友との別れ
2007年 末
冬未の就職内定が決まり、隼瀬は今できる精一杯のお祝いとして少し豪華な夕食を用意していた。
「ごめんね、本当なら時計でん買うてやりたかったばってんやっぱ無理だった」
「んねんね、このおごっそうで十分たい」
「そう言うてもろたら僕も嬉しか、てか卒業したら僕達は大阪だし、充希達とも離れちゃうね」
「そう考ゆっとちっと寂しかねえ、ばってん卒業しても親友の絆は変わらんよ」
「そっか・・・・・・そうよね、電話だってあるしね」
「そうそう、てかそぎゃんと気にすんのちっとはやぁたい」
「ふふ、そうね」
数日後
日付が変わり年が明けてすぐ、夫婦は実家近くの神社へ姉と一緒に初詣に来ていた。
「甘酒、冬未と姉ちゃんの分も貰ってきたよ」
「「ありがとう隼瀬」」
甘酒を飲んで暖まった所で、暁美は二人に話があると切り出す。
「あんた達にはもう分かるかもしれんばってんね、お姉ちゃんも今年結婚するけん」
「「!!」」
一瞬驚いて顔を見合わせ、その言葉を告げる弟夫婦。
「おめでとう(お)姉ちゃん!」
「ありがと、ばってんお姉ちゃんはいつでんお姉ちゃんだけんね、あんた達が大阪行ってからも困った事があったらいつでん言うてきねよ」
自身が結婚しても、何も気を使わず今まで通り頼ってくれていいと言う暁美に、やっぱりこの人がお姉ちゃんでいてくれてよかったと思う夫婦であった。そしてこの二ヶ月後・・・・・・
2008年 3月1日
卒業式を終えた後、隼瀬達の通った教室では咲良が発起人となり改めての送別会が行われていた。
「隼瀬、向こうでも元気でね」
「充希も、いいんちょの事しっかり支えてあげてね」
「冬未、転校してきてくれて親友になれてよかった、これからは離れるばってん、いつでん私ら親友だけんな」
「当たり前たい、てかそぎゃん泣きそうな顔せん、女だろ」
「だって冬未と隼瀬ちゃんとはずっと一緒におって、充希と結婚する時も色々してくれたし・・・・・・」
「それ言うたら咲良と充希ちゃんが中心で私達の結婚式もしてくれたしね」
「冬未・・・・・・」
それぞれの道へと皆を送り出した後、冬未と隼瀬夫婦はここにはいなかったもう一人の親友とまた別れを告げていた。
「冬未も隼瀬ちゃんも、大阪行っても私の事忘れんでよね」
「「どうかなー」」
そう言って悪戯っぽく笑う夫婦に、まあこの人達は大丈夫だなと微笑する恵美。
「恵美は隼瀬が逆プロポーズしてくれた日の見届け人だし、ある意味私達の恩人だけん忘るっこつなかよ」
「うん、姉ちゃんの事があった時、恵美ちゃんも裏で結構動いてくれたしね」
「隼瀬ちゃん・・・・・・あんた達、地元帰って来た時はまた遊び誘ってよね」
「ばってん恵美は警察学校行くとだろ?忙しくて予定取れんとじゃないと?」
「まあなんとか合わすっけん」
その後、自分達のこれからの将来の話などで盛り上がり、一抹の寂しさを感じながらこの日は解散となったのであった。
次回より新章に入ります
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