記録No.2 戦闘開始

「ひゅ〜、とんでもねぇ弾幕の密度…多分ステルスだったんだろうな」


興奮の口笛を吹きながら、機銃を撃ちつつ近寄っていく。

だがまぁ…機銃ごときじゃイマイチ火力が足りない。

当たり前だ、相手は重装甲なんてレベルを軽く超した帝国の戦艦である。


「こいつぁ中々きっつい戦いだな…」


正直ビームウォールがあった時点からこれは苦戦するなと踏んでいた。

あとこの戦艦、大隊規模の機体を積んでいるはずだ。

さすがにここで見過ごせない。

そしてそいつらが出てきたらまずい、かなり。


「とりあえず閃光弾で時間稼ごうかね…お、前使ったチャフまだ入ってたのか」


俺一人でどうこうなる気がしないので、閃光弾などを使い、とりあえず味方の到着を待つ事に…


「ん?」


したかったのだが、何やら光る点がポツポツと現れ、俺の方へやってくる。

モニターのマップには赤いフリップ、その数30。


「多いな…」


俺は急降下をやめ、閃光弾付属ミサイルとチャフグレネードを戦艦にバラまいた。

そいつらは見事にヒットし、しばらく時間稼ぎしてくれるだろう、その証拠に、戦艦の砲撃が止んだ。


「さて…管制室!援軍はまだか!」


もうそろ出て来てもいいんじゃないかと思うのだが…


「こちら管制室、すまないが、出撃した機体の多くは防衛に回している、援護として出せるのは狙撃のみだ。」


なるほど?俺を殺す気か?

理由はわからなくもないが、些か候補生1人に大隊規模を任せるのはどうなのだろう。

あと、防衛にほとんどを充てる意味はどれだけあるんだよ…


「後退は?」

「……許可できない」

「…はぁ、了解」


俺は諦めて、30機と戦艦落として帰投する考えに、頭を切りかえた。

さっきの無線中に、敵が陣形を整え終わったようだ。

コンバットボックス、とでも言おうか、箱のような陣形が宙に浮かんでいる。

前面に盾や剣持ちの近接部隊、その後ろにアサルトライフルを構えた中距離部隊、最後方に大型ライフルを構えた遠距離部隊。


「おっほ〜…」


俺もこれには感嘆の声を漏らした、これがプロの隊列。

その隊列に対し、こちらの戦力はたった一機。

ワンオフ機並の性能と言えど、30対1はやりすぎではなかろうか。

と、内心では思うものの、


「まぁ、その程度粉砕してやるさ」


俺は強気にボヤきつつ、シナモンフレーバーの爪楊枝を噛んだ。


《相手が発射体制に入る前に撃て!》


…無線傍受がいまさら仕事しやがった。

その無線の合図とともに、相手の射撃が始まった。


「はぁ〜…1発1発精度のお高いこと、危うく寿命と装甲が削られるぜ」


ほんとに精度が高い、シャレにならない。

ただ、こちらも黙っている訳ではなく…


「ブーストッ!」


敵の射撃による隙を探り、


「ほッ!」


こちらの攻撃しゅほうに繋げる。

そうすると、1匹カトンボが堕ちる。


「さぁ、まず1機だ!」

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