新婚旅行 初日 後編



隼瀬達夫婦は北海道に新婚旅行に訪れ、その道中で出会ったおばちゃんライダーや現地の人達とのとの交流もありつつ、夜になる頃には最初の目的地である函館市内へと入り、宿のチェックインを済ませ、ここに来たいと隼瀬が言った理由である函館山の夜景を見に行く。



「わーやっぱ写真で見るのといっちょん違うね、ふうたん!」



「はあたん、興奮しとんね」



「だってだって、人生で一度は見たかった景色だし!」



「隼瀬がそぎゃん喜ぶなら、ほんなこつ来てよかったね」



かくいう冬未も表には出さないが、内心では隼瀬のように目の前の景色に物凄い感動を覚えていた。地元熊本の独鈷山や花岡山からの夜景、長崎の稲佐山から見たあの夜景、大阪に来てから行った神戸の夜景よりもこの函館の夜景に感動する自分がいたと、後に冬未は語る事になる。誰に向けてだよ。

で、いつになくテンションが高い隼瀬は、周囲にも沢山人がいるのに恥ずかしげもなく冬未に甘えだす。



「ふうたん、ちゅーして」



「ばか、人いっぱいおるたい」



「こんだけおったら逆に誰も僕達の事なんか気にもとめんよ、木ば隠すなら森ん中でしょ?」



「またわけわからん理屈ば・・・・・・」



「んふふ、ふうたんがしてくれんなら僕からするね」



そう言って、少しだけ背伸びして冬未の唇を強引に奪う隼瀬。さっき彼が言っていたようにはいかず、自分達に周りの視線が集まるのを察知した冬未はそれから逃げるように隼瀬だけを見つめ、彼の愛情に応える。



「・・・・・・っ、全然森に隠れられんかったたい」



「まあよかたい」



「よかたいて・・・・・・っ、なんで女の私がこぎゃん男みたいにドキドキせにゃんとや」



「ふうたんってちょっと可愛いとこあるよね」



「可愛いとか言うな」



「へへへ、ふうたんあこなった」



とか言いつつ自分もそれなりに赤くなっており、電灯の影に入ってそれを誤魔化す隼瀬である。










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