第15話 敵対
14時28分。
ヴェインでの新潟県新潟市中央区、レインボータワー前。
現実世界ではとうに解体された施設だが、ヴェイン上では市民の復活嘆願の署名を受けてレインボータワーが現在まで姿を保っていた。
そのタワーの前、ショッピングセンターが立ち並ぶ店先で、14歳前後の男性アバターが立っている。
「まだかな、チェリハ……あー、会うの楽しみ!」
ソワソワと周囲を見回す
「こんにちは! あなたが
「あ、はい! そうです! それと……チェリハのファンです! 応援してます!」
現れたのは、桜の意匠を凝らした女性アバター――
彼女は早速
「応援、ありがとう! それじゃ、わたしに
「うん! もちろん、合言葉を言ってくれたらそうするよ!」
「……合言葉?」
「そう、合言葉! ほら、もしかしたら
だからさ、
その言葉に、
「どうしたの?」
覗きこむ
「――
ビリィッ!
「なっ、痛っ!?」
痺れるような効果音と共に、
突如攻撃してきたプレイヤーは、温和な笑顔から一転、口が裂けるような笑みを浮かべて脅迫してくる。
「……
「ま、まさか……
その中で。
『――
見えざる音圧の弾丸が、横手から擬態プレイヤーに襲いかかる。
「ぐぅっ!?」
擬態プレイヤーに直撃し、HPゲージの4分の1が消失した。
擬態プレイヤーはそちらに向き直ると、そこにいたのは、また新たな
『どうも
間に合ったみたいね、もう安心よ!』
「は、
合言葉の挨拶も交わし、
その
『ここは危ないから、離れたところで隠れてて! 後で合流して、その時に
「あ、ありがとう……! 任せたよ!」
そう言って逃げ出そうとする
「……なに、これ?」
更なる混乱が降って湧く。
「……えっ!?」
また新たに出てきたのは、またしても
その女性アバターは
『そっちには逃げないで! 別の方向に逃げて!』
「……違うわ! わたしが本物よ! こっちの方で大丈夫だから!」
新たに出てきた
「どうだっていい! 全部ワタシが殺してやる!」
攻撃を仕掛けてきた
「え、え……!?」
攻撃してきた
自分を庇った
新たにやってきた
その隙を突いて、殺意のある1番目の
「
ビリビリビリッ!
「ぎゃあぁっ!?」
先よりもチートで威力を増したのか、戦闘不能に至るほどのダメージと苦痛が
そのロストしたアイテムが周辺に散らばり――16進数がびっしりと書かれた紙のアイテム、
『――ごめん、後で助ける!』
パシッ!
その2番目の
「……あなたもまた、チートを使ってるのね」
『違うわよ。わたしは本物の
「
『…………』
言われて、2番目の
そう。
3番目の
2番目の
そして、1番目の攻撃してきた
「――そうか、そうカ。どうしてもワタシの獲物を増やしたいようだナ」
そして1番目の
「ギルド
言って、
背後にいる
「
クラス:
通常ならばまず発動しない即死効果。だが、チーターがその効果を増幅して発したならば、即死確定の脅威の範囲攻撃となる。
「ッ、
本物の
仕様を上回るチートは難度が高い。チートを相手に正規のスキルで
『……ッ!』
スキルと同時に響いた、ダメージ無効のチートを剥がすハッキングAIの魔の手にかかり、
「来たァ!」
風に乗る
「――
ビュウッ!
「ナッ!?」
初級スキルの突風が
意思によって吹いた風は、術者の思惑通りに向かい、
「……
「わたしの姿を真似て
反論と共に
逃げながら、
「クローズ・ザ・ヴェイン!」
チーターを相手に、眼前でログアウトを試みる。
以前にも経験のあるその試みは、以前と同じようなエラー文で阻まれた。
『エラーです。このエリアではログアウトできません』
「――やっぱりねっ!」
だが、どうする。
今度もまた、
歩道を走り、建物の合間を抜け、
交差点の中心。何も通る事のない道路の中央。
サイバーティックな衣装の青年。彼を取り囲むのは複数のウィンドウと英字。
「あれは……!」
その姿は、かつて存在し、そして今は削除されているとあるヴェインの動画で見た事がある。
「……
* * *
数分前。現実世界の
「どうしたの、
「……いや、別にそういう訳じゃない」
否定する零一。
今の彼の脳内は、嵐のように思考が入り乱れている。
その内1人は痛覚再現やステータス改造を使うチーター。もう一方は本物の
本物の
前PCよりも性能の劣る現PCにインストールされている
自分がヴェインに出向く必要がある。しかし、自分は現実世界で役割がある。
腹痛などを装って外に出るなど、現実世界の役割を
葛藤が胸で渦巻く中、更なるアラートが零一に降る。
(戦闘不能状態に陥りました。
冷たい事実を伝えるアラートが、零一に一瞬の失意を与えた。
しかし、そのアラートを聞いた瞬間、彼に一案の電流が走る。
既に
(……
* * *
現実世界の零一の肉体の操作を
肉体操作を同時進行で行っている為に、
しかし。
「……
一般プレイヤーであり、零一に
彼の良心を咎め、苛む相手として。
「
呼応して、
「
決して叶えられる事のない要求でもって、
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