記録No.3 面倒な不良絡み
教官の部屋から自部屋に戻る途中、
「…なぁ優等生さんよ、俺らにも機体操縦教えてくれよなぁ?」
「…」
不良に絡まれた。
しかも複数人の。
俺は呆れた目でヤツらを見た。
「なんだぁ?機体は落とせても人は倒せないってか〜?」
ちなみにボス気取ってるこいつの名前は、ルイス・ウィリアム。
2年前ぐらいは問題児でもなんでもないただの生徒だったのだが…何故こうなったのか。
まぁこいつと関わる気は1ミリとないが、降りかかる火の粉はなんとやらである。
「…やり合うんならちょっとまってて貰っていいか?」
もうそろシャロも起きてると思うので、とりあえず連絡だけ入れたいのだ。
「はぁ?逃がすと思ってんのか?」
「…まぁ、そうだろうな」
俺はジークンドー似の我流の格闘技の構えを取った。
相手は…なんだろ?こいつも我流だろうか、構えていた。
現在地は人目の着きづらい格納庫の影、やり合うにはうってつけの場所ではある。
「さぁ?やるかい?弱っちぃの」
「イキんな優等生がッ!」
大振りな右、俺はそれを片手で止めた。
続いて上段回し、顔を狙った一撃のようだが、遅い、軽々と俺は弾いた。
「面白くないんだよそういうの、ちゃんとやってくんないかなぁ、やるならさ」
あんまりにこう…まるで漫画の知識をそのまま持ってきた中学生みたいなので、つまらないのだ。
「っ!!このっ!」
感情に任せた拳、俺はそれを掴んで、投げた。
「どわぁっ!?」
「全く…」
大きな音を立てて、ウィリアムは地に伏した。
俺は呆れてため息を吐いた。
…弱すぎる、ほんとに日々訓練してるのだろうか?…まぁ、どうでもいいか。
俺が頭をかいていると、
「何をしているのですか?」
威厳を確かに持ち、威圧感を放ちながら、少し低い女性の声がした。
…俺は実に嫌な予感がした。
「あ〜…えーっとだな…」
「見れば分かります、説明は不要です」
まるきりこれから周りを相手しようと思っていた俺には、誤算が生じた。
その女性の声は、聞き覚えがあった。
あと嫌な思い出もあった。
「…あなたたち、不問にして差し上げるので、痛い目に会いたくなかったらここから去ることです」
「…へ?」
「とっとと去りなさい、以上です…」
俺は1番にそそくさと帰ろうとしたが、
「ですが、あなたは残ってください」
その女性に腕を掴まれた。
相変わらずのとんでもないパワーで。
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