第3話 そばとエジソン

 無宗教のくせにクリスマスに男女でイチャコラするしイベントとほざいてジャポンは稼ごうとするし十二月の二十五日が誕生日の少年少女は苦しまされたものだ。


縄があったら縛りたい、もちろん自決のためではなくトナカイを締め付けサンタさんから二年分のプレゼントを促すためだ。


お前はキリストとどんな関係にある? なぜ祝う?


 そんな私もとんでもないピンチに直面すると神様のせいとかにはしちゃう。


 ちなみに予定は未定だが高校二年生になる予定だ。


「まずいまずいまずいよ菫あと二十分で遅刻だよ」


「ハイのりすごしぃぃぃ!! ありがとうございますまじ最高っす!」


「なんで感謝してんだよ」


 ごく稀にやってしまうオーバーロスを遅刻厳禁の日に限ってやってしまう大惨事。

 生放送で池の水抜いたら水死体が転がってたくらいやってしまってる。


「どうする文観ふみる。 テロる? バッグにヘリウムあるけど」


「やんないよ……あとなんでヘリウムあるんだ」


「このまえ貰った」


「貰うな」


「じゃあどーすんの、このままじゃあまた白瓦しらかわらに始末書だよ」


「私だって嫌だよ、同じクラスのさとちゃん休んだらわざざわざ別の日に服装検査だよ」


「あーもうめんどくせー!! なんでこうなった!?」


「菫が悪いとしか」


 玄関で出迎えてやったのに髪はボサボサ 靴下は指定からはずれたヴァイオレット


 選択を迫られた少女は禁忌に手を染める……


「なんか足が臭くなってきた気がする」


「洗ってないもんねー」


「いや、洗ったしッッ 乾いてないから荒療治したけど洗ったしなんで視線外すの?    

 一歩退くの? ねえやめてよ文、私が臭いみたいじゃん!!」


「クサクナイヨー」


「あー!!」


 こんなことしてる間にも次のがくるのを待つのとダッシュ、どちらが最善だろうか計算しないとほんとに危機は一刻と迫ってる。 それこそもう模範教師が廊下走らないように手と足シンクロさせながら近づいてくるホラー並に。 でもそれは見えないお化けのようなもので自分が作り出しているものだ。 想像力とは鋭利でときに自分にすら危害を加える。


 もしこの文面を読んで「3.4分も待てないのか」と思った読者は急いで【田舎 電車 時間】でググれ トブぞ?


「待つのが最善……か、走ると髪崩れたりするしなあ何してるの菫」


「埋め立て地しらべてる」


「埋めるな」


 どれだけ嫌いなんだ白瓦。   


「なんかこれが最善な気がしてきたスコップ買ってくる」


「カメラに写ったらアウトだろ。 おとなしくしてなさい」


「学校には監視カメラないよね」


「菫?」


 ダメだこいつノートに落書きし始めた、しかも旅行鞄に詰め込むつもりらしい。


 どこからもってくるんだ。 そんでもって絵が上手いなおい


「まーちゃんに連絡しないとな」


『いまおきました』


「おいいいいいいいいいい」


 全滅じゃないか、私と菫が間に合ってもまーは終わったな。


 せめて胸に十字を切っておこう、私は無宗教だけど妹を思う気持ちは本物なのだ。


「クワガタスパゲッティ」


「遂に壊れたか」


 三ヶ月に一回は故障するんだよな菫はどうしてやろうか


 ……いっそのこと置いていくか? なんか猫みたいに変な所みながら口開けてるし怖い、そこにはなにもないぞ、そして口を拭け汚い。


「次のさえ乗り込めばなんとかなりそうだな」


 遅刻しても実は一.二分の誤差ならまれにデレてくれるのでもはやそれにかけるしかない。


 最悪、遅延を理由にするのもありだが私は目上に対する嘘が苦手だ。 どうにもすぐばれる。 自分が悪いのだから素直に謝って罰を受けるべきなんだろうが入学するにあたって自分たちが書かされた契約書のようなものにもルールを守ることと記載してあった。 


 それでも抵抗したいのは周りもそう言っていたからか、流されやすいだけか


 きっと大人になったら立場は変わるんだろう。


 それを私は大人に成ると知り、また別の誰かは守る側に成る自覚を得たといっていた。


 そいつはいまも私の側を離れようとしない。


 気がつけば二人セットで売られているようであった。


 いつからまーちゃんを含めて3人になったんだろうか、これから増減はするのか


 定かではない。


「電車来たよ菫……菫!?」


「えっ」


 そば食ってるよこいつ


「なんで今!?」


「いやだって好きだし……そば」


 よりにもよって食券での立ち食いスタイル


 ストロングすぎる。 まだコンビニのインスタントなら器ごと乗車して冷ややかな目で見られる程度で済んだだろうに


 そして隣に座っている私も冷ややかな目で見られて何も答えず席を外し菫を置いて帰るだろう。 誰だってそうする。 だって怖いもん現代にはネットがある。 美少女がそば食いながら電車乗ってたらバズってニュースか教育番組でちょっとは映されてしまうんじゃなかろうか、そうなれば菫はもう私とは程遠い存在になる。


 それはちょっと嫌だな。


「なにしてんのもー」


「ごめん、この時間の電車時間知らなくてまだ余裕あると思ってた」


「私たちに立ち食いする余裕なんてなっ──はあ」


 行ってしまわれた。


「どーすんだよもー」


「とかいいながら文、缶コーヒー買ってんじゃん」


 一息つきたいんだよーといってベンチにin


 別に、菫を置いて行っても良かったのにそれができなくなったのはいつからだったか。


 昔なら平常にして置いていったのに


 セットに成ったということだろう


 息つく暇もなく、今日これからを考える。


 いつだってその予定には菫がいるんだろうなあ


 高校二年生が始まる。 明日から


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