第183話 精霊賢主 後編



 俺が放った黄金の矢によって、エスプリの身体の中央には大きな傷穴が空いていた。

 【彼を滅する弓神の閃撃ディスヒ・アルク・オウラヴァル】の一撃には不治効果があるため、あの傷穴は塞がることは無い。

 神器由来の能力による〈不治〉の概念効果を上回るほどの〈治癒〉の力でもなければ、じきにエスプリは死亡するだろう。

 地上に落ちていくエスプリの身体から、紅く光る結晶体が嵌め込まれたネックレスが零れ落ちたのが見えたので、【強奪権限グリーディア】でネックレスを手元に引き寄せた。



「やはり〈賢者の石〉か。こっちの石も向こうと変わらないな」



 前の異世界でも見た賢者の石との相違点があるかを調べていると、ふと嫌な気配がした。

 賢者の石を【無限宝庫】に収納してから眼下へと視線を向けると、地上に落ちていく最中のエスプリが何かを呟いているのが見えた。



「……治ら……いな……し……ないわ、ね」



 その言葉とともに、エスプリの落下先の空間が裂けて巨大な生き物が現れた。

 下半身が蛇で上半身が人型をしているが、肩から伸びる従来の腕以外にも、背中側からは十本以上の様々な生物の腕が生えているのが確認できる。

 それらの腕も異様だが、もっとも異様な点は、幾つもの角が生えた頭部には顔が無いことだ。

 のっぺりとした巨大な半人半蛇の、おそらくキメラと思われる個体は横たわった体勢で出現しており、その胸元でエスプリを受け止めても身動き一つしない。



「あれはキメラ、っ!」



 現れた謎のキメラを【情報賢能ミーミル】で解析したところ、そこに表示された情報を認識した瞬間、弓形態のままだったアルカティムを使って【弓神瀑撃】を放つ。



「〈装着〉」



 【地獄耳】が拾ったエスプリの呟きの直後、巨大キメラの肉体が蠢き、エスプリの身体が巨大キメラの中へと沈んでいった。

 その巨大キメラに【弓神瀑撃】によって増えた虹色の光の矢の雨が降り注ぐが、巨大キメラから発せられた明るい赤色のオーラの波動に触れた途端、虹色の光の矢が一人でに巨大キメラを避けていく。



「……とんでもないものを作ったな。流石は賢者というべきか」


「お褒メに預カり光栄ネ。ここまデの形にすルまで苦労シタのヨ?」


「〈魔王の骸〉なんてもの何処で手に入れたんだ?」


「偶々手に入レた〈愛欲の魔王〉ノ肉片を培養しタだケヨ」


「なるほど。魔王の力が使えるキメラ、いや、生体鎧というべき代物のようだな。そいつで傷穴を塞いだか」


「〈混成魔王纏鎧エルケーニッヒ〉と名付けたワ。未完成品だけドネ」



 先ほどまで顔の無かったエルケーニッヒの頭部には、エスプリによく似た顔が浮かび上がっており、その口からはエスプリの声と言葉が発せられていた。

 エスプリが意気揚々と喋っている隙に、【弓神瀑撃】で大ダメージを負っている大精霊達を【貪り封ずる奪力の鎖グレイプニル】で捕縛していく。

 【弓神瀑撃】で大ダメージを受けた上に、契約者であるエスプリとの繋がりが曖昧になっている今ならば大精霊といえどグレイプニルを振り解くことはできない。

 空間を裂いて出現させた黄金の鎖グレイプニルで大精霊達を【亜空の君主】の権能で作った急拵えの異空間へと連行する。

 大精霊達には後で用があるので、取り敢えずはここから離れてもらう。

 二体の大精霊を呑み込んだニーズヘッグも同様に異空間に退避させた。

 これで今のエスプリが大精霊達を利用することはできないだろう。



「アラ? 大精霊達ガいナいわネ? マァ、イイわ」



 未完成だからか、時間が経つごとにエスプリの声がおかしくなっていくのが感じられる。

 治らない致命傷に対処するために使うことにしたようだが、本来ならば使うつもりは無かったはずだ。

 集めた情報によれば、エスプリが得意とする分野は魔導生物学と魔導具学らしい。

 カルマダの仮面やキメラなどからその二つの技術に本当に長けていることが窺える。

 エルケーニッヒは自らの技術の集大成のような作品なのだろう。

 もしかすると、賢塔国セジウムから遠く離れた地にてカルマダなんていう犯罪組織を作ったのは、このエルケーニッヒを完成させるためなのかもしれない。

 自らの側近達にも存在を秘匿していたためエルケーニッヒの詳細は不明だが、少なくとも愛欲の魔王の権能の一部が使えるのは確定だ。

 エルケーニッヒは素材に使った魔王の権能の一部が使える生体魔導鎧、或いは搭乗型魔導兵器といった認識でよさそうだな。



「さァ、私ヲ傷付けタ代償ヲ支払ッテ貰オウかシラ」



 背中から生える数多の不恰好な手が向けられると、そこから大量の魔力弾が放たれてきた。

 ただの魔力弾ではなく、その一つ一つが先ほど使用していたアーティファクトから抽出された破壊の魔力によって編まれている。

 エルケーニッヒと同化した状態でも魔導具マジックアイテムが使えるとしたら厄介だ。

 しかも、威力と手数が上がっているように感じられるので魔導具の強化効果がある可能性もある。



「まぁ、速さは変わらないみたいだがな」



 時折エスプリのユニークスキルによって至近距離に魔力弾が転送されてくるものの、既に一度見た技なので回避するのは容易い。

 いや、言うほど容易くはないが、初見の時と比べれば簡単なので嘘というわけではなく、破壊の魔力弾が出現次第、【亜空の君主】の権能を使って逆に転送し返している。

 エスプリが転送してすぐに魔力弾が送り返されてきて爆発するので、三発目を送り返してからは転送してこなくなった。

 この転送の応酬で分かったことだが、エルケーニッヒの身体は魔王の肉体が使われているだけあって非常に高い耐性と耐久力を持っている。

 加えて、愛欲の魔王の権能である〈愛欲〉は、魔力弾や魔力矢などの遠距離攻撃に干渉することができるらしい。

 破壊の魔力弾を送り返した初回こそ爆発したものの、二回目はエルケーニッヒから放たれた愛欲の波動を受けて魔力弾は爆発しなかった。

 【弓神瀑撃】による魔力矢の軌道は捻じ曲げるだけだったことから、完全に支配できるわけではないようだ。

 そうなるとこちらの魔法はちゃんと発動できるか怪しい上に、発動しても狙い通りの場所に発動するかどうか……ま、向こうは普通に使ってくるよな。



「『終焉に導く怨嗟カタストロフィ・リゼントメント』」


「断ち斬れーー〈不滅なる幻葬の聖剣デュランダル〉」



 戦術級魔法の中でも神域級魔法に限りなく近い威力の魔法が顕現する前に、【四天割断】で魔法事象を斬り裂いて無効化する。

 これで【四天割断】が使えるのはあと二回。

 こちらが魔法を使ったらどこまで干渉されるか分からないような状況下で、また同じような魔法が使われたら少しマズイかな。


 アルカティムを手甲・足甲形態へと戻すと、劣化した【隠神権能】を発動させた英霊騎士達をエルケーニッヒに特攻させる。

 狙いは勿論、超至近距離での【紅蓮爆葬】による自爆攻撃だ。

 これで倒せるなら良し。倒せなくても英霊騎士による【紅蓮爆葬】がエルケーニッヒにどれだけ効果があるかを確認できるので損は無い。

 だが、愛欲の波動を間近で浴びた英霊騎士達が隠密状態を自ら解除してしまった。

 更に、一部の英霊騎士に至っては動きすら止めて、何かに抵抗するようにその場で震え始めた。



「ふむ。精神系耐性スキルがある英霊騎士にまで干渉できるのか。想像以上に厄介だな」



 干渉の成功割合は約二割ぐらいか。

 自我の無い英霊騎士でこの割合なら、俺自身には全く影響は無さそうだ。

 オリジナルの魔王の権能がこの程度なわけがないので、やはり大きく劣化しているみたいだな。

 無事な英霊騎士に動かなくなった英霊騎士を肩に担がせて、そのままエルケーニッヒに特攻させて一緒に自爆させた。



「チッ。硬いな。内部に届くほどではないか」



 五十体以上もの英霊騎士達による同時爆発によって立ち昇った大規模な爆炎は、十メートル以上あるエルケーニッヒの巨体を簡単に覆い隠した。

 だが、エルケーニッヒを装備した今の状態でもユニークスキルが使えるため、体表に纏った破壊の魔力で編まれた魔力鎧によって爆発の威力が相殺されていた。

 今の爆発でも大したダメージが与えられないならば、【氷嵐炎雷の天葬君主ギンヌンガガプ】や【破滅へ至る神災咆哮カタストロフィ・ロア】でも然程結果は変わらないだろう。

 エスプリのユニークスキルで転送された破壊の魔力弾によって英霊騎士達が倒されていくのを見下ろしながら、エルケーニッヒの仕様と今のエスプリの能力の分析を続ける。



「……やはり魔王を倒すのは勇者だよな」



 まぁ、相手は魔王の模造品を装備した犯罪系賢者なんだが。

 眼下のエルケーニッヒの能力なのか、まだ戦場に残っていた配下の精霊達やキメラ、ゴーレム達から魔力や精霊力を強制的に吸収し始めた。

 力を吸収するごとに負っていたダメージが回復していくだけでなく、エルケーニッヒが強化されていっているのが感じられる。

 直感に従って大精霊達を捕縛して避難させたが、その判断は正しかったようだ。

 精霊達の力を吸収した影響か、エルケーニッヒの背中からは、エスプリの聖霊人リフェアリム族の種族特徴である半透明の六枚翅が生えてきている。

 その六枚翅が黒く染まると、六枚翅はピンク色に近い色合いの明るい赤色の燐光を纏うようになった。

 このままだと、時間が経つにつれて段々と強化されていくみたいだな。



「アはHA◼️ハハは◼️◼️◼️HAッ!!」


「策士策に溺れる……いや、ちょっと違うか。今のデュランダルではエルケーニッヒを斬るのに苦労しそうだ」



 死から逃れるために未完成品を無理に使用した結果、エルケーニッヒ内の魔王の因子に精神が蝕まれ出しているようだ。

 やはり魔王由来のアイテムは誰もが使えるわけではないな。

 これ以上情報収集に時間をかけていると、エスプリの精神だけでなく魂にまで影響が及びそうだ。

 この後の予定にも差し支えるし、そろそろ動くとしよう。



「魔王の力には魔王の力を使って相手をしてやるとしよう。〈妬み望む魔竜の王鎧レヴィアーダ〉よ。デュランダルを神域へと引き上げろ」



 インナースーツとして装備している〈嫉妬の魔王〉の力が色濃く宿る〈妬み望む魔竜の王鎧〉の能力【羨望なる昇華】を発動させる。

 能力の発動とともに必要な量の魔力がごっそりと消費されると、手に握る聖剣デュランダルに殆ど黒に近い深い蒼紫色ネイビーブルーのオーラが吸い込まれていく。



[〈嫉妬〉の権能が発動されました]

[アイテム〈不滅なる幻葬の聖剣デュランダル〉の等級が一時的に伝説レジェンド級上位から神域ディヴァイン級下位へとランクアップします]



 通常時とは異なり、輝くような蒼い燐光を纏ったデュランダルから強大な力が伝わってくる。

 続けて【闘聖戦神の黄金鎧気ディヴァインオーラ】を発動し、神聖にして勇ましき力を内包する黄金色の闘気を身に纏う。

 最後に【星覇天冠】によって、頭の上に天使の輪と王冠が合わさったような形をした黄金色の光の冠を出現させた。

 出現した天冠は、エルケーニッヒが配下の精霊やキメラ達から奪っている最中の力だけでなく、大気中に漂う魔力やエネルギーまでもを吸収し始める。

 吸収した力が増すにつれて天冠が与える強化効果も増大していく。



「◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️ーッ!!」


「横から奪われてお怒りみたいだな。まぁ、すぐに終わるさ」


「◼️◼️◼️◼️◼️◼️ーッ!?」



 上空にいる俺に向かってエルケーニッヒが吠えた直後に、その背後の地面の上へと一瞬で移動した。

 通り抜け様に斬ったエルケーニッヒの右腕と背中の多数の腕と六枚翅が宙に舞う。


 ーー剣神武闘・斬神討牢ざんしんとうろう


 神剣を使用する時のみ発動することができる【剣神武闘】の任意発動能力アクティブスキルによる強化を受け、エルケーニッヒの周囲を神速の速さで移動し続ける。

 移動するたびにエルケーニッヒの頑強な鎧皮と魔力鎧を斬り裂き、その巨体を削ぎ落としていく。

 魔王の力を宿したエルケーニッヒの感知能力でも目で追えない速さらしく、巨体の各所に生やした突起や腕から放たれる破壊の魔力弾や魔力槍は擦りもしない。

 魔王の権能である愛欲の波動も放たれ続けているが、俺には全く効果が無い。


 斬撃の牢獄に対抗するように、精神が汚染されて正気を失った状態のエスプリが魔法を行使してくる。

 一時的とはいえ、神器へとランクアップしたことでデュランダルは〈聖気〉だけでなく〈神気〉も宿すようになったのと、【斬神討牢】の斬撃強化効果によって、通常の斬撃ですら【四天割断】に匹敵するレベルにまで〈割断〉の概念効果が昇華されている。

 そのため、発動された全ての魔法事象の悉くは容易く斬り裂かれ、無効化されていく。

 エルケーニッヒの効果によるものか、周りを取り囲む英霊騎士達による【魔法消去領域マジック・キャンセラー】の影響下でも魔法を使えたようだが、今のデュランダルの前では意味が無い。

 

 【剣神武闘】発動から十数秒。

 エルケーニッヒは、その巨体を粉微塵になるまで斬り刻まれた末に、デュランダルから発せられる神気と聖気によって完全に消滅した。

 後に残ったのは、エルケーニッヒを無理に使用したことで身体がボロボロになったエスプリのみ。

 正確には、エスプリの装備品も残っていたが、既に回収しているためこの場には無い。

 デュランダルの聖気によって多少なり浄化されたのか、エルケーニッヒから解放されたエスプリは正気を取り戻しているようだ。



「……本当に、ニンゲン、なノ?」


「俺としてはそのつもりだが?」


「あり得、なイわ。人の身、ト魂で、アレだけ、の、力ヲ、宿せるわ、けガーー」


「そうかい。それはそれとして、贖罪の時間といこうか」


「あ、ガッ、アァア、ギ、ガァァッ!?」



 エスプリの頭部を鷲掴みにして【強奪権限】で記憶を強奪する。

 中々濃厚な記憶情報の濁流を受け流しながら【情報賢能ミーミル】の【情報保管庫】へと保存していく。

 全ての記憶を強奪し終えると、エスプリの頭から手を離す。



「ウッ、ぐ、あっ」


「記憶を無理矢理読み取っても廃人にならないとは、中々強い精神力じゃないか」



 地に伏して痛みにもがくエスプリをグレイプニルで拘束すると、エスプリを中心とした巨大な立体術式陣を展開する。



「エルケーニッヒをはじめとしたキメラの材料に多くの冒険者や一般人を使ってきたようだな。だから、オマエも同じ目に遭ってから死ぬのが相応しい最期だと思わないか?」


「あっ、ハぁッ、ぐっ、う、何、ヲする気?」


「錬成の儀式だよ。別の世界由来のな」



 用済みになった英霊騎士達を解除し、霧散した魔力を天冠で集めて錬成の儀式へと転用する。

 膨大な魔力を注ぎ込むにつれて立体術式陣が強い光を発していく。

 更に術式陣の中にオリハルコンや真竜の血などの希少素材を適量放り込む。

 放り込まれた各種素材はエスプリの周りで滞空しながら、淡い光を発している。

 最後に、目の前を通った術式帯に俺の血を一滴垂らすと、青白かった立体術式陣が紅く発光し、内部に黄金の粒子が発生し出した。



「アッ、アアッ、ガッ、◼️◼️◼️◼️◼️◼️ーー」



 エスプリの身体が痙攣し、言語化できない言葉を発しだして間も無く、エスプリの身体から銀色の発光体が抜け出してきた。

 発光体が球体になる頃には、エスプリは白目を剥いたまま動かなくなった。

 あの発光体の正体はエスプリの魂であるため、それが抜け出たことによって死亡したのだ。

 【戦利品蒐集ハンティング・コレクター】でエスプリの死体を回収すると、立体術式陣に手を翳して次の段階へと移行させる。

 立体術式陣内部の全ての素材を粒子化させて一つにする。

 その集合体を錬成するために、更に膨大な量の魔力を消費し、粒子の集合体が結晶化したとともに立体術式陣が霧散した。

 エスプリの死体が置いてあった場所には、完成品である紅い結晶体が浮遊しており、内部には黄金色の粒子が流動している。



「ふぅ……実際に行うのは初めてだったが上手くいったな。〈賢者の秘石〉も変わらないな」



 前の異世界には賢者の石の上位互換が存在しており、今回使ったのはその賢者の秘石を製作できるレシピの中でも邪法と評されるような非人道的なモノだ。

 必要な素材の一つが賢者クラスの魂であるため、その素材の希少性と製作難易度から実物は魂を使わないレシピ由来の物しか見たことがなかった。



「さてと。では奪われないようにするか」



[アイテム〈賢者の秘石〉から能力が剥奪されます]

[スキル【賢者の秘石】を獲得しました]



 予想通り全く同じ効果のスキルに変換することができた。

 しかも、更に発展させられそうだ。



[スキルを合成します]

[【超位演算】+【双星賢理】+【賢者の秘石】=【大賢者の星霊核】]



 心臓とは反対側の位置に何か強い力を発するモノが宿ったのを感じる。

 おそらくコレが星霊核なのだろう。

 賢者の石は勿論、賢者の秘石をも大きく上回る性能の魔力生成能力と演算能力を有しているのが感じられる。

 それだけでなく、各種スキルの成長を促進する効果などもあるようだ。



[スキル【生体操作】を獲得しました]

[スキル【魔導生物学】を獲得しました]

[スキル【狂気の織り手】を獲得しました]

[スキル【精霊の愛し子】を獲得しました]

[スキル【精霊の支配者】を獲得しました]

[スキル【魔女の系譜】を獲得しました]

[スキル【愛欲の残滓】を獲得しました]

[ジョブスキル【天嵐術師ストーム・ロード】を獲得しました]

[ジョブスキル【破壊術師ブレイク・ロード】を獲得しました]

[ジョブスキル【大精霊術師アーク・エレメンタラー】を獲得しました]

[ジョブスキル【学者スコラー】を獲得しました]

[ジョブスキル【狂科学者マッドサイエンティスト】を獲得しました]

[マジックスキル【爆撃魔法】を獲得しました]

[マジックスキル【創造魔法】を獲得しました]

[ユニークスキル【移動と破壊の統魔権ラウム】を獲得しました]


[保有スキルの熟練度レベルが規定値に達しました]

[ジョブスキル【高位錬金術師ハイアルケミスト】がジョブスキル【最高位錬金術師グランド・アルケミスト】にランクアップしました]

[ジョブスキル【高位薬師ハイファーマシスト】がジョブスキル【最高位薬師グランド・ファーマシスト】にランクアップしました]

[ジョブスキル【高位細工師ハイクラフトマン】がジョブスキル【最高位細工師グランド・クラフトマン】にランクアップしました]


[〈愛欲の魔王〉の残滓が精神に干渉してきます]

[〈愛欲の魔王〉の残滓を握り潰しました]

[〈愛欲の魔王〉の残滓を支配しました]

[〈愛欲の魔王〉の残滓が変換されます]

[スキル【愛欲の残滓】がユニークスキル【愛欲ザ・ラスト】にランクアップしました]

 


 大半は期待通りだったが、予想外にユニークスキルをもう一つ手に入れてしまった。

 エルケーニッヒから【愛欲の残滓】が獲得できたことから、どうやらアレは生きていたようだ。

 もしかすると、愛欲の魔王が復活する未来もあったかもしれない。



「……まだ培養中の魔王の肉片があるようだし、今のうちに処分しておくか」



 新たに分身体を生み出すと、エスプリの隠し拠点へと向かわせる。

 ついでに記憶情報にある隠し財産を全て回収させるとしよう。



「あっちはこれでいいとして。俺も色々やっておくか」



 迷宮秘宝アーティファクト〈精霊の箱庭〉の前所有者であるエスプリが死亡したと同時に、大広間の最奥に出現した宝珠へと俺の血を垂らしてから魔力を注ぐ。

 宝珠は淡く様々な色に明滅した後、契約完了とばかりに粒子状になって俺の左胸ーー正しくは心臓部ーーへと吸い込まれていった。



[特殊条件〈◼️◼️◼️◼️〉〈◼️◼️◼️◼️〉などが達成されました]

[アイテム〈精霊の箱庭〉が権能【強欲神域】に変異・昇華しました]

[称号〈神域の主〉を取得しました]

[権能【強欲神域】は神域の主リオン・エクスヴェルに帰属します]

[既存の固有領域が再構築・再設定されるまではアイテム〈精霊の箱庭〉時の設定が反映されます]



「これで俺が箱庭の主、のはずだが何か通知がきたな。神域の主ねぇ……まぁいいや。次は大精霊達との契約だな」



 大精霊達を殺さずに捕らえた理由は、契約者を失った彼らと新たに契約するためだ。

 通常、大精霊と契約するには面倒な手順が必要な上に特定の場所でなければならないのだが、大精霊自身が目の前にいるならば殆どの条件を無視することができる。

 前の契約者を殺したので契約には時間がかかりそうだと思いつつ、異空間から大精霊達を引っ張り出した。




 

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