攻撃をすべて避ける事ができたのである。

ゼクトの身体能力は常人を遥かに超える程上がっていた、それは普通の人が感じる痛みや疲労すら感じなくなってしまい普通なら動けない程の怪我をしても動こうと思えば動く事ができるようになっていたのだがそれは人間という枠から外れてしまっている事を意味している、しかしそれを本人は気にしておらず自分の力を高めようとひたすら鍛え続けていたのだがそれだけではなく魔族の国に残されていた本を読んでその技術を身に付けたりもした。そしてゼクトとクロは、魔王と魔導王がお互いの命を削るような戦いを行っている最中クロの方に魔導王が迫ってきてクロトの目の前で魔人化したゼムが戦っているのを見てクロはゼクトの元に向かおうとするとクロとクロオとゼアも、この国の現状を変えなければならないと思いクロトと一緒にゼクトを助けるために向かったのだった。

そしてゼア達はゼクトに近づいていき助けるために近づこうとするとゼクトはその四人に気がつき「早く離れてください!巻き込まれますよ!」とそう叫んだ直後だったゼルトの周りに結界を張りクロト達に防御を行った、その直後魔導王の技である闇と光の力が混ざり合いそれが一つになり強力な攻撃となって襲いかかった。その事に対して四人はゼクトの張ってくれた結界により守られたが衝撃だけは殺せなかった、しかしその衝撃はゼクトの張ってくれた結界のおかげで何とか凌ぐことができた。そのゼクトの張ってくれた強固な結界を見てゼストとゼムが魔王化したのを見た四人だった。そして魔導王の攻撃を防いだ魔導王は、再びゼクトの所に攻撃を仕掛けようとしたその時ゼクトが魔導王に向かって行った。

ゼクトは、魔王の力を使い魔導王に攻撃を与えていく、魔導王もそれに応戦してお互いに譲らず、そしてその魔導王の攻撃が当たったのを見てクロとクロアとゼアが援護に入ろうとするがクロはゼストの事が心配なのでゼクトが危なくなったらすぐにクロとクロリアが回復に入る準備をしておけば良いだろうと思った。クロがゼクトと魔導王の戦闘を見守っていると、クロとクロトに話しかけてくる者がいた、その者はゼストの仲間達であり魔族の国の住人でもあった者達で彼らはゼクトを助けたいと言う。

その者達がなぜゼストに助けを求めなかったのには理由があり、そのゼストがゼムと闘っていた時はゼストが魔王の力を発動させようとしていたので迂闊に手を出せば自分たちにも危害が及ぶ可能性があるからとそんな考えを持っていたのかもしれない、だからと言って何もしないのも嫌だったらしく魔導王とゼクトが闘いを始めた直後にクロとクロリアの所に駆け寄ってきたのである。クロとクロアは突然やってきた魔族達の事に驚いた表情をしていたがクロとクロリアがゼクトの所に向かいたかったがクロトがゼアの方をじっと見ていたので、仕方なくゼアに自分達を魔王城に連れて行ってくれるように頼み込むと、ゼアはゼクトが魔導王との戦いに勝利するまでは待っていて欲しいとお願いをした、そしてゼアとクロとクロトに魔王軍幹部が魔王ゼノと魔導王と戦闘を開始したから加勢をしてほしいと言われてしまうと断れなかった。なぜなら魔王軍の魔族がゼクトの邪魔にならないようにと魔獣を出現させてゼルトを襲おうとしたからである。ゼストは魔導王との戦闘を行い魔導王を倒してしまった。ゼクトとゼムと魔導王は三対一の状況になる。魔導王が魔王ゼクトの体を乗っ取るとクロとクロアは急いでゼクトの所に向かおうとするがクロは、魔人の魔王が放った魔弾と魔人が使う禁呪と呼ばれる闇の魔法と光の魔法の二つの呪文が混ざった攻撃がクロとクロリアに迫ってきたのである。しかしそこに現れたのは魔人の姿に変身し魔王の力を自分の物にしている魔王化したゼムの魔導王と同じ闇の魔法と光の魔法の力を混ぜ合わせて作られた魔導王と同等の力を持つ魔法だったのだった。そしてゼムはクロトにその魔導王と同等の威力を持つ魔弾を放つように指示するとクロはゼストを心配に思いつつもゼストに頼まれた通りクロは、ゼストが使った魔導王と同等な威力を持っている魔法を魔導王と魔王に放とうとする、だが魔王化したゼストが、クロの魔銃を自分の手で破壊してしまい、魔王化した魔導王と魔王ゼストとの決着をつけるために再び魔導王に攻撃を仕掛けた。そして魔導王も魔王ゼムと魔導士に自分の体を任せると、ゼムの魔銃を素手のまま殴り壊してしまうと今度は魔人と魔王化してしまったゼムに魔導王は自分の魔力を最大限に引き出しながら攻撃を仕掛けたのであった。魔人と魔王化の力を開放し続けている魔導王が互角以上にやり合っているとクロは思った。その事に関してクロは魔導王の実力が高い事はわかっていたが、それ以上にゼストが使っている魔王の力を使っている魔導王の方が、魔導王よりも格段と強くなっている事を確信する。魔導王はゼムがゼクトに魔王の力を発動させ魔王化した事に驚く、しかしゼクトが本気で自分とゼムと魔導王を相手にしようと思っておりその覚悟を感じたからこそゼストの体に負担がかかる魔王の力を自分の力で封印した。その魔導王の動きに気がついたクロは、魔導王の行動を褒めると共にゼクトを気にするのだった。

魔導王とゼムの戦いを見守るクロとクロアは魔導王が魔王の力を封印した事で安心した。

その事によりクロは、魔人と魔王に止めを刺す為の行動を開始しようと考える、クロトに魔王に攻撃を与える様に指示を出したクロだったがクロトがゼクトの元に魔王が向かう事を予測できなかったのは事実であり、魔王は魔王の剣を地面に刺しその力を利用して空に飛び上がってしまう、ゼクトと魔導王も魔王を追いかけようとしたがゼクトと魔導王と魔人と魔王とゼクトの五人が動きを止めると、魔王ゼストがゼクトに「少し時間を稼いでください」と一言言うと魔王ゼストが魔王に攻撃を繰り出していた。魔王ゼストの繰り出す攻撃を受けながらも、魔王は自分の持つ闇と光の属性の力と神力と妖力の力を利用し魔人となった魔人を追い詰めていく。

そして魔王は魔王ゼストに自分の魔装と魔王の杖と闇衣を貸し与え自分の武器を使って戦えと言う、その言葉を聞いてしまった魔導王は、魔人化している自分の肉体ではゼクトと魔王の闘いに参加できないのを察してしまい、魔導王の言う通りに魔導王の魔王の装備を使って魔人に対抗しようとするのであった。

ゼクトの目の前に現れた二人の男達のうち、黒い髪をした男は魔王ゼクスと名乗りもう一人は魔導王だと名乗ったのであった。魔王は魔導王と戦いたいと申し出るのだが魔導王は魔人のゼストと先に戦うべきだと考え魔王は魔王ゼストと戦ってくれと言い返すと、魔人は納得がいかなかったのか、魔王ゼクトと魔王と戦えばいいだろうと魔導王に文句を言うと、ゼクトが魔人のゼストと魔王の魔導王を同時に相手にしても勝てると断言したので魔王と魔導王は、魔人がそこまで強いのかと疑いの気持ちを抱いてしまったが、魔人がそれほどまでに強ければこの世界の秩序を守る事が出来るのではないかと思うのであった。しかし、その前に魔王ゼクトは魔王に魔人の魔導王とゼクトの三人がかりでも倒せる自信はあるかと質問をした、そしてその答えは魔王と魔導王はゼクトに勝つことは出来ないが倒す事はできると言う内容だったので魔王ゼクトはその回答を聞き魔王と魔導王の二人は魔人の魔導王の方に意識を向け始めた。魔王ゼクトは魔導王の方に向かって行こうとすると、クロトとクロアがクロを助けてくれた事に感謝をし二人を連れて行っても良いかと確認を取ったところクロとクロアとゼアが了承をしてくれた。それを見たクロトがゼクトに魔導王の方に自分が連れて行きましょうと言ったのである。魔導王と戦う事になった魔王はゼクトの邪魔にならないように魔導王と魔人に戦いを挑むのだった。魔導王も魔王に邪魔されないで戦える相手として魔人に攻撃を仕掛ける事にするのだった。

そして魔王が魔導王に向かって走り出し魔王の杖を振るい攻撃を仕掛けると魔導王は闇の魔力で魔王の魔の属性の力を跳ね返して魔導王に向かって放つと魔導王は、魔道砲の力を自分の体の一部にして吸収しそれをそのまま自分の魔の属性の力で撃ち出したのであった。

魔王は、その魔導王の魔の力を込めた魔導撃の一撃を受けると魔王ゼストに向かって「魔王ゼスト!早くこいつを倒して俺の所に来るんだぞ!」と叫び声を上げた、そして魔王が、魔王ゼクトと魔王ゼクトが魔王化した魔導王に攻撃を仕掛けると、その隙を狙って魔導王がゼクトに闇の魔法で攻撃を仕掛けた。ゼクトが、その攻撃を避けた直後に魔導王が光の魔の力の力を魔王に向けて攻撃を行った、魔王はゼクトに、今のうちに魔人との戦いを始めるように言うと魔王ゼクトと魔導王との戦闘が始まる、ゼクトは、魔王のゼクトが闇の魔導王のゼストの闇の力を自分の体に取り込み闇の魔導王と同じ力を使えるようになったのである。その事に魔王と魔王化が解け元の姿に戻った魔導王と魔人が驚きの表情を浮かべたが、魔王が「魔王の魔の力を取り込んでしまった以上、お前は魔導王以上の力を手に入れているからもう負ける心配は無いからな!!」と嬉しそうに大声で言い放ち魔王の剣をゼストに向けた、魔導王は自分の魔法では魔王ゼクトには通用しないと判断し、ゼクトに対して魔人の魔法を使用するが、その魔の魔法の力は魔王の魔剣に吸収されてしまう。その事が解ったからこそ魔導王が次に使った魔法は禁呪と呼ばれる技を使用した。

その技は魔導王が持っている最強の魔法の禁呪と言われるもので禁呪を使うと自分の魔力を使い切ってしまう。だが禁術を一度発動させれば魔力は使い切るが魔力が尽きることが無いという、禁呪の効果は魔法を無効化するというものであり、魔人が闇の魔法の力を使ってきた場合に有効な禁断の秘奥義と言えるものなのだった。その事を魔王は理解しているからこそ魔導王の攻撃を見て魔王は笑みをこぼしていた。その瞬間に魔王の魔剣が魔導王の持つ魔導書を叩き壊しそのまま魔王の体も叩き壊した。魔王が魔王ゼクトの力を自分の物にしていると言う事はゼクトが使う魔法の力が効かないからこそ簡単に魔王の魔導書を潰せたのであった。その事から魔王が魔人の力を完全に制御できなければ魔導王に対抗出来ない事を知っており魔王ゼクトは魔導王との決着をつけようと試みていた。魔導王が使っていた闇魔導師の力を自分の物として使っている事もわかったのであった。その事を確信した魔王は魔導王に攻撃を仕掛けるのだが魔王の攻撃を防御するのであった。

魔導王は闇魔法以外の属性魔法を魔王に攻撃すると、魔王はゼクトの体の魔の力を自分の体にも宿らせることで魔導王の攻撃を防ぐと同時に魔王は魔王ゼクトを操り魔導王と戦闘を行う。

ゼクトと魔導王が魔王ゼクトと魔王化を解けた魔導王の戦闘は激しさを増していた。お互いに一歩も譲らない攻防が続く中で魔王と魔王化を使えなくなった魔導王と魔人が魔導王の元に近づき、魔王が魔導王に対して闇の魔法を使って攻撃するが、魔導王はそれを回避したが、その直後に今度はゼクトがゼストに向かって攻撃を開始しゼクトが繰り出す攻撃を受け止めた、その時に魔王が、魔導王に攻撃を放ちゼストの動きを封じ込めようとした。その行動に魔導王は焦るが、その時には魔王は、魔王化してしまっていた為、魔導王は逃げるしかなかったのである。

その事を魔王と魔導王は気がついていなかったが、その間にゼクトが魔導王を追い込んでいたのだった。魔人が、魔導王に加勢しようとしたがゼクトに妨害されてしまいゼクトと魔王ゼクトが魔導王を攻撃していた、その時に魔王の闇の力と魔導王の魔の力のぶつかり合いが発生しお互いの魔の力を相殺しあうが、それと同時にその衝撃によって空間に亀裂が生じてそれが徐々に大きくなり崩壊をしていく、魔王と魔導王は魔王化している為にその空間の崩壊の影響が受けない。しかし魔王と魔王化を使えなくなってしまった魔導王と魔人にとっては致命的であった。魔人は魔王が魔の属性を持っているため魔王化している魔導王の近くにいれば影響がないが魔導王は魔導師なので闇の魔法しか使えない、その為に崩壊する世界には魔王と魔王化した魔導王と魔王ゼクト以外は生存することができないのであった。その事が分かった魔人は魔導王を連れて魔導王と一緒に脱出することを決意するが、魔王がそれを阻止しようと考えた、その時に魔人の動きを止めていた魔王ゼクトと魔王ゼストの二人は魔導王を先に脱出させるべきと考え動き出す。その二人の動きを止めるために魔導王は魔王の剣の力を使って魔王のゼクトの攻撃を弾くとそのままゼクトと魔導王の元に向かって行く、魔王の攻撃を魔導王は避けることができなかったのでその攻撃を受け止めることを選択したのであった。その攻撃を受けたことにより魔導王は意識を失いかけたが、なんとか耐える事に成功したのである。

その出来事を見てしまった魔人と魔人は、魔人はゼストに攻撃を仕掛けると魔人の攻撃により魔導王の腕と足に切り傷が出来血を流したのであったがその魔導王の血を受けた魔人は魔王ゼクトと同じ力を使えるようになったのであった。それを知った魔導王は、魔王化しているゼクトと魔人を相手にするには自分が有利だと思い始めてきたのだった。しかし、その時になって魔人の方にも変化が起こったのだった。

魔人が、魔人の力を手に入れる為に闇の属性の力を手に入れようとしたが、それに失敗し魔人のまま闇の属性の力を取り込んだ事で魔王の力が発動する事はなかったのだった。その事に魔導王は疑問に思ったがすぐにゼクトの方に向かっていくとゼクトの攻撃を弾き返しゼクトと魔王ゼクトを引き離した。魔導王はゼクトに、自分と戦ってくれないかと言うとゼクトは、それは出来ないと答えた。その返事を聞いて魔導王は魔王に魔導王は魔王と戦っているゼクトに魔人を近づけさせないように指示を出した。魔導王の命令に従った魔人がゼクトの所に近づこうとすると、魔王が魔人の前に立ちふさがり邪魔をしてきたのだった。

それならば魔導王が、魔王の邪魔をする魔人の前に出ようとするが、魔王は闇の魔法を使用してゼクトの視界を封じてしまう。その事を魔導王も気がつき、魔王に攻撃を行おうとするが、魔王に闇の魔法の力を込めた魔法陣を目の前に展開されたので、それを回避して魔導王はその闇の力を吸収するのだった。そして、魔導王は、魔王に向かって攻撃を仕掛けるが魔王にその攻撃は全て受け止められた。魔導王が、魔王の体に攻撃を当てたが魔王の体から出血などが起きなかった、それを見て魔導王が驚くが魔王が闇の魔法を発動させた。その事により、ゼクトは魔王と戦えない状況になってしまい、魔王の魔法と魔導王の魔法と魔王化を解いた状態のゼストの戦いが始まった。

ゼストは、魔王とゼストの攻撃を避けつつ魔人に向かって闇の魔法の力を纏った拳を叩き込むと魔人に命中すると、魔人はその闇の魔法の力でダメージを受けて倒れ込んだ。そして魔人の体は光を放ちながら消滅していって、魔人の体が消滅した後に魔人が使っていた武器が地面の上にあった。その魔人の武器を見たゼクトは魔人から奪い取ったのだと判断するとその魔導書を拾うと、そのまま魔導王に向けて魔導書を投げた。

魔王のゼクトはゼストが魔導書を投げてきたのでそれを受け止めるとその魔導書を見て、魔導書はもう必要が無くなったと思いそのまま投げ返した。その行為を行った魔王のゼクトは何かを企んでいるような笑みを浮かべるのだった。魔王ゼクトはそれを見て何をするつもりなのかと考えたが魔王は闇の力を込めて闇魔法の攻撃を行うとゼストはそれを回避し闇の魔法の力を自分の体に宿らせることで闇に対抗する力を得ることに成功するが、魔王の闇魔法の影響で肉体を破壊され始めた。魔王はそれを好機と判断し一気に勝負をつけようとした瞬間に魔導王が闇の魔法を使い攻撃をしかけてきたがそれを何とか避けたがその直後に魔王化していたゼクトは元の姿に戻りその場で倒れた。

そんな二人に対して魔物の群れは、二人が動けなくなるまで襲い掛からず待機していた。

その事に気づいたゼクトと魔導王はお互いに相手を回復させるための行動を取るが魔王の闇の魔法の攻撃のダメージが強すぎて回復させる事が出来ず、さらに魔王の魔法によって肉体に受けた影響が大きく回復するのには時間がかかった。その間に魔人が動こうとした時だったが、魔王が魔導王を守るために動き魔人の体を掴み魔王が魔人の体内に魔法を放つと魔人が光の粒子に包まれていく。魔導王もゼクトも自分の体の中に入っている闇の魔法の力を取り出す事は出来ないが、魔王は闇の魔法を利用して相手の体の中にある闇の魔法を引き出すことはできる。その為に魔人の体を崩壊させ魔人を殺すことが可能だった。魔王は、魔人が死んだ事を確信すると自分の体内の魔力を使い自分の体の怪我を回復し始めて、その次に魔導王に攻撃を仕掛けるのであった。

魔王の魔王の攻撃を魔導王は闇の属性を持った魔法剣を使って魔王の攻撃を受け流していた。しかし、魔導王は、その一撃を受けただけで体の中に残っている闇の力がなくなりそうになり焦ったがどうにか持ちこたえる事に成功する。しかし魔導王は魔王が攻撃する度にその一撃に込められた闇の影響は大きくなり続けてしまい徐々に体力を削られていった。魔導王は、その事を理解していたので魔王に対して闇の攻撃を行うが、それは魔王に対して逆効果であり魔王は更に闇の力を強め魔導王は追い込まれていく、その光景を見ているゼクトは何もできない自分が歯がゆかったのであった。しかし魔王もこれ以上の戦闘は危険だと考えるとゼクト達を殺さずその場から姿を消したのである。

それからゼクトは魔王ゼクトが魔人に与えた傷は魔人の攻撃のせいではなく魔王の攻撃を受けていた影響で傷口から血液が大量に流出した事がわかった。その為に魔人はゼクトを放置して逃げて行ったのだと思われたが、ゼクトはこのままでいいのかと悩む。魔王化すれば、あの時のゼクトの力が使えるのではないかと思い、ゼクトは試すために魔王化しようと試みるが魔王ゼクトが魔人に与えていた攻撃の影響により、魔王の力は失われており魔王化することは出来ずに困ってしまうのであった。

その頃、魔王ゼクトは、魔王城に戻るとそこには魔王ゼストの配下である十二貴族達が魔王に報告を行うために集まっていた。ゼクトは自分の部屋に入るが、そこにあった物はゼクトが倒した魔人の装備品だけだった。魔王はそこに魔王の杖と魔導王の剣が置かれていることを確認すると他の十一人を呼び出して、その装備を回収するように命じた。その事を確認したゼクト達はその装備を集めるのであった。その時に、魔王とゼクト以外の魔王の部下たちが、自分達の装備を集め終えると魔王の部屋に戻った時に魔人との戦いの様子を報告した。魔王はその報告を聞き魔人に対する対策を考えなければならないと思っていた。だが魔人の力を手にするにはどうしたら良いのかわからない魔王ゼクトには答えが出せず、その事を悩んでいたが魔王のゼクトも魔人のゼクトもゼクトの事を信用してない事に気がついたのだった。その事に気づいたゼクトは自分が疑われていることに少し苛立ちを覚えてしまうが、今は仕方がないと考えていたのであった。

それからゼストと魔王ゼクトと魔王の十三人が集まって魔人と戦うための計画を考えることにした。魔王ゼクトと魔王の二人はそれぞれ意見を出して話し合いを始める。その内容は魔人と魔王軍との戦争になった場合、どの様に戦うかという作戦だった。それを話し合う事で魔人を追い詰める事ができるのではないかと言う内容だったがそれでは根本的な解決策にはならない、魔王軍の戦力を増強しなければ魔王軍が勝つことは不可能だった。それなのに魔王のゼクトとゼクスは他の者に任せようとしなかった。その理由としては他の者に任す事でゼクトを裏切る恐れがあったからである。それにゼムが遺してくれた情報によると魔人は自分を犠牲にすることで、この世界の人類を滅ぼし世界をリセットしようと考えているらしいが魔人の一人は勇者召喚された人間だと思われるという事が分かった為でもあった。そのためにも魔王軍は強くならなければならなかったのであった。

そんな話の中で一番重要な問題は魔人がどのくらいの強さなのかということに絞られるだろう。実際に戦っている魔王とその配下達は魔王と魔王化したゼクター以外全員殺されてしまっているため強さの基準がわからなかった。だからゼクトに魔王たちは質問をしたがゼクトは知らないと答え、その返答を聞いてしまったゼクトは落ち込んでしまう。その姿を見ていた魔王は、魔王化はゼクトしか使うことが出来ない事を魔王は知ってしまっていた。そしてゼクトには自分が持っているスキルを全て魔王に与えると約束をしてしまった。魔王の話を聞いたゼクトはゼクトの魔王の力を手に入れても使いこなす自信がなかったために、それはやめておいた方がいいのではないだろうかと思ったがそれを口にすることはなかった。魔王のゼクトと魔王のゼクトにその提案に対して反対すると、魔王のゼクトはゼクトを睨みつけていたが魔王のゼクトは、それはいいかもしれないと言い出した。それを聞いた魔王のゼクトと魔王はゼクトの事を無視して勝手に決めてしまうとゼクトの魔王の能力を手に入れることになった。それを聞いたゼクトはゼクトは自分勝手すぎると思い怒りを感じてしまった。しかし今、ここで怒ってしまえば計画が台無しになってしまうと思って冷静になろうとしたのだが上手く行かなかったのであった。その様子を見ながら、その話を横で聞いていたゼクトのゼクトはゼクトが何か企んでいるような表情をしていたのがとても気に食わなかった。そんな感じで話は纏まり魔王とゼクトと魔王の十三人はそれぞれの魔王の力を手に入れたのだった。その結果としてゼクトの魔王化が使えなくなってしまったのはゼクトにとってはとても痛いことだったが、それでもゼクトは魔王の力を自分の物にできたことに喜ぶ。その様子からゼクトは魔王ゼストの力を使うことができると確信した魔王の十三人は安心するとゼクトが魔人に対抗する手段を見つけるまでは大人しくしていてくれと言われたのでゼクトのゼクトは仕方なく言う通りにした。しかしゼクトのゼクトの不満は溜まり続けた。それはゼクトのゼクトだけではなく他の魔王も同じで早く魔人を倒す方法を見つけてほしいと思っていたのである。ゼクトのゼクト達はその日はそのまま解散することになったが、魔王とゼクトとゼストは三人だけで話す必要があると考えた。ゼクトはゼクトの魔王ゼストに、ゼクトのゼクトとゼクトを部屋に呼んだ。

僕はクロがサーヤさんと一緒にミコちゃんとヒヨリさんと話を始めてくれたおかげで何とか落ち着いて状況整理を行うことができた。そしてまずは目の前の魔王について考える。先程クロが魔導書の回収を行っている時に魔人から奪ったのは魔人の魔剣だったらしく、その魔剣を魔人は僕に渡そうとした。その時は受け取ることができなかったけどクロがその剣の力を魔導書を通して得た。だけど魔導書は壊れてしまっていた。その為に僕は自分のステータス画面を開き、魔導書の機能で魔導書が復活できるのかを確認してみた。結果は僕の思っていた通りだった。

その機能を使い復活したばかりの魔導書を起動させると今度は魔導書から光の粒子が出て魔剣が光り輝きその光の中から一冊の本が出てきて魔導書を再生することができた。その後すぐに魔導書を開けてページを確認する。

魔導書は、魔人に関する項目を閲覧できるように変化させたのである。この世界に来てから手に入れた魔導師の項目で魔導師の称号を得た後に手に入れられる魔導師の本。それを僕は開くが、魔人に関しての情報は一切書かれていないことがわかった。

その事からもわかるように恐らくだが、魔導師が魔人に対抗するために作られた称号なのだと思う。その事を確信した時に、突然頭の中に声が響いたのである。

(お前が、この魔導書を扱える存在か?)

「誰だ?」

そう思った瞬間に自分の視界が歪み意識を失った。

その事に気づいた僕は、目を覚ました時には見知らぬ部屋のベッドの上に居た。辺りを見るとそこは、ただの真っ白な空間だったのである。その事に戸惑いながらも部屋を出て外に出て行こうとしたが何故か出られない事を知ったのであった。

「どういう事なんだ?ここは一体どこなんだ」

そんな独り言を言い続けていると、突然またあの頭の中の声が聞こえてきたのである。

それは、あの魔導書に込められていた記憶だと僕は気づくが同時にその記憶の持ち主が目の前に居ることを認識すると驚き戸惑うが僕は魔導士になったことで得られた鑑定眼を使用して魔人を見てみた。その結果は、あの魔王のゼストだった。魔王の名前を確認したところで僕は魔人の方も見てみると、その見た目は明らかに僕の姿とそっくりで、あの時と同じ姿になっていることに気づいた。そこで改めて周りを見渡すと僕は、この魔人が作った世界に転移させられたのだということに気がつき、どうしてこの場所にいるのかと考える。そう思っていると目の前に、あの魔導書が現れて、それを開いた。すると、その中に書かれていた文章を読んだ。そこには、魔王ゼストの記憶が全て記されており、その情報を頭に流し込むことで、魔人との戦いで使えるスキルや魔法などを理解できてしまうのである。魔導書を全て読み終わった後でもう一度魔人を見るが、やはりその姿は僕の体と酷似していたのであった。それを確認した後に魔人の存在を確かめる為に魔王ゼストの事を鑑定しようとするが、鑑定が発動しなかった。それを確認した時に、魔人が口を開いて話しかけて来た。

「俺のことは気にせずに話してもいいぞ。俺が誰かってことが知りたいのだろう?」

魔人の問いかけに対して僕は少し迷った結果で返事をする。

「わかりました。貴方が魔王だという事は既に知っていますが一応聞いておきます。それで何のためにこんな事をしたんですか?それに他の皆はどうなったんですか?」

その質問を聞いていると魔王のゼトスの顔が歪んでいったので、その理由が気になりその理由を聞くと魔人は話し始めた。その話を聞いたことで、魔王とゼクトが魔人と戦い敗北したことを、知った。その事実は衝撃的な内容であり僕自身も、かなり動揺してしまう。

魔王ゼストが負けたのであれば魔人が本当に強い相手だったという事は理解できるし僕も負けているので魔王の強さも相当な物だと言うこともわかっていたつもりだが、その話を聞いた事でよりその事実を理解する事が出来たのだ。だから僕は魔人と戦うことだけは止めておくことにした。だがここで一つ疑問が生まれた。それは何故僕だけが生き残れたのかと言うことである。しかしそれは今、考えなくてもいいだろうと僕は判断をした。それから僕がこの世界の事や、今までの事を全て思い出したタイミングで再び魔王のゼトスに声を掛けられる事になったのであった。

(やっと全ての情報が頭の中で処理が終わったみたいだね)

(えぇなんとか無事に全てを終わらせることができましたよ。それで聞き忘れていた事があるのですけどどうして、僕だけをここに残したんだいですか?それとなんで魔王なのに他の人達は殺されちゃったんだよ。答えろ!魔王!!︎)

その言葉に対して、目の前にいた魔人は笑みを浮かべるだけだった。それに対して僕が苛立ちを覚え始めると魔人は笑いながら話し始める。

(いやいやすまない。君は自分が特別な存在であるという自覚はないかい?)

その問いに答えるべきか悩んでいると、魔人は続けて質問を投げかけて来た。その問いかけに僕は悩みながら、正直に自分が特別だと思ったことがない為にはぐらかすことにした。そして話を誤魔化しながら自分が魔王になるのはおかしいのではないかと魔人に問いかけた。すると、魔王は首を傾げて何を言っているのかという顔をしたのだ。それを見た僕はその態度に怒りを感じて怒りが込み上げて来るのを感じると、自分の怒りを抑えることに必死になって、何も言い返せない状態に追い詰められてしまった。その状態のままで時間が経過してしまうと魔人は何かを思い出したようで、魔王ゼクトとゼクトが話を始めることになったのであった。

(君の名前はなんていう名前なのか教えてくれるかな?)

「僕の名前は、魔王だ。そういう貴様はなんだ!」

魔王と名乗った魔人に対して僕は睨みつけると魔王ゼストも睨みつけてくるがそんな魔王に対して僕は睨みつけ返したのであった。その光景に魔王ゼストも僕が、本当の魔王だと悟ると、魔人は僕に対して自分の名前を明かす。その魔王の名を聞いた時に魔王ゼストの目が細くなったのを感じたが気にせずに話を続けることにしてその魔王ゼストの正体を知ることが出来た。

そして僕は目の前の魔王ゼストの話を聞いて行く中で、魔導書の魔導書の力を使って魔王ゼストに勝てたらいいんじゃないのかという提案を受けるがそんなの絶対に無理だと思い、そんな魔王ゼストの提案を拒否した。それでも魔王ゼストが、魔王に勝った実績を残さないで、どうやって元の世界に戻ることが出来るのかと言い出したので魔王ゼストの挑発に乗った。僕は魔王の魔導書の能力を使用して魔王ゼストのステータスを確認するためにステータスを確認すると驚いたことにステータスが見れなかったのである。しかしそれでも、ステータス画面の魔王ゼストの項を開く事は出来るようになっていた為に見ようとしたら魔王ゼクトの邪魔が入る。その事にイラついた僕は魔王ゼクトに向けて攻撃を放つと魔王ゼストのステータスが表示されている画面に魔王ゼクトが映った。

「この程度の力で魔王になれると思っているのか?調子に乗るな小僧が」

そう言うと魔王ゼクトが手を前に出すと黒い闇のような物が広がって僕の放った魔法を吸収してしまったのである。その事から僕はその事に驚愕していると、魔王は手を下ろしてからこちらに話しかけてきた。

「まぁ、今日はこのくらいにしておくとしよう。それにしてもまさか俺を鑑定しようとはいい度胸じゃないか。だが残念だったな今のお前は、ステータス画面すら見ることが出来ないぞ」

魔王ゼクトは僕に対して、まるで嘲笑うかの様に話すと姿を消したのである。僕はその事に戸惑いながらもその場から動くことが出来ずにその場でずっと立ち尽くすことになるのであった。

魔人を倒した後で、僕は一度自分の家に戻ろうかと考えたが、魔人の言葉を気にして魔王が住んでいる家に向かった。その道のりの途中で僕は、クロの方に目を向けてみた。

するとクロの目の前には一人の男性が立っていた。男性は僕を見つけると嬉しそうな表情をしながら近寄ってくる。その男性に対してクロが警戒するような目で見るとクロの目の前の空間が歪んでいき男性の後ろからゼストが現れたのである。現れたゼストを見て僕は慌てて駆け寄ると、その行動が可笑しかったのかゼストは楽しげに笑うとゼストは話しかけてきた。

「そう慌てる必要は無いと思うけどね。私は別に危害を加えに来たわけじゃ無いし、私達は仲間なんだからね。とりあえずは自己紹介をしないと駄目だろう。私の名は魔王ゼスト。一応君たちの世界で魔王と呼ばれていた存在でもあるよ」

その言葉に、僕は思わず息を飲み込むとすぐに頭を下げた。その行為に対してゼストは特に気にしていないようだった。それから僕達はそのまま一緒に移動する事になったのである。

移動をしている途中である疑問に思ったので僕はゼストに話し掛けた。

「ところでゼストは、他の仲間の居場所とかは知っているんですか?」

その問いかけに、ゼストは何とも言えないような感じで話し始めた。その事に対して僕は疑問を抱くが、その疑問はすぐに解消される事になる。その理由としては、目の前に魔王軍の幹部達が現れたからである。その中には当然魔人の姿もあったのである。

僕は魔人の事を気にして鑑定を使用するが、その事が気になったゼストは僕に声をかけてきた。

「鑑定を使用したかったのだろう?それならば許可してあげるよ。でも鑑定して分かったとは思うけど魔人の情報は見れなくなっている筈だよ。だから無駄だと分かっていても試しに使ってみたほうが良いと思うよ。それに魔人が居るという事は近くに魔王がいるはずだからね」

ゼストに言われて、魔人を見ると確かに魔王ゼストの情報が見れるようになったので魔人が近くまで来ているということを悟った僕は、魔人に攻撃をする事を決める。そしてゼストは僕に何かを手渡してきた。その事に疑問を持ちながら僕はその武器を手に取ってゼストの方を見る。

僕がゼストに渡されたものに戸惑っていると、ゼストが僕を安心させるように笑みを浮かべて説明を始めた。ゼストが渡してくれた物は、僕に似せて作られた武器で、その見た目は完全に本物で僕は手に取ると違和感が無かった。しかしゼストはその事を不思議に思っていた僕に向かって簡単にこの世界は魔王によって作られた場所でありその事を魔王は理解していて、この武器はゼストが作らせた物だということを説明する。そして僕がその話を聞いて驚いているのを確認したゼストは僕に、その剣を渡すように指示を出したので僕はその指示に従って、魔人と戦える準備を行うことにした。魔人は突然の出来事に困惑しているのか、ゼストが近づいて来た時も、僕達の存在に気付いたのは僕がゼストの持っていた魔導書を地面に落とした時に魔人はやっと気付いた様子で、その瞬間、魔人の後ろに回り込んでいたクロがゼストによって強化した体術を使い、魔人を攻撃した。その攻撃を受けた魔人は大きく飛ばされると同時に僕の隣に現れたゼストに吹き飛ばした方向を見させられると、そこには魔人の姿は無かったのである。そしてその出来事が起こったことでようやく魔人が戦闘体制を整えたので、僕達も戦う姿勢をとった。しかしそんな事を無視して、ゼストに攻撃を仕掛ける者が現れる。

「ゼクト!!︎貴方は、また同じことを繰り返そうとしています!!︎それは間違っています!!︎どうか戻ってください!!︎今すぐ、元の場所に戻りましょう!!︎私が連れて帰ります!!︎」

その声は、魔人から発せられた言葉で僕は驚いたが、僕以上にゼストは驚き、焦っていたのであった。そんなゼストに構わず、魔人は話を続ける。そしてその会話を聞く中で、ゼストの様子がおかしい事に気づく。

「もうあの場所に私は戻るつもりはないよ。それに私はもうゼストではない。この世界を作り出した神なのだよ」

「ふざけるな!貴様のやろうとしていることを私は許さない!!︎この場を生きて帰ることが出来ると思っていないだろうな!!︎」

その言葉と共に魔人は、先ほどより素早い動きを行い始めたのである。そんな速さに対応しきれなかったのか、僕達の視界からは消えたかのように思えた。そして僕はそのことに戸惑うと、いつの間にか僕の目の前にいた魔人を見て僕は反応が遅れたのだ。

「さてこれで終わりにしようかな」

その言葉を聞いた時に僕は死が迫ってきていることを感じ取り僕は諦めかけていたその時、クロが間に割り込み魔人を食い止めたのだ。魔人はクロの事を振り払うがすぐにクロの追撃が行われるがそれを難なく回避していた。その事にゼストは不機嫌な表情を浮かべるが僕達に話しかけてきた。

「まぁこの程度で倒せるとは思っていなかったからね。ただ少しは本気が出せるみたいだな。この世界が作り出されたことによって私本来の力が出せるようになったのは嬉しい限りだ」

「ゼスト様!!お願いです、元のゼスト様に戻って下さい」

「私は既にゼストじゃない。魔王ゼスト、それが今の私の本当の名前なんだ」

魔人はゼストに呼びかけると、ゼストがそう言うと僕達は驚いた。ゼストは魔王だとは聞いていたけど、その名前は聞いていなくて、僕はその名をゼストが名乗るとゼストが魔王であることが確定したのである。その事に対して魔人は僕がゼクトに話した内容を思い出したようで僕に怒りの感情を込めた視線を向けると、僕はゼストが僕がゼクトに対して魔王が偽物であると言った発言をしている事を知っており、魔王は偽物ではなく本物であると言う。それを聞いた魔人の怒りの矛先は僕に向けられたのであった。

僕は魔人の猛攻を受け流しながら反撃を繰り返していたがそれでも決定打を入れることが出来なかった。そんな時ある一つの案が思い浮かぶ。

そして僕は実行に移すべく動き出す。

まず初めにリザとリナには回復薬で怪我を回復させてもらうことにする。二人にはその間に作戦を伝えることにしたのだがその内容を伝えて二人は大丈夫なのかと心配そうにしてたが僕は何とか了承してもらえて次の行動に移ることになったのだ。

僕は魔人にわざと攻撃を受けることにして魔人の隙を作る為に誘導を開始することにした。しかしそう簡単に攻撃が来るわけではなく何度か攻撃を受ける必要があった為に何度も受けることになると予想通り痛みで攻撃することが出来なくなっていたのだ。そして僕の行動は成功したと思い攻撃を開始したのだが僕の攻撃は受け止められてしまうが攻撃を防いだ事で出来た隙間を利用して僕の後ろからゼストが現れていた。そしてゼストが放った攻撃により魔人は吹き飛ばされたのであった。

僕は攻撃を行ったゼストの方を見ていると、ゼストは僕に話しかけてくる。

「中々やるな少年よ。今のは良い手だったぞ。魔人も驚いていたようだしな。だけどまだまだこれからだろう。もっと成長して魔人を倒す事が出来るようにならないと魔王の所まで辿り着くことは出来ないからな」

ゼストが楽しげに話し掛けて来たので僕は、その事を嬉しく思ったが、魔人の方を見ていると起き上がり始めていたので気を引き締めることにした。魔人の方は立ち上がりゼストのことを警戒するような目で見ると、今度は魔人がゼストに攻撃を繰り出していった。しかし魔人が攻撃を仕掛けようとした時には既にゼストはその場から離れており、そして魔人がゼストに攻撃を加えようとしたが避けられて、その後の攻撃は当たらなくなるという事を繰り返すとゼストから提案をしてくる。

その提案というのは僕達が魔人と互角以上に戦えるようになる為の修行を行うというものだった。僕はその言葉に対してすぐに返事をすることは出来なかった。しかし魔人はそれに納得できなかったのか僕に向かって攻撃を仕掛けようとしていたので、僕と魔人で同時に攻撃を繰り出すと魔人の剣の方が先に壊れてしまい僕は自分の体術を使って魔人に対してダメージを与えることが出来たのである。その結果を見て、ゼストは満足そうな顔を浮かべていたが、その事を僕は気にせずに次の行動に移っていった。

魔人は壊れてしまった自分の武器を捨てるのと同時に新たに剣を作り出すとそれを振るいながら僕に攻撃を仕掛けてきたが僕は全て避けきることに成功する。しかし完全に避けきったわけでは無いため、いくつか傷を負ってしまったが、僕が攻撃を受け切った後に魔人から仕掛けることは無く、しばらく睨み合いが続くと突然ゼストが話し掛けて来たのだ。

「どうだい?なかなか良い感じで戦えて来ているんじゃないかな?」

僕は突然の質問に対して答えることはせず、ただ黙って目の前にいる魔人との戦いに集中するのだった。それから僕が攻撃を仕掛けていくがやはり魔人は僕のスピードに慣れてきていて徐々に避ける動作が素早くなっていくのが分かった。その事から魔人のレベルが上がり始めている事が分かり、これ以上のレベルが上がる前に決着を付けようと決めた。それからはお互いに一撃でも貰えば致命傷を負うという状況が続いたが次第に魔人の方が追いついて来るようになり僕は追い詰められ始めるのと同時に体が動かなくなってくる。

(不味いな。そろそろ限界かも。こうなったら仕方ない)

僕はそう思うと僕は自分に身体強化のスキルを使用すると今までは使用していなかった技を使用することにする。

そしてその事を実行した僕を待っていた結果は、僕にとって絶好の状況となったのである。何故なら魔人は自分の力で僕の速さについて来れない事を悟っていたからである。

そんな状況の中、僕は自分の体術で出来る限り攻撃を続けて魔人を追い詰める事に成功していたのである。

そして魔人が僕から逃げるようにして距離を取ろうとすると、魔人の動きに合わせて僕も距離を取って魔人の後を追うと魔人は自分が逃げ切れると思ったのか僕に背中を見せたのであった。その瞬間を狙って僕は魔人に向かって蹴りを放つと魔人はそのまま吹っ飛び木に衝突したのである。その事に僕は内心でホッとしているとあることに気がついた。

それは、魔人が倒れて気絶していない事に気づいたのである。僕はそれに驚くがすぐに冷静になって考えてみた結果、魔人が気絶した振りをしているのではと考えた僕はすぐに魔人のもとに駆け寄ろうとするが、僕の行動を阻止しようとしたのか、魔人の近くにゼストが突然現れたのである。

ゼストが現れた事に僕が驚き、一瞬だが動きを止めてしまった事に魔人は気づき僕のことを見つめるとニヤリと笑みをこぼした。僕はそのゼストの行動の意味をなんとなく理解したがゼストがどのような意図を持っているかは理解出来ずにいた。そして魔人が再び剣を構えて僕に攻撃を仕掛けるのとほぼ同時にゼストも魔人に斬りかかる。

魔人は僕の攻撃を避けるために一旦距離を取り体勢を整えようとするがそんな事を許さないと言わんばかりにゼストが攻撃を仕掛けていき、魔人がゼストと戦闘を始めてから魔人と僕との間に空間が生まれなかったのである。僕はその様子をただ見ることしか出来なかった。

しかしゼクトもただ単に戦闘を楽しむためにこのような戦闘の仕方をしていたわけではない。ゼクトが行おうとしていた事は魔人の力を封印することであった。その為にあえて戦闘が長引かせるようにしており、ゼクトが考えている通りに魔人はどんどん弱体化していった。

そんな時ゼクトが魔人から間合いを取るのと同じように魔人はゼクトから離れるように後退していくと何かを呟くと地面に手をかざしたのだった。その事にいち早く気がついていた僕は魔人に近づくと魔人の手を掴むのと同時くらいに地面の中から巨大な土の槍が現れ、その事に対して僕は魔人を捕まえて引き寄せながら回避するが魔人は完全に油断していたのか僕の方を見ずに僕が魔人の手を掴んだことだけに気を取られていたので魔人は何も出来ぬままに串刺しになっていた。

僕は魔人を串刺しにする事に成功したがすぐに行動に移ることは出来なかった。魔人は口から血を流していて明らかに重傷を負ってたのだ。そんな状態の魔人に対し僕は躊躇いを感じてしまっていたのである。しかしそんな時ある考えが浮かぶと魔人をそのままの状態で放置することに決めるとリナとゼストのもとに向かうのであった。

ゼストが僕のそばに来ると魔人が死んでいることを確認したのでリナとリザを連れて魔人が使っていたテントに行くことにするのである。そして僕はゼストに二人を頼むと、魔人の使っていた道具を回収した後ゼクトの所に向かったのであった。

僕達は魔人と戦っている場所からかなり離れた所にいたため、その場所まで戻るのに時間がかかると思っていたがゼストが魔法で移動させたことですぐに移動することが出来た。そして到着したのはゼストが魔王の城だと言っていた場所であった。そこには以前魔王の城に行っていた時の景色に似ており魔王がいるであろう部屋の扉の前に僕は立つ。そしてゼクトと僕は扉を開けるとそこには魔人のような者が立っていたのである。僕はすぐに身構えるがその人物はゼクトの方を見るだけで僕の方を気にした素振りを見せなかったのである。僕はその人物が何者かを察すると共にその人物がどうしてこの場所にいるのか疑問に思ったが今は戦いを優先した方が良いと判断した僕はゼクトに視線を向ける。ゼクトはその事に気付いたのか僕に声をかけてきた。

「ここは私にやらせてくれ。この世界に来て初めて私と互角に戦う相手に出会ったから少しは楽しみたいんだ」そう言い残すとゼストはすぐに部屋の中に入っていった。

僕はゼストの後ろ姿を見ながら不安な気持ちになる。ゼストが僕と戦った時より強敵なのは明らかであり今のゼストの強さを知らないからということもあるが、魔人との戦いで消耗しているのではないかと考えたのである。僕は心配になりゼストの後を追っていくと部屋には既にゼストが待ち構えていた。そして、その部屋の中には、あの女性が座っておりゼストの方を見ると立ち上がってゼストの方に向かって歩いて行くと話しかける。

「まさかお前が出てくるとは思わなかったぞゼスト。まぁそれも当然と言えば当然なのか。お前ほどの力があれば私の魔人の魂が暴走しても止めることが出来るはずだからな。それにその魔人ならば私が作り出した魔人の中の最高峰と言えるものだからその程度の実力では足止めすら出来ないからな。だからお前が出てきたのか」

ゼクトに向かってそう話しかける人物の言葉に僕は驚いていた。魔人の最上位の存在が今目の前に現れたのだ。そして僕は先程戦ったばかりの魔人の姿を思い出す。その姿は間違いなく僕の攻撃によりダメージを受けたはずなのだが魔人にはダメージを与えていないように見えて僕はかなり困惑していたのだ。そんなことを考えていると、ゼクトがその問いかけに対して口を開く。

「それは違うな。確かに奴と戦っていて楽しい時間を過ごしはしたのだが私は最初からこの世界で最強と呼ばれている者と戦うつもりだったよ。そしてそれがたまたま目の前にいる存在だっただけの事だよ。それなら別に他の者を戦っても問題は無いし、それで満足してもいいと思ったけど、どうしても戦ってみたいと思った相手がここに居たという事だけだ」

(どうしよう、凄く嬉しいんだけど、こんな事言われるなんて思って無かったから本当にどうすればいいか分からない)

僕はそう考えるがどうすればいいのか全く思いつかなかったのでとりあえず何もしないでいることにした。しかし僕はすぐに自分の判断ミスを悟ることになる。ゼストが嬉しそうな表情を浮かべながら話し始めたからだ。

「なるほどね。そういうことか、君もそうなのか、そういえば君は、この前も同じようなことを言ってたよね。私と戦いたいと、ふっ、そう言うところは変わって無いようだね。そんなに私の事が好きかね?」

その女性はそう言いながらもゼストの事が気に食わないのかゼストのことを睨んでいた。その様子からすると僕と会った時のことをまだ覚えているという感じがしたので、ゼストが僕との戦いよりもその女性との戦いを選ぶようなことが無ければ良いなと考えていたのだ。そんな僕の希望も空しくゼストが言葉を口にすると、僕の予想通りの展開になっていく。「当たり前だ。それに、君の事なんか好きじゃなくて、興味も無いが、私は強い者と戦いたいだけだ」

ゼストがいつも通りの調子で話すと女性の方は明らかにイラつき始める。

(あーもう何やってんだよ。余計なこと言わなければ良かったのに)

そう心の中で叫ぶが僕の心の声はゼストには届かず、むしろその事を気にしていないようであった。そして僕がそんな事を考えていた時も二人の戦闘は始まっていた。まず先に動いたのは女性の方で僕との戦闘の時と同じように、雷光のような素早い動きで攻撃を仕掛けると、ゼクトもそれに合わせるように動きだし攻撃を避けつつ相手の攻撃のタイミングを読んで反撃を行うのである。

しかしそれでもゼクトの方が優勢のように僕は見えた。ゼクトが本気を出したら瞬殺されると思っていたが意外にも善戦はしており、お互いに攻撃を避けるだけではなく攻撃を行いながらお互いを攻撃し続けている。しかしそんな中、徐々にではあるがゼクトの攻撃のペースが落ちていくと僕はゼクトが焦り始め、少しずつ押され始めたのかと思った。そして次の瞬間僕は驚くことになる。

それは、僕の目の前で起こった出来事で、今までの攻防では考えられないほどのスピードでゼクトが攻撃を繰り出すとそれを受け止めるかのように女性が刀を振るったのである。そしてゼクトの一撃と女の一撃がぶつかったとき僕は目を疑う光景を見てしまう。そのぶつかり合いの一瞬にだけゼクトの動きが見えなくなったように見えたのである。僕は、その一瞬だけは確かに見間違いではないと感じた。

僕はすぐに気を引き締め直して二人の様子をうかがっていた。ゼクトの方は余裕がありそうな笑みをこぼしているが女性の方は少し焦っているように見えたのである。

「ほう、今のを防ぐか、面白い。なかなか出来る事じゃないだろう。それに私の技について来れたことも素晴らしいことだ」ゼストが、そう呟きながらさらに攻撃を仕掛けようとした時だった。

女もゼクトと同じように攻撃を仕掛けようとしたが、今度はさっきとは違い、攻撃を受ける前に攻撃を仕掛けようとするもゼクトがそれを阻止しようとすると攻撃が当たらなかったのか、そのままゼクトに斬りかかったのである。

僕はその様子を見ていて、二人は互角のように見えるがやはりゼクトが押されているように感じたのだ。そしてゼクトの方も、僕の予想通りに苦戦しているように見え、今まで避けに徹していた攻撃の速度を上げ、その勢いに任せるままゼクトは攻めに転じる。そして、それからの戦いはさらに激しくなっていった。僕が見た限りではほとんど見えない程の速度で二人が動き回ると、時折目に捉えられるような場面もあったが僕はなんとかついて行けていたのである。

僕はゼクトに意識を向けた時だけ見えるようになり、その他の状況に関しては目でも追えなくなってきており、正直何をやっているのか全く分からなくなっていたのである。僕にはゼクトと女性が動いている場所と、たまに見える姿の場所に攻撃を行っているように思えたのである。その事に気がついた時だった。突然、僕の横にいたはずのリザとクロが姿を消した。僕は二人に何が起こったのか確認しようとしたのだが僕の視界が歪んでいくと同時に意識を失ってしまうのであった。

僕が次に気が付いた時にはリザの膝枕の状態で寝かされていた。僕は慌てて起き上がろうとすると、僕の頭の上に手が置かれリザが微笑んでいるのに気づくとリザは優しく話しかけてきた。「おはようございます、ご主人様。リリちゃんがご迷惑をかけたと思いますが、今は安静にしていただいた方がよろしいと思うのでもう少し休まれてください」リザが僕に向かって話しかけると同時にリザード族の子供たちが集まってきたのだ。

子供達が僕の体に触るだけで何故か気持ちが良くなってくるので僕が子供達を眺めていると一人の女の子が僕の方に近寄ってきて何かを訴えてくるが、僕は子供の言葉を理解することができない。そこでリザに子供達が何を言いたいのか聞こうとした時に女の子の手が僕のお腹辺りに触れた時、女の子は急に驚いた表情を見せるとその子は後ろに下がっていき僕の顔を見ると僕の顔を不思議そうに見つめたのである。僕はそんな事に疑問を持ちつつも子供達を見るとみんなが僕のことをジッと見ていたのでなんなのか考えていると突然声をかけられたので僕は驚き振り返って見るとそこに立っていた人物を見ると、そこには僕がよく知る人物だったのだ。そうサーヤが立っており、その後ろにはゼストとクロの姿も見えていたのである。僕は急いで起き上がり立ち上がる。僕は自分の体を確認してからすぐに二人のもとに向おうとするが僕より早く二人の元に向かった人影がいたのだ。その人物とはリナであり彼女は、すぐさまミコから魔結晶を回収すると魔人に止めを刺したのである。魔人は倒れ込み完全に息の根を止めることに成功したのだ。

そしてそれを確認したサーヤは改めて皆に報告をするのである。

「皆さん、これでこの世界の魔人達は全て倒せた事が確認されました。本当にありがとうございます。そしてこれからの事なのですが、今の状況だと魔族達の住む大陸に行く手段がないのですよね?ですので私は魔人討伐が終わった事を、こちらにいる魔導師長様に説明しに行かなければいけないと思うのですがどうしましょうか?」

そう言ってサーヤが視線を向けると魔人を倒した事で魔人化した人全員が、元の人に戻っていたのである。

その事に気づいた僕は全員に声をかけるとすぐに行動に移ったのであった。僕はゼクトにこの世界に来て初めて出会ったのがゼクトだったことに感謝していた。もしこの世界にゼクトがいなければ僕は間違いなく殺されて終わりだったからだ。

僕達がゼクトの元に駆けつけて話しかけようとした時に、その人物の声が聞こえて来た。その声は間違いなくあの人物だった。「やぁ久しぶりだねゼクト、それにそちらのお嬢さん方も、まさかとは思うが君たちがゼストに勝てるとは、いやぁ流石だね」そう言いながらゼクトの側に転移して来たのは魔王ルシファーだった。

そして魔王ルシファーが話を続ける。「私としてはこの前の続きをやりたかったんだけど残念だよ。それじゃまた今度、ゆっくり相手をしてもらおうかな」それだけ告げると魔王ルシファーはその場から姿を消してしまうのであった。僕は、ゼクトにどうするかを聞くと、とりあえずは、ここから移動した方がいいだろうと言い、僕達は移動する準備に取り掛かることにした。しかし僕は、その事をゼストに伝えようとするも僕が声を発する前にゼストは動き出したのである。僕は、すぐに動き出してくれたことに安堵すると、僕はリリ達を呼びにいったのである。

僕は皆が集まるのを確認するとゼストの後に続いて歩き始めた。するとすぐにゼストは足を止めた。ゼストの足が止まるのと同時に僕の思考は止まり、ゼストの目の前の景色を見て唖然としてしまったのである。それはゼストの足が止まった場所が空中だったからだ。

僕はゼストに何故、ここに来るのが分かったのか聞くもゼストは何も答えずただ前だけを向いて歩いて行くので僕もそれに従うしかなかった。それからしばらくしてようやく僕にも目的地に着いたという事が分かると僕は心底安心したのだ。その場所とは、リザの故郷である妖精の森の近くだったのである。そして目の前には巨大な大木が見えたのだ。僕は驚いていたがリリはすぐに僕の前に出てくると、その大木に向かい飛び立ったのである。僕はその姿を目で追いながら呆気に取られていたが、ふと後ろを振り向いた時、リザード族の一人が木に向かって走り出すと、次の瞬間にはリリと同じ位の背丈の子供になっていたのであった。その光景を見た僕は再び驚かされることになる。しかしすぐに僕は、その現象を起こしたと思われる人物を見つけるために周りを見渡すも既にその姿は消え去っていた。僕が困惑しているのを悟ったのかリリスは説明してくれるのだが僕はその光景を見るたびに驚愕する事しかできなかったのである。そんな僕を見ながらゼクトは僕と話す。「なにそんなに難しく考える事はないさ。ここが何処かという質問の回答だが、これは私が住んでいた世界だ。この場所なら邪魔も入らんからゆっくり話せるだろう。私は別に戦うつもりはなかったんだが、どうしても私が相手になるのが納得できないようだったんで少し遊んでやったら少し熱くなってしまってな。まぁそのおかげで面白い情報を手に入れられたんで感謝している。それはいいとして君が聞きたがっている事は一つだけなんだろう。なぜ私だけがこのような存在になっているのか?その疑問に対する返答なんだが、私は元々こういう性格ではなかったのだ。その話は追々するがその答えを言うと私の師匠が関係しているんだよ。私は、昔はこの世界でもかなり有名な戦士だったのは覚えているよ。その時の職業は聖剣の勇者だったのを覚えているかい?その当時は、今と違って魔法や能力、スキルは存在していたんだが、なぜか私の職業は変わらなかった。それが理由で私は落ちこぼれの烙印を押されたわけだ。それで私はこの世界での生活を諦め他の世界に旅に出たのだが、そこで私はある少女と出会い、私の生き方は変わることになる。

そう私はその人物に出会っていなかったら、今もこの世界の中だけで生きていただろう。その出会いのおかげで私はこの世界に復讐をしようと考える事になった。私はその事について語りたくない。しかしこれだけは言っておこうと思う。私の復讐に君たちは必要ないんだと、そう伝えたかった。その事だけは伝えておく必要があると思った。それではもう二度と会うこともないと思うがさようならだ」そう言うと、ゼクトはその大きな木の中に入って行ったのであった。そして僕も後に続くように森の中に入ろうとした時だった。突然僕は地面に押し倒されてしまう。僕の上に跨る形でいるのはゼストのはずだった。僕は混乱してゼクトの方を見るとゼクトは既にゼクトではなく別の生き物のようになっていたのだ。そう僕を押し倒したのはリリの体を乗っ取った魔人リザで、その魔人はニヤリと笑うと僕の顔に向かって手を突きつけてくる。僕が、その事に気づき、とっさに目を閉じた直後、その魔人の攻撃を避ける為に僕の上に乗っていたリリは吹き飛んでしまったのだった。僕が目を開けるとリリは起き上がっており僕は起き上がると、ゼストに問いかける。ゼストに僕の言葉が届いたかどうかは分からない。なぜならゼストはリザの姿に変化していて返事がなかったからである。リザが変化したリザが攻撃してきた時、僕とクロの前にサーヤとリナが立ち塞がり、その二人の間にサーヤが立っていた。そして二人は一瞬のうちに姿を消したのである。そして、いつの間にか僕の背後にはリザとリリがいた。リザは僕に向かって何かを話しかけていた。僕はそれを聞き取れずにリザが話を終えたタイミングでサーヤが話しかけてきて、僕の腕を掴んでその場から離脱するように走り出したのである。リリが魔人の姿になって、それを見ていたリザは、すぐにサーヤとリナの元へ駆け寄るとリザの姿を見てリナとサーヤも驚いた様子を見せていたが、すぐに状況を理解してくれた。リナはリリスに回復系のスキルを使用するように指示を出すとサーヤと一緒にサーヤの後ろについていった。

ゼストが魔人として姿を変えた後の状況は酷いもので僕はサーヤの背中にしがみつき必死に逃げ回っていたのだ。僕もサーヤのように空間認識や魔力感知等の気配を探る事ができるスキルがあれば良かったのだが、そんな都合の良いものはなかったので、自分の五感を最大限に使って逃走を続けていたのである。

そして、僕達が逃げる事に全力だったのとゼストの圧倒的な身体能力によって追いかけっこ状態が数分間続いていたが、僕はついにサーヤが走る速度を落としている事に気づいた。その事に気づいた僕はサーヤに声をかけるが何も返ってこない。僕はその事に不安を抱きながらも僕が今の状態でできる事を考えるとサーヤから降りて自分で走るのがベストだと考えたのだ。僕はサーヤの肩を叩くとすぐにサーヤは振り返った。そして僕を見て驚いた顔をしていた。サーヤが驚く理由はわかる。だって今の僕はサーヤよりも早く走ることができるからだ。サーヤに僕は「ありがとう。後は一人で何とかする」と言って離れるように促すと僕はゼストから逃げるために全力疾走を開始する。僕はゼストの速さに追いつけるはずもないのに僕は何故か追いつくイメージしか湧かなかった。

それから僕はゼストから距離を取るために走り続けるも僕は不思議とゼストの姿を視界にとらえていた。僕はこの事から、僕は自分が思っているよりずっと強くなっていた事にこの時気づいたのだ。そうゼストの動きは目で追えるし感覚的にゼストの速さも感じることができた。僕はそんな自分に対し違和感を感じていたのだが、今はこの状況をどう乗り切るかを考えていた。僕はゼストの隙を見て逃げ出す事も考えたがゼクトがこの世界に現れてからゼクトは僕の事をずっと警戒しているのだ。それにゼクトの狙いはおそらく僕なのだと、この場を離れると確実にゼクスやサージ、ミケーレが危険にさらされるかもしれないと考えた僕はゼクトの誘いに乗ってゼクトの元に向かったのである。

ゼクトの側に辿り着いた時、ゼクトの側にはゼクトとそっくりな人物が現れており、僕はとっさに身構えてしまったがすぐに違うと思い直した。その人物は僕をチラッと見ただけで、その後は何も反応しなかったからだ。しかしすぐに僕は、ゼクトから放たれている異様なプレッシャーを感じとり、恐怖心を抑え込むとゼクトの目の前まで歩いて行くと、僕は、話しかけてみる。「貴方は本当にあのゼクトなのか?」と。

その言葉にゼクトは何も答えずただ僕に手をかざす。僕は、すぐにその行動が攻撃の前兆だと思い、とっさに回避行動を取ろうとするも体が思うように動かずゼクトの攻撃が僕に届くことはなかった。その攻撃をゼクトの仲間の一人、もう一人の魔人が止めてくれなければ僕は確実に殺されていたことだろう。その仲間の魔人を見た時、僕は驚愕してしまったのである。何故ならその顔は僕の知っているゼクトの顔をしていたのだから。僕はゼクトに対して何故ゼクトがゼクトとゼクトと同じ姿になったのか問いただそうとした時だった。

僕は後ろからの殺気に気づくと僕はとっさにしゃがむ事で、ゼトの放った魔法を回避できたのである。僕はその光景を見て、今度こそ本物の魔王だと感じた。そして僕の横を風が通った瞬間、ゼクトの首が飛ぶ。そして次の瞬間にはその体は光の粒子となって消滅していった。

その光景を唖然としながら眺めている僕に先程まで仲間であったはずの者が襲い掛かってきた。その攻撃に気がついた僕はすぐにその場を離れようとするも、その攻撃の威力の方が圧倒的に勝っており、避けることは出来ずにいた。しかし次の攻撃が来る前に、僕は攻撃してきた者の方角を睨みつける。そこには僕の知る人物がいた。しかしその者は完全に別人に変貌しており、その者はこちらを見下ろしていた。僕はその人物が発している強烈な殺意に身を焦がされていた。

そして僕が戦慄しているとその者が話し出す。

「貴様は何者だ?ゼストではないな?しかし俺の攻撃を受けても平然としておるとは面白いな」と言い放つと僕は即座に攻撃を仕掛けてくるのだがその攻撃も簡単に受け流されてしまったのである。そして僕は反撃に出ようとした時だった。その者は僕の腕を掴み僕の動きを止めたのである。そして僕の耳に囁くように言ってくるのだ。「貴様にチャンスを与えてやる」その言葉に僕が困惑していると、その者の腕が伸び僕の首を掴んだ。その者は僕の体を軽々と持ち上げ僕が苦しみながら抵抗する事も出来ないまま宙に浮かせるとそのまま首を絞めていく。僕は呼吸をしようと必死に口を開けるが酸素を吸い込むことができないため徐々に意識が薄れていったのである。そして僕は気を失ってしまったのだった。そして目を覚ました時に僕の前にはリザの姿があり、そのリザは何かを話していた。

しかし僕はそれを聞き取ることができずにリザは僕から離れる。その時、リリとリザは僕の元に駆け寄り僕の体を起こす。リリは僕の事を心配してくれるのだがリリもリザ同様に何を話していたのかわからないので、僕が困った表情をしているとゼクトが僕に向かって話しかけてくる。僕は咄嵯に警戒してしまうも僕とリリの間にゼクトが立ち塞がる。僕はすぐにゼクトを攻撃しようと思ったのだがリリとリザの顔を見て、攻撃をやめる事にした。その二人は悲痛な面持ちをしており僕が二人の前で戦うと二人がどんな思いをするのかを考えてしまうと僕としては、このまま戦闘を続けるわけにも行かないと思ってしまう。

そしてゼクトは僕に語りかけてくる。僕はゼクトの話を聞いて、その言葉を信じることにしたのだった。そして僕とリザとリリは一緒に森の外に出ようとゼクトと話をしてゼクトと共に行動を共にすることになった。

僕が、ゼストが変化したゼクトが僕達に襲いかかろうとしたので僕はとっさに避けようとしたが、その攻撃は僕の体をすり抜け、その攻撃をくらってしまった僕は地面に倒れ込んでしまった。そして僕はそのゼクトに蹴り飛ばされたのだが、その攻撃で僕は確信することができた。ゼストに変化したその男は、やはり僕のよく知った人物であった。僕は、リザ達の前に出て僕に攻撃を加えてきた男に向かって叫ぶ。「お前、ゼクトじゃないんだろ!?何が目的かは知らないがその姿を今すぐ辞めないと僕は本気で相手になるぞ!!」と僕は言う。その声を聞いた男は笑みを浮かべるのであった。そして僕は男の胸倉を掴もうとした時、男が僕に向かって手を伸ばして来た。そして、次の瞬間僕の体の自由は奪われ、その場に倒れ込んでしまい、僕は必死に体を動かそうとするが全く動けずにいた。

そして、僕を見ていたリザとリリはゼストが二人の前に現れたことに気づく。そしてリザはゼストの側に行こうとするがゼストはその場から動くことはない。僕はゼストの側に来たリザとリリに助けを求めた。だが二人の反応は冷たく僕に目線を向けることさえもなかったのである。

僕がゼストに変化しているその人物と対峙していると僕をゼストに変化させたゼクトが近づいてくる。その事に僕はすぐに気づく。そしてゼストに姿を変えた人物はニヤリと微笑む。僕は自分の身に何が起きたのか理解はできていなかったが、僕は目の前にいるゼストに変化している男を殴り飛ばす。僕は力一杯にゼストに化けている人物に拳を叩き込むが、その男は余裕な顔をしたまま、僕の攻撃を受け流してしまっていた。そして僕はすぐに次の攻撃へと移り、ゼストに変身したその男に向かい走り出した。そして僕はゼストに変身している男の顔目がけて回し蹴りを放つがその蹴りはその者に届かずにゼストに化けている人物に当たる前にその者が僕から離れてゼストに変化している。

そして、僕の後ろからゼストが剣を抜き僕に斬りかかってきたのである。僕は何とかギリギリのところでその一撃を受け止めることが出来たがゼストの力に僕は全く歯が立たなく弾き返されたのであった。

僕はゼストに化けた人物から距離を取り攻撃する体勢を整えると、ゼストが剣を抜く動作に違和感を感じた僕はゼストに化けたその人物が魔法を使う可能性があると判断する。しかしゼストは僕に向けて魔法を使ってこなかったので僕はその事を少し不思議に思うがゼストのその攻撃を僕は回避する。ゼストが使っているのはゼストが得意とする無属性の魔法で僕もその攻撃は知ってはいたが実際にゼストがこの世界で使ってきていることがとても新鮮で驚いているのと同時にゼストは本当に異世界に来ていてこの世界の人間になっているという事を理解して、僕の心の中に喜びが生まれるのを感じる。それと同時にこの世界に来る前のことを思い出していた。それは僕がまだ地球で高校生をしていた時のことで僕のクラスはいつも通りだったはずなのだが、突然、学校中にサイレンが鳴り響き僕は慌てて教室を飛び出して廊下に出ると僕と同じように教室から飛び出てくる生徒が沢山いた。

僕達は学校の先生の指示の元、屋上まで避難をすることになった。僕達が階段を登り終えて屋上で休んでいると、僕達より上の学年の生徒は何故か皆、校舎に戻っており、その人達とすれ違う度に「助けてくれ!魔物の大群が迫ってきている!」とか「俺の家族を助けてくれよー!!」などと言い出す人が大勢居たのである。そんな言葉を僕は耳にしていたが、まだ僕達はまだ学生の身であり、大人に守られながら生きていかなければならない。だから自分達では対処出来ない事を他人のせいにするのは間違っているのではないかと考えていた。それにもし仮に、その魔物が本当に攻めてきていたとしても僕達にできることはほとんどないのでただ待つしかないと思いながら空を見上げていた。そして、それからすぐに学校はパニック状態になってしまい、生徒と教員とで争いが始まり僕も混乱の中に巻き込まれてしまうがすぐにその場から離れる事ができ、僕は校庭に逃げ出すことができたのである。そして、そこには僕のクラスメイトや先輩後輩の姿はなく僕以外の人はどうなったかは分からないままだったが、その日から僕は学校には行っていないしその人の行方を知るすべもなかったのである。

僕はゼストが使っていたと思われる無属性の魔法の効果により体が硬直して身動きが取れなくなってしまいゼストが僕に攻撃を仕掛けてくると、僕は何も抵抗できずにいた。その瞬間ゼストは僕の背後に現れ、僕を斬る。僕の体は切り傷ができて血が流れる。僕は必死に痛みを堪えながらゼストに攻撃しようとすると、ゼストは再び僕の後ろに立ち、そしてゼクトが僕を斬りつけた。その衝撃に僕の体は飛ばされる。僕はとっさに受け身を取ろうとするも体に思うように力が入らずに転げ落ちる。僕は起き上がろうとするが力が上手く入らない上に激痛が走り僕はその場で倒れ込む。するとリリとリザが僕のところに近寄ってきてくれ、僕を抱き起こしてくれる。その事に僕はリリにお礼を言う。その事でゼクトは僕をリリに任せることに決めたらしく僕の前から消えようとする。僕はその事が気になってゼクトのほうに視線を向けた。その瞬間に僕はあることに気づく。それは僕がリザとリリと一緒にいた時にも同じような事があったのである。そしてその時に僕は気づいたのだがゼストが僕の方に振り向き、その時にゼクトの顔を見ると僕の記憶の中にあるゼクトの顔とは別人に変わっているのだ。そう考えると僕に攻撃してきたゼストが僕と行動を共にしたゼクトとは同一人物だとは限らないのかもしれないと考える。しかし僕はゼクトのその行為に対して疑問を感じていたのである。

僕が意識を取り戻した時に僕がリリとリザに支えられているのを見て僕はすぐに二人に感謝の気持ちを伝えてから立ち上がり二人から離れた。その時に僕は二人には伝えていないことがあった。

僕の背中からはリザとリリによってつけられたであろう複数の深い傷跡とそこから流れる大量の出血が見られたのだった。

リザード族がリザーレとリザーナが魔結晶を手に入れることに成功してゼクト達がリリア達の住んでいる洞窟に戻るとリリアとリナは嬉しそうな表情でリゼとレイスの三人を迎えてくれたのだった。その事はリザとリリとリゼにとっては喜ばしいことであったがリゼとリザとリリの目の前でクロの背中から流れ出る大量の血液を見たリリアは驚きクロに声をかけるが返事がない事に気づいて急いでクロの元へ駆け寄る。そして、クロが怪我をしていると気づくとすぐにクロに回復魔法を使い始めた。クロが負ったダメージはとても大きかったが、リザとリリとリゼの3人の治療のおかげで何とか命を繋ぐことはできたのである。クロが目を覚ますのは早くても数日後になると見込んでいたが、クロがすぐに目を覚ましたので、皆が安心したのは言うまでもない。そしてリザがリゼとリリとリリの2人に今回の出来事を説明する。その説明の中でクロとゼクトの事については言わずにリザは二人に話をしたのである。そしてその話が終わった後にリナはクロに、リリアはリザとリリの二人に話しかけると二人ともクロを心配しており二人とも同じタイミングでクロに抱きついたのであった。その後、すぐにリザはゼクトとリザードマンの二人を呼び寄せリザが魔人を討伐したことを伝える。その事にリゼ達は喜ぶもののゼクトはその言葉が本当なのか信じられずにいる。

その話をリリア達にも話すようにリザは指示をしてからその話が終えるとリリアとリリの二人は自分達の仲間になったばかりのゼストを疑っているような態度を見せたのであった。そしてそれを見たゼクトはすぐにその誤解を解くのであった。

そしてその事を聞いたゼストとリザードマンとリゼとリナは自分達を襲って来たリザードマンがクロを瀕死の状態に追い詰めた事に怒りを覚える。だがそのリゼが怒りを抑えて冷静な様子をみせたので、ゼクトも少し落ち着きを取り戻す。そして、リザはクロの容態について説明するのであった。そしてゼクトはリゼがリザとリリに怒られたことに驚いた。リゼルに言われ、ゼストは自分がリゼの気持ちを考えることができてなかった事を反省をするのである。

ゼストが落ち着いた頃合いにゼクトとリザルは自分達に攻撃を加えてきた魔導士のことを尋ねるのである。その質問にリゼとリナが答えようとした時、クロと他の仲間が寝ている部屋から大きな物音がしたと思ったら皆が一斉に起き上がりゼスト達の前に姿を現す。ゼスト達はその音に驚き警戒していたのである。

僕は起き上がって最初に目に入ったのは僕の方を見つめているゼストの顔である。僕がゼストを見返すとそのゼストの顔に見覚えがあった。その顔はリザの双子の妹であるリゼの顔であったのだから。

僕は自分の視界を覆っていた物が外れていたので僕は起き上がる事にした。僕はベッドの上にいて僕は布団の中に入っていたようだということは理解したが、どうしてこうなっているのかはよくわからなかったけどまずは何が起こったのかを知るためにも外に出ることにしたのだ。すると僕はベッドの隣で横になっていた女性を見つけた。女性は僕が起きた事に気付いたようで声をかけてくれる。その女性が言った言葉で僕は今の状況を理解したのだけれど、この女性の名前を聞いても誰だかよくわかっていなかったので少し困ってしまうことになる。しかしその人は僕が記憶喪失だということを思い出したみたいで色々と僕の事を教えてくれようとしたが名前すらわからない状態ではどうしようもなかった。だけど、その人の名前はゼストでゼストがリゼの双子の弟だと教えてもらったのである。僕はその事を聞いてリザと僕を斬った人物が同一人物であることを確認することが出来たのだ。

それからしばらくしてから僕の怪我を診てくれていた人が、僕は丸一日眠り続けていたと言っていたから今はおそらく僕がこの世界に召喚されてから二日目になっていると思われるということも教えられた。ちなみに僕に治療を施して僕が起きるのを待っていてくれたのはゼストとリナさんでリゼとリリアさんの二人が僕の面倒を見ていてくれていたらしいことも聞いたのだ。

ゼストが僕が起き上がった時に起きたリザとリリに何が起きたのかを聞くとそれならちょうど良かったと言う事で僕に説明してくれる事になったので僕は黙り込み聞くことに集中することにした。僕はその話でゼストが魔人と手を組んでリゼと僕を騙して魔晶を手に入れようとしていたことが発覚する。僕とリゼの関係にヒビが入りかけたがその事をリナとリリアとが取り持ってくれ、なんとかリゼが納得してくれた。そのあとにリナが僕に「ごめんなさい。リリの勘違いのせいであなたの体にあんなに傷をつける結果になってしまって。あなたが目覚めない間は本当に心配していたのよ」と僕を気遣うように言ってくるので僕は嬉しく思い、リナが謝る必要なんてないと僕は言いたかったがそんなことを口にしたら、きっとリゼはまた僕に対して敵意を見せるかもしれないと思って僕は黙ることしかできなかったのである。それから僕はゼストにこれからどうするかを尋ねられる。僕としてもこの世界に来てまだ日も浅く僕にはまだまだ知識不足なのでこの世界で生活するために何かの職を身に着けたいと考えていたので、できればギルドに入りたいと考えている。その事を僕は伝えると、ゼストは僕のことを心配しているようだったが、僕の意思を尊重すると言ってくれ、その事を了承してもらえたのである。そのことでゼストにお礼を言いながらゼストの好意に甘えることを決めたのである。

それからしばらく経ってから僕は目を覚ましたゼストと話をすることにした。そこで僕はリゼとリナに僕の傷の手当をしてくれたことの感謝をゼストに伝えた後に僕はゼストと話をすることになった。僕はゼストに今までの経緯を説明して欲しいと言ったのだがゼストも僕が何者かもわかっていないので、とりあえず僕に危害を加える気がないことを伝えてもらいたいというと、僕の素性を調べるために僕の体を調べたいと言いだしたのである。

そして僕が断る間もなく僕は服を脱がされて全身をゼストとリナの二人によって隅々まで調べられてしまうのであった。

そして僕はその時に二人の行動に戸惑ってしまい、何もできないまま、ただ体を二人によって触られていただけだったのである。

リリは僕を治療する際に僕が着ていたローブも切り裂いたらしく僕は裸にされてしまったのだ。そのことにリゼは顔を赤らめ、リリの師匠は興奮してしまいリゼと同じように僕に襲いかかろうとしていたのである。その時にリゼが僕を助けてくれたのである。そしてその事で僕はリゼに感謝を伝えようとするが僕が喋ろうとした瞬間に僕の体が動かなくなるのを感じた。

僕に何が起きているのかと混乱している僕にリゼとリゼの母親が僕の背中の傷口に回復魔法を使ってくれる。そして回復魔法を受けた瞬間に僕の傷口は完全に塞がったのだがそれと同時に痛みを感じて僕の体は震えてしまう。その僕の様子を見て慌ててリゼの母親が今度は背中全体に回復魔法をかけたのだった。

それで僕はどうにか落ち着きを取り戻したのだが、僕はリザに背中の傷は完治したと言われた時にはさすがの僕でも驚いたのである。確かに背中を見てももう出血していないからそうなんだと実感はあったのだけど、それでも信じきれない部分があったからだ。その事が表情に出てたんだろうね、リゼは安心しろと言わんばかりに微笑みを浮かべながらリゼの母親は僕に言った。

「大丈夫だよ。君の回復力が高い事はわかったからもう安心していい。私が保証しよう」

その言葉をきいて僕はやっと信用することができたのだ。

リザが僕達の元に駆け寄ってきた。僕は自分の事を治療してくれてリゼとリゼの母親にも感謝を告げると二人は笑顔で応えてくれたのである。その後、リリとリゼがリザードマン族の村の村長をしているリザード族である事を教えられた。そして僕とリナはリザードマン族の村に連れて行ってもらう事にした。その移動の最中に僕はゼストからリゼに説明してもらうため僕が気絶させられた後の事の説明をしてもらった。ゼストの話によるとリゼの双子でリリが僕達に向かって来たそうだ。リリがリザに助けを求めたがリザは僕が魔結晶を持っていると思い込んでしまったそうで魔人の事を知っていたのでそのせいだろうとの事だ。そして僕はリザの双子の弟だという事を聞かされると僕は驚いたのである。そしてリリは魔人を倒せるほど強いのならば自分も弟子にしてくださいというお願いをしてきたが、その時リザが間に入ってきたのだ。それからは魔人をリゼと僕とリリの三人で倒すことになったのである。

リザが魔人の事をリリに話していなかったのでリザの双子の妹のリゼが代わりに話すことになったようだ。リリはその話を聞いてショックを受けていたのは言うまでもないがリゼの話は続いていった。僕はその話の途中に出てきた名前に疑問を抱く。

確かリザに魔人は四体のはずであとの一体は誰なのか気になり僕は質問をしたのであった。

その事についてはリザはわからないと答えてくれたけどリリアとリリがその残りの一体を討伐に向かったという話をしだすとリザの顔は青ざめた顔になっていた。それを見た僕は不安な気持ちになる。

その僕の考えを読み取ったかのようにリゼが魔導士の名前は魔導王と呼ばれてた者だと言う事を僕に伝えてくれた。その話を聞いた僕が困惑した表情でいるとリリの師匠であるゼストが魔導王は魔王の眷属になった魔人で魔人の中でも最も危険な魔人の一人だと告げる。僕がその言葉を聞いて絶句すると、リザとリナのリリアとリリの三人がリゼに魔導王の事を尋ねたらリゼが詳しい説明をリリア達にしてくれるのだった。

リリが僕達の元に来る前にその魔導王が突然現れた事とその魔導王の言葉を聞いたらリゼ達は怒りを覚えたのだという。そして僕とリゼを斬って僕を殺そうとしたがリナが僕に止めてくれと言われ、僕を助ける為に魔剣を抜いて僕を守ろうとしたリリはリナに助けられる事に成功したのだ。そしてリゼがリリを庇う形でリリアが魔導王に攻撃を加え、そのまま魔導王は姿を消してしまったらしい。その後は魔獣に襲われているリリを保護してこのリザード族の村にやって来たらしい。ちなみに魔導王は魔素と魔力を吸収していたようで魔晶を所持していなかった。その事にリゼが僕に謝ってくれたのだけど、僕が気にする必要はないと伝えるとほっとしていた。僕はそれよりもリリア達がどうなったのか気になっていた。しかしリザは僕のその様子でリリの師匠とリリと一緒に行動していることは間違いないだろうと思ったがどこに行っているかまではわからなかったのだ。

僕はこの世界の情報を知りたかったのだけどリナがこの世界での常識を教えてくれると言ってくれたのでリナからいろいろと教わることにした。その情報の中で僕が魔晶を手に入れることができた魔人が元はリゼとリゼの父親だと知ると僕は何もできない自分を呪ってしまうのだった。僕がそんな顔をしているとリナが慰めてくれようとしてくれる。

そのおかげで僕はなんとか気を静めることができた。僕はそんなリナに感謝してリナの手を握ってリナの温もりを感じていた。そんな僕にリナは照れているのだろうか顔を真っ赤にしながら僕の手を強く握り返してくれたのである。僕はその事がとても嬉しかった。

そんな時だ。リナのリリアを呼ぶ声が聞こえるとリリアが現れて僕に謝罪をしてくれた。その事で僕としては別にもう終わったことなんだからとリリアを説得するが僕の言葉に納得してくれたのかは正直微妙だと思う。リリスは僕を気遣ってくれてリナに僕を任せて自分はリリの側にいてほしいと頼んでくれていたみたいである。そのリナの気遣いにリリアは感謝をしていたのだ。リナにお礼を言われても僕は困るだけだった。なぜならリナと手をつないでいてリナがそんな状況に戸惑っているような表情をずっと浮かべていたからだ。

僕はリリに気になっている事を尋ねるとリザがリリに僕の正体を明かし、僕に襲ってきた理由を説明したそうだ。それから僕にお礼を言いたかったと言って僕に抱きついて来たので僕はとても驚く。それからしばらくしてリリスが戻ってきたのだった。リリスの話ではゼストの案内の元、僕を休ませる事ができる場所としてゼストの家の中を提供してもらえることになりリリスが僕を連れて行ってくれる事になった。その道中に僕にリリスが魔人との戦いで僕に助けてもらったお礼を伝えたので僕は笑顔で応えるとリリも笑顔で答えてくれる。そして僕をゼストの家の中に入れてくれた。

それからリリは僕をリザード族の村の村長を務めているリザード族の男の家にまで連れて行ってくれたのだ。そこではリリスとリゼの双子の母親が出迎えてくれたのだが、やはり母親だからなのかすぐにリナの存在に気付き、僕から強引にリナを奪い取って、抱きしめてリナの名前を呼び、泣きながら無事に戻って来てくれましたと伝え、それを見つめながらリナは自分の母に会えて良かったと思っていたのである。その後には父親に紹介され挨拶をしたのだが、その時にはすでに僕の怪我は完全に完治していたのである。そして僕は改めて自分の母親の能力の高さに驚いていた。その後はすぐに食事をする事になりテーブルについて食事をすることになったのだが、そこでリザが僕の隣に座ってきたので僕はリザが僕の隣にいる事に戸惑いを感じてしまう。リリがその様子を見ていたので僕はリリにリザとの関係を説明すると僕の事を羨ましそうな表情を浮かべたのである。

僕もどうしてリザが自分の隣にいるのかと聞きたいのが我慢できなくてそのことをリザに尋ねてみると僕が僕の息子だということを教えてくれたのである。その事で僕は信じられなかったのだがリザの瞳を見ると僕はリザが本当の事を言っているのだとわかり僕は混乱した。リザの父親がリリの母親と同じ容姿で僕も魔人の魔人だと言う事と僕もリザード族とリリアの娘の魔人であると言う事を伝えてくれたのだ。僕は魔族でも魔人でもなく、魔人だと言う事がわかってリザに自分が魔人だって事を隠していてごめんと言うが、それでもリザは自分の母親が魔人だったとしても構わないから僕と結婚したいと言い、その気持ちは本物だと言うことを言ってくれたのだ。僕はまだそこまでは考えられず今はただ一緒にいられる時間があればいいと思っていますと言ったんだけど、それでも結婚できる年齢になったら絶対にプロポーズしますと言われてしまったのだった。そのリザの様子を見た母親が僕に対して娘を幸せにしてあげてくださいと言ってくるし、リリは羨ましいと言わんばかりに見てくるのである。その様子に耐えられなくなった僕は食事が終わった後に逃げるように自分の家に戻ったのであった。その後には僕にリザを取られまいとするようにリゼとリナとクロまでもが僕の後を追いかけてきたのは言うまでもない事だった。そしてその夜リザは寝ている時にこっそり僕の部屋に入り込んできたのだ。そして夜伽に来たという事を言ってきたので僕はリゼやリザの両親がいるのに何を言うのかと怒るとその事では怒ってないよという事だったのでどういう意味なのか問いただしたところ、リリの双子の姉であるリゼと付き合うならちゃんと結婚しないとダメだと言われた。

確かに僕はリリと結婚する約束をしているわけでもないしまだそういう関係ではない。だけど僕はこの世界の知識を得る為にもリリとはできるだけ早く結婚しようと考えていたのだ。リリの方も魔人の事を調べるためにもこの世界に来ているんだと思うのでこの世界の知識を得てリリに魔人を倒す力を手に入れてから結婚しようと思っているとリゼに伝え、リザとリナにこれからどうしたいのかを相談したら僕とリリとの結婚を祝福してくれたので僕はホッとする。リザはその話を聞いた後にリゼのところに行くとリゼと話をしていた。その話を僕は盗み聞ぎをしようとは思わなかったので僕は眠りにつくのだった。

翌朝になると僕が起きた頃にはリゼはおらず、代わりにリリが僕の事を起こそうとしてくれて僕が起きるのを待っていてくれたらしいがなぜかリナとクロはぐったりとした様子だった。その理由はクロは僕とリリの事を見てリリに気を遣ったのが理由だと思われるけどリナは昨日の夜に何かあったのか疲れた表情をしていたのだ。

「リゼさんとリナさんは何をやっていたんですか?」

僕はその事をリナに聞くと僕は恥ずかしくなって何も答えられないリナだったのである。しかし、その反応から僕は何をやったかだいた予想がついたのだった。僕は二人のおかげで魔人に殺されずにすんで助かったのだし、二人はその事で僕を助けに来てくれたからこそこうやって今がある事を考えて僕は何も気にしていない事を告げて安心してもらう。その事を理解できたのかリナは僕にありがとうと言う。

その事から僕はとりあえず着替えをするために寝室を出ようとしたのだけどリナに止められる。どうしたのだろうと不思議に思いながらもリナの方に振り返るとリゼがいたのだ。リーゼは朝御飯を作ってくれたようでそのついでに僕の分の朝食を持ってきてくれたのである。僕はリナにその事は聞いていなかったのでリナにどうして教えてくれなかったのか尋ねると、その時にちょうどリナが目を覚まして僕の部屋に行けばいいと思い僕のところに持ってくるつもりだったと答えるのである。僕はそう言われると確かにリゼはいつも僕の世話をしてもらっているのだからたまにはこういう事もさせないといけないだろうと考え、そのままリナと一緒にリゼが作った料理を食べることにした。

その料理を食べ終わるとリナが今日からリザード族の村に残ろうかという話になってリリアにお願いする。リリアは僕の方を向いて僕の事を信用していると言ってくれていたので僕はリナの同行を許可してもらえたのだ。リナはリゼのお母さんに感謝していて僕はそんなリナの事を可愛いと思ってしまったのは仕方がないことだと思っている。そして僕はその事をリナに伝えるとリナはとても嬉しそうにしてくれたのだ。そして僕はリナとクロとリリを連れてリザード族の村に戻る事にした。

僕達はゼストの案内のもとリザード族の村に向かった。その間ゼストはこの世界での魔物についていろいろと僕達にレクチャーをしてくれた。その中でゼクトが知っている中で僕の役に立てそうなのはリザード族のリリとその父親ぐらいしか知っていないのでそっちの情報をまず伝えることにするとゼクスは言ったのである。そしてリリの父親についてはあまり詳しくはわかっていないらしいがリリの母親の方は少しだけ情報があった。その情報は僕のいた世界で言う所の魔素溜まりの場所から現れた事。それからリリの母親が元々リリの父親の婚約者で、その後にリリの父親と結婚して生まれた子供がリリスで、そのリリスが魔人として目覚める前にリリスの父親もリリの母親と同じような姿に変わったそうだ。それでその時からリリスは自分が魔人になるのではないかと考えて恐怖を感じてしまい、魔人の力が欲しいと考えていたようである。

僕はリリスの母親から魔人の力の受け継ぎ方がなんとなくわかった気がした。それはおそらく魔晶石の力を吸収しながら力を得たからであろう。僕はリリスとリリスの父親との違いを考えていくうちに、やはりリリスが母親から力を受け継いでいるのであればリリスも母親と同じ事をすれば力を受け継ぐことができるのではないかという考えに行き着く。そして僕はリリスのお父さんは魔人とリリスの間にできた子供でありリリスの母親はリリスの祖父が魔人であり、それからリリスに力を渡したのではと想像してゼストにそれを告げるとゼストはそんな事は知らなかったのか驚きの表情を浮かべていたのである。そして僕はゼストが驚くのは当然だと思うのでその事を伝えるがそれでもリリスの父親はリリの母親を愛していたのは確かなはずなので、その愛情によって今の魔人と人間の間に生まれた魔人の子が魔結晶を体内に入れた時に、その体の持ち主が持っていた魔人の力で魔人の力と人間の血の両方を手に入れる事ができるようになったと推測した。つまりリリスがリリスの母と同じように魔人の力を手に入れればその力を受け継げるかもしれないと考えたが、さすがにリリスにその事を教えて魔人の力を手に入れさせるのは酷だと思って僕はあえて言わなかった。

僕達がリザード族の村に着いて最初に驚いたのは村の人たちの顔つきが違うように思えた。村の人たちは僕達が来たことに気付くとすぐに村の広場に集まってきた。そこで村の長であるガレンが前に出て村の人たちに事情を説明すると、村人の中には納得いかない顔をしていた者もいたがほとんどの者が了承したのである。その様子から僕はこの村の人がリザをとても慕っていた事をすぐに感じた。

そしてガレントの妻であり村長でもあるリリアが僕の目の前にやって来ると僕の手を握り頭を下げてきたのだ。それに釣られるかのように村の人も全員同じように僕に対して土下座をしたのだ。突然の出来事に僕もリナも驚いてしまうがリリスだけはその様子を見つめているだけだったのであった。そしてこの世界の魔人との戦いにおいて一番貢献してくれているのはリザであることを知っているガレンは僕にも頭を深く下げてリザード族を代表してお礼を言うと言い始めたのだ。それを見ていた他の村人達もその言葉を合図にして一斉に同じ言葉を口にし始めたのだ。僕としてはそこまでの事だと思っていないし、リゼやリゼの家族と仲が良いのは確かだがここまで感謝されるのは予想していなかっただけにどうして良いかわからなくなってしまうのであった。僕はその状況から逃げたくてリゼの方を見る。するとそこには微笑んでいるリゼの姿があって僕はその笑顔を見れて本当に良かったと思う。

僕達はその後でリゼの実家に戻りしばらく休養を取った後にリゼの双子の妹がいるはずの街へと出発する。そして僕達はゼスの案内でリリが住んでいたと思われる場所にやって来たのである。しかし、そこは僕達の暮らしていた場所よりも明らかに廃れた場所でリリはそこに住んでいるとは考えられなかったので、その場所は諦めて別の場所に向かう。そして僕が地図を確認にしながら探していたところでリゼは僕に声をかけてきたのだ。

「クロ。あなたはここで休んでなさい。リリちゃんを探しに行かないで」

僕はリゼのその発言に驚いて理由を聞いたのだが、リナもゼストもそれに賛成しているようなので僕はその事に従う事にする。そしてリゼはその事をリリに伝えるためにリリがいるであろう家に向かって行った。その事を僕はリゼの事が心配だったのである。そしてリリの家に行ってみると、リゼはすぐに家から出てきていたのでリゼは無事なようだ。

「リリ。ここに来た理由は覚えている?」

その問いかけに首を縦に振るリリ。

「うん。覚えているよ姉様。私ねこの村から逃げ出した時に魔人の事を少しでも多く倒せばそれだけ多くの人が助かるって聞いたの。でも私はこの世界に来て魔人を倒したことは一度もないから倒す力を持っていない。だから魔人を討伐するために私も戦うの!」

その話を聞いて僕はある疑問にたどり着いたのである。魔人の事は確かにゼストに聞いていたけど魔人の事はあまり教えてもらっていない。僕がリゼの話を聞きながらリゼの方に目を向けていたからなのかゼストが僕に話しかけてくる。

「リザ殿。魔人の事ですよね?私が知っている範囲の事を話しますね。クロさんにならリザの事を安心して任せられるので教えてもいいかと思います。実は私とリザとリナさんは魔人から力を授かったんです。私の方はリナさんのと違ってかなり強いものでしたが、魔人はその力に満足しなかったのか、その力を使って私を殺そうとしたのです。魔人がリリとリナさんを殺した後、クロさんにその魔人を倒せるのかと聞いてきたのはそういう理由だったんです。それでリナさんには魔人の事を詳しく話すわけにはいかなかったから、リナさんの持っている魔結晶を使えるようにできるという事でリナさんの事をクロさんに引き取ってもらうようお願いしたんですよ。リナさんはリザード族の村で生まれ育ったわけではないのでリゼの妹として育てることはできなかったからです。しかし、リナさんをリナと呼び捨てにする事を許可したのは、クロさんにリナを幸せにしてほしいと思っていたからなんです。魔人を倒す方法を教えたとしても魔人と戦うのは危険な事でしたからね。それとクロさんのリリスに対する態度から考えてクロさんの魔人を殺す気持ちがとても強かったので、もしかすればリナが殺される事はないと思えたからリナを預けることを決めたんです。

ちなみにリナはリゼと魔人の間に出来た子ではありません。魔人の力を授かる事が出来ませんでしたからね。リナはクロさんの元いた世界にリゼと一緒にいたリリアの娘です。つまりリナが生まれてすぐにリゼとリナとリリは家族となったということですね。それでリナの魔結晶の力を使えば魔人を滅ぼす事もできなくはないです。

それからリリとリナがリゼと一緒に暮らしている時は魔人が現れなかったので魔人の居場所がわかっていなかったので、今まで魔人の捜索にあまり乗り気ではなかったリリとリナがリザと一緒に魔人の捜索をしてもらっていた。リゼがリリと一緒にリゼが魔結晶を持っている者にしか見ることができない魔結晶の魔紋を使い魔人に対抗しようと考えていました。

クロは今ゼストから魔人とリナの関係について聞いているが、その話の全てが嘘ではないと思える。そして魔人とリゼとの関係についてはリナがリゼの娘であるならばリナはゼストにとって娘になるはずだし、魔人とリゼの間に出来た子がリゼと姉妹であるのは間違いないだろうし。それからゼストがリゼ達三人にリゼが魔人だとは伝えていなかった事からリゼが魔人なのはほぼ確実だろうと予測できた。それにしてもゼスが魔人と繋がっている可能性はかなり低いと今は考えられるだろう。魔人の目的は魔人自身の強化であってリリやリリの父親や村の人達に力を注ぐ事ではなさそうだ。そしてリゼが僕に対してリリを自分の妹として接してくれるのが嬉しいと言ったのは、魔人の魔素を取り込んでしまった以上魔人の特徴が出て来てしまうからだと思われる。

僕はそんな風に考えていた。僕にはまだわからない事がある。魔人が魔人の力をリリスから奪ったのであれば、どうしてその力を人間に授けたりしたのだろうかと僕は不思議でならなかった。魔結晶の魔素の力を魔人自身で制御できるようになれば人間を簡単に滅ぼすことができるのだから、リリスから奪う意味が分からない。そしてリゼは魔人との戦いで力を失ったと言っていたので、リゼから魔人の力を奪う前に魔人の魔結晶を奪ったのであれば、その力を奪い返す事はできなかったのかとも思った。しかしリゼの話では、魔人になった瞬間からリリスに記憶はなかったと聞いているので、もしかするとリリスは魔人と人間の間にできた子なのかもしれないがリリスの母親であるリリアは人間であるはずなのだ。リリスの父親が魔人であるリリスと魔人の間にできてリリスとリリの母親が魔人なのではないかとも考えられるが、もしそうだったとしたらなぜその事を話さなかったのかという疑問が僕の中に残っているので、やはりリリスは魔人の中でも特殊な個体であり、その特別な力ゆえにリリスは魔人から狙われていたのではないかと僕は考えたのであった。リリスの本当の両親や育ててくれた祖父母や村人達の記憶がなかったのもそのせいであると考えると納得がいくのだ。そして僕はゼスにそのことを告げようとしたのだがゼスは僕に気づかれる前に消えてしまった。しかしゼスが何を言いたかったのかわからなかったが僕はこれ以上この件について考えるのは止めることにする。リリスにはこの事は伝えるべきではないと思ったからである。

僕は魔人の情報を集めながらゼスとの待ち合わせの場所に向かうことにした。僕が魔人の情報をある程度集め終わった頃に魔人の反応を探知したのだ。その近くにリリスがいたので、リリスにも事情を説明して一緒にその現場に向かったのである。僕達がその場所に到着すると既に戦いが始まっており、魔人の手には剣があった。どうやらリリが魔人の持っていた魔結晶を手に入れたらしいのだ。しかし、リリはその事に気がついていなかった。それどころかその事を隠していた。リゼは魔人から逃げるように言い始めるのだが、それを魔人が許さず攻撃を開始する。それに釣られるかのようにリナも参戦してきてしまい結局その場は戦場になってしまったのだ。リザが僕に声をかけてくる。僕は魔人に対しての対策を考えていた。魔人はゼストの言っていた通り僕達と同じ人間の姿をしていた。リゼによるとリリが手に入れた魔人に関する資料からの情報によればリリスは元々魔人だったようだ。しかし、その事はリリに伝えず、リナだけに伝えたのだという事だ。

リリの能力は魔法剣士の能力を持ち合わせておりかなり高い能力を持っていたようだ。リリが持っている魔結晶は魔人に対抗する為に作ったものだと言うが、おそらくそれは嘘である。

「リナは私が守るんだ!」

リリはそう叫ぶと同時にリリスに向かって駆け出した。その様子は明らかに焦っているように見えた。僕はリリの様子に疑問を持ちながらリナの隣に移動するとリリに向かって叫んだ。

「おい!リリ!!そいつは魔人じゃない。お前の姉ちゃんなんだろ!?」

「え?お姉ちゃん?」

リリは驚いたような顔をしながらリナを見る。

「リリ。クロの話は聞いたでしょう?魔人はあなたの姉なのよ」

「そんなの信じないよ」

そう言ってリリは再びリリスに攻撃を仕掛けようとするがリナはそれを止めたのだった。そして、リリスとの戦いを一旦中止するように促すのだった。リリは戸惑いながらもリリスの言う通りにした。リナの言葉に従う事にしたのはきっと、リナの言葉が正しいと判断したからだと思われる。

僕は二人の話を聞くためにその場に残り、クロに魔人を倒す事を伝えた。そして僕はクロと別れるのを寂しく感じながらリリスとリリと共にこの場を去った。僕はその光景を見ながらこれから魔人を確実に討伐する方法を考えた。魔人に勝つための策はあるのだが、この方法を実行するためにどうしても必要になるのがリリスとリリの協力が不可欠だった。魔人の弱点がわからない僕としては二人を仲間にしたいと考えている。そこでまずはリリを説得しようと決めた。僕はリリの説得のために一度村に戻りクロと合流するのだった。そしてクロとリゼを連れて再び魔人の場所へと向かうとリリにリナの事を説明すると、リリもリナの話に信憑性を感じたようでリナに協力する事を決める。僕はリリの事を信用できないと思いつつもその作戦を行う。僕はその方法を説明しながらリリとリナにお願いするのだった。

私はクロのその提案を聞きその作戦を実行するためにクロの事を信用する事に決める。なぜなら、リナも私と同じように魔人の存在を疑っていて、私に協力してくれたのでリナと私にはクロの事を信じるという選択しかなかったので協力することにした。リナに私の本心を打ち明ける事は出来なかったが、私の正体がリゼだと知られた時は必ずクロに相談しようと思っていた。そしてクロの提案に従って私達は行動するのだったが、その時の私の頭の中は不安だらけになっていた。リリスは魔人に乗っ取られている状態ではないので完全に魔人とは別人なのかもしれないし魔人に取り付かれている可能性も十分にあると私は思っていたからね。

僕が魔人にリナさんとリリに僕の話していることを理解してもらおうと説明をすると、リリスが僕の話を聞いている間リリスから黒い霧のようなものが出てきており、それがどんどん広がっていくのが見えた。そして僕はリリの事が心配になり、僕よりもリリに近かったリナとクロがリリの身体を心配し始めたのだ。僕はそんなリリの様子が気にかかったが、今はリリと話をしなければと考えていたので、リリスの様子を見ている余裕などなかった。しかし、その時に急にリナとクロに抱きかかえられてどこかに移動を始めたのだ。僕が何が起こっているのか理解できていないでいた。クロはリナとリリを抱えたまま走り続けていたが突然止まったかと思うとその先ではレイスさんとラリサとゼストとアベルさんの四人が待っていたのである。

「クロ様。リリスが暴走を始めました。もう止められません」

「え?どういうことですか?」

僕が戸惑った顔をしているとクロはリナとクロを抱えてきた理由を説明してくれた。そしてクロは魔人がすでにリリスの中に入り込んでしまっている事も説明すると、リナとクロに魔人を倒してほしいとお願いされたのである。そしてリナとクロはそれに答える形で魔人との戦闘に入るのであった。

魔人と戦闘を開始したクロだが魔人とは戦わずに魔人と戦う事になった経緯の説明と、リナ達への説得をするのだった。僕はリリスがリゼだと知った時から魔人について色々と考えを張り巡らせていた。そしてリナの事をリリスと呼ばずにリゼと呼んだのはリナの魔結晶の力を利用して魔人の力を回収するためだと推測したのだ。僕達が魔人と戦っても勝ち目はほとんどないので、勝てる可能性を上げる為に僕は魔人に協力しようと考えたのである。

僕とリナとリリは三人で行動していたが僕はリリに対して不信感を抱いていたのでリリとは一緒に行動せずにリナと行動を共にする事に決め、リナの案内でリリスの所まで向かった。そして僕とリナとリリは三人揃ってリリスと戦い始めたのである。僕がリナの剣で斬ろうとすると、魔人は魔素を使い盾を作って防いだのだ。リリの攻撃は魔人の魔力の防御によって効かず、リリスの放つ炎も簡単にかき消されてしまった。リリスの攻撃をリリスが簡単に受け止めていたのを見た時は正直驚きを隠せなかった。それから僕は魔人に攻撃を繰り返していった。しかし僕とリリは魔人に触れる事はできなかったのだ。それでもリリスが僕達に気がつくまでの間ずっと魔人と戦闘を繰り返していた。僕とリリとリナは三人で連携を取りつつ魔人と戦ったのだが、魔人の方が強かったのだ。

リナはリナで自分の力で魔結晶の力を解放する事で魔法が使えるようになり魔人との戦いが楽になったのだが魔人からの攻撃を避ける際に体勢を崩してしまったのだった。そしてリリスの魔法による攻撃をリナが受けてしまいそうだったので僕は咄嵯にリリスの前に移動してその攻撃を受けた。僕がリリスの攻撃を受けると僕の体にリリスから放たれた黒い霧のようなものが取り付いてくるのを感じ取ると、リリスに話しかけたが、リナとリナを抱えていたリリはリリスの攻撃を避けながら僕から距離を取ったのだ。しかし僕から離れていたはずのリナは僕の方に駆け寄ってきたのである。

「お兄ちゃん!大丈夫!?どうしてそんな事したの!?」

「リリは、俺を信じていないみたいだから、リナがリリを説得している間に俺の方から魔人に接触してみるつもりだったんだ。俺はお前のお姉さんを救ってやりたいと思っているから協力してくれ」

「わかったよ。お姉ちゃんを助けてあげよう」

「リリ、あなたは自分の身が危険なのがわからないの?その人は危険人物よ。今すぐ離れなさい!」

リナも僕の話に同意をしてリリに注意を促したのだが、それを聞いたリリスの表情が変わるのを僕は見逃さなかった。そして魔人に取り込まれてしまったリリスの心の中で何かしらの動きがあるのを感じた僕は急いでリナの側に近づいた。しかしリナの側に来た時にはリナがリナの魔結晶の能力を使ってリリスに斬りかかっており、その攻撃によりリリスは傷つきながらも魔人の肉体を切り裂いていたのである。リリスが倒れそうになったところを見て僕とリナとリリはリリスの身体を支えようとしたのだが、それを見ていたゼストがすぐに回復させてくれることになった。

ゼストにリリスの回復を任せて僕達は戦いを再開した。僕とリナがリリスを攻撃することで何とか魔人を倒す事ができたのだった。その後で僕達は魔人に奪われたリリスの魔結晶とリリスの魔石を回収する。

「リナ、さっきの魔人だけど魔人を乗っ取っている奴がいるはずだ。そいつを倒してくれないか?」

僕は魔人を倒した直後にリリスに言った言葉をリナに言う。リリスはリナの呼びかけにも答えずそのまま意識を失ってしまったのだ。リナとリリに僕はその言葉を残してこの場を去る。僕達はクロと合流したのだがその前にリリスが暴走した時にリナの放った魔法の爆発音が遠くに聞こえたのを僕は覚えていたのでその場所に向かった。そこにはレイスさんがリリスを抱きかかえて待っていたのである。僕はリリスの様子を確認したが魔人に乗っ取られているような状態ではなかった。どうやら魔人に操られているという訳ではなさそうで安心した。僕はクロと共にリリスの無事を喜ぶのだった。そして僕がこの村にいる理由はないのですぐに王都に帰ろうとしていた時に声をかけられる。僕達の目の前に現れたのはリリスだった。

「あの。ありがとうございます。リリスを治してくれたんですよね?」

「うん。そうだね。とりあえずは落ち着いたみたいだね」

僕は笑顔を作りながらリリスと会話をしていた。しかしリリスが落ち着きを取り戻しても僕の心に不安が消えていなかった。なぜなら魔人の能力がまだ残っている可能性があったからだ。リリスが僕の前に現れるまでに何回も魔人と会っているのでまだ魔人に乗っ取られたままなのかもしれないと考えていたのだった。そこで僕はリナとリリスには悪いけどクロと一緒にクロの両親のいる家に戻ってもらい僕はリリスと話をする。そして、僕はリリスが魔人ではないと証明する為に魔人とリリスの間に何か共通点はないのかを聞き出したのだ。そしてその質問にリリスは答える。

「リリスは私に魔素を流し込んできたり、魔人の記憶を見せてきただけで何もしていないです。本当にただそれだけで他には何もしなかったのです」

リリスの言葉はリリスの嘘かもしれないし本当なのかもしれなかったが、魔人がリリスに危害を加えようとしていない事がわかっていた僕はリリスが話した内容を信じる事にしたのだ。

僕は魔人を探すためにリナ達を連れてクロの実家に向かう。その途中でリナとリリが一緒に行動する事になった。そしてクロの家に到着して、クロの父親からクロの両親が住んでいる家に案内してもらう。僕はクロの家族に魔人とリリスの関係を聞いてみた。するとリナから魔人は僕が想像していた以上に人間と関わっていたらしく、クロの両親も魔人について知っていると話すのだった。それで魔人について教えてもらえるように頼むとリナが僕の代わりにクロの母親に説明を始めたのである。

クロの母親はリリスに説明を始めたのだ。

私はクロの母であるリリがリリスという名前だと知り、リリスの事は以前から知っていたのである。でも私はリリスがどんな子なのかよく知らなかったので、リナさんの話に耳を傾けることにした。リナさんはクロの両親に事情を説明した。リナさんがクロのお父さんとお母さんと話をしている最中にクロは部屋から出て行き、クロは私の隣に来て一緒に話を聞く。私がクロと話をしている間、クロの父親は黙って話を聞いていたのだ。

「お母さんは、僕が生まれる時に魔人の血を入れられて、魔人としての力を与えられた。そしてその魔人になる前の力の影響で魔人になっても普通の魔物と違って自我を保つ事ができている。でもそれはお母さんの精神力が異常に強いからだと思う。魔素を吸収したり放出できる力を持っているせいで魔素への抵抗が強いらしいんだ。そしてクロは生まれた時に母さんの体にある魔人の血を吸い取って魔人化した。その時に僕は魔人に力を吸収されて、魔人の力を得たわけなんだ」

クロの説明をリナさんはクロに魔結晶を渡していた。その時、魔人の話を聞いたリナさんは何かを考え始めた。そして少し考えた後に魔人の情報を手に入れる為だとリリに告げて魔人の居場所を突き止める為にクロに協力してほしいと言い出すのである。そのリナの頼み事をクロは受けることにした。そして、リリスが魔人から解放された事でクロが自由に動けるようになるとリナとクロは一緒に魔人を捜す旅に出て行ってしまったのだ。リナ達が魔人の探索に出かけたのを見送った後で私はクロと話し合いをする事になる。

「えっと。僕もリナもクロもいなくなっちゃったのでリリスさんに聞きたい事があるんだけど、リリスが魔素を吸収する事が出来るっていうのはリナに聞いたの?」

「はい。そうですね。私の母は魔王の娘だったので。ちなみに魔人の血を取り込んだからといって必ずしも魔人化するとは限りませんよ。私の場合は元々そういう種族だったというだけなんで」

リリは僕にリナが説明してくれた内容と違った部分を説明してくれた。僕はそれに気がついたものの特に問題ないとリナに伝えていた。リリスとクロと僕はこれからの計画を相談して、クロに頼んでクロの父親にリリスを預けて王都に向かってもらうことにした。

そして僕とリリスがこの村に残っている理由はなくなったのだ。しかしリナとリリが戻ってくるまで僕が村に滞在することになった。僕がここに残った理由としては僕が魔人と戦った時にリナとリリを巻き込んでしまうのを恐れたからだ。それとリリスは僕の事を心配してついてきた。僕は村の中を一通り見終わったので、外に出て遺跡のような場所を探しに行こうとした時に声をかけられたのである。僕は声の主を見るとリナがいた。僕はリリスをリリアに任せた後、僕はリナに魔結晶の事を聞いたのだ。その魔結晶の能力を解放するために必要だったのが魔人を倒すという事であり、魔人がいなくなった以上、リリスは魔人と戦う必要がなくなったのだ。しかし魔人がいない今の状況ならば魔結晶を解放させる方法がわかるのはリリスしかおらず、その役目をリリスに任せたのだ。僕はその方法を聞きたかったのだが、リナも詳しくは知らないようであった。それでも僕は魔人にリリスが魔人になった時の記憶があるはずなので魔人の記憶を見るように頼む。

「わかりました。それじゃ、リリスちゃん。お願いしますね」

リリスがそう言うとリリスが意識を失い倒れる。リリスが意識を失ったのを確認したリリスは僕の家に戻ると言って歩き出し僕の家の中に入っていった。しばらくして僕とリナはクロと合流をしたのだが、そこでリリが魔人の身体の記憶を見ることができるようになるという事を僕達は知ったのである。僕達はクロとリリスに合流して魔人に関する事を調べる事にした。そしてリナの持っている魔人の情報を少しでも得ようとしたのだった。

僕は魔人に関して調べるためにリナと魔人の戦闘について詳しく知るため、リナと魔人の戦いの記録を確認することにする。そしてその戦いの際に使われた魔法陣を見て、僕の目を通して見たらどんな戦いが繰り広げられているのかわかった気がしたのである。まずリナだがリリスと同じように光り輝く光の盾を作り出す能力を持っていたがリリスよりも強力な物を作り出せているようだった。次にリリスなのだが、魔人がリナを攻撃しようとしているのが見えた瞬間にリリスは自分の前に闇の空間を作り出し魔人を飲み込んだのだ。そしてその闇を消すかのように光の槍を無数に出現させ、それを全て闇の空間の中に放ったのだ。その一撃で僕はこの二人が規格外だと感じた。僕が感じたのはこの二人以外にもとんでもない奴らがいるという感覚である。僕はこの場にいるクロやリシア達も含めてそんな連中に会えるかもしれないと考えてしまい、楽しみになっていた。しかし魔人の正体がまだ掴めていない。

その後でリナはラピスさん達にリシアの治療を行う為に王都に向かうように指示を出したのだった。その後リナは僕達の前から立ち去ろうとしたのだけどリシアが突然苦しみ出したのだ。それで僕は慌てて近寄って様子を見たのだ。

「うっ」

僕とリナとリリスが話をしていた頃の出来事だ。僕とリナが話をしていると、リシアさんはいきなり苦しみだした。リシアはその場に座り込むと胸を押さえ苦しんでいたのだ。僕は何があったのか確認するべく急いでリリスと一緒に駆け寄るとそこには僕の腕の中で苦しんでいるリシアの姿が視界に入る。リリスはすぐに回復系の能力を使ってくれると、しばらくするとリシアは落ち着いたのか息を吹き返したのだ。

リリスのおかげで命を落とすことはなかったがリシアは危険な状態だと僕は思う。なぜならさっきリリスの魔法が発動するまでの間に一瞬リリスの体から漏れ出した魔素の量が尋常じゃない量に増えてたのを感じ取っていたのだ。リリスに魔素の量が増えた理由を聞こうとしたけど僕に話すつもりはなさそうなので、リリスには後で聞くこととして、今はリリアにリシアを任せることにして僕はリリにクロの両親が住む家に行くように指示を出す。

そして、僕はリリスと二人で魔人がいると思われる場所にリリスとクロと一緒に行くことになったのだ。

そしてクロの父親に別れの挨拶をしてから僕とクロはリリスと一緒に魔人を探し始める。そしてクロは両親にクロと離れる事になった理由を説明している。それから僕が魔人と戦っている間にリリスに僕を助けて欲しいと言われ、クロの両親は了承して僕とクロの援護に向かう。僕は魔人との戦闘を開始したのだがリリにはまだ早いと言われたのでリリスと一緒に隠れていてもらう事にした。リリスは僕の指示に納得できないような表情をしていたけれどリリスを説得するのに時間がかかっている時間はない。それに僕は早く終わらせたかったのもあり僕は一人で戦うことをリリスに伝えた。しかしクロから、魔人との実力差が大きいので無理だと止めれられてしまうが、その忠告を無視してクロの家を出て行ったのである。

僕は魔人の居場所を突き止める為に移動するとクロも一緒についてくる。リリが僕達に同行しようとするクロにリリスのことを頼み魔人のいる場所にたどり着くことができた。そして僕はクロに魔人と戦わないように伝えると、リリスは不満げだったがクロは僕の言葉に納得してくれたようだ。僕は僕で魔人を倒せばリナ達も喜ぶだろうと思ってやる気を出していて倒す気満々であった。それでクロは僕が魔人の相手をしてくれるという事を知ってリリスと一緒にクロの実家に戻ったのだった。

「リナさん、お帰りなさい。リリスは無事に戻ってきてクロ君と無事に合流しましたよ」

私はリリスにリリスとクロちゃんを出迎えてくれたのは私の従姉妹で幼馴染のラリサちゃんだったのだ。私は久しぶりに会う友達と再会できて喜んでいたのだが、私もクロ君に言われた通りリナとクロ君と行動を共にすることにしなければいけない状況になりそうなので、私はクロ君と行動を共にする事にしたのだ。

私がリナさんに魔人の捜索を頼んだ時に魔人の魔素を吸う力が強すぎて私は意識を失ってしまったの。私が目を覚ましたのはそのあとすぐのことだった。私が意識を失う前にリリスはリナに頼まれた仕事をこなすため魔人の元に向かったらしい。私が気を失っていたのはわずかな時間でしかなかった。だから魔人はすぐには見つからないだろうと私は考えていたのである。

そしてリリスが魔人の場所に向かってから魔人がリナさんと戦っていた。その時のリナさんが操る盾を見た私は、この村に来てからリナさんの力を間近で見ていたこともあって魔人の攻撃を全て受け止めているリナさんの盾を見て驚いていた。そしてリリスは魔人に闇の槍を放ち、さらに闇の球体で魔人を取り囲んでいく。魔人はその攻撃を耐えながらリリスと魔人の戦いをじっと見ているだけだった。

リリスの攻撃が終わるとリリスは闇の盾を消していた。私には全く見えなかったけど魔人にも全く何も起きていないように見える。その証拠に魔人は何もせずにリナを見ているだけなのだ。魔人には何の変化もなかったがリリスの方に変化が現れた。それはリリスが突然倒れてしまったのだ。リリスの体が輝き始めて魔人から吸収している魔力が増えて行っているのが目に見て取れる。そして、しばらくするとリリスから溢れていた光が収まった時そこにいたのは先程までと見た目が全然違うリリスの姿がそこにはあったのだ。

リナとクロは目の前にいるのが誰なのかわからなかったが、とりあえずリナが、クロに話しかけようとした瞬間リリスの口から声が聞こえてくる。

「ふむ。まさかこんなところまで追ってくる人間が現れるとは思いませんでしたね。それも二人も現れるなんて。しかも片方は魔結晶まで持っている」

魔人の言葉に二人は驚きながらも警戒心を強める。そしてリナはリリスに向かって声をかけるとリリスは意識を取り戻したのかリナの声に反応して声を発したのである。

「んっ、あれ、私、どうなって、えっ、どうしてリナ姉さまが? それにこの人達って誰?」

「この人たちは魔人を倒しに来たんですよ。リリス。それよりあなたはもう戦えないのですよね。後は任せてください。リリスは安全な場所でクロオ様と共に見守っていてください」

「えっ、ちょっと待ってください。私なら戦えるんです」

「ダメです。リリスにはやらなきゃいけないことがあるのでしょう。その事はクロちゃんに全て伝えました。だからリリスは自分のすべき事をやり遂げるまでは、ここでおとなしくしていて」

リナはリリスの話を遮るとリナはリリスがこれ以上危険な目に合わせたくないと思い、自分がやると言い出すがリリスが、自分は魔人を倒す役目があると言うがリナは聞かずに自分の役割は果たしたと言ってリリスを無理やりクロの所に連れて行こうとする。

しかしリリスは納得できずに、自分も一緒に戦うといってリリスはその場から動こうとしなかったのだ。そこでリリスの前にリナは移動すると剣を抜きリリスに突きつけたのである。

その瞬間にクロが慌てて二人の間に割入りリナを止める事に成功するとクロも戦闘体勢に入った。その様子を見たリシアは魔人とクロの戦いを見るべく準備を整えるのだった。リリスは自分の不甲斐なさを感じていたが、そんな自分に呆れながらも戦いの準備をすることにするのであった。しかしこの時すでにリナ達の周りでは異変が起き始めていた。

僕はリナとリリスの様子がおかしいのを見て魔人の存在を忘れて二人に駆け寄ったのだ。そして僕は二人の手を握りしめて強制的に僕が指定した家に飛んでいった。

その家は以前クロが住んでいた家の隣の家で僕達が魔人と遭遇する前から住んでいる人の家なのだ。僕はリナとリリスを連れてクロがいる場所に戻ってきた。僕は二人が心配だったので、まず二人を椅子に座らせて落ち着かせることにした。そして二人が落ち着くのを待つ間、僕達はお互いの状況を説明することに決める。まずはクロがリリスと僕の両親に説明を始めたのだ。僕はその間にリナがリリスを責めるような口調で言っていたことに対して何か引っかかっていた。

(僕とクロとリシアが戦った時にリシアが僕の記憶が戻ってるんじゃないかと思ったんだけどそれって、リシアはクロが魔人と戦っていた時のことを僕の記憶だと勘違いしたんじゃないのかな)

僕は疑問に思ったのでリナが話を終えた時にそのことをクロに聞いてみたのだ。僕の質問を聞いたクロは僕の言いたいことがわかったようで、僕に教えてくれたのである。

僕は魔人が現れて、リナとリリスと一緒に戦おうとしてすぐに魔人の方に視線を向けた。しかし僕は魔人がどんな姿になっているのか全く見当もついていなかったのだ。だけど僕はなんとなく魔人の容姿がリリスのような女の子だと予想していたがリナは違ったようだった。リナがリリスを戦わせようとはしないで、僕達にリリスをクロの両親がいる家に連れ帰って欲しいと言われたので、リナはリリスに魔人と戦うことをやめさせたかったんだと思う。でも、それをリナに言うのはまずいような気がした。だからリナには言わないでおこうと決めたのだ。僕はクロにリリスの両親とクロの家族の安全を確保することを任せた。それからリナに事情を聞いてみるとリナは魔人を討伐するつもりはなかったみたいだった。

僕はリシアの両親とクロの両親の安全確保が終わりクロの家に行くとクロにリナに魔人との会話の内容を詳しく聞かせて欲しいと言われ、僕はリナの言った内容を簡単に伝える。それから僕はリナとクロと一緒に家を出てリリスが待つ家に向かったのだった。

リナが魔人と話をしている最中、クロの家の近くにいる人達が次々と倒れていく現象が発生していた。そしてその現象の中心にいる存在に気がついた人達がいた。その者達はその現象を止めるためにリナの側にいた女性の元に駆けつけようとしていたのだ。その女性は、リリアという名前でリディアの妹でありラリサの母であるラリスタの妻でリリスの母親でもあったのだ。リリアはラリサから聞いていた特徴と一致する人物を発見した。その者はリアリスという名のリリスと同じ顔をした女性のことでラリスタンの話だとリナさんが魔王からもらった能力で生み出した人だということである。そしてラリスタからリリスと同じような人がいるからその者にも協力してもらうようにと言われたとリリアがラリリスに伝えてくれたのである。

リリスは魔人とクロとの話し合いが終わったのかリリスが僕に話しかけてきた。リリスと僕は、これから魔人との戦闘になる可能性があるためリリスには隠れておいて欲しかったのだが、リリスは僕と離れる事に抵抗を感じて、リリスは絶対にクロの側から離さないようにクロとリナに言われていたので、僕と行動する事を決めたらしい。リリスはクロの指示に従い、クロと一緒の部屋でリリスが戻ってくるのを待っているとラリサさんに呼ばれたので僕は、ラリサさんとラリリスさんのところに急いだのだった。するとそこに倒れていたはずの人達は意識を取り戻しており、魔人が現れた時のように倒れている人たちと、魔人が現れてもいないのに倒れたままの人々が存在していたのである。そしてリリスは、その光景を見た時何が起きたか理解できていなかったが、僕の言葉でリリスは冷静になった。リリスは状況を理解したのか、魔人の元に向かうことを決意し家を出ようとしたところでラリサが止めたのだ。リリスも納得がいかないところがあったのか、少しの間揉めて口論をしていたが、リリカの一言でリリスの態度が変わる。その言葉を発して最初に動いたのが、ラリラスでその後にリリスが続いた。二人はリリスを止めようとしているリリスを横切りクロに近づいて行く。そしてリリスの手を掴みクロの方に引き戻そうとするリリスにリリスを連れて行くなと言ってクロの手を握りしめているリリスに手を差し出したのである。

僕はリシアと一緒にリリリスの後を追う。その時に、クロの家にいる人達にリシアの作った料理を食べてもらったのである。リリスは僕達の後を付いて来てくれていたが僕達の後ろにはリシアがついてきていたのだ。そして、リナに僕達がリリスの援護に向かおうとするとリリスが魔人に捕まった。その様子に僕とクロとリシアとリリスとリリスに手を握られていたリリスが一斉に動き出してリナとクロとラリスが魔人に斬りかかっていくのが視界に入る。

リナとリリスの二人が同時に剣を振り下ろすと、そこに魔人の腕が現れるとリナとリリスの二人を薙ぎ払ってしまう。リナはリリスを助けようとしたので、クロがリリスの体を掴んでいた魔人を攻撃しようとしたが間に合わない。僕は、リシアがリナの方に行きそうになったのでリシアに攻撃しようとした魔人を攻撃するように指示を出す。僕はクロが魔人の腕に吹っ飛ばされてリナが地面に衝突しそうになっていたのが目に入り急いでクロとリナの元に移動する。

リナが地面に衝突する直前に僕はクロに回復魔法をかけて、クロとリナに結界を展開する。僕はリリスとリリスの腕を握っていたリシアの無事を確認して、すぐに魔人の方に向かい魔人とクロとリナが戦いを始めてしまう。僕とクロは二人で連携しながら戦い魔人は、僕達が想像以上の実力を持っているのに驚いたのか、距離を取ると闇属性魔法を使いクロの体に取り込もうとしていた。クロの意識を奪い取ろうとしているようだがクロには一切ダメージを与えられていないようだった。クロとリナが二人揃って攻撃をしたが防がれてしまったのである。しかしクロが防御に集中している時に魔人からの攻撃がクロに当たる寸前に僕は全力を出して攻撃をした。その結果魔人がクロと僕に向かって攻撃を仕掛けてきたがなんとか防ぐ事ができたのだ。魔人が僕達との距離を開けるために僕に背中を向けて逃げ出した。僕はすぐに追いつき魔人を斬ろうと動くと魔人が突然消えたのだ。

(一体何処に行ったんだ)

僕は周りを警戒して探すが見当たらない。しかし僕の後ろから誰かに抱きつかれた。振り返るとそこにはリシアがいたのだ。僕はいきなりの事で反応が遅れてしまい、リシアに僕の唇を奪われてしまう。それから数秒間キスをしてようやくリシアは僕の身体から離れるのだった。

僕は魔人を追いかける前にリリスとクロの様子を見るために二人の方を向くと、なぜかリナとクロが戦いを再開している。僕はリナの所に行きクロとリナの二人に声をかけた。リナと僕は、リシアの事を二人に話して、今すぐこの場を離れてリナとラリサスさんとラリリスさんの三人で魔人の相手をしてもらう事にした。リナには魔人の正体がわかっていたので僕はリナに魔人の正体を教えてもらい、その事をクロに伝える。その言葉を聞いたクロがリナの所に来て魔人の対処について話し合いをする。そしてリナの提案を受け入れ僕達と別れて、リナは魔人を倒す為にラリサスさんとラリスとリリスとラリスとラリサスさんは、クロの家族が住んでいる家の方に向かったのであった。そしてリナ達は、家に到着した。そして僕は、リリスが持っている武器でリリスが持っていた短刀を渡して欲しいとリリスに伝えたのだ。僕は魔人と戦闘を行う時に、クロが持っている短刀が必要になると思っていたので、リリスにクロから借りた方が良いと思って頼んだのだ。僕はリシアの事も気にしていたのだがリシアが、僕とリリスに何かあるとまずい事になるかもしれないので僕から離れないと言ったので、仕方なくそのままにしてリシアと一緒にクロの家まで戻り、ラリスにクロの両親を任せてクロと一緒にクロの家に戻ってきたのである。僕はリナとリリスとラリシアさんを連れて魔人の元に戻ったのだった。

魔人がリナ達の目の前に現れると、すぐにリリスとラリスとラリスがリナを護り、クロの両親とクロとクロの家で待っているように伝えたのだ。クロの両親もクロも僕と一緒に戦えると言い張ったが僕達が無理矢理にクロの家に戻るように説得をした。クロの両親を無理やり家から出さないようにしているとクロが、リリス達にリリス達の事は僕に任せろと言っていた。

リナは、魔人の姿を見ると自分の母であるリリアとそっくりだった。リリスはその光景を目にした時に涙が流れ落ちてきたのである。それからしばらくして、リナがリリスが持ってきていたリナの荷物の中から短剣を取りだしリリスに渡してくれたのだ。そしてリリスは、ラリシアとラリリスに自分が魔人の相手を引き受けるからリナと一緒に避難して欲しいと言ってくれたので、リリスのお願いを聞き入れたラリシアとラリスがリナと一緒に逃げる準備をしていたのだ。僕は、魔人の方に目をやるがその姿が見えない。僕はクロと魔人の捜索をしているとリリスが突然声を上げたのである。

「ラリリス、私の声聞こえる?聞こえたら、返事してちょうだい」

その言葉にクロがリリスの言葉に反応して、リリスの所に走っていった。

クロはリリスの近くに到着すると、そのリリスを見て驚きその場で固まってしまった。リリスは、クロとラリサスさんの姿を見て、泣きそうな表情になりながら笑みを浮かべて、クロに話しかける。

クロもやっと落ち着いたのか、いつも通りに戻ってリリスと話し始めた。リリスも安心したのか笑顔になってクロにお礼を言うのと同時に、魔人はリナの母親と容姿が酷似しておりその事からリリスは涙を流してしまう。クロはそんなリリスを優しく抱きしめてから、これからどうしたらいいのかを話し合っていた。クロが話し合っている時にリリスに魔人から攻撃を受けそうになった。僕がすぐに移動して魔人の攻撃を防ぎ魔人に攻撃を仕掛けたが魔人はすぐにその場を離れた。僕はクロの方を見てみるとリナとクロのお父さんがリナとリリスと一緒に避難していたのだ。それからリリスとクロは僕の元にやってきてくれていた。

そしてクロの父親はリシアとクロのお母さんに近づいて行ってクロの母親が二人に説明していると、クロとリナが僕達に合流するためにやってきた。僕はリリスとリリスと手を繋いでいたラリリスをリナの方に移動させてもらい、それからクロとリナとラリリスとリリスの四人で魔人を倒す事を決めた。それからリナがクロとラリシアとラリリスにリリスを連れて行くように指示を出しクロが了承するとリナは僕と一緒にクロの家に戻ろうとしたのである。

しかしクロは、魔人の方を向きながら僕の肩を掴み首を左右に振ってから、ラリシアの事を頼むと言う。それからクロは、魔人と僕から距離を詰めていくとリナがクロの後に続いたのである。ラリシアとラリリスの方はリナと一緒にいることになったので僕はクロとリナが魔人と一対一の状況を作り出せるような位置に誘導する事にした。僕は魔人とクロの間に入り攻撃を防ぐ事にした。魔人の魔力が徐々に膨れ上がっている。僕はリリスの方を見てみると魔人の方に近づいて行っていた。

クロの身体の中にリリスがいる状態なら魔人もクロを殺せばリリスが出て来る事を知らないはずだと考えた僕は、リナをクロの元へ行かせてクロに、リリスの居場所を悟られないように気を付けてもらう事にしたのである。そして魔人の方に集中すると、魔人の魔力が大きくなっていくと魔人が僕に向かって攻撃を仕掛けてきた。その瞬間僕は全力の結界を展開したのである。僕はクロとリナに、僕が時間を稼ぐからその間にクロは魔人に攻撃をするように言うと僕は全力の攻撃を魔人に当てる。魔人が反撃として僕の結界を破壊するがすぐに僕の攻撃を防いでくれる。

僕はクロの援護の為に、僕と魔人の間に隙間を作るために魔法を発動させたのであった。すると一瞬で魔人との間に空間が生まれた。僕はクロに魔人を攻撃してもらう為に声をかけるとクロが一気に魔人に向かって行く。魔人はそれを察知して避けようとするが、僕の攻撃を防いだ直後だった為避けるのが遅れたのだ。僕と魔人の戦いの中でクロは隙を見て僕と魔人の方に来てくれていたのである。クロは僕の攻撃で出来た魔人の大きな傷口に聖属性の魔法を使って攻撃を始めたのである。魔人は完全にクロの動きに対応出来ていない様子で、クロの攻撃を受けた魔人の動きが完全に止まってしまった。僕とクロは、すぐに離れるように動くと魔人の全身にクロの魔力と僕の魔剣に込めた力が融合していくのが分かったのだ。魔人が苦しんでいる様子を見てクロのお母さんがリシアにクロから離れないと大変な事になると言った。リシアがクロから離れるのを見た僕達はリシアが離れた事を魔人の様子を見て確認することが出来たのである。僕は魔人の事を気にしながらもクロの様子を見ると僕の心配とは裏腹に余裕で魔人の攻撃をいなしている。それからしばらく戦いが続くがクロの方が押していて、とうとうクロの攻撃が魔人の腹部を貫通する。しかし、そこで僕はクロの攻撃を防がれてしまい魔人の手が伸びてきてクロに襲い掛かる。僕とリナがすぐに駆けつけてクロを助け出そうとしたが間に合わなかった。僕とリナがクロに近づこうとしたがリナは魔人の腕がクロの心臓に突き刺さるのを見てしまったのだ。僕はリナを止めてクロを助ける方法を考えることにしたのである。

(リシアにお願いをしてみるか)

僕はそう考えて一度みんなと一緒にクロの元から離れようと思った時に後ろを振り向くと見覚えのある姿が現れた。

そしてクロのお父さんが姿を現して僕達の前に現れたのである。

それからクロのお父様は倒れているクロに近づくと自分の体を使い蘇生を試みてくれた。クロの体が少しずつ光を放ち始めて数秒後には光が消えるとそこには先ほどまでとは違う姿になっているが間違いなく自分の息子の姿が目に映ったのだ。そして、お母さまにお礼を言いながら抱き着いていたのであった。それから僕はリナにクロを連れて一旦戻るように伝えて、僕は魔人を倒すためにリリス達と合流して再びクロの家族が住んでいた場所に戻って行ったのである。そして僕はクロとリナとクロの両親を先にリシア達の所に向かわせたのであった。

僕はクロの家族を先にリシア達の所に向かわせた後でリリスの方に向かうと、ラリサスさんとラリスとリリスもラリサスさんが連れてきたラリスの両親が、僕と一緒にリシアの所に行こうと僕達に合流してくれていたのだ。そして僕とラリサスさんとリリスとリリスの家族で、リリス達が戦っている場所に戻った。リリスは、すでにリシアと一緒に戦っていた。僕はリシア達の加勢をしに行きたいところだったが、まずはリリスとクロの両親を回復させることに集中をすることにした。

僕はラリリスにお願いをしラリサスさんと一緒にラリサスさんの両親とリリスのお父さんの回復をお願いした。僕もすぐに回復の力を使えるようになったのがわかったのでラリスの両親を治療をし始めると、ラリサスさんの両親も同時に治療を始めるのである。ラリサスさんの両親も僕と同じようにリシアを手助けしていたのだ。

僕は、すぐにクロとリナとリリスとラリリスが待っている場所に戻ってくると、リナの母親がリリスの母親とリリスにお礼を伝えておりクロの両親は僕にお礼を言ってからクロの方に目線を移していた。僕はクロとリナとクロの父親とリリスの両親の六人で魔人の相手をする事にしたのだ。僕達が魔人の元に行くと同時にラリシアは魔人の目の前から姿を消したのである。そして僕とリナは、魔人の両腕を切り落とすことに成功するが、僕達の力じゃ切断することしかできず、そのまま魔人にやられてしまうと、ラリスがラリシアの方に飛んでいき魔人に攻撃を仕掛けていた。ラリスの母親はリシアに何かを伝えた後に僕とリナのところに戻ってきた。それから僕はラリスにクロと一緒にクロのお父さんとラリスの父親を守ってくれと言い、ラリシアとクロの方を見てみると、魔人の体に攻撃を加え続けていた。魔人は自分の体の変化に気付いたらしく魔人の動きに変化が見られるとラリサスさんの父親がラリスとラリシアに指示を出し魔人の手足と頭を切り離してから首だけを斬り落とそうとした。しかし魔人は首を斬られる直前に自らの首を吹き飛ばしてしまう。その事でクロとリナとクロの父親は動きを止めるが僕は魔人にすぐに攻撃を加える。すると僕達の行動が功を奏し、魔人の身体からリリスのお母さんの魂を開放する事が出来たのだ。そして僕は、クロに魔人をリリスと一緒に倒して欲しいと伝える。僕はクロとクロのお父さんと一緒に魔人と戦うことになったのだ。

僕とリナはリリスとクロのお父さんと一緒にリリスが戦っている魔人の身体と頭を破壊しようと移動したのであったが、クロが魔人の身体を蹴り飛ばしたことで僕達三人は吹き飛ばされてしまったのである。そして僕はラリシアが魔人の体内に入った事を確認することができたのである。そして僕はクロとクロのお父さんにリリスの事を託して、リリスを救い出してもらう為に、魔人の相手をしながら魔人と距離を取る事にしたのである。僕はリシアの方を見るがどうやらリシアの方はラリシアの援護をしてくれていたので安心することが出来た。

それから僕とリナはクロがリリスに話しかけリリスとクロとリリスとラリシアとクロの母親が、魔人の体内に入ってリリスのお母さんが魔人の肉体を支配しようとしているのだと、ラリシアの援護をするべくクロ達を魔人から引き離したのである。

僕はクロとリナと一緒に魔人との距離を取ろうとするのであるが、リリスの援護のためにクロがクロとラリシアの二人に援護を任せて、僕とリナの方に向かってくる。僕達はなんとかリリスの魔剣の力を使う前に魔人の体内に侵入することに成功したのであった。

僕とリナは魔人の魔人に取り込まれている魔人の肉体の制御をリリスに任せると魔人の中に侵入していったのである。

するとすぐに僕はリリスの声が聞こえたような気がした。

僕とリナは魔人の魔剣の力で、リリスが作り出した結界に入り込んで、魔人の肉体に干渉することができたのであった。僕とリナはすぐに行動を開始した。僕は魔人の魔力に自分の魔力を纏わせて侵食させていくのである。僕に意識を向けさせるためだ。それから僕は自分の意思を伝える為の魔人の言葉を考え始める。

僕に言葉は通じないと思うが僕は魔人の言語を理解する事は出来るはずだと判断する。それから僕はリリスに魔人の中にあるリリスのお母さんが生み出した魔力に干渉してほしい事を伝えたのである。僕の魔力では僕の意識が魔人に取り込まれている魔人に吸収されて、魔人の思うがままに動かされてしまうかもしれないと考えたからである。リリスがリシアの体を操って僕を救ってくれたことを考えるとそれが出来ると思ったからだ。そして、それを魔人に気付かれるのはまずいとも考えたのだ。僕のこの考えを聞いたリリスは納得してくれた。リリスが魔人の魔力に僕と魔人の魔力を融合させる事にしたのである。そして僕に合図を出したので、僕はすぐに魔人の中に存在する魔力に対して僕の持っている魔力を流し込み始めたのであった。するとリリスは僕の方に振り向き僕と目が合った。そして僕は僕が今していることを、僕の考えている事をリリスに伝えたのだ。そして僕は魔人が僕を取り込む前にリリスに助けてもらい魔人の支配から逃れようとしていた。

僕は魔人が自分の体に違和感がある事を理解して魔人から離れる事を期待したのだが、それは無駄に終わったのである。しかし、僕はリリスが僕の作戦を実行してくれた事を察することが出来たのだ。僕はリリスを信じて待つ事にした。

そしてリリスが、ラリシアさんと協力してリリスの魔剣を使い、魔人の中で暴れる魔力を押さえつけることに成功していた。それを見た僕はすぐにラリリスが抑えた場所を自分の手で広げたのであった。そうする事で魔人に支配された空間が広がるのを待ち望んでいたのである。僕は僕が取り込まれても他の人たちが助かる方法を思いついた。

僕はラリスとラリシアが作っている隙を利用して自分の体を広げていく。そして自分が乗っ取られないように、支配されないように集中することに時間を掛けたのである。僕には魔人の記憶が流れ込んできておりそれが僕の人格を消し去ろうとしていたので抗うように自分の中の自分の力に呼びかけ続ける。

僕はリシアとラリサスさんの両親に、魔人の体の外に放り出されたとしてもすぐに戻ってこなくて良いと伝えたのである。そして、もし戻って来なくても必ず僕とクロが戻ってくると言ってから魔人の中に入っていった。

僕が外に出たのはそれからしばらくしてからであった。僕はリリスとラリリスによって作り出された結界の中におり僕は自分の手を見て確認した。それからすぐにラリサスさんとラリスが僕に声をかけてきたのである。僕は自分の状態とリリス達の状況を確認した後で、魔人の中にまだ取り残されている人達がいると伝えてから僕はクロ達と一緒にリシア達と合流をした。それからすぐに僕はラリサスさんとリリスに僕達の仲間になってほしいことを提案する。僕達の事情を説明してこれから魔族以外の人を守るために協力をしてくれるのか尋ねたのだ。僕はリリス達に魔王と魔族達を倒した後の話をする。僕とクロとリナは、ラリサスさんとリリスとリリスの両親に、魔人の討伐に協力してもらった。

そして僕は、ラリサスさんに僕とリシアの力を譲渡してラリスさんとクロの両親にも魔素と魔人の存在を消滅させるために協力してもらおうと考えていた。しかし、リシアに僕の考えを話してからすぐにクロのお父さんが、僕の提案を受け入れてくれたのである。クロとクロの両親は自分達も力を貸したいと申し出たので僕はクロ達親子の身体を作り変えることに決めてクロ達家族全員を自分の仲間にすることを決めたのだ。そして僕達全員が集まったところで魔族のみんなから僕とクロの父親の体に触るように伝える。僕は僕達の身体にリリスとリシアの力が宿ったことで、僕とリシアの力とクロとラリサスさんの両親が融合した力で魔人を封じ込めることにしたのだ。僕達は魔人を完全に封じ込めることになんとか成功する。僕は魔人の身体が動き出す可能性があると考えリシアに僕達の力をリシアに預けておくことにする。僕は魔人にリリスとリリスの母親の魂を取り込んだことで魔人の魔剣と一体化しており、リリスはリリスの母親の魔剣と一体化していて、魔剣が二つありリシアとリリスの母親の魂が魔剣と融合し、リリスの身体に宿ることでラリスが魔人の魂に働きかけることができるようになっていたのだった。僕はリリスに、クロとリナに、ラリシアとリリスとリリスのお母さんの魔剣を預けてほしいと頼むとリナはラリシアとラリスの両親にリシアの母親の魔剣を渡していた。

クロはラリシアとラリシアの両親にクロの父親にリシアの母親の魔剣を渡そうとし、リリスとリリスの母親はクロにクロの両親の魂が入っている魔石を渡す。それからクロとリナは魔人に攻撃を仕掛けるために魔人の体内に侵入することにしたのだ。僕達は、クロ達が体内に侵入した事を確認して、僕達の周りにいたクロとリナと魔人の肉体の一部になっていたリシアとラリスの身体と魔剣と魔人の肉体の一部が消滅したことを確認したのである。

そして僕とクロの父親はリリスとリリスの母親と一緒に結界の中に閉じこもり結界の中から魔人の魔剣を遠隔操作しながら、リリスとリリスのお母さんにリリスとリリスのお母さんの魔剣を操作させリリスのお母さんがリリスとリリスの母親の魔剣を使って魔人の魔剣を操りリシアのお母さんを操っているリシアを魔人の肉体ごと吸収する事に成功したのであった。その後で魔人と融合をしていたリリスは魔人の肉体から分離をすることができた。これで全てが終わったと安心したがそうではなかったのである。

リリスタは自分がリリアナだと気付いておらずに自分は誰かが憑依されているのではないかと不安がっていたのだ。それを見た僕は、僕の中に封印されているもう一人の人格を呼び覚ませばすべて解決すると教えてリリカの記憶を戻したのであったが、リリスは僕達と一緒にいる事が出来ない理由がありリシア達を残して先に自分の世界に帰ると言い残してから僕の前から姿を消したのであった。

それから僕達は、クロとリナの体を元に戻す事に成功をしてリリスとリリスとラリシアの三人はリリシアを連れてリシアの世界へと戻ったのである。僕とリナは魔人の魔剣を回収したあとに魔剣を転移魔法を使い魔人の世界に持ち帰ることにしたのであった。

こうして僕とクロは元の姿に戻ったのだ。僕はリナと共にクロに魔人と戦っている最中に手に入れたアイテムや、リリスがリリスの両親から譲り受けた魔道具を僕に転送をしてもらう事にした。僕はリシアとリナの二人に自分の世界で暮らしてもらう事にした。

それから僕とリナとクロは僕の家に転移をし家に入るとクロが自分の部屋に行こうとする。僕とリナは、僕とクロがこの家の所有権を持っていると説明をしたらクロとリナの二人が僕とリナに所有権を譲ってくれることになった。それからリナとクロは自分の部屋に戻りクロと僕は僕の部屋のリビングにある椅子に腰をかけてから、僕はリナに僕が今から言う事は絶対に秘密にしておいてほしいと話す。

僕とクロは魔人がこの世界の人を犠牲にして作ったダンジョンを攻略している事を伝えたのである。この事をリリスにリリスの母親がこの世界にいた時に聞いていたが、リリスがリリスの父親と別れたあとにその事を知ったらしく、この事を僕達に言わずにいようとしていたらしい。だから僕はリリスに自分の母親には会わないのか尋ねたら会う必要がないと言われてしまったのだ。リリスにリリスの母親はどうしてなのか聞くとリリスはこう答えたのだ。自分の父親のせいで自分の父親が苦しんでいる事を知っているので自分とは一緒にいられないと言って僕達に頭を下げたのである。

それからリリスとリリスの母親は僕に魔族と戦う時は自分も戦うと言ってくれたのだ。リリスはリシアの身体を借りていて自分の力はもう使いたくないと言ったが、それでも僕とリナが助けられる力があるのなら、少しでもいいから自分の力が役に立つのであれば戦いたいと話してくれたのだ。僕はリリスにラリスが持っていた魔石の力を解放する事が出来るので、クロと一緒に僕達についてきてくれと頼みリリスの承諾を得たのである。そして僕はリリスに僕の考えを話す。僕はラリシスの力を取り戻す前にラリスとリリスの母親が持っているリリスの魔剣の力を解放したいと思っていたことをリリスに伝えると、僕の話を黙って聞いてくれていたリリスとリリスが僕の考えに同意してくれたのである。そして僕とクロとリナの三人でこれからどうするかを話し合うことにして僕達は話し合っていたのであった。

僕達は魔人が復活するまでの間に魔人の討伐の準備をしておくことにしたのであった。そこで僕はクロに自分の父親の身体に魔石を埋め込み僕の父親の能力を手に入れるために協力して欲しいと言うとクロがすぐに僕の父親のところに僕を連れて行ってくれることになった。僕は自分の家にリリスとリナに待機するように伝えてからクロとリナの二人に魔人の核の魔剣の能力を解放するために父親の魔石の魔素と魔人の核が宿っている魔石の魔素の力を融合する事ができるのかを確認のためクロの父親に聞きに行くことにしたのである。

僕とクロとリナの3人で魔導国の王の城の前に行くとそこには、ラリスの父親のラリスタンが待ち構えており僕に話しかけてきた。そしてラリスの父親のラリスタンに僕がリシアの魔石に魔力を込めて魔人の魔剣を作り出した事と、僕がクロに頼んで魔人の身体の一部になった魔人の魔剣を取り出そうとしていることを説明するとラリスのお父さんは僕に魔剣が取り出せなくなった原因が魔剣と魔人の中に残っているリリリスとリリスの母親の魂の力によるものだと考えていたので僕に協力してくれることになったのだ。ラリスのお父さんとラリスが魔人の核が魔剣と一体化していて、リリスとラリスの母親の魂が入ったことで魔剣が魔剣と一体化していたのがリリスとリリスの両親の魔素が融合して魔人の魔素に魔人の魂に魔人の身体の魔素と魔剣の魔素とリリスとリリスの母親の魂の魔素とラリスの父親である魔族の魂とリリスとラリスの母親である魔人となったリリスの魂が融合したことによりラリサスさんとラリスとリリスとリリスのお父さんが魔剣に取り込まれたのだと思われると説明をしてくれた。それから僕はラリスの父親の身体とリリスの魔石に融合した魔人の中からラリスとラリスの父親とラリスのお母さんを救い出すことができるかもしれない方法を教えてくれたのだ。僕はラリスの父親からリリスとリリスの母親を救うための方法を試してみると言って、僕はラリスの父親の魔石に融合したラリスの母親の魔剣を取り出し、リシアが持っていた魔石に魔剣の力を封印している剣を取り出す。

そして僕はリリスが持っている魔剣の魔剣の能力を開放させるためにクロに手伝ってもらうことにして、まずクロが魔人の魔剣に近づいてから魔剣に触れる。次に僕はリリスの身体の魔剣に触れてリリスの身体の中にあるラリスの母親の魔剣も取り出してしまえばよいのではないかと説明する。リリスはラリスの母親と離れるのは辛いがラリスの為にも魔人の核に囚われているリリスとラリスの母親を助けるために頑張ると言い、ラリサスさんの魔剣に触れた後でリリスの体内にあるラリスの母親の魔石とリリスの身体の魔石に触れてリリスは二人の魔石を同時に引き抜いたのである。そしてリリスは自分の体内にあったラリスの魔石をリリスの母親とラリスの父親に取り込ませてから魔人に近づきラリスの母親とラリスの魔石を取り込んだラリスの魔剣でラリスとリリスのお母さんの魂の魔剣を取り込みリリスの母親の魔剣はクロにクロの体内に魔剣を封じるように頼みリリスの母親の魔剣はリリスにリリスが持っている魔剣を操れるようにしてほしいと言って魔人の身体の一部だった剣を魔人の身体に融合させたのである。その後リリスは魔人の核となっている魔人と一つになりリリスが魔人の核に憑依された状態になっていたのであった。その後、クロがリシアの持っていた剣の力でクロの中に埋め込まれていたリリスの核を取り出した。その後、リリスは自分の意識を取り戻すことに成功したのである。その後、リシアの肉体の中に残っていたラリサスさんとラリスの母親の肉体を僕の空間魔法で作った僕の家の僕の部屋にリリシスの転移魔法を使って連れてきて、僕はクロとリナとラリスの4人を元の姿に戻すことにしたのである。

僕達は魔人を倒すためにある準備を始めたのだが僕達がやっていることがばれてしまうと厄介な事になる可能性があると予想される為に僕達はこの事は誰にも内緒にする事を皆んなが了承をしてから僕とリナとクロとラリスとリリスの5人は、僕達の住んでいるこの世界では魔王と言われているリシアの世界に行く事にしたのである。それから僕達はクロが持っている魔道具を使い僕の家からクロとリナの二人で元いた世界に転移をした。それから僕はリナの魔法を使いリシアの家に瞬間移動をして僕とリナはクロの魔法でクロの世界に行き僕達の世界へと戻って行ったのであった。

それからリリスはリリスの母親とリリスの体を元に戻すためにクロがクロが使える唯一の魔法であり、全ての生命を生み出すことが出来る魔法の力を発動させ僕達を元の姿に戻した。クロがこの世界の魔法でリリスとラリスを元に戻そうとしたがラリスだけは上手く戻せなかったのである。しかしリリスの母親は、ラリスを自分の子供として育てる事がリリスにとっていい結果になるとリリスが言い出しリリスが僕の妹に自分の娘を預けることにしたのである。それから僕はリシアとクロに自分の家の地下施設を二人に任せる事にしてからリリスの家の転移装置と魔道船を使う事を提案したのであった。そして僕は、クロに魔人との戦いの時の魔導王の力を解放するのに、僕に協力して欲しいと話すとクロはすぐに協力すると僕達に話してくれたのである。そしてクロが言うには、魔人が復活した後に魔人を倒した時に僕の父親が使った力が覚醒するのでそれを僕と一緒に使うと言うことだったのだ。

クロが言っていたことはこうであった。

僕の父親が魔王と呼ばれていた時代に、ある王国と戦争をしていたらしい。その王国の王女の名前はリナと同じ名前のリリーで、その当時の魔王が僕の父だと分かった時はまだ魔族を統率するだけの力がなかったので僕と魔王の娘にその当時の僕の父親が助けられた事があったのだ。その時の僕はクロの身体の中で魔王の娘の身体の中にいるクロと精神体だけの状態でクロが僕の精神体をクロが身体を貸してくれる代わりに魔王の娘である僕の妹のリナの中に入れてもらって魔王である父を倒しに行っていたのだ。それからしばらくしてから魔人が復活し、魔人が復活した時に魔人の力の半分しか持っていなかった僕は魔人に倒されてしまう。それからしばらく経つと僕が魔人と戦うために魔人の力を全て解放して戦う。その戦いにリナとリナの父親も一緒に参加してくれるという。そして僕の父親は魔人との決着を付ける為に魔剣を使った。魔剣と魔剣に封印されていた魔族の魂の力を合わせたことによって、僕は一時的に魔人の身体に宿っている魔人の魂と完全に一体になれると言うことらしい。僕がそれについてクロに質問をしたら魔人の核となっていた魔王と一体化することで魔人の魔素と一体化することができてさらに魔王が持つ最強の能力が使えるようになり魔人よりも上の次元にいく事が出来るようになると言われたのだ。しかし魔人の魔素に魔王が吸収されてしまって魔王と魔人の魔素が一体化してしまう危険性もあった。僕はそのことをクロに聞いてみたら僕と魔王が一体化してしまった時はクロが魔王の核に僕の身体が吸い込まれる前に魔剣をクロの中に入れるのでクロの魔力とクロの魔剣に封じ込まれている魔剣とリリスが作り出したリリスの核とリリスの父親に融合してもらったリリスの核が僕を救い出してくれれば問題はないと言う。僕はそれで納得することにした。

僕とリナはクロにお願いして魔導王の身体の魔石とリリスが作りだした魔石の魔石を取り出してもらい魔剣の魔石の中の力を封印している剣を取り出した後でクロの身体の中に魔石を入れるのに成功した。その後でクロの身体の中にあるラリスの核を取り出そうとしたが魔核はリリスの身体の中にある核と同じように身体から切り離したら魔人の核に取り込まれて一体化する可能性が有った。僕はどうすれば良いか悩んでいた。しかし、そんな心配は無用だったようで魔核が身体の中から出て行こうとした時リリスの父親である魔導王の記憶が一瞬頭の中に入ってきたのである。魔導王が魔人の魔核になった後で魔核に同化していた魔王の魔核はクロの父親とリナの父親に取り込まれた魔剣とリリスの身体に融合していた魔石が取り出した剣に封じ込められていた魔石に吸収されてしまったようなのだ。

そしてクロは自分の体内に入ったリリスの母親の核も自分の中に取り込んでしまいリリスは自分一人になってしまい魔族の中でもリリスとクロの家族だけが生き残ったのである。それからリリスは自分が持っているすべての知識を使い僕を救ってくれたのである。そして僕とリリスとクロは魔剣が置いてある場所まで歩いて行き魔剣が保管してある部屋の前に到着した。

それから僕とクロとリリスは部屋に入って魔剣の前に立って僕はリリスとクロにこれから魔剣に宿っている魔人の魂を解放すると伝えた。

リリスは自分の母親が持っている魔剣に手をかざしながら呪文を唱えると、リリスが持っている魔剣から光を放ちながらリリスが言った通りに魔王と勇者が一つになって魔人の核と化した魔人の魔剣の核が取り出されてしまい、魔剣の中に魔人の魔石が入っている事を確認できたのである。その後でリリスの母親が使っていた魔石はリナの父親が使用していた魔石にクロの父親であるラリスの魔剣の魔石が取り込まれていてラリスの魔石に魔人の魔石が入っていたのだ。魔剣が取り出されると、すぐに魔剣と魔剣に魔剣が封じられている全ての武器を僕の家の地下室に移動させた。

僕はそれから魔王の魔核が眠っている所に移動しようとしたのだが、魔王の核が眠っていた場所はリリスが魔核に魔剣が融合した際にその魔剣の力の魔素が放出してしまい魔人の核の中にいた魔人は全て消滅していて魔核が眠る場所は魔剣と魔剣に魔剣に封じ込まれている全ての武器が保管されている部屋の床の下にあるとクロに言われその場所に移動したのである。

僕達はリリスとクロとリナと一緒に、魔王と魔人の力を手に入れる為に僕とクロがラリシアのお父さんから預かったラリサスさんが作った魔道具を使いラリスとリリスの母親とリリスをリシアが憑依しているリリスの母親に取り憑いているラリシアのお母さんとリリスに取り付いているラリスとクロのお母さんに取り付いたラリスの魂の融合した姿であるラリスの母親の魔石を取り出すことに成功した。僕が手に入れたラリスの母親の魔石にラリスの父親とラリスの父親が持っていた全ての魔道書にリリスの父親が残した書物の魔法を融合させると僕達の家にある地下の部屋に転移するための魔道門が発動されたのであった。

僕は魔王の核が保管されていた場所で魔剣を鞘から抜いた時に、僕はこの世界に存在するすべての魔導書とリリスの両親が作り上げた魔導書を融合させる事に成功し全ての力の融合が終わった時に、この世界では存在しない全ての属性魔法が使えるようになった。僕が魔法を融合させることに時間が掛かっている間に、リリスの父親が残した書物を読んでリシアがこの国を守る方法を考えていたらしい。しかし魔導王の力を使って魔王と魔人を倒す事しか考えてないリリスとリリリスの二人は、魔導王の力でリリスの父親を復活させようとしたのであった。

それから魔王と魔人が一体化してしまったリリスは魔王の姿になってしまった。その姿を見ていないラリサスとリリスの父親だけはなんとか魔導王の姿に魔王が戻るように魔人の魔核の中に残っている魔人の中にある魔力を魔剣に集め始めた。そしてラリラスの父親が持つ魔法杖には膨大な魔力が蓄えられておりラリシアの父親が持つ全ての魔導具はリリスの母親の魔核が組み込まれているリリスの身体のリリスの母親の魂の力を宿している魔石を魔剣の核にすることが出来た。それからリリスの父親の身体を媒体にラリサスの父親である魔導王は魔王とラリスの父親を復活させる事にラリシアの身体をリリスの父親に託した。そして魔人の姿をしていたラリスが僕の妹の身体の中に入る事でラリスとクロとリリスとリナは僕の家族としてこの世界に蘇ることができたのであった。

僕はリナを魔剣に封印するために魔王が封印されてる場所に僕達がいる場所と魔剣が置かれている部屋を魔剣の力で繋いで僕達がいる場所から直接移動できるようにした。僕とクロとリリスとリリスの父親とリリスが魔剣を使って僕の妹のリナの身体に魔王と魔人を封じ込める事にしたのだ。僕はリリスの父親に頼んで僕の妹のリナを魔剣の中に連れて行ってもらって僕はリリスの魔核の中に魔人を全て取り込んだ魔人の力を手に入れ魔剣の魔核の力と融合させる準備をしていた。魔人の力は僕の中にある魔王と勇者の力が合わさって手に入れようとしている魔人の力の半分にもなっていなかったので魔王と魔人と一体化して僕の体の中で魔人の半分と魔人の残りの半分に僕の中に入った魔王と魔人の力が合体するとどうなるのかは分からないけど、魔人はもう復活させられないはずなので安心はしていた。

僕は魔王と魔人の力を全て手に入れられたことでリリスの父親とリリスとクロが作っていた魔剣とリリスが作り出したすべての魔法の融合は成功したのだ。そして僕はリナの体の中から出てきた魔核を手に取ってリナの体に埋め込んだ。そしてリナが魔王と魔人と一つになった魔核とリリスが作り出した魔剣が融合することで、魔導王の魔核に魔人が入っている魔王と勇者の力が融合されることにより魔剣と魔王と勇者が一体化した最強の武器が誕生したのだ。その最強の武器の名前は『黒龍牙』と名付けられたのである。そしてリリスの父親である魔導王も僕の妹に魔剣の中に魔王と魔人の力を入れ込む事に成功したのだ。そして魔剣は魔人の力を取り込むことで黒く変色していったのである。

僕はリナと魔王とリリスの父親をリリスの身体に戻すことを忘れて魔王と魔人を取り込んで強化された魔剣の魔石の中の力が解放されてしまったのである。魔王の力の一部を解放した状態で、その魔王の力を使った攻撃を魔王が放ったのでその攻撃を防ぐことができなかったのだ。そしてリナとクロは、その魔王の攻撃を受けて身体の機能が止まってしまった。僕はクロにリナの体を元に戻してあげてと言うと、クロは自分の身体の中にある魔王の魔石を使ってリナの身体を回復させようとしていた。僕はクロにリナが生きている事をリナに伝えてあげるように言うと、僕は魔王と魔王の魔石とリリスの身体から分離した魔素とリリスの父親とラリスの母親の身体に埋め込まれていたラリスの魔石を融合した力を剣に乗せて魔王に向かっていった。しかし魔王はそんなことは気にせずに僕に魔王の拳をぶつけたのだ。しかし、僕と魔王の勝負は完全に互角になっていたのである。その時、僕はこの世界では見たことのない魔法を発動したのだった。僕は魔法を発動した後に僕はラリスに魔剣を渡すのとリリスを魔剣に融合させれば勝てると思いクロにリリスとリリスの魔石を持ってくるように伝えて、それからリリスとリリスのお父さんとクロのお母さんにリリスが魔人に取り込まれてしまったので魔人を取り込んで魔王と同じ魔人の力を持つ存在にしてしまえばいいと言い魔王の目の前に魔剣を差し出して魔剣にリナのお父さんをリリスを魔剣に閉じ込めろと命じた。僕はリリスの父親にリナの身体を回復させてくれてありがとうと伝えた。リリスのお父さんはリリスの父親を僕達がリリスを魔剣に封印した後は魔王が持っているすべての魔導書をリリスに渡すように指示をした。

僕は魔導王と魔導王の魔導書の力を使って魔導王の力を使って魔導王の杖を作り魔導王の杖の力を魔王の杖に宿らせることに成功した。魔王は僕に魔王の魔素と魔人の核を融合した物を使えば魔人に勝つことが出来ると言ったのである。魔王は魔素を使って魔導師の杖を作ったように魔素を利用して僕が作った魔王の杖と魔王が使っている魔王の魔剣が融合した時にこの世界に存在する魔法を使う事ができる魔剣を作る事が出来るらしいのである。魔王が作り出した魔王の魔素と魔王の魔剣は融合した時に、魔素と魔剣が融合した剣で相手を切り裂くか、相手の中に剣を入れたら相手は強制的に死ぬことができる剣を作り出す事ができて、僕がその作った魔王の魔剣で斬られたり、僕の体内に剣を入れて魔核を破壊された魔導師は魔王と同じような能力が身につくらしい。

それから僕は魔導王の魔素の力で魔王の身体のすべての機能を乗っ取ることができ、魔王の魔素を取り込んだ魔剣の魔王の剣を使って魔王を僕の中に取り込んだ後、魔王と一体化してしまったリリスの父親の魔素を使ってリリスの母親を魔王と同じように取り込んだ魔剣に閉じ込めることにした。リリスの母親はリリスの母親の魔核の身体と融合していた魔核は僕がリリスのお母さんに取り憑いていた魔核からリリスの母親を取り出して取り憑かせた後に融合させたのである。そうすることによってリリスの魔核の中にはラリスの父親である魔導王が持っていた魔道書が全て魔剣の魔王に融合して僕の中にある魔道王の力によって僕の中の魔導王と魔導王の魔素と魔剣の剣の力を融合した魔王の魔素の力と魔剣の剣の剣の融合に使った魔道書の融合により魔剣と魔道王は融合したのである。その結果僕が魔王の身体の中に入った事により魔導王に完全に肉体の支配権を奪われてしまい僕は僕が魔王の魔核の中に入っていたリリスとリリスの魔剣から魔核を抜き取って僕達の体に入れると僕とクロとリリスは元の姿に戻ったのであった。それからリリスとクロは僕の家族として復活したのであった。

「みんな大丈夫?私はなんとかなったよ!リナも意識を取り戻したし!」

リリカがそう言いリナが目を覚まして身体を起こした。するとリリスは涙を流しながらリナを抱きついたのである。リリスが泣いた事で他の人も涙目になってリリスを見守った。そしてリリスが泣き止んだあとリリスがリリリスの父親のラリスに抱きついて泣いていてラリスはそんなリリスの頭を撫でてリリスが落ち着いた頃を見計らいラリスはラリリスに話しかけた。

「リナさんはどうしてこんな危険な事をしたんです?」

「私には夢があった。この世界にはまだ知らない事があるはずだ。その事を調べるために冒険者になろうとした。しかし私は自分の知識で限界を感じたので世界を見て回っていろいろな経験をしたかった。その途中で私はリリスに会った。そしてリナはリナの父親とラリリスに魔剣を渡そうとした。そしてリナの父親は魔剣を受け取りラリリスの父親と一緒にリリスの身体を取り戻そうと旅に出た」

「リナが私の魔剣を持っていたのには驚いた。それにこの世界にまだリナの父親の身体とラリスの父親の身体が存在している事に気づかなかった。この城にある全ての魔道具と魔核を魔導王に預けたのは失敗だったな。私がラリリスに身体を奪われた時に、この魔導城に保管してある魔導具の全てと魔導核の全ての魔石の全てをこの城の空間に封印していたはずなんだが、魔族が魔石に魔石に魔素と魔人を融合させたのでそのせいで魔導師と魔人の力が融合して新たな魔王が誕生してしまってるのか。魔王が倒されてから魔人が復活する事がなかったのだがまさか魔王が誕生していたとはな」

僕は魔王が魔人の復活を企んでいた理由をリナの身体の中にあった魔王の魔核を僕が取り出したことで魔王の身体に魔人が入っていた魔王が魔王の力を使い過ぎて、その身体の魔王の魔力がなくなり魔王としての魔王の力が失われていき魔王の身体の中で魔人の力だけの存在になってしまったのだろうと考えた。僕は魔人の力がなくなって弱っている魔王なら倒すことが可能だと思った。

僕は魔人の力がなくなっている魔王を倒すことにした。そして僕はリリスのお父さんの魔剣を魔王に向かって突き刺すと、魔王の体内から黒い液体が出てきた。

僕は魔王から魔王が作り出していた魔王の剣の柄の魔剣が出てきて、その魔剣が僕の身体に入り込んだ瞬間、魔剣に残っていた魔王の力と魔剣の力が魔王の中に入り込み魔王の身体のすべてを支配したのである。魔王は僕達の仲間になっていたリリスのお父さんが作り出した魔王の杖の力を使い身体のすべてを元に戻した。僕は魔王の杖を使えるようにしてあげた。それから僕はリナの魔核を使ってクロとリリスの父親を復活させたのであった。リリスは僕達が元に戻るとすぐに僕の元に駆け寄ってきた。僕はリナに魔王の杖を使ってクロとリリスの父親を復活させるように指示を出した。僕はリリスのお父さんとクロにリナとクロの魔剣を渡した後、僕はリナの杖の力で魔剣と魔石の力を使って魔王を倒した時の僕の姿を魔導王の魔剣の力を使うと魔石が光輝き僕とリリスは魔石が発した光が包み込んで僕とリリスは身体が一瞬消えて身体の中に吸収されたのであった。僕は魔王の身体を吸収した魔素を自分の中に戻すことに成功したのである。そして魔王の杖に封じ込められていた魔王の力は魔王の力を全て魔剣に取り込み魔導王の魔剣になった後、僕とリリスの力の一部になり、その後僕は、この世界の魔王を討伐することに成功したのだ。

僕は魔導王に取り付いた魔王の力を取り込む事に成功した後、僕の中にある魔王を取り込んだ事で魔道王から奪ったすべての魔素を利用して魔王から奪ったすべての魔法とすべての技を使うことができるように変化したのだ。僕はリナに魔王から奪った力でこの世界を魔王から解放されたこの世界を解放するために使うと約束したのだ。そうしないと魔王に取り付かれたままの世界になってしまうからだ。

こうして、僕達はこの世界の解放するために行動を開始した。僕は魔王の力を手に入れた時に手に入れたスキルや、この世界に来て覚えていたスキルをすべて手に入れていた。まずは魔素を使ってクロとリリスが融合した剣に僕の身体の一部を剣の刃の部分に入れたのである。そうすることで僕が持っていたすべての能力を得る事ができるのである。そうすることによって魔王の魔剣を作る事ができて魔導王の力を使えば魔導王の力を使うことができるようになるのである。

そうすると魔王が使っていた剣と魔王の身体の中にある魔道王の力と魔剣の力と魔王の杖の力を合わせた武器ができるのである。僕はこの剣に魔導王の剣と魔導王の魔素を使うと魔王が使う事ができた魔道剣が作れるようになった。僕は魔剣に魔王の杖の力を使うと魔王の杖の力を使うことが可能になったのである。魔導王の力を使う事で魔王が持っていた魔導王の杖を使うことができるようになって魔導王の杖と魔王の魔導剣が融合した時に魔王が持っていた魔剣が融合した時に魔王の剣と魔王の魔導剣の剣に融合したのである。魔王の魔剣と魔導剣はお互いの能力が混ざり合って融合し、この世界に存在するどんな剣よりも強く切れ味も良く魔王が使用していた魔剣と同じ性能になることができたのである。さらに魔剣の剣に融合したことによって魔導剣が融合されて、魔剣の魔導剣になった時に魔王が使った魔法の力を使うことができるようになったのである。僕はクロの魔剣から魔核と魔素と魔剣を取り出すと魔剣は魔王の魔剣と化した。そうすることにより魔剣と魔王の力の一部が僕とクロに受け継がれるようになった。そうする事で僕とクロは魔王のような能力を身につけることができるようになっていた。僕もリリスも魔剣の力で僕達の体の中に魔王が取り込んだ魔素を僕の体に取り込んだことにより魔素と魔導師の力を手に入れることができるようになっていたのである。そうすると魔導王の剣が融合して魔王の剣と融合した剣を魔王の剣と融合した剣と呼ぶ事にしたのである。

魔導王の剣と魔王の剣は融合した時、魔導王と魔導王の力を持った剣が融合され魔導王と魔導王の持つ剣となったのである。

魔王から奪った魔王の力と魔剣から取り出す事が出来る魔王の力の全ては、僕の中に取り込むことで僕の中の魔王の力を僕が持つ魔王の魔核の中に入れることができ魔王の魔核は僕の中の魔王の力を吸い取る為のものになり、魔王の魔核が僕の体にあることで魔王が僕の体にいるような状態になった。これにより僕はこの世界に存在していたすべての魔王と一体化したことで全ての属性の耐性と全ての攻撃に耐えることのできた身体を持つ存在に進化することができたのである。それから魔王の魔核が取り込んだ力のほとんどを自分の物にすると、僕はリリスと融合したのである。そうすると僕はクロが元々持っている魔導師の力とリリスが持っていた魔王の力を得た。それにより僕がクロとリリスに教えた魔術や武術や魔法が全て使えるようになった。そして僕はクロを召喚しクロと融合するとクロの魔核を融合してクロと融合すると魔王が使っていた武器と魔法全てに耐性とあらゆる状況に対処できる身体能力を得ることにができるようになったのであった。

僕はその事に気づき、この世界で手に入れたスキルと魔剣から魔王とリリスの力を得て自分の力として身に付けることに成功したのである。しかし僕は自分が持つ力が強すぎることに気づき魔王を倒せるほどの強さだと気づくと魔王が復活する前に倒すことを決めたのであった。

僕はこの世界の魔王を倒す為にこの城にいた全ての魔族に、僕達が倒そうとしている相手が魔王で魔王を倒さないかぎりこの世界が魔王の物になってしまうことを話した。そしてこの城の地下には魔王の身体があった事と魔王の力が眠っている事を魔族に伝えた。その事に気づいた一部の魔族は魔剣の力で魔素を魔王の力に変換する装置を破壊しようとした。僕は魔剣を使って魔王の力を吸収した時に、魔族を皆殺しにしようと決意したのだった。

僕は魔王の力を取り込んでからは魔族と魔物に僕とクロが魔王を倒した後にこの世界を解放しようとしている話をしたが僕は魔族の人達とは仲良くするつもりはないとはっきり言った。それに魔王を倒しても他の者が新たな魔王になることを僕達三人は知っていたので魔王を倒す意味はなかったのであった。

それなのに僕はこの城の地下に眠っていた魔石と魔力を封印されていた魔道具を使い僕達が使えるすべての魔力を使い封印されていたすべての魔王の力を取り出して、その力で魔族を根絶やしにしようと考えていたのである。

魔王の力は取り出した後は僕達が管理することになった。その方法は魔王を封印していた魔石を砕いて魔石の中にあった魔力を全て解放してその魔石を使って魔石と魔力を全て魔王の力に変えて魔剣の中に封じて、魔王の力を全て回収した後は、魔王を倒さずに封印することにした。そしてこの世界の人間達に魔王が復活したときのために準備しておくことにしたのである。僕は魔王を復活させないための魔道具を作ることを命じている間リリスとラリスが魔王を復活させようとするものを邪魔する仕事をしてくれることになっていたのだ。そして僕達は魔王を倒す旅の準備をしていたのである。そして僕の身体は今の状態は普通の人間の身体なのでこのままの状態で魔王と戦う事はできないと思った僕は僕の中にいるリリスとクロの力の一部を僕の身体の中に取り込んだ。それから魔王の魔剣と魔導王の力を融合させたことで魔王の力を手に入れたことで魔王と同等の力が手に入ったことで魔王の身体に取り込んだ時に僕とクロが融合した時の身体に変化していた。

クロがリリスと融合した時のクロとリリスの姿になっていた。

僕はリナとクロとリリスを魔剣の力で復活させると、リナは僕の目の前にきて膝まづくと、僕の命令通りにこの国の民を助けるために動き始めると宣言していた。僕はリリスにも僕の考えを伝えると、リナと同じように僕の手足となって働いてくれると言ったのである。僕はクロと一緒に僕達がこれから魔王を倒しに行く時の準備を進めていた。そうすると僕達が使っている

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異世界の魔王ですが召喚者達に追放されたので、王道とは真逆の方向へ進みます あずま悠紀 @berute00

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