やり残した事
普通に連絡が来て不思議と会話が弾んでいた。そして昔使っていた駅で会うことになっていた。そうなることを見こうして私はお土産を買ってきた。それを口実に誘い込んだのは多分おそらく何とかしたかったのであるのだろう。過去の私を自分自身が許したかったのと、傷つけてしまった事を謝りたかったのだろう。
高校時代に使っていた駅に着いた。そこに変わっていた逸志がいた。
「久しぶりだね。元気にしていた。」
下手すれば三年ぶりに聞いた声が聞けて少しだけ懐かしかった。なんて話そうか。迷いに迷い込んだ。過去の嫌な話をするのはお互いに嫌だろうし。だから当たり障りのない今の事を聞いた。
「元気にしていたよ。そっちはどうな感じなの。」
するといろいろな事を教えてくれた。過去の蟠りがまるでないかのように。なんで腹を立てて私は壁を張ってしまったのだろうか後悔をしていた。しかしどれだけそんな事を感じていても時は戻らないのだからそのひと時を大切にすることを学んだ。人はいつものように続くと思ってしまうが、実際はそんな事はなくどこにも保障はされていないのだから。
「ご飯食べる。蕎麦屋はどう。」
立ち食いそばに入って蕎麦を食べていると仲良かったことを思い出した。なんで私はつまらない意地を張ってしまって大切な友達を切ってしまったのだろうか。あの時はまだ心理的に子供だったからだったと思う。
「ごめんね。無視をして。傷つけたよね。」
やっと謝れることができた。
「こっちも悪かった。好き勝手言って。」
そうして昔のように戻れて美味しくそばを食べた。
境界線の彼岸 楓 紅葉 @sperk
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