四月八日
『スマホ壊れた』
今日は大変疲れた。
体力ゲージも残り僅かの中、私は何とか帰宅し、飯にありつくのであった。
それにしたって、今日は災難だった。
スマホをマンホールの中に落としてしまったのだ。
私はそれを追って、マンホールに飛び込んだが間に合わなかった。
マンホールに住む巨大ネズミの口の中に半分ほど入っていたのだ。
私は咄嗟にポケットに入れていた、なけなしのおやつ(チーズ)を放り投げてどうにかスマホを取り返したが、もうすでに半分ほど千切れた状態でこと切れていた。
結局私はチーズもスマホも失ったのだ。
私は嘆いてやることさえできずに、ただ茫然と立ち尽くしていた。
こんなに日々を一生懸命、真面目に生きているというのに、神様は何をしているのだろうか。
きっとどこかの性悪と勘違いして、私に罰を与えているに違いない。
「おい神よ!それは私の履歴書ではない、近所に住んでいるごろつきの履歴書だ!」
私はマンホールから這い上がる中途でそう叫んだが、虚しく響くばかりで、何もなかった。空っぽだ。
「どうした片小!」
マンホールから上半身をだして顔をあげると、メヂカラが立っていた。
メヂカラは私を引き上げ、私が事の成り行きを話すと大声で笑った。
メヂカラの声はよく響く。その声で笑われるとむしろ清々しかった。
「それなら、私のスマホを貸してあげるよ。私は二台持ちだからね」
メヂカラは私にスマホを手渡した。
しかし、私にはそれがスマホには見えなかった。
メヂカラは特殊なスマホを使っていて、スチームパンクを想起させる使用になっている。
私は心苦しかったがメヂカラの申し出を断った。
メヂカラもは、「そう……」と言っただけで特に気に留めていない様子だった。
「それじゃ、私はこれから用事があるので」
メヂカラはガスマスクの中で笑みを浮かべながら、ハキハキと歩いて行った。
布団が私を呼んでいる。おやすみ。
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