第4話 草は生えない。
「
「誰? 呼んでるの」
「ん」
昼飯も佳境も佳境。 とりあえず冷蔵庫にあるもの全部詰め込んだはいいが確実に腐臭がするため交互に食して腹下したらデッド・ライン通過の超チキチキレース七番勝負も大詰め、もう犯人お前でいいだろキムチチゲ──マジでコイツが弁当の全てを支配したジョーカー──を口に運ぶ瀬戸際、私たちだけの教室に彼女は現れた。
「臭っ! おるんじゃがな天空。 なにしてんの」
「飯」
「テイスティング」
「なんで誰もおらんの?」
「臭いから」「臭いからだよ」
「そじゃな、どうかんがえてもそうじゃな。 数学Bの白瓦から未提出のプリント回収頼まれとるんじゃけどもっとるか」
「あー昨日、全部持って帰ったから家だ」
「私はまーちゃん家探したらでてきそう」
「うっわまじかー、今日中に無理なら放課後残らせて書かせるつもりじゃぞ白瓦」
「えー」
「取りに帰ればいいじゃん」
「いや、往復代かかるじゃん。 うーん……決めた逃げる」
「いや、させんために事前にわしがきとんで」
「えー! 千堂そっちの味方ー!?」
「げー! 白瓦ポジとかどうする文観やっちゃう? 埋め立て地、直っちゃう?」
「そうするかあ」
「なんで紙切れ取りに行くのに刹那の逡巡みせたのにわし殺すんは即決なん?」
「殺さないよ」
「そう埋めるだけ」
「死やん」
「じゃあこの日、千堂は私に合ってないということで」
「それは無理があるやろ」
「それを可能にするのが私たち
「ほら、三人しかいないしキムチチゲあげるから」
「いらんわ酸っぱ! なんじゃそれ酸っぱすぎるやろ鼻腔が死ぬ、近距離で嗅いだら細胞が死ぬ!」
「美味しいのに」
「ねー」
「その異常になれたらもうガイジなんよ」
「じゃあどうしろと」
「どうすんだよーえいえい」
「書類書けばええんじゃがな、痛い痛っ、ちょっとまってさっきからなんなんならワレ!?」
「え、私」
「そう、お前!! なんでさっきからわしと天空の会話に混ざってんねん自分数学Aやろ!」
「そなの?」
「なんじゃない?」
「いや、移動教室同じ部屋に
」
「でもさっきまで平然と会話に混ざれたのにいまから外されるのもちょっとなあ」
「いや自覚あるなら外れてくれや書類一緒に探してた時点でこっち『アレ、こいつ同爺同教室だったんか』てなるやん」
「なわけねえじゃん。 だって嫌いだもん白瓦」
「なら!! 話から!! 抜けれ!!」
「無理」
「いやなんで」
「不死鳥の姪」
「ちょっとまて
「っべーおもしれーじゃんこいつどうする文観」
「死刑」
「殺すな、アイスを食べるなああああああ!!!!!!」
息は荒く、達成感もなく、ただ眼前には意思疎通の取らぬ同族がいた。
「はあはあ……どうなっとんじゃ」
人の形をした宇宙人とであう。
宇宙人はただひたすらに誰もいない方角を見て呆け取った。
「ごめんねー菫て普段からこうなんだ」
「いや、じゃけん用があるのは天空だけなんじゃけど」
「プロパティ」
「だそうです」
思い出した。 このやたら顔面偏差値とうらはらに中身残念な全自動変化球投擲機能搭載兵器・菫ッッッ
クラス中の男子がその容姿に惹かれ、撃沈したっちゅう学園のキチガイ。
なぜか皆揃って名前で呼んどった。
「わかった、なら一方的に終わらす」
可能であれば使いたくはなかったがしかたない。 非を知れば責めることはできないからこそ隠していた懐刀を取り出す。
「あるんじゃん」
「もとはわしのじゃ、大事にせえよまじで」
「味噌スープ味噌白湯」
「そだねー菫ドッチボールしておいで~」
最初からそうしろや
言ったそばから菫はやたら上手いムーンウォークに小刻みなウィーンガシャンを織り交ぜ教室を去った。
「いいの? 貰って」
「どっちにしろ今日中に未提出がおったら責任もってわしが書かせてでも回収するように言われとんじゃ」
「あー」
納得、と天空は顎に手をやり推理タイムの探偵さながら導き出した答えの中でも聞かんでもええほうを聞いてきた。
「回収係の千堂がまだ白紙なのおかしいでしょ」
「よー項目を見てみい」
ないようは至って普通の授業ないで教えられた方程式を利用した問題集。
それと選択教室の変更可決
「あーあったねこんなの」
「毎回あるわ。 じゃけん未提出は困るんよ」
「回収係いつから千堂なの」
「今年から」
「ご愁傷様」
「ええご身分じゃでほんま、なんならその項目と名前だけどもええけんくれや」
「私いつも適当に書いてた」
「まじでか」
わしらの学校で数学は二クラスに分けて教え取る。
わかりやすくじっくりか少し先の内容も込みでスピーディーにかそれだけのことじゃけど可決で各テスト期間終了時には自身にあった難易度を選ばせ解いて最後は成績と加味して白瓦ともう一人の数学担当──一年の頃から白瓦の授業を受けていたから名前は知らん──が分ける手筈。 実は後出し、振り分けが終わった際にどちらがガッツリでジックリ之担当になるかというと人数の少ない方が白瓦、それだけである。
そんでもってわしは絶対に白瓦の授業をうけなければならん。
特にやる気のある生徒で満ちあふれる学校じゃないけんだいたいガッツリの少数化が常じゃけども、それでも万が一には避けたかった。
じゃからWin-Winの関係と言うことで今回から回収担当はわしがすることとなった、本間許さんあの白ラン女。
「見てよ文でっけえバイリンガル捕まえた!」
「じゃ、放課後に取りにくるけん書いとけよー」
「うぃー」
「あれ、釈放されたの文」
「冤罪だこのやろー」
「ほんまに頼むで」
とは言えず、まあお膳立てしてやったようなもんじゃし大丈夫じゃろと
そんときまでは思っとった……
これがまさか次回に続くなんて
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